特開2020-193238(P2020-193238A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-193238(P2020-193238A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】蓄熱体
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/14 20060101AFI20201106BHJP
   C09K 5/06 20060101ALI20201106BHJP
   F28D 20/02 20060101ALI20201106BHJP
【FI】
   C09K5/14 E
   C09K5/06 M
   C09K5/06 L
   F28D20/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-97835(P2019-97835)
(22)【出願日】2019年5月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 章人
(57)【要約】
【課題】 蓄熱物質への蓄熱が速やかに行われ、蓄熱物質による蓄熱効果が充分に発揮される蓄熱体を提供する。
【解決手段】 多孔質樹脂材料と、上記多孔質樹脂材料の気孔の少なくとも一部に含まれる蓄熱物質とからなる蓄熱体であって、上記多孔質樹脂材料が熱伝導率0.3W/(m・K)を超える高熱伝導性樹脂であり、上記蓄熱物質が相転移により蓄熱及び放熱を行う相転移物質を含むことを特徴とする蓄熱体。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質樹脂材料と、前記多孔質樹脂材料の気孔の少なくとも一部に含まれる蓄熱物質とからなる蓄熱体であって、
前記多孔質樹脂材料が熱伝導率0.3W/(m・K)を超える高熱伝導性樹脂であり、
前記蓄熱物質が相転移により蓄熱及び放熱を行う相転移物質を含むことを特徴とする蓄熱体。
【請求項2】
前記多孔質樹脂材料の周囲が緻密質被覆材で被覆されている請求項1に記載の蓄熱体。
【請求項3】
前記蓄熱体の一部が、多孔質樹脂材料の気孔に蓄熱物質が含まれていない多孔質領域である請求項1又は2に記載の蓄熱体。
【請求項4】
前記高熱伝導性樹脂を構成する樹脂がメラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂及びポリエチレン樹脂からなる群から選択された少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄熱体。
【請求項5】
前記蓄熱体には熱伝導粒子が含まれており、前記熱伝導粒子は、金属、カーボン、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、タルク、二酸化バナジウム、五酸化バナジウム及び窒化ホウ素からなる群から選択された少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄熱体。
【請求項6】
前記熱伝導粒子の平均粒子径が0.1〜100μmである請求項5に記載の蓄熱体。
【請求項7】
前記高熱伝導性樹脂には金属線が含まれており、前記金属線は、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、ニクロム線及び真鍮からなる群から選択された少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄熱体。
【請求項8】
前記多孔質樹脂材料の気孔率が20〜99.8%である請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄熱体。
【請求項9】
前記相転移物質が、糖アルコール、無機塩水和物及びパラフィンからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1〜8のいずれか1項に記載の蓄熱体。
【請求項10】
前記相転移物質が、相転移温度の異なる2種類以上の材料を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の蓄熱体。
【請求項11】
前記相転移物質は、非粒子状である請求項1〜10のいずれか1項に記載の蓄熱体。
【請求項12】
前記相転移物質は、固体−固体の相転移により蓄熱及び放熱を行う固相転移型の相転移物質を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の蓄熱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄熱物質としてはパラフィン、糖アルコール等が用いられ、これらの蓄熱物質の相転移による潜熱、吸熱及び放熱が利用されてきた。これらの蓄熱物質が固体から液体への相転移をする際に蓄熱又は吸熱させ、液体から固体への相転移時に放熱する。この相転移による蓄熱若しくは吸熱又は放熱を繰り返し行うことができる。
