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特開2020-194907昇華性物質含有液の製造方法、基板乾燥方法、および基板処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-194907(P2020-194907A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】昇華性物質含有液の製造方法、基板乾燥方法、および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20201106BHJP
【FI】
   H01L21/304 647A
   H01L21/304 651B
   H01L21/304 651Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2019-100140(P2019-100140)
(22)【出願日】2019年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾辻 正幸
(72)【発明者】
【氏名】藤原 直澄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 悠太
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB44
5F157AB90
5F157AC03
5F157AC26
5F157BB23
5F157BB45
5F157BC55
5F157BF02
5F157BF22
5F157BF23
5F157BF32
5F157BF33
5F157BF34
5F157BF38
5F157BF48
5F157CB03
5F157CB14
5F157CB15
5F157CB22
5F157CD14
5F157CE51
5F157CE61
5F157CF22
5F157DA21
5F157DB33
(57)【要約】
【課題】パターンに対する親和性が適切である溶媒を含む昇華性物質含有液を製造できる昇華性物質含有液の製造方法を提供する。
【解決手段】パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであるかに基づいて昇華性物質を選択する。パターンの表面が親水性である場合、選択された昇華性物質よりも水に対する溶解度が小さい親水用の溶媒を選択し、パターンの表面が疎水性である場合、選択された昇華性物質よりも油に対する溶解度が小さい疎水用の溶媒を選択する。選択された溶媒に選択された昇華性物質を溶解させる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成された基板の表面を乾燥させるときに前記基板から除去される昇華性物質含有液を製造する方法であって、
前記パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであるかに基づいて昇華性物質を選択する昇華性物質選択工程と、
前記パターンの前記表面が親水性である場合、前記昇華性物質選択工程で選択された前記昇華性物質よりも水に対する溶解度が小さい親水用の溶媒を選択し、前記パターンの前記表面が疎水性である場合、前記昇華性物質選択工程で選択された前記昇華性物質よりも油に対する溶解度が小さい疎水用の溶媒を選択する溶媒選択工程と、
前記溶媒選択工程で選択された前記溶媒に、前記昇華性物質選択工程で選択された前記昇華性物質を溶解させる溶解工程と、を含む、昇華性物質含有液の製造方法。
【請求項2】
親水部および疎水部が前記パターンの前記表面に含まれており、前記パターンの側面の上端部が親水性であるときは、前記昇華性物質および溶媒を選択する前に、前記パターンの前記表面が親水性であるとみなし、前記親水部および疎水部が前記パターンの前記表面に含まれており、前記パターンの前記側面の前記上端部が疎水性であるときは、前記昇華性物質および溶媒を選択する前に、前記パターンの前記表面が疎水性であるとみなす性質判断工程をさらに含む、請求項1に記載の昇華性物質含有液の製造方法。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか一項に記載の昇華性物質含有液の製造方法によって製造された昇華性物質含有液を基板の表面に供給する昇華性物質含有液供給工程と、
前記基板の前記表面上の前記昇華性物質含有液から溶媒を蒸発させることにより、昇華性物質を含む固化膜を前記基板の前記表面に形成する固化膜形成工程と、
前記固化膜を昇華させることにより、前記基板の前記表面から前記固化膜を除去する昇華工程とを含む、基板乾燥方法。
【請求項4】
パターンが形成された基板の表面を乾燥させる基板乾燥方法であって、
前記パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであるかに基づいて昇華性物質を選択する昇華性物質選択工程と、
前記パターンの前記表面が親水性である場合、前記昇華性物質選択工程で選択された前記昇華性物質よりも水に対する溶解度が小さい親水用の溶媒を選択し、前記パターンの前記表面が疎水性である場合、前記昇華性物質選択工程で選択された前記昇華性物質よりも油に対する溶解度が小さい疎水用の溶媒を選択する溶媒選択工程と、
