【解決手段】コイル部品100は、磁性コア10と、磁性コア10の周囲に巻回されているコイルと、基材と基材に含浸している熱硬化性樹脂とを含んで構成されている固定テープ90と、を備え、熱硬化性樹脂が熱硬化しており、固定テープ90によって、コイル部品100を構成する2つ以上の部材どうしが固定されている。
前記固定テープは、前記第1基部において前記第2コア部材側とは反対側を向く面と、前記第2基部において前記第1コア部材側とは反対側を向く面と、にそれぞれ貼り付けられている請求項4に記載のコイル部品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1から
図7を用いて第1実施形態を説明する。
なお、
図3においては、後述する粘着テープ95の図示を省略している。
図6においては、磁性コア10(第1コア部材11a及び第2コア部材11b)、固定テープ90及び粘着テープ95の図示を省略している。
図7においては、便宜上、粘着テープ95の熱硬化性樹脂92にハッチングを付している。
【0011】
図1から
図6のいずれかに示すように、本実施形態に係るコイル部品100は、磁性コア10(
図2等)と、磁性コア10の周囲に巻回されているコイル70(
図2等)と、を備えている。
コイル部品100は、更に、基材91(
図7)と、基材91に含浸している熱硬化性樹脂92(
図7)と、を含んで構成されている固定テープ90(
図7、
図1、
図2、
図4、
図5(a)、
図5(b))を更に備えている。熱硬化性樹脂92が熱硬化しており、固定テープ90によって、コイル部品100を構成する2つ以上の部材どうしが固定されている。
【0012】
本実施形態によれば、基材91と基材91に含浸している熱硬化性樹脂92とを含んで構成されている固定テープ90によって、コイル部品100を構成する2つ以上の部材どうしが固定されている。つまり、コイル部品100の製造に際しては、固定テープ90を用いることによって、容易に、コイル部品100を構成する2つ以上の部材どうしを固定することができる。固定テープ90は、所望のサイズ(典型的には長さ)に裁断して用いることによって、部材の所望の部分に選択的に貼り付けることができる。よって、本実施形態によれば、部材を固定する部位やその範囲を容易に設定することができるため、コイル部品100を構成する部材どうしを接着剤により固定する場合と比べて、コイル部品100の製造が容易になる。
このように、本実施形態によれば、製造容易性に優れた構造のコイル部品100を提供することができる。
【0013】
以下の説明では、上下方向をZ方向と称する。下(下方)は、後述する端子部60(
図1等)が配置されている側、すなわちコイル部品100の実装面側である。ただし、コイル部品100の製造時や使用時における各部の位置関係(特に上下の位置関係)は、本明細書で説明する位置関係に限らない。
コイル70の軸方向は、Z方向に対して直交する方向に延在している。コイル70の軸方向をX方向と称し、X方向における一方を左(左方)、他方を右(右方)と称する。
また、X方向とZ方向との双方に対して直交する方向をY方向と称し、Y方向における一方を前(前方)、他方を後(後方)と称する。
これらの方向については、各図に示している。
更に、X方向において、コイル70の軸方向における中心位置がある側を内方(内方側)、内方とは反対側を外方(外方側)と称する。同様に、Y方向において、コイル70の前後方向における中心位置がある側を内方(内方側)、内方とは反対側を外方(外方側)と称する。
また、Z方向に対して直交する向き(方向)を水平(水平方向)と称し、Z方向に沿う向き(方向)を鉛直(鉛直方向)と称する。
【0014】
本実施形態の場合、磁性コア10は、左右一対のコア部材、すなわち、左側の第1コア部材11aと右側の第2コア部材11bとを備えて構成されている。
第1コア部材11a及び第2コア部材11bの各々は、例えば、いわゆるEコアであり、平面形状がE字状に形成されている。
すなわち、第1コア部材11aは、前後方向に延在している基部12と、基部12の両端部からそれぞれ右方に突出している一対の外脚部13と、基部12の中間部から右方に突出している芯部15と、を備えている。なお、基部12からの外脚部13及び芯部15の突出方向は、コイル70の軸方向と同方向となっている。
基部12は、例えば、前後に長尺な平板状に形成されており、当該基部12の板面が左右方向を向いている。一例として、基部12の長手方向における中央部においては、当該基部12の上面に凹部16が形成されている。
外脚部13は、板面が前後方向を向く平板状に形成されている。
基部12と各外脚部13とは、例えば、同一の上下寸法に形成されている。第1コア部材11aにおいて、基部12と外脚部13とを含む部分の下面は、平坦に形成されており、水平に配置されている(
図5(a)、
図5(b)参照)。第1コア部材11aにおいて、基部12と外脚部13とを含む部分の上面は、凹部16を除いて、略平坦に形成されており、略水平に配置されている。
芯部15は、例えば、板面が上下方向を向く平板状に形成されている。芯部15の下面15b(
図3、
図5(b))は、基部12の下面12b(
図3、(
図5(b)))及び外脚部13の下面と面一に配置されている。すなわち、第1コア部材11aにおける全体の下面は、平坦に形成されており、且つ、水平に配置されている。
芯部15の上面は、例えば、基部12及び外脚部13の上面よりも下方に配置されている。すなわち、例えば、上下方向における芯部15の寸法(厚み寸法)は、上下方向における基部12及び外脚部13の寸法よりも小さい。
【0015】
第2コア部材11bは、例えば、第1コア部材11aと同一の形状に形成されており、第1コア部材11aとは左右対称に配置されている。
【0016】
