【解決手段】ベッド用荷重センサ3は、ベッドの脚が載る脚載せ面46と、複数の起歪部5と、ひずみセンサ6と、を備える。複数の起歪部5は、設置面に対向する支持面513を有し、設置面に支持面513が接触した状態で脚載せ面46に対して荷重が加わると、少なくとも一部でひずみが生じるように構成される。ひずみセンサ6は、起歪部5に生じたひずみを計測する。複数の起歪部5は、脚載せ面46に対応する位置にある第一起歪部53と、第一起歪部53の周囲にある少なくとも三つの第二起歪部54と、を有する。第一起歪部53の支持面513は、第二起歪部54の支持面513を含む仮想平面よりも下方に位置している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)実施形態
(1.1)全体構成
本実施形態に係るベッド用荷重計測システム1は、ベッド2が有する複数の脚23と設置面11との間に、複数のベッド用荷重センサ3を配置し、複数のベッド用荷重センサ3により得られた検出結果を用いて、ベッド利用者の動きを検出するシステムである。
【0012】
ここでいう「ベッド利用者の動き」は、例えば、ベッド利用者の就寝、就寝からの動き出し、起き上がり、ベッド2の端に座る端座位、離床等が挙げられる。本実施形態に係るベッド利用者は、例えば、要介護者、高齢者、障がい者、患者等であるが、健常者であってもよく、特に制限はない。また、本実施形態に係るベッド用荷重計測システム1は、主に、医療施設、高齢者施設、介護施設等で用いられるが、家庭、宿泊施設等で用いられてもよい。
【0013】
本開示にいう「設置面11」は、ベッド2が設置される面を意味する。設置面11は、例えば、床面、タイル上面、コンクリート床面、地面等が挙げられる。本実施形態に係る設置面11は、水平面に沿った平面である。ただし、本開示に係る設置面11は、平面でなくてもよく、凹凸面や、段差のある面であってもよい。以下では、設置面11に直交する方向を「上下方向」として定義する。
【0014】
ベッド2は、
図1に示すように、マットレス21と、マットレス21を支えるベッドフレーム22と、を備える。ベッドフレーム22は、複数(ここでは四つ)の脚23を備える。各脚23は、脚本体231と、脚本体231の下端面に取り付けられたキャスタ232と、を備える。
【0015】
キャスタ232は、脚本体231の下端面に固定された取付座に対して回転可能に取り付けられたフォーク233と、フォーク233に対して回転可能に取り付けられた車輪234と、を備える。フォーク233の回転軸は、上下方向に略平行である。車輪234の回転軸は、設置面11に略平行である。ベッド2は、複数のキャスタ232を有することで、設置面11に沿って移動し得る。
【0016】
本実施形態に係るベッド用荷重計測システム1は、
図1に示すように、複数(ここでは四つ)のベッド用荷重センサ3と、外部制御装置9(外部装置)と、を備える。複数のベッド用荷重センサ3は、複数の脚23に対して一対一で取り付けられる。本実施形態に係るベッド用荷重計測システム1は、複数のベッド用荷重センサ3として、一のマスタ31と、その他の複数のスレーブ32と、を備える。マスタ31と、複数のスレーブ32とは、無線通信によって通信可能に接続されている。また、マスタ31と外部制御装置9とは、無線通信によって通信可能に接続されている。
【0017】
(1.2)ベッド用荷重センサ
ベッド用荷重センサ3は、ベッド2の各脚23と設置面11との間に配置され、ベッド2の荷重を検出可能に構成されたセンサである。ベッド用荷重センサ3は、
図2に示すように、複数(ここでは五つ)の起歪部5を有する基台4と、複数のひずみセンサ6と、制御部7(
図10参照)と、を備える。また、スレーブ32としてのベッド用荷重センサ3は、バッテリ(
図10参照)を更に備える。
【0018】
(1.2.1)基台
基台4は、ベッド2の脚23を支持する台であって、起歪部5においてひずみを発生させる。本実施形態に係る基台4は、上方からみて(以下、平面視)略八角形状に形成されている。ただし、本開示に係る基台4の形状は、例えば、平面視において、三角形状、四角形状、五角形状等の多角形状、円形状、長円形状(楕円形状も含む)等に形成されてもよく、形状に制限はない。
【0019】
