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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-19113(P2020-19113A)
(43)【公開日】2020年2月6日
(54)【発明の名称】ロボット用のジャケット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20200110BHJP
【FI】
   B25J19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-145919(P2018-145919)
(22)【出願日】2018年8月2日
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 淑隆
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707BS13
3C707BS15
3C707CY29
3C707CY36
(57)【要約】
【課題】外形が大きくなることを抑制しつつ捻り動作に追従することができるロボット用のジャケットを提供する。
【解決手段】実施形態のジャケット1は、互いに連結されている2つのアームが同軸で相対的に回転する捻り動作が行われる捻り関節部(J1、J4、J6)に対応して設けられ、全体として中空の筒状であって、周方向に沿った折り目が軸方向に複数設けられている横ジャバラ構造に形成されて捻り動作に追従して形状が変化する捻り追従部1bを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の関節部を有するロボットに装着されるロボット用のジャケットであって、
前記ロボットの関節部のうち互いに連結されている2つのアームが同軸で相対的に回転する捻り動作が行われる捻り関節部に対応して設けられ、当該捻り関節部におけるアームの回転に追従するように形状が変化する捻り追従部を有し、
前記捻り追従部は、全体として中空の筒状であって軸方向における中央側が両端部に対して相対的に径大となっており、軸方向に沿った折り目が周方向に複数設けられている縦ジャバラ構造に形成されていることを特徴とするロボット用のジャケット。
【請求項2】
前記捻り追従部は、縦ジャバラ構造で円錐台状に形成した中間部材を貼り合わせることで形成されていることを特徴とする請求項1記載のロボット用のジャケット。
【請求項3】
前記ロボットの全体を覆うとともに、前記捻り追従部、および前記捻り追従部以外の部位が同じ材料で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のロボット用のジャケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに装着されるロボット用のジャケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部からの異物によってロボットが損傷することを防止したり、ロボットの内部からオイル等の異物が外部に飛散したりすることを防止したりすること等を目的として、ロボットにジャケットを装着することがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−274373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、産業用のロボットは、一般的に複数の関節部を有しており、各関節を回転させることにより様々な姿勢を取ることができる。このとき、ロボットの姿勢の変化によってジャケットが引っ張られるとモータに負荷が掛かったり、ジャケットが破損したりするおそれがあることから、ジャケットには、ロボットの姿勢の変化を妨げないようにすることが求められる。そのため、従来のジャケットは、関節部に対応する部位をいわゆるジャバラ構造とすることにより、ロボットの全長方向を軸方向とすると、その軸方向に対するアームの回転つまりはロボットの姿勢の変化に追従できるようにしていた。
【0005】
しかしながら、ロボットには、互いに連結されている2つのアーム間の角度が変化する態様で回転する関節部(以下、曲げ関節部と称する)と、互いに連結されている2つのアームが同軸で相対的に回転する関節部(以下、捻り関節部と称する)が存在する。このとき、軸方向に対して姿勢が変化する曲げ動作が行われる曲げ関節部については、上記したジャバラ構造で対応することができると考えられる。
【0006】
