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特開2020-191856吊下竿移動体を用いた掛渡装置及び同装置を用いた掛渡し方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-191856(P2020-191856A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】吊下竿移動体を用いた掛渡装置及び同装置を用いた掛渡し方法
(51)【国際特許分類】
   A22C 15/00 20060101AFI20201106BHJP
【FI】
   A22C15/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-101567(P2019-101567)
(22)【出願日】2019年5月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和元年5月26日、ハマコー機械株式会社及びテラダ・トレーディング株式会社は、濱野義治及び野中泰之が発明した「吊下竿移動体を用いた掛渡装置」の試作品を、日本ハムファクトリー株式会社静岡工場に納品した。
(71)【出願人】
【識別番号】519196564
【氏名又は名称】ハマコー機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592213051
【氏名又は名称】テラダ・トレーディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】濱野 義治
(72)【発明者】
【氏名】野中 泰之
(57)【要約】
【課題】 簡易な構造で、搬送コンベアの搬送を停止することを少なくし、連続したソーセージ状物の吊下竿への受け渡しをする掛渡装置及び掛渡方法を提供する。
【解決手段】ソーセージ状物3のループ外を移動する吊下竿移動体5に保持された吊下竿4を供給排出位置Aからループ内の掛渡位置Bに挿入し、フック1の回動により吊下竿4にソーセージ状物3を掛け渡し、掛渡位置Bから供給排出位置Aに吊下竿4を移動させて、供給排出装置7により吊下竿4を排出し、新たな吊下竿4を供給する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベアで搬送するループ状体のソーセージ状物をループの頂点で掛け止めた複数のフック群から、吊下竿移動体により挿入された吊下竿に掛け渡す掛渡装置であって、
前記吊下竿移動体は、前記吊下竿を保持しつつ前記ループ外を移動するものであって、前記吊下竿を供給排出位置と前記ループ内であって前記フック群の下方となる掛渡位置とを往復移動させ、
前記吊下竿移動体は、前記吊下竿の基端で保持する竿保持部と、前記吊下竿の他端で吊下竿を支持する竿受部とを有し、前記竿受部の支持を解除可能にする解除機構を備えたことを特徴とする吊下竿移動体を用いた掛渡装置。
【請求項2】
竿受部は、吊下竿の他端であるループ内への挿入側端を下方から支持する受部分を有し、該受部分は下方に回動して支持解除する解除機構を備え、
竿保持部は、前記挿入側端の反対側の端部である基端をチャック構造により保持することを特徴とする請求項1に記載の吊下竿移動体を用いた掛渡装置。
【請求項3】
吊下竿移動体は、竿受部の支持を解除して竿保持部による吊下竿を片持ち状態とし、搬送コンベアによるソーセージ状物の掛渡位置までの搬送稼働状態で、掛渡位置に前記吊下竿のみを移動することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の吊下竿移動体を用いた掛渡装置。
【請求項4】
搬送コンベアで搬送するソーセージ状物を掛け止め、吊下竿移動体により挿入された吊下竿にソーセージ状物を掛け渡すフックであって、
前記フックは、前記搬送コンベアに接続する基端部と、前記ソーセージ状物を吊り掛ける先端部と、前記基端部に固定する補助連結部と、を有し、
前記補助連結部は、軸孔を有し、一端に吊下竿移動体から駆動力の伝達を受ける駆動伝達部を配置し、他端に先端部に接続する回動軸を前記軸孔に連通することを特徴とする請求項1に記載の吊下竿移動体を用いた掛渡装置。
【請求項5】
フックは一枚の板状体を基端部と先端部とに分割したものであって、前記先端部は掛留部分とカエシ部分を有し、
回動軸を補助連結部に連通する軸孔は、前記掛留部分の下縁よりも下方に位置することを特徴とする請求項4に記載の吊下竿移動体を用いた掛渡装置。
【請求項6】
先端部の回動を制限する弾性体を配置し、更にピニオンに回動を制限するプランジャーを配置したことを特徴とする請求項4または5のいずれか1項に記載の吊下竿移動体を用いた掛渡装置。
【請求項7】
複数のフック群の各々に配置された駆動伝達部はピニオンであり、前記複数のフック群の前記ピニオンに噛合う長手方向を有するラックを有し、
前記ラックは、供給排出位置から掛渡位置まで吊下竿移動体と並走させる並走部に配置したことを特徴とする請求項4に記載の吊下竿移動体を用いた掛渡装置。
【請求項8】
並走部によりラックと吊下竿をソーセージ状物掛渡位置まで並走した状態で、前記ラックをピニオンに噛合状態若しくは非噛合状態に昇降させる昇降手段を有することを特徴とする請求項7に記載の吊下竿移動体を用いた掛渡装置。
【請求項9】
吊下竿移動体に吊下竿を供給及び排出する供給排出装置を配するものであって、
吊下竿の両端で各々保持する受板凹部を適宜間隔で複数有する供給受板と、該供給受板に併設し前記受板凹部に対応する移送凹部を有する移送板とを有し、前記移送板を昇降及び前後動する移送機構とを有する供給部と、
吊下竿の両端で各々保持する受板凹部を適宜間隔で複数有する排出受板と、該排出受板に併設し前記受板凹部に対応する移送凹部を有する移送板とを有し、前記移送板を昇降及び前後動する移送機構とを有する排出部と、を有し、
