特開2020-192823(P2020-192823A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2020-192823車両用灯具の制御装置、車両用灯具の制御方法、車両用灯具システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-192823(P2020-192823A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】車両用灯具の制御装置、車両用灯具の制御方法、車両用灯具システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/12 20060101AFI20201106BHJP
【FI】
   B60Q1/12 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-97650(P2019-97650)
(22)【出願日】2019年5月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】特許業務法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】細山 勇騎
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA22
3K339BA25
3K339BA26
3K339CA01
3K339DA01
3K339GB01
3K339KA01
3K339KA07
3K339MA01
3K339MC01
3K339MC14
3K339MC23
3K339MC27
3K339MC35
3K339MC36
3K339MC43
3K339MC90
(57)【要約】      (修正有)
【課題】AFS制御をより適切に実行可能な技術を提供する。
【解決手段】車両の進行方向に応じて車両用灯具による光照射方向を可変に設定する車両用灯具の制御装置であって、道路の曲率半径に関する閾値を車両の舵角に応じて可変に設定し、車両が走行中の道路の曲率半径として推定される値の絶対値が前記閾値よりも小さい場合に、舵角に対応する方向へ車両用灯具の光照射方向を変化させるように制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向に応じて車両用灯具による光照射方向を可変に設定する車両用灯具の制御装置であって、
道路の曲率半径に関する閾値を車両の舵角に応じて可変に設定し、前記車両が走行中の道路の曲率半径として推定される値の絶対値が前記閾値よりも小さい場合に、前記舵角に対応する方向へ前記車両用灯具の光照射方向を変化させるように制御する、
車両用灯具の制御装置。
【請求項2】
前記閾値は、所定範囲において前記舵角の絶対値の増加に伴って増加する、
請求項1に記載の車両用灯具の制御装置。
【請求項3】
前記閾値は、前記所定範囲外において一定値である、
請求項2に記載の車両用灯具の制御装置。
【請求項4】
前記車両が走行中の道路の曲率半径として推定される値は、前記車両が走行中の道路における道路標識又は区画線の曲率半径に基づいて求められる、
請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用灯具の制御装置。
【請求項5】
前記道路標識又は区画線の曲率半径の値の正負と前記舵角の値の正負に基づいて、前記光照射方向の変更の要否を判断する、
請求項1〜5の何れか1項に記載の車両用灯具の制御装置。
【請求項6】
車両の進行方向に応じて車両用灯具による光照射方向を可変に設定する車両用灯具の制御装置であって、
道路の曲率半径に関する閾値を車両の舵角に応じて可変に設定する設定部と、
前記車両が走行中の道路の実際の曲率半径の推定値が前記閾値よりも小さい場合に、前記舵角に対応する方向へ前記車両用灯具の光照射方向を変化させるように制御する配光方向制御部と、
を含む、車両用灯具の制御装置。
【請求項7】
車両の進行方向に応じて車両用灯具による光照射方向を可変に設定する車両用灯具の制御方法であって、
制御装置が、道路の曲率半径に関する閾値を車両の舵角に応じて可変に設定し、前記車両が走行中の道路の曲率半径として推定される値の絶対値が前記閾値よりも小さい場合に、前記舵角に対応する方向へ前記車両用灯具の光照射方向を変化させるように制御する、
車両用灯具の制御方法。
【請求項8】
請求項1〜6の何れかの制御装置と、