その一方で、同軸のままでアームが捻られる捻り動作が行われる捻り関節部については、単純なジャバラ構造では追従することができず、ジャケットが引っ張られたり捩れたりすることでモータに負荷が掛かったりジャケットが破損したりするおそれがあった。また、捻り動作に対応できるだけの撓みをジャケットに持たせると、ジャケットの外形が大きくなってロボットの姿勢の変化を妨げたり周辺設備に接触したりすることで動作範囲が制限されたり、姿勢が変化した際に関節部に噛み込まれたりするおそれがある。
【0007】
そこで、外形が大きくなることを抑制しつつ捻り動作に追従することができるロボット用のジャケットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載した発明では、ロボット用のジャケットは、互いに連結されている2つのアームが同軸で相対的に回転する捻り動作が行われる捻り関節部に対応して設けられ、当該捻り関節部におけるアームの回転に追従するように形状が変化する捻り追従部を有している。
【0009】
そして、捻り追従部は、全体として中空の筒状であって軸方向における中央部が両端部に対して相対的に径大となっており、軸方向に沿った折り目が周方向に複数設けられている縦ジャバラ構造に形成されている。このとき、捻り追従部の中央側が径大に形成されていることから、捻り追従部を挟んだ2点間にジャケットの撓みが形成される。そして、捻り動作が行われた際には、撓んだ部位つまりは捻り追従部が内側に絞られるように変形することにより、ジャケットの素材が伸縮性を有していなくても、捻り追従部の形状によって相対位置が変化した2点間の距離を補填することが可能となる。これにより、ジャケットが引っ張られること無く、周方向への捻り動作を吸収することができる。
【0010】
そして、この捻り追従部は、縦ジャバラ構造に形成されている。これにより、捻り追従部では、例えば傘を広げた状態と閉じた状態のように、外縁の実際の長さが同じであっても、その直径を小さくすることが可能になる。これにより、捻り追従部の外径を小型化すること可能となり、ロボットの動作範囲を制限したり、姿勢が変化した際に関節部に噛み込まれたりするおそれを低減することができる。したがって、外形が大きくなることを抑制しつつ捻り動作に追従することができる。
【0011】
請求項2に記載した発明では、捻り追従部は、縦ジャバラ構造で円錐台状に形成した中間部材を貼り合わせることで形成されている。捻り動作をする捻り関節部は、手先側のフランジのように例えば±180°を超えるような回転角度で動作することがある。その場合、回転角度が大きくなるほど必要となるジャケットの撓み量が大きくなり、捻り追従部が大型化してしまう。そこで、中間部材を貼り合わせて捻り追従部を形成することにより、ジャケットの撓み量を複数の中間部材で分担した状態とすることができ、各中間部材の外径を小さくすることができる。
【0012】
請求項3に記載した発明では、ジャケットは、ロボットの全体を覆うとともに、曲げ追従部、捻り追従部、および曲げ追従部と捻り追従部以外の部位が同じ材料で形成されている。例えばゴム等の異なる材料をつなぎ合わせたり、中央側を径大にするためにいわゆる立体裁断を行ったりする場合、異なる製造工程を経る必要が出てくる等、ジャケットの製造が困難になったり手間が掛かったりするおそれがある。そのため、ジャケットの全体を同じ材料で形成することにより、製造を簡略化することができ、ジャケットの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ロボットへのジャケットの装着態様を模式的に示す図
図2】ジャケットの曲げ追従部を模式的に示す図
図3】ジャケットの捻り追従部を模式的に示す図
図4】ジャケットの筒状部を模式的に示す図
図5】捻り動作をモデル化して示す図
図6】捻り追従部の基本形状を模式的に示す図
図7】シート部材を模式的に示す図
図8】シート部材の加工および成形の態様を模式的に示す図
図9】縦ジャバラ構造にしない場合との比較例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態のジャケット1は、ロボット2に装着されている。ロボット2は、垂直多関節型のいわゆる6軸ロボットを想定しており、複数の関節部において各アームが連結されている。ただし、ロボット2としては、いわゆる7軸ロボットや水平多関節型のいわゆる4軸ロボットを対象とすることもできる。なお、図1では、説明の簡略化のために、ジャケット1を破断視にて示している。
【0015】
