【解決手段】鉄道車両は、互いに交わる第1端縁および第2端縁を有して車内空間に面する内装パネルと、内装パネルが車内空間側の面に重ねられて車両構体に固定される内部フレームと、第1端縁に沿って内装パネルの車内空間側の面に重ねられて内部フレームに固定される第1縁部材と、第2端縁に沿って内装パネルの車内空間側の面に重ねられて内部フレームに固定される第2縁部材と、を備え、第2縁部材は、第1縁部材側の第1端部と、第1縁部材から離れた側の第2端部と、に長手方向に分割され、第1端部は、第1縁部材の当接縁に当接する当接端と、第2端部に当接する第1中央端と、当接端から突出して第1縁部材の内部フレーム側に位置する突出部と、を備え、第2端部は、第1中央端に当接する第2中央端を備え、内部フレームの所定位置に固定される。
前記長手方向の全長に亘って断面形状が同一である形材の断面形状の一部を、前記長手方向の一端から所定範囲まで除去して、前記当接端および前記突出部を有する前記第1端部を形成する形成工程を備え、
前記形成工程後に前記除去工程が行われることを特徴とする請求項2又は3に記載の鉄道車両の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1及び
図2(b)を参照して一実施形態における鉄道車両10について説明する。
図1は鉄道車両10の客室(車内空間)2側から見た妻部の正面図である。具体的には、
図1は鉄道車両10のレール方向に垂直な断面図であり、妻部を客室2側から見た状態を示している。なお、
図1では屋根構体13と中天井14との間に設置される部材の図示を省略している。
図2(b)は
図1のIIb−IIb線における鉄道車両10の断面図である。
【0013】
図1に示すように、鉄道車両10は、台枠11と、台枠11の枕木方向の両側に立設される側構体12と、側構体12の上部に設置される屋根構体13と、を主に備えている。屋根構体13は中天井14を吊り下げ支持する。客室2の要部の壁面を構成する第1内装パネル21が妻部に設けられ、2枚の第1内装パネル21間に引き戸式の扉16が設置される。扉16の上部(妻鴨居)であって第1内装パネル21間に点検蓋17が配置されている。なお、扉16に対して枕木方向の両側が対称に形成されているので、以下、扉16に対して
図1紙面左側について説明し、扉16に対して
図1紙面右側の説明は省略する。
【0014】
図1及び
図2(b)に示すように鉄道車両10の妻部は、客室2のうちレール方向に垂直な壁面を構成する金属製(例えばアルミニウム合金製)の第1内装パネル21と、第1内装パネル21と扉16との間に配置されて枕木方向に垂直な壁面を構成する金属製の第2内装パネル22と、第1内装パネル21及び第2内装パネル22が客室2側の面に重ねられる内部フレーム31,32と、を備える。
【0015】
第1内装パネル21は、上縁である上部端縁(第1端縁)23と、第2内装パネル22側の側縁であって上部端縁23と交わる側部端縁(第2端縁)24と、上部端縁23と上下方向に離隔した下縁である下部端縁25と、側部端縁24と枕木方向に離隔した側部端縁26と、を備える。
【0016】
第2内装パネル22は、第1内装パネル21と同様に、上縁である上部端縁23と、上部端縁23と上下方向に離隔した下縁である下部端縁25と、を備える。また、第2内装パネル22は、第1内装パネル21側の側縁であって上部端縁23及び下部端縁25と交わる側部端縁(第2端縁)27と、側部端縁27とレール方向に離隔した側部端縁28と、を備える。
【0017】
第1内装パネル21の側部端縁24と、第2内装パネル22の側部端縁27とを互いに隣り合わせて、第1内装パネル21と第2内装パネル22とが垂直に配置されている。隣り合った側部端縁24,27の上端位置および下端位置は互いに一致している。
【0018】
内部フレーム31,32は、台枠11や屋根構体13等の車両構体に固定される柱である。内部フレーム31,32は、車両構体に溶接やねじ止め等により直接取り付けても良いし、車両構体に固定された桁などに取り付けても良い。
【0019】
