【解決手段】振動デバイス1は、圧電素子10と、粘着層50とを備えている。圧電素子は、互いに対向している一対の主面11a,11bを有している。粘着層50は、一方の主面11b上に配置されており、一方の主面11bと接している。粘着層50の引張強さは、10N/cm以上48N/cm以下である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0014】
図1〜
図3を参照して、本実施形態に係る振動デバイス1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る振動デバイスを示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。
図3は、圧電素子の分解斜視図である。
振動デバイス1は、
図1及び
図2に示されるように、圧電素子10と、粘着層50とを備えている。圧電素子10は、バイモルフ型の圧電素子であり、圧電素体11と、複数の外部電極13,14,15と、を有している。本実施形態では、圧電素子10は、三つの外部電極13,14,15を有している。圧電素子10は、積層型圧電素子である。
【0015】
圧電素体11は、直方体形状を呈している。圧電素体11は、互いに対向している一対の主面11a,11b、互いに対向している一対の側面11c、及び、互いに対向している一対の側面11eを有している。したがって、圧電素子10が、一対の主面11a,11bを有している。本明細書での直方体形状は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。一対の主面11a,11bが対向している方向は、第一方向D1である。第一方向D1は、各主面11a,11bに直交する方向でもある。一対の側面11eが対向している方向は、第二方向D2である。第二方向D2は、各側面11cに直交する方向でもある。一対の側面11cが対向している方向は、第三方向D3である。第三方向D3は、各側面11eに直交する方向でもある。
【0016】
各主面11a,11bは、四つの辺を有している。各主面11a,11bは、矩形状を呈している。本実施形態では、各主面11a,11bは、正方形状を呈している。この場合、圧電素子10(圧電素体11)は、平面視で、正方形状を呈している。各主面11a,11bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈していてもよい。本明細書での矩形状は、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状を含む。各主面11a,11bは、円形状を呈していてもよい。この場合、圧電素子10(圧電素体11)は、円板形状を呈する。
【0017】
一対の側面11cは、一対の主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11cは、第三方向D3にも延在している。一対の側面11eは、一対の主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11eは、第二方向D2にも延在している。圧電素体11の第二方向D2での長さは、たとえば、30mmである。圧電素体11の第三方向D3での長さは、たとえば、30mmである。圧電素体11の第一方向D1での長さ、すなわち、圧電素体11の厚みは、たとえば、0.49mmである。各主面11a,11bと各側面11c,11eとは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、各主面11a,11bと各側面11c,11eとの間には、稜部が位置する。
【0018】
圧電素体11では、
図2及び
図3に示されるように、複数の圧電体層17a,17b,17c,17d,18a,18b,18c,18dが第一方向D1に積層されている。本実施形態では、圧電素体11は、8層の圧電体層17a,17b,17c,17d,18a,18b,18c,18dを有している。圧電体層17aは、主面11aを有している。圧電体層18dは、主面11bを有している。圧電体層17b,17c,17d,18a,18b,18cは、圧電体層17aと圧電体層18dとの間に位置している。圧電体層17b,17d,18a,18cの分極の向きは、圧電体層17c,18bの分極の向きと反対である。本実施形態では、圧電体層17a,17b,17c,17d,18a,18b,18c,18dの厚みは同じである。本明細書での「同じ」には、製造誤差の範囲が含まれている。
【0019】
各圧電体層17a,17b,17c,17d,18a,18b,18c,18dは、圧電材料からなる。本実施形態では、各圧電体層17a,17b,17c,17d,18a,18b,18c,18dは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料は、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O
3]、PT(PbTiO
