【課題】電気コネクターに接続するデバイスの端子が、電気コネクターの導電部材との接触によって傷つくことが低減されるとともに、導電部材の端部が電気コネクターの主面に埋没することが防止された電気コネクターと、その電気コネクターを安定に効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】厚さ方向に貫通する複数の貫通孔(21)を有する弾性体(20)と、前記貫通孔の内壁に接合され、第一デバイスの接続端子と第二デバイスの接続端子とを電気的に接続するための導電部材(30)と、を有し、前記導電部材は、少なくとも一方の端部の一部又は全部が中空の管であり、前記管の先端は、前記弾性体の表面に位置するか又は前記弾性体の表面から突出しており、前記先端に、金属からなるフランジ(40)が備えられている電気コネクター(10)。
第一デバイスの接続端子と、第二デバイスの接続端子との間に配置され、前記第一デバイスの接続端子と、前記第二デバイスの接続端子とを電気的に接続するための電気コネクターであって、
厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有する弾性体と、前記貫通孔の内壁に接合され、前記第一デバイスの接続端子と前記第二デバイスの接続端子とを電気的に接続するための導電部材と、を有し、
前記導電部材は、少なくとも一方の端部が中空の管であり、
前記管の先端は、前記弾性体の表面に位置するか又は前記弾性体の表面から突出しており、前記先端に、金属からなるフランジが備えられている電気コネクター。
前記粒子を吹き付ける前に、前記前駆シートが備える前記導電線の端部を、前記前駆シートの一方の主面および他方の主面の少なくとも一方から突出させることを有する、請求項2又は4に記載の電気コネクターの製造方法。
前記メッキ層を形成する前に、前記エッチング処理済シートが備える前記導電性の管の端部を、前記エッチング処理済シートの一方の主面および他方の主面の少なくとも一方から突出させることを有する、請求項2又は4に記載の電気コネクターの製造方法。
前記粒子を吹き付ける前に、前記エッチング処理済シートが備える前記導電性の管の端部を、前記エッチング処理済シートの一方の主面および他方の主面の少なくとも一方から突出させることを有する、請求項3又は4に記載の電気コネクターの製造方法。
前記メッキ層を形成する前に、前記ブラスト処理済シートが備える前記導電性の管の端部を、前記ブラスト処理済シートの一方の主面および他方の主面の少なくとも一方から突出させることを有する、請求項3又は4に記載の電気コネクターの製造方法。
前記導電性の管に形成する前記メッキ層の厚さを管理する目的で、前記メッキの際に参照用の金属板を同時にメッキし、前記金属板に形成されるメッキ層の厚さを計測することを有する、請求項2〜8の何れか一項に記載の電気コネクターの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[電気コネクター]
本発明の第一態様は、第一デバイスの接続端子と、第二デバイスの接続端子との間に配置され、前記第一デバイスの接続端子と、前記第二デバイスの接続端子とを電気的に接続するための電気コネクターである。前記電気コネクターは、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有する弾性体と、前記貫通孔の内壁に接合され、前記第一デバイスの接続端子と前記第二デバイスの接続端子とを電気的に接続するための導電部材と、を有する。前記導電部材は、少なくとも一方の端部が中空の管である。前記管の先端は、前記弾性体の表面に位置するか又は前記弾性体の表面から突出した上方に位置する。前記先端には、金属からなるフランジが備えられている。
【0012】
図1〜
図3に示す第一実施形態の電気コネクター10は、弾性体20と、導電部材30と、フランジ40と、を有する。
電気コネクター10は、図示略の第一デバイスの接続端子と、図示略の第二デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するために使用するためのものである。電気コネクター10において、導電部材30は、フランジ40を介して、第一デバイスの接続端子と第二デバイスの接続端子の電気的接続を行う部材である。弾性体20の両面に露出しているフランジ40は、導電部材30の両端部に設けられており、各デバイスの接続端子に接触する。各デバイスとしては、例えば、半導体パッケージ、回路基板、シリコーンウエハー、受動部品、液晶モジュール及びセンサー等が挙げられる。
【0013】
弾性体20は、その厚さ方向に沿って貫通する複数の貫通孔21を有する。この貫通孔21の内壁に導電部材30が接合されている。「接合」とは、貫通孔21の内壁に導電部材30の少なくとも一部が接している状態を意味する。
【0014】
弾性体20における導電部材30を設ける位置、すなわち、弾性体20における貫通孔21の配置や数は、特に限定されず、電気コネクター10によって電気的に接続される2つのデバイスの接続端子の配置や数、圧接に必要とされる押圧力等に応じて適宜調整される。電気コネクター10が均一に変形する(撓む)ようにするためには、弾性体20において、導電部材30及び貫通孔21が等間隔に設けられていることが好ましい。
【0015】
貫通孔21は、弾性体20を、その厚さ方向に対して平行または斜めに貫通する。「弾性体20の厚さ方向」とは、主面に対して垂直な方向を意味する。「主面」とは、面積が最も広い面を意味する。