内部フレーム31は、第1内装パネル21と第2内装パネル22との客室2とは反対側の隅に、側部端縁24,27に沿って配置される略四角筒状の部材である。内部フレーム31の外周面は、第1内装パネル21が面接触して重ねられる第1接触面31aと、第2内装パネル22が面接触して重ねられる第2接触面31bと、第2接触面31bの第1接触面31a側に連なって第2内装パネル22との間に空間を形成する凹部31cとを備える。凹部31cには、スペーサ31dが取り付けられている。このスペーサ31dと第2内装パネル22との間にも僅かに間隔があいている。
【0020】
内部フレーム32は、第2内装パネル22の側部端縁28側(扉16側)に配置される部材である。内部フレーム32は、第2内装パネル22が客室2側の面に重ねられる第1板部32aと、第1板部32aの扉16側の縁に連なる第2板部32bと、を備え、上下方向に垂直な断面が略L字状に形成されている。第2板部32bは、側部端縁28から第2内装パネル22に対して垂直に立ち上がっている。
【0021】
第2板部32bにはブラケット33がねじ止めされている。ブラケット33は、第2板部32bの扉16側の面に重ねられる帯状の取付板部33aと、側部端縁28に沿って第2内装パネル22の客室2側の面に重ねられる帯状の規制板部33bと、を備え、上下方向に垂直な断面が略L字状に形成されている。
【0022】
このブラケット33によって第2内装パネル22の扉16側への移動を規制できると共に、ブラケット33及び内部フレーム32によって第2内装パネル22の側部端縁28の枕木方向への移動を規制できる。さらに、ブラケット33のうち扉16側に面する取付板部33aが内部フレーム32にねじ止めされているので、ブラケット33を固定するためのねじを客室2側から見えないようにできる。
【0023】
第1内装パネル21及び第2内装パネル22の客室2側の面には、上部端縁23に沿って設けられる帯状の上側縁部材(第1縁部材)34と、側部端縁24,27に沿って設けられる縁面部材(第2縁部材)40と、下部端縁25に沿って設けられる帯状の下側縁部材36とが重ねられている。上側縁部材34は、上端縁が中天井14に接する金属製の回り縁である。下側縁部材36は、下端縁が台枠11(床面)に接する金属製の巾木である。
【0024】
これらの上側縁部材34、縁面部材40及び下側縁部材36は、内部フレーム31,32や、その他の図示しない内部フレームに固定されて、台枠11等の車両構体に固定されている。このような上側縁部材34、縁面部材40、下側縁部材36及びブラケット33によって、第1内装パネル21及び第2内装パネル22は、内部フレーム31,32及び車両構体に固定される。
【0025】
縁面部材40は、第1内装パネル21と第2内装パネル22との客室2側の角に取り付けられる金属製の部材である。縁面部材40は、上側縁部材34側の上側縁面部材(第1端部)41と、下側縁部材36側(上側縁部材34から離れた側)の下側縁面部材(第2端部)42と、に長手方向(上下方向)に分割されている。
【0026】
上側縁面部材41は、上側縁部材34に当接する当接端43と、下側縁面部材42に当接する第1中央端44とを備える。第1中央端44は、上側縁面部材41の長手方向に垂直な面である。なお、上側縁部材34の下端縁のうち、当接端43が当接する部分が当接縁34aである。
【0027】
下側縁面部材42は、上端としての第2中央端49が第1中央端44に当接し、下端が下側縁部材36に当接する部材である。下側縁面部材42の第2中央端49及び下端は、下側縁面部材42の長手方向に垂直な面である。下側縁面部材42は、長手方向の全長に亘って断面形状が同一に形成されている。なお、この断面形状が同一とは、後述する皿ねじ46が挿入される貫通孔42cを除いた部分の断面形状が同一であることを示している。
【0028】
下側縁面部材42は、客室2側に面する露出部42aと、露出部42aと一体成形される板状の取付部42bとを備える。露出部42aは、第1内装パネル21と第2内装パネル22との角を滑らかに繋ぐ部材である。
【0029】