ロボット2は、周知のように図示しないコントローラに姿勢を制御されつつ各種の作業を実行する。このロボット2は、ベース2a上に第1軸(J1)を介して連結されているショルダ2b、ショルダ2bに第2軸(J2)を介して連結されている下アーム2c、下アーム2cに第3軸(J3)を介して連結されている第一上アーム2d、第一上アーム2dに第4軸(J4)を介して連結されている第二上アーム2e、第二上アーム2eに第5軸(J5)を介して連結されている手首2f、手首2fに第6軸(J6)を介して連結されているフランジ2gを備えている。このフランジ2gには、作業用のハンドが取り付けられる。本実施形態では、フランジ2gの外周面にジャケット1の端部が固定されている。ただし、ジャケット1を固定するアタッチメントをフランジ2gに取り付ける構成とすることもできる。
【0016】
このようなロボット2の各関節部は、互いに連結されている2つのアーム間の角度が変化する曲げ動作が行われる曲げ関節部(J2、J3、J5)と、互いに連結されている2つのアームが同軸で相対的に回転する捻り動作が行われる捻り関節部(J1、J4、J6)とが存在している。なお、曲げ関節部(J2、J3、J5)と捻り関節部(J1、J4、J6)の詳細については後述する。
【0017】
さて、ジャケット1は、織物、編み物、フェルトあるいは不織布等の布を基材とし、耐水性や耐薬品性を有するとともにある程度の強度を有する素材で形成されている。そして、ジャケット1は、ロボット2の手先側からベース2a側までの全体を覆う概ね筒状に形成されているとともに、同一素材で形成されている曲げ関節部(J2、J3、J5)に対応する部位に曲げ追従部1a、捻り関節部(J1、J4、J6)に対応する部位に捻り動作に追従可能な捻り追従部1b、および、曲げ追従部1aと捻り追従部1b以外の部位においてロボット2を覆う筒状部1cを有している。
【0018】
曲げ追従部1aは、図2に示すように、全体として中空の筒状に形成されているとともに、アームに沿った方向つまりはロボット2の全長方向を軸方向(J0)とすると、周方向に沿って山折りおよび谷折りされた折り目が軸方向に複数設けられている。以下、この曲げ追従部1aのように折り目が軸方向に対して横向きになっている構造を、横ジャバラ構造と称する。
【0019】
このとき、曲げ追従部1aの内径(R1)は、対応する曲げ関節部(J2、J3、J5)におけるロボット2のアームの外形に基づいて、そのアームを挿入可能な大きさに設定されている。また、折り目の先端となる外形(R2)および軸方向の長さ(H1)は、対応する曲げ関節部(J2、J3、J5)に応じて適宜設定されている。
【0020】
また、曲げ追従部1aは、いわゆるジャバラ構造となっており、軸方向に対して傾くようなアームの回転に対して、素材の伸縮性によらず、構造的に追従可能となっている。また、曲げ追従部1aには、軸方向の両端部に、捻り追従部1bや筒状部1cと連結するための縫い代が所定の幅(W)でそれぞれ形成されている。なお、本実施形態では縫い代を同じ幅(W)に設定しているが、異なる幅に設定することもできる。
【0021】
捻り追従部1bは、図3に示すように、全体として中空の筒状であって中央側が軸方向の両端部に対して相対的に径大となっているとともに、軸方向に沿って、実線で示す山折りの折り目と、破線にて示す谷折りの折り目とが、周方向に複数隣り合って形成されている。以下、この捻り追従部1bのように折り目が軸方向に沿った縦向きになっている構造を、縦ジャバラ構造と称する。
【0022】
この捻り追従部1bの内径(R3)は、対応する捻り関節部(J1、J4、J6)におけるロボット2のアームの外形に基づいて、そのアームを挿入可能な大きさに設定されている。また、軸方向の中央の外径(R4)および傾斜面の長さ(L1)は、後述する捻り量に応じて設定されている。また、曲げ追従部1aの軸方向の長さ(H2)は、対応する捻り関節部(J1、J4、J6)に応じて適宜設定されている。
【0023】
この捻り追従部1bは、詳細は後述するが、アームを捻る回転に対して、素材の伸縮性によらず、構造的に追従可能となっている。また、捻り追従部1bの軸方向の両端部には、曲げ追従部1aや筒状部1cに接続するための縫い代が所定の幅(W)で形成されている。なお、本実施形態では縫い代を同じ幅(W)に設定しているが、異なる幅に設定することもできるし、曲げ追従部1aの縫い代と異なる幅に設定することもできる。
【0024】
筒状部1cは、図4に示すように、概ね円筒状に形成されており、ロボット2の全長のうち、曲げ追従部1aと捻り追従部1b以外の部位を覆っている。この筒状部1cは、基本的には曲げ追従部1aと捻り追従部1bとの間を接続するように用いられるが、曲げ追従部1aの位置と捻り追従部1bの位置と近い場合には筒状部1cを介さずに曲げ追従部1aと捻り追従部1bとを直接接続することもできる。
