特開2020-19110(P2020-19110A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アズビル株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2020019110-ロボットハンド 図000003
  • 特開2020019110-ロボットハンド 図000004
  • 特開2020019110-ロボットハンド 図000005
  • 特開2020019110-ロボットハンド 図000006
  • 特開2020019110-ロボットハンド 図000007
  • 特開2020019110-ロボットハンド 図000008
  • 特開2020019110-ロボットハンド 図000009
  • 特開2020019110-ロボットハンド 図000010
  • 特開2020019110-ロボットハンド 図000011
  • 特開2020019110-ロボットハンド 図000012
  • 特開2020019110-ロボットハンド 図000013
  • 特開2020019110-ロボットハンド 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-19110(P2020-19110A)
(43)【公開日】2020年2月6日
(54)【発明の名称】ロボットハンド
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20200110BHJP
【FI】
   B25J15/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-145815(P2018-145815)
(22)【出願日】2018年8月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】岩下 純久
(72)【発明者】
【氏名】石倉 義之
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 里奈
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 祐希
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707EU05
3C707EU07
3C707HS27
3C707KS33
3C707KV06
3C707KX08
3C707MT04
(57)【要約】
【課題】ワークの把持位置に関わらず、把持力を正確に検出可能とする。
【解決手段】モータ11と、モータ11により駆動される駆動リンク121を含む4個のリンクを有し、1つ以上設けられた4節のリンク機構12と、1つ以上のリンク機構12におけるリンクのうちの何れかに設けられ、変位を検出する変位センサ13と、変位センサ13による検出結果から把持力を検出する把持力検出部14とを備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータにより駆動される駆動リンクを含む4つのリンクを有し、1つ以上設けられた4節のリンク機構と、
前記リンク機構のうちの1つ以上のリンク機構における前記リンクのうちの何れかに設けられ、変位を検出する変位センサと、
前記変位センサによる検出結果から把持力を検出する把持力検出部と
を備えたロボットハンド。
【請求項2】
前記駆動リンクは、一端が前記モータの出力により駆動される回転軸に接続され、
前記リンク機構は、
一端が回転自在に本体に接続された角度保持リンクと、
前記駆動リンクの他端及び前記角度保持リンクの他端が回転自在に接続され、一端にフィンガが連結された従動リンクとを有する
ことを特徴とする請求項1記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記出力軸は単軸又は両軸である
ことを特徴とする請求項2記載のロボットハンド。
【請求項4】
前記駆動リンクは、前記従動リンクの前記一端側に回転自在に接続され、
前記角度保持リンクは、前記従動リンクの他端側に回転自在に接続された
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のロボットハンド。
【請求項5】
前記角度保持リンクは、前記従動リンクの前記一端側に回転自在に接続され、
前記駆動リンクは、前記従動リンクの他端側に回転自在に接続された
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のロボットハンド。
【請求項6】
モータと、
前記モータにより駆動される駆動リンクを含む複数のリンクを有し、1つ以上設けられた5節以上のリンク機構と、
前記リンク機構のうちの1つ以上のリンク機構における前記駆動リンクに設けられ、変位を検出する変位センサと、
前記変位センサによる検出結果から把持力を検出する把持力検出部と
を備えたロボットハンド。
【請求項7】
前記駆動リンクは、一端が前記モータの出力により駆動される回転軸に接続され、
