特開2020-194747(P2020-194747A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-194747(P2020-194747A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20201106BHJP
   B21D 28/02 20060101ALI20201106BHJP
【FI】
   H01R13/11 D
   H01R13/11 K
   B21D28/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-100992(P2019-100992)
(22)【出願日】2019年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】幸松 聖児
【テーマコード(参考)】
4E048
【Fターム(参考)】
4E048BA06
(57)【要約】
【課題】スペース効率および低コストを維持したまま相手端子との接続の高信頼性を実現したフォーク端子等を提供する。
【解決手段】
フォーク端子10は、第1アーム20と第2アーム30を有する。第1アーム20は、金属板材の第1面11側からの打抜き加工により形成される。これにより、この打抜き加工により形成された第1アーム20の端面には、第1面11側にダレ面21が形成され、第2面12側に破断面23が形成される。一方、第2アーム30は、金属板材の第2面12側からの打抜き加工により形成される。これにより、この打抜き加工により形成された第2アーム30の端面には、第2面12側にダレ面31が形成され、第1面11側に破断面33が形成される。相手端子70は、フォーク端子10に対し少し斜めに挿し込まれ、第1アーム20および第2アーム30のダレ面21,31に接触する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手端子を両側から挟むようにして該相手端子と電気的に接触する2本のアームのうちの第1アームの、第1面と第2面とを繋ぐ端面が、第1面側にダレ面、第2面側に破断面を有し、
前記2本のアームのうちの第2アームの、第1面と第2面とを繋ぐ端面が、第2面側にダレ面、第1面側に破断面を有することを特徴とする平板状のフォーク端子。
【請求項2】
請求項1記載のフォーク端子を備えた第1コネクタと、
前記第1コネクタと組み合ったときに、前記第1アームおよび前記第2アーム双方の破断面との接触を避けて該第1アームおよび該第2アーム双方のダレ面に接触する相手端子を備えた第2コネクタとを有することを特徴とするコネクタ組立体。
【請求項3】
前記フォーク端子の軸と前記相手端子の軸が非直交であることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ組立体。
【請求項4】
板材を、該板材の第1面側から打ち抜いて、相手端子を両側から挟むようにして該相手端子と電気的に接触するフォーク端子を構成する2本のアームのうちの第1アームを形成し、
前記板材を、該板材の第2面側から打ち抜いて、前記2本のアームのうちの第2アームを形成することを特徴とするフォーク端子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本のアームを有し、それら2本のアームで相手端子を両側から挟むようにして該相手端子と電気的に接触するフォーク端子(音叉端子)、およびその製造方法に関する。また、本発明は、そのフォーク端子を備えたコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2本のアームで相手端子を両側から挟むようにして該相手端子と電気的に接触するフォーク端子が知られている。このフォーク端子は、通常、金属板材の打抜き加工を経て製造される。打抜き加工を行ったままだと、その打抜きにより形成された端面に、丸みを帯びたダレ面(プレス面)と、引っ張り力により破壊された破断面が形成される。破断面は凹凸が激しくざらついていて、相手コネクタが破断面に接すると接触不良をもたらしたり、あるいはメッキされた相手端子のメッキが剥がれたりするおそれがあり、接触の信頼性が低下する。
【0003】
特許文献1には、打抜き加工の後に折曲げ加工を行うことにより製造されるフォーク端子が開示されている。このフォーク端子の場合、折曲げ加工により、打抜き加工による破断面が相手端子と接触することを避けている。
【0004】
また、特許文献2には、打抜き加工の後、鍛造加工により、破断面だった面を相手端子との接触に適した面に仕上げたフォーク端子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−326010号公報
【特許文献2】特開2007−184300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上掲の特許文献1のフォーク端子の場合、折曲げ加工によりフォーク端子の厚み方向の寸法が増加する。このことが、複数のフォーク端子を密に並べる際、あるいはフォーク端子を備えたコネクタを密に並べる際の支障となり、スペース効率が悪化するおそれがある。
【0007】
また、上掲の特許文献2のフォーク端子の場合、打抜き加工の後に複雑な鍛造加工を行なう必要があり、工程数が多く、製造コストを押し上げるおそれがある。
【0008】
本発明は、スペース効率および低コスト化を維持したまま相手端子との高接信頼性を実現したフォーク端子、コネクタ組立体、およびフォーク端子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のフォーク端子は、
