【実施例】
【0010】
図1および
図2に示すように、実施例に係るアシストグリップ10は、車体におけるルーフトリムなどのパネルの壁面に取り付けられる取付部材12を備えている。また、アシストグリップ10は、壁面に沿わせた第1姿勢(
図1および
図4参照)と、壁面から起立させた第2姿勢(
図2および
図5参照)との間で、取付部材12に対して回動可能に支持されたグリップ本体14を備えている。アシストグリップ10は、「U」字形状に形成されたグリップ本体14の端部のそれぞれが、取付部材12に設けられた支持部16に支持軸18を介して支持されている。なお、アシストグリップ10は、グリップ本体14に力が加わっていない自然な状態で、トーションばねなどの図示しない付勢手段によって、グリップ本体14が第1姿勢になるように構成されている。
【0011】
以下の説明において、アシストグリップ10は、パネルへの取り付け状態を基準として方向を指称し、具体的には、車室へ向く側を表といい、車両外側へ向く側を裏という。また、アシストグリップ10において、車両の前後に離間して配置されるグリップ本体14の両端の離間方向(支持軸18の軸方向)を左右方向といい、車室側から見て左右を指称する。アシストグリップ10は、左右方向に延在する支持軸18で取付部材12に支持されたグリップ本体14が第1姿勢で取付部材12に重なるように配置される(
図1および
図4参照)。そして、アシストグリップ10は、グリップ本体14を第1姿勢から下方へ回動させて第2姿勢とする(
図2および
図5参照)。
【0012】
図1および
図2に示すように、取付部材12には、左右に離して一対の支持部16,16が表側へ突出するように形成されている。支持部16には、支持軸18が他方の支持部16に向けて突出するように設けられている。支持軸18は、グリップ本体14に設けられた軸孔(図示せず)に嵌まる。取付部材12には、第1姿勢にあるグリップ本体14と重なる位置に突出する突出部20が形成されている。実施例では、突出部20が支持部16の上側に配置されている。また、実施例では、グリップ本体14における把持部分の端部に対応するように、2つの突出部20,20が左右方向に離して設けられている。各突出部20の先端部には、LEDなどの光を照射可能な光源22が設置されている。取付部材12は、ねじ等の固着具でパネルに固定する構造や、パネルに開口する取付孔に差し込んだ爪をクリップで抜け止めする爪係止構造など、適宜の取り付け構造を採用可能である。
【0013】
図3に示すように、グリップ本体14の端部には、支持部16を収容可能な収容凹部24が裏側に開口するように形成されている。グリップ本体14には、突出部20を収容可能な凹部26が裏側に開口するように形成されている。実施例では、凹部26が収容凹部24の上側に配置されている。また、実施例では、グリップ本体14における把持部分の端部に対応するように、2つの凹部26,26が左右方向に離して設けられている。グリップ本体14は、第1姿勢にあるとき、収容凹部24に支持部16を収容すると共に、凹部26に突出部20を収容するようになっている。
【0014】
図4および
図5に示すように、グリップ本体14は、光を透過しない遮光体28と、光を透過可能な導光体30とを組み合わせて構成されている。導光体30は、グリップ本体14における凹部26の内側からグリップ本体14の外面に亘って設けられている。遮光体28は、不透明なPP(ポリプロピレン)などの合成樹脂で形成されている。導光体30は、光を透過可能な、例えばガラス、アクリル樹脂、PC(ポリカーボネート)などの材料から形成されている。実施例のグリップ本体14は、導光体30を表裏方向の中間部位に配置し、遮光体28を導光体30の表裏から挟むように配置している。グリップ本体14は、外面の全周に亘って導光体30の端面が露出している。導光体30は、凹部26の内面に露出する端面から、グリップ本体14の外面に露出する端面に向けて導光可能である。
【0015】
図1および
図2に示すように、片方の支持部16には、第1姿勢にあるグリップ本体14と当たる一方で、第2姿勢にあるグリップ本体14から離れるスイッチ32が設けられている。スイッチ32としては、例えば、押しボタン式などの開閉器を用いることができる。実施例のスイッチ32は、支持部16の表面からボタンが突出し、グリップ本体14が第1姿勢にあるとき、ボタンが収容凹部24の底面に当たるように設定されている。光源22は、スイッチ32とグリップ本体14とが当たることで、光源22が発光するように制御される。また、光源22は、スイッチ32とグリップ本体14とが離れることで、消灯するように制御される。
【0016】
アシストグリップ10は、グリップ本体14が第1姿勢にあると、突出部20に設けられた光源22がグリップ本体14の凹部26の内側に配置される。また、光源22から凹部26の内側へ向けて光を照射可能になる。凹部26の内側には、導光体30が露出しているので、光源22から照射された光が導光体30に入射する。これにより、グリップ本体14の外面に露出する導光体30の端面が発光する。
【0017】
アシストグリップ10は、グリップ本体14を使用していない第1姿勢にあるとき、グリップ本体14の外面の一部を構成する導光体30の端面が発光するので、高級感を演出することができる。しかも、アシストグリップ10は、グリップ本体14の一部が発光するので、暗くなってもグリップ本体14の位置を判り易くすることができ、使い勝手を向上し得る。また、アシストグリップ10は、導光体30が発光する構成であるから、眩しくはなく、乗員の視界に悪影響を与えない。
【0018】
アシストグリップ10は、壁面に固定される取付部材12に電力の供給が必要な光源22が設けられている。一方で、アシストグリップ10は、取付部材12に対して回動するグリップ本体14の導光体30を発光させるものの、グリップ本体14には光源22が設けられていない。従って、アシストグリップ10は、取付部材12側だけで配線等の電力供給回路を完結させることができる。アシストグリップ10は、取付部材12とグリップ本体14との間にまたがって電力供給回路を設ける必要がなく、電気的な構成を簡単にすることができる。また、取付部材12とグリップ本体14との間に、端子が外部に露出することもない。
【0019】
アシストグリップ10は、グリップ本体14との接離により切り替わる機械的なスイッチ32によって、光源22を発光制御しているので、取付部材12とグリップ本体14との間に、端子が外部に露出することもない。また、アシストグリップ10は、取付部材12側だけで、スイッチ32を含めた電力供給回路を完結させることができ、電気的な構成を簡単にすることができる。
【0020】
(変更例)
前述した構成に限らず、例えば以下のようにしてもよい。
(1)実施例では、1基の取付部材によってグリップ本体の両端部を支持したが、これに限らず、グリップ本体の各端部を別々の取付部材で支持する構成であってもよい。また、グリップ本体を2箇所で支持する構成に限らず、グリップ本体を1箇所または3箇所以上で支持する構成であってもよい。
(2)実施例では、2基の光源を設けたが、これに限らず、光源の数が1基であっても、3基以上であってもよい。
(3)実施例では、導光体の端面がグリップ本体の上下の面および側面に露出するように配置したが、これに限らず、例えば、グリップ本体の表面や裏面に導光体の端面が露出するように配置してもよい。
(4)実施例では、支持部と突出部とを別々に設けたが、これに限らず、支持部に光源を設けて、支持部を突出部として用いてもよい。