貫通孔21が、弾性体20を、その厚さ方向に対して斜めに貫通する場合、一方の主面20aの垂線に対する貫通孔21の弾性体20の厚さ方向に対する鋭角側の角度は、0°超60°以下であることが好ましく、1°以上60°以下であることがより好ましく、10°以上30°以下であることがさらに好ましい。上記角度の範囲であると、小さい荷重で安定した接続が得られやすく、接続するデバイスの端子を傷付けるおそれが少ない。貫通孔21の弾性体20の厚さ方向に対する角度は、電気コネクター10によって電気的に接続される2つのデバイスの接続端子の配置等に応じて適宜調整される。ここで貫通孔21の弾性体20の厚さ方向に対する角度は、導電部材30に設けられた5つ以上の貫通孔21について、弾性体20の厚さ方向に対する角度をデジタルマイクロスコープ等の拡大観察手段で観察して得た画像に基づいて測定し、平均した値である。
【0016】
貫通孔21の形状、すなわち、貫通孔21の長手方向と垂直な断面の形状は、特に限定されず、貫通孔21に接合する導電部材30の長手方向と垂直な断面の形状に応じて適宜設定される。貫通孔21の長手方向と垂直な断面の形状としては、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、五角形以上の多角形等が挙げられる。
【0017】
貫通孔21の孔径は、特に限定されず、貫通孔21に接合される導電部材30の直径(外径)に応じて適宜設定され、例えば、5μm〜300μmであることが好ましい。貫通孔21の形状が円形以外である場合には、貫通孔21の孔径は、貫通孔21の外縁(開口部の縁部)の最も幅広い部分の長さとする。
ここで貫通孔21の孔径は、弾性体20の主面に開口する5つ以上の貫通孔21について、デジタルマイクロスコープ等の拡大観察手段で観察して得た画像に基づいて測定し、平均した値である。
【0018】
弾性体20の厚さH
1は、30μm〜5000μmが好ましく、50μm〜1000μmがより好ましく、100μm〜500μmがさらに好ましい。上記厚さの範囲の下限値以上であると、電気コネクターの機械的強度や剛性が向上し、取り扱いが容易になる。上記厚さの範囲の上限値以下であると、導電部材の長さが高周波特性の向上に適したものとなる。
【0019】
本明細書において、シート状部材の厚さは、無作為に選択される5箇所以上の厚さを、デジタルマイクロスコープ等の拡大観察手段で測定し、平均した値である。
【0020】
導電部材30は、貫通孔21の内壁に接合され、弾性体20の厚さ方向に対して垂直又は斜めに延在し、電気コネクター10の各主面に露出する各フランジ40に接続されたデバイスの接続端子同士を電気的に接続する導電性の部材である。
導電部材30の一方の端部は弾性体20の一方の主面20aに位置し、導電部材30の他方の端部は弾性体20の他方の主面20bに位置する。本実施形態における導電部材30は中空の導電性の管である。この管の長手方向は貫通孔21の長手方向と平行である。導電部材30は、長手方向に見て、全体が中空であってもよいし、端部のみが中空で、中央部が中実であってもよい。導電部材30の少なくとも一方の端部が中空であることにより、デバイスの接続端子が圧接されたときの押圧力を、中空の端部が有する柔軟性により緩和することができる。
ここで、導電部材30の「端部」とは、導電部材の先端から導電部材の全長の1/5の長さまでの範囲を意味する。「端部が中空である」とは端部の少なくとも先端側の一部が中空であることを意味し、先端から中央部側までの端部全体が中空である場合を含む。
【0021】
導電部材30を構成する前記導電性の管は、必ずしも完全な筒状の部材でなくてもよい。管の長手方向と垂直な断面の形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形、矩形が挙げられる。また、前記形状はC形状や三日月形状のように、管の断面の一部が欠けている形状であってもよい。製造時のメッキの形成を安定にする観点から、前記形状は円形又は楕円形であることが好ましいい。
【0022】
導電部材30を構成する前記導電性の管の壁の厚さは、0.05μm〜25μmが好ましく、0.1〜20μmがより好ましく、0.5〜15μmがさらに好ましく、0.7μm〜3μmが特に好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、接続の安定性が向上する。
上記範囲の上限値以下であると、隣接する導電部材同士のピッチや離間距離を狭くすることができる。
前記導電性の管の壁の厚さは、複数の導電部材30から無作為に選択される導電部材30について、顕微鏡等の拡大観察手段で5箇所以上の厚さを測定し、平均した値である。
【0023】
導電部材30を構成する前記導電性の管の直径(外径)は、特に限定されないが、5μm〜300μmであることが好ましく、5μm〜100μmがより好ましく、5μm〜50μmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると導電部材30の電気抵抗が過度に高くなることを防止できる。上記範囲の上限値以下であると導電部材30の剛性が適度となり、デバイスの接続端子の傷付きを防止できる。
導電部材30の形状が円形以外である場合には、導電部材30の直径は、導電部材30の長手方向と垂直な断面における、外縁の最も幅広い部分の長さとする。
本明細書において、前記直径(外径)は、複数の導電部材30から無作為に選択される5本以上の導電部材30について、顕微鏡等の拡大観察手段で5箇所以上の直径を測定し、平均した値である。
【0024】
金属からなるフランジ40は、導電部材30の先端に備えられている。
弾性体20の一方の主面20aを平面視したとき、フランジ40は導電部材30の先端の外周に沿う形状を有する。本実施形態においては、導電部材30の先端の形状は円環形であるので、フランジ40の平面視の形状も円環形又は円環形に近似できる形状を有する。フランジ40の外径は導電部材30の外径よりも大きい。フランジ40の内径は、導電部材30の外径と概ね同等であるか、又は導電部材30の外径よりも少し縮径している。後者の場合、導電部材30における先端の管の内側面(内壁側)にメッキ層が形成されていてもよい。
