特開2020-194699(P2020-194699A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-194699(P2020-194699A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/74 20060101AFI20201106BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20201106BHJP
【FI】
   H01R13/74 D
   H01R13/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-99535(P2019-99535)
(22)【出願日】2019年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前田 勇紀
(72)【発明者】
【氏名】小山 勝三郎
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE14
5E087LL04
5E087LL17
5E087LL34
5E087MM09
5E087MM17
5E087MM18
5E087RR13
(57)【要約】
【課題】電気コネクタの外縁とパネル開口部の開口縁との間に隙間が生じにくい電気コネクタ
【解決手段】
ハウジング10は周囲3側面の下端位置に連続して環状方向に延び、組み付け時開口部20を塞ぐフランジ11と、フランジ11からパネル2の厚み相当分の隙間を隔てた左右側面の下方位置にストップフランジ12とを備える。パネル2はストップフランジ12通過用の開口部21と、これに連続するスライド用の開口部22とを備える。嵌合開始位置から嵌合終了位置までのスライド移動の際、ストップフランジ12とフランジ11との間に形成された溝部がスライド部22の外縁部を挟持する姿勢で移動し、嵌合終了位置でフランジ11下面のボス16は挿通部21に嵌り、底面部に露出する端子収容部14が全てパネル2で塞がれる電気コネクタ用パネルマウント装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み付け用の開口部を有するパネルに組み付けられる電気コネクタであって、前記電気コネクタのハウジングは箱型で周囲4側面のうち少なくとも左右側面を含む3側面の下端位置に連続して環状方向に延び、組み付け時前記開口部を塞ぐフランジと、前記フランジから前記パネルの厚み相当分の隙間を隔てた左右側面の下方位置に所定の広がりを有するストップフランジとを備えるところに特徴を有する電気コネクタ。
【請求項2】
前記フランジは角隅部の下面に、組み付け状態で前記開口部に嵌る、下方向に突出するボスを備えるところに特徴を有する請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記電気コネクタは嵌合方向と直交する方向に電線が引き出されるところに特徴を有する請求項2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記パネルは請求項3記載の電気コネクタを組み付けるための前記ストップフランジ挿通用の開口部と、これに連続するスライド用の開口部とを備え、前記電気コネクタの嵌合開始位置から嵌合終了位置へのスライド移動の際、前記ストップフランジと前記フランジとの間に形成された溝部が前記スライド開口部の外縁部を挟持する姿勢で移動し、前記嵌合終了位置で前記ボスは前記挿通用の開口部に嵌り、前記電気コネクタの底面部に露出する端子収容部が全て前記パネルで覆われるところに特徴を有する電気コネクタ用パネルマウント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルに組み付く電気コネクタに関する。
【0002】