【0025】
また、筒状部1cは、アームの形状等によっては四角筒状や楕円筒状に形成することもできる。これら曲げ追従部1a、捻り追従部1bおよび筒状部1cは、互いに縫い付けられて一体に連結され、ジャケット1を形成する。
【0026】
次に、上記したジャケット1の作用について説明する。
前述のように、ジャケット1は、部からの異物によってロボットが損傷することを防止したり、ロボット2の内部からオイル等の異物が外部に飛散したりすることを防止したりすること等を目的として装着されている。この場合、ジャケット1を分離構とすると、互いに接続する部分にどうしても隙間ができてしまい、異物の侵入や飛散を抑制する効果が低減してしまう。そのため、ジャケット1は、分離構造になっていないことが望ましい。なお、分離構造になっていないとは、装着時には分離しないという意味であり、個別の部材を組み合わせて製造することを否定するものでは無い。
【0027】
その一方で、前述のように、ジャケット1にはロボット2の姿勢の変化を妨げないことが求められている。この場合、例えばゴムのような伸縮性が比較的高い部材を用いることも考えられるが、強度や耐薬品性を備えることから比較的強靱に形成されている素材に、ゴム等の他の素材を連結することは、製造が困難になるという問題がある。
【0028】
また、ロボット2の姿勢の変化を妨げないようにするためにジャケット1に素材を撓ませた部位を設けると、ジャケット1の外形が大きくなってロボット2の動作範囲が制限されたり、姿勢が変化した際に関節部に噛み込まれたりするおそれがある。
そこで、ジャケット1は、以下のようにして、外形が大きくなることを抑制しつつ、曲げ動作および捻り動作に追従することができる用にしている。
【0029】
まず、曲げ追従部1aについて説明する。ロボット2の曲げ関節部(J2、J3、J5)では、軸方向に対してアームが傾く態様で姿勢が変化する。そのため、アーム間の角度が相対的に小さくなる関節部の内側と、アーム間の角度が相対的に大きくなる関節部の外側とでは、ロボット2を覆うために必要となるジャケット1の軸方向への長さが異なることになる。
【0030】
そして、曲げ追従部1aは、横ジャバラ構造で形成されていることから、一般的なジャバラ構造のように、関節部の内側と外側との軸方向への長さの違いに追従することができる。これにより、曲げ関節部(J2、J3、J5)において、ロボット2を適切に覆った状態を維持することができる。
【0031】
次に、捻り追従部1bについて、説明する。図5に動作モデルとして示すように、第4軸(J4)を介して連結されている第一上アーム2d上に点Paを設定し、点Paの軸方向に沿った第二上アーム2e上に点Pbを設定する。ただし、点Paおよび点Pbは、捻り動作が行われても軸方向には移動しないものとする。これは、軸方向には移動しない場合が、捻り動作が行われた後において点Paと点Pbとの距離が最も長くなるためである。
【0032】
さて、図5に「捻り前」として示すように、捻り動作が行われる前の時点では点Paと点Pbは軸方向における見かけ上の距離(La)だけ離間しているとする。この状態から、「捻り後」として示すように第二上アーム2eが紙面奥側に90°捻り動作されたとする。この場合、点Paおよび点Pbは軸方向には移動していないことから、軸方向における見かけ上の距離(La)は変化しないものの、アームの表面に沿った実際の点Paと点Pbとの間の距離(Lb)はLaよりも長くなる。
【0033】
このとき、捻り動作後において点Paと点Pbが軸方向および周方向に移動しなければ、ジャケット1がロボット2の姿勢の変化を妨げることはないと考えられる。換言すると、捻り前の段階において、ジャケット1の表面に沿った点Paと点Pbとの間の距離が捻り動作後の距離(Lb)以上確保されていれば、捻り動作によってジャケット1が引っ張られたりすることを防止できると考えられる。
【0034】
そこで、本実施形態では、捻り追従部1bを、軸方向における中央側が両端部に対して相対的に径大となるように形成している。これにより、図6に示すように、点Paおよび点Pbをジャケット1上に投影した点Pa1および点Pb1の間のジャケット表面に沿った距離(Lc)は、点Pa1および点Pb1の軸方向の見かけ上の長さ(La)よりも長くなる。これにより、捻り動作に対処するための撓みあるいは余裕が形成される。
【0035】
この高さ(D)は、所望する回転角度で捻り動作を行ったときの2点間のジャケット1の表面に沿った距離を求めることにより、幾何学的に求めることができる。例えば図5の場合であれば、簡易的にはジャケット1を円筒状でモデル化し、点Paから点Pbまで円筒の表面に沿った距離を求めれば、その値から図6を参照して幾何学的に求めることができる。