前記リンク機構は、
回転自在に直列接続された複数のリンクから成り、一端が回転自在に本体に接続された角度保持リンクと、
前記駆動リンクの他端及び前記角度保持リンクの他端が回転自在に接続され、一端にフィンガが連結された従動リンクとを有する
ことを特徴とする請求項6記載のロボットハンド。
【請求項8】
前記出力軸は単軸又は両軸である
ことを特徴とする請求項7記載のロボットハンド。
【請求項9】
前記駆動リンクは、前記従動リンクの前記一端側に回転自在に接続され、
前記角度保持リンクは、前記従動リンクの他端側に回転自在に接続された
ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載のロボットハンド。
【請求項10】
前記角度保持リンクは、前記従動リンクの前記一端側に回転自在に接続され、
前記駆動リンクは、前記従動リンクの他端側に回転自在に接続された
ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載のロボットハンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対象物を把持するロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットハンドが有する機能の一つとして「把持機能」がある。把持とは、例えばロボットハンドを用いて対象物(以降、ワークと称す)を運搬する際に、ワークを持ち上げるために挟み込み等の作用をワークに与える行為である。なお、ロボットハンドによる把持は、ロボットハンドがワークの外側からワークの把持を行う外径把持に限らず、ロボットハンドがワーク(例えばOリング)の内側からワークの把持を行う内径把持でもよい。
【0003】
ロボットハンドの把持機能の重要なポイントとして、「ワークを把持する力(以降、把持力と称す)の発揮」が挙げられる。つまり、ロボットハンドが把持を行う場合には、ロボットハンドのワークを把持する部分(以降、フィンガと称す)が、ワークに何らかの力を与えることが重要である。そして、その力の大きさを管理(検出、可能であれば制御)することはロボットハンドに求められる機能の一つであると言える。
【0004】
このロボットハンドにおいて、従来から、把持力を制御するために、フィンガを駆動するモータの回転トルクを制御することで、フィンガの把持力を制御する方法がある。
【0005】
しかしながら、この方法では、モータの出力軸(トルク制御された回転軸)がフィンガを直接駆動しない伝達機構の場合、その伝達機構の摩擦等の影響により実際には把持力を正確に制御することは困難である。つまり、モータが発揮しているトルクがフィンガに伝わるまでに摩擦等でロスし、また、そのロスが常に一定とは限らないため、実際にフィンガで発揮している把持力を正確に制御できない。なお、上記伝達機構としては、例えば、モータとフィンガとの間に、例えば歯車、ベルト又は送りねじのような変速機等、或いは、回転方向の変更を行うための機構(直交歯車等)の機構が存在する伝達機構が挙げられる。
【0006】
例えば特許文献1に開示された電動ハンドでは、モータが把持力(推力)を制御するためにトルクを制御しているが、モータとフィンガ(第1組、第2組のハンド部材)の間にカム及びリニアガイドと呼ばれる回転直動変換機構が設けられている。
【0007】
これに対し、例えば特許文献2に開示されたロボットハンドでは、フィンガの根元部分に力センサを設け、この力センサによりワークを把持しているフィンガへの反力を検出することで、フィンガの把持力を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−94804号公報
【特許文献2】特開2017−164899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方、一般的な力センサでは、並進方向の力(以降、並進力と称す)を正しく検出するためには、並進力の軸線が力センサの検出部位(検出軸)に一致する必要がある。
例えば図12に示すように、力センサ101が取付けられたフィンガ102に、F1という並進力が加えられた場合を考える。このF1の軸線は、力センサ101の検出部位に一致している。この場合、力センサ101は、F1を正しく検出できる。一方、フィンガ102に、F2という並進力が加えられた場合を考える。このF2の軸線は、力センサ101の検出部位に一致しない。この場合、力センサ101の検出部位にはF2の他にモーメントが加わるため、力センサ101はF2のみを検出できない。
【0010】