本分野の先行技術として特許文献1記載の技術が知られている。これによれば、パネルに組み付く電気コネクタは、位置決めフランジ22及びストップフランジ24、26をハウジングの底部に備えている。そして、ラッチアーム28、ラッチ突起32及び堅牢な保護シュラウド33、44を所定位置に設けることでパネルに対するずれ吸収機能を有する電気コネクタが得られる。組み付け過程で位置決めフランジがパネルに挿入された後、電気コネクタを指示方向に必要量スライドさせると、電気コネクタがパネルに固定される構造である。ハウジングの外縁とパネル開口部の開口縁との間に所定量の隙間を設けることで必要なずれ吸収能を備えた電気コネクタが得られるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−102135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしこの技術によれば、電線引き出し方向がパネルに対して垂直方向(パネルの裏面側の下方向)であるために、パネル裏面に電線を処理するための開口部が必要になる。また、ハウジングの周囲に堅牢な保護シェラウドが備わるので、電気コネクタ全体の形状が大きくなる。さらに、パネル裏面からみるとパネル開口部を通してハウジングの露出部分が広がるので、電気コネクタは外部からの影響を受けやすくなる。また、パネルに対して電気コネクタが一方端に寄ったとき、電気コネクタの外縁と、パネル開口部の開口縁との間に大きな隙間が生じる。そして、この隙間を通してほこりなどの異物が侵入するおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、パネル裏面側のハウジングの露出範囲が少なく、パネルに対して電気コネクタが片側に寄った場合でも、電気コネクタの外縁と、パネル開口部の開口縁との間に隙間が生じにくい電気コネクタを提供すること、及びこのような電気コネクタ用パネルマウント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気コネクタは、(1)組み付け用の開口部を有するパネルに組み付けられる電気コネクタであって、前記電気コネクタのハウジングは箱型で周囲4側面のうち少なくとも左右側面を含む3側面の下端位置に連続して環状方向に延び、組み付け状態で前記開口部を塞ぐフランジと、前記フランジから前記パネルの厚み相当分の隙間を隔てた左右側面の下方位置に所定の広がりを有するストップフランジとを備えるところに特徴を有するものである。
【0007】
この発明によれば、パネルに組み付けられた状態でフランジがパネルの開口部を塞ぐので、電気コネクタの外縁と、パネル開口部の開口縁との間に隙間が生じにくい電気コネクタが得られる。
【0008】
好ましくは、本発明の電気コネクタは、(2)前記フランジは角隅部の下面に、組み付け状態で前記開口部に嵌る、下方向に突出するボスを備えるところに特徴を有する(1)記載のものである。
【0009】
この発明によれば、フランジ下面に備わるボスが組み付け状態でパネルの開口部に嵌り、これによりパネルに対する電気コネクタの相対的な組み付け位置が定まる。これにより、ボスと開口部との間に生じる隙間を任意の量に設定することにより、パネルに対する水平方向の動きが所定量許容された電気コネクタが得られる。
【0010】
さらに好ましくは、本発明の電気コネクタは、(3)前記電気コネクタは嵌合方向と直交する方向に電線が引き出されるところに特徴を有する(2)記載のものである。
【0011】
この発明によれば、電線は電気コネクタの側面から側方に引き出されるので、パネルに電線引き出し用の開口部は不要になる。これにより、パネル裏面のハウジングの露出範囲が狭くなり、パネルに対する電気コネクタの片寄りが生じた場合でも、パネル裏面側の電気コネクタのハウジングの露出範囲が少ない電気コネクタが得られる。
【0012】
本発明の電気コネクタ用パネルマウント装置は、(4)前記パネルは(3)記載の電気コネクタを組み付けるための前記ストップフランジ挿通用の開口部と、これに連続するスライド用の開口部とを備え、前記電気コネクタの嵌合開始位置から嵌合終了位置へのスライド移動の際、前記ストップフランジと前記フランジとの間に形成された溝部が前記スライド開口部の外縁部を挟持する姿勢で移動し、前記嵌合終了位置で前記ボスは前記挿通用の開口部に嵌り、前記電気コネクタの底面部に露出する端子収容部が全て前記パネルで覆われるところに特徴を有するものである。
【0013】
この発明によれば、パネルに組み付けられた状態で水平方向の移動が許容された電気コネクタが得られる。また、ハウジングの底面がパネルで塞がれるので、パネル裏面側のハウジングの露出範囲が少なく、パネルに対して電気コネクタが片側に寄った場合でも、電気コネクタの外縁と、パネル開口部の開口縁との間に隙間が生じにくい電気コネクタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本実施形態に係る電気コネクタの外観斜視図であって、(1)は上方向から、(2)は下方向からの斜視図である。