【0025】
フランジ40の内径側の底部は導電部材30の先端に結合し、導電部材30に対して電気的に接続されている。導電部材30の形状は管であり、管の先端の周縁に沿って、フランジ40の内径側の底部が結合している。
フランジ40の外径側の底部は、弾性体20の主面に面しており、導電部材30の中心軸から見て外方へ張り出している。このように張り出しているので、フランジ40は、導電部材30の先端部が拡径した部分とみなすこともできる。
【0026】
弾性体20のフランジ40が備えられた主面を平面視して、フランジ40の外径は、例えば、6μm〜350μmとすることができる。ここで、フランジ40の外径は、フランジ40の外縁(外周)の最も幅広い部分の長さとする。
フランジ40の外径は、弾性体20の主面に設けられた複数のフランジ40から無作為に選択される5つ以上のフランジ40について、デジタルマイクロスコープ等の拡大観察手段で観察して得た画像に基づいて測定し、平均した値である。
【0027】
弾性体20のフランジ40が備えられた主面を平面視して、環形状のフランジ40の幅は、例えば、0.5μm〜25μmが好ましく、1μm〜16μmがより好ましく、1.5μm〜5μmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、フランジ40を設けたことによる電気コネクター10の耐久性と、デバイスの接続端子に対する接続性がより向上する。
上記範囲の上限値以下であると、フランジ40の構造的強度が高まり、電気コネクター10の耐久性が向上する。また、隣接するフランジ40同士の短絡を防止できる。
ここで、フランジ40の幅は、フランジ40を構成する環の幅のうち、最も幅広の部分の長さとする。前記主面の平面視において、フランジ40の中心を通る直線は、前記環を2箇所で横切る。通常、前記直線において、前記2箇所を横切る線分の長さが、前記環の当該箇所の幅に相当する。
フランジ40の幅は、弾性体20の主面に設けられた複数のフランジ40から無作為に選択される5つ以上のフランジ40について、デジタルマイクロスコープ等の拡大観察手段で観察して得た画像に基づいて測定し、平均した値である。
【0028】
電気コネクター10において、フランジ40の外径R1と、導電部材30を構成する前記導電性の管の外径R2と比(R1/R2)は、1.02〜3が好ましく、1.03〜2がより好ましく、1.03〜1.5がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、フランジ40が圧接により弾性体20の主面に埋没することをより確実にすることができる。
上記範囲の上限値以下であると、隣接するフランジ40同士の短絡を防止しつつ、フランジ40同士の離間距離を狭めて、弾性体20の主面におけるフランジ40の密度を高めることができる。
【0029】
電気コネクター10において、弾性体20の一方の主面20a及び他方の主面20bの両方に各導電部材30の先端に結合したフランジ40が備えられている。
デバイスの接続端子が各主面に露出するフランジ40に圧接されたとき、フランジ40の外径は弾性体20の貫通孔21の外径よりも大きいので、弾性体20の主面に埋没することが防止されている。
【0030】
弾性体20の何れか一の主面側のみにフランジ40が設けられていてもよい。この場合、フランジ40が設けられていない側の導電部材30の先端が弾性体20の主面に露出する。デバイスの接続端子の圧接による導電部材30の先端の埋没を確実に防止し、電気コネクター10の耐久性を向上させる観点から、弾性体20の両方の主面側にフランジ40が設けられていることが好ましい。
【0031】
弾性体20の何れかの主面を平面視して、隣接する2つのフランジ40同士の間隔、すなわち、隣接する2つのフランジ40の中心間距離(ピッチ;
図2におけるP
1、P
2)は、例えば、7μm〜1000μmとすることができる。また、隣接する2つのフランジ40同士の離間距離、すなわち隣接する2つのフランジ40が互いに最も近接する箇所の距離は、絶縁性を保てる距離であればよく、例えば、1μm〜994μmとすることができる。
ここで、前記中心間距離及び前記離間距離は、電気コネクター10における弾性体20の主面を平面視して、複数のフランジ40から無作為に選択される5組以上のフランジ40について、測定顕微鏡等の観察手段により測定し、平均した値である。
【0032】
弾性体20の主面を基準として、フランジ40の厚さ(高さ)は、例えば、1μm〜50μm大きいことが好ましく、2μm〜25μmがより好ましく、3μm〜10μmがさらに好ましい。
上記厚さの範囲の下限値以上であると、デバイスの接続端子の圧接によるフランジ40及び導電部材30の先端の埋没をより確実に防止し、電気コネクター10の耐久性をより向上させることができる。
上記厚さの範囲の上限値以下であると、フランジ40に対してデバイスの接続端子をより安定に接続することができる。
フランジ40の厚さは、電気コネクター10における弾性体20の厚さ方向の断面を見て、弾性体20の主面を基準として、複数のフランジ40から無作為に選択される5個以上のフランジ40について、測定顕微鏡等の観察手段により観察し、そのフランジ40の最も高い部位を厚さとみなして測定し、平均した値である。
【0033】
フランジ40の厚さと弾性体20の厚さH
1を合わせた電気コネクター10の厚さH