相手端子を両側から挟むようにして相手端子と電気的に接触する2本のアームのうちの第1アームの、第1面と第2面とを繋ぐ端面が、第1面側にダレ面、第2面側に破断面を有し、
上記2本のアームのうちの第2アームの、第1面と第2面とを繋ぐ端面が、第2面側にダレ面、第1面側に破断面を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のコネクタ組立体は、
本発明のフォーク端子を備えた第1コネクタと、
第1コネクタと組み合ったときに、上記フォーク端子の第1アームおよび第2アーム双方の破断面との接触を避けてそれら第1アームおよび第2アーム双方のダレ面に接触する相手端子を備えた第2コネクタとを有することを特徴とする。
【0011】
ここで、本発明のコネクタ組立体において、前記フォーク端子の軸と前記相手端子の軸が非直交であることが好ましい。
【0012】
また、本発明のフォーク端子の製造方法は、
板材を、その板材の第1面側から打ち抜いて、相手端子を両側から挟むようにして相手端子と電気的に接触するフォーク端子を構成する2本のアームのうちの第1アームを形成し、
上記板材を、その板材の第2面側から打ち抜いて、上記2本のアームのうちの第2アームを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフォーク端子の場合、打抜き加工後における、相手端子との接触部を形成するための折曲げ加工は不要である。したがって、本発明のフォーク端子の場合、上掲の特許文献1のフォーク端子と比べ、スペース効率がよい。
【0014】
また、本発明のフォーク端子の場合、打抜き加工後における鍛造加工は不要である。したがって、本発明のフォーク端子の場合、上掲の特許文献2のフォーク端子と比べ、低コスト化が実現する。
【0015】
また、本発明のコネクタ組立体の場合、本発明のフォーク端子が破断面を有するにもかかわらず、そのフォーク端子と相手端子との間の信頼性の高い接触が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態としてのフォーク端子の斜視図である。
図2図1に斜視図を示したフォーク端子を第1面側からみて示した側面図である。
図3図2に示した矢印A−Aに沿う断面図である。
図4】本発明の一実施形態としてのコネクタ組立体を示した図である。
図5】フォーク端子と相手端子とが接続された状態を、第1面側から見て示した側面図である。
図6図5に示した矢印B−Bに沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態としてのフォーク端子の斜視図である。
【0019】
また、図2は、図1に斜視図を示したフォーク端子を第1面側からみて示した側面図である。
【0020】
さらに、図3は、図2に示した矢印A−Aに沿う断面図である。
【0021】
このフォーク端子10は、第1アーム20と第2アーム30との2本のアームを有する。これら第1アーム20と第2アーム30は、後述する図4に示すように、雄型の相手端子70を両側から挟んで、相手端子70と電気的に接触する。このフォーク端子10は弾性を有する金属板を打抜き加工して製造される。
【0022】
ここで、これら2本のアームのうちの第1アーム20は、金属板の第1面11側からその裏面の第2面12(図3参照)に向かって打ち抜かれることにより形成される。このため、この第1アーム20の、打抜きにより形成された端面には、第1面11側にダレ面21が形成される。このダレ面21は、打抜き加工の際に、このフォーク端子の材料である金属がその延性により引き延ばされた面であり、滑らかな、丸みを帯びた形状を有する。この第1アーム20の、打抜きにより形成された端面には、ダレ面よりも第2面12側にせん断面22を有し、そのせん断面22よりもさらに第2面側12側が破断面23となっている。ただし、図面上では、せん断面22と破断面23との間の境界線は図示を省略している。せん断面22は、打抜き加工の際のプレス圧により切断された面である。また、破断面23は、引っ張り力により破壊された面であって、むしり取られたような激しい凹凸のある面である。ダレ面21は、相手端子70との接触による電気的な接続に最も適した面である。一方、破断面23は、凹凸が激しく、相手端子70との電気的な接続には好適ではない面である。
【0023】
また、フォーク端子10を構成する2本のアームのうちの第2アーム30は、金属板の第2面12側から第1面11に向かって打ち抜かれることにより形成される。このため、この第2アーム20の、打抜きにより形成された端面には、第2面11側にダレ面31、そのダレ面31よりも第1面側にせん断面32、さらに、そのせん断面32よりもさらに第1面側11側に破断面33が形成されている。ただし、図面上では、せん断面32と破断面33との間の境界線は図示を省略している。
【0024】
図4は、本発明の一実施形態としてのコネクタ組立体を示した図である。
【0025】
また、図5は、フォーク端子と相手端子とが接続された状態を、第1面側から見て示した側面図である。
【0026】
さらに、図6は、図5に示した矢印B−Bに沿う断面図である。
【0027】
図4には、図1に示したフォーク端子10を備えた第1コネクタ100と、相手端子70を備えた第2コネクタ200とが嵌合した状態が示されている。ただし、第1コネクタ100のハウジング50および第2コネクタ200のハウジング60は、それらの概要のみが一点鎖線で示されている。
【0028】