第1コア部材11a及び第2コア部材11bの各々の各外脚部13の突出方向における先端面13cは、平坦に形成されており、且つコイル70の軸方向に対して直交する鉛直面となっている。
同様に、第1コア部材11a及び第2コア部材11bの各々の芯部15の突出方向における先端面15cは、平坦に形成されており、且つコイル70の軸方向に対して直交する鉛直面となっている。
基部12の内側面12c並びに外側面12dも、平坦に形成されており、且つコイル70の軸方向に対して直交する鉛直面となっている。第1コア部材11aの内側面12cと第2コア部材11bの内側面12cとは互いに対向しており、内側面12cの第2コア部材11bの外側面12dとは互いに反対方向を向いている。
【0017】
図2等に示すように、コイル部品100は、ボビン部40と端子保持部50とを有する本体部材30と、端子保持部50に保持されている複数の端子部60と、を更に備えている。コイル70を構成する巻線71は、ボビン部40に巻回されている。
【0018】
ボビン部40は、例えば、筒状の筒部41と、筒部41の軸方向における両端部にそれぞれ設けられている一対の鍔部46と、筒部41の軸方向における中間部に設けられている仕切板部48と、を備えて構成されている。
筒部41には、当該筒部41を軸方向に貫通する貫通孔49が形成されている。筒部41の軸方向(貫通孔49の軸方向)は、左右方向となっており、コイル70の軸方向と一致している。
例えば、筒部41は、角筒状に形成されている。すなわち、筒部41は、例えば、
図6に示すように、それぞれ水平に配置されている上壁部42及び下壁部43と、それぞれ鉛直に配置されている前壁部44及び後壁部45と、を備えて構成されている。
図6に示すように、例えば、貫通孔49の内部空間は角柱形状となっている。貫通孔49の内周面の底面(内周底面49a)及び天面はそれぞれ水平面となっており、貫通孔49の内周面における前後の面はそれぞれ鉛直面となっている。
図2、
図4、
図5(a)及び
図6に示すように、各鍔部46は、例えば、筒部41の軸方向に対して直交する平板状に形成されている。各鍔部46は、例えば、筒部41の両端部からそれぞれ筒部41の外周囲に向けて張り出している。
図2に示すように、ボビン部40は、例えば、前後一対の仕切板部48を有している。これら仕切板部48は、筒部41の軸方向において、互いに同一の位置に配置されている。これら仕切板部48の各々は、例えば、筒部41の軸方向に対して直交する平板状に形成されている。
ボビン部40は、例えば、左右対称に形成されている。
【0019】
本体部材30は、例えば、左右一対の端子保持部50を備えている。各端子保持部50は、例えば、前後に長尺で上下方向の厚みが薄い扁平形状の角柱状に形成されている。
左側の端子保持部50は、左側の鍔部46の下部から左方及び前後方向に張り出している。同様に、右側の端子保持部50は、右側の鍔部46の下部から右方及び前後方向に張り出している。各端子保持部50は互いに同一寸法であってもよいが、本実施形態の場合、右側の端子保持部50は、左側の端子保持部50よりも前後方向に長尺に形成されている。
各端子保持部50の上面51は平坦に形成されており、水平に配置されている。
端子保持部50の上面51とボビン部40との境界部には、段差部47が形成されている。
図2に示すように、段差部47は、前後方向に延在している。段差部47は、鍔部46において上面51よりも上方に起立している部分の下端と上面51との境界と、貫通孔49の内周底面49aと上面51との境界と、に亘って連続的に形成されている。段差部47が形成されていることにより、内周底面49aは、上面51よりも僅かに上段に配置されている。より詳細には、段差部47は、
図5(b)に示すように、傾斜面となっている。段差部47は、貫通孔49の軸方向における外方に向けて下り傾斜している。段差部47の傾斜角度は、例えば、45度となっている。段差部47の高さ、すなわち、上面51と内周底面49aとの高低差は、フランジ部86の厚みと固定テープ90の厚みとの合計の厚みに等しいことが好ましい。
左側の端子保持部50は、例えば、前後に並ぶ6つの端子部60を保持しており、右側の端子保持部50は、例えば、前後に並ぶ8つの端子部60を保持している。
【0020】
各端子部60は、例えば、棒状の金属部材を折り曲げ形成することにより構成されている。例えば、コイル部品100を前後方向に視たときの端子部60の形状は、U字形状を横倒しにした形状となっている。
各端子部60の両端部は、端子保持部50から突出している。各端子部60の中間部は、端子保持部50に埋設されている。
各端子部60における下側の端部は、コイル部品100の実装時に外部接続される外部端子61であり、各端子部60における上側の端部は、複数の巻線71のうち対応する巻線71の端部が絡げられる絡げ端子62である。
左側の端子保持部50に保持されている各端子部60の絡げ端子62は、当該端子保持部50から左方に向けて水平に突出している。左側の端子保持部50に保持されている各端子部60の外部端子61は、当該端子保持部50の底面52(
図3、
図5(a)、
図6)から下方に突出し、更に、左方に向けて水平に延出している。
同様に、右側の端子保持部50に保持されている各端子部60の絡げ端子62は、当該端子保持部50から右方に向けて水平に突出している。右側の端子保持部50に保持されている各端子部60の外部端子61は、当該端子保持部50の底面52から下方に突出し、更に、右方に向けて水平に延出している。
【0021】
コイル70は、複数本の巻線71を含んで構成されている。コイル70の各巻線71は、ボビン部40の筒部41の周囲に巻回されている。筒部41の周囲に巻回された巻線71によって、巻回部72(
図2)が構成されている。各巻線71の両端部は、それぞれ別個の端子部60に電気的に接続されている。
なお、各図において、絡げ端子62に絡げられている巻線71の端部や、巻回部72から端子部60に向けて延びている部分については、図示を省略している。
