特開2020-1921(P2020-1921A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-1921(P2020-1921A)
(43)【公開日】2020年1月9日
(54)【発明の名称】軸状部材の送り移動装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 51/10 20060101AFI20191206BHJP
   F16H 19/02 20060101ALI20191206BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20191206BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20191206BHJP
【FI】
   B65H51/10 A
   F16H19/02 L
   A61B1/00 655
   G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-126202(P2018-126202)
(22)【出願日】2018年7月2日
(71)【出願人】
【識別番号】500101357
【氏名又は名称】中里 裕一
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100195877
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻木 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】中里 裕一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直樹
【テーマコード(参考)】
2H040
3F051
3J062
4C161
【Fターム(参考)】
2H040DA03
2H040DA11
2H040DA21
2H040DA43
2H040DA55
3F051BA05
3F051BA06
3F051BB02
3J062AA22
3J062AA27
3J062AA36
3J062AB16
3J062AC01
3J062AC07
3J062BA35
3J062CA13
3J062CA14
4C161AA04
4C161DD03
4C161GG22
(57)【要約】
【課題】 軸状部材を単に前進方向または後退方向に送り移動するだけでなく、軸状部材の姿勢を変更することができる軸状部材の送り移動装置及びその方法を提供すること。
【解決手段】 軸状部材1の送り移動装置100は、第1自転軸11を有する第1ホイール10と、第2自転軸21を有する第2ホイール20と、第1自転軸を正方向または逆方向に駆動する第1回転駆動部61〜63と、第2自転軸を正方向または逆方向に駆動する第2回転駆動部71〜73と、を有する。送り移動される軸状部材1を挟んで、第1,第2ホイール10,20が軸状部材1の両側に配置される。第1,第2ホイール10,20の各々は、軸状部材1と接触する位置を含む回転軌跡上に転接面を有する複数の従動ローラー30(30A,30B)を有する。複数の従動ローラー30(30A,30B)は、その従動回転により、軸状部材1の軸方向以外の方向に送り移動させる外力を軸状部材1に付与する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1自転軸を有する第1ホイールと、
第2自転軸を有する第2ホイールと、
前記第1自転軸を正方向または逆方向に駆動する第1回転駆動部と、
前記第2自転軸を正方向または逆方向に駆動する第2回転駆動部と、
を有し、
送り移動される軸状部材を挟んで、前記第1ホイール及び前記第2ホイールが前記軸状部材の両側に配置され、
前記第1ホイール及び前記第2ホイールの各々は、前記軸状部材と接触する位置を含む回転軌跡上に転接面を有する複数の従動ローラーを有し、
前記複数の従動ローラーは、その従動回転により、前記軸状部材の軸方向以外の方向に送り移動させる外力を前記軸状部材に付与することを特徴とする軸状部材の送り移動装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記外力は、前記軸状部材の軸線回りに前記軸状部材を回転させる力であることを特徴とする軸状部材の送り移動装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記複数の従動ローラーの各々の従動軸は、前記第1自転軸及び前記第2自転軸の対応する一方と非平行であることを特徴とする軸状部材の送り移動装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記軸状部材の軸方向から見た側面視で、前記軸状部材の横断面中心を通り、かつ、前記第1自転軸及び前記第2自転軸と平行な中心線に対して、前記第1ホイールの前記複数の従動ローラーと、前記第2ホイールの前記複数の従動ローラーとは、線対称であることを特徴とする軸状部材の送り移動装置。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記従動軸が前記第1自転軸及び前記第2自転軸の対応する一方に対して傾斜する傾斜角は、45°であることを特徴とする軸状部材の送り移動装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記軸状部材は、内視鏡またはカテーテルを含む医療器具であることを特徴とする軸状部材の送り移動装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記軸状部材は、工業用内視鏡を含む非医療器具であることを特徴とする軸状部材の送り移動装置。