このような蓄熱物質を利用した蓄熱体は、自動車、電子、住宅、食品、医療等の用途で用いられている。
【0003】
特許文献1には、ナイロン多孔体中に糖アルコールからなる蓄熱材を保持させて、表面をガスバリア層(ナイロン)で被覆する技術が開示されている。
特許文献2では、メラミン樹脂殻中に潜熱アキュームレータ(相転移材料)を核として持つ蓄熱粒子を内包するメラミン樹脂発泡体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−214158号公報
【特許文献2】特表2016−515660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に係る蓄熱技術では、効率的に蓄熱をすることができない。
特許文献1に係る技術では、蓄熱材を保持させる材料がナイロンであるが、蓄熱物質への蓄熱速度が遅い、すなわち熱応答性に劣るという問題があった。
特許文献2に係る技術では、相転移材料はメラミン樹脂殻中に閉じ込められているが、この場合も蓄熱物質への蓄熱速度が遅い、すなわち熱応答性に劣るという問題があった。
【0006】
特許文献1及び特許文献2に係る技術における問題について本発明者らが検討したところ、特許文献1に係る技術では蓄熱材を保持させる材料であるナイロンの熱伝導性が低いために、熱源からの熱が蓄熱物質にまで伝わりにくく、蓄熱物質への蓄熱速度が遅くなっていると推定した。
また、特許文献2に係る技術では相転移材料はメラミン樹脂殻中に閉じ込められているためメラミン樹脂殻を熱が伝わるのに時間がかかり、メラミン樹脂殻内に存在する蓄熱物質への蓄熱速度が遅くなっていると推定した。また、特許文献2に係る技術ではメラミン樹脂殻内に存在する蓄熱物質しか蓄熱物質として利用できないので、メラミン樹脂発泡体に多くの蓄熱物質を含ませることができず、蓄熱量が小さいという問題もあった。
【0007】
このような事情を踏まえ、本発明は、蓄熱物質への蓄熱が速やかに行われ、蓄熱物質による蓄熱効果が充分に発揮される蓄熱体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の蓄熱体は、多孔質樹脂材料と、上記多孔質樹脂材料の気孔の少なくとも一部に含まれる蓄熱物質とからなる蓄熱体であって、上記多孔質樹脂材料が熱伝導率0.3W/(m・K)を超える高熱伝導性樹脂であり、上記蓄熱物質が相転移により蓄熱及び放熱を行う相転移物質を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の蓄熱体は、多孔質樹脂材料の気孔の一部に含まれる蓄熱物質を有する。蓄熱物質はその周囲を熱伝導率0.3W/(m・K)を超える高熱伝導性樹脂で囲まれているため、熱交換の対象から蓄熱物質までの熱の移動が妨げられることが防止される。
そのため、蓄熱物質への蓄熱が速やかに行われ、蓄熱物質による蓄熱効果が充分に発揮される。
また、蓄熱物質は相転移により蓄熱及び放熱を行う相転移物質を含み、相転移物質は液体状態を取り得るが、相転移物質は多孔質樹脂材料の気孔内で高熱伝導性樹脂に囲まれた状態で存在するので蓄熱体から漏れ出ることが防止される。
【0010】
本発明の蓄熱体では、上記多孔質樹脂材料の周囲が緻密質被覆材で被覆されていることが好ましい。
多孔質樹脂材料の周囲を緻密質被覆材で覆うことによって、蓄熱物質が蓄熱体から漏れ出ることをより確実に防止することができる。
【0011】
本発明の蓄熱体では、上記蓄熱体の一部が、多孔質樹脂材料の気孔に蓄熱物質が含まれていない多孔質領域であることが好ましい。
多孔質領域が設けられていると、相転移物質の相転移時に体積膨張が生じても多孔質領域が体積膨張を吸収することができるため、蓄熱物質が蓄熱体から漏れ出ることをより確実に防止することができる。
【0012】
本発明の蓄熱体では、上記高熱伝導性樹脂を構成する樹脂がメラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂及びポリエチレン樹脂からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
高熱伝導性樹脂がこれらの樹脂であると、蓄熱物質までの熱の移動がより速やかに行われるため好ましい。
【0013】
本発明の蓄熱体においては、上記蓄熱体には熱伝導粒子が含まれており、上記熱伝導粒子は、金属、カーボン、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、タルク、二酸化バナジウム、五酸化バナジウム及び窒化ホウ素からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
蓄熱体中に熱伝導粒子を含ませることによって、蓄熱体の熱伝導性をさらに向上させることができるので、蓄熱物質までの熱の移動をより速やかに行うことができる。