【0022】
図2に示すように、コイル部品100は、絶縁材料により構成されているカバー部材80を更に備えている。
カバー部材80は、例えば、ボビン部40の周囲を囲む周壁部82と、周壁部82の上端を閉塞している天面部81と、を有する。
周壁部82は、例えば、平面視矩形状に形成されており、当該周壁部82の内部空間は直方体形状に形成されている。
天面部81は、平板状に形成されており、水平に配置されている。例えば、天面部81は、平面視において周壁部82の周囲に張り出している部分を有する。
なお、天面部81において、平面視において周壁部82の内側に位置する部分の下面には、上方に向けて窪んだ凹部85が形成されている(
図5(a)参照)。凹部85には、ボビン部40の鍔部46及び仕切板部48の上端部が入り込んでいる。
周壁部82の下端は下方に開放している。すなわち、周壁部82の下端には開口部80aが形成されている。周壁部82は、ボビン部40の前方を囲む前壁部82aと、ボビン部40の後方を囲む後壁部82b(
図3、
図4)と、ボビン部40の左方及び右方をそれぞれ囲む左右一対の側壁部82c(
図3、
図4、
図5(a)、
図5(b))と、を有する。
前壁部82a、後壁部82b及び各側壁部82cは、それぞれ平板状に形成されており、鉛直に配置されている。
前壁部82a及び後壁部82bの各々の板面(壁面)は、前後方向を向いている。
各側壁部82cの各々の板面(壁面)は、左右方向を向いている。
【0023】
カバー部材80は、更に、周壁部82の下縁から周囲に張り出しているフランジ部86を有する。フランジ部86は、平板状に形成されており、その板面は上下方向を向いている。フランジ部86の上面86a及び下面86b(
図3、
図5(a)、
図5(b)、
図6)は、それぞれ平坦に形成された水平面となっている。
各側壁部82cには、側壁部82cを左右に貫通する貫通孔87(第2貫通孔)が形成されている。貫通孔87は、ボビン部40の貫通孔49の軸方向に対して直交する形状と同様の矩形状に形成されている。
貫通孔87は、ボビン部40の貫通孔49と同等の大きさであるか、又は、貫通孔49よりも若干大きく形成されている。例えば、
図3、
図4及び
図6に示すように、貫通孔87は、貫通孔49よりも若干大きく形成されている。
貫通孔87の下端は、側壁部82cの下端に配置されている。このため、貫通孔87は、
図2に示すように、側壁部82cとフランジ部86との間に形成されている。
なお、本実施形態の場合、周壁部82には、各貫通孔87の上方位置にも側壁部82cを左右に貫通する貫通孔が形成されている。ただし、カバー部材80は、貫通孔87の上方の貫通孔は有していなくてもよい。
図5(b)に示すように、側壁部82cの下縁(側壁部82cの下縁とフランジ部86との境界)には、本体部材30の段差部47と対向する面取部84が形成されている。面取部84の傾斜角度は、例えば、45度となっている。
【0024】
カバー部材80は、本体部材30に被せられており、周壁部82がボビン部40の周囲(前後左右)及び上方を覆っている。すなわち、周壁部82はボビン部40を収容している。ボビン部40の貫通孔49とカバー部材80の周壁部82の各貫通孔87とが同軸上に配置されている(
図6)。
カバー部材80のフランジ部86の下面86bは、各端子保持部50の上面51に沿って配置されている(
図3、
図5(a)、
図5(b)、
図6)。
更に、
図5(b)に示すように、カバー部材80の面取部84と本体部材30の段差部47とが互いに近接して対向している。
【0025】
第1コア部材11aの芯部15は、カバー部材80の左側の貫通孔87を介して、ボビン部40の貫通孔49に挿入されている(
図4参照)。同様に、第2コア部材11bの芯部15は、カバー部材80の右側の貫通孔87を介して、ボビン部40の貫通孔49に挿入されている。
第1コア部材11aの芯部15の先端面15cと第2コア部材11bの芯部15の先端面15cとは、貫通孔49の内部において互いに突き合わされているか又は互いに近接している。すなわち、第1コア部材11aの芯部15の先端面15cと第2コア部材11bの芯部15の先端面15cとは、互いに面接触していてもよいし、互いに近接した状態で対向していてもよい。
第1コア部材11aと第2コア部材11bとによって、閉磁路が構成されている。
なお、ボビン部40にはコイル70が巻回されており、ボビン部40に芯部15が挿通されているため、コイル70は、磁性コア10の周囲に巻回されていることになる。
【0026】
第1コア部材11aの前後の外脚部13は、周壁部82の外側に配置されており、それぞれ前壁部82a及び後壁部82bの外面に沿って配置されている。第1コア部材11aの基部12は、周壁部82の外側に配置されており、当該基部12の内側面12cは、左側の側壁部82cの外面に沿って配置されている。
同様に、第2コア部材11bの前後の外脚部13は、周壁部82の外側に配置されており、それぞれ前壁部82a及び後壁部82bの外面に沿って配置されている。第2コア部材11bの基部12は、周壁部82の外側に配置されており、当該基部12の内側面12cは、右側の側壁部82cの外面に沿って配置されている。
第1コア部材11aの前側の外脚部13の先端面13cと、第2コア部材11bの前側の外脚部13の先端面13cとは、互いに突き合わされているか又は互いに近接している。すなわち、第1コア部材11aの前側の外脚部13の先端面13cと、第2コア部材11bの前側の外脚部13の先端面13cとは、互いに面接触していてもよいし、互いに近接した状態で対向していてもよい。同様に、第1コア部材11aの後側の外脚部13の先端面13cと、第2コア部材11bの後側の外脚部13の先端面13cとは、互いに突き合わされているか又は互いに近接している。