前記溶媒選択工程で選択された前記溶媒に、前記昇華性物質選択工程で選択された前記昇華性物質を溶解させることにより、前記昇華性物質および溶媒を含む昇華性物質含有液を製造する溶解工程と、
前記溶解工程で製造された前記昇華性物質含有液を前記基板の前記表面に供給する昇華性物質含有液供給工程と、
前記基板の前記表面上の前記昇華性物質含有液から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質を含む固化膜を前記基板の前記表面に形成する固化膜形成工程と、
前記固化膜を昇華させることにより、前記基板の前記表面から前記固化膜を除去する昇華工程とを含む、基板乾燥方法。
【請求項5】
親水部および疎水部が前記パターンの前記表面に含まれており、前記パターンの側面の上端部が親水性であるときは、前記昇華性物質および溶媒を選択する前に、前記パターンの前記表面が親水性であるとみなし、前記親水部および疎水部が前記パターンの前記表面に含まれており、前記パターンの前記側面の前記上端部が疎水性であるときは、前記昇華性物質および溶媒を選択する前に、前記パターンの前記表面が疎水性であるとみなす性質判断工程をさらに含む、請求項4に記載の基板乾燥方法。
【請求項6】
パターンが形成された基板の表面を乾燥させる基板処理装置であって、
前記パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであるかに基づいて昇華性物質を選択する昇華性物質選択手段と、
前記パターンの前記表面が親水性である場合、前記昇華性物質選択手段によって選択された前記昇華性物質よりも水に対する溶解度が小さい親水用の溶媒を選択し、前記パターンの前記表面が疎水性である場合、前記昇華性物質選択手段によって選択された前記昇華性物質よりも油に対する溶解度が小さい疎水用の溶媒を選択する溶媒選択手段と、
前記溶媒選択手段によって選択された前記溶媒に、前記昇華性物質選択手段によって選択された前記昇華性物質を溶解させることにより、前記昇華性物質および溶媒を含む昇華性物質含有液を製造する溶解手段と、
前記溶解手段によって製造された前記昇華性物質含有液を前記基板の前記表面に供給する昇華性物質含有液供給手段と、
前記基板の前記表面上の前記昇華性物質含有液から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質を含む固化膜を前記基板の前記表面に形成する固化膜形成手段と、
前記固化膜を昇華させることにより、前記基板の前記表面から前記固化膜を除去する昇華手段とを含む、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンが形成された基板の表面を乾燥させるときに基板から除去される昇華性物質含有液を製造する方法に関する。本発明は、さらに、基板を乾燥させる基板乾燥方法および基板処理装置に関する。基板には、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置や有機EL(electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置やFPDなどの製造工程では、半導体ウエハやFPD用ガラス基板などの基板に対して必要に応じた処理が行われる。このような処理には、薬液やリンス液などの処理液を基板に供給することが含まれる。処理液が供給された後は、処理液を基板から除去し、基板を乾燥させる。
基板の表面にパターンが形成されている場合、基板を乾燥させるときに、基板に付着している処理液の表面張力に起因する力がパターンに加わり、パターンが倒壊することがある。その対策として、IPA(イソプロピルアルコール)などの表面張力が低い液体を基板に供給したり、パターンに対する液体の接触角を90度に近づける疎水化剤を基板に供給したりする方法が採られる。しかしながら、IPAや疎水化剤を用いたとしても、パターンを倒壊させる倒壊力が零にはならないので、パターンの強度によっては、これらの対策を行ったとしても、十分にパターンの倒壊を防止できない場合がある。
【0003】
近年、パターンの倒壊を防止する技術として昇華乾燥が注目されている。例えば特許文献1には、昇華乾燥を行う基板乾燥方法および基板処理装置が開示されている。特許文献1には、昇華性物質(溶質)としてのケイフッ化アンモニウムを、純水(DIW)、または、DIWとIPA(イソプロピルアルコール)との混合液に溶解させることと、昇華性物質(溶質)としての樟脳またはナフタレンを、IPAなどのアルコール類に溶解させることが開示されている。
【0004】
特許文献1には、また、SiN膜にパターンを形成した後、昇華性物質の溶液を基板に供給することと、フォトレジスト膜にパターンを形成した後、昇華性物質の溶液を基板に供給することが開示されている。昇華性物質の溶液が基板に供給された後は、固体の昇華性物質からなる膜が形成される。その後、基板は、液処理ユニットからホットプレートユニットに搬送される。基板は、ホットプレートユニットで昇華性物質の昇華温度より高い温度で加熱される。これにより、昇華性物質が昇華し、基板から除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018−139331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らの研究によると、昇華乾燥においてパターンの倒壊率を低下させるために、溶媒とパターンとの親和性を考慮することも重要であることが分かった。
