特開2020-194096(P2020-194096A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-194096(P2020-194096A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】ウェアラブル表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20201106BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20201106BHJP
【FI】
   G02B27/02 Z
   H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-99806(P2019-99806)
(22)【出願日】2019年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 高明
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA23
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA53
2H199CA64
2H199CA76
(57)【要約】
【課題】外界の像に対する表示画像の重畳位置を変更した場合でも、ユーザが表示画像の全体を適切に視認することを可能とする。
【解決手段】ユーザの頭部に装着される装着部と、表示画像を形成する光を前記ユーザの眼球に出射する光学部と、前記装着部に前記光学部を回動可能に取り付ける回動機構と、
を備え、前記回動機構は、前記ユーザの眼球の双方を通過する仮想的な軸線を中心として前記光学部を回動させる、ウェアラブル表示装置。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの頭部に装着される装着部と、
表示画像を形成する光を前記ユーザの眼球に出射する光学部と、
前記装着部に前記光学部を回動可能に取り付ける回動機構と、
を備え、
前記回動機構は、前記ユーザの眼球の双方を通過する仮想的な軸線を中心として前記光学部を回動させる、ウェアラブル表示装置。
【請求項2】
前記光学部は、前記表示画像を形成する光を前記ユーザの左右の眼球のそれぞれに出射する、請求項1に記載のウェアラブル表示装置。
【請求項3】
前記回動機構は、前記光学部の、前記ユーザの左右の眼球にそれぞれ対応する領域の間に設けられる、請求項2に記載のウェアラブル表示装置。
【請求項4】
前記回動機構は、前記光学部を前記ユーザの頭部に対して上下方向に回動させる、請求項1に記載のウェアラブル表示装置。
【請求項5】
前記回動機構は、前記装着部に対する前記光学部の回動位置を固定する固定機構をさらに含む、請求項1に記載のウェアラブル表示装置。
【請求項6】
前記表示画像を形成する光を生成する光生成部をさらに備え、
前記光学部は、前記表示画像を形成する光を前記光生成部から前記眼球への出射位置まで導光する導光板を含む、請求項1に記載のウェアラブル表示装置。
【請求項7】
前記回動機構は、固定リンクが前記装着部に取り付けられ、中間リンクが前記光学部に取り付けられた四節リンクである、請求項1に記載のウェアラブル表示装置。
【請求項8】
前記固定リンクの一端又は他端は、駆動リンク又は従動リンクによって、前記中間リンクの一端又は他端と連結される、請求項7に記載のウェアラブル表示装置。
【請求項9】
前記駆動リンクは、前記従動リンクと同じ長さである、請求項8に記載のウェアラブル表示装置。
【請求項10】
前記固定リンクの一端は、前記固定リンクの一端と連結された前記中間リンクの一端の上限位置と、下限位置とを結ぶ線分の垂直二等分線上に設けられる、請求項7に記載のウェアラブル表示装置。
【請求項11】
前記回動機構は、円弧形状に沿って互いに摺動するスライダ機構である、請求項1に記載のウェアラブル表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェアラブル表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの頭部等に装着されるウェアラブル表示装置の開発が進められている。ウェアラブル表示装置は、表示画像を外界の像に重畳してユーザに視認させることができるため、様々な分野での活用が期待されている。
【0003】
このようなウェアラブル表示装置では、例えば、下記の特許文献1に開示されるように、虚像光学系を用いることで表示画像を拡大虚像としてユーザに視認させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−168297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
虚像光学系を用いたウェアラブル表示装置では、ユーザが表示画像の虚像全体を視認可能な範囲は、表示面に対して特定の三次元領域(アイボックスとも称される)に限られる。したがって、虚像光学系を用いたウェアラブル表示装置では、表示面に対するユーザの眼球の相対位置が変化した場合に、アイボックスからユーザの眼球が外れることで、ユーザが表示画像の一部を視認できなくなってしまうことがあった。
【0006】
一方で、ウェアラブル表示装置を装着したユーザには、外界の像の視認性を向上させる等の理由で、外界の像に対する表示画像の重畳位置を変更したいという要望がある。しかしながら、外界の像に対する表示画像の重畳位置を変更した場合、表示面に対するユーザの眼球の相対位置が変化し、ユーザが表示画像の全体を視認することができなくなる可能性があり得る。
【0007】