前記吊下竿供給部の移送機構により吊下竿を供給し、前記吊下竿排出部の移送機構により吊下竿を排出することを特徴とする吊下竿移動体を用いた掛渡装置。
【請求項10】
吊下竿移動体は、竿保持部と竿受部とを供給排出装置に向けて突出移動する突出移動機構を備え、
該突出移動機構は、竿保持部と竿受部とを、供給排出装置からの受取位置に突出移動させることを特徴とする請求項9に記載の吊下竿移動体を用いた掛渡装置。
【請求項11】
吊下竿供給部を下段に、吊下竿排出部を上段に配置する二段構成の吊下竿供給排出装置の側方にリフト竿保持部を昇降可能にするリフターを配置したものであって、
前記リフト竿保持部は、受取位置に突出移動した竿保持部と竿受部よりも上方位置にまで上昇移動が可能としたことを特徴とする請求項10に記載の吊下竿移動体を用いた掛渡装置用の吊下竿供給排出装置。
【請求項12】
搬送コンベアによるソーセージ状物を掛渡位置への搬送稼働状態において、吊下竿移動体の竿固定保持部で吊下竿を片持ち状態に保持して供給排出位置から掛渡位置に移動してループ内に挿入する吊下竿挿入ステップと、
搬送コンベアを停止し、掛渡位置に移動した吊下竿を竿受部で支持して両持ち状態で支持し、搬送コンベアのフックを回動してフックに吊り掛けられたソーセージ状物を落下して吊下竿に掛け渡す掛渡しステップと、
搬送コンベアを搬送するとともに、吊下竿移動体を掛渡位置から供給排出位置に移動する吊下竿退出ステップと、を有することを特徴とする吊下竿移動体を用いたソーセージ状物の掛渡し方法。
【請求項13】
掛渡しステップは、吊下竿移動体とともにラックを配置する並走部を並走させ、前記ラックを昇降させてフックに配置する駆動伝達部であるピニオンに噛み合わせた状態で更に前記ラックを移動させてフックを回動することを特徴とする請求項13に記載の吊下竿移動体を用いたソーセージ状物の掛渡し方法。
【請求項14】
供給排出位置の吊下竿移動体は、ソーセージ状物を掛け渡された吊下竿を支持する竿固定保持部と竿受部とを吊下竿供給排出装置に向けて突出移動した状態で、前記吊下竿供給排出装置の排出部により排出するとともに、前記吊下竿供給排出装置の供給部により吊下竿を供給する吊下竿供給排出ステップを有することを特徴とする請求項13または14のいずれか1項に記載の吊下竿移動体を用いたソーセージ状物の掛渡し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーセージ状物をループ状に吊り掛けた搬送コンベアのフックから吊下竿に掛け渡すための掛渡装置であって、吊下竿を移動させる吊下竿移動体を用いたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりソーセージを充填した後にループ状に吊り掛けたフックから竿に受け渡す技術は存在した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−86726号公報
【特許文献2】特開2014−39537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から充填されたソーセージを竿に吊下するための装置は存在したが、いずれも竿の挿入時や掛渡しに搬送コンベアを比較的長い時間停止させることが必要となるものであった。特許文献1に記載の発明は、竿を両端で保持しながらループ内に挿入するものであるが、その後に竿の両端を捕捉して吊り上げるものであり、吊り上げる時間をコンベアで停止する必要があった。
【0005】
一方、特許文献2に記載の発明は、フックに吊下されたソーセージを、フック全体を回転させて竿に落とすものであった。これは、ロッドにサポート部が取り付けられ、竿受け部を有するフックユニットを用いるように極めて複雑な構成を有している。さらに当該発明においても竿の挿入時にはコンベアを停止させる可能性があった。
【0006】
そこで、簡易な構造で、搬送コンベアの搬送を停止することが少なく、連続した掛渡しが可能なソーセージ状物の吊下竿への受け渡しができるものが望まれていた。特に、充填機と搬送コンベアが連結されている場合、搬送コンベアが停止すると充填機による充填も停止することになるため、停止時間を短縮することがソーセージ状物の生産性を向上することにも繋がる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明の吊下物移動体を用いた掛渡装置は、搬送コンベアで搬送するループ状体のソーセージ状物をループの頂点で掛け止めた複数のフック群から、吊下竿移動体により挿入された吊下竿に掛け渡す掛渡装置であって、前記吊下竿移動体は、前記吊下竿を保持しつつ前記ループ外を移動するものであって、前記吊下竿を供給排出位置と前記ループ内であって前記フック群の下方となる掛渡位置とを往復移動させ、前記吊下竿移動体は、前記吊下竿の基端で保持する竿保持部と、前記吊下竿の他端で吊下竿を支持する竿受部とを有し、前記竿受部の支持を解除可能にする解除機構を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
また、竿受部は、吊下竿の他端であるループ内への挿入側端を下方から支持する受部分を有し、該受部分は下方に回動して支持解除する解除機構を備え、竿保持部は、前記挿入側端の反対側の端部である基端をチャック構造により保持することを特徴とすることが好ましい。
【0009】
また、吊下竿移動体は、竿受部の支持を解除して竿保持部による吊下竿を片持ち状態とし、搬送コンベアによるソーセージ状物の掛渡位置までの搬送稼働状態で、掛渡位置に前記吊下竿のみを移動することが好ましい。
【0010】
次に、搬送コンベアで搬送するソーセージ状物を掛け止め、吊下竿移動体により挿入された吊下竿にソーセージ状物を掛け渡すフックであって、前記フックは、前記搬送コンベアに接続する基端部と、前記ソーセージ状物を吊り掛ける先端部と、前記基端部に固定する補助連結部と、を有し、前記補助連結部は、軸孔を有し、一端に吊下竿移送体から駆動力の伝達を受ける駆動伝達部を配置し、他端に先端部に接続する回動軸を前記軸孔に連通することを特徴とするものである。