具体的には、パターンの表面に対する溶媒の親和性が高いと、溶媒がパターンの表面に保持され易い。そのため、昇華性物質を含む固化膜を形成した後も多くの溶媒がパターンの間に残る場合がある。例えば、パターンの表面が親水性であり、溶媒の親水性が高いと、固化膜を形成した後も多くの溶媒がパターンの間に残ると考えられる。この場合、パターンの間が溶媒を含む液体で満たされたまま、固化膜がパターンの上方に形成されると考えられる(図8B参照)。
【0007】
固化膜を形成した後に溶媒を含む液体がパターンの間に残ると、溶媒の表面張力に起因する力がパターンに加わる。パターンの強度が低いと、このような力でもパターンが倒壊してしまう。したがって、溶媒は、パターンの表面に対する親和性が低いことも求められる。特許文献1では、このような点が全く考慮されていない。つまり、本発明者らは、パターンに対する親和性が適切ではない溶媒が昇華性物質含有液に含まれていると、パターンの倒壊率を十分に低下させることができないという新規な課題を見つけ出した。
【0008】
そこで、本発明の目的は、パターンに対する親和性が適切である溶媒を含む昇華性物質含有液を製造できる昇華性物質含有液の製造方法を提供することである。本発明の他の目的は、このような昇華性物質含有液を用いて基板を乾燥させることができる基板乾燥方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、パターンが形成された基板の表面を乾燥させるときに前記基板から除去される昇華性物質含有液を製造する方法であって、前記パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであるかに基づいて昇華性物質を選択する昇華性物質選択工程と、前記パターンの前記表面が親水性である場合、前記昇華性物質選択工程で選択された前記昇華性物質よりも水に対する溶解度が小さい親水用の溶媒を選択し、前記パターンの前記表面が疎水性である場合、前記昇華性物質選択工程で選択された前記昇華性物質よりも油に対する溶解度が小さい疎水用の溶媒を選択する溶媒選択工程と、前記溶媒選択工程で選択された前記溶媒に、前記昇華性物質選択工程で選択された前記昇華性物質を溶解させる溶解工程と、を含む、昇華性物質含有液の製造方法である。
【0010】
この方法では、昇華性物質および溶媒を含む昇華性物質含有液を製造する。昇華性物質含有液は、パターンが形成された基板の表面に供給され、その後、基板から除去される。これにより、基板が乾燥する。昇華性物質含有液を基板から除去するときは、例えば、基板の表面上の昇華性物質含有液から溶媒を蒸発させる。これにより、昇華性物質を含む固化膜が基板の表面に形成される。その後、固化膜を昇華させ、基板の表面から除去する。これにより、昇華性物質含有液が基板から除去される。
【0011】
パターンの表面が親水性である場合、昇華性物質よりも水に対する溶解度が小さい溶媒が昇華性物質含有液に含まれる。パターンの表面が親水性であり、溶媒の親水性が高いと、溶媒がパターンの表面に保持され易いので、固化膜を形成した後も多くの溶媒がパターンの間に残る。この場合、パターンを倒壊させる倒壊力が、溶媒からパターンに加わる。親水性が低い溶媒を用いれば、固化膜を形成した後にパターンの間に残る溶媒を零またはこれに近い値まで減らすことができる。
【0012】
パターンの表面が疎水性である場合は、昇華性物質よりも油に対する溶解度が小さい溶媒が昇華性物質含有液に含まれる。パターンの表面が疎水性であり、溶媒の疎水性が高いと、溶媒がパターンの表面に保持され易いので、固化膜を形成した後も多くの溶媒がパターンの間に残る。この場合、パターンを倒壊させる倒壊力が、溶媒からパターンに加わる。疎水性が低い溶媒を用いれば、固化膜を形成した後にパターンの間に残る溶媒を零またはこれに近い値まで減らすことができる。
【0013】
このように、パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであっても、昇華性物質含有液に含まれる溶媒は、昇華性物質含有液に含まれる昇華性物質よりもパターンの表面に対する親和性が低い。したがって、固化膜を形成した後にパターンの間に残る溶媒を減らすことができ、固化膜を形成しているときや形成した後にパターンに加わる倒壊力を弱めることができる。そのため、パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであっても低いパターンの倒壊率で基板を乾燥させる昇華性物質含有液を製造できる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、親水部および疎水部が前記パターンの前記表面に含まれており、前記パターンの側面の上端部が親水性であるときは、前記昇華性物質および溶媒を選択する前に、前記パターンの前記表面が親水性であるとみなし、前記親水部および疎水部が前記パターンの前記表面に含まれており、前記パターンの前記側面の前記上端部が疎水性であるときは、前記昇華性物質および溶媒を選択する前に、前記パターンの前記表面が疎水性であるとみなす性質判断工程をさらに含む、請求項1に記載の昇華性物質含有液の製造方法である。
【0015】