そこで、本開示では、外界の像に対する表示画像の重畳位置を変更した場合でも、ユーザが表示画像の全体を適切に視認することを可能とする、新規かつ改良されたウェアラブル表示装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、ユーザの頭部に装着される装着部と、表示画像を形成する光を前記ユーザの眼球に出射する光学部と、前記装着部に前記光学部を回動可能に取り付ける回動機構と、を備え、前記回動機構は、前記ユーザの眼球の双方を通過する仮想的な軸線を中心として前記光学部を回動させる、ウェアラブル表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ウェアラブル表示装置を上方から視認した様態を示す模式図である。
図2】ウェアラブル表示装置を装着したユーザを正面から視認した様態を示す模式図である。
図3】ウェアラブル表示装置を側方から視認した様態を示す模式図である。
図4】光学部、及び光生成部にて構成される虚像光学系を説明する模式図である。
図5】光学部及びアイボックスと、ユーザの眼球との関係を説明する模式図である。
図6】本開示の第1の実施形態に係るウェアラブル表示装置の装着部、及び画像表示装置を抽出して示す模式図である。
図7A図6で示した構成例において、画像表示装置を回動させた際の動きを示す模式図である。
図7B図6で示した構成例において、画像表示装置を回動させた際の動きを示す模式図である。
図8】回動機構を構成する四節リンクの自由端及び固定端の設定方法を説明する模式図である。
図9A図8にて示した方法で設定された回動機構を上下方向に回動させた状態を説明する模式図である。
図9B図8にて示した方法で設定された回動機構を上下方向に回動させた状態を説明する模式図である。
図10A】回動機構の第1の具体例を示す模式図である。
図10B図10Aに示す回動機構に含まれる固定機構を拡大して示す模式図である。
図11A】回動機構の第2の具体例を示す模式図である。
図11B図11Aに示す回動機構に含まれる固定機構を拡大して示す模式図である。
図12】第2の実施形態に係るウェアラブル表示装置の光学部、及び回動機構を抽出して示す模式図である。
図13A】回動機構の第1の具体例を示す模式図である。
図13B図13Aに示す回動機構の第2スライド部を第1スライド部側から見た模式図である。
図13C図13Aに示す回動機構をA−A線で切断した断面を示す模式図である。
図14A】回動機構の第2の具体例を示す模式図である。
図14B図14Aに示す回動機構の第2スライド部を第1スライド部側から見た模式図である。
図14C図14Aに示す回動機構をB−B線で切断した断面を示す模式図である。
図15】実オブジェクトに対応する位置に仮想オブジェクトを表示するウェアラブル表示装置に本開示に係る技術を適用した場合の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
なお、以下の説明にて参照する各図面では、説明の便宜上、一部の構成部材の大きさを誇張して表現している場合がある。したがって、各図面において図示される構成部材同士の相対的な大きさは、必ずしも実際の構成部材同士の大小関係を正確に表現するものではない。
【0012】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.ウェアラブル表示装置
1.1.装置構成
1.2.虚像光学系
1.3.アイボックス
2.第1の実施形態
2.1.構成例
2.2.具体例
3.第2の実施形態
3.1.構成例
3.2.具体例
4.応用例
【0013】
<1.ウェアラブル表示装置>
(1.1.装置構成)
まず、図1図3を参照して、本開示に係る技術が適用されるウェアラブル表示装置の装置構成について説明する。図1は、ウェアラブル表示装置を上方から視認した様態を示す模式図である。図2は、ウェアラブル表示装置を装着したユーザを正面から視認した様態を示す模式図である。図3は、ウェアラブル表示装置を側方から視認した様態を示す模式図である。
【0014】
図1図3に示すように、ウェアラブル表示装置1は、例えば、眼鏡のフレームと同様の形状にてユーザ20の頭部に装着される装着部10と、取り付け部材40を介して装着部10に取り付けられる画像表示装置100と、を備える。
【0015】
画像表示装置100は、ユーザ20の左右の眼球21の各々に対向する領域に配置される平板状の光学部120と、ユーザ20の左右の眼球21の各々に出射する光を生成する光生成部111L、111R(左右を区別しない場合は、まとめて光生成部111とも称する)と、を備える。
【0016】
光生成部111L、111Rは、ユーザ20の眼球21に出射されることで虚像として表示画像を形成する光を生成する。光生成部111L、111Rにて生成された光は、光学部120によってユーザ20の眼球21と対向する位置に導光された後、ユーザ20の左右の眼球21の各々に出射される。
【0017】
具体的には、光生成部111Lにて生成された光は、光学部120によってユーザ20の左の眼球21と対向する位置に導光され、ユーザ20の左の眼球21に出射される。一方、光生成部111Rにて生成された光は、光学部120によってユーザ20の右の眼球21と対向する位置に導光され、ユーザ20の右の眼球21に出射される。光生成部111L、111Rは、単色の表示画像を形成する単色の光を生成してもよく、フルカラーの表示画像を形成する少なくとも三色以上の光を生成してもよい。
【0018】
光学部120は、例えば、導光板及び偏向手段によって構成され、光生成部111L、111Rが生成した光をユーザ20の眼球21と対向する位置に導光し、ユーザ20の左右の眼球21の各々に出射する。光学部120は、ユーザ20が光学部120を介して外界の像を確認することが可能な半透過(シースルー)型の表示面として形成されてもよく、非透過型の表示面として形成されてもよい。
【0019】