【0011】
また、フックは一枚の板状体を基端部と先端部とに分割したものであって、前記先端部は掛留部分とカエシ部分を有し、回動軸を補助連結部に連通する軸孔は、前記掛留部分の下縁よりも下方に位置することが好ましい。
【0012】
また、先端部の回動を制限する弾性体を配置し、更にピニオンに回動を制限するプランジャーを配置したことが好ましい。
【0013】
また、複数のフック群の各々に配置された駆動伝達部はピニオンであり、前記複数のフック群の前記ピニオンに噛合う長手方向を有するラックを有し、前記ラックは、供給排出位置から掛渡位置まで吊下竿移動体と並走させる並走部に配置したことが好ましい。
【0014】
また、並走部によりラックと吊下竿をソーセージ状物掛渡位置まで並走した状態で、前記ラックをピニオンに噛合状態若しくは非噛合状態に昇降させる昇降手段を有することが好ましい。
【0015】
次に、吊下竿移動体に吊下竿を供給及び排出する供給排出装置を配するものであって、前記供給排出装置は、吊下竿の両端で各々保持する受板凹部を適宜間隔で複数有する供給受板と、該供給受板に併設し前記受板凹部に対応する移送凹部を有する移送板とを有し、前記移送板を昇降及び前後動する移送機構とを有する供給部と、吊下竿の両端で各々保持する受板凹部を適宜間隔で複数有する排出受板と、該排出受板に併設し前記受板凹部に対応する移送凹部を有する移送板とを有し、前記移送板を昇降及び前後動する移送機構とを有する排出部と、を有し、前記吊下竿供給部の移送機構により吊下竿を供給し、前記吊下竿排出部の移送機構により吊下竿を排出することを特徴とする。
【0016】
また、吊下竿移動体は、竿保持部と竿受部とを供給排出装置に向けて突出移動する突出移動機構を備え、該突出移動機構は、竿保持部と竿受部とを、供給排出装置からの受取位置に突出移動させることが好ましい。
【0017】
また、吊下竿供給部を下段に、吊下竿排出部を上段に配置する二段構成の吊下竿供給排出装置の側方にリフト竿保持部を昇降可能にするリフターを配置したものであって、前記リフト竿保持部は、受取位置に突出移動した竿保持部と竿受部よりも上方位置にまで上昇移動が可能としたことが好ましい。
【0018】
次に、吊下竿移動体を用いた掛渡装置を用いたソーセージ状物を吊下竿への掛渡方法は、搬送コンベアによるソーセージ状物を掛渡位置への搬送稼働状態において吊下竿移動体の竿固定保持部で吊下竿を片持ち状態に保持して供給排出位置から掛渡位置に移動してループ内に挿入する吊下竿挿入ステップと、搬送コンベアを停止し、掛渡位置に移動した吊下竿を竿受部で支持して両持ち状態で支持し、搬送コンベアのフックを回動してフックに吊り掛けられたソーセージ状物を落下して吊下竿に掛け渡す掛渡しステップと、搬送コンベアを搬送するとともに、吊下竿移動体を掛渡位置から供給排出位置に移動する吊下竿退出ステップと、を有することを特徴とする。
【0019】
また、上記掛渡し方法の掛渡しステップは、吊下竿移動体とともにラックを配置する並走体を並走させ、前記ラックを昇降させてフックに配置する駆動伝達部であるピニオンに噛み合わせた状態で更に前記ラックを移動させてフックを回動することが好ましい。
【0020】
また、上記掛渡し方法は、供給排出位置の吊下竿移動体は、ソーセージ状物を掛け渡された吊下竿を支持する竿固定保持部と竿受部とを吊下竿供給排出装置に向けて突出移動した状態で、前記吊下竿供給排出装置の排出部により排出するとともに、前記吊下竿供給排出装置の供給部により吊下竿を供給する吊下竿供給排出ステップを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
請求項1乃至3に記載の発明により、搬送コンベアによる搬送の停止を可能な限り短い時間とし、時短効果を奏することができる。すなわち、搬送コンベアによる搬送されたフックに吊り掛けられたソーセージ状物のループ内に、竿受部の支持を解除した竿保持部により片持ち状態にした吊下竿を搬送コンベアの搬送を止めることなく、搬送稼働状態を続けながら吊下竿を挿入することが可能になり、稼働停止を限りなく少なくさせることができる。これは、ループ外に吊下竿移動体を移動させ、ループ内には吊下竿以外の要素を挿入しないことにより、スピーディーかつミスの少ない挿入が可能になる。また、掛渡しの完了後、すぐに搬送コンベアの搬送を再稼働させて吊下竿を掛渡し位置から退出させることが可能であり、搬送コンベアの搬送停止を短くすることができ、引いては充填機によるソーセージ状物の製造停止時間を短くして製造効率を上げることができる。しかも、従前からの充填機やコンベヤに後付けで取り付けることが可能な構成であって、簡易な構成をもって課題を解決することが可能になる。
【0022】
請求項4乃至8に記載の発明により、フックに吊り掛けられたソーセージ状物を円満に吊下竿に掛け渡すことができる。すなわち、各々のフックに伝達駆動部であるピニオンが配置され、吊下竿移動体と並行するラックがピニオンを回動させることで、吊下竿と容易に位置決めを行うことができ、掛渡しミスを防止して円満に掛け渡すことが可能になる。ラックは昇降機構を有することで、並行して移動する際に不意にピニオンを回動させることを防止することも可能になる。さらにフックの回動軸の軸孔が掛留部分よりも下方に位置することで、フックの回動が掛け止める位置よりも下方位置を支点に回ることになり、フックの掛留状態から円満に落下させて吊下竿に受け渡すことが可能になる。また、従前からのフックを利用して、2分割のうえピニオン、補助連結板、回動軸を取り付けて使用することができ、簡易な構成で掛け渡すためのフックの回動を実現することができる。
【0023】