露出部42aは、側部端縁24,27に沿って第1内装パネル21及び第2内装パネル22の客室2側の面に重ねられる。そして、内部フレーム31の第1接触面31aとの間に、第1内装パネル21の側部端縁24付近を挟む。これにより、第1内装パネル21の側部端縁24付近のレール方向への移動を規制できる。
【0030】
取付部42bは、第1内装パネル21の側部端縁24と、第2内装パネル22の側部端縁27との間を通って、露出部42aから内部フレーム31へ向かって延びる部位である。取付部42bは、スペーサ31dと第2内装パネル22との間に挿入されている。そして、取付部42bと露出部42aとの間に、第2内装パネル22の側部端縁27付近が挟まれるように挿入されている。これにより、第2内装パネル22の側部端縁27付近の枕木方向への移動を規制できる。
【0031】
取付部42bには、内部フレーム31に取り付けられる皿ねじ(締結部材)46が挿入される貫通孔42cが設けられている。この貫通孔42cに挿入した皿ねじ46を介して取付部42bが内部フレーム31に固定される。貫通孔42cは、皿ねじ46の頭部が嵌まる円錐状に形成されている。これにより、取付部42bと露出部42aとの間に挿入された第2内装パネル22に皿ねじ46の頭部を干渉しないようにできる。また、第2内装パネル22によって皿ねじ46を客室2側から見えないようにできる。
【0032】
図2(a)、
図3(a)及び
図3(b)を参照し、縁面部材40について更に説明する。
図2(a)は
図1のIIa−IIa線における鉄道車両10の断面図である。
図3(a)は縁面部材40の正面図である。
図3(b)は
図3(a)の矢印IIIb方向から見た縁面部材40の側面図である。
【0033】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、下側縁面部材42には、複数の貫通孔42cが長手方向に間隔をあけて設けられている。この複数の貫通孔42cは、複数の皿ねじ46が内部フレーム31に取り付けられる位置に対応して設けられている。即ち、下側縁面部材42が内部フレーム31に取り付けられる所定位置が予め決まっている。
【0034】
縁面部材40は、長手方向の全長に亘って断面形状が同一に形成されている。即ち、上側縁面部材41の長手方向に垂直な断面形状は、下側縁面部材42の長手方向に垂直な断面形状と同一に形成されている。上側縁面部材41は、客室2(
図1等参照)側に面する当接部41aと、当接部41aと一体成形される板状の基部41bと、当接端43の一部から突出する突出部45と、を備える。
【0035】
当接部41aの断面形状は、長手方向の全長に亘って(当接端43から第1中央端44まで)、
図2(b)に示す露出部42aの断面形状と同一に形成されている。また、当接部41aは、露出部42aと同様に、第1内装パネル21及び第2内装パネル22の客室2側の面に重ねられ、内部フレーム31の第1接触面31aとの間に、第1内装パネル21の側部端縁24付近を挟む。
【0036】
基部41bは、当接端43から第1中央端44までの一部分である。基部41bの断面形状は、長手方向の全長に亘って、
図2(b)に示す取付部42bの断面形状と同一に形成されている。基部41bは、取付部42bと同様に、スペーサ31dと第2内装パネル22との間に挿入され、当接部41aとの間に第2内装パネル22の側部端縁27付近が挿入されている。なお、基部41bには、内部フレーム31に取り付けられる皿ねじ46が挿入される貫通孔42cが設けられていない。
【0037】
突出部45は、基部41bを長手方向に延長するようにして、当接端43から突出する板状の部位であり、基部41bと一体成形されている。突出部45には、板厚方向に貫通して挿入孔45aが形成されている。突出部45の断面形状は、縁面部材40の長手方向の全長に亘って同一であり、基部41bの長手方向に垂直な断面形状と同一である。なお、突出部45の断面形状と、基部41bの断面形状とが同一であるとは、挿入孔45aを除いた部分の断面形状が同一であることを示している。
【0038】
図2(a)に示すように、縁面部材40の当接端43(
図1参照)から突出した突出部45は、上側縁部材34の内部フレーム31側に位置する。これにより、縁面部材40の当接端43を客室2側に捲れないようにできる。