本実施形態に係る基台4は、金属製であり、例えば、削り出し加工によって形成されている。ただし、加工方法としては、削り出し加工に限らず、例えば、鋳造、鍛造、プレス加工、溶接による加工等であってもよく、特に制限はない。また、金属としては、例えば、クロムモリブデン鋼(Chromium Molybdenum Steel;CRMO)、ニッケルクロムモリブデン鋼、ステンレス鋼(例えば、SUS630)、アルミニウム合金等が挙げられるが、特に制限はない。
【0020】
基台4は、
図2に示すように、フレーム部41と、複数(ここでは五つ)の起歪部5と、を備える。本実施形態に係る基台4は、複数の起歪部5として、一の第一起歪部53と、複数(ここでは四つ)の第二起歪部54と、を備える。
【0021】
(1.2.1.1)フレーム部
フレーム部41は、基台4において、ベッド2の脚23から加わる荷重を受ける部分である。本実施形態に係る基台4では、複数の起歪部5が設置面11に載っており、フレーム部41の下面は、設置面11から離れている。ただし、フレーム部41に対して下向きの荷重が加わった場合に、フレーム部41の下面は設置面11に当たってもよい。フレーム部41は、
図3に示すように、フレーム本体部42と、スロープ44と、を備える。
【0022】
フレーム本体部42は、フレーム部41の主体を構成する部分である。フレーム本体部42は、板状に形成されている。フレーム本体部42の上面には、ベッド2の複数の脚23のうちのいずれか一つの脚23が載る(以下、フレーム本体部42の上面を「脚載せ面46」という)。脚載せ面46は、上方向を向く面であり、設置面11に対して略平行である。本実施形態に係る脚載せ面46は、平面視略八角形状に形成されている。ただし、本開示に係る脚載せ面46の形状は、略八角形状に限らず、例えば、三角形状、四角形状、五角形状等の多角形状、円形状、長円形状(楕円形状も含む)等に形成されてもよく、形状に制限はない。
【0023】
フレーム本体部42には、第一起歪部53及び複数の第二起歪部54がつながっている。フレーム本体部42に加わった下向きの力は、第一起歪部53と、複数の第二起歪部54のうちの少なくとも2つと、に伝達するように構成されている。これについては、後述の「(1.2.1.2)起歪部」で説明する。
【0024】
フレーム本体部42は、収容部43を有する。収容部43は、脚載せ面46の下方において第一起歪部53が収容される部分である。収容部43は、
図4に示すように、収納スペース431と、蓋支持部432と、蓋433(
図3参照)と、を備える。
【0025】
収納スペース431は、第一起歪部53が収まる空間である。本実施形態に係る収納スペース431は、フレーム本体部42を上下方向に貫通する。収納スペース431は、平面視において、蓋支持部432に囲まれており、略矩形状に形成されている。蓋支持部432は、蓋433を支える部分である。本実施形態に係る蓋支持部432は、平面視略矩形枠に形成されている。蓋支持部432は、フレーム本体部42に対して一体に形成されている。
【0026】
蓋433は、
図3に示すように、蓋支持部432に対して、取外し可能に取り付けられ、収納スペース431を上から閉じることができる。蓋433の上面は、フレーム本体部42の収容部43以外の上面と面一に形成されている。すなわち、本実施形態では、蓋433の上面は、脚載せ面46に含まれる。蓋433の下面は、蓋支持部432の上面及び第一起歪部53の上面に対向している。蓋433の下面は、
図5(A)に示すように、第一起歪部53に対応する部分にくぼみ4331が形成されており、これにより、
図5(B)に示すように、蓋支持部432に対して当たるが、第一起歪部53及びひずみゲージ61には当たらないように構成されている。これによって、蓋433に加わった下向きの力は、直接的に、第一起歪部53に加わらない。ただし、第一起歪部53は、
図3,4に示すように、蓋支持部432の一部に対して、第一接続部531を介してつながっている。このため、脚載せ面46に加わった下向きの力は、第一接続部531を介して、第一起歪部53に伝達する。
【0027】