そして、この力センサをフィンガの根元部分に設けた場合、ワークに与える力が一定でも、フィンガにおけるワークの把持位置が変わると、力センサにより検出される力の値が変わる。つまり、この場合、ロボットハンドは正確な把持力の値を得られない。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ワークの把持位置に関わらず、把持力を正確に検出可能なロボットハンドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るロボットハンドは、モータと、モータにより駆動される駆動リンクを含む4つのリンクを有し、1つ以上設けられた4節のリンク機構と、リンク機構のうちの1つ以上のリンク機構におけるリンクのうちの何れかに設けられ、変位を検出する変位センサと、変位センサによる検出結果から把持力を検出する把持力検出部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、上記のように構成したので、ワークの把持位置に関わらず、把持力を正確に検出可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1Aは、この発明の実施の形態1に係るロボットハンドの構成例を示す模式図であり、図1Bは、図1Aにおける変位センサにより検出される変位を示す図である。
図2】この発明の実施の形態1に係るロボットハンドの構成例(変位センサを有する1つのリンク機構のみ)を示す斜視図である。
図3図3A図3Bは、この発明の実施の形態1における変位センサの構成例(フルブリッジ回路)及び配置例を示す図である。
図4】この発明の実施の形態1に係る4節リンク機構のモデル(1つのリンク機構のみ)を示す図である。
図5図4に示すモデルの一部を仮想的に切断した図である。
図6図6A図6Bは、図5における分割部位を示す図である。
図7図7A図7Bは、この発明の実施の形態1に係るロボットハンドによる外力が加えられる位置の違いによる変位量及び応力(シミュレーション結果)の違いの一例を示す図である。
図8図8A図8Bは、この発明の実施の形態1に係るロボットハンドによる外力が加えられる位置の違いによるセンサ出力(実測結果)の違いの一例を示す図である。
図9図9Aは、この発明の実施の形態1に係るロボットハンドの別の構成例を示す模式図であり、図9Bは、図9Aにおける変位センサにより検出される変位を示す図である。
図10】この発明の実施の形態1に係るロボットハンドの別の構成例を示す模式図である。
図11】この発明の実施の形態2に係るロボットハンドの構成例を示す模式図である。
図12】並進力が加えられる位置による力センサへの影響を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1,2はこの発明の実施の形態1に係るロボットハンドの構成例を示す図である。なお図2では、変位センサ13を有する1つのリンク機構12のみを図示している。
ロボットハンドは、ワーク(不図示)を把持する機能を有する。このロボットハンドは、図1,2に示すように、モータ11、1つ以上のリンク機構12、1つ以上の変位センサ13、及び把持力検出部14(不図示)を備えている。なお以下では、同一の構成要素が複数系統存在する場合には、その構成要素を示す符号に系統毎の接尾記号(−1,−2,・・・)を付すものとし、また、特に区別する必要がない場合には接尾記号を付さずに説明を行う。
【0016】
モータ11は、ロボットハンドに把持力を発生させるための動力源である。図1では、モータ11が有する出力軸111が両軸であり、モータ11が各出力軸111−1,111−2により回転出力を行う場合を示している。
【0017】
リンク機構12は、4節のリンク機構である。図1では、ロボットハンドが2つのリンク機構12−1,12−2を有する場合を示している。
なお、ロボットハンドが1つのリンク機構12のみを有する場合には、ロボットハンドはこのリンク機構12と壁等の固定部材を用いてワークの把持を行う。
【0018】
リンク機構12−1は、駆動リンク121−1、角度保持リンク122−1及び従動リンク123−1を有する。
【0019】
駆動リンク121−1は、一端が、ウォーム15−1及びウォームホイール16−1等の減速機並びにヒンジピン(回転軸)124−1aを介して、モータ11が有する出力軸111−1に接続されている。この駆動リンク121−1は、モータ11により駆動され、出力軸111−1の回転に応じて一端の揺動量(角度、速度又はトルク等)が制御される。
【0020】
角度保持リンク122−1は、一端が、ヒンジピン124−1bを介して、ロボットハンドの本体に回転自在に接続されている。
【0021】
従動リンク123−1は、駆動リンク121−1の他端がヒンジピン124−1cを介して回転自在に連結され、角度保持リンク122−1の他端がヒンジピン124−1dを介して回転自在に連結され、一端にフィンガ125−1が連結されている。この従動リンク123−1は、フィンガ125−1と一体に連動して運動する。図1では、角度保持リンク122−1は従動リンク123−1の一端側(フィンガ125−1側)に回転自在に接続され、駆動リンク121−1は従動リンク123−1の他端側に回転自在に接続されている。
【0022】
リンク機構12−2は、駆動リンク121−2、角度保持リンク122−2及び従動リンク123−2を有する。
【0023】
駆動リンク121−2は、一端が、ウォーム15−2及びウォームホイール16−2等の減速機並びにヒンジピン(回転軸)124−2aを介して、モータ11が有する出力軸111−2に接続されている。この駆動リンク121−2は、モータ11により駆動され、出力軸111−2の回転に応じて一端の揺動量(角度、速度又はトルク等)が制御される。