前記制御装置によって制御される一対の前照灯と、
を含む、車両用前照灯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カーブ路の走行時等において車両の進行方向に応じて車両用灯具による光照射方向を可変に制御する配光制御技術が知られている。このような配光制御は、AFS(Adaptive Front-Lighting System)制御と称される。例えば、特開2006−096158号公報(特許文献1)には、上記のAFS制御を行う際に、車両の舵角(操舵角)に基づいてカーブ路であるかどうかを判断し、カーブ路であると判断される場合には、路上の白線を画像認識処理して得られるカーブ路の曲率半径に基づいてヘッドライトによる光照射方向を設定するという技術が記載されている。
【0003】
ところで、上記した従来技術のAFS制御では、カーブ路かどうかを判断するために用いる舵角の閾値を比較的大きな値に設定した場合には、カーブ路の序盤区間(緩和曲線区間)において舵角が閾値を超えず光照射方向が可変に設定されないという不都合が生じ得る。これに対して、舵角の閾値を比較的小さな値に設定することも考え得る。しかし、この場合には直線路走行時において舵角が僅かに変化した場合にも舵角が閾値を超えるため頻繁にAFS制御が行われてしまい煩わしいという不都合が生じ得る。さらに、直線路あるいはカーブ路の序盤区間では画像認識処理により得られるカーブ路の曲率半径が不正確である場合が少なくないため、曲率半径に基づくAFS制御により設定される光照射方向が必ずしも好適な方向とならない場合も生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−096158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に係る具体的態様は、AFS制御をより適切に実行可能な技術を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係る一態様の車両用灯具の制御装置は、(a)車両の進行方向に応じて車両用灯具による光照射方向を可変に設定する車両用灯具の制御装置であって、(b)道路の曲率半径に関する閾値を車両の舵角に応じて可変に設定し、前記車両が走行中の道路の曲率半径として推定される値の絶対値が前記閾値よりも小さい場合に、前記舵角に対応する方向へ前記車両用灯具の光照射方向を変化させるように制御する、車両用灯具の制御装置である。
[2]本発明に係る一態様の車両用灯具の制御装置は、(a)車両の進行方向に応じて車両用灯具による光照射方向を可変に設定する車両用灯具の制御装置であって、(b)道路の曲率半径に関する閾値を車両の舵角に応じて可変に設定する設定部と、(c)前記車両が走行中の道路の実際の曲率半径の推定値が前記閾値よりも小さい場合に、前記舵角に対応する方向へ前記車両用灯具の光照射方向を変化させるように制御する配光方向制御部と、を含む、車両用灯具の制御装置である。
[3]本発明に係る一態様の車両用灯具の制御方法は、(a)車両の進行方向に応じて車両用灯具による光照射方向を可変に設定する車両用灯具の制御方法であって、(b)制御装置が、道路の曲率半径に関する閾値を車両の舵角に応じて可変に設定し、前記車両が走行中の道路の曲率半径として推定される値の絶対値が前記閾値よりも小さい場合に、前記舵角に対応する方向へ前記車両用灯具の光照射方向を変化させるように制御する、車両用灯具の制御方法である。
[4]本発明に係る一態様の車両用灯具システムは、(a)前記制御装置と、(b)前記制御装置によって制御される一対の前照灯と、を含む、車両用前照灯システムである。
【0007】
上記構成によれば、AFS制御をより適切に実行可能な技術が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の車両用灯具システムの構成を示す図である。
図2図2(A)は、LED光源の構成を概略的に示す平面図である。図2(B)は、LED光源の光学的な配置状態を示す側面図である。
図3図3は、閾値設定部により設定される閾値について説明するための図である。
図4図4(A)は、AFS設定部による光照射方向の設定方法について説明するための図である。図4(B)は、ターゲット角度および接点までの距離の計算結果の一例を示す図である。
図5図5は、車両用灯具システムの制御部の動作手順を示すフローチャートである。
図6図6(A)〜図6(D)は、車両用灯具システムによる効果の一例を説明するための平面図である。
