【解決手段】本発明の一形態に係る管理装置は、検出部と、入力部と、記憶部と、制御部とを具備する。上記検出部は、室内のにおいを検出する。上記入力部は、上記室内へ入るユーザにより操作され、入室時における上記室内のにおいに関する各ユーザの官能評価を取得する。上記記憶部は、上記検出部の出力と上記入力部の出力とを相互に関連付けることで得られる評価データを蓄積し、上記評価データに基づいて分類された上記室内のにおいの快適性に関する複数の属性を記憶する。上記制御部は、上記複数の属性のうち上記検出部の出力がいずれに属するかを判定する。
においを検出する検出部の出力と、前記においに関する各ユーザの官能評価を取得する入力部の出力とを相互に関連付けることで得られる評価データに基づいて分類された、前記においの快適性に関する複数の属性のうち、前記検出部の出力がいずれの属性に属するかを判定する制御部
を具備する管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、単に不快指数が高いからといっても、すべての人が不快であるとは限らないため、快適性評価の客観性が十分ではない。また、すべてのにおいを数値化することはできないため、未知のにおいに対する快適さの判定が困難である。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、室内のにおいに関する快適性評価の客観性を高め、未知のにおいに対しても快適性を評価することが可能な管理装置及び空調管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る管理装置は、検出部と、入力部と、記憶部と、制御部とを具備する。
上記検出部は、室内のにおいを検出する。
上記入力部は、上記室内へ入るユーザにより操作され、入室時における上記室内のにおいに関する各ユーザの官能評価を取得する。
上記記憶部は、上記検出部の出力と上記入力部の出力とを相互に関連付けることで得られる評価データを蓄積し、上記評価データに基づいて分類された上記室内のにおいの快適性に関する複数の属性を記憶する。
上記制御部は、上記複数の属性のうち上記検出部の出力がいずれに属するかを判定する。
【0009】
上記管理装置は、検出部を介して取得される室内のにおいに関する検出データと、入力部を介して取得される各ユーザの入室時のにおいに関する官能評価を基に、現在のにおいの快適性を判定するように構成される。これにより、室内のにおいに関する快適性評価の客観性が高まり、未知のにおいに対しても快適性を評価することが可能となる。
【0010】
上記入力部は、上記室内のにおいに関する複数の官能評価の中から上記各ユーザにより選択される1つの官能評価を取得するように構成されてもよい。
これにより、におい評価のばらつきが抑えられ、より客観的な評価結果を得ることができる。
【0011】
上記制御部は、上記記憶部に蓄積された評価データを基に上記複数の属性を分類し、上記検出部の出力の属性判定に用いる閾値を更新するように構成されてもよい。
評価用のデータの蓄積により、信頼性あるいは客観性を高めることができる。
【0012】
上記検出部は、複数種のガスを検出することが可能に構成された第1のセンサを含んでもよい。
上記第1のガスセンサは、QCMセンサで構成されてもよい。
【0013】
上記検出部は、室内の温度及び湿度の少なくとも1つを検出することが可能に構成された第2のセンサをさらに含んでもよい。
【0014】
本発明の一形態に係る空調管理システムは、検出部と、入力部と、記憶部と、空調機器と、制御部とを具備する。
上記検出部は、室内のにおいを検出する。
上記入力部は、上記室内へ入るユーザにより操作され、入室時における上記室内のにおいに関する各ユーザの官能評価を取得する。
上記記憶部は、上記検出部の出力と上記入力部の出力とを相互に関連付けることで得られる評価データを蓄積し、上記評価データに基づいて分類された上記室内のにおいの快適性に関する複数の属性を記憶する。
上記空調機器は、上記室内の空気を調整する。
上記制御部は、上記複数の属性のうち上記検出部の出力がいずれに属するかを判定し、判定した属性に対応する制御指標に基づいて上記空調機器を制御する。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように、本発明によれば、室内のにおいに関する快適性評価の客観性を高め、未知のにおいに対しても快適性を評価することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る管理装置10を備えた空調管理システム100の構成を示すブロック図である。