【0024】
角度保持リンク122−2は、一端が、ヒンジピン124−2bを介して、ロボットハンドの本体に回転自在に接続されている。
【0025】
従動リンク123−2は、駆動リンク121−2の他端がヒンジピン124−2cを介して回転自在に連結され、角度保持リンク122−2の他端がヒンジピン124−2dを介して回転自在に連結され、一端にフィンガ125−2が連結されている。この従動リンク123−2は、フィンガ125−2と一体に連動して運動する。図1では、角度保持リンク122−2は従動リンク123−2の一端側(フィンガ125−2側)に回転自在に接続され、駆動リンク121−2は従動リンク123−2の他端側に回転自在に接続されている。
【0026】
変位センサ13は、1つ以上のリンク機構12における駆動リンク121に設けられ、取付けられた部位の変位を検出する(変位に応じた電気的な出力(抵抗値、静電容量、電圧又は電流等の出力)を行う)。図1では、変位センサ13が、駆動リンク121−1の対向する2つの側面(駆動リンク121−1の回転軸方向に垂直な方向における2つの側面)にそれぞれ取付けられ、曲げモーメントによる変位を検出する場合を示している(図1B参照)。
【0027】
なお、変位センサ13は、例えば金属歪ゲージから構成される。また、例えば図3Bのように、変位センサ13として4個の金属歪ゲージ(R1〜R4)を貼り、図3Aのようにフルブリッジ回路(ホイートストンブリッジ回路)を構成することで、変位センサ13は、曲げモーメント以外の歪成分の除去及び温度補償等を行うことができ、高精度化が可能である。なお図3Aにおいて、Eは印加電圧を表し、Eは出力電圧を表す。
なお、変位センサ13は、上記に示す理由により駆動リンク121−1の2つ以上の側面にそれぞれ取付けられる場合もあるが、1つの側面に1つのみ取付けられてもよく、本発明の本質を変更するものではない。
【0028】
また、変位センサ13は、例えば半導体歪ゲージから構成されてもよい。半導体歪ゲージは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により実現される。
【0029】
把持力検出部14は、変位センサ13による検出結果(例えば、出力電圧、出力電流、抵抗値変化又は静電容量変化等)からロボットハンドの把持力(フィンガ125に加えられた外力)を検出する。なお、把持力検出部14は、システムLSI(Large Scale Integration)等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等により実現される。
【0030】
次に、図1に示すロボットハンドの効果について説明する。
上述したように、フィンガの根元部分に設けられた力センサを用いてロボットハンドの把持力を検出する方法では、把持力を正確に検出できない場合があるが、その要因としては以下の2点が挙げられる。
1点目は、力センサは、把持力の検出において、実質的に、把持方向の並進力だけではなく、モーメントによる影響を受けるという点である。
2点目は、把持位置(フィンガにおける外力を受ける位置)によって、フィンガの根元部分に加わるモーメントが変化するという点である。
【0031】
そこで、図1に示すロボットハンドでは、駆動リンク121を有する4節のリンク機構12と、駆動リンク121の変位を検出する変位センサ13とを用い、変位センサ13による検出結果からロボットハンドの把持力を検出している。すなわち、4節のリンク機構12において、駆動リンク121の他端のヒンジ部分(図4に示すD点)のみがモータ11により駆動されるアクティブであり、残りのヒンジ部分(図4に示すA点、B点、C点)はパッシブである。よって、フィンガ125に加えられた外力は駆動リンク121の他端で受けられ、駆動リンク121には外力と駆動リンク121の長さに基づくモーメントが加わる。このモーメントは外力が加えられた位置に依らずに一定であり、このモーメントによる変位を変位センサ13で検出することで、ロボットハンドは把持力を検出可能である。このように、図1に示すロボットハンドでは、把持位置による影響を低減でき、フィンガ125のどの位置でワークの把持を行っても同じ変位として検出できるため、把持力の検出精度を確保できる。なお、把持位置は、フィンガ125の把持面上であればどの位置(図1における上下方向及び奥行き方向のどの位置)でもよい。
【0032】
次に、図1に示すロボットハンドにおいて、外力が加えられる位置が異なっていても同一のセンサ出力が得られる原理について説明する。
図4は、図1に示す1つのリンク機構12をモデル化した図であり、各リンク121〜123により平行四辺形のリンク機構が構成されている。この図4において、θはリンク機構12の揺動角度を表し、Φはジョイントの配置角度(駆動リンク121の一端と角度保持リンク122の一端とを結ぶ線分と水平方向との成す角度)を表し、Lは駆動リンク121の長さを表し、Fはフィンガ125に加えられる外力(並進力)を表している。