2は、例えば、31μm〜5001μmであることが好ましく、51μm〜1001μmがより好ましく、101μmm〜501μmがさらに好ましい。上記厚さの範囲の下限値以上であると、電気コネクターの機械的強度や剛性が向上し、取り扱いが容易になる。上記厚さの範囲の上限値以下であると、導電部材の長さが高周波特性の向上に適したものとなる。
【0034】
以上で説明した第一実施形態の電気コネクター10において、導電部材30の一方の先端は、弾性体20の一方の主面20aに位置している。本発明において、
図4の第二実施形態の電気コネクター50に示すように、導電部材30の一方の先端は、弾性体20の一方の主面20aよりも高い位置、すなわち一方の主面20aから突出した上方に位置してもよい。導電部材30の突出した先端の側面は、弾性体20からなる被膜に覆われていてもよいし、覆われていなくてもよい。前記側面が前記被膜に覆われていない場合、導電部材30の一方の端部30aの側面及び先端を起点としてフランジ40が設けられ、フランジ40の底部が弾性体20の一方の主面20aに接していることが好ましい。
導電部材30の一方の端部30aの弾性体20の一方の主面20aからの突出量は、特に限定されず、例えば、5μm〜100μmとすることができる。具体的には、電気コネクター10によって電気的に接続する2つのデバイスの接続端子の形状、配置等に応じて適宜調整される。
【0035】
[各部材の材料]
弾性体20の材料としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム等が挙げられる。これらの中でも、高弾性で耐熱性に優れる点から、シリコーンゴムが好ましい。
【0036】
導電部材30は、芯線と、前記芯線の外周を被覆する導電性の管とを有する導電線から、少なくとも一方の端部の芯線が除去されて、少なくとも一方の端部が中空の前記導電性の管とされたものである。
前記芯線の材料としては、例えば、硝酸を用いたウエットエッチングにより容易に除去され得る、鉄、銅、アルミニウム、鉛、亜鉛、すず、タングステン等の卑金属が挙げられる。また、水や有機溶媒を用いたウエットエッチングにより容易に除去され得る、ポリビニルアルコール等の樹脂を適用することもできる。
【0037】
前記芯線の形状、すなわち、芯線の長手方向と垂直な断面の形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、五角形以上の多角形等が挙げられる。
前記芯線の直径(外径)は特に限定されず、例えば、5μm〜260μmとすることができる。なお、芯材の形状が円形以外である場合には、芯材の直径は、芯材の長手方向と垂直な断面における、外縁の最も幅広い部分の長さとする。
【0038】
導電部材30を構成する前記導電性の管は、前記芯線を被覆する金属層によって形成されている。前記金属層の材料としては、電解メッキまたは無電解メッキによって前記芯線の外周に金属層を形成することができるものが好ましい。また、硝酸によるウエットエッチングや、水、酸、アルカリおよび有機溶媒によって腐食しないものであることが好ましい。前記金属層の材料は、貴金属が好ましい。貴金属としては、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、黒ルテニウム等の金属や、これらの金属の合金が挙げられる。なかでも、標準電極電位が高い金、白金、銀、銅がより好ましく、低硬度の金、銀がさらに好ましい。前記導電性の管を形成する前記金属層は、1層の金属層でもよいし、2層以上の金属層であってもよい。2層以上の金属層における各層の金属は、互いに同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0039】
<作用効果>
本発明にかかる電気コネクター10,50においては、デバイスの接続端子に接触するフランジ40及び導電部材30の端部の少なくとも一部が中空になっており、柔軟性に富むので、圧接されたデバイスの接続端子に対する傷付けを防止することができる。また、導電部材30の少なくとも一方の端部にはフランジ40が設けられており、フランジ40は、貫通孔21の軸線方向から見て、弾性体20の一方の主面20aの面方向に張り出している。このため、デバイスの接続端子による圧接を受けたときに、フランジ40が弾性体20の貫通孔21の中へ埋没することがなく、圧接が解除されるとフランジ40が受ける弾性体20の反発力を利用して、導電部材30の先端を元の位置に戻すことができる。結果、導電部材30の先端が弾性体20の主面の中に埋没したまま戻らなくなることを防止できるので、電気コネクター10,50の耐久性が向上している。
【0040】
[電気コネクターの製造方法]
本発明の第二態様は、第一態様の電気コネクターを製造する方法である。
<第一実施形態>
第一実施形態は、エラストマーからなる第一の樹脂層の第一の面側に、芯線と、前記芯線の外周を被覆する導電性の管とを有する導電線の複数を、向きを揃えて任意の間隔で配置する工程(配置工程)と、前記第一の樹脂層の第一の面側にエラストマーからなる第二の樹脂層を形成し、導電線含有シートを形成する工程(シート形成工程)と、複数の前記導電線含有シートを、前記複数の導電線の向きを揃えて積層し、前記導電線含有シートの積層体を形成する工程(積層体形成工程)と、前記積層体を、前記複数の導電線の延在する方向に対して垂直方向または斜め方向に切断し、前駆シートを得る工程(切断工程)と、前記前駆シートの一方の主面及び他方の主面のうち、少なくとも一方の主面に対して、粒子を吹き付けることにより、前記一方の主面に露出する前記複数の導電線の先端におけるバリを除去したブラスト処理済シートを得る工程(ブラスト工程)と、前記ブラスト処理済シートが有する前記複数の導電線から、前記芯線の少なくとも一部をエッチングにより除去し、複数の前記導電性の管が残されたエッチング処理済シートを得る工程(エッチング工程)と、前記エッチング処理済シートの一方の主面及び他方の主面のうち、少なくとも一方の主面に露出する前記複数の導電性の管の先端にメッキすることにより、前記複数の導電性の管の先端にメッキ層を形成した電気コネクターを得る工程(メッキ工程)と、を有する電気コネクターの製造方法である。