【請求項8】
請求項7に記載の軸状部材の送り移動装置を用いて、前記軸状部材を送り移動する方法であって、
前記軸状部材を、前進または後退移動する工程と、
前記軸状部材を、前記軸状部材の軸線回りに回転させる工程と、
を有することを特徴とする軸状部材の送り移動方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記軸状部材を、前進または後退移動させながら、前記軸線回りに回転させる工程を有することを特徴とする軸状部材の送り移動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡、カテーテル、工業用内視鏡、光ファイバー、ケーブル、線材等の軸状部材を、例えば体内や管内等に送り移動するのに好適な軸状部材の送り移動装置及びその方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば内視鏡を例に挙げれば、人体の例えば大腸に内視鏡の挿入部を挿入することが医師により行われている。特許文献1には、体内に挿入される長い軸状の挿入部を巻き取るドラムが開示されている。しかし、このドラムは長い挿入部を巻き取るためのものであって、駆動力によって挿入部を送り出したり引き戻したりするものではない。
【0003】
一般に、線材の送り機構として、線材を挟む一対のローラーにより線材を送り出す機構(特許文献2)や、ボビンにまかれた線材を繰り出す機構(特許文献3)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−089131号公報
【特許文献2】特開2015―130772号公報
【特許文献3】特開2017−226939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば内視鏡を例に挙げれば、内視鏡が挿入される大腸は屈曲している。特にS字状に屈曲する挿入経路に内視鏡を通過させるには、軸保持短縮法と称される手法が用いられている。
【0006】
しかし、軸保持短縮法は医師の手によって行う他なく、特許文献2,3のように単に線材を前進移動させる送り機構では、軸保持短縮法を自動化することはできない。
【0007】
本発明の少なくとも一つの態様は、軸状部材を単に前進方向または後退方向に送り移動するだけでなく、軸状部材の姿勢を変更することができる軸状部材の送り移動装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一態様は、
第1自転軸を有する第1ホイールと、
第2自転軸を有する第2ホイールと、
前記第1自転軸を正方向または逆方向に駆動する第1回転駆動部と、
前記第2自転軸を正方向または逆方向に駆動する第2回転駆動部と、
を有し、
送り移動される軸状部材を挟んで、前記第1ホイール及び前記第2ホイールが前記軸状部材の両側に配置され、
前記第1ホイール及び前記第2ホイールの少なくとも一方は、前記軸状部材と接触する位置を含む回転軌跡上に転接面を有する複数の従動ローラーを有し、
前記複数の従動ローラーは、その従動回転により、前記軸状部材の軸方向以外の方向に送り移動させる外力を前記軸状部材に付与する軸状部材の送り移動装置に関する。
【0009】
本発明の一態様によれば、第1自転軸が第1回転駆動部により駆動/非駆動されることで、第1ホイールは正方向または逆方向への自転もしくは停止が選択される。第2自転軸が第2回転駆動部により駆動/非駆動されることで、第2ホイールは正方向または逆方向への自転もしくは停止が選択される。第1ホイール及び第2ホイールの少なくとも一方に設けられた複数の従動ローラーのうちの一つが軸状部材と順次転接する。この従動ローラーの従動回転により、軸状部材の軸方向以外の方向への外力を軸状部材に付与することができる。それにより、軸状部材を単に前進方向又は後退方向に送り移動するだけでなく、軸状部材の姿勢を変更することが可能となる。
【0010】
(2)本発明の一態様(1)において、前記外力は、前記軸状部材の軸線回りに前記軸状部材を回転させる力を含むことができる。それにより、軸状部材の姿勢が変更される。
【0011】
(3)本発明の一態様(1)または(2)において、前記複数の従動ローラーの各々の従動軸は、前記第1自転軸及び前記第2自転軸の対応する一方と非平行とすることができる。それにより、従動ローラーは、軸状部材の軸方向以外の方向への外力を軸状部材に付与することができる。
【0012】