【0039】
より詳しくは、突出部45は、客室2側の面に上側縁部材34が重ねられた第2内装パネル22と、スペーサ31dとの間に挿入される。上側縁部材34、第2内装パネル22及び突出部45の挿入孔45aを貫通するねじ47によって、上側縁部材34、第2内装パネル22及び突出部45が内部フレーム31に取り付けられる。
【0040】
次に、
図1から
図3(b)を参照しながら、鉄道車両10の製造方法について説明する。まず、台枠11や屋根構体13等の車両構体に固定された内部フレーム31等の客室2側に第1内装パネル21を重ねて取り付ける。
【0041】
その後、下側縁面部材42の取付部42bを皿ねじ46を用いて内部フレーム31に取り付け(取付工程)、下側縁面部材42の露出部42aと内部フレーム31の第1接触面31aとの間に第1内装パネル21の側部端縁24付近を挟む。次いで、露出部42aと取付部42bとの間に第2内装パネル22の側部端縁27を挿入する。そして、ブラケット33の規制板部33bを第2内装パネル22の客室2側の面に重ね、ブラケット33の取付板部33aを内部フレーム32にねじ止めする。その後、第1内装パネル21及び第2内装パネル22の下部端縁25の客室2側に下側縁部材36を重ね、下側縁部材36を内部フレーム31等に取り付ける。
【0042】
次いで、上側縁面部材41の第1中央端44に接着剤を塗布し、基部41bや突出部45をスペーサ31dと第2内装パネル22との間に挿入して、第1中央端44を下側縁面部材42の第2中央端49に当接させて接着する。その後、上側縁面部材41の当接部41aの当接端43に上側縁部材34の当接縁34aが当接するように、上部端縁23に沿って第1内装パネル21及び第2内装パネル22の客室2側の面に上側縁部材34を重ねる。最後に、ねじ47により上側縁部材34、第2内装パネル22及び上側縁面部材41を内部フレーム31に固定して、鉄道車両10を製造する。
【0043】
ここで、取付工程により内部フレーム31の所定位置に取り付けられた(位置決めされた)下側縁面部材42の第2中央端49と上側縁部材34の当接縁34aとの間の長手方向の間隔L1は、車両構体の各部の製造誤差、上側縁部材34や下側縁面部材42、下側縁部材36の取付誤差などによって、ばらつくことがある。この製造誤差などに応じて、第2中央端49と当接縁34aとの間に嵌まる上側縁面部材41の当接部41aの長さL2を適宜調整する必要がある。
【0044】
図3(a)から
図4(b)を参照しながら、上側縁面部材41の製造方法および上側縁面部材41の長さL2の調整方法について説明する。
図4(a)は形材48の上面図であり、
図4(b)は
図4(a)の矢印IVb方向から見た形材48の側面図である。
図4(a)及び
図4(b)には、形材48のうち後述する除去工程や形成工程において除去される部位に平行線のハッチングを付けている。
【0045】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、長手方向の全長に亘って断面形状が同一である形材48を用意する。この形材48は、上側縁面部材41となる部材であって、押出成形により形成される。形材48の断面形状は、上側縁面部材41(当接部41a及び基部41b)の断面形状と同一に設定されている。
図4(a)及び
図4(b)では、形材48のうち当接部41a及び基部41bと断面形状が同一である部位に、当接部41a及び基部41bと同じ符号を付けている。さらに、
図4(a)では当接部41aに相当する部位と、基部41bに相当する部位との境界を仮想線Aで示している。
【0046】
上側縁面部材41を製造するには、まず、形材48のうち当接部41aに相当する部位を、軸方向の一端(
図4(b)紙面上端)から仮想線Bまで、切削加工などによって除去する(形成工程)。これにより、仮想線Bに相当する部分が当接端43となり、形材48の軸方向の一端から除去されなかった基部41bに相当する部位が突出部45となる。このようにして、当接端43から突出部45が突出した上側縁面部材41を容易に製造できる。