第1コア部材11a及び第2コア部材11bの基部12及び外脚部13は、フランジ部86の上側に配置されており、当該フランジ部86の上面86aに沿って配置されている(
図3、
図5(a)、
図5(b)参照)。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、芯部15の下面15bは、貫通孔49の内周底面49aに沿って配置されている。
図5(a)に示すように、第1コア部材11aと第2コア部材11bの下面15bどうしは、互いに同一平面上に配置されている。
基部12の下面12bは、フランジ部86の上面86aに沿って配置されている。
【0027】
上述のように、本実施形態に係るコイル部品100は、固定テープ90を備えており、固定テープ90によって、コイル部品100を構成する2つ以上の部材どうしが固定されている。
図7に示すように、固定テープ90は、基材91と、基材91に含浸している熱硬化性樹脂92と、を含んで構成されている。
コイル部品100が組み立てられた状態では、固定テープ90の熱硬化性樹脂92は熱硬化している。
本実施形態の場合、固定テープ90は、一方向に長尺な帯状に形成されている。
基材91は、例えば、固定テープ90の長手方向に延在する経糸(たていと)91aと、経糸91aに対して交差する方向(例えば経糸91aに対して直交する方向)に延在している緯糸(よこいと)91bと、を有する織物である。一例として、
図7に示すように、基材91は、経糸91aと緯糸91bとを平織りすることにより構成されている。ただし、基材91の構造は、平織に限らない。
経糸91a及び緯糸91bの各々は、例えば、無機繊維の束である。つまり、基材91は、例えば、無機繊維クロスである。
一例として、経糸91a及び緯糸91bはガラス繊維の束により構成されている。つまり、基材91は、例えば、ガラスクロスである。
熱硬化性樹脂92は、例えば、エポキシ系の樹脂であることが挙げられる。
固定テープ90は、熱硬化前の状態では可撓性のものである。
固定テープ90としては、一例として、株式会社寺岡製作所製のエポキシ樹脂含浸テープ5100 0.10を用いることができる。
【0028】
本実施形態の場合、コイル部品100は、例えば、固定テープ90を1本のみ有しており、この固定テープ90によって、第1コア部材11aと本体部材30とが相互に固定され、第1コア部材11aと第2コア部材11bとが相互に固定され、第2コア部材11bと本体部材30とが相互に固定されている。
また、第1コア部材11aと第2コア部材11bとが固定テープ90によって固定されていることによって、間接的に、固定テープ90は、カバー部材80を、第1コア部材11a、第2コア部材11b及び本体部材30に対して固定している。つまり、カバー部材80からの第1コア部材11a及び第2コア部材11bの脱落と、本体部材30からのカバー部材80の脱落と、が抑制されている。
【0029】
本実施形態の場合、固定テープ90は、貫通孔49に挿通されており、固定テープ90の両端部がそれぞれ貫通孔49の外部に配置されている。
図5(a)に示すように、固定テープ90において、貫通孔49の内部に配置されている部分の一部分は、第1コア部材11aの芯部15の下面15bと内周底面49aとの間に介在しており、当該下面15bと内周底面49aとを相互に面接合している。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、固定テープ90において、貫通孔49の内部に配置されている部分の残りの部分は、第2コア部材11bの芯部15の下面15bと内周底面49aとの間に介在しており、当該下面15bと内周底面49aとを相互に面接合している。
よって、固定テープ90は、第1コア部材11aの芯部15の下面15bと、第2コア部材11bの芯部15の下面15bと、に跨がって貼り付けられている。
図5(b)に示すように、固定テープ90において、貫通孔49よりも右側に位置する部分の一部分は、右側の端子保持部50の上面51とフランジ部86の下面86bとの間に介在しており、当該上面51と下面86bとを相互に面接合している。固定テープ90において、貫通孔49よりも右側に位置する部分の他の一部分は、第2コア部材11bの基部12の外側面12dに貼り付けられている。固定テープ90において、第2コア部材11bの外側面12dに貼り付けられている部分と、右側の上面51と下面86bとを面接合している部分と、の間の部分は、フランジ部86の外周の縁と、フランジ部86の上面86aに貼り付けられており、第2コア部材11bの外側面12dの下端位置に至っている。
同様に、固定テープ90において、貫通孔49よりも左側に位置する部分の一部分は、左側の端子保持部50の上面51とフランジ部86の下面86bとの間に介在しており、当該上面51と下面86bとを相互に面接合している。固定テープ90において、貫通孔49よりも左側に位置する部分の他の一部分は、第1コア部材11aの基部12の外側面12dに貼り付けられている。固定テープ90において、第1コア部材11aの外側面12dに貼り付けられている部分と、左側の上面51と下面86bとを面接合している部分と、の間の部分は、フランジ部86の外周の縁と、フランジ部86の上面86aに貼り付けられており、第1コア部材11aの外側面12dの下端位置に至っている(
図5(a)参照)。
固定テープ90は、その両端間に亘って、弛みなく配置されていることが好ましい。
【0030】
ここで、固定テープ90において、第1コア部材11aの外側面12dに貼り付けられている部分を第1部分90aと称し、第2コア部材11bの外側面12dに貼り付けられている部分を第2部分90bと称し、第1部分90aと第2部分90bとを相互に連結している部分を第3部分90cと称する。
第3部分90cは、例えば、貫通孔49の軸方向における一端から他端に亘り、内周底面49aに貼り付けられているとともに、当該内周底面49aと各芯部15の下面15bとを面接合している。