(4)本発明の一態様(3)において、前記軸状部材の軸方向から見た側面視で、前記軸状部材の横断面中心を通り、かつ、前記第1自転軸及び前記第2自転軸と平行な中心線に対して、前記第1ホイールの前記複数の従動ローラーと、前記第2ホイールの前記複数の従動ローラーとは、線対称にすることができる。こうすると、第1ホイール及び第2ホイールにより軸状部材に付与される外力の向きは、第1自転軸及び第2自転軸を互いに逆回転させることで同一方向となり、第1自転軸及び第2自転軸を同一方向に逆回転させることで互いに逆方向となる。より詳しくは、第1ホイール及び第2ホイールにより軸状部材に付与される外力が、軸状部材の軸方向に向かう力であって、軸状部材に同一方向に付与されると、軸状部材は前進または後退移動する。第1ホイール及び第2ホイールにより軸状部材に付与される外力が軸状部材の外周上の対向位置に対する接線方向に向かう力であって、同一方向に付与される同一の大きさであれば、軸状部材は軸心周りで回転しない。これとは逆に、第1ホイール及び第2ホイールにより軸状部材に付与される外力が、軸状部材の軸方向に向かう力であって、軸状部材に互いに逆方向に付与される付与される同一の大きさであれば、軸状部材は、前進も後退もしない。第1ホイール及び第2ホイールにより軸状部材に付与される外力が軸状部材の外周上の対向位置に対する接線方向に向かう力であって、互いに逆方向に付与されると、軸状部材は軸心周りで回転する。
【0013】
(5)本発明の一態様(3)または(4)において、前記従動軸が前記第1自転軸及び前記第2自転軸の対応する一方に対して傾斜する傾斜角は、45°とすることができる。ここで、軸状部材に付与される外力のうち軸状部材の軸線方向と交差する方向の外力に基づいて、軸状部材の軸線方向の分力と接線方向の分力とは、上記傾斜角をθとしてsinθまたはcosθで計算される。θ=45°とすると、第1ホイール及び第2ホイールの回転方向に拘わらず分力の計算が簡易となり、第1ホイールと第2ホイールとの回転制御も簡易となる。ただし、傾斜角θは45°に限定されるものではなく、計算される分力の大きさに基づいて第1ホイールと第2ホイールとで回転速度を変更しても良い。
【0014】
(6)本発明の一態様(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記軸状部材は、内視鏡またはカテーテルを含む医療器具とすることができる。内視鏡が挿入される大腸またはカテーテルが挿入される血管が紆余曲折していても、医療器具の姿勢が変更されることで医療器具の送り移動を円滑に実施することができる。
【0015】
(7)本発明の一態様(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記軸状部材は、工業用内視鏡を含む非医療器具とすることができる。工業用内視鏡等の非医療器具が挿入される例えば管路が紆余曲折していても、非医療器具の姿勢が変更されることで非医療器具の送り移動を円滑に実施することができる。
【0016】
(8)本発明の他の態様は、
上述した本発明の一態様(7)に記載の軸状部材の送り移動装置を用いて、前記軸状部材を送り移動する方法であって、
前記軸状部材を、前進または後退移動する工程と、
前記軸状部材を、前記軸状部材の軸線回りに回転させる工程と、
を有する軸状部材の送り移動方法に関する。
【0017】
本発明の他の態様では、軸状部材に付与される外力は、軸状部材を単に前進方向又は後退方向に送り移動するだけでなく、軸状部材を軸線回りに回転させて軸線部材の姿勢を変更させることができる。
【0018】
(9)本発明の一態様(8)において、前記軸状部材を、前進または後退移動させながら、前記軸線回りに回転させる工程を有することができる。こうして、軸状部材の姿勢を変更させながら軸状部材を送り移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態である送り移動装置の要部の正面図である。
図2図1に示す送り移動装置の平面図である。
図3】軸状部材の前進送り動作を示す正面図である。
図4】軸状部材の前進送り動作を示す平面図である。
図5図5(A)(B)は軸状部材の前進送り動作の理由を説明するための図である。
図6】軸状部材の後退送り動作を示す正面図である。
図7】軸状部材の後退送り動作を示す平面図である。
図8図8(A)(B)は軸状部材の後退送り動作の理由を説明するための図である。
図9】軸状部材の右回転動作を示す正面図である。
図10】軸状部材の右回転動作を示す平面図である。
図11図11(A)(B)は軸状部材の右回転動作の理由を説明するための図である。
図12】軸状部材の左回転動作を示す正面図である。
図13】軸状部材の左回転動作を示す平面図である。
図14図14(A)(B)は軸状部材の左回転動作の理由を説明するための図である。
図15】軸状部材の前進送り+左回転動作を示す正面図である。
図16】軸状部材の前進送り+左回転動作を示す平面図である。
図17】軸状部材の後退送り+右回転動作を示す正面図である。
図18】軸状部材の後退送り+右回転動作を示す平面図である。
図19】軸状部材の前進送り+右回転動作を示す正面図である。
図20】軸状部材の前進送り+右回転動作を示す平面図である。