【0047】
なお、下側縁面部材42と形材48とは、長さが異なる以外の構成が同一である。そのため、下側縁面部材42を押出成形により形成し、下側縁面部材42を形成する成形型を用いて、形材48を形成できる。また、押出成形によって下側縁面部材42を長めに形成して、下側縁面部材42を長手方向に分割し、その分割した一部を形材48とすることができる。このように、下側縁面部材42の成形型があれば、上側縁面部材41を製造するための成形型を不要にできる。
【0048】
なお、突出部45に設けられる挿入孔45aは、形成工程前の形材48に予め設けても良く、形成工程後の突出部45に設けても良い。また、この形成工程では、製造誤差などによってばらつく下側縁面部材42と上側縁部材34との間隔L1よりも、当接端43から第1中央端44までの上側縁面部材41(当接部41a)の長さL3を十分に長めに形成しておく。
【0049】
次いで、取付工程により内部フレーム31の所定位置に取り付けられた下側縁面部材42の第2中央端49と、内部フレーム31に取り付けたときの上側縁部材34の当接縁34aとの間隔L1を測定する。上側縁部材34を内部フレーム31に仮止めして間隔L1を測定しても良く、上側縁部材34を内部フレーム31に取り付けたときの当接縁34aの位置が分かるように第1内装パネル21等に設けた目印と第2中央端49との距離を間隔L1として測定しても良い。
【0050】
この測定した間隔L1に基づいて、間隔L1よりも上側縁面部材41の長さL3を十分に長く形成した形成工程後の上側縁面部材41を、第1中央端44から長手方向に所定の長さだけ除去する(除去工程)。具体的には、上側縁面部材41を第1中央端44から仮想線Cまで研削加工や切削加工により除去する。除去工程後には、仮想線Cに相当する部位が新たな第1中央端44となる。除去工程では、当接端43から新たな第1中央端44までの上側縁面部材41の長さL2が間隔L1と同一になるように上側縁面部材41の一部を除去する。
【0051】
以上のような鉄道車両10及びその製造方法によれば、当接端43が上側縁部材34の当接縁34aに当接しつつ当接端43から突出部45が突出すると共に、内部フレーム31の所定位置に固定される縁面部材40が、上側縁面部材41と下側縁面部材42とに長手方向に分割されている。ここで、縁面部材40が上側縁面部材41と下側縁面部材42とに分割されていない場合について考える。
【0052】
この場合、内部フレーム31の所定位置に固定した縁面部材40の当接端43を当接縁34aに当接させるには、製造誤差などを考慮して縁面部材40を長めに形成した後、ノミ等の切削工具を用いて突出部45を避けながら当接端43の一部を除去する必要がある。このような方法では、縁面部材40の長さを調整し難いだけではなく、当接端43を綺麗に形成することが難しく、客室2からの縁面部材40の見栄えが悪くなる。また、台枠11から中天井14までの間隔よりも僅かに短いだけの縁面部材40の長さを客室2内で調整することは難しい。
【0053】
これに対して本実施形態では、縁面部材40が上側縁面部材41と下側縁面部材42とに分割されているので、内部フレーム31の所定位置に下側縁面部材42を固定した後、下側縁面部材42の第2中央端49と上側縁部材34の当接縁34aとの間隔L1に合わせて、上側縁面部材41の長さL2を調整できる。このように比較的短い上側縁面部材41の長さL2を調整できるので、客室2内でも縁面部材40の長さを調整し易くできる。
【0054】
また、第2中央端49と当接縁34aとの間隔L1よりも、当接端43から第1中央端44までの上側縁面部材41の長さL3が長い場合、上側縁面部材41の第1中央端44から所定の長さだけ除去して、上側縁面部材41の長さL2(縁面部材40の長さ)を調整できる。突出部45を避けながら当接端43から所定の長さだけ除去する場合と比べて、長手方向に垂直な面である第1中央端44から所定の長さだけ除去する方が容易なので、上側縁面部材41の当接端43及び第1中央端44がそれぞれ当接縁34a及び第2中央端49に当接して密着するように、上側縁面部材41の長さL2を調整し易くできる。
