特開2020-191544(P2020-191544A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-191544(P2020-191544A)
(43)【公開日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】伝送線路回路及び無線測定装置
(51)【国際特許分類】
   H01P 3/12 20060101AFI20201030BHJP
   H01P 3/08 20060101ALI20201030BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20201030BHJP
【FI】
   H01P3/12 100
   H01P3/08 100
   H01P3/08 201
   H05K1/02 P
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-95881(P2019-95881)
(22)【出願日】2019年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100163876
【弁理士】
【氏名又は名称】上藤 哲嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100187045
【弁理士】
【氏名又は名称】梅澤 奈菜
(72)【発明者】
【氏名】倉光 康太
【テーマコード(参考)】
5E338
5J014
【Fターム(参考)】
5E338AA03
5E338BB25
5E338CC01
5E338CC05
5E338CD13
5E338CD23
5E338EE11
5E338EE22
5J014CA41
5J014CA55
5J014DA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プリント基板に形成される伝送線路パターンをシールドするにあたり、伝送線路回路全体のサイズを小さくするとともに、入出力伝送線路の伝送線路ロスを特にミリ波帯において小さくする。
【解決手段】伝送線路回路Tは、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3の入出力端子と入出力伝送線路21−1、21−2、21−3とが接合されるように、パターン基板1−1、1−2、1−3と入出力基板2とが接合され、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3の外周に沿って、かつ、入出力基板2の入出力伝送線路21−1、21−2、21−3の形成層から入出力基板2のグランドパターン23の形成層までに渡って、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3をシールドする入出力基板内シールド部材24−1、24−2、24−3が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送線路パターンが形成されるパターン基板と、
前記伝送線路パターンへの入出力伝送線路が形成される入出力基板と、
を備え、
前記伝送線路パターンの入出力端子と前記入出力伝送線路とが接合されるように、前記パターン基板と前記入出力基板とが接合され、
前記伝送線路パターンの外周に沿って、かつ、前記入出力基板の前記入出力伝送線路の形成層から前記入出力基板のグランドパターンの形成層までに渡って、前記伝送線路パターンをシールドする入出力基板内シールド部材が形成される
ことを特徴とする伝送線路回路。
【請求項2】
前記伝送線路パターンの外周に沿って、かつ、前記パターン基板の前記伝送線路パターンの形成層から前記パターン基板のグランドパターンの形成層までに渡って、前記伝送線路パターンをシールドするパターン基板内シールド部材が形成される
ことを特徴とする、請求項1に記載の伝送線路回路。
【請求項3】
前記入出力基板の前記入出力伝送線路の形成層のうちの、前記伝送線路パターンとの対向箇所において、気体が充填される空隙が形成される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の伝送線路回路。
【請求項4】
前記伝送線路パターン及び前記入出力伝送線路がそれぞれ複数並列に接続される
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の伝送線路回路。
【請求項5】
前記伝送線路パターンがフィルタパターン又はカプラパターンである
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の伝送線路回路。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の伝送線路回路、
を備えることを特徴とする無線測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリント基板に形成される伝送線路パターンをシールドする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ミリ波帯において、フィルタ又はカプラ等の伝送線路パターンを形成するにあたり、加工精度の制約により、伝送線路パターンを薄膜基板上に形成することが一般的であり、低コスト化の制約により、薄膜基板をプリント基板上に形成することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−131986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