スロープ44は、ベッド2の脚23を脚載せ面46に案内する部分である。各スロープ44は、フレーム本体部42に隣接している。本実施形態に係る複数のスロープ44は、フレーム本体部42の周囲に形成されている。ここでいう「周囲」とは、平面視においてフレーム本体部42の外周の少なくとも一部であることを意味し、連続的に形成されているか否かは問わない。本実施形態に係る複数のスロープ44は、基台4の外周に沿って形成されており、隣り合うスロープ44の長手方向同士は略直交する。
【0028】
各スロープ44の上面(以下、スロープ面441という)は、
図6に示すように、平面視において脚載せ面46に近付くに従って、上方に位置するように、脚載せ面46に対して傾斜している。本実施形態に係るスロープ面441の上端は、脚載せ面46の上方に位置しており、立上げ面45を介して、脚載せ面46とつながっている。スロープ面441の下端は、設置面11に近接している。
【0029】
立上げ面45は、脚載せ面46に載った脚23が、脚載せ面46から外れて、脱落するのを抑える。立上げ面45は、脚載せ面46に対して、脚載せ面46の周囲から立ち上がっている。本実施形態に係る立上げ面45は、脚載せ面46に対して略直交しているが、本開示に係る立上げ面45は、脚載せ面46から立ち上がっていればよく、立上げ面45に対して傾斜していてもよい。本実施形態に係る立上げ面45は、平面視において、脚載せ面46を囲んでおり、脚載せ面46に対して全周にわたって連続的に形成されている。
【0030】
したがって、設置面11に沿って移動するキャスタ232は、スロープ面441の下端に差し掛かった後、スロープ面441に乗り上げると共に、スロープ面441に沿って上昇する。その後、キャスタ232は、脚載せ面46上に至る。ここで、万が一、勢い余って、キャスタ232が脚載せ面46を横切ろうとしても、立上げ面45があることで、キャスタ232は立上げ面45に当たり、脚載せ面46上で停止し、脚載せ面46上に留まる。このように、本実施形態に係るベッド用荷重センサ3によれば、ベッド2を設置する際、ベッド用荷重センサ3が目視で確認しにくい位置に配置されても、脚載せ面46に対して、脚23を載せやすい。
【0031】
本実施形態に係るスロープ面441は平面であるが、本開示では、曲面であってもよい。また、スロープ面441の上端は、脚載せ面46の上方に位置しているが、本開示では、スロープ面441の上端と脚載せ面46とは、同じ高さ位置であってもよい。また、スロープ面441の上端部を曲面状に形成し、スロープ面441と脚載せ面46とを連続させてもよい。
【0032】
(1.2.1.2)起歪部
起歪部5は、脚載せ面46に対して荷重が加わると、少なくとも一部でひずみが生じるように構成された部分である。本実施形態に係るベッド用荷重センサ3は、
図3に示すように、複数の起歪部5として、一の第一起歪部53と、複数(ここでは四つ)の第二起歪部54と、を備える。
【0033】
(1.2.1.2.1)第一起歪部
第一起歪部53は、
図3に示すように、収容部43に収容されており、脚載せ面46に対応する位置にある。ここで、本開示でいう「脚載せ面46に対応する位置」とは、平面視において、脚載せ面46に対して、少なくとも一部が重なる位置にあることを意味する。したがって、本実施形態に係る第一起歪部53は、脚載せ面46の中央部に形成されているが、本開示では、平面視において、脚載せ面46のうちの端に偏った位置に形成されていても、「脚載せ面46に対応する位置」に含まれる。
【0034】
第一起歪部53は、第一接続部531を介して、蓋支持部432につながっており、すなわち、第一接続部531を介してフレーム本体部42につながっている。第一接続部531は、フレーム本体部42と第一起歪部53とをつなぐ。第一接続部531の上面は、本実施形態では、平面視で第一起歪部53に近付くに従って下方に位置するように、脚載せ面46に対して傾斜している。第一起歪部53は、
図4に示すように、支持体51と、起歪体52と、を備える。
【0035】
支持体51は、第一起歪部53において設置面11に載る部分であり、ベッド用荷重センサ3を支持する。ここで、
図7に、基台4を下面側から見た斜視図を示す。本実施形態に係る支持体51は、
図7に示すように、平面視矩形状の板状体511と、板状体511の下面から突出する突出部512と、で構成されている。本実施形態に係る突出部512は、円柱状に形成されている。突出部512の下面は、設置面11に対向する(この突出部512の下面を「支持面513」という)。