図21】軸状部材の後退送り+左回転動作を示す正面図である。
図22】軸状部材の後退送り+左回転動作を示す平面図である。
図23】本発明の一実施形態である軸状部材の送り移動装置の正面図である。
図24図23に示す軸状部材の送り装置の平面図である。
図25図23に示す軸状部材の送り装置の側面図である。
図26】内視鏡装置の正面図である。
図27】内視鏡装置の平面図である。
図28図28(A)〜図28(D)は内視鏡装置を用いた軸保持短縮法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0021】
1.送り移動装置の要部
図1及び図2は、送り移動装置100の要部を示す。送り移動装置100は、第1自転軸11を有する第1ホイール10と、第2自転軸21を有する第2ホイール20と、を有する。送り移動される軸状部材1を挟んで、第1ホイール10及び第2ホイール20が軸状部材1の両側に配置される。
【0022】
第1ホイール10及び第2ホイール20の各々は、軸状部材1と接触する位置を含む回転軌跡上に転接面を有する複数の従動ローラー30を有する。複数の従動ローラー30の各々の従動軸31は、第1自転軸11及び第2自転軸21の対応する一方と非平行である。ここで、第1ホイール10に設けられる複数の従動ローラーを30Aと称し、その従動軸を31Aと称する。同様に、第2ホイール20に設けられる複数の従動ローラーを30Bと称し、その従動軸を31Bと称する。従動軸31Aは第1自転軸11と非平行であり、従動軸31Bは第2自転軸21と非平行である。なお、本実施形態では、第1自転軸11と第2自転軸21とは平行である。これに限らず、第1自転軸11と第2自転軸21とを非平行としても良い。
【0023】
第1ホイール10及び第2ホイール20の各々は、第1自転軸11または第2自転軸21に取付けられる平行な2つのローラー支持部材40を有する。ローラー支持部材40は、放射状に延びる端部が屈曲された複数の自由端部40Aを含む。各1本の従動軸31は、2つのローラー支持部材40に設けられた一対の自由端部40A,40Aに支持される。
【0024】
ここで、図1に示すように、従動軸31が第1自転軸11に対して傾斜する傾斜角θは、本実施形態では例えばθ=45°である。従動軸31が第2自転軸21に対して傾斜する傾斜角θも例えば45°である。このような第1ホイール10及び第2ホイール20は、メカナムホイールと称される。メカナムホイールは、全方向移動車両の四輪として用いられることで知られているが、本実施形態のような用途は新規である。
【0025】
本実施形態では、軸状部材1の軸方向から見た図1に示す側面視で、軸状部材1の横断面中心を通り、かつ、第1自転軸11及び第2自転軸21と平行な中心線に対して、第1ホイール10の複数の従動ローラー30と、第2ホイール20の複数の従動ローラー30とが線対称となるように、第1ホイール10及び第2ホイール20が軸状部材1を挟んで両側に配置される。
【0026】
2.送り移動装置の動作
図1及び図2では図示されていないが、移動送り装置100は、駆動源として、第1自転軸11を駆動する第1回転駆動部と、第2自転軸21を正方向または逆方向に駆動する第2回転駆動部と、を有する。第1回転駆動部及び第2回転駆動部は、モーター好ましくはサーボモーターを含み、必要により減速機や回転方向を変換するギア等を含むことができる。以下の各動作では、第1回転駆動部により第1自転軸11が正方向または逆方向に回転されもしくは停止され、第2回転駆動部により第2自転軸21が正方向または逆方向に回転されもしくは停止される。
【0027】
2.1.軸状部材の前進送り
図3及び図4は、軸状部材1の前進移動を示している。図3及び図4に示すように、第1ホイール10は左回転(反時計回り回転)、第2ホイール20は右回転(時計回り回転)される。この場合、第1ホイール10と第2ホイール20の回転速度は等しい。このとき、図4に示すように、外力Fにより軸状部材1は前進方向(+X)送り移動される。図4において、第1ホイール10と第2ホイール20との回転により軸状部材1が前進送りされることは、従動ローラー30A,30Bが従動回転しないと仮定することで容易に理解できる。しかし、実際には、第1,2ホイール10,20の回転により、軸状部材1と接触する従動ローラー30A,30Bが図3の矢印方向に従動回転される。よって、従動ローラー30A,30Bの従動回転によって軸状部材1に外力F以外の外力が付与される。
【0028】
図5(A)(B)に基づいて、従動ローラー30A,30Bの従動回転により軸状部材1に付与される、外力F以外の外力ついて説明する。図5(A)は軸状部材1側から第1ホイール10を見た図であり、図5(B)は軸状部材1側から第2ホイール20を見た図である。なお、図5(A)(B)において、軸状部材1の軸線方向をX軸とし、X軸と直交する高さ軸をZ軸とする。前進方向を+Xとし、例えば垂直上向き方向を+Zとする。
【0029】
