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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-193567(P2020-193567A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】ロータリ圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/356 20060101AFI20201106BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20201106BHJP
【FI】
   F04C18/356 N
   F04C18/356 D
   F04C29/00 D
   F04C29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-97701(P2019-97701)
(22)【出願日】2019年5月24日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】小川 真
(72)【発明者】
【氏名】木全 央幸
(72)【発明者】
【氏名】江崎 郁男
(72)【発明者】
【氏名】宇野 将成
(72)【発明者】
【氏名】島谷 紘史
(72)【発明者】
【氏名】藤原 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】笹川 千賀子
(72)【発明者】
【氏名】山下 拓馬
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA04
3H129AA09
3H129AA13
3H129AA21
3H129AB03
3H129BB01
3H129BB16
3H129BB42
3H129CC05
3H129CC19
(57)【要約】
【課題】より一層性能の向上したロータリ圧縮機を提供する。
【解決手段】ロータリ圧縮機は、軸線回りに回転可能なクランクシャフトと、圧縮室が形成された圧縮部と、を備え、圧縮部は、軸線から偏心した位置で軸線回りに旋回するピストンロータと、ピストンロータを外周側から覆う円環状のシリンダと、シリンダとともに圧縮室を形成する上部軸受、及び下部軸受と、径方向に延びるとともに先端がピストンロータの外周面に当接し、圧縮室を低圧空間と高圧空間とに分離するブレードと、を有し、ブレードにおける上部軸受を臨むブレード上面に、軸線方向に凹むとともに径方向に延びるブレード凹溝が形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転可能なクランクシャフトと、
該クランクシャフトの回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮室が形成された圧縮部と、
を備え、
前記圧縮部は、
前記クランクシャフトに設けられ、前記軸線から偏心した位置で該軸線回りに旋回するピストンロータと、
該ピストンロータを外周側から覆う円環状のシリンダと、
該シリンダをそれぞれ前記軸線方向から覆うことで、前記シリンダとともに前記圧縮室を形成する上部軸受、及び下部軸受と、
前記圧縮室内に配置され、前記軸線に対する径方向に延びるとともに、先端が前記ピストンロータの外周面に当接した状態で径方向に移動可能とされ、前記圧縮室を低圧空間と高圧空間とに分離するブレードと、
を有し、
前記ブレードにおける前記上部軸受を臨む面であるブレード上面に、前記軸線方向に凹むとともに、前記径方向を長手方向として延びるブレード凹溝が形成されているロータリ圧縮機。
【請求項2】
前記ブレード凹溝における前記径方向の両端の少なくとも一方を閉塞する閉塞部をさらに有する請求項1に記載のロータリ圧縮機。
【請求項3】
前記ピストンロータにおける前記上部軸受を臨む面であるロータ上面に、前記軸線方向に凹むとともに、前記ピストンロータの形状に沿って延びるロータ凹溝が形成されている請求項1又は2に記載のロータリ圧縮機。
【請求項4】
前記ロータ凹溝は、前記ピストンロータの中心軸を中心とする環状をなしている請求項3に記載のロータリ圧縮機。
【請求項5】
軸線回りに回転可能なクランクシャフトと、
該クランクシャフトの回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮室が形成された圧縮部と、
を備え、
前記圧縮部は、
前記クランクシャフトに設けられ、前記軸線から偏心した位置で該軸線回りに旋回するピストンロータと、