【0036】
支持面513は、支持体51において、支持面513に接触し得る面である。本実施形態に係るベッド用荷重センサ3では、第一起歪部53の支持面513は、常に設置面11に接触する。本実施形態に係る支持面513は、突出部512の下面であるが、これに限らず、板状体511の下面で構成されてもよい。
【0037】
起歪体52は、第一起歪部53において、ひずみが生じやすい部分である。本実施形態に係る起歪体52は、
図4に示すように、平面視略矩形枠状に形成されている。支持体51は、起歪体52の内側に配置されており、一部でつながっている。本実施形態に係る起歪体52は、支持体51の四辺のうち、第一接続部531とは反対側の辺とつながっており、その他の辺は、起歪体52に対してスリットを介して切り離されている。
【0038】
脚載せ面46に対して下向きの力が加わると、第一接続部531を介して、第一起歪部53の起歪体52に下向きの力が加わる。すると、支持体51の支持面513は設置面11に接触していることから、起歪体52と支持体51との接続部分において、応力集中が生じやすく、ひずみが発生する。
【0039】
(1.2.1.2.2)第二起歪部
第二起歪部54は、
図3に示すように、第二接続部541を介して、フレーム本体部42につながっている。複数(ここでは四つ)の第二起歪部54は、フレーム本体部42の周囲に設けられており、要するに、第一起歪部53の周囲にある。本実施形態に係るベッド用荷重センサ3は、フレーム部41の対角に位置する一対の第二起歪部54を二対有する。一対の第二起歪部54を結ぶ直線同士は、互いに交差しており、より詳細には、略直交している。
【0040】
第二接続部541は、フレーム本体部42と第二起歪部54とをつなぐ。第二接続部541の上面は、本実施形態では、平面視で第二起歪部54に近付くに従って下方に位置するように、脚載せ面46に対して傾斜している。第二起歪部54は、支持体51と、起歪体52と、を備える。支持体51及び起歪体52は、第一起歪部53における構造と略同じ構造であるため、異なる部分のみ説明し、重複する説明は省略する。
【0041】
第二起歪部54の突出部512の突出長さは、
図8に示すように、いずれも同じである。このため、すべての第二起歪部54の支持面513(
図8では513bとする)は、脚載せ面46からの距離が同じであり、要するに、すべての第二起歪部54の支持面513bは一の仮想平面55上に位置する。一方、第一起歪部53の突出部512の突出長さは、第二起歪部54の突出部512の突出長さよりも長い。すなわち、第一起歪部53の支持面513(
図8では513aとする)と脚載せ面46との間の寸法は、第二起歪部54の支持面513と脚載せ面46との間の寸法よりも大きい。要するに、第一起歪部53の支持面513aは、複数の第二起歪部54の支持面513bを含む一仮想平面55よりも下方に位置している。
【0042】
したがって、
図9(A)に示すように、複数のスロープ面441のうちの一のスロープ面441からキャスタ232が進入すると、対応するスロープ面441の両側の第二起歪部54の支持面513と、第一起歪部53の支持面513の3点が設置面11に接触する(破線で囲んだ起歪部5が設置面11に接触する)。したがって、本実施形態のベッド用荷重センサ3によれば、複数のスロープ面441のうちのいずれのスロープ面441からキャスタ232が進入しても、対応するスロープ面441の両側の二つの第二起歪部54と第一起歪部53とが設置面11に対して接触し、安定した支持状態を得ることができる。また、脚載せ面46に対して、脚23が偏った位置に位置しても、同様に安定した支持状態を得ることができる。しかも、
図9(b)に示すように、脚載せ面46のうちのどの位置に脚23が載っても、必ず第一起歪部53の支持面513が設置面11に接触するため、後述のように、第一起歪部53に対応するひずみセンサ6の計測結果のみを生体測定用の情報として用いればよい。
【0043】
(1.2.2)ひずみセンサ
ひずみセンサ6は、起歪部5に生じたひずみを検知して電気信号に変換し、ひずみを検出する。本実施形態に係るひずみセンサ6は、