請求項9乃至11に記載の発明により、吊下竿を吊下竿移動体に供給し、かつ、ソーセージ状物が吊下された吊下竿を排出することができる。これを一連に行うことにより、スピーディーな供給、排出を実現することができ、次のフック群1aに吊り掛けられたソーセージ状物が搬送される前に吊下竿移動体から吊下竿を排出し、新しい吊下竿を供給することができるので、上述の時短効果を奏することが可能になる。また、供給排出装置も既存のコンベアに後付けで取り付けることが可能であり、簡易な構成で上記課題を実現することができる。
【0024】
請求項12乃至14に記載の発明により、搬送コンベアの搬送の停止をできる限り短くして掛渡し作業の効率化を行うことができる。すなわち従来技術は竿の挿入時や掛渡し時に搬送コンベアを停止しなければならないが、本発明により吊下竿の挿入時及び退出時は搬送コンベアを停止する必要がなく、掛渡時のみ搬送コンベア2を停止することで時短効果を達することができる。また、掛渡しについてもフックを回転して落下させる手法であるから素早い掛渡しを行うことができ、搬送コンベアの停止時間の短縮を図ることができる。また、既存のコンベアに後付けで吊下竿移動体や供給排出装置を取り付けることができるもので、簡易に上記課題を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の掛渡装置の全体を示す正面図であって、充填機を加えた全体正面図である。
図2図1の平面図である。
図3】本発明の掛渡装置に用いるフックの側面図であり、竿受部とソーセージ状物を加えたものである。
図4】本発明のフックの正面図であり、(a)は先端部の回動前の状態、(b)は先端部を回動後の状態を示す。
図5】本発明の掛渡装置の一部拡大正面図である。
図6】本発明の吊下竿移動体の竿保持部を示す一部拡大右側面図であり、ループ内に吊下竿を挿入し、ループ側から見た状態を示す。
図7】本発明の吊下竿移動体の竿受部を示す一部拡大左側面図であり、ループ内に吊下竿を挿入し、ループ側から見た状態を示すものであり、受部分が解除機構により受状体を解除した状態を破線で示す。
図8】本発明の吊下竿移動体により吊下竿及びラックが移動した状態を示す正面概略図である。
図9】本発明の吊下竿移動体と供給排出装置の位置関係を示す側面図である。
図10】本発明の供給部を示す一部拡大側面図である。
図11】本発明の供給部の供給状態を示す概略側面図である。
図12】本発明の供給部の供給状態を示す概略側面図である。
図13】本発明の排出部を示す一部拡大側面図である。
図14】本発明の排出部の排出状態を示す概略側面図である。
図15】本発明の排出部の排出状態を示す概略側面図である。
図16】本発明の竿保持部及び竿受部が供給排出部へ突出移動した状態及びリフター受部が上昇した状態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1、2に本発明の全体像を示す。本発明の掛渡装置は搬送コンベア2に取り付けて使用するものである。搬送コンベア2は、無端状に形成された搬送ルートに複数のフック1、1が接続され、これら複数のフック1、1は所定本数によりフック群1aを構成して順次搬送される。フック群1aは10乃至40本のフック1、1が群を形成し、充填機9により充填されて製造される連続するソーセージ状物3は、所定の本数をループ状に吊り掛けて搬送コンベア2により搬送する。なお、フック群1aのフック1、1の数は、製造するソーセージ状物3により適宜変更してもよい。
【0027】
本説明において、ループとは、ソーセージ状物3を複数個おきに個々のフック1、1に掛け、一定の周期で回し掛けることでフック群1aに螺旋状に掛け渡した状態をいう(図3参照)。また、吊下竿4をループに挿入、退出するとは、このループの内方空間に吊下竿4を入れたり、出したりすることであって、本実施形態では、ループの長手方向に向けての延長方向(供給排出位置Aの方向)から吊下竿4を挿入、退出する行為をいう。本発明の特徴の一つはループ外に位置する吊下竿移動体5が移動し、この吊下竿移動体5からアームで延設された竿保持部32と竿受部33で吊下竿4を保持し、吊下竿4のみをループ内に挿入、退出させることである(図6、7参照)。
【0028】
また、ソーセージ状物とは、一般的なソーセージを指すものであるが、魚肉ソーセージやイミテーション肉を用いたソーセージや、チーズなどのソーセージ状の連鎖してフック群1aに吊り掛けられる形態を有する食品を含む。
【0029】
本発明は、搬送コンベア2で搬送されるフック群1aに吊り掛けられたソーセージ状物3を吊下竿4に掛け渡す掛渡装置であるが、吊下竿4を供給排出位置Aと掛渡位置Bとを挿入及び退出して移動させる吊下竿移動体5を備えて(図5参照)、搬送コンベアの連続搬送の停止(充填機9によるソーセージ状物3の製造の停止)を可能な限り短くして、円満な掛渡しを実現するものである。吊下竿移動体5にはラック41を並走させる並走部6を備え、供給排出位置Aの近傍には吊下竿供給排出装置7を有する。
【0030】
供給排出位置Aとは、ソーセージ状物3を掛け渡された吊下竿4を吊下竿移動体5から排出し、新たな吊下竿4を供給する位置を示し、掛渡位置Bとはフック群1aからソーセージ状物3を吊下竿4に掛け渡す位置をいう。本実施形態の掛渡装置は吊下竿移動体5により吊下竿4を掛渡位置Bに挿入し、掛け渡し後に退出させることを円満に行うことで搬送コンベアの停止時間を短くすることを主たる目的としているため、掛渡位置Bは搬送コンベア2のうち両側のカーブ部分の近くであることが好ましく、供給排出位置Aは掛渡位置Bの側方であって搬送コンベア2と抵触しない近傍であることが好ましい。
【0031】
まず、フック1について、図3及び図4(a)、(b)を示して説明する。フック1は、一枚の板状のフック体を上下に分割するものであり、搬送コンベア2に接続する基端部11と、先端方向に向けて吊り掛ける部分(掛留部12c)を有する先端部12とを有する。基端部11の側面にビスにより固定される板状の補助連結部13を有し、その補助連結部13の下方に回動軸14が軸孔15に挿通される。回動軸14の一端である基端側には駆動伝達部となるピニオン16が配置され、他端となる先端側で先端部12の側面と固定される。