装着部10は、ユーザ20の頭部の正面に配置されるフロント部11と、フロント部11の両端から延伸し、蝶番12を介してフロント部11と回動可能に設けられた2つのテンプル部13と、テンプル部13のフロント部11と接続する一端と対向する他端に設けられたモダン部14と、を備える。また、ユーザ20の左右の眼球21の間のフロント部11には、取り付け部材40が設けられ、取り付け部材40には、ユーザ20の鼻に当接する鼻パッド80がさらに設けられる。
【0020】
フロント部11、鼻パッド80、蝶番12、テンプル部13、及びモダン部14は、通常の眼鏡と略同じ構造及び材質で形成されていてもよい。例えば、フロント部11、鼻パッド80、蝶番12、テンプル部13、及びモダン部14は、それぞれ金属又は合成樹脂等にて形成されていてもよい。
【0021】
ウェアラブル表示装置1にて表示される画像の信号は、テンプル部13、及びモダン部14の内部を介して制御装置18と接続する配線15によって、光生成部111L、111Rに入力される。配線15には、例えば、信号線及び電源線が含まれ得る。
【0022】
また、ウェアラブル表示装置1が音声出力機能を備える場合、ウェアラブル表示装置1は、ヘッドフォン用配線17と、ヘッドフォン部16と、を備えてもよい。ヘッドフォン用配線17は、モダン部14からそれぞれ延伸して設けられ、制御装置18にて生成された音声信号をヘッドフォン部16に入力する。ヘッドフォン部16は、ヘッドフォン用配線17の先端に設けられ、入力された音声信号を音声として再生する。
【0023】
図1図3では、本開示に係る技術が適用されるウェアラブル表示装置1として、眼鏡型の表示装置を示したが、本開示に係る技術が適用されるウェアラブル表示装置は、かかる例示に限定されない。ウェアラブル表示装置1は、虚像光学系を用いてユーザ20に表示画像を視認させる表示装置であれば、いかなる様態であってもよい。例えば、ウェアラブル表示装置1は、頭部を覆うようなヘッドマウント型のウェアラブル表示装置であってもよく、片眼鏡(モノクル)型の単眼式ウェアラブル表示装置であってもよい。
【0024】
(1.2.虚像光学系)
次に、図4を参照して、ウェアラブル表示装置1にて用いられる虚像光学系について説明する。図4は、光学部120、及び光生成部111にて構成される虚像光学系を説明する模式図である。
【0025】
図4に示すように、光生成部111は、液晶表示装置151と、偏光ビームスプリッタ152と、光源153と、コリメート光学系112と、を備える。
【0026】
液晶表示装置151は、二次元マトリクス状に複数の画素を配列させた表示装置であり、ライトバルブとして機能する。光源153は、発光ダイオード等の無偏光の光を発する光源であり、偏光ビームスプリッタ152は、入射した光の一部の偏光を透過させ、入射した光の残りの偏光を反射する光学部材である。
【0027】
具体的には、光源153から出射された無偏光の光は、まず、偏光ビームスプリッタ152に入射する。ここで、光源153から出射された光のうちP偏光成分は、偏光ビームスプリッタ152を通過することで、系外に出射される。一方、光源153から出射された光のうちS偏光成分は、偏光ビームスプリッタ152にて反射されることで、液晶表示装置151に導かれる。液晶表示装置151に入射した光は、液晶表示装置151の内部で反射されることで、液晶表示装置151から出射される。液晶表示装置151から出射した光は、再度、偏光ビームスプリッタ152に入射する。ここで、液晶表示装置151から出射した光のうち白色を表示する画素から出射した光は、P偏光成分を多く含むため、偏光ビームスプリッタ152を通過し、コリメート光学系112に出射される。一方、黒色を表示する画素から出射した光は、S偏光成分を多く含むため、偏光ビームスプリッタ152にて反射されることで、光源153に戻される。
【0028】
コリメート光学系112は、偏光ビームスプリッタ152から入射された光を平行光に変換する。コリメート光学系112は、凸レンズ、凹レンズ、自由曲面プリズム、又はホログラムレンズを単独又は複数組み合わせることで構成することが可能である。コリメート光学系112を通過し、平行光に変換された光は、光学部120に入射する。
【0029】
光学部120は、第1偏向手段130と、導光板121と、第2偏向手段140と、を備える。導光板121は、導光板121の軸線と平行に延伸する2つの平行面を有する光学部材である。導光板121は、例えば、石英ガラス等の光学ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、又は非晶質のポリプロピレン樹脂等の透明な部材で形成することができる。第1偏向手段130は、例えば、1層の光反射膜で構成されることで、反射鏡として機能する。第2偏向手段140は、例えば、積層構造を有する光反射多層膜にて構成され、半透過鏡として機能する。
【0030】
これによれば、コリメート光学系112から光学部120に入射された平行光は、第1偏向手段130にて反射された後、導光板121の2つの平行面の間を全反射することで、導光される。導光板121を導光された光は、第2偏向手段140にて複数回反射されることで、導光板121から平行光の状態でユーザ20の眼球21に出射される。したがって、光学部120、及び光生成部111にて構成される虚像光学系は、液晶表示装置151に表示された画像を虚像としてユーザ20に視認させることができる。
【0031】
また、光学部120は、ホログラムレンズ等のレンズで構成されていてもよい。ホログラムレンズなどのレンズを光学部120として使用する場合、光学部120は、レンズによって光を偏光することにより、ユーザ20の眼球21に光を出射することができる。
【0032】
なお、図4で示す構成は、虚像光学系を実現する一例である。光学部120、及び光生成部111は、虚像光学系を構成することができれば、いかなる構成であってもよい。
【0033】