【0036】
ただし、捻り関節部(J1、J4、J6)は、例えば第1軸(J1)であれば±180°、第4軸(J4)であれば±270°、第6軸(J6)であれば±360°のように、回転角度が比較的大きいことがある。その場合、必要となる撓みを確保しようとすると、傾斜面の長さ(L1)を長くする必要があり、ジャケット1を大きく撓ませる必要がある。その結果、捻り追従部1bの外形つまりは図6に示す三角形部分の高さ(D)が大きくなり、ロボット2の動作範囲を制限したり関節部に噛み込まれたりするおそれがある。
【0037】
そこで、ジャケット1は、捻り追従部1bを、軸方向に沿った折り目が周方向に複数設けられている縦ジャバラ構造に形成している。さらに、ジャケット1は、縦ジャバラ構造で円錐台状に形成した2つの中間部材を径大側同士で貼り合わせることで、軸方向における中央側が両端部に対して相対的に径大に形成している。以下、捻り追従部1bの製造過程とともにこれらの作用を説明する。
【0038】
捻り追従部1aの製造過程では、まず、図7に示すように内径がRaで外径がRbとなる円環の素材を中心点(O)に対して所定の中心角(θ)の範囲で切り取ったシート部材10が準備される。以下、このシート部材10の形状を、便宜的に中空扇形と称する。このとき、シート部材10の幅(W10)は、捻り追従部1aの傾斜面の長さ(L1)に両端の縫い代の幅(W)を加えた値に設定されている。
【0039】
中心角(θ)の大きさは、シート部材10の外周側の長さ(L10)が、内径(R4。図3参照)の円周長に等しい長さ(L11)に折り目を形成するための余裕分の長さ(L12)を加えた値に設定される。具体的には、準備されたシート部材10は、図8にプリーツ加工として示すように、中心点(O)を通る折り目がプリーツ加工によって周方向に所定角度ごとに形成される。これにより、シート部材10は、扇子の扇面に貼り付けられる地紙のように、見かけ上の外周側の長さがL11で折り目が付いた中空扇形となる。
【0040】
さて、上記した余裕分の長さ(L12)は、プリーツ加工による折り目の数に応じて定まることになる。つまり、折り目の数が多ければ余裕分の長さ(L12)は相対的に長くなり、折り目の数が少なければ余裕分の長さ(L12)は相対的に短くなる。このとき、折り目の数は素材の強度や厚みによって適宜設定されることになるが、細かい折り目を付けることが難しい素材の場合には必然的に折り目の数が少なくなる。なお、余剰分の長さ(L12)には、縫い代の幅(W)も含まれている。
【0041】
続いて、折り目が形成されたシート部材10は、縫製加工として示すように、中空扇形の両端部を縫い代で縫い合わせることにより、概ね中空の円錐台状に成形される。このプリーツ加工が施されて円錐台状に成形されたシート部材10が、中間部材に相当する。そして、この中間部材を2つ用い、互いを径大側同士で貼り合わせることにより、図9に示すように捻り追従部1bの基本形が形成される。なお、基本形と称しているのはこの状態では軸方向両端の縫い代(図3参照)が形成されていないためであるが、この縫い代は、折り目をつぶすことにより形成されるため、別の部材は必要としない。
【0042】
つまり、本実施形態の捻り追従部1bは、2つの中間部材により、捻り動作に追従する構成となっている。これにより、捻り動作に追従するために必要な距離を稼ぐための高さ(D。図6参照)は、1つの部材により構成する場合と比べて小さくすることができる。これにより、捻り追従部1bの高さ(D)、つまりは、捻り追従部1bの外径(R4)をより小さくすることができる。
【0043】
そして、プリーツ加工を施して成形された捻り追従部1bは、径方向内側に絞られたような状態となり、最も大きな中央の外径(R3=L11/π)が、図7に示したプリーツ加工を施していないシート部材10を円錐台状に成形した場合の外径(R5=L10/π)と比べて小さくなる。より平易にいえば、捻り追従部1bは、傘を広げたときと閉じたときのように、外縁の実際の長さが同じであってもその直径を小さくなる。
このように、ジャケット1は、外形が大型化することを抑制することで、ロボットの動作範囲を制限したり、姿勢が変化した際に関節部に噛み込まれたりするおそれを低減している。
【0044】
以上説明したジャケット1によれば、次のような効果を得ることができる。
ジャケット1は、複数の関節部を有するロボット2に装着されるものであって、ロボット2の関節部のうち互いに連結されている2つのアームが同軸で相対的に回転する捻り関節部(J1、J4、J6)に対応して設けられ、当該捻り関節部(J1、J4、J6)におけるアームの回転に追従するように形状が変化する捻り追従部1bを有している。