【0032】
フック1は、基端部11と先端部12とを分割したものであるが、当初から基端部11と先端部12とを分割した状態で成型するものや、既製のフックを切断してもよい。後述のとおり先端部12は回動軸14により回動するものであるため、この回動時に先端部12の厚みが接触しないよう基端部11と先端部12との間には所定の空隙17を有する。
【0033】
基端部11は、上部にコンベア2(図1、2参照)と接続するための鉤状のコンベア接続部11a、11aが形成される。本実施形態では鉤状体が上下2箇所に形成されるものであるが、1箇所のみであったり、鉤状体以外の接続手段であってもよい。基端部11はコンベア接続部11a、11aを有する接続部分11bから先端部12に向けて下方に傾斜して前進延長する延長部分11cが形成される。
【0034】
先端部12は、基端部11の延長部分11cと同じく下方に傾斜して前進延長する延長部分12aと、延長部分の先端から側方にかつ前進するように跳ね上がるカエシ部分12bが形成される。延長部分12aとカエシ部分12bとの間には、正面視(図4(a)参照)において下方に湾曲するように抉り欠いた部分となる掛留部分12cが形成される。この掛留部分12cにソーセージ状物3を吊り掛けることができる。先端部12の形態は必ずしも本実施形態に限定するものではなく、上方が空いてソーセージ状物3を吊り掛けることができるフック状のものであればよい。
【0035】
回動軸14は、一端に凹凸を有する円筒状のピニオン16が配置され、後述するラック41(図9参照)により回動されてその回転動力を伝え、先端部12を回転させる。回動軸14は、補助連結部13の下方に開口される軸孔15に挿通され、この軸孔15が軸心となる。本実施形態の図4(a)、(b)に示す正面視において、この軸孔15は先端部12の掛留部分12c付近であって、具体的には掛留部分12cの湾曲面よりも下方に位置している。すなわち、掛留部12cに吊り下げられたソーセージ状物3よりも回動する軸心をやや下方に位置させることで、掛留部12cを中心に回転させて、安定的に掛渡しを行うようにしている。
【0036】
回動軸14は、軸孔15と先端部12との間で上方に折曲し、さらに先端部方向に折曲する段差部14aを設け、さらに延長して先端部12の上方側面に固定している。先端部12との固定位置は先端部12の側面の上縁であって、先端部12を回動させる方向と逆方向の側面に固定している。これにより、掛留部12cを中心に回転させ、かつ、上方から押し倒すように先端部12を回転させることで回転のための動力を少なくしても安定的に回転をさせることができる。
【0037】
本実施形態の回動軸14の段差部14aは2段階の折曲形態によるものであるが、必ずしもこれに限定されず、略S字状に湾曲するもの等であってもよい。さらに先端部12との固定手段についても、側面に固定するものでなく回転軸側の面に接続するものであってもよい。
【0038】
また、本実施形態のフック1は、図3に示すように、非回転状態を保持するように付勢力をもたせた弾性体14bを配置し、不意にピニオン16が回転したときに先端部12が回転しないようにしている。また、図4に示すように、ピニオン16にプランジャー19が配置され、ラック41で強く駆動力を与えなければ回動しないように突没可能なプランジャーピン19が回動軸4に挿入され、ピニオン16の不意な回動を抑制している。さらに、先端部12が回転状態から非回転状態に戻るときに、戻り過ぎないようにガイド板18が配置されている。
【0039】
次に、吊下竿移動体5と並走部6について、図5乃至図8を示して説明する。吊下竿移動体5とは、上述のとおり、吊下竿4を供給排出位置Aと掛渡位置Bとを挿入、退出するよう移動させるものであり、並走部6とはピニオン16に係合するラック41を吊下竿4とともに並走させるものである。吊下竿移動体5は吊下竿4と同じ長手方向を有し、その両端からアームで竿保持部32、竿受部33がループ方向に延出されている。
【0040】
吊下竿移動体5は、吊下竿4をソーセージ状物3のループ内に挿入し、掛け渡し後に退出させるものであるが、吊下竿移動体5自体はソーセージ状物3のループ外に位置する。本実施形態における吊下竿移動体5のループ外の移動する位置は、搬送コンベア2に吊下されたフック1の下方であり、ソーセージ状物3のループのコンベア側の側方である。すなわち、吊下竿移動体5は、搬送コンベアの直送方向と同じ方向に移動し、連続するフック1の側面視における基端部11の下方で移動する。吊下竿移動体5は、その側方であって長手方向の一方端にアームを介して竿保持部32を配置し、この竿保持部32により吊下竿4の一端を保持する。また、長手方向のもう一方端にアームを介して竿受部33を配置し、この竿受部33により吊下竿4のもう一方端を下方から支持する。この構成により、ループ外となるフック1の基端部11下方に位置する吊下竿移動体5が、先端部12から吊り掛けられたソーセージ状物3のループ内に吊下竿4のみを挿入できるように保持することができる。このように吊下竿移動体5をループ外で移動させ、吊下竿4のみをループ内に挿入、退出することになり、吊下竿4の移動をスピーディーにし、ミスの少ないものにすることができる。また、本実施形態では、竿保持部32及び受部分33もループの長手方向前側と後側に位置し、ループ外に位置することになり、ループ内には吊下竿4のみを挿入する構成としている。
【0041】