(1.3.アイボックス)
続いて、図5を参照して、虚像光学系にて生じるアイボックスについて説明する。図5は、光学部120及びアイボックスEbと、ユーザ20の眼球21との関係を説明する模式図である。
【0034】
図5に示すように、虚像光学系では、光学部120から出射される光の特性に応じて、ユーザ20が表示画像の虚像をすべて視認可能な三次元領域であるアイボックスEbが形成される。眼球21がアイボックスEbの範囲に存在する場合、ユーザ20は、表示画像の虚像をすべて視認することが可能であるが、眼球21がアイボックスEbの範囲から外れた場合、ユーザ20は、一部の画角で表示画像を視認できなくなってしまう。
【0035】
特に、アイボックスEbは、光学部120から略円錐形状に形成されるため、ユーザ20の眼球21と、光学部120との相対位置が変化した場合、ユーザ20は、一部の画角で表示画像を視認できなくなる可能性があり得る。
【0036】
例えば、回動可能な蝶番構造の取り付け部材40で装着部10に光学部120を取り付けたウェアラブル表示装置では、ユーザ20の視界における表示画像の位置を変えるために、光学部120を装着部10に対して回動させた場合、アイボックスEbと、ユーザ20の眼球21との相対位置が変化してしまう。
【0037】
具体的には、装着部10に対して光学部120が略直角に取り付けられた状態にて、ユーザ20の眼球21がアイボックスEbに入っていたとする。ここで、表示画像の位置をユーザ20の視界の下側に移動させるために、装着部10に対して光学部120を眼球21側に回動させた場合、アイボックスEbは、ユーザ20の眼球21の上側に移動してしまう。また、表示画像の位置をユーザ20の視界の上側に移動させるために、装着部10に対して光学部120を眼球21側と反対側に回動させた場合、アイボックスEbは、ユーザ20の眼球21の下側に移動してしまう。
【0038】
このような事情から、ユーザ20の視界における表示画像の位置を変化させる際に、ユーザ20の眼球21がアイボックスEbから外れないように、眼球21と光学部120との位置関係を制御する技術が求められている。
【0039】
ユーザ20の視界における表示画像の位置を変化させる動機としては、以下の動機を例示することができる。例えば、外界で放映される映画等に対して、ウェアラブル表示装置に表示される字幕を重畳させる場合、ウェアラブル表示装置に表示される字幕を映画のスクリーンの上側又は下側のいずれに重畳させるかを選択したいという動機が考えられる。また、外界の風景に対して、ウェアラブル表示装置に表示される目的地までの経路ナビゲーションを重畳させる場合、ウェアラブル表示装置に表示されるナビゲーションを下方の道路側又は上方の空中のいずれかに重畳させるかを選択したいという動機が考えられる。
【0040】
したがって、本開示に係る技術は、上記の事情を鑑みて想到されたものである。本開示に係る技術は、ユーザ20の眼球21の双方を通過する仮想的な軸線を中心として、装着部10と、光学部120とを回動させるものである。例えば、仮想的な軸線は、ユーザ20の眼球21の双方の中心を通過する軸線であってもよい。または、仮想的な軸線は、ウェアラブル表示装置1がユーザ20の頭部に装着されることによって決定されるユーザ20の両眼を通過する軸線であってもよい。これによれば、本開示に係る技術が適用されたウェアラブル表示装置1は、光学部120を回動させた場合に生じる光学部120と、ユーザ20の眼球21との相対位置の変化を抑制することができる。したがって、本開示に係る技術が適用されたウェアラブル表示装置1は、ユーザ20の眼球21がアイボックスEbから外れてしまうことを抑制することができる。
【0041】
<2.第1の実施形態>
(2.1.構成例)
まず、図6図7Bを参照して、本開示に係る技術を実現する第1の実施形態の構成例について説明する。図6は、第1の実施形態に係るウェアラブル表示装置1の装着部10、及び画像表示装置100を抽出して示す模式図である。図7A及び図7Bは、図6で示した構成例において、画像表示装置100を回動させた際の動きを示す模式図である。
【0042】
図6に示すように、第1の実施形態に係るウェアラブル表示装置1では、光学部120は、取り付け部材40及び装着部10に回動機構41を介して回動可能に取り付けられる。
【0043】
回動機構41は、ユーザ20の眼球21の双方を通過する仮想的な軸線を中心として光学部120を回動させる機構である。すなわち、回動機構41は、蝶番等に例示されるような機構内部に回動の中心軸を有する回動機構ではなく、機構外部に回動の中心軸を有する回動機構である。また、回動機構41は、ウェアラブル表示装置1がユーザ20に装着されるときに、ユーザ20の眼球21の双方の中間位置から前方に配置される、取り付け部材40に支持される。例えば、回動機構41は、ユーザ20の左右の眼球21の各々と対向する領域の間の光学部120の中央部分に設けられる。これによれば、回動機構41は、1つの機構にて光学部120の全体を回動させることができる。
【0044】
第1の実施形態では、回動機構41は、ユーザ20の左右の眼球21を結ぶ方向に幅を有する平板状のリンクにて構成される四節リンクである。具体的には、回動機構41は、駆動リンク又は従動リンクとして機能し、互いに対向する2つの平板状のリンクで、取り付け部材40に設けられた固定リンクと、光学部120(中間リンクとして機能する)とを連結した構造を有する。互いに対向する2つの平板状のリンクは、ヒンジ等の機構によって、取り付け部材40の固定リンク、及び光学部120と互いに回動可能に結合される。四節リンクで構成される回動機構41は、より小型かつより簡易な構造によって、ユーザ20の眼球21の双方を通過する仮想的な軸線を中心として光学部120を回動させることが可能である。
【0045】