また、本発明の蓄熱体においては、上記熱伝導粒子の平均粒子径が0.1〜100μmであることが好ましい。
【0014】
本発明の蓄熱体においては、上記高熱伝導性樹脂には金属線が含まれており、上記金属線は、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、ニクロム線及び真鍮からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
高熱伝導性樹脂中に金属線を含ませることによって、樹脂の熱伝導性をさらに向上させることができるので、蓄熱物質までの熱の移動をより速やかに行うことができる。
【0015】
本発明の蓄熱体においては、上記多孔質樹脂材料の気孔率が20〜99.8%であることが好ましい。
多孔質樹脂材料が上記のような気孔率を有すると、蓄熱物質を充分な量含有することができるため、蓄熱体として蓄熱量を充分に高くすることができる。
【0016】
本発明の蓄熱体においては、上記相転移物質としては、固体−液体、固体−気体、液体−気体の相転移により蓄熱、放熱を行う相転移物質であってもよく、固体−固体の相転移により蓄熱、放熱を行う固相転移型の相転移物質であってもよい。固相転移型の相転移物質の場合は、結晶相が変化することで蓄熱、放熱が行われるため、相変化に伴い、液体もしくは気体となった相転移物質が蓄熱体から漏出したり、蓄熱体それ自体の強度低下、変形などの問題が発生しないという利点を有する。
本発明の蓄熱体においては、上記相転移物質が、糖アルコール、無機塩水和物及びパラフィンからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
また、固相転移型の相転移物質としては、二酸化バナジウム、五酸化バナジウムを使用することができる。
これらの相転移物質は、相転移による蓄熱量が高く、適当な温度範囲に相転移温度を有するために、相転移による蓄熱を行うための物質として適している。
【0017】
本発明の蓄熱体においては、上記相転移物質が、相転移温度の異なる2種類以上の材料を含むことが好ましい。
熱源に近い領域に相転移温度が高い相転移物質を配置するようにして、相転移温度の異なる2種類以上の材料を含むようにすると、熱源の過剰昇温を防止することができる。
【0018】
本発明の蓄熱体においては、上記相転移物質は、非粒子状であることが好ましい。
非粒子状の相転移物質はカプセル壁を介することなく高熱伝導性樹脂に接しているので高熱伝導性樹脂と相転移物質の間の熱の授受の効率が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1(a)は、本発明の蓄熱体の一例を模式的に示す断面図であり、図1(b)は本発明の蓄熱体を構成する多孔質樹脂材料の一例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の蓄熱体の別の使用例を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図である。
図4図4(a)は、本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図であり、図4(b)は図4(a)に示す蓄熱体を模式的に示す上面図である。
図5図5は、本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図である。
図6図6(a)は、本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図であり、図6(b)は図6(a)に示す蓄熱体を模式的に示す上面図である。
図7図7(a)は本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図であり、図7(b)は図7(a)に示す蓄熱体を模式的に示す上面図である。
図8図8(a)は、本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図であり、図8(b)は図8(a)に示す蓄熱体を模式的に示す上面図である。
図9図9(a)は本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図であり、図9(b)は図9(a)に示す蓄熱体を模式的に示す上面図である。
図10図10(a)、図10(b)、図10(c)及び図10(d)は、蓄熱体の製造方法の一例を模式的に示す工程図である。
図11図11は、蓄熱体の評価試験の方法を示す模式図である。
図12図12は、実施例1の蓄熱体の温度測定結果を示す図である。
図13図13は、比較例1の蓄熱体の温度測定結果を示す図である。
【0020】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の蓄熱体について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0021】