図6に示すように、竿保持部32は、吊下竿移動体5の側方から突出して吊下竿4の供給排出位置A側の端部を保持するものであり、下方から支持する受部分32aと上方から掴むチャック32bとからなり、吊下竿4の端部を強固に保持することができる。また、図7に示すように、竿受部33は下方から支持する受部分33aを有し、この受部分33aは下方に回動して吊下竿移動体5の下方に収容されることで吊下竿4の支持を解除する解除機構である旋回シリンダ33bを有する。この構成により、解除機構である旋回シリンダ33bを稼働させて竿受部33の支持を解除し、吊下竿4を竿保持部32のみで片持ち状態に保持が可能であり、竿受部33との両持ち状態とを適宜変更可能にしている。
【0042】
図5に示すように、吊下竿移動体5は、配置されたレール31、31上を、掛渡位置Bと供給排出位置Aとを往復して移動することができる(図8参照)。この走行は図示しない制御手段により制御される。吊下竿移動体5には、竿保持部32と竿受部33とを張り出すように前出、後退させる前後シリンダ34が配置され、後述のように竿保持部32と竿受部33とを吊下竿移動体5の側方に向けてさらにアームを延出するようにして突出移動させることができる。
【0043】
図7に示すように、吊下竿移動体5は、並走部6が並走し、並走部6の上部には凹凸が連続するラック41が配置される。並走部6は吊下竿移動体5よりも更に奥側(フック1と反対側の側方)に位置し、フックの側面視においてピニオン16の下方をラック41が移動するようにしている(図3参照)。吊下竿移動体5は、並走部6と、竿保持部32と竿受部33により保持された吊下竿4とを同時に移動するように並走させる。
【0044】
図7、8に示すように、ラック41は、吊下竿4の長手方向長さと略同程度の長さを有するものであり、ラック41の上面にフック1のピニオン16の凹凸に係合可能な凹凸が形成される。ラック41は、走行時にピニオン16と不意に噛合うことがないように、フックの1のピニオン16から若干離れた下方位置を移動している。
【0045】
ラック41は、ラック昇降シリンダ42により昇降する。吊下竿移動体5により供給排出位置Aから掛渡位置Bに走行した状態で、フック1のピニオン16の下方に位置する。この状態でラック昇降シリンダ42により上昇し、ラック41の凹凸とフック1のピニオン16の凹凸が係合するように噛み合わせる。ラック41とピニオン16が噛み合った状態で、更にラック41を上流側(充填機9側)に若干走行させることで、ピニオン16が回動し、回転動力がフック1の先端部12に伝わり、フック1の先端部12が図4(b)のように回転する。上記ラック41の長手方向長さがフック群1aの下流側のフック1から上流側のフック1にまで至っていることから、フック群1aの全てのピニオン16、16を併せて回動させることが可能になる。
【0046】
上記吊下竿移動体5による吊下竿4の移動について、説明する。竿受部33は凹所を有する受部分33aにより下方から支持しているが、解除機構である旋回シリンダ33bにより受部分33aが下方に旋回して支持を解除すると、吊下竿4は竿保持部32のみの片持ち状態となる。ループ外の吊下竿移動体5が保持する吊下竿4がソーセージ状物3のループ内に挿入される際に吊下竿4の両端を保持しているとその保持部分がループに接触してしまう。そこで、吊下竿4の挿入側の支持である竿受部33の支持を解除して、吊下竿4を片持ち状にする必要がある。この片持ち状態にすることで、吊下竿移動体5が接触することなく、吊下竿4をループに挿入することができる。
【0047】
掛渡位置Bで、ラック41によりフック1の先端部12を回動させると吊下竿4にソーセージ状物3が落下し、フック1から吊下竿4にソーセージ状物を掛け渡すことができる。このとき、掛け渡し前となる先端部12の回動前に竿受部33の受部分33aを旋回シリンダ33bにより上方に旋回させて吊下竿4の両端を支持するようにしておくと、ソーセージ状物3を掛け渡した状態で吊下竿4から抜け落ちたりすることがなく、円滑に掛渡しが可能になる。つまり、竿受部33による支持を解除して片持ち状態とするのは、吊下竿4をループ内に挿入するときだけで、そのとき以外であるソーセージ状物3の掛渡しのときや後述の吊下竿4を供給、排出するときには両持ち状態としている。
【0048】
また、吊下竿移動体5がラック41と、竿保持部32と竿受部33とを並走させることにより、掛渡位置Bでの位置決めが容易となり、稼働するフック1と吊下竿4の両端が決まることにより、稼働ミスを大幅に軽減することができる効果もある。
【0049】
次に、図9乃至図16を示して吊下竿4を吊下竿移動体5に供給及び排出するする供給排出装置7について説明する。上述のように供給排出装置7は、コンベア2のカーブ部分(直送部分の両端)よりも下流側となる供給排出位置Aの近傍(側方)に配置される(図2参照)。図9に示すように、供給排出装置7は、コンベア2の下流側でかつ側方に設置されるもので、下段に吊下竿4を供給する供給部50と、上段にソーセージ状物3を掛け渡した吊下竿4を排出する排出部60との二段構成としており、これらの側方にリフター70が配置される。
【0050】
供給部50は、吊下竿4の両端を平板状の2枚の受板51で保持するが、図面の説明上、1つの受板51、移送板52として説明する。図10に示すように、受板51は両者とも同じ所定のピッチで受板凹部51a、51aが上縁から下方に凹んで形成されており、一対の受板51の受板凹部51a、51aに吊下竿4を係合させ、下方から支持して保持することができる。
【0051】
所定のピッチで形成された受板凹部51a、51aに保持された吊下竿4を供給側に送り出す(次のピッチ先にある受板凹部51a、51aに移送する)ための手段として移送板52を配置する。この移送板52は受板51、51と同じく一対の板状体であり、移送凹部52a、52aの上縁から受板凹部51a、51aと同じピッチで凹ませている。移送板52は、受板51、51と接するように、受板51の外側に並んでおり、稼働していない平常時は若干下方に併設されている。
【0052】
