【実施例】
【0019】
人の入浴時の浴室は、給湯装置から供給される温水の使用によって、室温が上昇すると共に湿度が高まって高温高湿の環境になる。高温高湿環境はカビの発生等を助長するため、入浴後には浴室内を換気して通常環境に戻す。このとき換気は、浴室に配設された換気扇や浴室暖房乾燥機等の換気運転によって行われ、窓等があればこれも開ける場合がある。以下では、換気運転を行う浴室暖房乾燥機1について説明する。
【0020】
図1,
図2に示すように、浴室暖房乾燥機1は、浴室の天井に配設される天井カセット式浴室暖房乾燥機である。この浴室暖房乾燥機1の合成樹脂製の本体ケース内には、暖房運転用及び換気運転用の空気の通路(図示略)が形成されている。本体ケースは、暖房乾燥運転を行うための熱交換器2と浴室循環ファン3等を有する暖房部が収容された第1ケース4と、換気運転を行うための送風ファン11等を有する換気部が収容された第2ケース10を有する。第1ケース4の下面部には、浴室に連通するグリル状開口部等が形成されたグリル板6が装着される。
【0021】
浴室の空気はグリル板6を介して第1ケース4内に導入される。暖房運転では、浴室循環ファン3を駆動して導入された浴室の空気が、熱交換器2で温水との熱交換により加熱されて、グリル板6を介して浴室内に送風される。熱交換器2には図示外の温水装置との間で温水を循環させるための温水配管2a,2bが接続される。
【0022】
換気運転では、送風ファン11を駆動して第1ケース4内に導入された浴室の空気が第2ケース10内に導入され、排気部13から外部に排気される。乾燥運転では、暖房運転と同時に換気運転を行う。尚、第2ケース10は、浴室以外の脱衣室等の換気も行うことができるように、他室に連通する換気配管を接続するための吸気部14,15を備えている。
【0023】
次に、第2ケース10について説明する。
図2〜
図6に示すように、第2ケース10には、送風ファン11を駆動する電動機16が固定される。浴室内の空気は湿度が高いことが多いので、第2ケース10に導入した空気に含まれる水分の侵入によって故障等が発生しないように、電動機16が合成樹脂製の電動機ケース17に密閉状に収容されて第2ケース10に固定されている。
【0024】
電動機16は、例えば家庭用の交流電源で作動する交流モータであり、鉛直方向に延びる回転軸16aを備えて円柱状に形成され、回転軸16aに装着された送風ファン11を駆動する。電動機ケース17は円筒壁部と上面部と下面部を有して電動機16を密閉状に覆い、その下面部に設けられた軸穴から回転軸16aが突出している。電動機ケース17は、上面部に上側突出部17aを有し、下面部に下側突出部17bを有し、上側突出部17aと下側突出部17bに夫々防振ゴム部材17c,17dが装着されている。
【0025】
電動機16の電力線21は、電動機ケース17の円筒壁部に設けられた電力線接続部17eから電動機ケース17の外側に延び、この電力線接続部17eが例えばエポキシ樹脂等によって樹脂封止されている。この樹脂封止によって埃や水分が電力線接続部17eに侵入しないようにして、トラッキング現象を防ぐ。電力線接続部17eにおいて電力線21は、電動機16の配線基板に設けられた配線コネクタに接続されている、又は電動機16の電源端子部に電力線21が半田付け等されている。
【0026】
次に、この電動機16を収容した電動機ケース17を第2ケース10に固定する構造について説明する。
第2ケース10には、電動機ケース17を収容するために、送風ファン11の上側の第2ケース10の上面部の所定の円形領域を凹入させて収容部10aが形成されている。収容部10aの底部10bの中央には電動機16の回転軸16aを挿通する軸穴が設けられている。収容部10aの周壁部は、上側周壁部10cの内径が下側周壁部10dの内径よりも大きい段付き形状に形成されている。
【0027】
下側周壁部10dの所定の部位には、上方程径方向外方に広がる傾斜部10eが設けられ、傾斜部10e近傍の段付き部10fに上方に突出するようにスペーサ10gが形成されている。傾斜部10eには、防火処理として例えばアルミ等の金属製のフィルム又は薄板の防火部材10hが配設されている。
【0028】
収容部10aは、電力線接続部17eが収容部10aの周方向のどの位置にあっても電動機ケース17を収容可能な大きさに形成されているが、防火部材10hが配設された傾斜部10eが電力線接続部17eに臨むように電力線接続部17eの位置を定めて、電動機ケース17収容する。収容された電動機ケース17は防振ゴム部材17c,17dを介して、その上側から覆う固定カバー18と収容部10aの底部10bに挟まれ、固定カバー18を第2ケース10にビスで固定することによって電動機ケース17が第2ケース10に固定される。この固定構造により、電動機16の作動に伴う振動を防振ゴム部材17c,17dによって吸収減衰させ、第2ケース10に振動を伝え難くしている。
【0029】
固定カバー18は、合成樹脂材料によって収容部12aに収まるように略円形の板状に形成され、その中央部には、電動機ケース17の上側突出部17aに装着された防振ゴム部材17cに外嵌させるための内側リング部分18bを有する。この内側リング部分18bと外縁の外側リング部分18cの間に、複数のスポーク状部分18dが形成され、それらの間が電動機16の放熱口になっている。
【0030】
外側リング部分18cの外縁近傍部には第2ケース10にビス固定するための複数(例えば4つ)のビス穴が周方向に間隔を空けて設けられ、ビス穴18e近傍の外縁部には切欠き部18fが設けられている。固定カバー18は、収容部10aの傾斜部10e近傍に形成されたスペーサ10gに切欠き部18fの周方向位置が重なるように第2ケース10に固定され、固定カバー18がスペーサ10gの上端部に当接する。