【0033】
また図5は、図4に示すモデルの一部を仮想的に切断した場合を示す図であり、具体的には、角度保持リンク122のヒンジ間と従動リンク123のヒンジ間を切断している。ここで、図5では、リンク122,123のパッシブなヒンジ間をそれぞれ切断しているため、切断箇所には曲げモーメントが発生せず引張方向又は圧縮方向の力のみが発生することになる。
【0034】
そして、図6Aに示す分割部位でのつり合い式は、X軸方向成分(水平方向成分)は下式(1)のようになり、Y軸方向成分(垂直方向成分)は下式(2)のようになる。なお、式(1),(2)において、N1は角度保持リンク122の切断箇所に加わる力を表し、N2は従動リンク123の切断箇所に加わる力を表している。
F−N1sinθ+N2cosΦ=0 (1)
N1cosθ+N2sinΦ=0 (2)
【0035】
また、図6Bに示す分割部位でのつり合い式は、X軸方向成分は下式(3)のようになり、Y軸方向成分は下式(4)のようになり、Z軸周りの成分は下式(5)のようになる。すなわち、駆動リンク121の一端(図6Bに示すD点)は固定端であるため、駆動リンク121は、X軸方向の並進力であるHe、Y軸方向の並進力であるVe及びZ軸周りのモーメントであるMeを受ける。
−N2cosΦ+He=0 (3)
−N2sinΦ+Ve=0 (4)
Me=L・N2・cos(θ−Φ) (5)
【0036】
そして、式(1),(2)から下式(6),(7)が得られる。
N1=F・(sinφ/cos(θ−Φ)) (6)
N2=−F・(cosθ/cos(θ−Φ)) (7)
【0037】
そして、式(5),(7)から下式(8)が得られる。
Me=L・F・cosθ (8)
【0038】
式(8)において、Lはロボットハンドのリンク構造が確定した場合に定数となり既知である。また、θは、モータ11が有するエンコーダ(不図示)により検出可能である。以上から、式(8)には外力の位置に依存する要素は含まれておらず、Me(駆動リンク121に加わるモーメント)は、外力の位置に依らないことが言える。よって、図1に示すロボットハンドでは、外力が加えられる位置が異なっていても同一のセンサ出力が得られ、外力(把持力)を正確に検出可能である。
【0039】
次に、外力が加えられる位置の違いによる駆動リンク121の変位量(曲げモーメント量)及び応力の違いを検証したシミュレーション結果を図7に示す。図7では、フィンガ125の異なる位置P1,P2にそれぞれ1Nの圧縮力を加える場合のシミュレーション結果を示している。この図7から、位置P1の場合と位置P2の場合とで駆動リンク121の変位量及び応力がほぼ等しいことが分かる。
また、実機に変位センサ13を搭載して外力が加えられる位置の違いによるセンサ出力を実測した結果を図8に示す。図8では、フィンガ125の異なる位置P3,P4にそれぞれ矢印方向の力を加えた際の実測結果を示している。この図8から、位置P3の場合と位置P4の場合とで駆動リンク121の出力がほぼ等しいことが分かる。
これらの結果から、図1に示すロボットハンドでは、外力が加えられる位置の違いによるセンサ出力の変化が少ないことが分かる。
【0040】
なお上記では、変位センサ13が曲げモーメントによる変位を検出する場合を示した。しかしながら、これに限らず、変位センサ13はせん断力による変位を検出してもよい(図9B参照)。この場合、変位センサ13は、例えば図9Aに示すように、駆動リンク121−1の対向する2つの側面(駆動リンク121−1の回転軸方向における2つの側面)にそれぞれ取付けられる。
【0041】
また上記では、駆動リンク121が角度保持リンク122より外側に配置された場合を示した。しかしながら、これに限らず、駆動リンク121は角度保持リンク122より内側に配置されてもよい。
また上記では、モータ11の出力軸111が両軸である場合を示した。しかしながら、これに限らず、モータ11の出力軸111は単軸でもよい。
【0042】
例えば図10では、駆動リンク121が角度保持リンク122より内側に配置され、且つ、出力軸111が単軸である場合を示している。
図10では、モータ11が有する出力軸111が単軸であり、モータ11が出力軸111により回転出力を行う場合を示している。
【0043】
また、図10に示す駆動リンク121−1は、一端が、ウォーム15及びウォームホイール16−1等の減速機並びにヒンジピン124−1aを介して、モータ11が有する出力軸111に接続されている。この駆動リンク121−1は、モータ11により駆動され、出力軸111の回転に応じて、一端の揺動量(角度、速度又はトルク等)が制御される。
また図10では、駆動リンク121−1は従動リンク123−1の一端側(フィンガ125−1側)に回転自在に接続され、角度保持リンク122−1は従動リンク123−1の他端側に回転自在に接続されている。
【0044】
同様に、図10に示す駆動リンク121−2は、一端が、ウォーム15及びウォームホイール16−2等の減速機並びにヒンジピン124−2aを介して、モータ11が有する出力軸111に接続されている。この駆動リンク121−2は、モータ11により駆動され、出力軸111の回転に応じて、一端の揺動量(角度、速度又はトルク等)が制御される。