図2に示すように、複数のひずみゲージ61を備える。複数のひずみゲージ61は、起歪体52に対し、接着により取り付けられている。ただし、本開示に係るひずみセンサ6は、ひずみゲージ61に限らず、例えば、静電容量式のひずみセンサ、圧電フィルムセンサ等であってもよい。
【0044】
ひずみセンサ6によって得られた検知結果(電気信号)は、制御部7(
図10参照)に出力される。本実施形態に係るひずみセンサ6は、制御部7に対し、ケーブルによって、電気信号を送信可能に接続されている。
【0045】
各ひずみセンサ6と制御部7とを接続するケーブル(不図示)は、基台4の下面に形成された溝47(
図7)に収納される。このため、ベッド2の脚23が基台4の脚載せ面46に載り、設置面11に対して基台4の下面が接触しても、ケーブルが断線しにくい。
【0046】
(1.2.3)制御部
制御部7は、ひずみセンサ6から電気信号が入力されると、各種処理を実行する。本実施形態に係るベッド用荷重計測システム1は、複数のベッド用荷重センサ3として、上述したように、マスタ31と、複数のスレーブ32と、を備える。本実施形態に係るベッド用荷重計測システム1では、マスタ31が備える制御部7(以下、マスタ用制御部81)と、スレーブ32が備える制御部7(以下、スレーブ用制御部71)とで、構成が異なっている。以下、それぞれの制御部7について説明する。
【0047】
(1.2.3.1)スレーブ用制御部
スレーブ用制御部71は、各スレーブ32に備わる制御部7である。本実施形態に係るスレーブ用制御部71は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを主構成とする制御回路により構成されている。マイクロコントローラのメモリに記録されたプログラムを、マイクロコントローラのプロセッサが実行することにより、制御部7の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。本実施形態に係る制御回路は、プリント基板に形成されており、プリント基板は、フレーム部41の下面に形成された凹所48(
図7参照)内に収納されている。
【0048】
スレーブ用制御部71は、
図10に示すように、荷重信号増幅部72と、フィルタ部73と、生体信号増幅部74と、A/D変換部75と、送信部76と、を備える。
【0049】
荷重信号増幅部72は、ひずみセンサ6から電気信号が入力されると、入力された信号を増幅する。本実施形態に係るスレーブ用制御部71は、第一起歪部53のひずみを検出するひずみセンサ6に対応する荷重信号増幅部72aと、第二起歪部54のひずみを計測するひずみセンサ6に対応する荷重信号増幅部72bと、を備える。本実施形態に係る荷重信号増幅部72は、例えば、差動アンプによって構成されている。荷重信号増幅部72によって処理された電気信号は、A/D変換部75に出力される。
【0050】
ここで、本実施形態に係る制御部7では、第一起歪部53に対応するひずみセンサ6から出力された電気信号についてのみ、生体測定用の情報として用いる。本開示でいう「生体測定用の情報」は、例えば、ベッド利用者の重心の位置を検出するための情報を意味する。
図10に示すように、荷重信号増幅部72aによって処理された電気信号は、A/D変換部75及びフィルタ部73に出力される。また、荷重信号増幅部72bによって処理された電気信号は、A/D変換部75に出力される。
【0051】
フィルタ部73は、荷重信号増幅部72aから入力された電気信号から、不必要な成分をカットする。本実施形態に係るフィルタ部73は、ローパスフィルタにより構成されている。フィルタ部73によって処理された電気信号は、生体信号増幅部74に出力される。
【0052】
生体信号増幅部74は、フィルタ部73から電気信号が入力されると、入力された信号を増幅する。本実施形態に係る生体信号増幅部74は、例えば、アンプ回路によって構成されている。生体信号増幅部74によって処理された電気信号は、A/D変換部75に出力される。
【0053】
A/D変換部75は、荷重信号増幅部72及び生体信号増幅部74のいずれか又は両方から入力されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。本実施形態に係るA/D変換部75は、第一起歪部53に対応するA/D変換部75と、第二起歪部54に対応するA/D変換部75と、を備える。本実施形態に係るA/D変換部75は、例えば、A/D変換回路によって構成されている。A/D変換部75によって変換された信号(デジタル信号)は、送信部76に出力される。