【0031】
ビス穴18eに対して切欠き部18fが設けられた側にある隣のビス穴18gと、この切欠き部18fの間は、それ以外の部分よりも外側リング部分18cが径方向外側に延び且つ放熱口が設けられていない。それ故、固定カバー18を第2ケース10に固定すると、ビス穴18gと切欠き部18fの間の領域の下方にある電力線接続部17eには、固定カバー18によって埃が溜まり難くなっている。
【0032】
図5に示すように、収容部10aに収容された電動機ケース17の電力線接続部17eから延びる電力線21は、電力線接続部17eに臨む傾斜部10eと電力線接続部17eの間のスペースに延びている。この電力線21は、傾斜部10e近傍の段付き部10fに形成されたスペーサ10gによって設定された大きさ隙間であって段付き部10fと固定カバー18の間の隙間を通り、
図6に示すように固定カバー18の切欠き部18fから外部に引き出される。隙間の大きさは適宜設定することができ、例えば高さが5mm程度、幅が20mm程度である。
【0033】
次に、電力線21について説明する。
図5,
図6に示すように、電力線21は、電力線接続部17eから延びる予め設定された長さの細線部22と、細線部22の電力線接続部17eと反対側の端部から外方に延びる細線部22よりも太い太線部23を有する。細線部22は、スペーサ10gによって大きさが設定された段付き部10fと固定カバー18の間の隙間を通すことができる太さである。
【0034】
一方、細線部22よりも太い太線部23は、スペーサ10gによって大きさが設定された段付き部10fと固定カバー18の間の隙間を通すことができない太さである。即ち、固定カバー18が固定されている状態では、段付き部10fと固定カバー18の間の隙間に太線部23を通すことができないようにしている。太線部23は、例えばナイロンクランプ25(
図4参照)等によって第2ケース10の上面部の所定位置に固定され、電力線接続部17eからの電力線21の抜け防止を図っている。
【0035】
細線部22の長さは、傾斜部10eが形成された範囲内に収まるように電力線接続部17eを周方向に動かしたときに、細線部22を第2ケース10の段付き部10fと固定カバー18の間の隙間を通して切欠き部18fから外部に引き出すことができる長さ(例えば100mm程度)である。この長さは、傾斜部10eや電力線接続部17eの周方向の幅等に基づいて予め設定される。
【0036】
設定された長さの細線部22がその隙間を通って切欠き部18fから外部に引き出されるように電力線接続部17eの周方向の位置の範囲が限定され、その範囲の電力線接続部17eに臨む傾斜部10eに防火処理を施して安全確保を図る。従って、従来は収容部10aの周方向全域に施していた防火処理を、傾斜部10eに施すように限定して、防火処理を施す領域を縮小させることができる。
【0037】
図7に示すように、電力線21は複数の被覆電線として例えば2本の被覆電線21a,21bを有する。太線部23は、これらの被覆電線21a,21bが束ねられて絶縁ゴム等の外装材23aによって覆われた1本の配線になっている。細線部22は、複数の被覆電線21a,21bが外装材23aによって覆われていない複数の配線になっている。細線部22は、太線部23の外装材23aを除去して形成してもよく、予め外装材23aで覆わないように形成してもよい。
【0038】
また、
図8に示すように、太線部23は複数の被覆電線21a,21bが例えばコルゲートチューブ等の合成樹脂製の保護チューブ23bによって覆われて束ねられた1本の配線になっており、細線部22は複数の被覆電線21a,21bが保護チューブ23bによって覆われていない複数の配線になっている電力線21でもよい。細線部22は、太線部23の保護チューブ23bを除去して形成してもよく、予め保護チューブ23bで覆わないように形成してもよい。
【0039】
上記実施例の浴室暖房乾燥機1の作用、効果について説明する。
電動機16の電力線21は、電力線接続部17eから延びる予め設定された長さの細線部22と細線部22の端部から更に外方に延びる細線部22よりも太い太線部23を有している。そして電動機16を収容した電動機ケース17を固定カバー18によって固定した状態で第2ケース10の段付き部10fと固定カバー18の間の隙間が所定の位置に形成され、その隙間の大きさが、電力線21の細線部22を通し且つ太線部23を通せないように設定されている。
【0040】
そのため、収容部10aにおける電力線接続部17eの周方向位置が、設定された長さの細線部22を段付き部10fと固定カバー18の間の隙間に通すことができる範囲内に限定される。従って、トラッキング現象による発火を防ぐための防火処理を施す部分を、その限定された範囲で電力線接続部17eに臨む傾斜部10eに縮小させることができるので、浴室暖房乾燥機1の安全確保と製造コストの低減を両立することができる。
【0041】
太線部23は複数の被覆電線21a,21bを外装材23aで被覆して構成され、細線部22は外装材23aによる被覆がない複数の被覆電線21a,21bである。従って、細線部22と太線部23を備えた電力線21を容易に形成できると共に浴室暖房乾燥機1の安全を確保できる。
【0042】
また、太線部23は複数の被覆電線21a,21bを保護チューブ23bで覆って構成され、細線部22は保護チューブ23bに覆われていない複数の被覆電線21a,21bである。従って、細線部22と太線部23を備えた電力線21を容易に形成できると共に浴室暖房乾燥機1の安全を確保できる。
【0043】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。