該ピストンロータを外周側から覆う円環状のシリンダと、
該シリンダをそれぞれ前記軸線方向から覆うことで、前記シリンダとともに前記圧縮室を形成する上部軸受、及び下部軸受と、
を有し、
前記ピストンロータにおける前記上部軸受を臨む面であるロータ上面に、前記軸線方向に凹むとともに、前記ピストンロータの形状に沿って延びるロータ凹溝が形成されているロータリ圧縮機。
【請求項6】
前記ロータ凹溝は、前記ピストンロータの中心軸を中心とする環状をなしている請求項5に記載のロータリ圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば空調装置における冷媒の圧縮に用いられる装置として、ロータリ圧縮機が知られている。ロータリ圧縮機は、シャフトと、シャフトの偏心部に装着されたピストンロータと、ピストンロータを収容するシリンダ室を有するシリンダと、シリンダ室の軸方向両側に配置される上部軸受、及び下部軸受と、シリンダ室内に向かって突出するブレードと、これらを収容するハウジングと、を備えている。ブレードは、ピストンロータの外周面に常態的に摺接することで、シリンダ室を低圧空間と高圧空間に分けている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−166493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロータリ圧縮機の運転中には、上記のブレード、及びピストンロータは、上部軸受又は下部軸受に軸線方向から摺接した状態となる。これら摺接部分には潤滑油が介在することで摩擦損失を減少させる措置が取られる。つまり、潤滑油を摺接部分に安定的に保持させる必要がある。また、ロータリ圧縮機の効率向上を図る上では、このような摺接部分における冷媒の漏れを可能な限り抑制する必要もある。即ち、摩擦損失の低減と、冷媒のシール性能の向上とを両立することが可能な技術が求められている。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、より一層性能の向上したロータリ圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るロータリ圧縮機は、軸線回りに回転可能なクランクシャフトと、該クランクシャフトの回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮室が形成された圧縮部と、を備え、前記圧縮部は、前記クランクシャフトに設けられ、前記軸線から偏心した位置で該軸線回りに旋回するピストンロータと、該ピストンロータを外周側から覆う円環状のシリンダと、該シリンダをそれぞれ前記軸線方向から覆うことで、前記シリンダとともに前記圧縮室を形成する上部軸受、及び下部軸受と、前記圧縮室内に配置され、前記軸線に対する径方向に延びるとともに、先端が前記ピストンロータの外周面に当接した状態で径方向に移動可能とされ、前記圧縮室を低圧空間と高圧空間とに分離するブレードと、を有し、前記ブレードにおける前記上部軸受を臨む面であるブレード上面に、前記軸線方向に凹むとともに、前記径方向を長手方向として延びるブレード凹溝が形成されている。
【0007】
上記構成によれば、ブレードにブレード凹溝が形成されていることにより、当該ブレードと上部軸受との接触面積を小さくすることができる。その結果、ブレードと上部軸受との間で生じる摩擦損失を低減することができる。さらに、当該ブレード凹溝に対して外部から潤滑油を供給することによって、ブレードと上部軸受との間が潤滑油によってシールされる。その結果、冷媒の漏れを抑制することができる。
【0008】
上記ロータリ圧縮機では、前記ブレード凹溝における前記径方向の両端の少なくとも一方を閉塞する閉塞部をさらに有してもよい。
【0009】
上記構成によれば、ブレード凹溝の径方向の両端の少なくとも一方に、これら両端を閉塞する閉塞部が設けられている。これによって、ブレード凹溝によって圧縮室内外が連通してしまうことはなく、即ち、圧縮室内外のシール性を確保することができる。
また、ブレード凹溝の両端のそれぞれに閉塞部が設けられている場合、当該ブレード凹溝は径方向において外部と隔離されていることになる。したがって、例えばブレード凹溝内に潤滑油を供給する場合、当該潤滑油を外部に流出させることなく、ブレード凹溝内で保持することができる。その結果、ブレードと上部軸受との間における冷媒のシール性能をさらに向上させることができる。
【0010】