また図10では、駆動リンク121−2は従動リンク123−2の一端側(フィンガ125−2側)に回転自在に接続され、角度保持リンク122−2は従動リンク123−2の他端側に回転自在に接続されている。
【0045】
その他の構成は図1に示すロボットハンドと同様であり、その説明を省略する。また、図10に示すロボットハンドの効果及び原理についても、図1に示すロボットハンドの効果及び原理と同様である。
なお図10に示すロボットハンドでは、変位センサ13が曲げモーメントによる変位を検出する場合を示しているが、変位センサ13はせん断力による変位を検出してもよい。この場合、変位センサ13の取付け箇所は図9Aと同様である。
【0046】
また上記では、出力軸111と駆動リンク121の回転軸とが直交(略直交の意味を含む)するように構成された場合を示した。しかしながら、これに限らず、平歯車等を用いて、出力軸111と駆動リンク121の回転軸とが平行(略平行の意味を含む)となるように構成されてもよい。
【0047】
また上記では、変位センサ13が駆動リンク121に設けられた場合を示した。しかしながら、これに限らず、変位センサ13が角度保持リンク122又は従動リンク123に設けられていてもよい。
すなわち、例えば図6Aに示すように、フィンガ125に外力が加えられた場合に、角度保持リンク122にはN1という力のみが加えられ、従動リンク123にはN2という力のみが加えられる。そして、N1及びN2はそれぞれ式(6),(7)に示すように、外力の位置に依らない力である。よって、変位センサ13を角度保持リンク122又は従動リンク123に設けて、当該変位センサ13がN1又はN2による変位を検出することでも、ロボットハンドは把持力を検出可能となる。
【0048】
また上記では、変位センサ13は、1つのリンク機構12におけるリンク(図1,9,10では駆動リンク121−1)に設けられた場合を示した。しかしながら、これに限らず、変位センサ13は、他のリンク機構12のうちの一部又は全部のリンク機構におけるリンクにも設けられていてもよい。このように、複数のリンク機構12に変位センサ13を設けることで、ロボットハンドは把持力の検出精度が向上する。
【0049】
なお上記では、ロボットハンドが外径把持を行う場合について説明を行ったが、ロボットハンドが内径把持を行う場合についても同様である。
【0050】
以上のように、この実施の形態1によれば、ロボットハンドは、モータ11と、モータ11により駆動される駆動リンク121を含む4個のリンクを有し、1つ以上設けられた4節のリンク機構12と、1つ以上のリンク機構12におけるリンクのうちの何れかに設けられ、変位を検出する変位センサ13と、変位センサ13による検出結果から把持力を検出する把持力検出部14とを備えた。これにより、実施の形態1に係るロボットハンドは、ワークの把持位置に関わらず、把持力を正確に検出可能となる。
【0051】
実施の形態2.
実施の形態1に係るロボットハンドでは、4節のリンク機構12を用いた場合を示した。これに対し、ロボットハンドは、5節以上のリンク機構12を用いてもよい。具体的には、例えば図11に示すように、角度保持リンク122を回転自在に直列接続された複数(M個)のリンク(図11ではリンク1221,1222)から構成することで、(4+M)節のリンク機構12を構成してもよい。なお図11では、出力軸111−2、リンク機構12−2、ウォーム15−2及びウォームホイール16−2の図示は省略している。また図11では、駆動リンク121が角度保持リンク122より内側に配置され、且つ、出力軸111が両軸である場合を示しているが、構成がこれに限らない点は実施の形態1と同様である。
また、角度保持リンク122が複数のリンクから構成される場合、各リンクのヒンジ部分には、ロボットハンドがワークの把持を行う場合に、外力によってリンクが回転してしまわないようにロック機構が設けられる必要がある。
【0052】
なお、ロボットハンドが5節以上のリンク機構12を有する場合には、変位センサ13は、1つ以上のリンク機構12における駆動リンク121に設けられる。
【0053】
また、実施の形態1,2に係るロボットハンドでは、モータ11が出力軸111により回転出力を行う場合を示した。しかしながら、これに限らず、モータ11は直動出力を行ってもよい。また、モータ11の動力は、電動に限らず、例えばエア又は油圧式であってもよい。
【0054】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0055】
11 モータ
12 リンク機構
13 変位センサ
14 把持力検出部
15 ウォーム
16 ウォームホイール
111 出力軸
121 駆動リンク
122 角度保持リンク
123 従動リンク
124 ヒンジピン
125 フィンガ
1221,1222 リンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12