伝送線路パターンを複数並列に接続するときに、伝送線路パターンの間のアイソレーション特性を確保することが要求される。特許文献1では、複数直列に接続されるアッテネータの間のアイソレーション特性を確保するために、各々のアッテネータにシールドケースを設置する。これを応用して、複数並列に接続される伝送線路パターンの間のアイソレーション特性を確保するために、各々の伝送線路パターンにシールドケースを設置する。
【0005】
従来技術の伝送線路回路の構成を図5に示す。伝送線路回路T’は、プリント基板1’及びシールドケース2’から構成される。プリント基板1’は、伝送線路パターン11−1’、11−2’、11−3’、入出力伝送線路12−1’、12−2’、12−3’、スイッチ回路13’及びグランドパターン14’を形成される。シールドケース2’は、シールドケース外壁21’及びシールドケース内壁22−1’、22−2’から構成される。
【0006】
図5の平面図では、シールドケース2’の蓋を図示していない。図5のA−A断面図では、伝送線路回路T’の入出力方向と平行方向の断面図を図示している。図5のB−B断面図では、伝送線路回路T’の入出力方向と垂直方向の断面図を図示している。
【0007】
伝送線路パターン11−1’、11−2’、11−3’は、それぞれ、フィルタパターン又はカプラパターン等であり、並列に接続される。入出力伝送線路12−1’、12−2’、12−3’は、それぞれ、伝送線路パターン11−1’、11−2’、11−3’の入出力伝送線路であり、並列に接続される。スイッチ回路13’は、入出力伝送線路12−1’、12−2’、12−3’のうちのいずれかの入出力を切り換え、伝送線路パターン11−1’、11−2’、11−3’のうちのいずれかの動作を切り換える。
【0008】
伝送線路パターン11−1’、11−2’、11−3’の間のアイソレーション特性を確保するために、伝送線路パターン11−1’、11−2’、11−3’にシールドケース2’を設置する。シールドケース外壁21’は、伝送線路パターン11−1’、11−2’、11−3’、入出力伝送線路12−1’、12−2’、12−3’(伝送線路回路T’の入出力端子を除く。)及びスイッチ回路13’を取り囲む。シールドケース内壁22−1’は、伝送線路パターン11−1’、11−2’の間を仕切る。シールドケース内壁22−2’は、伝送線路パターン11−2’、11−3’の間を仕切る。シールドケース2’の蓋は、シールドケース外壁21’及びシールドケース内壁22−1’、22−2’と接合される。
【0009】
ここで、シールドケース内壁22−1’、22−2’とグランドパターン14’との間の導通を確保するように、シールドケース内壁22−1’、22−2’にシールドワイヤー又はコ・フォーム材を設置している。よって、シールドケース内壁22−1’、22−2’の実効的な幅W’(ミリ波帯では、1mmのオーダー。)が広くなってしまい、伝送線路回路T’の入出力方向と垂直方向に延びる入出力伝送線路12−1’、12−3’の長さL1’が長くなってしまう。ひいては、伝送線路回路T’の入出力方向と垂直方向のサイズが大きくなってしまい、伝送線路回路T’の入出力方向と垂直方向に延びる入出力伝送線路12−1’、12−3’の伝送線路ロスが特にミリ波帯において大きくなってしまう。
【0010】
そして、伝送線路パターン11−1’、11−2’、11−3’の間のアイソレーション特性を確保するように、シールドケース2’が構成する導波管のモードの計算により、シールドケース内壁22−1’、22−2’の長さL’を設定している。よって、シールドケース内壁22−1’、22−2’の長さL’(伝送線路パターン11−1’、11−2’、11−3’の長さより長い。)が長くなってしまい、伝送線路回路T’の入出力方向と平行方向に延びる入出力伝送線路12−1’、12−2’、12−3’の長さL2’が長くなってしまう。ひいては、伝送線路回路T’の入出力方向と平行方向のサイズが大きくなってしまい、伝送線路回路T’の入出力方向と平行方向に延びる入出力伝送線路12−1’、12−2’、12−3’の伝送線路ロスが特にミリ波帯において大きくなってしまう。
【0011】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、プリント基板に形成される伝送線路パターンをシールドするにあたり、伝送線路回路全体のサイズを小さくするとともに、入出力伝送線路の伝送線路ロスを特にミリ波帯において小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、伝送線路パターンが形成されるパターン基板と、前記伝送線路パターンへの入出力伝送線路が形成される入出力基板と、を備え、前記伝送線路パターンの入出力端子と前記入出力伝送線路とが接合されるように、前記パターン基板と前記入出力基板とが接合され、前記伝送線路パターンの外周に沿って、かつ、前記入出力基板の前記入出力伝送線路の形成層から前記入出力基板のグランドパターンの形成層までに渡って、前記伝送線路パターンをシールドする入出力基板内シールド部材が形成されることを特徴とする伝送線路回路である。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、前記伝送線路パターンの外周に沿って、かつ、前記パターン基板の前記伝送線路パターンの形成層から前記パターン基板のグランドパターンの形成層までに渡って、前記伝送線路パターンをシールドするパターン基板内シールド部材が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の伝送線路回路である。