なお、第3部分90cの一部分は、段差部47と面取部84とを相互に接合していてもよい。
【0031】
コイル部品100は、更に、磁性コア10の周囲に巻き付けられている粘着テープ95(
図1、
図4、
図5(a)、
図5(b))を備えている。
より詳細には、
図4に示すように、粘着テープ95は、例えば、第2コア部材11bの基部12の外側面12d、第2コア部材11bの前側の外脚部13の外面、第1コア部材11aの前側の外脚部13の外面、第1コア部材11aの基部12の外側面12d、第1コア部材11aの後側の外脚部13の外面、第2コア部材11bの後側の外脚部13の外面、及び、再び第2コア部材11bの基部12の外側面12dに沿って、この順に巻き付けられている。より詳細には、粘着テープ95は、磁性コア10の周囲に1周以上巻き付けられており、
図4の例では、粘着テープ95の始端95aから終端95bまで、磁性コア10の周囲に2周半程度巻き付けられている。
粘着テープ95は、固定テープ90の第1部分90a及び第2部分90bよりも外側に巻き付けられている。これにより、粘着テープ95は、第1コア部材11a、第2コア部材11b、第1部分90a及び第2部分90bをまとめて包んでいる。
粘着テープ95は、絶縁性のものである。
粘着テープ95は、例えば、基材96(第2基材)と、基材96の一方の面に形成されている粘着層(不図示)と、を備えて構成されている。
粘着テープ95としては、一例として、株式会社寺岡製作所製のPPSフィルム粘着テープ480♯25を用いることができる。この場合、粘着テープ95は、基材96としてのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム上にシリコーン系粘着層が形成されたものである。
【0032】
第1コア部材11a及び第2コア部材11bの各々は、それらの全体が磁性材料によって一体成形されている。
本体部材30は、例えば、その全体が樹脂等の絶縁材料により一体成形されている。
カバー部材80は、例えば、その全体が樹脂等の絶縁材料によって一体成形されている。
【0033】
このように、固定テープ90は、コイル部品100における2つの部材の対向面どうしの間に介在しており、これら対向面どうしを接合している。
つまり、固定テープ90の第3部分90cにおける一部分は、第1コア部材11aの芯部15の下面15bと、本体部材30の貫通孔49の内周底面49aと、の間に介在しており、当該下面15bと内周底面49aとを相互に面接合している。第3部分90cにおける他の一部分は、第2コア部材11bの芯部15の下面15bと、本体部材30の貫通孔49の内周底面49aと、の間に介在しており、当該下面15bと内周底面49aとを相互に面接合している。第3部分90cにおける更に他の一部分は、左側の端子保持部50の上面51と、フランジ部86の下面86bと、の間に介在しており、当該上面51と下面86bとを相互に面接合している。第3部分90cにおける更に他の一部分は、右側の端子保持部50の上面51と、フランジ部86の下面86bと、の間に介在しており、当該上面51と下面86bとを相互に面接合している。
【0034】
また、コイル部品100は、ボビン部40を備え、コイル70はボビン部40に巻回されており、ボビン部40は、コイル70の軸方向に貫通した貫通孔49を有し、貫通孔49には固定テープ90が挿通されており、磁性コア10は、貫通孔49に挿通されている芯部(例えば、第1コア部材11aの芯部15と第2コア部材11bの芯部15とにより構成される)を有する。そして、芯部が、固定テープ90によって、ボビン部40における貫通孔49の内周面(例えば、貫通孔49)に接合されている。
【0035】
また、磁性コア10は、コイル70の軸方向における一方側に配置されている第1コア部材11aと他方側に配置されている第2コア部材11bとを含んで構成されている。第1コア部材11aは、貫通孔49に一端側から挿入されている第1芯部(第1コア部材11aの芯部15)と、第1芯部の基端に連接されていて貫通孔49の外部に配置されている第1基部(第1コア部材11aの基部12)と、を有する。第2コア部材11bは、貫通孔49に他端側から挿入されている第2芯部(第2コア部材11bの芯部15)と、第2芯部の基端に連接されていて貫通孔49の外部に配置されている第2基部(第2コア部材11bの基部12)と、を有する。第1芯部と第2芯部とにより磁性コア10の芯部が構成されている。第1芯部と第2芯部との先端どうし(第1コア部材11aの先端面15cと第2コア部材11bの先端面15c)が貫通孔49内において相互に突き合わされているか又は相互に近接している。固定テープ90の第3部分90cは、第1芯部と第2芯部とに跨がって貼り付けられており、当該固定テープ90によって、第1芯部と第2芯部とが貫通孔49の内周面(例えば内周底面49a)にそれぞれ接合されている。
固定テープ90は、第1コア部材11aにおいて第2コア部材11b側とは反対側を向く面(第1コア部材11aの基部12の外側面12d)に貼り付けられている第1部分90aと、第2コア部材11bにおいて第1コア部材11a側とは反対側を向く面(第2コア部材11bの基部12の外側面12d)に貼り付けられている第2部分90bと、第1部分90aと第2部分90bとを相互に連結している第3部分90cとを有する。これにより、第1コア部材11aと第2コア部材11bとが互いに離間することが、固定テープ90によって抑制されている。
【0036】
また、固定テープ90は、第1基部(第1コア部材11aの基部12)において第2コア部材11b側とは反対側を向く面(第1コア部材11aの基部12の外側面12d)と、第2基部(第2コア部材11bの基部12)において第1コア部材11a側とは反対側を向く面(第2コア部材11bの基部12の基部12)と、にそれぞれ貼り付けられている。