【0055】
さらに、突出部45を避けて当接端43を客室2内で形成する必要がなく、機械加工などによって予め当接端43を綺麗に形成できる。そして、長手方向に垂直な面である第1中央端44の全面を削って上側縁面部材41の長さL2を調整するので、客室2内で第1中央端44を削っても第1中央端44を綺麗に形成できる。よって、客室2からの縁面部材40の見栄えを良くできる。
【0056】
形成工程では、製造誤差などによってばらつく間隔L1よりも、当接端43から第1中央端44までの上側縁面部材41の長さL3を十分に長めに形成して、除去工程によって間隔L1と上側縁面部材41の長さL2とを同一にしている。これにより、当接縁34aと第2中央端49との間に嵌まる上側縁面部材41の長さL2が足らなくなることを防止できる。
【0057】
上側縁部材34と共締めされるねじ47が挿入される挿入孔45aを除いて、縁面部材40を内部フレーム31に固定するための複数の締結部材(皿ねじ46)が挿入される複数の貫通孔42cは、全て下側縁面部材42に設けられ、上側縁面部材41に設けられていない。これにより、上側縁部材34や内部フレーム31に対して、当接端43の位置が特定され、第1中央端44の位置を調整できる。
【0058】
そのため、取付工程により取り付けた下側縁面部材42からねじ47(ねじ47が貫通する第2内装パネル22の挿入孔)までの距離を測定し、その距離に応じて挿入孔45aから第1中央端44までの上側縁面部材41の長さを調整すれば、当接縁34aと第2中央端49との間に上側縁面部材41(当接部41a)を嵌めることができる。よって、上側縁面部材41の長さをより調整し易くできる。
【0059】
第1内装パネル21及び第2内装パネル22は、その客室2側の面に重ねられる上側縁部材34、縁面部材40、下側縁部材36及びブラケット33によって内部フレーム31,32に固定されている。さらに、第1内装パネル21の側部端縁24に沿って重ねた縁面部材40の下側縁面部材42を皿ねじ46によって内部フレーム31に固定した後、その皿ねじ46を客室2から隠すように第2内装パネル22の側部端縁27を下側縁面部材42に挿入している。その後、第2内装パネル22の側部端縁28に沿って設けられるブラケット33を客室2から見えない位置で内部フレーム32にねじ止めしている。このようにして、第1内装パネル21や第2内装パネル22、縁面部材40、ブラケット33を固定するための締結部材(皿ねじ46等)を客室2から見えないようにでき、客室2からの見栄えを良くできる。
【0060】
なお、下側縁面部材42及びブラケット33によって第2内装パネル22を内部フレーム31,32に固定した状態で、第1内装パネル21及び第2内装パネル22の客室2側の面に上側縁面部材41を重ねるため、第2内装パネル22によって隠れる皿ねじ46により上側縁面部材41を内部フレーム31に固定することができない。しかし、本実施形態では、上側縁面部材41には、突出部45に設けられた挿入孔45aを除いて、締結部材(皿ねじ46等)が挿入される複数の貫通孔42cがない。そのため、客室2側に露出する縁面部材40の当接端43から下側縁部材36側の端部までの全長に亘って締結部材を客室2から見えないようにできる。
【0061】
さらに、上側縁面部材41の突出部45がねじ47によって内部フレーム31に固定され、内部フレーム31に皿ねじ46によって取り付けられた下側縁面部材42の第2中央端49に上側縁面部材41の第1中央端44が接着されている。これにより、上側縁面部材41を内部フレーム31にしっかり固定でき、上側縁面部材41のがたつきを抑制できる。
【0062】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、側構体12や屋根構体13、第1内装パネル21、第2内装パネル22、縁面部材40等の各部の形状や寸法などは適宜変更しても良い。また、第1内装パネル21の側部端縁26に沿って第1内装パネル21の客室2側の面に縁部材を重ねても良い。また、客室2の妻部の壁面を構成する第1内装パネル21、第2内装パネル22に限らず、客室2や乗務員室などの車内空間の壁面や天井を構成する内装パネルに本発明を適用しても良い。