本発明の蓄熱体は、多孔質樹脂材料と、上記多孔質樹脂材料の気孔の少なくとも一部に含まれる蓄熱物質とからなる蓄熱体であって、上記多孔質樹脂材料が熱伝導率0.3W/(m・K)を超える高熱伝導性樹脂であり、上記蓄熱物質が相転移により蓄熱及び放熱を行う相転移物質を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明の蓄熱体は、多孔質樹脂材料と、多孔質樹脂材料の気孔の少なくとも一部に含まれる蓄熱物質とからなる。
典型的には、多孔質樹脂材料の気孔に蓄熱物質が充填された形態のものが挙げられる。
まず、多孔質樹脂材料と蓄熱物質の好ましい構成について説明する。
【0023】
多孔質樹脂材料は、熱伝導率0.3W/(m・K)を超える高熱伝導性樹脂である。
多孔質樹脂材料は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、無機高分子が好ましい。
具体的には、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂及びポリエチレン樹脂からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
これらの樹脂の熱伝導率は例えば以下の通りである。
メラミン樹脂:0.5W/(m・K)
ポリカーボネート樹脂:4.7W/(m・K)
ポリエチレン樹脂:0.33〜0.50W/(m・K)
多孔質樹脂材料の熱伝導率はレーザーフラッシュ法により測定することができる。
なお、多孔質樹脂材料の熱伝導率は、気孔を有さない緻密質の樹脂材料自体の熱伝導率である。また、後述するような熱伝導粒子や金属線を含む場合であっても、熱伝導粒子及び金属線を含まずに測定される熱伝導率である。
【0024】
多孔質樹脂材料の気孔は、蓄熱物質を充填可能な気孔であることが好ましく、多孔質樹脂材料の表面からつながる連続気孔の割合が多いことが好ましい。
また、多孔質樹脂材料の気孔率が20〜99.8%であることが好ましい。多孔質樹脂材料の気孔率の測定はアルキメデス法により行うことができる。
多孔質樹脂材料が上記のような気孔率を有すると、蓄熱物質を充分な量含有することができるため、蓄熱体としての蓄熱量を充分に高くすることができる。
【0025】
また、多孔質樹脂材料の平均気孔径は、特に限定されないが、気孔に蓄熱物質を含ませるのに充分な大きさであることが好ましい。例えば、電子顕微鏡写真において気孔の面積を計算し、円相当径に換算した場合に直径0.01〜1mmであることが好ましい。
【0026】
蓄熱物質は、相転移により蓄熱及び放熱を行う相転移物質を含む。相転移物質としては、特に限定されないが、糖アルコール、無機塩水和物及びパラフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これらの物質は蓄熱量が多く、半導体素子の耐熱温度よりも低い相転移温度を有するからである。
糖アルコールとしては、エリスリトール、ソルビトール、スレイトール、マンニトール及びキシリトールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
無機塩水和物としては、塩化カルシウム六水和物、硫酸ナトリウム十水和物、酢酸ナトリウム三水和物、カリウムミョウバン及びアンモニウムミョウバンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
相転移物質の相転移温度は、20〜180℃であることが好ましい。また、相転移温度が30〜150℃であることがより好ましく、40〜120℃であることがさらに好ましい。
【0027】
また、相転移物質の種類は限定されるものではないが、上記温度範囲での相転移物質の相転移において、液体から固体への変化、又は、固体から液体への変化は体積の変化が少ないので制御しやすく、そのような特性を有する相転移物質が好ましく用いられる。
相転移物質は、相転移温度が同一の材料だけを用いてもよいし、相転移温度の異なる2種類以上の材料を含むようにしてもよい。
熱源に近い領域に相転移温度が高い相転移物質を配置するようにして、相転移温度の異なる2種類以上の材料を含むようにすると、熱源の過剰昇温を防止することができる。
【0028】
また、相転移物質は、非粒子状であることが好ましい。
本発明の蓄熱体においては、相転移物質は、非粒子状であることが好ましい。
非粒子状の相転移物質はカプセル壁を介することなく高熱伝導性樹脂に接しているので高熱伝導性樹脂と相転移物質の間の熱の授受の効率が高くなる。
なお、非粒子状とは、相転移物質からなる粒子が凝集した形態や相転移物質がカプセル粒子内に閉じ込められた形態ではなく、相転移物質が連続一体的に気孔内に存在している状態をいう。相転移物質は温度によって固体、液体、気体のいずれかの状態を取り得る。相転移物質が固体の場合は、通常は多孔質樹脂材料の気孔の形状に合わせた形状となるので、その形状は気孔の形状に応じた様々な形状の塊となる。