図7図7(A)は、車両用灯具システムにおけるAFS制御の実施/不実施の判断例を一覧にした図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、一実施形態の車両用灯具システムの構成を示す図である。図示の車両用灯具システムは、車両の前方に配置される一対の前照灯の各々による光照射方向を可変に設定して光照射を行うものであり、撮像ユニット10、舵角センサ11、制御部12、一対のランプユニット13L、13Rを含んで構成されている。なお、撮像ユニット10、舵角センサ11および制御部12が「制御装置」に対応する。
【0010】
本実施形態の車両用灯具システムは、自車両がカーブ路を進行する際に、一対のランプユニット13L、13Rによる光照射方向を自車両の曲進方向に対応した第1方向へ設定するものである。なお、以下の説明では、車両の通行帯が左側通行を原則とされている場合を想定する。
【0011】
撮像ユニット10は、カメラと画像処理部を備えており、カメラによって撮影された画像(映像)に対して所定の画像処理を行うことにより、自車両の前方に存在する対象体を検出する。ここでいう「対象体」とは、例えば、前方車両、歩行者、自転車搭乗者、障害物、路面上の白線などの路面標示などが該当する。また、本実施形態の撮像ユニット10は、路上の白線を検出し、その曲がり具合に基づいて曲率半径を求め、当該曲率半径を制御部12へ出力する。本実施形態では、白線の曲率半径は、自車両が走行中の道路の曲率半径として推定される値として扱われる。
【0012】
舵角センサ11は、車両のハンドル操作に基づく操舵角の大きさを検出する。ここで検出される操舵角は、ハンドル操作によるステアリング軸の操作角でもよいし、実際にタイヤに生じる切れ角の角度でもよい。
【0013】
なお、撮像ユニット10や舵角センサ11に相当するものが他の用途(例えば、ハンドルアシスト機能、自動ブレーキ機能等)に関する装置のために車両に備わっている場合には、その出力を用いることにより撮像ユニット10等を省略することもできる。
【0014】
制御部12は、例えばCPU、ROM、RAM等を有するコンピュータシステムを用い、このコンピュータシステムにおいて所定の動作プログラムを実行させることによって実現される。この制御部12は、機能ブロックとしての閾値設定部20、AFS設定部21および配光制御部22を有する。
【0015】
閾値設定部20は、カーブ路に対応して各ランプユニット13L、13Rによる光照射方向を可変に設定するか否かを判定するための閾値を設定する。本実施形態では、撮像ユニット10から得られる路上の白線の曲率半径に応じて判定が行われる。このため、閾値設定部20は、閾値として、曲率半径に対応する値を設定する。また、本実施形態では、舵角センサ11によって検出される舵角が一定範囲内にある場合において、この舵角の大きさに応じて閾値の大きさを可変に設定する。閾値の具体例などの詳細については後述する。
【0016】
AFS設定部21は、撮像ユニット10から得られる白線の曲率半径に関する情報と閾値設定部20により設定される閾値に基づいて各ランプユニット13L、13Rによる光照射方向の変更の要否を判断し、光照射方向を変更する場合には、白線の曲率半径に基づいて各ランプユニット13L、13Rによる光照射方向を設定する。
【0017】
配光制御部22は、AFS設定部21により設定された各ランプユニット13L、13Rの光照射方向に対応して光照射が行われるようにするための制御信号を生成し、当該制御信号を各ランプユニット13L、13Rに供給する。
【0018】
なお、閾値設定部20が「設定部」に対応し、AFS設定部21および配光制御部22が「配光方向制御部」に対応する。
【0019】
車両前部の左側に設置されるランプユニット13L、車両前部の右側に設置される右側ランプユニット13Rは、それぞれ、光源駆動部30とLED光源31を含んで構成されている。光源駆動部30は、配光制御部22から与えられる制御信号に基づいてLED光源31に対して駆動電力を供給する。LED光源31は、少なくとも一方向に配列された複数のLED(発光素子)を含んで構成されており、光源部30に駆動されて光を放出する。
【0020】