【0045】
これにより、捻り動作については、中央側が径大に形成されている捻り追従部1bが内側に絞られるように変形することにより、ジャケット1の素材が伸縮性を有していなくても、捻り追従部の構造によって、周方向への捻りによる位置のずれ分が吸収つまりは補填される。
【0046】
これにより、ロボット2の姿勢の変化が許容される。そして、捻り追従部1bは、縦ジャバラ構造になっていることから、見かけ上の外周が、縦ジャバラ構造を採用しない場合よりも小さくなっている。このため、ロボットの動作範囲を制限したり、姿勢が変化した際に関節部に噛み込まれたりするおそれが低減される。したがって、ジャケット1は、外形が大きくなることを抑制しつつ捻り動作に追従することができる。
【0047】
また、実施形態のジャケット1は、ロボット2の関節部のうち互いに連結されている2つのアーム間の角度が変化する態様で回転する曲げ動作が行われる曲げ関節部(J2、J3、J5)に対応して設けられ、当該曲げ関節部(J2、J3、J5)におけるアーム間の角度の変化に追従するように形状が変化する曲げ追従部1aを有している。この曲げ追従部1aは、ロボット2の全長方向を軸方向(J0)とすると、全体として中空の筒状であって、周方向に沿った折り目が軸方向に複数設けられている横ジャバラ構造に形成されている。これにより、曲げ動作についても、曲げ追従部1aによってアームの内側と外側との距離の差分つまりはジャケット1に必要な長さのずれが吸収されることにより、追従することができる。
【0048】
また、捻り追従部1bは、縦ジャバラ構造で円錐台状に形成した2つの中間部材を、互いの径大側同士で貼り合わせることで形成されている。捻り動作をする捻り関節部(J1、J4、J6)は、その回転角度が例えば±180°といった比較的広い範囲に設定されている。そして、回転角度が大きくなるほど捻り追従部1bに必要とされる高さ(D。図6参照)が大きくなり、捻り追従部1bの外径(R4)が大きくなる。そこで、2つの中間部材により捻り追従部1bを形成することにより、つまりは、捻り動作に追従するために必要な距離を2つの部材で分担して確保する構成とすることにより、捻り追従部1bの高さ(D)を小さくしている。これにより、捻り追従部1bの外径(R4)をより小さくすることができる。
【0049】
また、ジャケット1は、ロボット2の全体を覆うとともに、曲げ追従部1a、捻り追従部1b、および曲げ追従部1aと捻り追従部1b以外の部位を覆う筒状部1cを、同じ材料で形成している。これにより、例えばゴム等の異なる材料をつなぎ合わせたり、中央側を径大にするためにいわゆる立体裁断を行ったりする構成と比べて、製造を大幅に簡素化することができる。また、ジャケット1の製造コストを低減することもできる。
【0050】
実施形態ではロボット2の各関節部にそれぞれ曲げ追従部1aや捻り追従部1bを設けた例を示したが、例えば第4軸(J4)では捻り動作をせずに作業するロボット2であれば、第4軸(J4)に対応する部位には捻り追従部1bを設けないといった構成とすることができる。
【0051】
実施形態では2つの中間部材を貼り合わせる構成を例示したが、捻り追従部1aは、径大な部分を軸方向に複数設けた構成とすることができる。具体的には、中間部材を軸方向に3つ以上つなげた構成とすることができる。捻り動作に追従するために必要な長さをさらに多くの中間部材で分担でき、追従部1aの外径をより小さくすることができる。
【0052】
実施形態では側面から視た状態において軸方向に沿った折り目を形成する例を示したが、軸方向に対して若干傾けるように折り目を形成することもできる。また、傘をたたんだときのように例えば山折りの折り目を周方向に寝かせることにより、一層の小型化を図ることができる。また、例えば谷折りの折り目に骨組みを設け、山折りの部分には骨組みを設けない構成とすることができる。これにより、縦ジャバラ構造が崩れることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0053】
図面中、1はジャケット、1aは曲げ追従部、1bは捻り追従部、1cは筒状部(曲げ追従部や捻り追従部以外の部位)、2はロボット、2aはベース(アーム)、2bはショルダ(アーム)、2cは下アーム(アーム)、2dは第一上アーム(アーム)、2eは第二上アーム(アーム)、2fは手首(アーム)、2gはフランジ(アーム)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9