3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O
3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO
3)を含む。各圧電体層17a,17b,17c,17d,18a,18b,18c,18dは、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体11では、各圧電体層17a,17b,17c,17d,18a,18b,18c,18dは、各圧電体層17a,17b,17c,17d,18a,18b,18c,18dの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
【0020】
各外部電極13,14,15は、主面11a上に配置されている。外部電極13,14,15は、外部電極13、外部電極14、外部電極15の順で第二方向D2に並んでいる。外部電極13と外部電極14とは、第二方向D2で隣り合っている。外部電極14と外部電極15とは、第二方向D2で隣り合っている。第二方向D2において、外部電極14と外部電極15との最短距離は、外部電極13と外部電極14との最短距離よりも長い。各外部電極13,14,15は、第一方向D1から見て、主面11aの全ての縁(四辺)から離間している。
【0021】
各外部電極13,14,15は、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。各外部電極13,14は、第一方向D1から見て、長方形状を呈している。本実施形態では、各外部電極13,14は、長方形状の各角が丸められている形状を呈している。外部電極15は、第一方向D1から見て、正方形状を呈している。本実施形態では、外部電極15は、正方形状の各角が丸められている形状を呈している。各外部電極13,14,15は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg−Pd合金が用いられる。各外部電極13,14,15は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0022】
圧電素子10は、
図2及び
図3に示されるように、圧電素体11内に配置されている複数の内部電極21,22,23,24,25,26,27を備えている。本実施形態では、圧電素子10は、7層の内部電極21,22,23,24,25,26,27を有している。各内部電極21,22,23,24,25,26,27は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg−Pd合金が用いられる。各内部電極21,22,23,24,25,26,27は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、各内部電極21,22,23,24,25,26,27の外形形状は、矩形状を呈している。具体的には、各内部電極21,22,23,24,25,26,27の外形形状は、長方形状を呈している。
【0023】
各内部電極21,22,23,24,25,26,27は、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。内部電極21,22,23,24,25,26,27の各々は、互いに、第一方向D1に間隔を有して対向している。各内部電極21,22,23,24,25,26,27は、圧電素体11の表面には露出していない。すなわち、各内部電極21,22,23,24,25,26,27は、各側面11c,11eには露出していない。各内部電極21,22,23,24,25,26,27は、第一方向D1から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
【0024】
内部電極21は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極22は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極23は、圧電体層17cと圧電体層17dとの間に位置している。内部電極24は、圧電体層17dと圧電体層18aとの間に位置している。内部電極25は、圧電体層18aと圧電体層18bとの間に位置している。内部電極26は、圧電体層18bと圧電体層18cとの間に位置している。内部電極27は、圧電体層18cと圧電体層18dとの間に位置している。
【0025】
外部電極13は、内部電極21と内部電極23と複数の接続導体33とに複数のビア導体43を通して電気的に接続されている。複数の接続導体33は、それぞれ、内部電極22,24,25,26,27と同じ層に位置している。各接続導体33は、各内部電極22,24,25,26,27に形成された開口内に位置している。各開口は、第一方向D1から見て、外部電極13に対応する位置に形成されている。各接続導体33は、第一方向D1から見て、各内部電極22,24,25,26,27に囲まれている。各接続導体33は、各内部電極22,24,25,26,27と離間している。