【0014】
また、請求項3に係る発明は、前記入出力基板の前記入出力伝送線路の形成層のうちの、前記伝送線路パターンとの対向箇所において、気体が充填される空隙が形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の伝送線路回路である。
【0015】
また、請求項4に係る発明は、前記伝送線路パターン及び前記入出力伝送線路がそれぞれ複数並列に接続されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の伝送線路回路である。
【0016】
また、請求項5に係る発明は、前記伝送線路パターンがフィルタパターン又はカプラパターンであることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の伝送線路回路である。
【0017】
また、請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれかに記載の伝送線路回路、を備えることを特徴とする無線測定装置である。
【発明の効果】
【0018】
このように、本開示は、プリント基板に形成される伝送線路パターンをシールドするにあたり、伝送線路回路全体のサイズを小さくするとともに、入出力伝送線路の伝送線路ロスを特にミリ波帯において小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の伝送線路回路の構成を示す図である。
図2】本開示のパターン基板の製造方法を示す図である。
図3】本開示の入出力基板の製造方法を示す図である。
図4】本開示の無線測定装置の構成を示す図である。
図5】従来技術の伝送線路回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0021】
本開示の伝送線路回路の構成を図1に示す。伝送線路回路Tは、パターン基板1−1、1−2、1−3及び入出力基板2から構成される。パターン基板1−1、1−2、1−3は、それぞれ、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3、グランドパターン12−1、12−2、12−3及びパターン基板内シールド部材13−1、13−2、13−3が形成される。入出力基板2は、入出力伝送線路21−1、21−2、21−3、スイッチ回路22、グランドパターン23、入出力基板内シールド部材24−1、24−2、24−3、気体充填空隙25−1、25−2、25−3及びベタグランドパターン(図1に不図示)が形成される。なお、ベタグランドパターンは、入出力基板内シールド部材24−1、24−2、24−3をグランドに接続するためのものであり、入出力伝送線路21−1、21−2、21−3、スイッチ回路22及び気体充填空隙25−1、25−2、25−3が形成される基板面上にこれらの構成部材を避けるように形成される。
【0022】
図1の透視平面図では、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3及び気体充填空隙25−1、25−2、25−3を透視している。図1のC−C断面図では、伝送線路回路Tの入出力方向と平行方向の断面図を図示している。図1のD−D断面図では、伝送線路回路Tの入出力方向と垂直方向の断面図を図示している。
【0023】
伝送線路パターン11−1、11−2、11−3は、それぞれ、フィルタパターン又はカプラパターン等であり、並列に接続される。入出力伝送線路21−1、21−2、21−3は、それぞれ、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3の入出力伝送線路であり、並列に接続される。スイッチ回路22は、入出力伝送線路21−1、21−2、21−3のうちのいずれかの入出力を切り換え、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3のうちのいずれかの動作を切り換える。伝送線路パターン11−1、11−2、11−3の入出力端子と入出力伝送線路21−1、21−2、21−3とがそれぞれ接合されるように、パターン基板1−1、1−2、1−3と入出力基板2とが接合される。このとき、フリップチップ等の技術を応用することができる。
【0024】
伝送線路パターン11−1、11−2、11−3の間のアイソレーション特性を確保するために、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3に以下のシールド部材を形成する。入出力基板内シールド部材24−1、24−2、24−3は、それぞれ、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3の外周に沿って、かつ、入出力基板2の入出力伝送線路21−1、21−2、21−3の形成層から入出力基板2のグランドパターン23の形成層までに渡って、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3をシールドするために形成される。パターン基板内シールド部材13−1、13−2、13−3は、それぞれ、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3の外周に沿って、かつ、パターン基板1の伝送線路パターン11−1、11−2、11−3の形成層からパターン基板1のグランドパターン12−1、12−2、12−3の形成層までに渡って、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3をシールドするために形成される。