【0029】
本発明の蓄熱体では、蓄熱物質はその周囲を熱伝導率0.3W/(m・K)を超える高熱伝導性樹脂で囲まれているため、熱交換の対象から蓄熱物質までの熱の移動が妨げられることが防止される。
そのため、蓄熱物質への蓄熱が速やかに行われ、蓄熱物質による蓄熱効果が充分に発揮される。
また、蓄熱物質は相転移により蓄熱及び放熱を行う相転移物質を含み、相転移物質は液体状態を取り得るが、相転移物質は多孔質樹脂材料の気孔内で高熱伝導性樹脂に囲まれた状態で存在するので蓄熱体から漏れ出ることが防止される。
【0030】
蓄熱体に熱伝導粒子が含まれていることが好ましい。
蓄熱体中に熱伝導粒子を含ませることによって、蓄熱体の熱の伝導性をさらに向上させることができるので、蓄熱物質までの熱の移動をより速やかに行うことができる。
熱伝導粒子は、金属、カーボン、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、タルク、二酸化バナジウム、五酸化バナジウム及び窒化ホウ素からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
熱伝導粒子は、蓄熱物質に含まれていてもよく、高熱伝導性樹脂に含まれていてもよい。
熱伝導粒子は熱伝導率が高いので蓄熱物質及び高熱伝導性樹脂の熱伝導率を向上させることができる。
また、熱伝導粒子がアルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、タルク、二酸化バナジウム、五酸化バナジウム及び窒化ホウ素からなる群から選択された少なくとも1種である場合は、高熱伝導性樹脂の絶縁性を低下させることがない。そのため、蓄熱体を絶縁性が必要となる箇所に配置する場合に適している。
【0031】
また、熱伝導粒子の平均粒子径が0.1〜100μmであることが好ましい。
平均粒子径が上記のような範囲であると、相転移物質の保持スペースを損なうことなく、熱伝導粒子同士の接触確率を高くすることができ、熱伝導経路を形成させやすいからである。
【0032】
また、高熱伝導性樹脂には金属線が含まれていることが好ましい。
高熱伝導性樹脂中に金属線を含ませることによって、樹脂の熱伝導性をさらに向上させることができるので、蓄熱物質までの熱の移動をより速やかに行うことができる。
金属線は、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、ニクロム線及び真鍮からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
【0033】
高熱伝導性樹脂中における金属線の形状は特に限定されるものではなく、線状、網状、籠状でもよく、裁断した針状でもよい。
また、高熱伝導性樹脂中における金属線の配置は特に限定されるものではなく、ランダムに配置してもよく、特定方向に整列させて配置してもよく、格子状に配置してもよい。
【0034】
また、本発明の蓄熱体では、多孔質樹脂材料の周囲が緻密質被覆材で被覆されていることが好ましい。
多孔質樹脂材料の周囲を緻密質被覆材で覆うことによって、蓄熱物質が蓄熱体から漏れ出ることをより確実に防止することができる。
緻密質被覆材としては、樹脂製の被覆材が挙げられる。
例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂などを用いることができる。アクリル樹脂の一例としては、水性アクリル塗料が挙げられる。
緻密質被覆材は、蓄熱体の周囲への樹脂の塗布、蓄熱体を樹脂溶液に浸漬する、といった方法で形成することができる。
また、緻密質被覆材として金属製の被覆材を使用してもよい。アルミ箔、銅箔といった金属箔により多孔質樹脂材料の周囲を覆うこともできる。
【0035】
本発明の蓄熱体では、蓄熱体の一部が、多孔質樹脂材料の気孔に蓄熱物質が含まれていない多孔質領域であることが好ましい。
多孔質領域が設けられていると、相転移物質の相転移時に体積膨張が生じても多孔質領域が体積膨張を吸収することができるため、蓄熱物質が蓄熱体から漏れ出ることをより確実に防止することができる。
【0036】
多孔質領域が設けられる形態としては、多孔質樹脂材料に蓄熱物質を含浸して蓄熱物質を気孔に充填する際の充填率を意図的に低くして気孔の一部に蓄熱物質が含浸されないようにした形態が挙げられる。
この場合、蓄熱物質が含浸されていない気孔が存在する領域が多孔質領域となる。
【0037】
また、別の形態として、蓄熱物質が気孔に含まれている蓄熱体を作製し、それとは別に蓄熱物質が気孔に含まれていない多孔質樹脂材料からなる枠材を作製し、当該枠材の内部に蓄熱体を配置した形態や、蓄熱物質が気孔に含まれていない多孔質樹脂材料からなる板材を作製して、蓄熱物質が気孔に含まれている蓄熱体の上面及び/又は下面に当該板材を配置する形態、蓄熱物質が気孔に含まれていない多孔質樹脂材料からなる板材の一部に凹部を設け、この凹部に蓄熱物質が気孔に含まれている蓄熱体を嵌め込む形態等が挙げられる。