以下、
図5(a)〜
図5(d)を参照して、各工程の一例を説明する。
【0041】
[配置工程]
図5(a)に示すように、基材1000上に形成した第一の樹脂層1100の第一の面1100a上に、芯線及び導電性の管を有する導電線30’を、向きを揃えて任意の間隔で並列に配置する。
ここでは、複数の導電線30’は、基材1000の長手方向と垂直な方向に延在するように配置されている。隣接する2つの導電線30’の中心間距離は、例えば、7μm〜1000μmであることが好ましい。
各導電線30’は第一態様で説明した導電線と同様である。
【0042】
基材1000としては、導電線含有シートを形成した後、導電線含有シートから容易に剥離できるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルムが挙げられる。
【0043】
第一の樹脂層1100の厚さは、例えば、2μm〜500μmが好ましい。
第一の樹脂層1100の材料として、弾性体20の材料と同様のものが例示できる。
基材1000上に第一の樹脂層1100を形成する方法としては、例えば、上記の材料からなるシート又はフィルムを基材1000上に貼着するか、或いは、液状またはペースト状の上記材料を基材1000上に塗布し、加熱、加湿または光照射等により硬化して樹脂層を形成する方法が挙げられる。基材1000上にシート又はフィルムを貼着する方法としては、接着剤を用いてもよいし、表面処理によりシート又はフィルムの表面を活性化させて基材1000上に直接結合させてもよい。
【0044】
[シート形成工程]
次いで、
図5(b)に示すように、複数の導電線30’が配置された第一の樹脂層1100の第一の面1100a上に、第二の樹脂層1200を形成し、第二の樹脂層1200を第一の樹脂層1100と一体化するとともに、第一の樹脂層1100と第二の樹脂層1200の間に複数の導電線30’を固定し、導電線含有シート1300を形成する。
【0045】
第二の樹脂層1200の厚さは、例えば、2μm〜500μmが好ましい。
第二の樹脂層1200の材料としては、第一の樹脂層1100の材料と同様のものが挙げられる。
第一の樹脂層1100の第一の面上に第二の樹脂層1200を形成する方法としては、基材1000上に第一の樹脂層1100を形成する方法と同様の方法が用いられる。
【0046】
[積層体形成工程]
次いで、
図5(c)に示すように、導電線含有シート1300の複数枚を、互いに導電線30’の向きを揃えて積層し、導電線含有シート1300の積層体1400を形成する。
本工程において、導電線30’の向きを揃えるだけでなく、積層体1400の厚さ方向に見て各導電線30’が重なるように配置を揃えることが好ましい。
図5(c)では、全ての導電線30’が、積層体1400の厚さ方向に重なり合っている場合を例示したが、導電線30’はその厚さ方向に重ならないでもよい。
【0047】
本工程において、導電線含有シート1300を積層する場合、最も下の層をなす導電線含有シート1300を除いて、導電線含有シート1300から基材1000を剥離する。
【0048】
複数の導電線含有シート1300を互いに積層するには、接着剤を用いてもよく、導電線含有シート1300の表面をコロナ処理等により活性化させて化学結合してもよい。
接着剤を用いる場合、接着剤としては、第一の樹脂層1100と同じエラストマーを用いてもよく、第一の樹脂層1100と異なるエラストマーを用いてもよい。
【0049】
[切断工程]
図5(d)に示すように、積層体1400を、所定の厚さとなるように、導電線30’の延在する方向に対して垂直方向に切断し、輪切りした導電線30’が接合された貫通孔21を備えたエラストマーからなる前駆シート1500を得る。前駆シート1500の一端にある基材1000は適宜剥離される。
【0050】
本工程において、積層体1400を切断する方法としては、例えば、レーザー加工、切削等の機械的加工等が用いられる。
【0051】
[ブラスト工程]
前駆シート1500の一方の主面1500a及び他方の主面1500bのうち、少なくとも一方、好ましくは両方の主面に対して、粒子を吹き付けることにより、前記主面に露出する複数の導電線30’の先端におけるバリを除去したブラスト処理済シートを得る(不図示)。
【0052】
粒子の吹き付け方法としては、次の乾式法と湿式法が挙げられる。
乾式のブラスト法は、液状の分散媒を実質的に含まず、固体の粒子のみを含む投射材を吹き付ける方法である。
湿式のブラスト法は、液状の分散媒と固体の粒子を含む投射材を吹き付ける方法である。
【0053】
吹き付ける粒子の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機化合物、鉄、鋼、アルミ、ニッケル、コバルト、銅等の金属やこれらの合金、合成樹脂やゴム等の有機物が挙げられる。無機化合物、金属、有機物を組み合わせた複合材料であってもよい。
乾式のブラスト法においては、有機物又は有機物を含む複合材料が好ましい。湿式のブラスト法においては、無機化合物又は無機化合物を含む複合材料が好ましい。
【0054】
吹き付ける粒子の粒径は、ブラスト条件にもよるが、例えば、体積平均で1μm〜100μmの範囲が好ましい。
【0055】