第1コネクタ100と第2コネクタ200が嵌合すると、フォーク端子10の第1アーム20と第2アーム30との間に、相手端子70が入り込む。そして、その相手端子70がフォーク端子10の第1アーム20と第2アーム30とで挟まれた状態となる。
【0029】
このとき、図6に示すように、相手端子70は、フォーク端子10の第1アーム20と第2アーム30との間に斜めに入り込む。これは、相手端子70が斜めに入り込んでもよいし、フォーク端子10が斜めであってもよいし、また、双方が斜めであってもよい。そして、この相手端子70は、第1アーム20および第2アーム30の破断面23,33との接触を避け、第1アーム20および第2アーム30のダレ面21,31に接触する。これにより、フォーク端子10と相手端子70は、高い信頼性をもって電気的に導通する。
【符号の説明】
【0030】
10 フォーク端子(音叉端子)
11 第1面
12 第2面
20 第1アーム
21 ダレ面(プレス面)
22 せん断面
23 破断面
30 第2アーム
31 ダレ面(プレス面)
32 せん断面
33 破断面
50 第1ハウジング
60 第2ハウジング
70 相手端子
100 第1コネクタ
200 第2コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2020年9月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手端子を両側から挟むようにして該相手端子と電気的に接触する2本のアームのうちの第1アームの、第1面と第2面とを繋ぐ端面が、第1面側にダレ面、第2面側に破断面を有し、該2本のアームのうちの第2アームの、第1面と第2面とを繋ぐ端面が、第2面側にダレ面、第1面側に破断面を有する平板状のフォーク端子を備えた第1コネクタと、
前記フォーク端子の、前記2本のアームの整列方向に平行な軸と、前記相手端子の、幅方向に平行な軸が非直交であって、前記第1コネクタと組み合ったときに、前記第1アームおよび前記第2アーム双方の破断面との接触を避けて該第1アームおよび該第2アーム双方のダレ面に接触する相手端子を備えた第2コネクタとを有し、
前記2本のアームが、前記第1コネクタと前記第2コネクタが組み合うことで弾性変形することなく組み合う前と同一の形状を維持しながら前記相手端子と接触することを特徴とするコネクタ組立体。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、2本のアームを有し、それら2本のアームで相手端子を両側から挟むようにして該相手端子と電気的に接触するフォーク端子(音叉端子)を備えたコネクタ組立体に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、スペース効率および低コスト化を維持したまま相手端子との高信頼性を実現したフォーク端子を備えたコネクタ組立体を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記目的を達成する本発明のフォーク端子は、
相手端子を両側から挟むようにして相手端子と電気的に接触する2本のアームのうちの第1アームの、第1面と第2面とを繋ぐ端面が、第1面側にダレ面、第2面側に破断面を有し2本のアームのうちの第2アームの、第1面と第2面とを繋ぐ端面が、第2面側にダレ面、第1面側に破断面を有する平板状のフォーク端子を備えた第1コネクタと、
フォーク端子の、2本のアームの整列方向に平行な軸と、相手端子の、幅方向に平行な軸が非直交であって、第1コネクタと組み合ったときに、第1アームおよび第2アーム双方の破断面との接触を避けて第1アームおよび第2アーム双方のダレ面に接触する相手端子を備えた第2コネクタとを有し、
上記2本のアームが、第1コネクタと第2コネクタが組み合うことで弾性変形することなく組み合う前と同一の形状を維持しながら相手端子と接触することを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明のコネクタ組立体を構成するフォーク端子の場合、打抜き加工後における、相手端子との接触部を形成するための折曲げ加工は不要である。したがって、本発明のコネクタ組立体を構成するフォーク端子の場合、上掲の特許文献1のフォーク端子と比べ、スペース効率がよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、本発明のコネクタ組立体を構成するフォーク端子の場合、打抜き加工後における鍛造加工は不要である。したがって、本発明のコネクタ組立体を構成するフォーク端子の場合、上掲の特許文献2のフォーク端子と比べ、低コスト化が実現する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、本発明のコネクタ組立体の場合、フォーク端子が破断面を有するにもかかわらず、そのフォーク端子と相手端子との間の信頼性の高い接触が実現する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
図1】本発明の一実施形態のコネクタ組立体に備えられているフォーク端子の斜視図である。
図2図1に斜視図を示したフォーク端子を第1面側からみて示した側面図である。
図3図2に示した矢印A−Aに沿う断面図である。
図4】本発明の一実施形態としてのコネクタ組立体を示した図である。
図5】フォーク端子と相手端子とが接続された状態を、第1面側から見て示した側面図である。
図6図5に示した矢印B−Bに沿う断面図である。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態のコネクタ組立体に備えられているフォーク端子の斜視図である。