【0054】
送信部76は、A/D変換部75から信号が入力されると、その信号をマスタ31の受信部87に送信する。送信部76は、例えば、通信インターフェイス及びマイクロコントローラによって構成される。送信部76と、マスタ31の受信部87とは、無線通信によって通信可能に接続されている。
【0055】
無線通信方式としては、例えば、920MHz帯又は2.4GHz帯の周波数を利用した特定小電力無線、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等が挙げられる。
【0056】
スレーブ32は、バッテリ49を備える。本実施形態に係るスレーブ用制御部71には、バッテリ49から電力が供給され、AC電源88(例えば商用電源)から電力は供給されていない。一方、マスタ用制御部81は、AC電源88(例えば商用電源)からAC-DCアダプタを介して電力が供給される。このため、スレーブ32におけるバッテリ49の省電力化を図るために、マスタ31とスレーブ32との無線通信においては、マスタ用制御部81が受信待機状態となるように構成されている。
【0057】
本実施形態に係るバッテリ49は、二次電池である。二次電池としては、例えば、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、金属リチウム電池、リチウムイオンポリマー電池、ナトリウムイオン電池等が挙げられる。
【0058】
(1.2.3.2)マスタ用制御部
マスタ用制御部81は、マスタ31に備わる制御部7である。本実施形態に係るマスタ用制御部81は、スレーブ用制御部71と同様、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを主構成とする制御回路により構成されている。本実施形態に係る制御回路は、プリント基板に形成されており、プリント基板は、フレーム部41の下面に形成された凹所48(
図7参照)内に収納されている。
【0059】
マスタ用制御部81は、
図10に示すように、荷重信号増幅部82と、フィルタ部83と、生体信号増幅部84と、A/D変換部85と、受信部87と、送信部86と、を備える。ここで、荷重信号増幅部82、フィルタ部83、生体信号増幅部84及びA/D変換部85は、スレーブ用制御部71のものと同じであるため説明を省略する。
【0060】
受信部87は、スレーブ用制御部71の送信部86から送信された信号を受信する。受信部87は、当該受信した信号を、マスタ用制御部81の送信部86に出力する。
【0061】
送信部86は、A/D変換部85から出力された信号と、受信部87から出力された信号と、のいずれか又は両方が入力されると、入力された信号を外部制御装置9に出力する。マスタ用制御部81は、送信部86によって、外部装置としての外部制御装置9に対して通信することができる。
【0062】
本実施形態に係るマスタ用制御部81では、送信部86と外部制御装置9とは、通信ネットワークを介して、通信可能に接続されている。
【0063】
本実施形態に係る通信ネットワークは、無線通信の伝送路である。ただし、通信ネットワークとしては、例えば、有線通信の伝送路であってもよいし、無線通信の伝送路と有線通信の伝送路との組み合わせであってもよい。通信ネットワークとしては、例えば、無線パケット通信網、インターネット、P2Pネットワーク、専用回線、VPN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)等の無線通信網を含んでもよい。
【0064】
マスタ31は、上述のように、AC-DCアダプタを介して、AC電源(例えば商用電源)に接続される。つまり、マスタ用制御部81には、AC-DCアダプタによってAC電源から供給される交流電力を直流電力に変換した上で、電力が供給される。
【0065】
(1.3)外部制御装置