吹き付ける粒子の速度は、導電線30’の先端の微細なバリを除去して、切断工程で形成された導電線30’の先端における切断面の周縁を面取りする程度の強度となる速度に調整することが好ましい。その目安としては、前駆シート1500の主面がブラストにより過度に荒れたり、導電線30’の先端が吹き飛んだりする強度の一歩手前の強度が好ましい。好適な強度でブラストすると、前駆シート1500の主面が平滑面ではなく、微細な凹凸が形成された面として観察されることがある。
【0056】
上記ブラスト法は公知の加工装置によって実施することができる。ブラスト条件は、使用する加工装置の製造元が推奨する適切な条件に基づいて適宜設定される。
【0057】
[エッチング工程]
次いで、ブラスト処理済シートが有する複数の導電線30’の両端部のうち、少なくとも一方の端部における芯線をエッチングにより除去し、前記導電性の管によって形成された導電部材30の複数を備えたエッチング処理済シートを得る。導電部材30のエッチングされた端部は少なくとも先端近傍が中空の管になっている。
【0058】
本工程では、溶解液を用いて、導電線30’の芯線を溶解することにより、芯線を除去する。具体的には、芯線が鉄、銅、アルミニウム、鉛、亜鉛、すず、タングステン等の卑金属からなる場合、硝酸によるウエットエッチングにより芯線を除去することができる。例えば、硝酸を含むエッチング液に前駆シート1500を浸漬して、エッチング液により芯線を溶解することにより、導電線30’から芯線を除去することができる。芯線がポリビニルアルコール等の樹脂からなる場合、水や有機溶媒に前駆シート1500を浸漬して、水や有機溶媒により芯線を溶解することにより、導電線30’から芯材を除去することができる。
【0059】
[メッキ工程]
エッチング処理済シートの一方の主面及び他方の主面のうち、少なくとも一方の主面に露出する前記複数の導電性の管の先端にメッキすることにより、前記複数の導電性の管の先端にメッキ層を形成した電気コネクターを得る。
前記先端には予めブラスト処理が施されているので、先端の周縁をなぞるようにメッキ層が形成される。メッキ層の一部は厚み方向に形成され、メッキ層の他部は前記導電性の管の軸線方向から見て外方、つまりエッチング処理済シートの主面の面方向に形成される。結果、第一態様の電気コネクター10のフランジ40と同様の、メッキ層からなるフランジが形成される。
なお、前記導電性の管の先端がブラスト処理されていない場合、メッキ層は、前記管の長手方向に形成されたり、前記管の先端の開口を覆うように形成されたりして、フランジを形成することが難しい。
【0060】
メッキの方法は、電解メッキ、無電解メッキの何れでもよく、公知方法が適用される。
前記導電性の管の先端又は端部に形成するメッキ層の厚さを直接的に測定することは容易ではない。そこで、メッキの際に形成されるメッキ層の厚さを管理する(モニタリングする)目的で、前記メッキの際に参照用の金属板を同時にメッキし、前記金属板に形成されるメッキ層の厚さを計測することにより、間接的に前記導電性の管に形成するメッキ層の厚さを管理することができる。参照用の金属板に形成されるメッキ層の形成速度と、前記導電線の管に形成されるメッキ層の形成速度を近づけて管理を容易にする観点から、参照用の金属板の金属材料は、前記導電性の管を構成する金属材料と同じであることが好ましい。
【0061】
以上の各工程を経て、
図1に示すような第一態様の電気コネクター10が得られる。
【0062】
<作用効果>
本実施形態の電気コネクターの製造方法によれば、ブラスト工程において各導電線30’の先端のバリが除去されているので、その後のエッチング工程を経た各導電部材30の先端にメッキ層からなるフランジ40を容易に安定に形成することができる。
なお、後述する第二実施形態の製造方法で例示するように、エッチング工程の後でブラスト工程を行ってもよい。しかし、エッチング工程で中空化された導電線30’の先端(導電部材30を構成する導電性の管の先端)が脆弱である場合には、その先端がブラスト処理によって破損してしまい、フランジ40の形成が難しくなることがある。したがって、前記先端が脆弱である場合には、上述の第一実施形態の製造方法が好ましい。
【0063】
(変形例)
本実施形態では、切断工程において、積層体1400を、導電線30’の延在する方向に対して垂直方向に切断する場合を例示したが、積層体1400を、導電線30’の延在する方向に対して斜め方向に切断してもよい。斜め方向に切断すると、前駆シート1500の主面に対して斜めに交わる導電線30’を備えた前駆シート1500が得られる。
メッキ工程において導電部材30の先端にフランジ40をより安定に形成し、より均整のとれた形状のフランジを形成する観点から、前駆シート1500における導電線30’の延在する方向(長さ方向)は、前駆シート1500の主面に対して垂直又は略垂直であることが好ましい。
【0064】
また、本実施形態の電気コネクターの製造方法は、前駆シートをブラスト処理するブラスト工程の後であって、且つ導電線30’の先端にメッキするメッキ工程の前に、ブラスト処理済シートが有する導電線30’又はエッチング処理済シートが有する導電部材30を、シートの一方又は両方の主面から突出させる突出工程を有していてもよい。
【0065】
この突出工程において、導電線30’又は導電部材30を、シートの主面から突出させる方法としては、例えば、レーザーエッチング、ケミカルエッチング、切削等の機械的加工により、シートの主面からエラストマーの一部を削る方法が挙げられる。
【0066】
突出工程で得た突出加工済シートが導電線30’を有する場合には、エッチング工程により、導電線30’の端部から芯線を除去し、エッチング処理済シートを得て、これをメッキ工程へ供する。突出工程で得た突出加工済シートが導電部材30を有する場合には、この突出加工済シートをメッキ工程へ供する。メッキ工程により、突出した導電部材30の端部の側面及び先端にメッキ層を形成すると、第一態様の電気コネクター50が得られる。