【0026】
各接続導体33は、第一方向D1において外部電極13と対向しており、第一方向D1から見て外部電極13と重なる位置に配置されている。各接続導体33は、第一方向D1において内部電極21,23と対向しており、第一方向D1から見て内部電極21,23と重なる位置に配置されている。複数のビア導体43は、それぞれ、外部電極13と内部電極21と内部電極23と複数の接続導体33との間に位置しており、第一方向D1から見て外部電極13と重なる位置に配置されている。複数のビア導体43は、それぞれ、第一方向D1において、対応する圧電体層17a,17b,17c,17d,18a,18b,18cを貫通している。
【0027】
外部電極14は、内部電極25と内部電極27と複数の接続導体34とに複数のビア導体44を通して電気的に接続されている。複数の接続導体34は、それぞれ、内部電極21,22,23,24,26と同じ層に位置している。各接続導体34は、各内部電極21,22,23,24,26に形成された開口内に位置している。各開口は、第一方向D1から見て、外部電極14に対応する位置に形成されている。すなわち、各接続導体34は、第一方向D1から見て、各内部電極21,22,23,24,26に囲まれている。各接続導体34は、各内部電極21,22,23,24,26と離間している。各接続導体34は、各接続導体33と離間している。
【0028】
内部電極22と同じ層に位置している接続導体33と接続導体34は、同じ開口内に隣り合って位置している。内部電極24と同じ層に位置している接続導体33と接続導体34は、同じ開口内に隣り合って位置している。内部電極26と同じ層に位置している接続導体33と接続導体34は、同じ開口内で隣り合って位置している。
【0029】
各接続導体34は、第一方向D1において外部電極14と対向しており、第一方向D1から見て外部電極14と重なる位置に配置されている。各接続導体34は、第一方向D1において内部電極25,27と対向しており、第一方向D1から見て内部電極25,27と重なる位置に配置されている。複数のビア導体44は、それぞれ、外部電極14と内部電極25と内部電極27と複数の接続導体34との間に位置しており、第一方向D1から見て外部電極14と重なる位置に配置されている。複数のビア導体44は、それぞれ、第一方向D1において、対応する圧電体層17a,17b,17c,17d,18a,18b,18cを貫通している。
【0030】
外部電極15は、内部電極22と内部電極24と内部電極26と複数の接続導体35とに複数のビア導体45を通して電気的に接続されている。複数の接続導体35は、それぞれ、内部電極21,23,25,27と同じ層に位置している。各接続導体35は、各内部電極21,23,25,27に形成された開口内に位置している。各開口は、第一方向D1から見て、外部電極15に対応する位置に形成されている。すなわち、各接続導体35の全縁は、第一方向D1から見て、各内部電極21,23,25,27に囲まれている。各開口は、第一方向D1から見て、外部電極15に対応する位置に形成されている。
【0031】
各接続導体35は、第一方向D1において外部電極15と対向しており、第一方向D1から見て外部電極15と重なる位置に配置されている。各接続導体35は、第一方向D1において内部電極22,24,26と対向しており、第一方向D1から見て内部電極22,24,26と重なる位置に配置されている。複数のビア導体45は、それぞれ、外部電極15と内部電極22と内部電極24と内部電極26と複数の接続導体35との間に位置しており、第一方向D1から見て外部電極15と重なる位置に配置されている。複数のビア導体45は、それぞれ、第一方向D1において、対応する圧電体層17a,17b,17c,17d,18a,18b,18cを貫通している。
【0032】
各接続導体33,34,35は、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。各接続導体33,34は、第一方向D1から見て、長方形状を呈している。本実施形態では、各接続導体33,34は、第一方向D1から見て、長方形状の各角が丸められている形状を呈している。各接続導体35は、第一方向D1から見て、正方形状を呈している。本実施形態では、各接続導体35は、第一方向D1から見て、正方形状の各角が丸められている形状を呈している。
【0033】
接続導体33,34,35及びビア導体43,44,45は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg−Pd合金が用いられる。接続導体33,34,35及びビア導体43,44,45は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。ビア導体43,44,45は、対応する圧電体層17a,17b,17c,17d,18a,18b,18cを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