上記ロータリ圧縮機では、前記ピストンロータにおける前記上部軸受を臨む面であるロータ上面に、前記軸線方向に凹むとともに、前記ピストンロータの形状に沿って延びるロータ凹溝が形成されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、ロータ上面にロータ凹溝が形成されていることにより、当該ロータ上面と上部軸受との接触面積を小さくすることができる。その結果、ロータ上面と上部軸受との間で生じる摩擦損失を低減することができる。さらに、当該ロータ凹溝に対して外部から潤滑油を供給することによって、ロータ上面と上部軸受との間が潤滑油によってシールされる。その結果、冷媒の漏れを抑制することができる。
【0012】
上記ロータリ圧縮機では、前記ロータ凹溝は、前記ピストンロータの中心軸を中心とする環状をなしていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、ロータ凹溝は環状をなしている。つまり、このロータ凹溝は、ピストンロータの中心軸を中心として閉じた環状をなしている。したがって、例えばロータ凹溝に潤滑油を供給する場合、当該潤滑油を外部に流出させることなく、ロータ凹溝内で保持することができる。その結果、ロータ上面と上部軸受との間における冷媒のシール性能をさらに向上させることができる。
【0014】
上記ロータリ圧縮機では、軸線回りに回転可能なクランクシャフトと、該クランクシャフトの回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮室が形成された圧縮部と、を備え、前記圧縮部は、前記クランクシャフトに設けられ、前記軸線から偏心した位置で該軸線回りに旋回するピストンロータと、該ピストンロータを外周側から覆う円環状のシリンダと、該シリンダをそれぞれ前記軸線方向から覆うことで、前記シリンダとともに前記圧縮室を形成する上部軸受、及び下部軸受と、を有し、前記ピストンロータにおける前記上部軸受を臨む面であるロータ上面に、前記軸線方向に凹むとともに、前記ピストンロータの形状に沿って延びるロータ凹溝が形成されている。
【0015】
上記構成によれば、ロータ上面にロータ凹溝が形成されていることにより、当該ロータ上面と上部軸受との接触面積を小さくすることができる。その結果、ロータ上面と上部軸受との間で生じる摩擦損失を低減することができる。さらに、当該ロータ凹溝に対して外部から潤滑油を供給することによって、ロータ上面と上部軸受との間が潤滑油によってシールされる。その結果、冷媒の漏れを抑制することができる。
【0016】
上記ロータリ圧縮機では、前記ロータ凹溝は、前記ピストンロータの中心軸を中心とする環状をなしていてもよい。
【0017】
上記構成によれば、ロータ凹溝は環状をなしている。つまり、このロータ凹溝は、ピストンロータの中心軸を中心として閉じた環状をなしている。したがって、例えばロータ凹溝に潤滑油を供給する場合、当該潤滑油を外部に流出させることなく、ロータ凹溝内で保持することができる。その結果、ロータ上面と上部軸受との間における冷媒のシール性能をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、より一層性能の向上したロータリ圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るロータリ圧縮機の構成を示す縦断面図である。
図2】本発明の実施形態に係るピストンロータ、及びブレードの構成を示す横断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るブレードの構成を示す縦断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るピストンロータの構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について、図1から図4を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係るロータリ圧縮機100は、アキュムレータ24と、吸入管26A、26Bと、圧縮機本体10と、を備えている。圧縮機本体10は、軸線Oに沿って延びるクランクシャフト16と、クランクシャフト16を回転させるモータ18と、クランクシャフト16の回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮部10Aと、クランクシャフト16、モータ18、及び圧縮部10Aを覆うハウジング11と、を備えている。
【0021】