また、供給部50の移送板52は、昇降シリンダ53が配置されており、受板51、51に対して上下方向に移動できるようにし、前後シリンダ54も配置されており、受板51、51に対して前後方向に移動できるようにしている。本実施形態では、この移送板52を前後、上下に移送する昇降シリンダ53と前後シリンダ54を移送機構としている。
【0053】
供給部50の供給側(前側)には、上下方向のリフター70が配置される。このリフター70は、上下の一対の歯車71と、この歯車71に掛け渡すチェーン72を有する。リフター70には一対のリフター凹部73が昇降可能に配置されている。リフター凹部73は、受板凹部51aや移送凹部52aと同じく、上縁から凹ませた部分により、吊下竿4の端部を保持できるようにしている。
【0054】
リフター70のリフター凹部73は、受板51の受板凹部51a、51a間のピッチと同じ長さで、最も供給側(前側)の位置からさらに供給側(前側)に位置するようにしている。そのため、受板51で保持された吊下竿4のうち最も供給側の受板凹部51a、51aで保持された吊下竿4を移送板52が移送したときに、リフター凹部73で保持されることになる。
【0055】
図11及び図12により、供給部50の吊下竿4の移送を説明する。図11(a)に示すように、受板51の受板凹部51a、51aに吊下竿4を保持させた状態である。この状態から、図11(b)に示すように、移送板52のみが昇降シリンダ53により昇降することで、移送板52の移送凹部52a、52aが吊下竿4を支持する状態であって、受板凹部51a、51aによる係合を解除して立ち上がる。そして、図12(a)に示すように、移送板52は前後シリンダ54により、供給側(前側)の次の受板凹部51a、51aに至るまで前進して張り出す。そして、図12(b)に示すように、さらに昇降シリンダ53により立ち下がる。この動作により、移送板52の移送凹部52a、52aに保持された吊下竿4が受板51の供給側の次の受板凹部51a、51aに移送される。この移送板52は、供給側に前進して次の受板凹所51a、51aに吊下竿を移送させたのち、さらに昇降シリンダ53により下降して受板51のみで吊下竿4を保持させ、前後シリンダ54により後退して当初の位置に戻る。上記の供給により、図11(a)に示す状態で最も供給側(前側)にあった吊下竿4は、移送板52による移送により、リフター70のリフター凹部73に受け渡される。
【0056】
リフター70は、リフター凹部73を鉛直方向に押し上げることができ、押し上げた状態から下げることができる。図16に示すように、リフター凹部73に吊下竿4が供給されるとリフター70がリフター凹部73を排出部60よりも上方に押し上げる(矢印線Z)。この状態で、吊下竿移動体5の竿保持部及び竿受部33を排出側に突出移動させて受渡位置へ移動させることにより(矢印線Y)、上方に位置するリフター凹部73の下方に竿保持部32及び竿受部33を位置させる。この状態でリフター70を更に稼働させ、リフター凹部73を下げることにより、吊下竿4のみ竿保持部32及び竿受部33に受け渡して供給することができる。
【0057】
吊下竿4の長手方向において、竿保持部32及び竿受部33は、リフター凹部73、73よりも、各々内側に位置しており、両者が接触することないようにしている。このため、リフター凹部73、73の上下の昇降運動により吊下竿4を竿保持部32及び竿受部33に受け渡すことが可能になる。なお、竿保持部32はチャック式の係合保持で吊下竿4を保持するものであるが、この受け渡し時にはチャック保持を解除し、受部材32aのみで下方からの受けで保持している。
【0058】
本実施形態の供給部50及びリフター70は必ずしも本実施形態に限定されない。例えばリフター70はシリンダによる昇降動作であってもよく、供給部50についても所定の肉厚のあるレール状にしてもよい。
【0059】
次に、排出部60について説明する。図9及び図13に示すように、排出部60は、供給部50と同じく、平板状の一対の受板61に、適宜ピッチで複数の受板凹部61a、61aが配置されている。また、移送板62が併設され、移送板62に同じピッチで複数の移送凹部62a、62aが配置されている。移送板62が昇降シリンダ63(移送機構)により上下に昇降し、前後シリンダ64(移送機構)により前後に移動することも、供給部50と同じである。なお、上記ピッチ間隔も供給部50と排出部60と同じくしている。
【0060】
排出部60は、吊下竿4を排出するものであるため、移送板62による移送は供給部50と逆の方向になる。供給部50では移送板52が吊下竿4を持ち上げて次のピッチに移送していたが、排出部60では移送板62を昇降シリンダ63により下降させ、受板凹所61a、61aで係合保持されている吊下竿4との係合を解除する。そして、前後シリンダ64により供給側に移動する。また、吊下竿移動体5の竿保持部32及び竿受部33は、前後シリンダ54によりアームが延出するように排出側に突出移動されるため、排出部60の受板凹部61a、61aの最も前方位置から同じピッチとなる位置に、竿保持部32及び竿受部33が位置している。この位置を受渡位置としている(図16参照)。
【0061】
図14(a)に示す状態から図14(b)に示すように、移送板62、62を前方の供給側に移動させる。そして、図15(a)に示すように、昇降シリンダ63により上昇させると、竿保持部32及び竿受部33により下方から支持されていた吊下竿4の支持を解除して移送板62の移送凹部62aに受け渡すことができる。そして、図15(b)に示すように、前後シリンダ64により受板61の受板凹部61a、61aの上方まで後退させる。そして、移送板62、62を受板61、61と並ぶように併設する状態にまで昇降シリンダ63により押し下げる。この稼働により、吊下竿移動体5の竿保持部32及び竿受部33から吊下竿4を排出するとともに、当該排出する前に排出していた吊下竿4も徐々に排出方向に移送することができる。
【0062】