【0034】
圧電素体11の主面11bには、内部電極21,23と電気的に接続されている導体と、内部電極25,27と電気的に接続されている導体と、内部電極22,24,26と電気的に接続されている導体は、配置されていない。本実施形態では、主面11bを第一方向D1から見たとき、主面11bの全体が露出している。主面11a,11bは、自然面である。自然面とは、焼成により成長した結晶粒の表面により構成される面である。
【0035】
圧電素体11の各側面11c,11eにも、内部電極21,23と電気的に接続されている導体と、内部電極25,27と電気的に接続されている導体と、内部電極22,24,26と電気的に接続されている導体は、配置されていない。本実施形態では、各側面11cを第三方向D3から見たとき、各側面11cの全体が露出している。各側面11eを第二方向D2から見たとき、各側面11eの全体が露出している。本実施形態では、各側面11c,11eも、自然面である。
【0036】
複数の圧電体層17b,17c,17dにおいて、外部電極13に接続されている内部電極21,23と外部電極15に接続されている内部電極22,24とに挟まれている領域は、圧電的に活性な第一活性領域19を構成する。複数の圧電体層18a,18b,18cにおいて、外部電極14に接続されている内部電極25,27と外部電極15に接続されている内部電極24,26とに挟まれている領域は、圧電的に活性な第二活性領域20を構成する。第一活性領域19と第二活性領域20は、主面11aと主面11bとの間に配置されている。第二活性領域20は、第一活性領域19よりも主面11b寄りに配置されている。第一活性領域19及び第二活性領域20は、少なくとも1つの圧電体層によって構成される。
【0037】
本実施形態では、第一活性領域19及び第二活性領域20は、第一方向D1から見て、複数の外部電極13,14,15を囲むように位置している。第一活性領域19及び第二活性領域20は、第一方向D1から見て外部電極14と外部電極15との間に位置している領域、及び、第一方向D1から見て外部電極13,14,15が位置している領域の外側の領域を含んでいる。
【0038】
圧電素体11における、第一方向D1から見て外部電極13,14(接続導体33,34)と重なる領域は、圧電的に非活性である。圧電素体11における、第一方向D1から見て外部電極15(接続導体35)と重なる領域も、圧電的に非活性である。以下、圧電的に非活性な領域を、「非活性領域」と称する。圧電素子10では、第一方向D1から見て、非活性領域は、第一活性領域19及び第二活性領域20に囲まれている。第一方向D1から見て、非活性領域は、圧電素体11(主面11a,11b)の中央からずれて位置している。
【0039】
粘着層50は、主面11b上に配置されている。粘着層50は、互いに対向している一対の主面50a,50bを有している。主面50aは、主面11bと接している。すなわち、粘着層50は、主面11bと接している。粘着層50は、粘着層50が有している粘着性により、主面11bに粘着している。粘着層50は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。粘着層50は、たとえば、ゴム系粘着剤からなる。粘着層50は、粘着性を有していない基材を含んでいない。粘着層50の引張強さは、10N/cm以上48N/cm以下である。粘着層50の厚みは、たとえば、0.1〜0.8mmである。
【0040】
主面50a,50bは、たとえば、矩形状を呈している。主面50a,50bは、たとえば、円形状又は枠状を呈していてもよい。すなわち、粘着層50は、平面視で、円形状又は枠状を呈していてもよい。主面50a,50bは、主面11bと同じ形状及び同じ面積を有していてもよい。この場合、第一方向D1から見て、主面11bの全体が粘着層50で覆われていてもよい。主面50a,50bは、主面11bと異なる形状及び異なる面積を有していてもよい。この場合、第一方向D1から見て、主面11bの一部が粘着層50から露出していてもよい。本実施形態では、主面50a,50bは、主面11bと同じ形状及び同じ面積を有しており、第一方向D1から見て、主面11bの全体が粘着層50で覆われている。粘着層50が、平面視で、枠状を呈している場合、粘着層50は、たとえば、主面11bの各辺に沿った部分を有する。
【0041】
図4及び
図5を参照して、本実施形態に係る音響デバイス3の構成を説明する。
図4は、本実施形態に係る音響デバイスを示す斜視図である。
図5は、本実施形態に係る音響デバイスの断面構成を示す図である。
音響デバイス3は、振動デバイス1(圧電素子10及び粘着層50)と、振動部材60とを備えている。
【0042】