【0019】
空調管理システム100は、管理装置10と、空調機器15とを備える。空調管理システム100は、会議室(図示略)等の室内環境(特に、においに関する快適性)を管理し、典型的には在室者や入室者などの当該会議室を利用するユーザによる官能評価に基づいて、エアコンディショナ(以下、エアコンという)や換気扇等の空調機器15の動作を制御することが可能に構成される。以下の説明では、会議室内部等の管理対象の空間を「室内」と称する。
【0020】
[管理装置]
管理装置10は、検出部11と、入力部12と、データベース13(記憶部)と、制御部14とを有する。
【0021】
(検出部)
検出部11は、室内のにおいを検出するガスセンサ(第1のセンサ)を有する。検出部11は、複数種のガスを検出することが可能に構成される。これにより、検出可能なにおいの種類を増やすことができるとともに、複数種の混合ガスのにおいを複合臭として検出することが可能となる。検出部11の出力は、制御部14へ入力される。
【0022】
検出対象のガスは特に限定されず、においの原因物質だけでもよいし、においの非原因物質が含まれてもよい。検出対象のガスとしては、例えば、アセトン、トルエン、ホルムアルデヒド、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサン、エタノール、アンモニア、水蒸気等が挙げられる。ガス種の数は特に限定されないが、ガス種の数は多いほど好ましく、例えば、3種以上とされる。
【0023】
ガスセンサの構成も特に限定されないが、検出されたガスの種類や量(濃度)などを数値化できる構成であることが好ましい。ここでいう数値とは、ガス(におい分子など)のない状態をゼロとし、ガスの付着によって変化した出力の変化量をいう。このようなガスセンサとして、典型的には、QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサ、半導体センサ等が採用可能である。1つのガス種に対して1つのガスセンサが用いられてもよいし、複数のガス種を検出可能なガスセンサが用いられてもよい。
【0024】
本実施形態では、ガスセンサとして、QCMセンサが用いられる。QCMセンサは、発振子と、上記発振子の表面に設けられたガス吸着膜とをそれぞれ有し、上記発振子の共振周波数の変化に基づいて上記ガス吸着膜に吸着したガス種を検出するように構成される。ガス吸着膜には、典型的には、水溶性膜、疎水膜及び親水膜の少なくとも1つが含まれる。これにより、多様なガス種(におい成分)を検出することが可能となる。なお、QCMセンサは公知のものを用いることができ、ここでは詳細な説明を省略する。
【0025】
検出部11は、室内の温度や湿度を検出する温湿度センサ(第2のセンサ)をさらに有する。検出部11は、温度及び湿度を検出可能に構成されてもよいし、温度及び湿度のいずれか1つを検出可能に構成されてもよい。これにより、温度データや湿度データをも含む様々な環境の状態を数値化することができる。
【0026】
一般に、においの感じ方は、温度や湿度などの環境因子の影響を受け易い。そこで、ガス種だけでなく、温度や湿度をも同時に検出することが可能に検出部11を構成することで、においに関する快適性の評価を、温度や湿度等の環境因子を考慮して判定することが可能となる。
【0027】
温度及び湿度の検出には、例えば、温度センサや湿度センサが用いられるが、1つのセンサで温度及び湿度を同時に検出できるセンサが用いられてもよい。温湿度センサの種類は特に限定されず、QCMセンサが用いられてもよい。例えば、発振子(水晶)として温度変化に敏感な材料を用いることで温度センサを構成することができ、水蒸気を吸着可能な吸着膜を用いることで湿度センサを構成することができる。
【0028】
(入力部)
入力部12は、室内へ入るユーザにより操作され、入室時における室内のにおいに関する各ユーザの官能評価を取得することが可能に構成される。
【0029】