供給部50と排出部60には、受板51、51、61、61の末端位置(排出側の端位置)から供給ストックと排出ストックが配置される(図示しない)。供給ストックは、供給部50の受板51、51の末端位置から上方に向けて傾斜するレール状のものであって、当該ストックに供給前の吊下竿4がストックされる。受板51、51と移送板52、52により順次受板凹部51a、51aを移送した場合、最も排出側に位置する受板凹部51a、51aに傾斜から滑り落ちた吊下竿4が供給されるようにしている。
【0063】
また、排出ストックは、排出部60の末端位置から下方に向けて傾斜するレール状のものであって、排出部60の最も排出側の位置の受板凹部61a、61aに位置すると自動的に排出ストック65の傾斜を滑り落ちるようにしている。これを円滑に行うために、排出部60の最も排出側の位置の受板凹部61a、61aの凹みの末端側を排出ストック側に切除して、移送板62、62が移動したときに排出ストックを滑り落ちるようにしている。この場合、末端側の受板凹部61aの縁が吊下竿4を小突くように接触し、吊下竿4を転がして排出ストックへと導いている。排出ストックの傾斜後は水平のストック位置を有するので、そのストック位置で吊下竿4を取り出すことができる。
【0064】
次に、本発明によるソーセージ状物3に対する吊下竿4の供給、排出及び受け渡しの動作の流れについて説明する。
【0065】
まず、吊下竿移動ステップについて説明する。充填機9により各々充填されたソーセージ状物3が、フック群1aに吊下され、適宜間隔をおいて搬送コンベア2を搬送される。充填機9は搬送コンベア2が搬送状態にあると順次充填作業をしている。ソーセージ状物3が掛渡位置Bに到達するために搬送稼働状態にありつつ、吊下竿移動体5により吊下竿4をソーセージ状物3のループ内に挿入する。このとき、挿入前に吊下竿4を保持する竿受部33の受部分33aによる支持を解除して竿保持部32のみの片持ち状態として挿入する。なお、挿入終了後の掛渡しステップにおいて竿受部33を再稼働させて受部分33aにより支持させる(両持ち状態とする)。
【0066】
次に掛渡しステップについて説明する。ソーセージ状物3のループ内に吊下竿4を挿入し、搬送コンベア2による搬送が掛渡位置Bに達すると、搬送コンベア2の搬送を停止する。このとき充填機9による充填も停止する。そして、吊下竿4と並走していたラック41を上昇させ、ラック41とフック群1aの各フック1、1のピニオン16、16とを噛み合わせる。そして、さらにラック41を若干上流側に移動させて、ピニオン16、16を回転させて、フック1の先端部12を回動させ、先端部12の掛留部12cに吊り掛けられたソーセージ状物3を吊下竿4に落下させることで、フック1、1から吊下竿4にソーセージ状物3を掛け渡す。
【0067】
次に吊下竿退出ステップについて説明する。吊下竿4へのソーセージ状物3の掛渡しが終了すると、搬送コンベア2の搬送停止状態を解除し、搬送を再開する(充填機による充填も再開する)。そして、掛け渡されたフック群1aの後方に位置する次のフック群1aに吊り掛けられたソーセージ状物3と抵触しないように、掛渡しを受けた吊下竿4は搬送コンベアの搬送再開と同時若しくは近接して供給排出位置Aに向けて退出する。
【0068】
また、供給排出ステップについて説明する。吊下竿4の供給排出装置7は、上記受け渡しと連動して吊下竿4の供給排出を行う。まず、供給部50に適宜配置された吊下竿4、4は、上述の供給部の動作によりリフト竿保持部73に吊下竿4を供給する。供給されたリフト竿保持部73は、リフター70の動作により上昇する。
【0069】
リフト竿保持部73が上昇して待機した状態で、既にソーセージ状物3が受け渡された吊下竿4が吊下竿移動体5により供給排出装置7の前側に移動する。そして、突出移動機構により竿保持部32及び竿受部33が、ソーセージ状物3が吊るされた吊下竿4を排出部60の前方に突出移動させ、上述した排出部60の動作により吊下竿4を排出する。そして、待機していたリフト竿保持部73をリフター70により下降させることで、供給する吊下竿4を突出移動している竿保持部32及び竿受部33に受け渡す。吊下竿移動体5は突出移動している竿保持部32及び竿受部33の突出を解除して元の位置に戻し、更に吊下竿移動体によりラック31とともに次のフック群1aに並走移動させる。
【0070】
上記方法により、搬送コンベアの搬送の停止をできる限り短くして掛渡し作業の効率化を行うことができる。吊下竿4の挿入時及び退出時は搬送コンベアを停止する必要がなく、掛渡時のみ搬送コンベア2を停止することになるため、作業時間を短くする時短効果を発揮することができる。また、掛渡しについてもフックを回転して落下させる手法であるから素早い掛渡しを行うことができるために、更なる時短効果を発揮できる。
【符号の説明】
【0071】
1…フック、1a…フック群、2…コンベア、3…ソーセージ状物、4…吊下竿、5…吊下竿移動体、6…並走部、7…吊下竿供給排出装置。
11…基端部、12…先端部、12b…カエシ部分、12c…掛留部分、13…補助連結部、14…回動軸、14a…段差部、15…軸孔、16…ピニオン(駆動伝達部)。
31…レール、32…竿保持部、32a…受部分、32b…チャック、33…竿受部、33a…受部分、33b…旋回シリンダ(解除機構)、41…ラック、42…ラック昇降シリンダ。
50…供給部、51…受板、51a…受板凹部、52…移送板、52a…移送凹部、53…昇降シリンダ(移送機構)、54…前後シリンダ(移送機構)、
60…排出部、61…受板、61a…受板凹部、62…移送板、62a…移送凹部、63…昇降シリンダ(移送機構)、64…前後シリンダ(移送機構)、
70…リフター、73…リフト竿保持部。
A…供給排出位置、B…掛渡位置
図1
図2
図3
図4
図5
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図11
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図16