圧縮部10Aは、クランクシャフト16の回転に伴って軸線Oから偏心した位置(ロータ軸線O1,O2)で軸線O回りに旋回(回転)するピストンロータ13A、13B(第一ピストンロータ13A、第二ピストンロータ13B)と、これら第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bをそれぞれ収容するシリンダ12A、12Bと、クランクシャフト16を回転可能に支持する上部軸受17A、及び下部軸受17Bと、シリンダ12A、12B内に形成された圧縮室Cを2つの空間に分離するブレードBと、を有している。
【0022】
圧縮部10Aは、円筒形状のハウジング11内に、ディスク状のシリンダ12A、12Bが上下2段に設けられた、いわゆる2気筒タイプのロータリ圧縮機である。ハウジング11は、シリンダ12A、12Bを囲うことで、圧縮された冷媒が排出される吐出空間Vを形成する。シリンダ12A、12Bの内部には、各々、シリンダ内壁面の内側よりも小さな外形を有する円筒状の第一ピストンロータ13A、第二ピストンロータ13Bが配置されている。第一ピストンロータ13A、第二ピストンロータ13Bは、各々、クランクシャフト16におけるクランク軸14A、14B(第一クランク軸14A、第二クランク軸14B)に挿入固定されている。
【0023】
上段側のシリンダ12Aの第一ピストンロータ13Aと、下段側の第二ピストンロータ13Bとは、その位相が互いに180°だけ異なるように設けられている。即ち、第一ピストンロータ13Aは、第二ピストンロータ13Bの偏心方向とは反対の方向に偏心している。また、上下のシリンダ12A、12Bの間には、ディスク状の仕切板15が設けられている。仕切板15により、上段側のシリンダ12A内の空間Rと、下段側の空間Rとが互いに区画されて、それぞれ圧縮室C1とC2とされている。
【0024】
シリンダ12A、12Bは、上部軸受17A、及び下部軸受17Bによってハウジング11に固定されている。より具体的には、上部軸受17Aは圧縮部10Aの上部に固定された円盤状をなしており、その外周面はハウジング11の内周面に固定されている。下部軸受17Bは圧縮部10Aの下部に固定された円盤状をなしており、その外周面はハウジング11の内周面に固定されている。上部軸受17Aは、上段側のシリンダ12Aを上方(軸線O方向一方側)から覆っている。また、下部軸受17Bは、下段側のシリンダ12Bを下方(軸線O方向他方側)から覆っている。つまり、上部軸受17Aは、シリンダ12A、及び仕切板15とともに、上記の圧縮室C1を形成し、下部軸受17Bは、シリンダ12B、及び仕切板15とともに、上記の圧縮室C2を形成する。なお、ロータリ圧縮機100は、このような2気筒ではなく、1気筒であってもよい。1気筒の場合、上記の仕切板15を設けることなく、シリンダの軸線O方向両側を、それぞれ上部軸受17A、及び下部軸受17Bによって覆う構成が採られる。
【0025】
圧縮機本体10には、圧縮機本体10への供給に先立って冷媒を気液分離するアキュムレータ24がステー25を介してハウジング11に固定されている。アキュムレータ24と圧縮機本体10との間には、アキュムレータ24内の冷媒を圧縮機本体10に吸入させるための吸入管26A、26Bが設けられている。吸入管26A、26Bの一端はアキュムレータ24の下部に接続され、他端は開口22A、22Bを通して、シリンダ12A、12Bにそれぞれ形成された吸入ポート23A、23Bに連通している。クランクシャフト16の一端側には、当該クランクシャフト16を回転駆動させるためのモータ18のロータ19Aが一体に設けられている。ロータ19Aの外周部に対向して、ステータ19Bが、ハウジング11の内周面に固定して設けられている。
【0026】
続いて、図2を参照して、圧縮部10Aの内部の構成について説明する。なお、上述の上段側のシリンダ12Aと、下段側のシリンダ12Bとでは、互いに同等の構成を有していることから、以下では代表的に上段側のシリンダ12Aについてのみ説明する。図2に示すように、シリンダ12Aは、軸線Oを中心とする環状のシリンダ本体12Hと、このシリンダ本体12Hの外周面12Sに設けられた2つの張出部P1、P2と、を有している。張出部P1、P2は、外周面12Sから軸線Oに対する径方向外側に向かって扇状に広がっている。張出部P1、P2の外周面は、上述のハウジング11の内周面に対して、例えば焼き嵌め等によって当接・固定される。2つの張出部P1、P2は、軸線Oに対する周方向に間隔をあけて設けられている。また、張出部P1は、張出部P2よりも周方向の寸法が大きい。なお、これら張出部P1、P2の個数や形状は、設計・仕様に応じて適宜決定されてよい。
【0027】