図5(A)(B)は、従動ローラー30(30A,30B)から軸状部材1に付与される力を示している。図5(A)において、第1ホイール10の従動ローラー30Aから軸状部材1に付与される回転接線方向の力は−Flである。この力(−Fl)は、X軸方向でマイナス向きの力(−Fl・cos45°)と、Z軸方向でマイナス向きの力(−Fl・sin45°)とに分解される。同様に、図5(B)において、第2ホイール20の従動ローラー30Bから軸状部材1に付与される回転接線方向の力は−Frである。この力(−Fr)は、X軸方向でマイナス向きの力(−Fr・cos45°)と、Z軸方向でマイナス向きの力(−Fr・sin45°)とに分解される。
【0030】
図5(A)の−Fl・cos45°と図5(B)の−Fr・cos45°とはX軸方向のX軸方向でマイナス向きの同じ大きさの力である。しかし、−Fl・cos45°と−Fr・cos45°との合力は、第1,第2ホイール10,20の回転により軸状部材1を前進方向(+X)に移動させる図4の外力Fよりも十分に小さい。よって、軸状部材1は図4及び図5(A)(B)の前進方向(+X)に移動される。
【0031】
一方、図5(A)のZ軸方向でマイナス向きの力(−Fl・sin45°)と、図5(B)のZ軸方向でマイナス向きの力(−Fr・sin45°)とは、軸心回りで回転可能に支持される軸状部材1の直径方向で互いに反対側の面に生ずる。よって、これらの力が軸状部材1の直径方向で互いに反対側の面に作用すると、軸状部材1の軸心周りで見ると互いに逆方向の回転を生ずる互いに釣り合う力となる。よって、軸状部材1はその軸心周りで回転することがない。
【0032】
2.2.軸状部材の後退送り
図6及び図7は、軸状部材1の前進移動を示している。図6及び図7に示すように、第1ホイール10は右回転、第2ホイール20は左回転される。この場合も、第1ホイール10と第2ホイール20の回転速度は等しい。このとき、図7に示すように、軸状部材1は外力Fにより後退方向(−X)に送り移動される。
【0033】
図8(A)(B)に基づいて、従動ローラー30A,30Bの従動回転により軸状部材1に付与される、図7の外力F以外の外力ついて説明する。図8(A)において、第1ホイール10の従動ローラー30Aから軸状部材1に付与される回転接線方向の力Flは、X軸方向でプラス向きの力(Fl・cos45°)と、Z軸方向でプラス向きの力(Fl・sin45°)とに分解される。同様に、図8(B)において、第2ホイール20の従動ローラー30Bから軸状部材1に付与される回転接線方向の力Frは、X軸方向でプラス向きの力(Fr・cos45°)と、Z軸方向でプラス向きの力(Fr・sin45°)とに分解される。
【0034】
図8(A)のFl・cos45°と図8(B)のFr・cos45°とはX軸方向のプラス向きの同じ大きさの力である。しかし、+Fl・cos45°と+Fr・cos45°との合力は、第1,第2ホイール10,20の回転により軸状部材1を後退方向(−X)に移動させる図7の外力Fよりも十分に小さい。よって、軸状部材1は図7及び図8(A)(B)の後退方向(−X)に移動される。
【0035】
一方、図8(A)のZ軸方向でプラス向きの力(Fl・sin45°)と図8(B)のZ軸方向でプラス向きの力(Fr・sin45°)とは、軸心回りで回転可能に支持される軸状部材1の直径方向で互いに反対側の面に生ずる。よって、これらの力が軸状部材1の直径方向で互いに反対側の面に作用すると、軸状部材1の軸心周りで見ると互いに逆方向の回転を生ずる互いに釣り合う力となる。よって、軸状部材1はその軸心周りで回転することがない。
【0036】
2.3.軸状部材の右回転
図9及び図10は、軸状部材1の右回転を示している。図9及び図10に示すように、第1ホイール10及び第2ホイール20は共に右回転される。この場合も、第1ホイール10と第2ホイール20の回転速度は等しい。このとき、図10に示すように、軸状部材1を前進させる力Faと後退させる力Fbは釣り合い、軸状部材1は軸線方向には送り移動されない。
【0037】
図11(A)(B)に基づいて、従動ローラー30A,30Bの従動回転により軸状部材1に付与される、図10の外力Fa及びFb以外の外力ついて説明する。図11(A)において、第1ホイール10の従動ローラー30Aから軸状部材1に付与される回転接線方向の力(+Fl)は、X軸方向でプラス向きの力(Fl・cos45°)と、Z軸方向でプラス向きの力(Fl・sin45°)とに分解される。同様に、図11(B)において、第2ホイール20の従動ローラー30Bから軸状部材1に付与される回転接線方向の力(−Fr)は、X軸方向でマイナス向きの力(−Fr・cos45°)と、Z軸方向でマイナス向きの力(−Fr・sin45°)とに分解される。
【0038】
図11(A)のX軸方向でプラス向きの力(Fl・cos45°)と図11(B)のX軸方向でマイナス向きの力(−Fr・cos45°)とは、X軸方向で互いに逆向きの同じ大きさの力であり、相殺される。よって、軸状部材1は軸線方向(X軸方向)には送り移動されない。
【0039】
一方、図11(A)のZ軸方向でプラス向きの力(Fl・sin45°)と、図11(B)のZ軸方向でマイナス向きの力(−Fr・sin45°)とは、軸心回りで回転可能に支持される軸状部材1の直径方向で互いに反対側の面に生ずる。よって、これらの力が軸状部材1の直径方向で互いに反対側の面に作用すると、軸状部材1の軸心周りで見ると同一方向の回転を生ずる力となる。よって、図11(A)の力(Fl・sin45°)と図11(B)の力(−Fr・sin45°)との合力が、軸状部材1の軸心周りで軸状部材1を右回転させる。