【0037】
また、コイル部品100は、コイル70が電気的に接続されている端子部60と、端子部60を保持している端子保持部50と、ボビン部40と、を一体に有する本体部材30と、絶縁材料により構成されていてボビン部40を覆っているカバー部材80と、を備えている。
カバー部材80は、上述のように、ボビン部40の周囲を囲む周壁部82と、周壁部82の上端を閉塞している天面部81と、を有する。
周壁部82は、ボビン部40の貫通孔49と同軸に配置されていてそれぞれ周壁部82の内外を貫通している一対の第2貫通孔(貫通孔87)を有する。
磁性コア10の芯部が一対の第2貫通孔に挿通されており、端子保持部50は、コイル70の軸方向において、ボビン部40の少なくとも一方側に配置されている。本実施形態の場合、コイル70の軸方向にいて、ボビン部40の両側にそれぞれ配置されている。
カバー部材80は、周壁部82の下縁に連接されているフランジ部86を有する。
フランジ部86は、端子保持部50の上面51に沿って配置されており、固定テープ90の第3部分90cは、端子保持部50の上面51とフランジ部86の下面86bとを相互に接合している。
【0038】
また、固定テープ90は、貫通孔49の内周底面49aに沿って配置されているとともに、内周底面49aと芯部の下面(第1コア部材11a及び第2コア部材11bの芯部15の下面15b)とを相互に接合している。
上述のように、内周底面49aと端子保持部50の上面51との間には段差(段差部47)が存在している。これにより、
図5(b)に示すように、内周底面49aとフランジ部86の上面86aとが互いに略面一に配置されている。段差部47が形成されていることにより、芯部15の下面15bが内周底面49aの上方に浮き上がってしまうことが抑制され、固定テープ90によって下面15bを内周底面49aに対して好適に面接合することができる。
なお、
図5(b)の例では、上面86aと基部12の下面12bとの間には、固定テープ90の厚みと同等の間隙が存在しているが、上面86aと下面12bとは互いに当接していてもよい。
【0039】
本実施形態に係るコイル部品100は、以上のように構成されている。このようなコイル部品100は、一例として、高耐圧のパルストランスとして用いることができる。ただし、コイル部品100の用途はこの例に限らない。
【0040】
次に、本実施形態に係るコイル部品の製造方法を説明する。
本実施形態に係るコイル部品の製造方法は、磁性コア10と、磁性コア10の周囲に巻回されているコイル70と、を備えるコイル部品100を製造する方法である。
この製造方法は、基材91と基材91に含浸している熱硬化性樹脂92とを含んで構成されている固定テープ90を、コイル部品100を構成する2つ以上の部材の双方の表面に沿って配置する工程と、熱硬化性樹脂92を熱硬化させて、固定テープ90によって、2つ以上の部材どうしを固定する工程と、を備える。
【0041】
コイル部品100を製造するには、先ず、ボビン部40にコイル70の巻線71を巻回する。巻線71の端部は、端子部60の絡げ端子62に絡げ、溶接固定又は半田による固定を行う。
次に、固定テープ90の一端部を、貫通孔49に挿入し、貫通孔49から導出させる。つまり、固定テープ90を、貫通孔49にくぐらせて、固定テープ90の両端部がそれぞれ貫通孔49の外部に位置する状態とする。
次に、カバー部材80の周壁部82が本体部材30のボビン部40を覆うように、カバー部材80を本体部材30に被せる。これにより、固定テープ90の第3部分90cの一部分が内周底面49aに沿って配置される。また、固定テープ90の第3部分90cの他の一部分ずつが各上面51と下面86bとの間に配置される。すなわち、第3部分90cの他の一部分ずつが各上面51と下面86bとに沿って配置される。
次に、第1コア部材11aの芯部15を一方の貫通孔87から貫通孔49に挿入し、第2コア部材11bの芯部15を他方の貫通孔87から貫通孔49に挿入する。これにより、固定テープ90の第3部分90cの一部分が、内周底面49aと各下面15bとの間に配置される。すなわち、第3部分90cの一部分が、内周底面49aと各下面15bとに沿って配置される。
次に、固定テープ90の第1部分90aを第1コア部材11aの基部12の外側面12dに沿って配置するとともに、第2部分90bを第2コア部材11bの基部12の外側面12dに沿って配置し、第3部分90cの更に他の一部分をフランジ部86の縁とフランジ部86の上面86aに沿って配置する。
【0042】
次に、固定テープ90が磁性コア10に対してずれないようにして、粘着テープ95を磁性コア10の周囲に貼り付ける。すなわち、例えば、粘着テープ95を磁性コア10の周囲に2周半程度巻き付ける。ここで、粘着テープ95において粘着層が形成されている方の面を、磁性コア10に貼り付ける。
これにより、第1部分90aと第2部分90bとがそれぞれ外側面12dと粘着テープ95とに挟み込まれた状態とする(
図4参照)。
【0043】
ここで、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、粘着テープ95の幅(上下幅)は、外側面12dの上下寸法と同等以上であることが好ましい。そして、粘着テープ95は、外側面12dの下端から上端に亘る範囲に貼り付けられていることが好ましい。このようにすることによって、第1部分90a及び第2部分90bを外側面12dの下端から上端に亘る範囲に沿って配置することができる。しかも、第3部分90cにおいて、フランジ部86の上面86aに沿って配置されている部分が、上面86aから浮いてしまうことも抑制できる。
【0044】
次に、熱処理を行うことによって、固定テープ90の熱硬化性樹脂92を熱硬化させる。
