特開2020-192593(P2020-192593A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2020192593-金属の接合構造及びその接合方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-192593(P2020-192593A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】金属の接合構造及びその接合方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/00 20060101AFI20201106BHJP
【FI】
   B23K9/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2019-101201(P2019-101201)
(22)【出願日】2019年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】五之治 巧
(72)【発明者】
【氏名】川口 聡
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001AA03
4E001BB07
4E001BB08
4E001DF01
4E001DG01
4E001QA02
(57)【要約】
【課題】金属材の接合強度が高く、接合部のシール性に優れる金属の接合構造及びその接合方法の提供を目的とする。
【解決手段】金属間の接合構造であって、アーク溶接による溶接層と発泡剤によるシール層とを有していることを特徴とする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属間の接合構造であって、アーク溶接による溶接層と発泡剤によるシール層とを有していることを特徴とする金属の接合構造。
【請求項2】
アーク溶接時の熱又は余熱を利用して発泡剤を発泡させることで、アーク溶接層と発泡剤によるシール層とを形成することを特徴とする金属の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属材同士を接合する際に、水密,気密性等のシール性の向上を図った接合構造及びその接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池を駆動源に用いる電気自動車やハイブリッド自動車において、電池モジュールを車体に搭載するため、この電池モジュールを収容するケース体が検討されている。
この種のケース体を車両のフロア下等、車体の外部側に搭載する場合には、外部から水等が浸入するのを防ぐ必要がある。
ケース体は、鋼,アルミニウム合金等の板材やフレーム材等を接合して製作される。
この場合に接合方法としては、融接,圧接,ろう接等の多くの接合方法が検討されているが、融接は金属同士の接合強度が高く生産性に優れ、この融接の中でもアーク放電を利用したTIG溶接,MIG溶接等のアーク溶接は接合強度が高く、広く採用されている。
しかし、アーク溶接は母材や溶加材をアーク熱にて溶融する接合方法であるために、ブローホール等の内部欠陥が発生すると、水密性等のシール性能が低下するという技術的課題がある。
【0003】
例えば、特許文献1には鋼板等の裏波溶接を行う場合に、開先の裏側を外気との接触を防ぐ目的で泡体で覆う方法が開示されている。
しかし、同公報に開示する泡体は外気を遮断するのが目的であって、溶接欠陥の発生を低減する効果はあっても、溶接欠陥部のシール性を向上させるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−239535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、金属材の接合強度が高く、接合部のシール性に優れる金属の接合構造及びその接合方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る金属の接合構造は、金属間の接合構造であって、アーク溶接による溶接層と発泡剤によるシール層とを有していることを特徴とする。
このような接合構造を得る方法としては、アーク溶接時の熱又は余熱を利用して発泡剤を発泡させることで、アーク溶接層と発泡剤によるシール層とを形成することができる。
【0007】
本発明におけるアーク溶接は、シールドガスを用いたTIG溶接,MIG溶接が好ましく、金属材は溶融接合ができるものであれば特に制限はない。
電池モジュールのケース体を製作するには、軽量化を目的にアルミニウム合金の板材やフレーム材を用いることもできる。
【0008】
本発明に用いる発泡剤は、アーク溶接時に発生したブローホール等の欠陥部に、シール材となるゴムやプラスチック基材が発泡による膨張力により浸透させることができ、また、溶接接合する相互の金属材の間に発泡によるシール層を形成することができる。