シリンダ本体12Hの内周側は軸線Oを中心として円形に開口することで、上述の圧縮室C1とされている。この圧縮室C1内には、第一ピストンロータ13Aが収容されている。ブレードBは、シリンダ本体12Hに対して弾性部材Gによって付勢された状態でブレード収容部Sb内に支持されている。ブレードBは、弾性部材Gによって軸線Oに対する径方向内側に向かって付勢されている。これにより、ブレードBの先端Btは、第一ピストンロータ13Aの外周面に常態的に当接した状態となっている。つまり、第一ピストンロータ13Aが偏心回転する際に、ブレードBの先端Btは弾性部材Gによって付勢された状態で、第一ピストンロータ13Aの外周面に摺接する。
【0028】
ブレードB自体は、軸線Oに対する径方向に進退動可能(移動可能)とされている。このブレードBにより、圧縮室C1は2つの空間(高圧空間Vh、及び低圧空間Vl)に分離されている。より具体的には、第一ピストンロータ13Aの回転方向(旋回方向)を正としたとき、ブレードBよりも回転方向R前方側の空間は高圧空間Vhとされ、回転方向後方側の空間は低圧空間Vlとされている。高圧空間Vhでは、低圧空間Vl側から送り込まれた冷媒が圧縮されることで高温高圧となって流通している。この高温高圧の冷媒は、シリンダ本体12Hに形成された吐出口(不図示)から、ハウジング11内の吐出空間Vを経て外部に取り出される。
【0029】
図2又は図3に示すように、ブレードBにおける上部軸受17Aを臨む面(ブレード上面Bs)には、ブレード凹溝R1が形成されている。ブレード凹溝R1は、ブレード上面Bsから軸線O方向の他方側(即ち、上部軸受17Aから離間する側)に向かって凹んでいる。さらに、ブレード凹溝R1は、ブレードB自体の延在方向(つまり、軸線Oに対する径方向)にわたって、かつ、該延在方向を長手方向として延びている。ブレード凹溝R1の径方向における両端には、それぞれ閉塞部Rcが設けられている。これら閉塞部Rcは、ブレード凹溝R1を径方向の両側から囲むことで、径方向において当該ブレード凹溝R1を外部から隔離された空間としている。言い換えれば、このブレード凹溝R1は、ブレードBの延在方向において、径方向の両端部を除く一部分のみに形成されている。さらに言い換えれば、ブレード凹溝R1の内面のうち、径方向を向く一対の面(径方向端面Sr)は、ブレードBの径方向両側を向く外側端面So)に対してそれぞれ径方向に離間している。
【0030】
このように構成されたブレード凹溝R1内には、ハウジング11内を流通する潤滑油(冷凍機油)が捕捉・保持されている。つまり、ブレードBが上部軸受17Aと摺接する際、両者の間にはこの潤滑油が介在している。また、一対の閉塞部Rcが存在するため、圧縮室C内外がブレード凹溝R1によって連通することはなお。
なお、ブレード凹溝R1の径方向における両端のうちの一方のみに閉塞部Rcが設けられていてもよい。この場合、ブレード凹溝R1の径方向内側の端部のみに閉塞部Rcが設けられていることが好ましい。この場合であっても、ブレード凹溝R1による圧縮室C内外が連通してしまうことを避けることができる。
【0031】
さらに、図2又は図4に示すように、上述の第一ピストンロータ13Aにおける上部軸受17Aを臨む面(ロータ上面13S)には、ロータ凹溝R2が形成されている。ロータ凹溝R2は、ロータ上面13Sから軸線O方向の他方側(即ち、上部軸受17Aから離間する側)に向かって凹んでいる。ロータ凹溝R2は、第一ピストンロータ13Aの形状に沿って、当該第一ピストンロータ13Aの中心軸(ロータ軸線O1)を中心とする円環状をなしている。つまり、このロータ凹溝R2は延在方向において閉じている。
【0032】
このように構成されたロータ凹溝R2内には、ハウジング11内を流通する潤滑油(冷凍機油)が捕捉・保持されている。つまり、第一ピストンロータ13Aが上部軸受17Aと摺接する際に、両者の間にはこの潤滑油が介在している。
【0033】
次に、本実施形態に係るロータリ圧縮機100の動作について説明する。ロータリ圧縮機100を運転するに当たっては、外部からの電力供給によってまずモータ18を駆動する。モータ18の駆動に伴って、クランクシャフト16が軸線O回りに回転する。クランクシャフト16の回転に伴って第一クランク軸14A、第二クランク軸14Bがクランクシャフト16の中心軸線(軸線O)回りに旋回する。この旋回に追従するようにして、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bが圧縮室C1、C2内で偏心回転する。第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bの偏心回転によって、圧縮室C1、C2の容積が変化し、当該圧縮室C1、C2内に取り込まれた冷媒が圧縮される。圧縮された冷媒は、ハウジング11内の吐出空間Vを経て外部に取り出される。