図2図2は同電気コネクタと対応パネルとの装着開始位置の外観図である。
図3図3は同電気コネクタと対応パネルとの嵌め込み過程を示す図であって、(1)は嵌め込み開始位置、(2)は嵌め込み完了位置である。
図4図4は同電気コネクタと対応パネルとの装着状態を示す外観図である。
図5図5は他の実施形態に係る電気コネクタと対応パネルとの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で実施することができる。図1は本実施形態に係る電気コネクタの外観斜視図であって、(1)は上方向から、(2)は下方向からの斜視図である。図2は同電気コネクタと対応パネルとの装着開始位置の外観図である。図3は同電気コネクタと対応パネルとの嵌め込み過程を示す図であって、(1)は嵌め込み開始位置、(2)は嵌め込み完了位置である。図4は同電気コネクタと対応パネルとの装着状態を示す外観図である。なお、説明中の方向指示は対応する図中の方向定義にしたがう。
【0016】
本実施形態に係る電気コネクタ1は、図1に示されるように、ハウジング本体10aからなるハウジング10と、ハウジング本体10aの内部に装着された図示しない端子と、端子に接続された電線Wとを備えている。
【0017】
ハウジング10は、図1に示されるように、前面、後面及び左右側面を有する箱体状のハウジング本体10aと、ハウジング本体10aの下端縁から外方向に延びるフランジ11とを備えている。フランジ11は、広がり方向に一様な厚みを有し可撓性と、剛性とを兼ね備えている。フランジ11は、前面及び左右側面の三面に備わるが、電線Wが引き出される後面には備わらない。
【0018】
前面フランジ110と、左右側面フランジ111、111とは、図1に示されるように、放射状に延びるとともに環状方向に連なる。また、下面は一様に平坦である。前面フランジ110の前方寄り隅部には1対のボス16、16が形成されている。また、前面フランジ110のハウジング本体10aとの連続部には、J字状に延びるスリット17、17が形成されている。これにより、前面フランジ110の上下方向の可撓性が補足される。
【0019】
ボス16は、図1の(2)に示されるように、前面フランジ110の隅部よりやや内側に備わる。ボス16は、直径の異なる扁平な円柱を2つ重ね合わせた構造である。ボス16は、所定量フランジ11下面から下方向へ突出している。
【0020】
左右側面フランジ111、111は、図1に示されるように、上面に補強部111aが形成され剛性が強化されている。下面は一様に平坦である。
【0021】
ハウジング本体10aの左右側面には、図1の(2)に示されるように、フランジ11の下方位置にストップフランジ12が備わる。ストップフランジ12は、フランジ11との間に溝部を形成するように備わる。ストップフランジ12は、断面L字状で側面フランジ111の下面との間に溝部を形成している。ストップフランジ12の後面上端にはテーパー面が形成されている。
【0022】
ストップフランジ12は、図1の(2)に示されるように、全体がフランジ11の陰に隠れる状態で備わる。左右方向の先端は、左右側面フランジ111、111の左右側縁よりもやや内側にあり、後端はハウジング本体10a後縁よりも所定量前方位置にある。さらに、前端はハウジング本体10a前縁よりも所定量後方位置にある。
【0023】
ハウジング本体10aは、図1の(2)に示されるように、端子収容部14に連接する開口部14aが裏面に形成されている。開口部14aの前方には肉盗み用の穴が形成されている。また、ハウジング本体10aの上面には図示しない相手方電気コネクタとの嵌合部13が形成されている。
【0024】
<パネル>
電気コネクタ1の対応するパネル2は、図2に示されるように、前後方向に沿って平行位置に1対の開口部20、20が形成されている。開口部20は、矩形状の挿通部21と、矩形状のスライド部22とからなる。このパネル2は、金属や合成樹脂などの剛性を有する材料で形成してよい。
【0025】