この場合、枠材の部分、板材又は凹部を含む板材が多孔質領域となる。
【0038】
本発明の蓄熱体の形状は、特に限定されるものではなく、柱状、平板状といった形状が挙げられる。また、ハニカム状になっていてもよい。
【0039】
本発明の蓄熱体は、熱源の過剰昇温を防止するために用いることができる。
熱源としては電気部品、エアコンなどの温調機器などが挙げられる。特に電気部品については、特許第5591405号公報に記載された電気部品用樹脂と同様の形態で使用できる。
【0040】
続いて、本発明の蓄熱体の具体的な実施形態の例について図面を用いて説明する。
図1(a)は、本発明の蓄熱体の一例を模式的に示す断面図であり、図1(b)は本発明の蓄熱体を構成する多孔質樹脂材料の一例を模式的に示す断面図である。
図1(a)には蓄熱体1を熱源40に接触させて配置した様子を模式的に示している。なお、熱源40は蓄熱体1を構成する要素ではない。
図1(a)に示す蓄熱体1は、図1(b)に示す多孔質樹脂材料10が有する気孔11に蓄熱物質20が含まれてなる。
多孔質樹脂材料10は樹脂部としての高熱伝導性樹脂12と気孔11を有しており、気孔11は高熱伝導性樹脂12に囲まれている。
すなわち、気孔11に含まれる蓄熱物質20は高熱伝導性樹脂12に囲まれて存在している。
また、多孔質樹脂材料10の周囲は緻密質被覆材30で被覆されている。
【0041】
蓄熱体1は熱源40と接触させて使用される。熱源40からの熱が、多孔質樹脂材料10を構成する高熱伝導性樹脂12に伝わり、高熱伝導性樹脂12を介して蓄熱物質20に伝わって、蓄熱物質20に熱が蓄熱される。
気孔11に含まれる蓄熱物質20は固体、液体、気体のいずれかの状態で気孔内に存在している。蓄熱物質20に伝わった熱量によって蓄熱物質20の相が変化し、相転移の過程で蓄熱又は放熱が行われる。蓄熱物質20から蓄熱体1の外部への放熱の際にも、高熱伝導性樹脂12を介して熱が放出されるので、熱の放出が速やかに行われる。
【0042】
図2は、本発明の蓄熱体の別の使用例を模式的に示す断面図である。
図2には、蓄熱体1と熱源40の間に中間層50を配置した使用例を示している。
中間層50を介して蓄熱体を配置しても、熱源から発生した熱を蓄熱体により蓄熱することができる。
中間層の材質は特に限定されるものではないが、樹脂材料であることが好ましい。中間層を構成する樹脂材料としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
中間層の中には熱伝導粒子を添加しておいてもよい。
【0043】
図3は、本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図である。
図3に示す蓄熱体2では、その一部に、多孔質樹脂材料10の気孔11に蓄熱物質20が含まれていない多孔質領域13(点線の外側の領域)を有する。
図3に示す蓄熱体2では多孔質領域13は蓄熱体2の外周部分に設けられているが、その位置は特に限定されるものではない。
図3に示す蓄熱体2では多孔質樹脂材料10自体は一体物であり、一体物としての多孔質樹脂材料10の気孔11の一部に蓄熱物質20が含まれないことによって多孔質領域13が設けられている。
【0044】
図4(a)は、本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図であり、図4(b)は図4(a)に示す蓄熱体を模式的に示す上面図である。
図4(a)及び図4(b)に示す蓄熱体3は、多孔質領域を有する蓄熱体の別の形態である。
蓄熱体3は、蓄熱物質20が気孔11に含まれている多孔質樹脂材料10と、蓄熱物質が気孔17に含まれていない多孔質樹脂材料16からなる枠材15の組合せからなる。
この形態の場合は枠材15が多孔質領域となる。
熱源40は多孔質樹脂材料10の直下に配置されている。また、枠材15の外周に緻密質被覆材30が形成されている。
【0045】
図5は、本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図である。
図5に示す蓄熱体4は、蓄熱物質として相転移温度の異なる2種類以上の材料を含む。
蓄熱体4は、相転移温度の異なる蓄熱物質21及び蓄熱物質22を含んでいる。
蓄熱物質21は蓄熱物質22よりも相転移温度が高い蓄熱物質であり、熱源40に近い領域に配置されている。一方、蓄熱物質22は蓄熱物質21よりも相転移温度が低い蓄熱物質であり、熱源40から相対的に遠い領域に配置されている。蓄熱物質21は内側に位置する多孔質樹脂材料18の気孔11に含まれており、蓄熱物質22は外側に位置する多孔質樹脂材料19の気孔11に含まれている。
外側に位置する多孔質樹脂材料の外周に緻密質被覆材30が形成されている。
【0046】
図6(a)は、本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図であり、図6(b)は図6(a)に示す蓄熱体を模式的に示す上面図である。