図2(A)は、LED光源の構成を概略的に示す平面図である。図示のように、LED光源31は、二方向(図中の上下方向、左右方向)に沿ってマトリクス状に配列された複数のLEDを含んで構成されている。各LEDはそれぞれ個別に点消灯可能である。図2(B)は、LED光源の光学的な配置状態を示す側面図である。LED光源31から出射した光は投影レンズ32に入射し、投影レンズ32によって車両前方の空間に投影される。LED光源31の各LEDを適宜点灯させることにより、各ランプユニット13L、13Rによる光照射方向を可変に設定することができる。
【0021】
図3は、閾値設定部により設定される閾値について説明するための図である。上記のように本実施形態では、自車両の舵角(横軸)に応じて可変に閾値(縦軸)を設定する。図中、実線で示されているのは舵角の値がプラスである場合の閾値であり、点線で示されているのは舵角の値がマイナスである場合の閾値である。例えば、舵角の値がプラスである場合は右旋回時の舵角であり、舵角の値がマイナスである場合は左旋回時の舵角である。図示のように、例えば舵角が+2度(deg)である場合の閾値は3000mに設定される。同様に、例えば舵角が−3度以下である場合の閾値は5000mに設定される。
【0022】
上記のように各閾値はカーブ路の曲率半径(以下、単に「カーブ半径」という。)に対応して設定される閾値である。本実施形態では、舵角の値がプラス方向である場合において+1度〜+3度の範囲内では閾値が舵角に応じて増加するように変化し、+1度より小さい範囲および+3度より大きい範囲ではそれぞれ一定値となる。同様に、舵角の値がマイナス方向である場合において−1度〜−3度の範囲内では閾値が舵角に応じて増加するように変化し、−1度より大きい範囲および−3度より小さい範囲ではそれぞれ一定値となる。別言すれば、閾値は、所定範囲(+1度〜+3度の範囲、−1度〜−3度の範囲)では舵角の絶対値の増加に伴って増加するように変化する。
【0023】
上記のような関係に基づいて、例えば、舵角が+2度である場合には、撮像ユニット10により得られる白線の曲率半径に基づいて決定されるカーブ半径の絶対値がこの閾値よりも小さい場合には、各ランプユニット13L、13Rによる光照射方向を可変に設定する制御が行われる。同様に、舵角が−3度以下である場合には、撮像ユニット10により得られる白線の曲率半径に基づいて決定されるカーブ半径の絶対値がこの閾値よりも小さい場合には、各ランプユニット13L、13Rによる光照射方向を可変に設定する制御が行われる。
【0024】
なお、舵角とそれに対応する閾値との関係は、例えばデータテーブルとして図示しないメモリに記憶され、適宜読み出して使用される。また、図示の例では説明を分かりやすくするために、舵角を1度ずつ増減させてプロットしていたが、実際にはさらに細かく舵角とそれに対応する閾値の値が設定されている。
【0025】
図4(A)は、AFS設定部による光照射方向の設定方法について説明するための図である。図示の例では自車両100が右方向のカーブ路へ進入する際の路面上の白線と自車両との関係が模式的な平面図で示されている。なお、左方向のカーブ路の場合も同様である。図示のように、自車両100の右側前方に存在する白線の曲率半径が撮像ユニット10によって求められる。ここで求められる白線の曲率半径は、カーブ半径Rに等しいものと推定して取り扱う。また、本実施形態では、曲率半径は、右方向へのカーブ路の場合にプラスの値で得られ、左方向へのカーブ路の場合にマイナスの値で得られるものとする。
【0026】
このとき、自車両100の右端から検知中の白線までの距離をLとする。また、自車両100の車幅方向における中心からカーブ路への接線と検知中の白線との接点(注視点)を想定する。このとき、図示の関係から、底辺をR、斜辺を(R+L)とする直角三角形の底辺と斜辺によって挟まれる角をθとすると、このθは、以下のように求められる。ここで、自車両100の右端から検知中の白線までの距離Lは、画像認識処理により求めてもよいが、既知の値としてもよい。
θ=ACOS{R/(R+L)}
【0027】
自車両100の前後方向を基準として接点の位置をターゲット角度θで表すと、このターゲット角度θは上記した角度θと等しいので、上記した計算式によってθを求めることにより、ターゲット角度θを得ることができる。このターゲット角度θを用いることで、各ランプユニット13L、13Rによる照射光の照射方向を設定することができる。また、接点までの距離は、R×tanθを計算することにより求めることができる。
【0028】