例えば、回動機構41は、ユーザ20の左右視界に干渉しないように、ユーザ20の左右の眼球21を結ぶ方向(すなわち、ユーザ20の頭部における左右方向)の大きさが20mm以下となるように構成されてもよい。また、回動機構41は、光学部120の大きさの範囲内に収まるように、ユーザ20の頭部における上下方向の大きさが20mm以下となるように構成されてもよい。さらに、回動機構41は、ユーザ20の頭部とウェアラブル表示装置1とのクリアランスを確保するためには、取り付け部材40と光学部120との距離がより小さくなるように構成されてもよい。例えば、ウェアラブル表示装置1のアイレリーフが20mmの光学設計である場合、ユーザ20の頭部とウェアラブル表示装置1とのクリアランスを10mm確保するために、回動機構41は、取り付け部材40と光学部120との距離が10mmとなるように構成されてもよい。
【0046】
回動機構41による光学部120の回動角度の範囲は、ウェアラブル表示装置1の仕様に応じて適宜設定することが可能である。例えば、回動機構41による光学部120の回動角度の範囲は、ユーザ20の頭部に対して上下方向にそれぞれ10度ずつ、合計20度の範囲としてもよい。
【0047】
このような四節リンクにて構成される回動機構41によれば、ウェアラブル表示装置1は、図7A及び図7Bに示すように、ユーザ20の頭部を貫通する仮想的な軸線にて、光学部120を回動させることが可能になる。これによれば、ウェアラブル表示装置1は、ユーザ20の頭部に対して上下方向に光学部120の位置及び角度を連動して変動させることができるため、ユーザ20の眼球21と、光学部120との相対位置の変化を抑制することができる。したがって、ウェアラブル表示装置1は、光学部120を回動させてユーザ20の視界における表示画像の位置を変化させた場合でも、ユーザ20の眼球21がアイボックスEbから外れることを抑制することができる。
【0048】
続いて、図8図9Bを参照して、回動機構41を構成する四節リンクの各リンクの長さの設定方法について説明する。第1の実施形態では、回動機構41を構成する四節リンクの各リンクの長さを適切に設定することで、ユーザ20の左右の眼球のより中心に近い位置を通過する軸線を回動中心として光学部120を回動させることが可能である。図8は、回動機構41を構成する四節リンクの自由端及び固定端の設定方法を説明する模式図である。図9A及び図9Bは、図8にて示した方法で設定された回動機構41を上下方向に回動させた状態を説明する模式図である。
【0049】
図8に示すように、回動機構41を構成する四節リンクにおいて、中間リンクである光学部120側の端部(自由端とも称する)の位置をTM、BMと定義し、取り付け部材40側の固定リンクの端部(固定端とも称する)の位置をF1、F2と定義する。
【0050】
次に、光学部120の回動角度の範囲を設定し、回動角度の範囲の上限における光学部120側の自由端の位置TU、BUと、回動角度の範囲の下限における光学部120側の自由端の位置TD、BDと、を設定する。このとき、回動角度の範囲の上限及び下限における光学部120の位置は、それぞれ回動角度が0度の時の光学部120の位置から、ユーザ20の眼球21の中心ECを通過する軸線を中心として回動させた位置にて設定する。
【0051】
ここで、取り付け部材40側の一方の固定端の位置F1は、光学部120の一方の自由端の上限位置TU、及び下限位置TDを結ぶ線分の垂直二等分線と取り付け部材40を延伸する直線との交点にて設定される。同様に、取り付け部材40側の他方の固定端の位置F2は、光学部120の他方の自由端の上限位置BU、及び下限位置BDを結ぶ線分の垂直二等分線と取り付け部材40を延伸する直線との交点にて設定される。
【0052】
なお、図8で示す例では、光学部120の回動角度の範囲は、ユーザ20の頭部に対して上下方向にそれぞれ10度ずつの同じ値であるため、回動機構41を構成する四節リンクの構造は、上下方向に対称となる。具体的には、自由端の位置TM、及び固定端の位置F1と、自由端の位置BM、及び固定端の位置F2とは、互いに対称となり、中間リンクと、固定リンクとを連結する駆動リンク及び従動リンクの長さは同じとなる。
【0053】
仮に、光学部120の回動角度の範囲がユーザ20の頭部に対して上下方向に非対称である場合には、回動機構41を構成する四節リンクの構造は、上下方向に非対称となり得る。このような場合でも、上述した設定方法を用いることにより、ウェアラブル表示装置1は、回動機構41を構成する四節リンクの各リンクの長さを適切に設定することが可能である。
【0054】
上述した方法により、2つの自由端、及び2つの固定端を設定した四節リンクでは、図9A及び図9Bに示すように、駆動リンク及び従動リンクを駆動させることによって、中間リンクとして機能する光学部120がユーザ20の眼球21の中心ECを中心として回動するようになる。このような場合、光学部120から円錐形状に形成されるアイボックスEbは、常に頂点がユーザ20の眼球21の中心ECに向かうように形成される。したがって、四節リンクで構成された回動機構41は、光学部120を回動させた場合でも、ユーザ20の眼球21がアイボックスEbから外れないようにすることができる。
【0055】
(2.2.具体例)
(第1の具体例)
続いて、図10A及び図10Bを参照して、回動機構41の第1の具体例について説明する。図10Aは、回動機構41の第1の具体例を示す模式図であり、図10Bは、図10Aに示す回動機構41に含まれる固定機構を拡大して示す模式図である。
【0056】
図10Aに示すように、回動機構41を構成する四節リンクは、取り付け部材40側に取り付けられる固定リンク41Aと、中間リンクとして機能する光学部120と、光学部120及び固定リンク41Aを回動可能に連結する駆動又は従動リンク41B、41Cと、にて構成される。なお、固定リンク41A、駆動又は従動リンク41B、41Cは、それぞれ平板形状にて設けられる。