外部制御装置9は、複数のベッド用荷重センサ3による計測結果に基づいて、ベッド利用者の重心の位置を演算し、ベッド利用者の動きを検出する。具体的には、外部制御装置9は、マスタ用制御部81の送信部86から送信された信号を受信し、受信した信号に基づいて演算処理を実行する。本実施形態に係る外部制御装置9は、ベッド利用者の重心位置を検出することで、例えば、ベッド利用者の就寝、就寝からの動き出し、起き上がり、ベッド2の端に座る端座位、離床等のどの状態にあるかを検出することができる。また、外部制御装置9は、ベッド利用者の起き上がりを検出することができるため、次の動作として離床することが推測できる。したがって、外部制御装置9は、離床の予測も行うことができる。
【0066】
外部制御装置9によって検出した情報は、ベッド利用者の情報として、例えば、介護センター、ナースステーション、担当医のコンピュータ等へ送信される。
【0067】
(2)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0068】
上記実施形態に係るベッド用荷重センサ3では、第二起歪部54に取り付けられたひずみセンサ6が露出していたが、本開示に係るベッド用荷重センサ3では、ひずみセンサ6を覆う防水カバーを備えてもよい。防水カバーは、第二起歪部54に対して、取外し可能に取り付けられる。
【0069】
防水カバーとしては、例えば、合成樹脂、金属、ゴム、フィルム、ビニール等で構成される。また、防水カバーとしては、ひずみセンサ6に加えて、基台4の下面に設けられた基板を下から覆ってもよい。防水カバーによれば、例えば、飲料水、掃除水、雨水、結露、小便等から、ひずみセンサ6等を保護することができる。
【0070】
上記実施形態に係るベッド用荷重センサ3は、四つの第二起歪部54を有したが、本開示に係るベッド用荷重センサ3では、三つの第二起歪部54のみを有してもよいし、五つ以上の第二起歪部54を有してもよい。
【0071】
上記実施形態に係るベッド用荷重センサ3では、脚載せ面46は、平面視において、基台4の中央部に形成されていたが、本開示に係るベッド用荷重センサ3では、これに制限されない。本開示に係る脚載せ面46は、例えば、脚載せ面46の外周の辺が、基台4の外形の辺に対して、上下方向に重なる位置にあってもよいし、脚載せ面46の一部が平面視において基台4よりも外側に位置してもよい。
【0072】
上記実施形態に係るベッド用荷重センサ3は、キャスタ232を備える脚23を持ったベッド2を対象としたが、本開示では、キャスタ232を備えないベッド2を対象としてもよい。すなわち、脚載せ面46には、キャスタ232ではなく、脚本体231が載ってもよい。
【0073】
上記実施形態に係るひずみゲージ61は、起歪体52に対して接着剤による接着で取り付けられたが、取付け手段としては、接着剤による貼付けのほか、例えば、カシメ、ねじ止め、リベット止め、溶接、ろう付等が挙げられる。
【0074】
上記実施形態に係るベッド用荷重計測システム1では、ベッド利用者の動きを検出したが、ベッド利用者の体重を計測することで、長期間にわたるベッド利用者の体重の変化を検出することもできる。
【0075】
本開示にいう傾斜面は、平面だけでなく、曲面も含む。
【0076】
本開示にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数度程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0077】
また、本開示において「端縁部」及び「端縁」などのように、「…縁部」と「…縁」とで区別した表現が用いられている。例えば、「端縁部」とは、「端縁」を含む一定の範囲を持つ部分を意味する。他の「…縁部」を伴った表現についても同様である。
【0078】
(3)態様
以上説明したように、第1の態様に係るベッド用荷重センサ3は、ベッド2の脚23が載る脚載せ面46と、複数の起歪部5と、ひずみセンサ6と、を備える。複数の起歪部5は、設置面11に対向する支持面513を有し、設置面11に支持面513が接触した状態で脚載せ面46に対して荷重が加わると、少なくとも一部でひずみが生じるように構成される。ひずみセンサ6は、起歪部5に生じたひずみを計測する。複数の起歪部5は、脚載せ面46に対応する位置にある第一起歪部53と、第一起歪部53の周囲にある少なくとも三つの第二起歪部54と、を有する。第一起歪部53の支持面513は、第二起歪部54の支持面513を含む仮想平面55よりも下方に位置している。