図4(B)は、ターゲット角度および接点までの距離の計算結果の一例を示す図である。ここでは、白線までの距離Lを既知の値(1.75m)として、いくつかのカーブ路のカーブ半径Rに対するターゲット角度等の計算結果を示している。例えば、カーブ路の曲率半径Rが50mの場合におけるターゲット角度は14.9度、接点までの距離は13.3mである。同様に、カーブ路の曲率半径Rが1000mの場合におけるターゲット角度は3.4度、接点までの距離は59.2mである。
【0029】
図5は、車両用灯具システムの制御部の動作手順を示すフローチャートである。以下、同図のフローチャートに沿って本実施形態の車両用灯具システムの動作を説明する。なお、図示のフローチャートにおける処理の流れは一例であり、処理に不整合を生じない限りにおいてその順番を入れ替えてもよいし、他の処理が追加されてもよい。
【0030】
閾値設定部20は、撮像ユニット10から得られる白線情報に基づいて白線の有無を判定し(ステップS11)、白線が存在する場合には(ステップS11;YES)、舵角センサ11から取得した自車両の舵角に基づいてカーブ半径に関する閾値を設定する(ステップS12)。具体的な方法は上記の通りであり、例えば舵角が+3度であれば、閾値として5000mを設定する(図3参照)。なお、白線が存在しない場合には(ステップS11;NO)、ステップS11へ戻る。
【0031】
次に、AFS設定部21は、カーブ半径の値の符号(正負)と舵角の値の符号(正負)が一致しているか否かを判定する(ステップS13)。上記の通り、本実施形態では、カーブ半径の値、舵角の値は、ともに右方向のときにプラス、左方向のときのマイナスとなる。このため、各々の符号が一致している場合にはカーブ半径の値、換言すれば白線の曲率半径の値が正常であると判断できる。符号が一致しない場合には(ステップS13;NO)、白線の曲率半径の値が異常であると判断できるので、ステップS11へ戻る。
【0032】
カーブ半径の値の符号と舵角の値の符号が一致している場合に(ステップS13;YES)、AFS設定部21は、カーブ半径の絶対値がステップS12で設定された閾値よりも小さいか否かを判定する(ステップS14)。カーブ半径の絶対値が閾値以上である場合には(ステップS14;NO)、AFS制御を行わずにステップS11へ戻る。
【0033】
カーブ半径の絶対値が閾値よりも小さい場合に(ステップS14;YES)、AFS設定部21は、白線の曲率半径(白線情報)に基づいてターゲット角度を設定する(ステップS15)。具体的な方法は上記した通りである(図4(A)参照)。
【0034】
ターゲット角度が設定されると、配光制御部22は、このターゲット角度によって特定される光照射方向に対して各ランプユニット13L、13Rによる光照射が行われるようにするための制御信号を生成し、当該制御信号を各ランプユニット13L、13Rに供給する。すなわち、配光制御部22は、ターゲット角度に基づいて配光制御を行う(ステップS16)。その後、ステップS11へ戻る。
【0035】
図6(A)〜図6(D)は、本実施形態の車両用灯具システムによる効果の一例を説明するための平面図である。各図では、右方向のカーブ路を走行する自車両におけるAFS制御の例が模式的に示されている。図6(A)は、自車両100が直線区間からカーブ路の緩和曲線区間に進行した場合の様子を示している。この緩和曲線区間では自車両100の舵角がそれほど大きくない場合が多いが、本実施形態の車両用灯具システムでは、舵角の大小でAFS制御の実施/不実施を切り分けていない。そして、舵角が比較的小さい場合には、それに応じて相対的に小さい閾値が設定されるので、白線情報に基づいて得られるカーブ半径の値が正常であれば、そのカーブ半径を用いて、自車両100の進行方向に応じて照射光101の光照射方向を可変に設定することができる。これに対して、図6(B)に示す比較例の車両用灯具システムでは、舵角の大小でAFS制御の実施/不実施を切り分けており、舵角の閾値を比較的大きく設定しているので、たとえカーブ半径の値が正常であっても、比較的舵角の小さい緩和曲線区間ではAFS制御が実施されず照射光101aの照射方向は直線区間から変化しない。
【0036】
図6(C)は、自車両100が直線区間からカーブ路の緩和曲線区間に進行した場合の様子を示している。本実施形態の車両用灯具システムでは、白線情報に基づいて得られるカーブ半径の値が異常であればそのカーブ半径を用いて光照射方向を可変に設定されることがないので、照射光101の照射方向は直線時から変化しない。これに対して、図6(D)に示す比較例の車両用灯具システムでは、舵角の大小でAFS制御の実施/不実施を切り分けており、緩和曲線区間でもAFS制御が行われやすいように舵角の閾値を比較的小さく設定しているので、たとえカーブ半径の値が異常であってもそのカーブ半径の値を用いてAFS制御が実施されてしまい、照射光101aの照射方向が不適切なものとなってしまう。