【0025】
ここで、入出力基板内シールド部材24−1、24−2、24−3の(金属ビア等の)半径及びパターン基板内シールド部材13−1、13−2、13−3の(金属メッキ等の)厚さは、ミリ波帯において0.1mmのオーダーである。よって、伝送線路パターン11−1、11−2の間の幅及び伝送線路パターン11−2、11−3の間の幅(ミリ波帯では、0.1mmのオーダー。)を狭くすることができ、伝送線路回路Tの入出力方向と垂直方向に延びる入出力伝送線路21−1、21−3の長さL1(図5の従来技術のL1’より短い。)を短くすることができる。ひいては、伝送線路回路Tの入出力方向と垂直方向のサイズを小さくすることができ、伝送線路回路Tの入出力方向と垂直方向に延びる入出力伝送線路21−1、21−3の伝送線路ロスを特にミリ波帯において小さくすることができる。
【0026】
そして、入出力基板内シールド部材24−1、24−2、24−3及びパターン基板内シールド部材13−1、13−2、13−3は、それぞれ、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3の外周に沿って形成される。よって、入出力基板内シールド部材24−1、24−2、24−3及びパターン基板内シールド部材13−1、13−2、13−3の形成範囲の長さL(伝送線路パターン11−1、11−2、11−3の長さと同程度。図5の従来技術のL’より短い。)を短くすることができ、伝送線路回路Tの入出力方向と平行方向に延びる入出力伝送線路21−1、21−2、21−3の長さL2(図5の従来技術のL2’より短い。)を短くすることができる。ひいては、伝送線路回路Tの入出力方向と平行方向のサイズを小さくすることができ、伝送線路回路Tの入出力方向と平行方向に延びる入出力伝送線路21−1、21−2、21−3の伝送線路ロスを特にミリ波帯において小さくすることができる。
【0027】
(空気等の)気体充填空隙25−1、25−2、25−3は、それぞれ、入出力基板2の入出力伝送線路21−1、21−2、21−3の形成層のうちの、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3との対向箇所において形成される。
【0028】
ここで、パターン基板1−1、1−2、1−3の設計時において、パターン基板1−1、1−2、1−3は、空気等の気体と対向している。そして、パターン基板1−1、1−2、1−3の実効誘電率εは、それぞれ、パターン基板1−1、1−2、1−3の有する誘電率及び空気等の気体の有する誘電率を考慮したものとなる。
【0029】
その後、パターン基板1−1、1−2、1−3の接合時にあたり、気体充填空隙25−1、25−2、25−3が形成されていないときには、パターン基板1−1、1−2、1−3は、入出力基板2と対向している。そして、パターン基板1−1、1−2、1−3の実効誘電率ε’は、それぞれ、パターン基板1−1、1−2、1−3の有する誘電率及び入出力基板2の有する誘電率を考慮したものとなる。つまり、パターン基板1−1、1−2、1−3の設計時での実効誘電率εと、パターン基板1−1、1−2、1−3の接合時での実効誘電率ε’と、をほぼ同一にすることができない。よって、パターン基板1−1、1−2、1−3の設計時での所望の回路動作は、パターン基板1−1、1−2、1−3の接合後には実現することができない。
【0030】
一方で、パターン基板1−1、1−2、1−3の接合時にあたり、気体充填空隙25−1、25−2、25−3が形成されているときには、パターン基板1−1、1−2、1−3は、空気等の気体と対向している。そして、パターン基板1−1、1−2、1−3の実効誘電率ε’は、それぞれ、パターン基板1−1、1−2、1−3の有する誘電率及び空気等の気体の有する誘電率を考慮したものとなる。つまり、パターン基板1−1、1−2、1−3の設計時での実効誘電率εと、パターン基板1−1、1−2、1−3の接合時での実効誘電率ε’と、をほぼ同一にすることができる。よって、パターン基板1−1、1−2、1−3の設計時での所望の回路動作は、パターン基板1−1、1−2、1−3の接合後にも実現することができる。
【0031】
本開示のパターン基板の製造方法を図2に示す。まず、図2の左上欄に示したように、プリント基板S上に、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3を形成する。次に、図2の左下欄に示したように、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3の外周のうちの長さ方向に沿って、それぞれ、パターン基板内シールド部材溝14−1、14−2、14−3を形成する。次に、図2の右上欄に示したように、パターン基板内シールド部材溝14−1、14−2、14−3内に、それぞれ、金属メッキを形成することにより、パターン基板内シールド部材13−1、13−2、13−3を形成する。次に、図2の右下欄に示したように、プリント基板Sから、パターン基板1−1、1−2、1−3を切り出す。