【0040】
2.4.軸状部材の左回転
図12及び図13は、軸状部材1の左回転を示している。図12及び図13に示すように、第1ホイール10及び第2ホイール20は共に左回転される。この場合も、第1ホイール10と第2ホイール20の回転速度は等しい。このとき、図13に示すように、軸状部材1を前進させる力Faと後退させる力Fbは釣り合い、軸状部材1は軸線方向には送り移動されない。
【0041】
図14(A)(B)に基づいて、従動ローラー30A,30Bの従動回転により軸状部材1に付与される、図13の外力Fa及びFb以外の外力ついて説明する。図14(A)において、第1ホイール10の従動ローラー30Aから軸状部材1に付与される回転接線方向の力(−Fl)は、X軸方向でマイナス向きの力(−Fl・cos45°)と、Z軸方向でマイナス向きの力(−Fl・sin45°)とに分解される。同様に、図14(B)において、第2ホイール20の従動ローラー30Bから軸状部材1に付与される回転接線方向の力(Fr)は、X軸方向でプラス向きの力(Fr・cos45°)と、Z軸方向でプラス向きの力(Fr・sin45°)とに分解される。
【0042】
図14(A)のX軸方向でマイナス向きの力(−Fl・cos45°)と、図14(B)のX軸方向でプラス向きの力(Fr・cos45°)とは、X軸方向で互いに逆向きの同じ大きさの力であり、相殺される。よって、軸状部材1は軸線方向(X軸方向)には送り移動されない。
【0043】
一方、図14(A)のZ軸方向でマイナス向きの力(−Fl・sin45°)と、図14(B)のZ軸方向でプラス向きの力(Fr・sin45°)とは、軸心回りで回転可能に支持される軸状部材1の直径方向で互いに反対側の面に生ずる。よって、これらの力が軸状部材1の直径方向で互いに反対側の面に作用すると、軸状部材1の軸心周りで見ると同一方向の回転を生ずる力となる。よって、図14(A)の力(Fl・sin45°)と図14(B)の力(−Fr・sin45°)との合力が、軸状部材1の軸心周りで軸状部材1を左回転させる。
【0044】
2.5.軸状部材の前進送り+左回転
図15及び図16は、軸状部材1を左回転しながらの前進送りを示している。図15及び図16に示すように、第1ホイール10が左回転される一方で第2ホイール20は駆動停止される。
【0045】
第1ホイール10が左回転されることで、軸状部材1が図16の外力Fにより前進方向(+X)に送り移動されることは容易に理解される。図14(A)に基づいて、従動ローラー30Aの従動回転により軸状部材1に付与される、図16の外力F以外の外力ついて説明する。なお、図15に示すように、回転駆動されない第2ホイール20の従動ローラー30Bは軸状部材1の移動により図15の矢印方向に従動回転されるが、従動ローラー30Bから軸状部材1に外力が付与されることはない。図14(A)において、第1ホイール10の従動ローラー30Aから軸状部材1に付与される回転接線方向の力(−Fl)は、X軸方向でマイナス向きの力(−Fl・cos45°)と、Z軸方向でマイナス向きの力(−Fl・sin45°)に分解される。
【0046】
図14(A)のX軸方向でマイナス向きの力(−Fl・cos45°)が軸状部材1に付与されることで、軸状部材1を軸線方向(X軸方向)で後退送りさせる。しかし、この後退方向の力(−Fl・cos45°)は、第1ホイール10の回転により軸状部材1を前進方向(+X)に移動させる図16の外力Fよりも十分に小さい。よって、軸状部材1は図16及び図14(A)の前進方向(+X)に送り移動される。図14(A)のZ軸方向でマイナス向きの力(−Fl・sin45°)が、軸心回りで回転可能に支持される軸状部材1の左面に生ずる。よって、この力が軸状部材1の左面に作用して、軸状部材1の軸心周りで軸状部材1を左回転させる。
【0047】
2.6.軸状部材の後退送り+右回転
図17及び図18は、軸状部材1を右回転しながらの後退送りを示している。図17及び図18に示すように、第1ホイール10が右回転される一方で第2ホイール20は駆動停止される。
【0048】
第1ホイール10が右回転されることで、軸状部材1が図18の外力Fにより後退方向(−X)に送り移動されることは容易に理解される。図11(A)に基づいて、従動ローラー30Aの従動回転により軸状部材1に付与される、図18の外力F以外の外力ついて説明する。なお、図17に示すように、回転駆動されない第2ホイール20の従動ローラー30Bは軸状部材1の移動により図17の矢印方向に従動回転されるが、従動ローラー30Bから軸状部材1に外力が付与されることはない。図11(A)において、第1ホイール10の従動ローラー30Aから軸状部材1に付与される回転接線方向の力(Fl)は、X軸方向でプラス向きの力(Fl・cos45°)と、Z軸方向でプラス向きの力(Fl・sin45°)に分解される。
【0049】