【0063】
上記形態では、上側縁面部材41の第1中央端44から所定の長さだけ除去する除去工程により、第2中央端49と当接縁34aとの間隔L1と、当接端43から第1中央端44までの上側縁面部材41の長さL2と、を同一に調整する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。除去工程では下側縁面部材42を第2中央端49から長手方向に所定の長さだけ除去して、間隔L1と長さL2とを同一にしても良い。この場合、下側縁面部材42を内部フレーム31に固定した状態で第2中央端49から所定の長さだけ除去したり、下側縁面部材42を内部フレーム31に仮固定したときの間隔L1を測定した後、内部フレーム31から取り外した下側縁面部材42の第2中央端49から所定の長さだけ除去したりする必要がある。このような場合と比べて、上側縁面部材41の第1中央端44から所定の長さだけ除去する方が容易なので、縁面部材40の長さを調整し易くできる。
【0064】
上記形態では、下側縁面部材42が皿ねじ46によって内部フレーム31の所定位置に固定される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。下側縁面部材42の下端を下側縁部材36に当接させながら、接着剤や溶接などによって内部フレーム31の所定位置に下側縁面部材42を固定しても良い。
【0065】
上記形態では、側部端縁(第2端縁)24に沿って第1内装パネル21に縁面部材(第2縁部材)40が重ねられ、縁面部材40の上端である当接端43から突出した突出部45が、上部端縁(第1端縁)23に沿って第1内装パネル21に重ねられた上側縁部材(第1縁部材)34の内側に重なる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。内装パネルが互いに交わる第1端縁および第2端縁を有し、第2端縁に重ねられる第2縁部材が第1端部と第2端部とに長手方向に分割され、第1端部の当接端から突出した突出部が、第1端縁に重ねられる第1縁部材の内側に位置すれば良い。
【0066】
例えば、上記形態の縁面部材40を上下反転させて、縁面部材40の下端である当接端43から突出した突出部45を下側縁部材36の内側に重ねても良い。このとき、下部端縁25が第1端縁となり、下側縁部材36が第1縁部材となる。また、第1内装パネル21の側部端縁24,26を第1端縁とし、第1内装パネル21の上部端縁23や下部端縁25を第2端縁としても良い。さらに、第2内装パネル22やその他の内装パネルの複数の端縁のうち互いに交わる2つの端縁をそれぞれ第1端縁および第2端縁としても良い。
【0067】
上記形態では、下側縁部材36に当接する下側縁面部材42の下端が下側縁面部材42の長手方向に垂直な面である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。下側縁面部材42の下端の一部から、下側縁部材36の内部フレーム31側に位置する突出部を突出させても良い。具体的には、上側縁面部材41の突出部45のように、下側縁面部材42に設けた突出部を、第2内装パネル22と内部フレーム31に設けたスペーサ31dとの間に挿入し、その突出部をねじ47により内部フレーム31に取り付けても良い。この場合、下部端縁25を第1端縁とし、下側縁部材36を第1縁部材とすると、下側縁面部材42が第1端部となり、上側縁面部材41が第2端部となる。
【0068】
上記形態では、縁面部材40が上側縁面部材41と下側縁面部材42とに2分割される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。下側縁面部材42を長手方向に複数に分割しても良い。さらに、下側縁部材36に当接する部位を上側縁面部材41と同様に構成しても良い。この場合、下部端縁25を第1端縁とし、下側縁部材36を第1縁部材とすると、複数に分割された下側縁面部材42のうち最も下側縁部材36側の部位が第1端部となる。