【0032】
本開示の入出力基板の製造方法を図3に示す。まず、図3の左上欄に示したように、入出力基板2上に、入出力伝送線路21−1、21−2、21−3、スイッチ回路22及びベタグランドパターン(図3に斜線で図示)を形成する。なお、ベタグランドパターンは、入出力基板内シールド部材24−1、24−2、24−3をグランドに接続するためのものであり、入出力伝送線路21−1、21−2、21−3、スイッチ回路22及び気体充填空隙25−1、25−2、25−3が形成される基板面上にこれらの構成部材を避けるように形成される。また、入出力伝送線路21−1、21−2、21−3は、ベタ加工がされるときにパターンバリができないように、気体充填空隙25−1、25−2、25−3が形成される基板面上に形成されないようにする。
【0033】
次に、図3の左下欄に示したように、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3との対向箇所において、それぞれ、気体充填空隙25−1、25−2、25−3を形成する。次に、図3の右上欄に示したように、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3の外周のうちの長さ方向及び幅方向に沿って、それぞれ、入出力基板内シールド部材穴26−1、26−2、26−3を形成する。次に、図3の右下欄に示したように、入出力基板内シールド部材穴26−1、26−2、26−3内に、それぞれ、金属ビアを形成することにより、入出力基板内シールド部材24−1、24−2、24−3を形成する。最後に、図1に示したように、フリップチップ等の技術を応用して、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3の入出力端子と入出力伝送線路21−1、21−2、21−3とをそれぞれ接合するように、パターン基板1−1、1−2、1−3と入出力基板2とを接合する。このように、伝送線路回路Tを製造することができる。
【0034】
なお、伝送線路パターン11−1、11−2、11−3は、図2では、パターン基板1−1、1−2、1−3上に形成されているが、変形例として、1枚のパターン基板上に形成されてもよい。また、パターン基板内シールド部材13−1、13−2、13−3は、図2では、金属メッキにより形成されているが、変形例として、金属ビアにより形成されてもよい。また、入出力基板内シールド部材24−1、24−2、24−3は、図3では、金属ビアにより形成されているが、変形例として、金属メッキにより形成されてもよい。
【0035】
本開示の無線測定装置の構成を図4に示す。無線測定装置Rは、送信信号生成部、無線信号送信部、無線信号受信部及び/又は受信信号処理部において、フィルタバンクF及び/又はカプラバンクCを備える。フィルタバンクFは、図1のスイッチ回路22と、図1の伝送線路パターン11−1、11−2、11−3及び付随する構成要素にそれぞれ対応するフィルタ回路F−1、F−2、F−3と、を備える。カプラバンクCは、図1のスイッチ回路22と、図1の伝送線路パターン11−1、11−2、11−3及び付随する構成要素にそれぞれ対応するカプラ回路C−1、C−2、C−3と、を備える。
【0036】
なお、伝送線路パターン及び付随する構成要素は、図1から図3まででは、複数並列に接続されているが、変形例として、単数のみ配置されてもよい。また、フィルタ回路及び/又はカプラ回路は、図4では、複数並列に接続されているが、変形例として、単数のみ配置されてもよい。ただし、伝送線路パターン及び付随する構成要素が複数並列に接続されるときに特に、伝送線路回路T全体のサイズを小さくするとともに、入出力伝送線路の伝送線路ロスを特にミリ波帯において小さくする効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本開示の伝送線路回路及び無線測定装置は、特にミリ波帯においてアイソレーション特性の確保が必要なフィルタバンク又はカプラバンク等に適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
T’:伝送線路回路
1’:プリント基板
2’:シールドケース
11−1’、11−2’、11−3’:伝送線路パターン
12−1’、12−2’、12−3’:入出力伝送線路
13’:スイッチ回路
14’:グランドパターン
21’:シールドケース外壁
22−1’、22−2’:シールドケース内壁
T:伝送線路回路
S:プリント基板
1−1、1−2、1−3:パターン基板
2:入出力基板
11−1、11−2、11−3:伝送線路パターン
12−1、12−2、12−3:グランドパターン
13−1、13−2、13−3:パターン基板内シールド部材
14−1、14−2、14−3:パターン基板内シールド部材溝
21−1、21−2、21−3:入出力伝送線路
22:スイッチ回路
23:グランドパターン
24−1、24−2、24−3:入出力基板内シールド部材
25−1、25−2、25−3:気体充填空隙
26−1、26−2、26−3:入出力基板内シールド部材穴
R:無線測定装置
F:フィルタバンク
F−1、F−2、F−3:フィルタ回路
C:カプラバンク
C−1、C−2、C−3:カプラ回路
図1
図2
図3
図4
図5