図11(A)のX軸方向でプラス向きの力(Fl・cos45°)が軸状部材1に付与されることで、軸状部材1を軸線方向(X軸方向)で前進送りさせる。しかし、この前進方向の力(Fl・cos45°)は、第1ホイール10の回転により軸状部材1を後退方向(−X)に移動させる図18の外力Fよりも十分に小さい。よって、軸状部材1は図18及び図11(A)の後退方向(−X)に送り移動される。図11(A)のZ軸方向でプラス向きの力(Fl・sin45°)が、軸心回りで回転可能に支持される軸状部材1の左面に生ずる。よって、この力が軸状部材1の左面に作用して、軸状部材1の軸心周りで軸状部材1を右回転させる。
【0050】
2.7.軸状部材の前進送り+右回転
図19及び図20は、軸状部材1を右回転しながらの前進送りを示している。図19及び図20に示すように、第2ホイール20が右回転される一方で第1ホイール10は駆動停止される。
【0051】
第2ホイール20が右回転されることで、軸状部材1が図20の外力Fにより前進方向(+X)に送り移動さされることは容易に理解される。図11(B)に基づいて、従動ローラー30Bの従動回転により軸状部材1に付与される、図20の外力F以外の外力ついて説明する。なお、図19に示すように、回転駆動されない第1ホイール10の従動ローラー30Aは軸状部材1の移動により図19の矢印方向に従動回転されるが、従動ローラー30Aから軸状部材1に外力が付与されることはない。図11(B)において、第2ホイール20の従動ローラー30Bから軸状部材1に付与される回転接線方向の力(−Fr)は、X軸方向でマイナス向きの力(−Fr・cos45°)と、Z軸方向でマイナス向きの力(−Fr・sin45°)に分解される。
【0052】
X軸方向でマイナス向きの力(−Fr・cos45°)が軸状部材1に付与されることで、軸状部材1を軸線方向(X軸方向)で後退送りさせる。しかし、この後退方向の力(−Fr・cos45°)は、第2ホイール20の回転により軸状部材1を前進方向(+X)に移動させる図20の外力Fよりも十分に小さい。よって、軸状部材1は図20及び図11(B)の前進方向(+X)に送り移動される。図11(B)のZ軸方向でマイナス向きの力(−Fr・sin45°)が、軸状部材1の回転接線方向に付与される。よって、図11(B)のZ軸方向でマイナス向きの力(−Fr・sin45°)が、軸状部材1の右面に作用することで、軸状部材1の軸心周りで軸状部材1を右回転させる。
【0053】
2.8.軸状部材の後退送り+左回転
図21及び図22は、軸状部材1を左回転しながらの後退送りを示している。図21及び図22に示すように、第2ホイール20が左回転される一方で第1ホイール10は駆動停止される。
【0054】
第2ホイール20が左回転されることで、軸状部材1が図22の外力Fにより後退方向(−X)に送り移動されることは容易に理解される。図14(B)に基づいて、従動ローラー30Bの従動回転により軸状部材1に付与される、図22の外力F以外の外力ついて説明する。なお、図21に示すように、回転駆動されない第1ホイール10の従動ローラー30Aは軸状部材1の移動により図21の矢印方向に従動回転されるが、従動ローラー30Aから軸状部材1に外力が付与されることはない。図14(B)において、第2ホイール20の従動ローラー30Bから軸状部材1に付与される回転接線方向の力(Fr)は、X軸方向でプラス向きの力(Fr・cos45°)と、Z軸方向でプラス向きの力(Fr・sin45°)に分解される。
【0055】
図14(B)のX軸方向でプラス向きの力(Fr・cos45°)が軸状部材1に付与されることで、軸状部材1を軸線方向(X軸方向)で前進送りさせる。しかし、この前進方向の力(Fl・cos45°)は、第2ホイール20の回転により軸状部材1を後退方向(−X)に移動させる図22の外力Fよりも十分に小さい。よって、軸状部材1は図22及び図14(B)の後退方向(−X)に送り移動される。図14(B)のZ軸方向でプラス向きの力(Fr・sin45°)が、軸状部材1の回転接線方向に付与される。よって、図11(B)のZ軸方向でプラス向きの力(Fr・sin45°)が、軸状部1の右面に作用することで、軸状部材1の軸心周りで軸状部材1を左回転させる。
【0056】
なお、図15図22において、第1,第2ホイール10,20の一方を回転させ他方を停止させたが、第1,第2ホイール10,20を、回転速度差をもって共に回転させてもよい。
【0057】
3.送り移動装置の詳細
次に、上述した送り移動装置100の一構成例を図23図25を参照して説明する。送り移動装置100は、図24に示すように、ベース盤50に固定されたガイド51,52に沿ってY軸方向にスライド移動可能な第1可動部60及び第2可動部70を有する。第1可動部60には、図23に示すように第1ホイール10の第1自転軸11を駆動する第1モーター61が搭載される。第2可動部70には第2ホイール20の第2自転軸21を駆動する第2モーター71が搭載される。図23及び図25に示すように、第1モーター61の出力軸に固定された平歯車62は、第1自転軸11に固定された冠歯車(クラウンギア)63と噛み合うことで、回転力が直交変換される。同様に、第2モーター71の出力軸に固定された平歯車72は、第2自転軸21に固定された冠歯車(クラウンギア)73と噛み合うことで、回転力が直交変換される。本実施形態では、第1モーター61と2つの歯車62,63とで第1回転駆動部が構成され、第2モーター71と2つの歯車72,73とで第2回転駆動部が構成される。ただし、第1モーター61を第1自転軸に直結させ、第2モーター71を第2自転軸21に直結させて、直交変換用歯車を省略してもよい。