【0079】
この態様によれば、脚載せ面46に対して、脚23が偏った位置に位置しても、三つの第二起歪部54のうちの二つの第二起歪部54の支持面513と、第一起歪部53の支持面513とが、設置面11に接触する。このため、3点支持による安定した支持状態を得ることができる上に、どの支持状態においても、第一起歪部53にひずみを生じさせることができる。この結果、この態様によれば、ベッド2の荷重の検出の精度を保ちながらも、設置の際に融通が利く、という利点がある。
【0080】
第2の態様に係るベッド用荷重センサ3では、第1の態様において、第二起歪部54を四つ備える。
【0081】
この態様によれば、対称形状のベッド用荷重センサ3を構成しやすいため、設置時の制約を減らすことができる。
【0082】
第3の態様に係るベッド用荷重センサ3では、第1又は第2の態様において、脚載せ面46に隣接するスロープ44を更に備える。スロープ44の上面は、平面視において脚載せ面46に近付くに従って、上方に位置するように、脚載せ面46に対して傾斜し、かつガイド面の上端が脚載せ面46と同じ高さ位置か、又は脚載せ面46よりも上方に位置している。
【0083】
この態様によれば、ベッド2の脚23を脚載せ面46に載せやすい。
【0084】
第4の態様に係るベッド用荷重センサ3では、第1〜3のいずれか1つの態様において、脚載せ面46に対して周囲から立ち上がる立上げ面45を更に備える。
【0085】
この態様によれば、脚載せ面46に載ったベッド2の脚23を、脚載せ面46から外れにくくすることができる。
【0086】
第5の態様に係るベッド用荷重センサ3では、第1〜4のいずれか1つの態様において、第一起歪部53に対応するひずみセンサ6により取得された情報のみを、生体測定用の情報として用いる制御部7を更に備える。
【0087】
この態様によれば、第二起歪部54については、生体測定用の情報に対する処理を実行しないため、第二起歪部54について、例えば、生体信号増幅部8474やフィルタ部8373を省略することができ、回路の簡素化及びコストダウンを図ることができる。
【0088】
第6の態様に係るベッド用荷重センサ3では、第1〜5のいずれか1つの態様において、ひずみセンサ6を保護する防水カバーを更に備える。
【0089】
この態様によれば、ひずみセンサ6を水分から保護することができる。
【0090】
第7の態様に係るベッド用荷重計測システム1は、第1〜6のいずれか1つの態様のベッド用荷重センサ3を複数備える。複数のベッド用荷重センサ3は、複数のベッド用荷重センサ3のうちの一のベッド用荷重センサ3であるマスタ31と、複数のベッド用荷重センサ3のうちの他の前記ベッド用荷重センサ3であり、マスタ31に対して無線通信によって通信可能に接続された複数のスレーブ32と、を備える。
【0091】
この態様によれば、マスタ31に対して、ひずみセンサによる検出結果を集約できるため、情報処理を実行しやすい。
【0092】
第8の態様に係るベッド用荷重計測システム1では、第7の態様において、マスタ31は、外部装置に対して通信可能に構成されている。
【0093】
この態様によれば、マスタ31に集約された検出結果を、外部装置に送信して、外部装置で処理することができるため、マスタ31の制御部を小型化することができる。
【0094】
第9の態様に係るベッド用荷重計測システム1では、第7又は第8の態様において、スレーブ32は、ひずみセンサ6から入力された情報を処理するスレーブ用制御部71と、スレーブ用制御部71に対して電力を供給するバッテリ49と、を有する。
【0095】
この態様によれば、スレーブ32に対して電力を供給するための電源ケーブルを省略することができ、電源ケーブルが断線する等の不具合を回避することができる。
【0096】
第2〜第6の態様に係る構成については、ベッド用荷重センサ3に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。また、第8,9の態様に係る構成については、ベッド用荷重計測システム1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。