また、図7(a)は本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図であり、図7(b)は図7(a)に示す蓄熱体を模式的に示す上面図である。
図6(a)及び図6(b)に示す蓄熱体5は、蓄熱物質20中に熱伝導粒子61を含む。
一方、図7(a)及び図7(b)に示す蓄熱体6は、多孔質樹脂材料10の高熱伝導性樹脂12中に熱伝導粒子61を含む。
いずれの形態であっても、蓄熱体中に熱伝導粒子を含有させることによって蓄熱体全体としての熱伝導率を向上させることができる。
【0047】
図8(a)は、本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図であり、図8(b)は図8(a)に示す蓄熱体を模式的に示す上面図である。
また、図9(a)は本発明の蓄熱体の別の一例を模式的に示す断面図であり、図9(b)は図9(a)に示す蓄熱体を模式的に示す上面図である。
図8(a)及び図8(b)に示す蓄熱体7は、多孔質樹脂材料10の高熱伝導性樹脂12中に金属線62を含む。金属線62は高熱伝導性樹脂12中の特定方向に整列させて配置されている。
図9(a)及び図9(b)に示す蓄熱体8は、多孔質樹脂材料10の高熱伝導性樹脂12中に金属線63を含む。金属線63は格子状に組まれた構造で高熱伝導性樹脂12中に配置されている。
金属線63は、三次元的に格子を形成して、蓄熱体中に含まれていてもよい。
また、格子状に組まれた金属線63は、蓄熱体8の表面に配置されていてもよい。
いずれの形態であっても、高熱伝導性樹脂中に金属線を含有させることによって蓄熱体全体としての熱伝導率を向上させることができる。
【0048】
続いて、本発明の蓄熱体の製造方法の一例について図面を用いて説明する。
本発明の蓄熱体の製造方法は下記の方法に限定されるものではないが例えば以下の方法を用いることができる。
図10(a)、図10(b)、図10(c)及び図10(d)は、蓄熱体の製造方法の一例を模式的に示す工程図である。
図10(a)には、浸漬槽100に液体の蓄熱物質20を満たした様子を示している。
蓄熱物質が常温で液体であればそのまま浸漬槽100に流し込んで使用すればよく、常温で固体であれば浸漬槽100に入れたのちに蓄熱物質の相転移温度以上に加熱して液体の蓄熱物質20とする。具体的には、蓄熱物質の相転移温度より5℃以上高い温度にすることがよい。
【0049】
続いて、図10(b)に示すように浸漬槽100の液体の蓄熱物質20中に多孔質樹脂材料10を浸漬し、多孔質樹脂材料10の気孔11に蓄熱物質20を含浸する。
この工程により多孔質樹脂材料10の気孔11に蓄熱物質20が充填される。
【0050】
なお、多孔質樹脂材料を得る方法は特に限定されるものではないが、モノマーと硬化剤の混合物や初期縮合体に発泡剤を添加したり、ガスを発生させながら硬化を行うことで製造することができる。
例えば、メラミン樹脂からなる多孔質樹脂材料を得る場合であれば、メラミン、ホルムアルデヒド、硬化剤(酸性化合物、例えば塩化水素、硫酸、リン酸、硝酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、トリオールスルホン酸、アミドスルホン酸、酸無水物等)からなる初期縮合体を得て、初期縮合体に水蒸気又はマイクロ波照射での加熱を行うことにより発泡させて架橋させたり、発泡剤を添加することによりメラミン樹脂からなる多孔質樹脂材料を製造することができる。勿論、市販の発泡樹脂を購入して多孔質樹脂材料として使用してもよい。
【0051】
続いて、図10(c)に示すように、気孔11に蓄熱物質20を充填させた多孔質樹脂材料10を浸漬槽100から取り出す。
浸漬槽100において液体の蓄熱物質20を得るために加熱がされている場合は、取り出した多孔質樹脂材料10が室温よりも高温になっているため、必要に応じて冷却する。
この工程により蓄熱体101が得られる。
このような蓄熱体101は図1に示す蓄熱体1において緻密質被覆材30が設けられていない他は同じ構成であり、本発明の蓄熱体の要件を満たすものである。
なお、常温で固体の蓄熱物質20が使用されている場合は、冷却によって多孔質樹脂材料10の気孔11内で蓄熱物質20が固化し、蓄熱体101に蓄熱物質20が固体として含まれることになる。
【0052】
さらに、図10(d)に示すように、多孔質樹脂材料10の周囲に緻密質被覆材30となる樹脂での被覆を行う。緻密質被覆材による被覆は、蓄熱体の周囲への未硬化のアクリル樹脂やシリコーン樹脂の塗布、蓄熱体を樹脂溶液に浸漬する、といった方法で形成することができる。
また、未硬化のアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等を塗布した後、乾燥による硬化、紫外線や加熱により硬化を行い、蓄熱物質の漏れを防ぎうる強度の高い被覆材の層を形成することが好ましい。