官能評価とは、入室時にユーザが感じた室内のにおいに関する快適性の指標をいい、例えば、快適、不快など、においの種類を問わない、結果的に個々のユーザによって感じ取られた主観的な評価とされる。においの感じ方は、体調や体質などによっても影響を受け、本来的に個人差を伴うものだからである。したがって、官能評価は、個々のユーザによって異なる結果となってもよい。
【0030】
入力部12の構成は特に限定されず、入力キー(押圧式、スライド式、タッチ式)を有する機械式あるいは電磁式の各種の入力装置が採用可能である。入力部12は、例えば、入口(扉)やその近くの壁面等に設置される。これにより、時間を隔てることなくユーザの評価を収集することができるため、評価の確実性が高められる。入力部12の出力は、制御部14へ入力される。
【0031】
官能評価は、個々のユーザでバラツキを伴うのが通常であるが、所定の複数の選択候補を提示して各ユーザの官能評価を選択的に収集するのが好適である。そこで本実施形態では、入力部12は、室内のにおいに関する複数の官能評価の中から各ユーザにより選択される1つの官能評価を取得するように構成される。これにより、におい評価のばらつきが抑えられ、より客観的な評価結果を得ることができる。
【0032】
図2は、入力部12の一構成例を示す概略正面図である。同図に示す入力部12は、タッチセンサで構成され、「快適」、「普通」、「不快」をそれぞれ示す3つのキー(GUI:Graphic User Interface)121,122,123を表示可能な入力画面120を有し、入室するユーザにより、いずれか1つのキーを選択的に入力操作することが可能に構成される。
【0033】
(データベース)
データベース13は、検出部11の出力と入力部12の出力とを相互に関連付けることで得られる評価データを蓄積する。
【0034】
評価データは、検出部11の出力と入力部12の出力とが相互に時間的に同期して関連付けられたデータをいい、例えば、入力部12で取得された官能評価とそのときの検出部11の出力とが互いに紐付けられたデータセットに相当する。評価データは、制御部14において生成され、制御部14を介してデータベース13に格納される。また、評価データは、会議室のユーザが入室する度に生成され、データベース13に蓄積される。
【0035】
データベース13はさらに、予め分類された室内のにおいに関する快適性に関する属性(快適、普通、不快など)を記憶することが可能に構成される。上記複数の属性は、後述するように、制御部14により評価データに基づいて分類される。
【0036】
データベース13の構成は特に限定されず、典型的には、半導体メモリやハードディスクドライブ(HDD)等の不揮発性の記憶装置で構成される。データベース13は室内に設置される場合に限られず、有線、無線等のネットワークを介して他の場所に設置されてもよい。また、データベース13はクラウドサーバ等で構成されてもよい。
【0037】
(制御部)
制御部14は、CPUや内部メモリを有するコンピュータで構成される。制御部14は、上記評価データに基づいて予め分類された室内のにおいの快適性に関する複数の属性のうち、検出部11の出力がいずれに属するかを判定するように構成される。
【0038】
図3は、評価データと属性との関係を模式的に示す相関図である。ここでは、においの快適性に関して「快適」、「普通」、「不快」の3つの属性で示す。これらの属性は、入力部12において選択入力されるユーザの官能評価に対応する。
【0039】
上述のように評価データには、ユーザによる官能評価とそのときの検出部11の出力とが含まれるため、検出部11の出力と「におい」との間に一定の相関が現れる。さらに、検出部11の出力には複数のガス種に関するデータや温湿度に関するデータが含まれるため、ユーザの官能評価に内在する検出部11の出力においても、各種ガスの出力データ及び温湿度データの相互間にも所定の相関があると認めることができる。そこで本実施形態では、検出部11の出力(においデータ、温湿度データ)を属性別に分類しておき、現在の検出部11の出力が、分類した複数の属性のうちいずれに属するかを判定することで、現在の室内のにおいに関する快適性を評価あるいは管理するように構成される。
【0040】
上記複数の属性は、典型的には、制御部14によって分類されるが、当初の分類はデフォルトで設定されてもよいし、過去の実績値が採用されてもよい。また後述するように、最新の評価データに基づいて、分類に用いたデータの閾値を再設定(更新)するようにしてもよい。