振動部材60は、互いに対向している主面60a,60bを有している。本実施形態では、振動部材60は、振動板である。振動デバイス1は、主面60a上に配置されている。主面50bは、主面60aと接している。すなわち、粘着層50は、主面60aと接している。粘着層50は、粘着層50が有している粘着性により、主面60aに粘着している。粘着層50が有している粘着性により、圧電素子10が振動部材60に取り付けられている。粘着層50は、主面11b及び主面60aから剥離可能である。すなわち、粘着層50は、圧電素子10(圧電素体11)と、振動部材60とから剥離可能である。粘着層50は、圧電素子10と振動部材60との間に位置している。粘着層50が、平面視で、枠状を呈している場合、圧電素子10、粘着層50、及び振動部材60が音響空間を画成する。音響空間は、粘着層50及び振動部材60の少なくとも一方に設けられた連通孔を通して、外部空間と連通していてもよい。
【0043】
振動部材60は、たとえば、合成樹脂からなる。この場合、振動部材60は、たとえば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂)、塩化ビニル系樹脂、又は、PET樹脂(ポリエチレンテレフタラート樹脂)を含む。振動部材60は、たとえば、金属からなる。この場合、振動部材60は、たとえば、Niもしくはその合金、Feもしくはその合金、Alもしくはその合金、Mgもしくはその合金、Cuもしくはその合金、又は、ステンレス鋼を含む。振動部材60は、たとえば、ガラスからなる。振動部材60(主面60a,60b)は、たとえば、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。振動部材60の厚みは、たとえば、0.01〜50mmである。
【0044】
図4及び
図5に示されるように、圧電素子10には、配線部材70が接続されている。配線部材70は、ベース71、複数の導体73,75、及び、カバー(不図示)を有している。本実施形態では、配線部材70は、二つの導体73,75を備えている。配線部材70は、たとえば、フレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)である。配線部材70は、補強部材(不図示)を有していてもよい。
【0045】
ベース71は、帯状を呈し、互いに対向している一対の主面71a,71bを有している。ベース71は、電気絶縁性を有している。ベース71は、たとえば、樹脂からなる層である。ベース71は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。ベース71の厚みは、たとえば、25μmである。
【0046】
各導体73,75は、主面71a上に配置されている。各導体73,75は、接着層(不図示)によって、主面71aに接合されている。各導体73,75は、たとえば、Cuからなる。各導体73,75は、たとえば、Cu層上にNiメッキ層及びAuメッキ層がこの順に設けられた構成であってもよい。導体73と導体75とは、互いに離間して配置されている。各導体73,75の厚みは、たとえば、20μmである。
【0047】
カバーは、主面71a上に配置されている。カバーは、導体73の一部と、導体75の一部と、主面71aの一部とを覆っている。カバーは、接着層(不図示)によって、カバーが覆っている、導体73の一部と、導体75の一部と、主面71aの一部とに接合されている。カバーは、たとえば、樹脂からなる層である。カバーは、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。カバーの厚みは、たとえば、25μmである。カバーは、接合部材によって、主面11aに接合されていてもよい。
【0048】
配線部材70は、接合部材77によって、圧電素子10に接合されている。具体的には、配線部材70の一端が、接合部材77によって、外部電極13,14,15及び主面11aに接合されている。接合部材77は、複数の導電性粒子(不図示)を含む樹脂層であり、導電性を有している。導電性粒子は、たとえば、金属粒子又は金めっき粒子である。接合部材77は、たとえば、熱硬化性エラストマーを含んでいる。接合部材77は、たとえば、異方性導電ペースト又は異方性導電性膜が硬化することにより形成される。
【0049】
導体73と外部電極13,14との間には、接合部材77が存在している。導体73と外部電極13,14とは、接合部材77に含まれる導電性粒子を通じて電気的に接続されている。導体75と外部電極15との間には、接合部材77が存在している。導体75と外部電極15とは、接合部材77に含まれる導電性粒子を通じて電気的に接続されている。
【0050】
外部電極13と外部電極14には、導体73を通して、同じ電圧が印加される。したがって、圧電体層17b,17c,17dに、圧電体層17b,17c,17dでの分極方向に沿う方向に電界が発生する場合、圧電体層18a,18b,18cには、圧電体層18a,18b,18cでの分極方向と逆の方向に電界が発生する。また、圧電体層17b,17c,17dに、圧電体層17b,17c,17dでの分極方向と逆の方向に電界が発生する場合、圧電体層18a,18b,18cには、圧電体層18a,18b,18cでの分極方向に沿う方向に電界が発生する。この結果、第一活性領域19と第二活性領域20とは、互いに逆方向に伸縮して、圧電素子10は、屈曲振動する。