【0067】
<第二実施形態>
第二実施形態は、エラストマーからなる第一の樹脂層の第一の面側に、芯線と、前記芯線の外周を被覆する導電性の管とを有する導電線の複数を、向きを揃えて任意の間隔で配置する工程(配置工程)、前記第一の樹脂層の第一の面側にエラストマーからなる第二の樹脂層を形成し、導電線含有シートを形成する工程(シート形成工程)と、複数の前記導電線含有シートを、前記複数の導電線の向きを揃えて積層し、前記導電線含有シートの積層体を形成する工程(積層体形成工程)と、前記積層体を、前記複数の導電線の延在する方向に対して垂直方向または斜め方向に切断し、前駆シートを得る工程(切断工程)と、前記前駆シートが有する前記複数の導電線から、前記芯線の少なくとも一部をエッチングにより除去し、複数の前記導電性の管が残されたエッチング処理済シートを得る工程(エッチング工程)と、前記エッチング処理済シートの一方の主面及び他方の主面のうち、少なくとも一方の主面に対して、粒子を吹き付けることにより、前記一方の主面に露出する前記複数の導電性の管の先端におけるバリを除去したブラスト処理済シートを得る工程(ブラスト工程)、及び、前記ブラスト処理済シートの一方の主面及び他方の主面のうち、少なくとも一方の主面に露出する前記複数の導電性の管の先端にメッキすることにより、前記複数の導電性の管の先端にメッキ層を形成した電気コネクターを得る工程(メッキ工程)と、を有する電気コネクターの製造方法である。
【0068】
第二実施形態における配置工程、シート形成工程、積層体形成工程、及び切断工程の説明は、第一実施形態における同工程と同じであるので、その説明を省略する。
【0069】
[エッチング工程]
前駆シートが有する複数の導電線30’の両端部のうち、少なくとも一方の端部における芯線をエッチングにより除去し、前記導電性の管によって形成された導電部材30の複数を備えたエッチング処理済シートを得る。導電部材30のエッチングされた端部は少なくとも先端近傍が中空の管になっている。
本工程における具体的なエッチング方法は、第一実施形態のエッチング方法と同様に行うことができる。
【0070】
[ブラスト工程]
次いで、エッチング処理済シートの一方の主面及び他方の主面のうち、少なくとも一方、好ましくは両方の主面に対して、粒子を吹き付けることにより、前記主面に露出する複数の導電部材30の先端(導電性の管の先端)におけるバリを除去したブラスト処理済シートを得る。
粒子の吹き付け方法は、第一実施形態の粒子の吹き付け方法と同様に行うことができる。
【0071】
[メッキ工程]
ブラスト処理済シートの一方の主面及び他方の主面のうち、少なくとも一方の主面に露出する前記複数の導電性の管の先端にメッキすることにより、前記複数の導電性の管の先端にメッキ層を形成した電気コネクターを得る。
前記先端には予めブラスト処理が施されているので、先端の周縁をなぞるようにメッキ層が形成される。メッキ層の一部は厚み方向に形成され、メッキ層の他部は前記導電性の管の軸線方向から見て外方、つまりブラスト処理済シートの主面の面方向に形成される。結果、第一態様の電気コネクター10のフランジ40と同様の、メッキ層からなるフランジが形成される。
なお、前記導電性の管の先端がブラスト処理されていない場合、メッキ層は、前記管の長手方向に形成されたり、前記管の先端の開口を覆うように形成されたりして、フランジを形成することが難しい。
メッキの方法は、第一実施形態のメッキ方法と同様に行うことができる。
以上の各工程を経て、
図1に示すような第一態様の電気コネクター10が得られる。
【0072】
<作用効果>
本実施形態の電気コネクターの製造方法によれば、エッチング工程後のブラスト工程において各導電部材30の先端のバリが除去されているので、各導電部材30の先端にメッキ層からなるフランジ40を容易に安定に形成することができる。
【0073】
(変形例)
本実施形態においも、第一実施形態と同様の変形例を例示できる。
一例として、前記粒子を吹き付ける前に、前記エッチング処理済シートが備える前記導電性の管の端部を、前記エッチング処理済シートの一方の主面および他方の主面の少なくとも一方から突出させてもよい。
また、別の例として、前記メッキ層を形成する前に、前記ブラスト処理済シートが備える前記導電性の管の端部を、前記ブラスト処理済シートの一方の主面および他方の主面の少なくとも一方から突出させてもよい。
【実施例】
【0074】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート基材上に形成したシリコーンゴムからなる厚さ25μmの第一の樹脂層の一方の面上に、複数の導電線を、向きを揃えて50μmの間隔で並列に配置した。
導電線として、真鍮からなる直径25μmの円柱状の芯線と、その芯線の外周面を覆う導電性の管である金からなる厚さ0.5μmの金属層とを有するものを用いた。
次に、複数の導電線が配置された第一の樹脂層の一方の面上に、シリコーンゴムからなる厚さ25μmの第二の樹脂層を形成し、第二の樹脂層を第一の樹脂層と一体化するとともに、第一の樹脂層と第二の樹脂層の間に導電線を固定し、導電線含有シートを形成した。
次に、導電線含有シートの200枚を、互いに導電線の長手方向の向きを揃えて、かつ積層方向に見て各導電線が重なるように積層し、導電線含有シートの積層体を形成した。
次に、切削加工により、導電線の延在する方向に対して角度90°でスライスカットし、厚さ400μmの前駆シートを得た。前駆シートは、シリコーンゴムからなるシート状の弾性体と、前記弾性体を厚さ方向に貫通する導電線とを有する。前記導電線は、弾性体を厚さ方向に貫通する貫通孔に接合されている。前駆シートの主面の厚さ方向に対して交わる導電線の延在方向の角度は約90°であった。