【0058】
図23に示すように、第1可動部60と第2可動部70とは付勢部材例えば引っ張りコイルスプリング53で連結されている。それにより、図23に示すように、第1ホイール10の従動ローラー30Aと、第2ホイール20の従動ローラー30Bとの間で、軸状部材1は弾性的に挟持される。ただし、従動ローラー30A,30Bの転接面が弾性を有し、かつ、第1,第2可動部60,70のY軸方向の任意位置で固定できれば、付勢部材53は省略しても良い。
【0059】
図24及び図25に示すように、ベース盤50に軸状部材1の第1ガイド80及び第2ガイド90を設けても良い。第1ガイド80及び第2ガイド90は、第1ホイール10及び第2ホイール20により挟持される軸状部材1の位置を挟んで、X軸方向の両側に配置される。第1ガイド80では、玉軸受け81を保持する下部固定部82と、玉軸受け83を保持する上部可動部84との間に付勢部材例えば引っ張りコイルスプリング85が配置される。それにより、2つの玉軸受け81,83の間に軸状部材1が送り移動及び回転可能に保持される。同様に、第2ガイド90では、玉軸受け91を保持する下部固定部92と、玉軸受け93を保持する上部可動部94との間に付勢部材例えば引っ張りコイルスプリング95が配置される。
【0060】
4.内視鏡装置
次に、上述した送り移動装置100を用いた内視鏡装置200について、図26図28を参照して説明する。内視鏡装置200は、軸状部材1として内視鏡2が供給される送り装置100と、送り装置100のコントローラー110、内視鏡2のコントローラー120と、コントローラー110,120と接続されたパーソナルコンピューター(PC)130と、PC130に接続されたモニター140とを含む。内視鏡2は、ベッド150上の患者3の大腸に挿入される。このとき、挿入補助機160を用いても良い。医師4は、PC130に接続されるキーボードやマウスなどの入力装置を介して内視鏡2を操作する。内視鏡2の前進、後退、右回転、左回転、あるいはそれらの組み合わせは、医師4により操作入力された情報がPC130、コントローラー110を介して第1,第2モーター61,71に伝達されることで実施される。
【0061】
図28(A)〜図28(D)は、送り装置100を用いて行われる軸保持短縮法を模式的に示している。図28(A)では、送り装置100により内視鏡2が大腸内に挿入されて前進される。図28(A)に示すように内視鏡2の先端部が内視鏡コントローラー120により折り曲げられた後に、送り装置100により内視鏡2が例えば左右に回転される。それにより、図28(B)に示すように、内視鏡2が挿入された大腸部位がほぼ真っ直ぐになる。次に、図28(B)に示すように、送り装置100により内視鏡2が後退される。それにより、図28(C)に示すように、内視鏡2が挿入された大腸部位は短縮される。図28(C)に示す状態から、送り装置100により内視鏡2をさらに後退させながら内視鏡2を例えば左右に回転させる。これにより、図28(D)に示すように、大腸のS字状部分は比較的なだらかとなるので、その後の内視鏡2の前進送りを円滑に実施することができる。
【0062】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【0063】
例えば、本発明の送り移動される対象の軸状部材としては、内視鏡の他にカテーテル等の医療器具であっても良いし、あるいは工業用内視鏡、敷設用ケーブル、管路洗浄用チューブ等の非医療器具であっても良い。
【0064】
また、第1,第2ホイール10,20は、メカナムホイールに限らず、自転軸と従動軸との傾斜角θが45°以外のものや、オムニホイールを改良したもの等を採用してもよい。要は、従動ローラー30から軸状部材1に、軸状部材1の軸線方向以外の分力を含む外力を付与できればよい。
【0065】
第1,第2ホイール10,20を有する送り装置100を、軸状部材1に沿って複数配置して、送り移動力を増大させても良い。この場合、送り装置100の第1モーター61及び第2モーター71を、複数の送り装置100間で同期させることができる。あるいは、各送り装置100で第1モーター61を共用し、かつ、第2モーター71を共用しても良い。
【符号の説明】
【0066】
1 軸状部材、2 内視鏡、3 患者、4 医師、10 第1ホイール、11 第1自転軸、20 第2ホイール、21 第2自転軸、30,30A,30B 従動ローラー、31,31A,31B 従動軸、40 ローラー支持部材、40A 自由端部、61〜63 第1回転駆動部、71〜73 第2回転駆動部、100 送り移動装置、110 コントローラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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