【0051】
粘着層50の引張強さと振動デバイス1の変位との関係、及び、粘着層50の引張強さと音響デバイス3の音圧レベルとの関係について詳細に説明する。
本発明者らは、上記各関係を明らかにするために、以下の試験を行った。すなわち、本発明者らは、粘着層50の引張強さが異なる試料1〜17を用意し、各試料1〜17における変位及び音圧レベルを確認した。試験の結果を
図6に示す。
図6は、各試料における変位及び音圧レベルを示す図表である。
【0052】
各試料1〜17は、粘着層50の引張強さが異なることを除いて同じ構成を有している音響デバイスである。すなわち、各試料1〜17は、上述した振動デバイス1と振動部材60とを備えている。振動部材60は、ポリカーボネイト樹脂からなる振動板である。振動板のサイズは、220mm×220mmであり、振動板の厚みは1mmである。本試験では、粘着層50を構成する粘着剤の粘着強度を異ならせることにより、粘着層50の引張強さを異ならせている。粘着層50の引張強さは、引張試験(ISO 29862)により求めた。
【0053】
試料1では、粘着層50の引張強さが5N/cmである。試料2では、粘着層50の引張強さが6N/cmである。試料3では、粘着層50の引張強さが7N/cmである。試料4では、粘着層50の引張強さが8N/cmである。試料5では、粘着層50の引張強さが10N/cmである。試料6では、粘着層50の引張強さが12N/cmである。試料7では、粘着層50の引張強さが14N/cmである。試料8では、粘着層50の引張強さが18N/cmである。試料9では、粘着層50の引張強さが24N/cmである。
試料10では、粘着層50の引張強さが30N/cmである。試料11では、粘着層50の引張強さが36N/cmである。試料12では、粘着層50の引張強さが42N/cmである。試料13では、粘着層50の引張強さが44N/cmである。試料14では、粘着層50の引張強さが46N/cmである。試料15では、粘着層50の引張強さが48N/cmである。試料16では、粘着層50の引張強さが50N/cmである。試料17では、粘着層50の引張強さが58N/cmである。
【0054】
各試料1〜17の変位は、以下のようにして確認した。
各試料1〜17に、所定の交番電圧を印加し、各試料1〜17の変位を直接測定した。各試料1〜17の変位の測定には、レーザ変位計を用いた。測定により得られた値(実測値)を、以下の計算値で除し、百分率で表した。計算値は、圧電素子10の変位が阻害されることなく振動部材60に伝達する場合における、音響デバイス3の変位をシミュレーションにて算出した。印加する交番電圧は、正弦波である。交番電圧の周波数は250Hzであり、電圧の振幅は、±6Vである。
【0055】
各試料5〜15では、実測値が計算値の90%以上であり、変位の低下を抑制する効果が確認された。各試料1〜3、6、及び17では、実測値が計算値の80%未満であり、変位の低下を抑制する効果が確認され難かった。
【0056】
各試料1〜17の音圧レベルは、以下のようにして確認した。
各試料1〜17に、上述した所定の交番電圧を印加し、音響デバイス3で発せられる音圧信号をマイクロフォンで検出した。検出した音圧信号の音圧レベルを求めた。マイクロフォンと振動部材60との間隔は、1mである。
【0057】
各試料5〜15では、音圧レベルが80dBより多く、音圧レベルの低下を抑制する効果が確認された。各試料1〜3、6、及び17では、音圧レベルが75dB未満であり、変位の低下を抑制する効果が確認され難かった。
【0058】
以上のように、振動デバイス1では、粘着層50の引張強さが、10N/cm以上48N/cm以下である。したがって、振動デバイス1では、変位の低下が抑制される。
音響デバイス3では、粘着層50の引張強さが、10N/cm以上48N/cm以下である。したがって、音響デバイス3では、音圧レベルの低下が抑制されている。
【0059】
圧電素子10では、上述したように、第一方向D1から見て、非活性領域は、第一活性領域19及び第二活性領域20に囲まれていると共に、圧電素体11(主面11a,11b)の中央からずれて位置している。この場合、変位が最大となる位置が、圧電素体11(主面11a,11b)の中央からずれるおそれがある。このような圧電素子10を備える振動デバイス1であっても、粘着層50の引張強さが、10N/cm以上48N/cm以下であることにより、変位の低下が抑制される。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0061】
圧電素子10が備える内部電極の数、圧電体層の数、外部電極の数は、上述された実施形態で開示した数に限られない。
振動部材60は、電子機器などの筐体であってもよい。振動部材60は、電子機器などの筐体とは別の部材であってもよい。振動部材60は、たとえば、ディスプレイパネル又はフィルム材であってもよい。ディスプレイパネルは、たとえば、フレキシブル有機ELディスプレイパネルを含む。