【0037】
図7(A)は、本実施形態の車両用灯具システムにおけるAFS制御の実施/不実施の判断例を一覧にした図である。また、図7(B)は、比較例の車両用灯具システムにおけるAFS制御の実施/不実施の判断例を一覧にした図である。各図中、点線で囲んだ箇所が本実施形態と比較例で判断が相違する箇所である。また、図中の○はAFS制御「実施」を示し、×は「不実施」を示している。なお、ここでは舵角がプラスの値の場合についてのみ示すが舵角がマイナスの値の場合も同様である。
【0038】
例えば、本実施形態の車両用灯具システムでは、舵角が2.5度〜4.0度でカーブ半径が6000mの場合および舵角が2.5度でカーブ半径が5000mの場合の範囲aにおいては、カーブ半径に関する閾値に基づく判断によりAFS制御が実施されない。これは、舵角に比してカーブ半径が大きすぎるので直線区間(図6(A)、図6(C)参照)における白線の誤検知と考えられるからである。これに対して、比較例では、例えば舵角が2.0度より大きい場合は白線検知結果を採用することになっているため、範囲dで示すように、カーブ半径が異常と考えられる上記範囲でもAFS制御が実施されてしまう。
【0039】
また、本実施形態の車両用灯具システムでは、舵角が2.0度でカーブ半径が3000mの場合、舵角が1.5度〜2.0度でカーブ半径が2000mの場合および舵角が0.0度〜2.0度でカーブ半径が1000mの場合の範囲bでは、閾値に基づく判断によりAFS制御が実施される。これに対して、比較例では、範囲eで示すように、舵角2.0度以下はカーブ半径によらずAFS制御が実施されない。
【0040】
また、本実施形態の車両用灯具システムでは、範囲cで示すように、舵角の符号とカーブ半径の符号が一致しない場合にはAFS制御を実施しない。これに対して、比較例では、範囲fで示すように、舵角が2.0度より大きければAFS制御が実施されてしまう。このため、誤検知された白線の曲率半径に基づく制御が行われる場合が生じる。
【0041】
以上のような実施形態によれば、AFS制御をより適切に実行することができる。特に、舵角が比較的に小さい緩和曲線区間においてAFS制御をより好適に実行することができる。
【0042】
なお、本発明は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態は車両の通行帯が左側通行を原則とされている場合を想定していたが、通行帯が右側通行を原則とされている場合についても同様にして配光制御を行うことができる。具体的には、上記した実施形態における左右の関係を入れ替えればよい。
【0043】
また、上記した実施形態では、複数の発光素子を有する光源部を用いて、発光させる対象とする発光素子を適宜変更することによって光照射方向を可変に設定していたが光照射方向の設定方法はこれに限定されない。例えば、各前照灯の光源部を機械的にスイブルさせることによって光照射方向を可変に設定してもよい。また、レーザ光を走査することによって光照射を行う光源部を用いてもよい。
【0044】
また、上記した実施形態では、カーブ半径に関する閾値が一定範囲内において舵角に応じて連続的に変化していたが、閾値は段階的であってもよい。また、この閾値の求め方は、上記したデータテーブルを読み出す方法に変えて、予め用意しておいた計算式に基づいて都度計算で求めるようにしてもよい。
【0045】
また、上記した実施形態ではカーブ半径を推定するための画像認識対象として道路標識又は区画線の一例として自車両の右側に存在する白線(破線)を挙げていたが自車両の左側の白線を用いてもよいし、その他の道路標識または区画線(例えば中央線、車線境界線)を用いてもよい。道路標識等の色彩も白色に限定されない。
【0046】
また、上記した実施形態では、前照灯を含んだ車両用灯具システムに本発明を適用した場合を例示していたが、他の用途の車両用灯具システムに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
10:撮像ユニット、11:舵角センサ、12:制御部、13L、13R:ランプユニット、20:閾値設定部、21:AFS設定部、22:配光制御部、30:光源駆動部、31:LED光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7