シール基材としては、EPDMゴム,シリコンゴム,ウレタン樹脂等が例として挙げられる。
本明細書では、シール基材に発泡成分を含有させたものを発泡剤と表現した。
本発明においては、アーク溶接時の熱やアーク溶接後の余熱にて加熱発泡する発泡剤を用いた点に特徴がある。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る接合構造にあっては、アーク溶接層にブローホール等のシール性を低下させる部分が発生しても、その部分に発泡剤による発泡力にて、この発泡剤の基材が浸透しシール性が向上した接合部が得られる。
また、アーク溶接時の余熱を利用して、相互の金属材の間にシール層を形成することもできる。
特に本発明においては、アーク溶接時の熱やその後の余熱を利用して発泡させるので生産性に優れる。
これにより、従来の接着剤や含浸剤を用いたシール構造よりも工程が短く、シール性能にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る接合構造を採用した電池モジュールのケース体の例を示す。
図2】実施例1の接合の流れを(a)〜(c)に示す。
図3】実施例2の接合の流れを(a)〜(c)に示す。
図4】実施例3として連結ピースを用いて接合する例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る接合構造の例として、電池モジュールを収容するケース体に適用した例で以下説明するが、接合の対象となる製品に限定はない。
図1に示した実施例はアルミ製のケース体の例であり、複数の電池モジュールを収容し車体のフロア下に搭載する例である。
それぞれ断面略コ字形状のフロントフレーム11と対向配置したリアフレーム12の両端部をサイドフレーム13,14にて接合連結してある。
また、中央部にはセンターフレーム15を配置した例になっている。
また、これらの枠状にしたフレーム体の下側を底板16にて塞ぎ、内部が水密性を有するようになっている。
【0012】
図2はコーナー部を接合する実施例1を示す。
図2(a)はケース体の内側コーナーから裏面側に沿って、発泡剤1を塗布した状態を示す。
図2(a)の左側はフロントフレーム11の端部に接合するサイドフレーム13の断面図を示す。
サイドフレーム13は上辺部13a,側壁部13b,下辺部13cが略コ字形状になっている。
次に発泡剤1を塗布した反対側からアーク溶接をしたのが図2(b)に示す状態であり、アーク溶接時の熱にて発泡剤が発泡し、その際にアーク溶接層の微細な隙間等に発泡剤に含まれる基材が含浸される。
余分な発泡剤を除去すると、図2(c)に示すようにアーク溶接層の裏側に一体的に発泡層が形成される。
【0013】
図3は実施例2を示す。
図3(a)に示すようにアーク溶接し、その後に直に発泡剤を塗布すると、図3(b)に示すように余熱にて発泡剤が発泡する。
この場合に、アーク溶接時の余熱を有効利用しやすくするために、図3(a)に示したアーク溶接のトーチ2aの移動方向の後ろ側から発泡剤1bの塗布ノズルを追随させるのが好ましい。
余分な発泡剤を除去したのが、図3(c)の状態である。
この場合には、アーク溶接層の表面側にシール性の高い発泡層が形成される。
【0014】
図4に実施例3を示す。
実施例3は、例えばサイドフレーム13とリアフレーム12とのコーナー部を別部材の連結ピース17を用いて接合する例である。
連結ピース17は図4(b)に部分拡大図を示すように、リアフレーム12の側壁部12bの端部を差し込むための連結凹部17cを両側の接合片17a,17bで形成してある。
また、他方にはサイドフレーム13の側壁部13bの端部を差し込むための連結凹部17fを両側の接合片17d,17eにて形成してある。
接合時には、この連結凹部17c,17fの内側に発泡剤1を塗布し、図4(c)に示すように連結ピース17の左右の連結凹部17c,17fにサイドフレーム13とリアフレーム12をそれぞれ差し込み、接合片の端部をアーク溶接する。
このアーク溶接時の余熱にて発泡剤が発泡し、差し込まれた側壁部12b,13bと連結ピース17の接合片(17a,17b),(17d,17e)との間にシール層が形成される。
このように連結ピースを用いると発泡剤の塗布が容易になり、フレーム材のコーナー部等、複雑な接合構造にも対応しやすくなる。
また、発泡剤が発泡するその浸透圧にて、接合材の間に微密なシール層を形成することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 発泡剤
2 アーク溶接層
11 フロントフレーム
12 リアフレーム
13 サイドフレーム
14 サイドフレーム
15 センターフレーム
16 底板
17 連結ピース
図1
図2
図3
図4