パネル2の開口部20は、電気コネクタ1のストップフランジ12が組み付け操作の際上下方向にスムーズに通過できる大きさを有している。スライド部22は電気コネクタ1のストップフランジ12と側面フランジ111との間に形成された溝部がスライド可能な大きさを有するとともに、電気コネクタ1のパネル2に対する装着位置で電気コネクタを上下方向に保持するために必要な大きさを有している。
【0026】
パネル2の開口部20は、図2に示されるように、左右1対備わり、挿通部20とスライド部22が前後方向に連続して形成されている。挿通部21は、スライド部22に比べ
て左右幅方向が大きく、その連接部の外側には段差が形成されている。
【0027】
<パネルとの嵌合>
電気コネクタ1と、対応するパネル2との嵌合は、図3に示されるように、装着開始位置から降下させ嵌合開始位置にある電気コネクタ1を後方にスライドさせて嵌合終了位置に至らせる一連の操作である。
【0028】
嵌合開始位置にある電気コネクタ1と、対応するパネル2との位置関係は、図3の(1)に示されるように、電気コネクタ1のストップフランジ12が対応するパネル2の挿通部21を通過している。このとき、前面フランジ110の下面にある1対のボス16、16はパネル2の上面に当接した状態である。すなわち、嵌合開始位置にある電気コネクタ1の姿勢は、側面方向から見るとパネル2に対して前方がやや(ボスの突出相当分)上方向に傾いた状態である。
【0029】
嵌合開始位置にある電気コネクタ1は、図3の(2)に示されるように、パネル2に対して後方にスライドして嵌合終了位置に至る。嵌合過程で電気コネクタ1のストップフランジ12は、パネル2のスライド部を通過する。この間、ストップフランジ12と、フランジ11との間に形成された溝部にスライド部22のパネル縁部が通過する。電気コネクタ1の押切状態の嵌合終了位置で、前面フランジ110の下面の1対のボス16、16は、全体が挿通部21の開口に嵌り込む。すなわち、嵌合終了位置にある電気コネクタ1の姿勢は、側面方向から見るとパネル2に対して平行状態である。
【0030】
嵌合終了位置で、電気コネクタ1は対応するパネル2に緩やかに組み付けられている。図3の(2)に示されるように、電気コネクタ1は、フランジ11と、ストップフランジ12とでパネル2を挟持することで、パネル2に対する上下方向と左右方向の位置決めがなされると同時に保持されている。また、前後及び重ねて左右方向の位置決めは、ボス16と挿通部21の開口縁との当接及びストップフランジ12と、スライド部22の開口縁との当接により行われる。これらの当接部に必要なクリアランスを設定することにより、所定のずれ吸収能を備えた電気コネクタが得られる。
【0031】
すなわち、電気コネクタ1のストップフランジ12で形成される溝部の深さや、フランジ11の下面のボス16の相対的な位置、及びパネル2の開口部20の形状及び大きさなどにより、適宜所定のずれ吸収能を備えた電気コネクタ用パネルマウント装置が得られる。
【0032】
<組み付け状態>
対応するパネル2に装着された電気コネクタ1は、図3図4に示されるように、ハウジング10の裏面が概ねパネル2で覆われている。これにより、ハウジング10の下面の端子収容部14の開口部14aや、その近傍に備わる肉盗み用の開口部などすべての開口部がパネルで塞がれた状態である。
【0033】
<効果>
本実施形態の電気コネクタ1は、電線引き出し方向がパネルに対して平行なため、電気コネクタ1の底面から引き出す場合のようなパネル裏面のスペースが不要な電気コネクタ1が得られる。
【0034】
本実施形態の電気コネクタ1は、保護シュラウドが不要なので全体の外形を小型化可能な電気コネクタ1が得られる。
【0035】
フランジ11の下面に左右方向に離れた1対のボス16、16が備わるので、パネル2
に対して回転方向のずれが抑制された電気コネクタ1が得られる。
【0036】
ハウジング10の裏面がパネル2に覆われハウジング10の開口部14aが塞がれるので、ほこりや異物の侵入が抑制された電気コネクタ1が得られる。
【符号の説明】
【0037】
1 電気コネクタ
10 ハウジング
10a ハウジング本体
11 フランジ
110 前面フランジ
111 側面フランジ
111a 補強部
12 ストップフランジ
13 嵌合部
14 端子収容部
14a 開口部
15 電線挿通部
16 16a ボス
17 スリット
W 電線
2 パネル
20 20a 開口部
21 挿通部
22 スライド部
図1
図2
図3
図4
図5