【0057】
ここで、図10Bに示すように、第1の具体例では、回動機構41は、取り付け部材40に対する光学部120の回動位置を固定させるための固定機構を含んで構成される。具体的には、回動機構41では、四節リンクの各リンクを互いに回動可能に結合するヒンジのうち少なくとも1つ以上は、トルクを発生可能なトルクヒンジとして構成される。
【0058】
トルクヒンジは、軸部411に板ばね部412を巻き付けることで構成されるヒンジである。トルクヒンジは、ヒンジの回動に伴って板ばね部412と軸部411との間に摩擦抵抗を発生させることができるため、ヒンジの回動に対する操作荷重を発生させることができる。例えば、光学部120の重量が100gである場合、トルクヒンジの操作荷重を3Nとすることで、ユーザ20の日常的な動作によって光学部120の回動位置が変動しないように光学部120の回動位置を固定することができる。
【0059】
第1の具体例によれば、回動機構41は、ユーザ20の眼球21に対する光学部120の回動位置をユーザ20の日常的な動作では変動しないように固定することができるため、ユーザ20に対するウェアラブル表示装置1の利便性を向上させることができる。
【0060】
(第2の具体例)
続いて、図11A及び図11Bを参照して、回動機構41の第2の具体例について説明する。図11Aは、回動機構41の第2の具体例を示す模式図であり、図11Bは、図11Aに示す回動機構41に含まれる固定機構を拡大して示す模式図である。
【0061】
図11Aに示すように、回動機構41を構成する四節リンクは、取り付け部材40側に取り付けられる固定リンク41Aと、中間リンクとして機能する光学部120と、光学部120及び固定リンク41Aを回動可能に連結する駆動又は従動リンク41B、41Cと、にて構成される。なお、固定リンク41A、駆動又は従動リンク41B、41Cは、それぞれ平板形状にて設けられる。
【0062】
ここで、図11Bに示すように、第2の具体例では、回動機構41は、取り付け部材40に対する光学部120の回動位置を固定させるための固定機構を含んで構成される。具体的には、回動機構41では、四節リンクの各リンクを互いに回動可能に結合させるヒンジのうち少なくとも1つ以上は、クリックポジション構造にて構成される。
【0063】
クリックポジション構造とは、連続的に形成された複数の凹部を備える凹構造部415と、該複数の凹部の1つと嵌合する1つの凸部を備える押し当て部416と、によって構成される。具体的には、凹構造部415は、駆動又は従動リンク41Cの回動軸周りに設けられ、押し当て部416は、凹構造部415の凹部の1つと嵌合する凸部を有するように固定リンク41A側に設けられる。
【0064】
押し当て部416は、板ばね等の弾性力を用いて凸部を凹構造部415の凹部に押し当てることによって、駆動又は従動リンク41Cと、固定リンク41Aとの間に凸部及び凹部の嵌合による摩擦抵抗を発生させることができる。クリックポジション構造は、ヒンジの回動に対する操作荷重となるトルクを発生させることができる。例えば、光学部120の重量が100gである場合、クリックポジション構造の操作荷重を3Nとすることで、ユーザ20の日常的な動作によって光学部120の回動位置が変動しないように光学部120の回動位置を固定することができる。
【0065】
また、クリックポジション構造では、固定リンク41Aと、駆動又は従動リンク41B、41Cとの回動に伴って、押し当て部416の凸部は、凹構造部415に設けられた複数の凹部の各々と次々に嵌合することになる。これによれば、クリックポジション構造は、複数段階に分けて固定リンク41Aと、駆動又は従動リンク41Cとの回動位置を制御することができる。したがって、ウェアラブル表示装置1は、装着部10に対する光学部120の回動位置を複数段階に分けて制御することができる。
【0066】
第2の具体例によれば、回動機構41では、ユーザ20の眼球21に対する光学部120の回動位置が、ユーザ20の日常的な動作によって変動しないように固定されるため、ユーザ20に対するウェアラブル表示装置1の利便性が向上する。
【0067】
<3.第2の実施形態>
(3.1.構成例)
続いて、図12を参照して、本開示に係る技術を実現する第2の実施形態の構成例について説明する。図12は、第2の実施形態に係るウェアラブル表示装置1の光学部120、及び回動機構42を抽出して示す模式図である。
【0068】
図12に示すように、第2の実施形態に係るウェアラブル表示装置1では、光学部120は、図示しない取り付け部材40及び装着部10に回動機構42を介して回動可能に取り付けられる。
【0069】
第2の実施形態では、回動機構42は、ユーザ20の左右の眼球21の略中心を通過する軸線を回転中心とする曲面を有する円弧スライド機構である。具体的には、回動機構42は、光学部120の背面に摺動可能に設けられたスライド機構であり、ユーザ20の左右の眼球21の略中心を通過する軸線を回転中心とする曲面に沿って、光学部120を上下方向に回動させることができる。これによれば、円弧スライド機構で構成される回動機構42は、ユーザ20の眼球21の双方を通過する仮想的な軸線を中心とする正確な曲面に沿って、光学部120を回動させることが可能である。
【0070】
例えば、回動機構42は、ユーザ20の左右視界に干渉しないように、ユーザ20の左右の眼球21を結ぶ方向(すなわち、ユーザ20の頭部における左右方向)の大きさが20mm以下となるように構成されてもよい。また、回動機構42は、光学部120の大きさの範囲内に収まるように、ユーザ20の頭部における上下方向の大きさが20mm以下となるように構成されてもよい。さらに、回動機構42は、ユーザ20の頭部とウェアラブル表示装置1とのクリアランスを確保するためには、取り付け部材40と光学部120との距離がより小さくなるように構成されてもよい。例えば、ウェアラブル表示装置1のアイレリーフが20mmの光学設計である場合、ユーザ20の頭部とウェアラブル表示装置1とのクリアランスを10mm確保するために、回動機構42は、取り付け部材40と光学部120との距離が10mmとなるように構成されてもよい。