これにより、第3部分90cによって、第1コア部材11a及び第2コア部材11bの芯部15の下面15bと内周底面49aとの接合、及び、フランジ部86の下面86bと端子保持部50の上面51との接合がなされる。また、フランジ部86の外周の縁への第3部分90cの貼り付け、フランジ部86の上面86aへの第3部分90cの貼り付け、第1コア部材11aの基部12の外側面12dへの第1部分90aの貼り付け、及び、第2コア部材11bの基部12の外側面12dへの第2部分90bの貼り付けがなされる。
【0045】
ここで、粘着テープ95の基材96のガラス転移温度は、固定テープ90の熱硬化性樹脂92の熱硬化温度よりも高い。また、固定テープ90の基材91の耐熱温度は、熱硬化性樹脂92の熱硬化温度よりも高い。
そして、上記の熱処理は、熱硬化性樹脂92の熱硬化温度以上の温度であって、基材91の耐熱温度よりも低温で、且つ、基材96のガラス転移温度よりも低温の温度条件で行われる。
このため、基材91及び基材96の変性を抑制しつつ、熱硬化性樹脂92を熱硬化させることができる。
【0046】
このように、本実施形態に係るコイル部品の製造方法では、コイル部品100を構成する2つ以上の部材の双方の表面に沿って配置する工程の後、第2基材(基材96)と第2基材の一方の面に形成されている粘着層とを備えて構成されている粘着テープ95によって、固定テープ90を上記2つ以上の部材に対して貼り付ける工程を行い、その後、固定する工程(熱処理工程)を行う。
【0047】
本実施形態によれば、固定テープ90を用いることによって、コイル部品100を構成する2つ以上の部材どうしの固定を行うことができるため、固定テープ90の長さを変更することで、熱硬化性樹脂92の塗布量、塗布範囲、及び、塗布位置を容易に調整することができる。すなわち、コイル部品100の製造がより容易となる。
【0048】
また、固定テープ90の基材91が織物であり、経糸91aと緯糸91bとを有する織物であるため、固定テープ90の強度を十分に確保しつつ、固定テープ90が長手方向において適度に伸縮することができる。よって、コイル部品100の動作温度が高温の場合において、固定テープ90は、コイル部品100の膨張による当該固定テープ90に加わる応力を吸収することができる。
【0049】
〔第2実施形態〕
次に、
図8(a)、
図8(b)及び8(c)を用いて第2実施形態に係るコイル部品100を説明する。
本実施形態の場合、磁性コア10は、ドラムコア110と、リングコア120と、を含んで構成されている。そして、固定テープ90は、ドラムコア110とリングコア120を相互に接合している。
【0050】
ドラムコア110は、例えば、その全体が磁性材料によって一体成形されている。
ドラムコア110は、例えば、軸方向が上下に延在している円柱状の芯部113と、芯部113の上端部に形成されている上鍔部111と、芯部113の下端部に形成されている下鍔部112と、を有する。
上鍔部111及び下鍔部112は、それぞれ円盤状に形成されている。
上鍔部111、芯部113及び下鍔部112は、互いに同軸に配置されている。
例えば、上鍔部111は、下鍔部112よりも大径に形成されている。
芯部113の周囲にはコイル70が巻回されている。コイル70は、上鍔部111の外面に設けられている端子部60と電気的に接続されている。
【0051】
リングコア120は、例えば、その全体がドラムコア110と同様の磁性材料によって一体成形されている。
リングコア120は、ドラムコア110と同軸の環状に形成されている。
一例として、リングコア120の外周面は、八角柱形状に形成されている。
また、リングコア120の内周面は、例えば、円柱形状に形成されている。つまり、リングコア120には、当該リングコア120を上下に貫通する挿入孔124が形成されており、挿入孔124の内部空間は円柱形状となっている。ただし、挿入孔124の内部空間は、上端部において局部的に大径に形成されている。このため、リングコア120には円環状の段差面121が形成されている。
【0052】
本実施形態の場合、段差面121の周方向における全域と、上鍔部111の下面と、が固定テープ90を介して相互に面接合されている。このため、本実施形態の場合、固定テープ90は、円環状の形状に形成されている。
本実施形態の場合、熱硬化性樹脂92を熱硬化させる熱処理工程は、例えば、磁力(交流磁場)でドラムコア110を発熱させることによって行うことができる。
【0053】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0054】
例えば、第1実施形態では、磁性コア10が2つのEコアを備えて構成されている例を説明したが、本発明は、この例に限らず、磁性コア10はEコアとIコアとを備えて構成されていてもよい。この場合、例えば、1つのEコアの芯部が固定テープ90によって内周底面49aに固定された構造を採用することができる。
更に、磁性コア10は、2つのTコアを備えて構成されていたり、TコアとIコアとを備えて構成されていて、Tコアの芯部が固定テープ90によって内周底面49aに固定されていてもよい。
【0055】
例えば、上記においては、磁性コア10が2つの部材(第1コア部材11aと第2コア部材11b、又は、ドラムコア110とリングコア120)を備える例を説明したが、磁性コア10は全体が一体のものであってもよいし、3つ以上の部材を備えて構成されていてもよい。
【0056】
また、上記においては、磁性コア10が芯部を有する例を説明したが、磁性コア10は、芯部を有していない構成であってもよい。すなわち、磁性コア10は、それぞれU字状の2つのコア部材を備えて構成されていてもよいし、U字状のコア部材とI字状のコア部材とを備えて構成されていてもよい。
【0057】
また、磁性コア10の複数のコア部材どうしをクリップ等の保持具により保持した状態で、これらコア部材に沿って配置した固定テープ90を熱硬化させて、これらコア部材どうしを固定してもよい。