【0041】
属性の分類は、典型的には、検出部11により取得される各種データを所定の閾値との比較で行われる。本実施形態では、属性が3つ以上に分類されるため、少なくとも2つ以上の閾値(
図3においてTh1,Th2)が設定される。
【0042】
上記閾値は、蓄積された評価データについて回帰分析等を行うことで求められる。検出部11の出力がいずれの閾値の範囲に属するかで属性(快適、普通、不快)が判定される。上記閾値は、当初より用意されたリファレンスデータが用いられてもよいし、過去の実績値であってもよい。また上記閾値は、機械学習器やディープラーニング技術を用いた学習機能により更新可能に構成されてもよい。
【0043】
各閾値は、においデータと温湿度データとを組み合わせた複合的なデータを基に設定されてもよいし、においデータのみ及び温湿度データのみで各々設定された複数種の閾値の組み合わせで構成されてもよい。
【0044】
これら閾値の設定基準は特に限定されず、例えば、室内のユーザの半数以上の官能評価に適合する判定結果が得られる適宜の値に設定可能である。また、分類される属性の数が多くなるほど閾値の数も増加するため、例えば、属性数が多くなるほど閾値の厳密性を高めるようにしてもよい。
【0045】
制御部14は、判定した属性に対応する制御指標に基づいて、空調機器15を制御するように構成される。
【0046】
空調機器15には、典型的には、換気扇、空気清浄器、加湿器、除湿器、エアコン等の各種空調設備が含まれる。制御指標としては、空調設備の種類に応じて異なり、動作のオンオフは勿論、強さや風量、風向き等の気流設定、更には、温度や湿度の制御目標点の設定値変更等が含まれ、判定された属性の種類に応じて異なる制御が実行される。例えば、属性が「快適」又は「普通」と判定された場合には、現在の空調設定が維持され、属性が「不快」と判定された場合には、空調設定が「快適」又は「普通」となるように各種空調設備の動作が制御される。以下の説明では、空調機器15による室内環境の改善動作を「換気」とも称する。
【0047】
[管理装置の動作]
次に、制御部14の詳細について、管理装置10の典型的な動作とともに説明する。
【0048】
図4は、制御部14の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0049】
管理装置10に電源が投入されと、検出部11は駆動を開始し、入力部12は入力操作を待ち受けるスタンバイ状態に移行し、制御部14の処理が開始される。制御部14は、入力部12への入力操作の有無を検出し、入力操作が検出された場合は室内のにおいデータや温湿度データを検出部11から取得する(ステップ101,102)。
【0050】
本実施形態では、入力部12が入力操作を受けたときに検出部11の出力を取り込むように構成されるが、上記入力操作がない期間でも検出部11の出力を常時サンプリングして、室内環境の変化をモニタリングするようにしてもよい。
【0051】
次に、制御部14は、予め分類された室内のにおいの快適性に関する複数の属性(快適、普通、不快)のうち、検出部11の出力がいずれに属するかを判定する(ステップ103,104)。ここではデータベース13に予め格納された属性データを参照し、検出部11の出力が閾値Th1〜Th2(
図3参照)で区分された領域のいずれに属するかを基に、室内の快適性に関する属性を判定する。
【0052】
その結果、「快適」又は「普通」と判定されたときは、室内のにおい環境が良好であるとみなして、現在の空調環境を維持する(ステップ105)。一方、「快適」及び「普通」のいずれでもないと判定されたときは、室内のにおい環境が「不快」であると判定し、室内環境を換気するべく空調機器15を所定の制御指標で制御することで、室内を換気する(ステップ106)。
【0053】
続いて制御部14は、取得した検出部11の出力と入力部12の官能評価とが相互に関連付けられた評価データを作成し、データベース13へ蓄積する(ステップ107)。当該評価データは、以後の属性判定の際に参照される評価サンプルとして用いられ、今回の判定結果に対応する属性を構成する要素の一つに加えられる(
図3参照)。評価データの蓄積により、信頼性あるいは客観性を高めることができる。
【0054】