【0071】
回動機構42による光学部120の回動角度の範囲は、ウェアラブル表示装置1の仕様に応じて適宜設定することが可能である。例えば、回動機構42による光学部120の回動角度の範囲は、ユーザ20の頭部に対して上下方向にそれぞれ10度ずつ、合計20度の範囲としてもよい。
【0072】
このような円弧スライド機構にて構成される回動機構42によれば、ウェアラブル表示装置1は、図12に示すように、ユーザ20の左右の眼球21の略中心を通過する軸線を回転中心とする曲面に沿って光学部120を正確に回動させることが可能になる。これによれば、ウェアラブル表示装置1は、光学部120の表示面の法線方向が常にユーザ20の眼球21の略中心を向くように、光学部120を回動させることができる。したがって、ウェアラブル表示装置1は、光学部120を回動させてユーザ20の視界における表示画像の位置を変化させた場合でも、ユーザ20の眼球21がアイボックスEbから外れないようにすることができる。
【0073】
(3.2.具体例)
(第1の具体例)
続いて、図13A図13Cを参照して、回動機構42の第1の具体例について説明する。図13Aは、回動機構42の第1の具体例を示す模式図であり、図13Bは、図13Aに示す回動機構42の第2スライド部422を第1スライド部421側から見た模式図である。図13Cは、図13Aに示す回動機構42をA−A線で切断した断面を示す模式図である。
【0074】
図13Aに示すように、回動機構42を構成する円弧スライド機構は、第1スライド部421と、第2スライド部422と、にて構成される。第1スライド部421は、ユーザ20の左右の眼球21の略中心を通過する軸線を回転中心とする曲面を有し、光学部120側に設けられる。また、第2スライド部422は、第1スライド部421の曲面に沿って摺動可能な構成にて取り付け部材40側に設けられる。
【0075】
また、第1の具体例では、回動機構42は、取り付け部材40に対する光学部120の回動位置を固定させるための固定機構をさらに含んで構成される。具体的には、図13B及び図13Cに示すように、第2スライド部422の第1スライド部421側の面に設けられた開口422Sの内部には、第1スライド部421に押し当てられることで摺動抵抗を発生させる板ばね423が設けられる。これによれば、板ばね423は、摺動抵抗によって、回動機構42の回動に対する操作荷重を発生させることができる。例えば、光学部120の重量が100gである場合、板ばね423の摺動抵抗による操作荷重を3Nとすることで、ユーザ20の日常的な動作によって光学部120の回動位置が変動しないようにすることができる。
【0076】
なお、第1の具体例では、板ばね423に替えてゴム等の他の弾性部材を用いて、第1スライド部421と、第2スライド部422との間に摺動抵抗を発生させてもよい。
【0077】
第1の具体例によれば、回動機構42は、ユーザ20の眼球21に対する光学部120の回動位置をユーザ20の日常的な動作では変動しないように固定することができるため、ユーザ20に対するウェアラブル表示装置1の利便性を向上させることができる。
【0078】
(第2の具体例)
続いて、図14A図14Cを参照して、回動機構42の第2の具体例について説明する。図14Aは、回動機構42の第2の具体例を示す模式図であり、図14Bは、図14Aに示す回動機構42の第2スライド部422を第1スライド部421側から見た模式図である。図14Cは、図14Aに示す回動機構42をB−B線で切断した断面を示す模式図である。
【0079】
図14Aに示すように、回動機構42を構成する円弧スライド機構は、第1スライド部421と、第2スライド部422と、にて構成される。第1スライド部421は、ユーザ20の左右の眼球21の略中心を通過する軸線を回転中心とする曲面を有し、光学部120側に設けられる。また、第2スライド部422は、第1スライド部421の曲面に沿って摺動可能な構成にて取り付け部材40側に設けられる。
【0080】
また、第2の具体例では、回動機構42は、取り付け部材40に対する光学部120の回動位置を固定させるための固定機構をさらに含んで構成される。具体的には、図14B及び図14Cに示すように、第2スライド部422の第1スライド部421側の面に設けられた開口422Sの内部には、第1スライド部421に押し当てられる板ばね423が設けられる。さらに、板ばね423には、第1スライド部421に設けられた複数の凹部424Bの1つと嵌合する凸部424Aが設けられる。すなわち、第2の具体例では、第2スライド部422と、第1スライド部421と間にクリックポジション構造が形成される。
【0081】
第1スライド部421に設けられた複数の凹部424Bは、第1スライド部421に対する第2スライド部422のスライド方向に沿って、所定の間隔を置いて配列される。板ばね423に設けられた凸部424Aは、第2スライド部422の移動に伴って第1スライド部421の複数の凹部424Bの各々と次々に嵌合することで、複数段階に分けて第1スライド部421と、第2スライド部422との相対位置を制御することができる。これによれば、ウェアラブル表示装置1は、装着部10に対する光学部120の回動位置を複数段階に分けて制御することができる。
【0082】
第2の具体例によれば、回動機構42は、ユーザ20の眼球21に対する光学部120の回動位置をユーザ20の日常的な動作では変動しないように固定することができるため、ユーザ20に対するウェアラブル表示装置1の利便性を向上させることができる。
【0083】
<4.応用例>