【0058】
また、上記においては、固定テープ90が帯状または環状に形成されている例を説明したが、この例に限らず、コイル部品100の形状や構造に応じて、固定テープ90の形状を適宜変更してもよい。
また、上記においては、コイル部品100が備える固定テープ90が1つの例を説明したが、コイル部品100は、複数の固定テープ90を備えていてもよい。
【0059】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)磁性コアと、前記磁性コアの周囲に巻回されているコイルと、を備えるコイル部品であって、
基材と、前記基材に含浸している熱硬化性樹脂と、を含んで構成されている固定テープを更に備え、
前記熱硬化性樹脂が熱硬化しており、前記固定テープによって、当該コイル部品を構成する2つ以上の部材どうしが固定されているコイル部品。
(2)前記固定テープは、当該コイル部品における2つの部材の対向面どうしの間に介在しており、これら対向面どうしを接合している(1)に記載のコイル部品。
(3)当該コイル部品は、ボビン部を更に備え、
前記コイルは前記ボビン部に巻回されており、
前記ボビン部は、前記コイルの軸方向に貫通した貫通孔を有し、
前記貫通孔には前記固定テープが挿通されており、
前記磁性コアは、前記貫通孔に挿通されている芯部を有し、
前記芯部が、前記固定テープによって、前記ボビン部における前記貫通孔の内周面に接合されている(2)に記載のコイル部品。
(4)前記磁性コアは、前記軸方向における一方側に配置されている第1コア部材と他方側に配置されている第2コア部材とを含んで構成されており、
前記第1コア部材は、前記貫通孔に一端側から挿入されている第1芯部と、前記第1芯部の基端に連接されていて前記貫通孔の外部に配置されている第1基部と、を有し、
前記第2コア部材は、前記貫通孔に他端側から挿入されている第2芯部と、前記第2芯部の基端に連接されていて前記貫通孔の外部に配置されている第2基部と、を有し、
前記第1芯部と前記第2芯部とにより前記芯部が構成されており、
前記第1芯部と前記第2芯部との先端どうしが前記貫通孔内において相互に突き合わされているか又は相互に近接しており、
前記固定テープは、前記第1芯部と前記第2芯部とに跨がって貼り付けられており、当該固定テープによって、前記第1芯部と前記第2芯部とが前記貫通孔の前記内周面にそれぞれ接合されている(3)に記載のコイル部品。
(5)前記固定テープは、前記第1基部において前記第2コア部材側とは反対側を向く面と、前記第2基部において前記第1コア部材側とは反対側を向く面と、にそれぞれ貼り付けられている(4)に記載のコイル部品。
(6)前記コイルが電気的に接続されている端子部と、
前記端子部を保持している端子保持部と、前記ボビン部と、を一体に有する本体部材と、
絶縁材料により構成されていて前記ボビン部を覆っているカバー部材と、
を更に備え、
前記カバー部材は、前記ボビン部の周囲を囲む周壁部と、前記周壁部の上端を閉塞している天面部と、を有し、
前記周壁部は、前記貫通孔と同軸に配置されていてそれぞれ当該周壁部の内外を貫通している一対の第2貫通孔を有し、
前記磁性コアの前記芯部が前記一対の第2貫通孔に挿通されており、
前記端子保持部は、前記コイルの軸方向において、前記ボビン部の少なくとも一方側に配置されており、
前記カバー部材は、前記周壁部の下縁に連接されているフランジ部を有し、
前記フランジ部は、前記端子保持部の上面に沿って配置されており、
前記固定テープは、前記端子保持部の上面と前記フランジ部の下面とを相互に接合している(3)から(5)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(7)前記固定テープは、前記貫通孔の内周底面に沿って配置されているとともに、当該内周底面と前記芯部の下面とを相互に接合しており、
前記内周底面と前記端子保持部の前記上面との間には段差が存在しており、
前記内周底面と前記フランジ部の上面とが互いに略面一に配置されている(6)に記載のコイル部品。
(8)当該コイル部品は、ボビン部を更に備え、
前記コイルは前記ボビン部に巻回されており、
前記ボビン部は、前記コイルの軸方向に貫通した貫通孔を有し、
前記貫通孔には前記固定テープが挿通されており、
前記磁性コアは、前記軸方向における一方側に配置されている第1コア部材と他方側に配置されている第2コア部材とを含んで構成されており、
前記第1コア部材と前記第2コア部材とは、相互に突き合わされているか、又は、相互に近接しており、
前記固定テープは、前記第1コア部材において前記第2コア部材側とは反対側を向く面に貼り付けられている第1部分と、前記第2コア部材において前記第1コア部材側とは反対側を向く面に貼り付けられている第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを相互に連結している第3部分と、を有する(1)又は(2)に記載のコイル部品。
(9)磁性コアと、前記磁性コアの周囲に巻回されているコイルと、を備えるコイル部品を製造する方法であって、
基材と前記基材に含浸している熱硬化性樹脂とを含んで構成されている固定テープを、前記コイル部品を構成する2つ以上の部材の双方の表面に沿って配置する工程と、
前記熱硬化性樹脂を熱硬化させて、前記固定テープによって、前記2つ以上の部材どうしを固定する工程と、
を備えるコイル部品の製造方法。
(10)前記配置する工程の後、
第2基材と前記第2基材の一方の面に形成されている粘着層とを備えて構成されている粘着テープによって、前記固定テープを前記2つ以上の部材に対して貼り付ける工程を行い、
その後、前記固定する工程を行い、
前記第2基材のガラス転移温度は、前記熱硬化性樹脂の熱硬化温度よりも高い(9)に記載のコイル部品の製造方法。