以上の動作がユーザの入室ごとに繰り返し実行されることで、室内のにおい変化に対応する最適な空調制御が行われる。
【0055】
本実施形態によれば、においの評価基準が各ユーザの官能評価に応じて動的に変更されるため、室内のにおいに関する快適性評価の客観性が高まり、ユーザの総意にほぼ適合する快適な空調環境を維持することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、においの原因を特定せず、あくまでも個々のユーザの官能評価を基に現在のにおいが不快か否かを判定するようにしているため、未知のにおいに対しても適正な快適性評価を行うことができる。
【0057】
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態に係る管理装置における制御部14の処理手順の一例を示すフローチャートである。
以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
【0058】
本実施形態では、入力部12への入力操作時だけでなく、入力部12への入力操作が行われていない間も検出部11の出力に基づいて室内環境をモニタリングし、「不快」と判定される条件に至った場合には自発的に空調機器15を制御して室内を換気する動作を実行するように構成される。
【0059】
図5に示すように、管理装置10に電源が投入されると、制御部14は、検出部11の出力を取り込み、現在のにおいに関する室内環境が不快か否かの属性判定を実行する(ステップ201〜203)。この属性判定においても、データベース13に格納された属性データ参照し、検出部11の出力が閾値Th1〜Th2(
図3参照)で区分された領域のいずれに属するかを基に行われる。
【0060】
判定の結果、「快適」又は「普通」であるときは、室内のにおい環境が良好であるとみなして、現在の空調環境を維持する(ステップ204)。一方、「快適」及び「普通」のいずれでもないときは、室内のにおい環境が「不快」であると判定し、室内環境を換気するべく空調機器15を所定の制御指標で制御することで、室内環境の改善を図る(ステップ205)。
【0061】
以上の動作は、入力部12への入力操作が検出されるまで、繰り返し実行される。
【0062】
一方、入力部12への入力操作が検出された場合には、第1の実施形態と同様に、室内のにおいデータや温湿度データを検出部11から取得し、検出部11の出力がいずれの属性に属するかを判定する(ステップ206〜209)。そして、「快適」又は「普通」と判定されたときは現在の空調環境を維持し(ステップ210)、「快適」及び「普通」のいずれでもないと判定されたときは、空調機器15を所定の制御指標で制御することで、室内を換気する(ステップ211)。
【0063】
その後、制御部14は、第1の実施形態と同様に、取得した検出部11の出力と入力部12の官能評価とが相互に関連付けられた評価データを作成し、データベース13へ蓄積する(ステップ212)。当該評価データは、以後の属性判定の際に参照される評価サンプルとして用いられ、今回の判定結果に対応する属性を構成する要素の一つに加えられる(
図3参照)。
【0064】
以上のように本実施形態によれば、ユーザによる官能評価が行われていない間も環境変化に応じて最適な室内環境を維持するように構成されているため、個々のユーザが入室する際の不快なにおい環境を効果的に抑えることができる。また、新たなにおい原因が後発的に生じたとしても、ユーザによる官能評価を待って事後的に環境の改善を図ることができるとともに、当該においデータを以後の属性判定に効率よく利用することが可能となる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0066】
例えば以上の実施形態では、会議室内のにおいに関する快適性の管理を例に挙げて説明したが、これに限られず、事務室や工場等の職場環境、集会所等の公共施設や、バスや電車等の公共交通機関の車室内の快適性の管理等にも本発明は適用可能である。
【0067】
また、以上の実施形態では独立した1つの室内の快適性管理を例に挙げて説明したが、複数の室内を同時に管理してもよい。これにより、各室のにおいデータから複数の評価データを効率よく収集できるのでデータベースの構築が容易となり、各室の空調管理も効率よく行うことができる。