【0075】
続いて、前駆シートの両主面に対して、ウェットブラスト加工用の市販の加工装置を用いて、水に分散されたアルミナ粒子(平均径約20μm)を投射して、両主面に露出する導電線の先端のバリを除去するとともに、先端の周縁を面取りし、ブラスト処理済シートを得た。
続いて、ブラスト処理済シートを、硝酸を含むエッチング液に浸漬し、導電線を構成する芯線を溶解することにより、ブラスト処理済シートの両主面に露出する導電線の端部を中空化し、エッチング処理済シートを得た。エッチング処理済シートの一方の主面のSEM像を
図6に示す。
SEM像から、エッチング処理済シートの主面に露出する導電部材の端部は中空化されており、先端のバリが除去されており、先端の周縁の外側のエッジが面取りされていることが分かる。また、エッチング処理済シートの主面に、ブラスト処理による微細な凹凸が形成されていることが分かる。
【0076】
最後に、金を含むメッキ浴槽にエッチング処理済シートを浸漬し、無電解メッキすることにより、主面に露出する導電部材の先端にメッキ層からなるフランジが形成された、
図1〜3に示す電気コネクター10と同様の電気コネクターを得た。同時に参照用の金属板にもメッキを施し、金属板の表面に厚さ1μmのメッキ層が形成されるまでメッキした。ここで得た電気コネクターの一方の主面のSEM像を
図7に示す。
SEM像から、電気コネクターのフランジは、主面に露出しており、導電部材の先端よりも拡径されており、導電部材の先端の開口をなぞった中空のドーナッツ形状を有することが分かる。
【0077】
[比較例1]
実施例1と同様にして得た前駆シートを用い、ブラスト処理を行わず、前駆シートを、硝酸を含むエッチング液に浸漬し、導電線を構成する芯線を溶解することにより、前駆シートの両主面に露出する導電線の端部を中空化し、エッチング処理済シートを得た。エッチング処理済シートの一方の主面のSEM像を
図8に示す。
SEM像から、エッチング処理済シートの主面に露出する導電部材の端部は中空化されているが、先端のバリは除去されておらず、先端の周縁に鋭利なエッジが残されていることが分かる。また、エッチング処理済シートの主面は、実施例1と比べて平滑であることが分かる。
【0078】
最後に、金を含むメッキ浴槽にエッチング処理済シートを浸漬し、無電解メッキすることにより、主面に露出する導電部材の先端にメッキ層を形成し、比較例1の電気コネクターを得た。同時に参照用の金属板にもメッキを施し、金属板の表面に厚さ0.5μmのメッキ層が形成されるまでメッキした。ここで得た比較例1の電気コネクターの一方の主面のSEM像を
図9に示す。
SEM像から、比較例1の電気コネクターにおいて、メッキ層は導電部材の長手方向が伸長するように形成されているが、主面の面方向には成長せず、フランジは形成されなかった。
【0079】
[比較例2]
比較例1と同様に得たエッチング処理済シートに、無電解メッキを施し、金属板の表面に厚さ1μmのメッキ層が形成されるまでメッキしたところ、フランジは形成されず、導電部材の先端の周縁に不定形な塊様のメッキ層が形成され、先端の開口を覆う方向に成長するメッキ層もあった(不図示)。
【0080】
[比較例3]
比較例1と同様に得たエッチング処理済シートを、そのまま比較例3の電気コネクターとして用い、以下の測定を行った。
【0081】
[評価]
実施例1、比較例1〜3の電気コネクターを、疑似被検査用パッケージ(ダミーパッケージ)の複数の半田ボールに対してデイジーチェーンとなるように、複数の電極及び回路が形成された基板の上に配置した。基板上の電気コネクターの上に、半田ボールと電気コネクターが接触するように、複数の半田ボールが形成されたダミーパッケージを配置した。
ダミーパッケージは、φ0.2の半田ボールが0.3mmピッチで8×8にマトリックス上に配置しており、基板とデイジーチェーン接続できる内部回路を有するものを使用した。
φ1mmの円柱状プローブにより、ダミーパッケージを圧縮し、デイジーチェーン接続における抵抗値を測定した。
デイジーチェーン接続の最初と最後の箇所の電極から、配線を引き出し、抵抗測定器(商品名 : RM3545-01、日置電機社製)と接続した。
基板における全ての電極と ダミーパッケージにおける全ての半田ボールを電気コネクターにより電気的に直列的に接続できた場合、抵抗値が測定できるようにした。
【0082】
ダミーパッケージの押し当てを繰り返し、以下の基準で評価した。
A:10000回の圧接を繰り返しても、抵抗値が10Ω/半田ボール以下
B:抵抗値が10Ω/半田ボール以上になる圧接の繰り返し回数が、2000回超5000回以下
C:抵抗値が10Ω/半田ボール以上になる圧接の繰り返し回数が、2000回未満
【0083】
実施例1の電気コネクターの測定結果は、
図10に示す通り、1万回の圧接を繰り返しても抵抗値はほとんど変化せず、非常に優れた耐久性を示した。また、圧接に必要な荷重は小さく、デバイスの接続端子を傷付ける恐れは無かった。評価基準の判定はAであった。
比較例1の電気コネクターの測定結果は、
図11に示す通り、2000回を超える頃までは抵抗値は10Ω/半田ボール未満を維持していたが、2400回を超えた頃に急激な抵抗値の上昇を示した。電気コネクターの圧接箇所を観察したところ、導電部材の先端におけるメッキ層が破損し、導電部材の先端が弾性体の貫通孔の内部へ埋没していた。評価基準の判定はBであった。
比較例2の電気コネクターの測定結果は、比較例1と同様であった。評価基準の判定はBであった。
比較例3の電気コネクターの測定結果は、2000回未満で急激な抵抗値の上昇を示した(不図示)。電気コネクターの圧接箇所を観察したところ、導電部材の先端が弾性体の貫通孔の内部へ埋没していた。評価基準の判定はCであった。