さらに、図15を参照して、本開示に係る技術の応用例について説明する。図15は、実オブジェクトに対応する位置に仮想オブジェクトを表示するウェアラブル表示装置1Aに本開示に係る技術を適用した場合の一例を示す説明図である。
【0084】
図15に示すように、現実空間に存在する実オブジェクト300に対して、ウェアラブル表示装置1Aを介して、実オブジェクト300に対応する仮想オブジェクト310を重畳表示させることを考える。
【0085】
このような場合、仮想オブジェクト310の表示位置は、ウェアラブル表示装置1Aからの視界における実オブジェクト300の位置に基づいて制御される。具体的には、仮想オブジェクト310の表示位置は、ウェアラブル表示装置1Aに設けられたセンサ210にて検出された実オブジェクト300と、ウェアラブル表示装置1Aとの相対的な位置関係に基づいて制御される。したがって、実オブジェクト300に対応する仮想オブジェクト310を重畳表示させる場合、ユーザ20には、外界の視野に対して、表示画像の表示位置を変更したいという動機は生じにくい。
【0086】
一方で、図15に示すような装着部10と、バイザー220とを備えるフルフェイス形状のウェアラブル表示装置1Aでは、ユーザ20ごとの頭部形状によってウェアラブル表示装置1Aの装着向きが変わってしまうことがあり得る。このような場合、ウェアラブル表示装置1Aの装着向きが下向きになることでユーザ20の視界の上側が装着部10によって遮られたり、ウェアラブル表示装置1Aの装着向きが上向きになることでユーザ20の視界の下側がバイザー220の底面によって遮られたりする可能性がある。
【0087】
本開示に係る技術によれば、フルフェイス形状のウェアラブル表示装置1Aであっても、光学部120から形成されるアイボックスEbと、ユーザ20の眼球21との相対的な位置関係を維持したまた、光学部120の向きを変更することが可能である。したがって、フルフェイス形状のウェアラブル表示装置1Aは、ユーザ20ごとに適切な透過視野(スルー視野ともいう)を提供することが可能である。よって、本開示に係る技術は、フルフェイス形状のウェアラブル表示装置1Aの装着向きをユーザ20ごとに適切に調整することに対しても応用することが可能である。
【0088】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0089】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0090】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
ユーザの頭部に装着される装着部と、
表示画像を形成する光を前記ユーザの眼球に出射する光学部と、
前記装着部に前記光学部を回動可能に取り付ける回動機構と、
を備え、
前記回動機構は、前記ユーザの眼球の双方を通過する仮想的な軸線を中心として前記光学部を回動させる、ウェアラブル表示装置。
(2)
前記光学部は、前記表示画像を形成する光を前記ユーザの左右の眼球のそれぞれに出射する、前記(1)に記載のウェアラブル表示装置。
(3)
前記回動機構は、前記光学部の、前記ユーザの左右の眼球にそれぞれ対応する領域の間に設けられる、前記(2)に記載のウェアラブル表示装置。
(4)
前記回動機構は、前記光学部を前記ユーザの頭部に対して上下方向に回動させる、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のウェアラブル表示装置。
(5)
前記回動機構は、前記装着部に対する前記光学部の回動位置を固定する固定機構をさらに含む、前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のウェアラブル表示装置。
(6)
前記表示画像を形成する光を生成する光生成部をさらに備え、
前記光学部は、前記表示画像を形成する光を前記光生成部から前記眼球への出射位置まで導光する導光板を含む、前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載のウェアラブル表示装置。
(7)
前記回動機構は、固定リンクが前記装着部に取り付けられ、中間リンクが前記光学部に取り付けられた四節リンクである、前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載のウェアラブル表示装置。
(8)
前記固定リンクの一端又は他端は、駆動リンク又は従動リンクによって、前記中間リンクの一端又は他端と連結される、前記(7)に記載のウェアラブル表示装置。
(9)
前記駆動リンクは、前記従動リンクと同じ長さである、前記(8)に記載のウェアラブル表示装置。
(10)
前記固定リンクの一端は、前記固定リンクの一端と連結された前記中間リンクの一端の上限位置と、下限位置とを結ぶ線分の垂直二等分線上に設けられる、前記(7)〜(9)のいずれか一項に記載のウェアラブル表示装置。
(11)
前記回動機構は、円弧形状に沿って互いに摺動するスライダ機構である、前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載のウェアラブル表示装置。
【符号の説明】
【0091】
1、1A ウェアラブル表示装置
10 装着部
11 フロント部
12 蝶番
13 テンプル部
14 モダン部
15 配線
16 ヘッドフォン部
17 ヘッドフォン用配線
18 制御装置
20 ユーザ
21 眼球
40 取り付け部材
41、42 回動機構
80 鼻パッド
100 画像表示装置
111、111L、111R 光生成部
112 コリメート光学系
120 光学部
121 導光板
130 第1偏向手段
140 第2偏向手段
151 液晶表示装置
152 偏光ビームスプリッタ
153 光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15