【0034】
ところで、ロータリ圧縮機100の運転中には、上記のブレードB、及び第一ピストンロータ13Aは、上部軸受17Aに軸線O方向から摺接した状態となる。これら摺接部分には潤滑油が介在することで摩擦損失を減少させる措置が取られる。つまり、潤滑油を摺接部分に安定的に保持させる必要がある。また、ロータリ圧縮機の効率向上を図る上では、このような摺接部分における冷媒の漏れを可能な限り抑制する必要もある。即ち、摩擦損失の低減と、冷媒のシール性能の向上とを両立することが可能な技術が求められている。
【0035】
そこで、本実施形態では、上述のようにブレードBにブレード凹溝R1が形成され、第一ピストンロータ13Aにロータ凹溝R2が形成されている。上記構成によれば、ブレードBにブレード凹溝R1が形成されていることにより、当該ブレードBと上部軸受17Aとの接触面積を小さくすることができる。その結果、ブレードBと上部軸受17Aとの間で生じる摩擦損失を低減することができる。さらに、当該ブレード凹溝R1に対して外部から潤滑油を供給することによって、ブレードBと上部軸受17Aとの間が潤滑油によってシールされる。その結果、冷媒の漏れを抑制することができる。
【0036】
さらに、上記構成によれば、ブレード凹溝R1の径方向の両端に、これら両端を閉塞する閉塞部Rcが設けられている。つまり、このブレード凹溝R1は、径方向において外部と隔離されている。したがって、例えばブレード凹溝R1内に潤滑油を供給する場合、当該潤滑油を外部に流出させることなく、ブレード凹溝R1内で保持することができる。その結果、ブレードBと上部軸受17Aとの間における冷媒のシール性能をさらに向上させることができる。
【0037】
加えて、上記構成によれば、ロータ上面13Sにロータ凹溝R2が形成されていることにより、当該ロータ上面13Sと上部軸受17Aとの接触面積を小さくすることができる。その結果、ロータ上面13Sと上部軸受17Aとの間で生じる摩擦損失を低減することができる。さらに、当該ロータ凹溝R2に対して外部から潤滑油を供給することによって、ロータ上面13Sと上部軸受17Aとの間が潤滑油によってシールされる。その結果、冷媒の漏れを抑制することができる。
【0038】
さらに加えて、上記構成によれば、ロータ凹溝R2は環状をなしている。つまり、このロータ凹溝R2は、第一ピストンロータ13Aの中心軸を中心として閉じた環状をなしている。したがって、例えばロータ凹溝R2に潤滑油を供給する場合、当該潤滑油を外部に流出させることなく、ロータ凹溝R2内で保持することができる。その結果、ロータ上面13Sと上部軸受17Aとの間における冷媒のシール性能をさらに向上させることができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記実施形態では、第一ピストンロータ13A、及びこれに対応する上側のブレードBにそれぞれロータ凹溝R2、ブレード凹溝R1を形成した例について説明した。しかしながら、これらブレード凹溝R1、及びロータ凹溝R2を、第二ピストンロータ13B、及びこれに対応する下側のブレードBに形成することも可能である。要するに、2つの異なる部材が互いに摺接し、かつ両者の間における流体(冷媒)の漏れを抑制する要請がある箇所には、上記の構成を適用することが可能である。
【0040】
また、上記実施形態では、ブレード凹溝R1、及びロータ凹溝R2の両方を有する構成について説明した。しかしながら、例えばブレード凹溝R1のみを有する構成や、ロータ凹溝R2のみを有する構成を採ることも可能である。
【符号の説明】
【0041】
100・・・ロータリ圧縮機
10・・・圧縮機本体
10A・・・圧縮部
11・・・ハウジング
12A、12B・・・シリンダ
12H・・・シリンダ本体
12S・・・外周面
13A・・・第一ピストンロータ
13S・・・ロータ上面
13B・・・第二ピストンロータ
14A・・・第一クランク軸
14B・・・第二クランク軸
16・・・クランクシャフト
17A・・・上部軸受
17B・・・下部軸受
18・・・モータ
19A・・・ロータ
19B・・・ステータ
22A、22B・・・開口
23A、23B・・・吸入ポート
24・・・アキュムレータ
25・・・ステー
26A、26B・・・吸入管
B・・・ブレード
Bs・・・ブレード上面
Bt・・・先端
C,C1,C2・・・圧縮室
G・・・弾性部材
O・・・軸線
O1,O2・・・ロータ軸線
P1,P2・・・張出部
R1・・・ブレード凹溝
R2・・・ロータ凹溝
Rc・・・閉塞部
Sb・・・ブレード収容部
V・・・吐出空間
Vh・・・高圧空間
Vl・・・低圧空間
図1
図2
図3
図4