このような工程により、図1に示す蓄熱体1の構成の蓄熱体を製造することができる。
【0053】
[実施例]
(実施例1)
多孔質樹脂材料、蓄熱物質、緻密質被覆材として以下のものを用意した。
多孔質樹脂材料:メラミン樹脂フォーム(株式会社オーエ製 品名:カットメラミンスポンジレギュラー:メラミン樹脂の樹脂としての熱伝導率は0.5W/(m・K))
蓄熱物質:パラフィン(融点68〜70℃ 富士フィルム和光純薬株式会社製)
緻密質被覆材:水性アクリル塗料(株式会社アサヒペン社製 品名:水性エナメル)
【0054】
<多孔質樹脂材料の準備工程>
多孔質樹脂材料の大きさを縦17mm×横30mm×厚み10mmで裁断したものを3個用意した。
【0055】
<蓄熱物質の溶融工程>
固化された蓄熱物質を容器に入れ、湯浴にて80℃まで加熱することで蓄熱物質を溶融し、液体状態にさせた。このとき、容器には、浸漬工程を行う際、多孔質樹脂材料が充分に浸るほどの深さまで蓄熱物質で満たした。
【0056】
<蓄熱物質の含浸工程>
溶融工程で液体状態(80℃での加温)となった蓄熱物質に、多孔質樹脂材料を浸漬させて多孔質樹脂材料の気孔中に蓄熱物質を含浸した。浸漬時間:1分で蓄熱物質が充填された多孔質樹脂材料を取り出した。
取り出された多孔質樹脂材料は、常温になるまで冷却させた。冷却させた多孔質樹脂材料の気孔内において蓄熱物質が固化していることを確認した。
【0057】
<緻密質被覆材層の形成>
冷却させた多孔質樹脂材料の表面に刷毛塗りにより緻密質被覆材を塗布し、室温で乾燥させ硬化させた。塗布と硬化を繰り返して多孔質樹脂材料の全ての表面に緻密質被覆材層を形成した。
上記手順により実施例1の蓄熱体を得た。
【0058】
(比較例1)
実施例1において、多孔質樹脂材料としてウレタン樹脂フォームを採用した。ウレタン樹脂フォームは、シーランド製のスポンジを購入し、ナイロン製の不織布部分を切り取ってウレタン樹脂フォームとした。
ウレタン樹脂の樹脂としての熱伝導率は0.21W/(m・K)である。その他は実施例1と同様にして蓄熱体を得た。
【0059】
(蓄熱体の評価)
実施例1及び比較例1で得られた蓄熱体を熱源と接触させ、熱源から発生した熱の伝達に関する評価を行った。
図11は、蓄熱体の評価試験の方法を示す模式図である。
図11に示す評価装置150は、熱源であるヒーター110と、試験片底面(ヒーター側)の温度を測定する熱電対120と、試験片上面(ヒーターと遠い側)の温度を測定する熱電対130を備える。
ヒーター110としては窒化ケイ素ヒーター(坂口電熱株式会社製 品番:MSN−1100)を用いた。
ヒーター110の上に評価用試験片としての蓄熱体1を載置し、蓄熱体1の底面に熱電対120を配置し、蓄熱体1の上面に熱電対130を配置した。蓄熱体1を断熱材で覆い、ヒーターの出力を24Wで一定として加熱を行った。図11では断熱材の図示は省略している。
このとき、蓄熱体の底面側の温度が、蓄熱物質が固体から液体に変化する相転移温度(68〜70℃)となった時間を原点(0秒)とおいて、蓄熱体の上面側の温度が相転移温度となった時間までの経過時間を熱伝達完了時間とした。
【0060】
図12は、実施例1の蓄熱体の温度測定結果を示す図であり、図13は、比較例1の蓄熱体の温度測定結果を示す図である。
実施例1における温度測定結果は以下の通りである。
蓄熱体の底面の相転移温度到達時間:352秒
蓄熱体の上面の相転移温度到達時間:1493秒
熱伝達完了時間:1493−352=1141秒
実施例1の熱伝達完了時間につき、図12で両矢印Tで示す。
【0061】
比較例1における温度測定結果は以下の通りである。
蓄熱体の底面の相転移温度到達時間:548秒
蓄熱体の上面の相転移温度到達時間:1727秒
熱伝達完了時間:1727−548=1179秒
比較例1の熱伝達完了時間につき、図13で両矢印TCで示す。
【0062】
この結果より、実施例1の蓄熱体の熱伝達完了時間は、比較例1の蓄熱体の熱伝達完了時間よりも短いことから、実施例1の蓄熱体の熱伝達が優れているといえる。
すなわち、実施例1の蓄熱体は、熱源から蓄熱物質への蓄熱が速やかに行われる蓄熱体であるといえる。
なお、比較例1としては、多孔質樹脂材料としてウレタン樹脂フォームを使用したが、樹脂の熱伝導率が、0.24W/(m・K)であるナイロン樹脂フォームを使用した場合でも同様に熱伝達性能は実施例に比べて劣ると考えられる。
【0063】
1、2、3、4、5、6、7、8、101 蓄熱体
10、16、18、19 多孔質樹脂材料
11 気孔
12 高熱伝導性樹脂
13 多孔質領域
15 枠材(多孔質領域)
17 気孔(蓄熱物質が含まれていない気孔)
20、21、22 蓄熱物質
30 緻密質被覆材
40 熱源
50 中間層
61 熱伝導粒子
62、63 金属線
100 浸漬層
110 ヒーター
120、130 熱電対
150 蓄熱体の評価装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13