この方法では、親水部および疎水部がパターンの表面に含まれる場合、パターンの側面の上端部が親水性であれば、パターンの表面が親水性であるとみなす。親水部および疎水部がパターンの表面に含まれる場合、パターンの側面の上端部が疎水性であれば、パターンの表面が疎水性であるとみなす。つまり、パターンの側面の上端部の性質に基づいて、パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであるかを判断する。
【0016】
隣接する2つの凸状パターンの間に液面(気体と液体との界面)が形成されると、表面張力に起因する倒壊力がパターンに加わる。この倒壊力は、パターンの根本から液面までの距離が増加するにしたがって増加する。したがって、隣接する2つの凸状パターンの間に液面が形成されても、パターンの根本(下端)から液面までの距離が短ければ、パターンに加わる倒壊力は弱い。
【0017】
親水部および疎水部がパターンの表面に含まれており、パターンの側面の上端部が親水性であるときに、パターンの表面が疎水性であるとみなすと、固化膜を形成した後に溶媒の液面がパターンの側面の上端部に形成され、大きな倒壊力がパターンに加わるかもしれない。パターンの表面が親水性であるとみなせば、溶媒の液面がパターンの間に形成されても、溶媒の液面は、パターンの根本側に配置される。これにより、パターンの根本から液面までの距離を短縮することができる。
【0018】
同様の理由により、親水部および疎水部がパターンの表面に含まれており、パターンの側面の上端部が疎水性であるときに、パターンの表面が疎水性であるとみなせば、溶媒の液面がパターンの間に形成されても、パターンの根本から液面までの距離を短縮することができる。これにより、パターンに加わる倒壊力を弱め、パターンの倒壊率を低下させる昇華性物質含有液を製造できる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1〜2のいずれか一項に記載の昇華性物質含有液の製造方法によって製造された昇華性物質含有液を基板の表面に供給する昇華性物質含有液供給工程と、前記基板の前記表面上の前記昇華性物質含有液から溶媒を蒸発させることにより、昇華性物質を含む固化膜を前記基板の前記表面に形成する固化膜形成工程と、前記固化膜を昇華させることにより、前記基板の前記表面から前記固化膜を除去する昇華工程とを含む、基板乾燥方法である。
【0020】
この方法では、溶質に相当する昇華性物質と溶媒とを含む昇華性物質含有液を、パターンが形成された基板の表面に供給する。その後、昇華性物質含有液から溶媒を蒸発させる。これにより、昇華性物質を含む固化膜が基板の表面上に形成される。その後、基板上の固化膜を液体を経ずに気体に変化させる。これにより、固化膜が基板の表面から除去される。したがって、スピンドライなどの従来の乾燥方法に比べて、パターンの倒壊率を低下させることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、パターンが形成された基板の表面を乾燥させる基板乾燥方法であって、前記パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであるかに基づいて昇華性物質を選択する昇華性物質選択工程と、前記パターンの前記表面が親水性である場合、前記昇華性物質選択工程で選択された前記昇華性物質よりも水に対する溶解度が小さい親水用の溶媒を選択し、前記パターンの前記表面が疎水性である場合、前記昇華性物質選択工程で選択された前記昇華性物質よりも油に対する溶解度が小さい疎水用の溶媒を選択する溶媒選択工程と、前記溶媒選択工程で選択された前記溶媒に、前記昇華性物質選択工程で選択された前記昇華性物質を溶解させることにより、前記昇華性物質および溶媒を含む昇華性物質含有液を製造する溶解工程と、前記溶解工程で製造された前記昇華性物質含有液を前記基板の前記表面に供給する昇華性物質含有液供給工程と、前記基板の前記表面上の前記昇華性物質含有液から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質を含む固化膜を前記基板の前記表面に形成する固化膜形成工程と、前記固化膜を昇華させることにより、前記基板の前記表面から前記固化膜を除去する昇華工程とを含む、基板乾燥方法である。
【0022】
この方法では、溶質に相当する昇華性物質と溶媒とを含む昇華性物質含有液を製造し、製造された昇華性物質含有液をパターンが形成された基板の表面に供給する。その後、昇華性物質含有液から溶媒を蒸発させる。これにより、昇華性物質を含む固化膜が基板の表面上に形成される。その後、基板上の固化膜を液体を経ずに気体に変化させる。これにより、固化膜が基板の表面から除去される。したがって、スピンドライなどの従来の乾燥方法に比べて、パターンの倒壊率を低下させることができる。
【0023】
パターンの表面が親水性である場合、昇華性物質よりも水に対する溶解度が小さい溶媒が昇華性物質含有液に含まれる。パターンの表面が親水性であり、溶媒の親水性が高いと、溶媒がパターンの表面に保持され易いので、固化膜を形成した後も多くの溶媒がパターンの間に残る。この場合、パターンを倒壊させる倒壊力が、溶媒からパターンに加わる。親水性が低い溶媒を用いれば、固化膜を形成した後にパターンの間に残る溶媒を零またはこれに近い値まで減らすことができる。
【0024】
パターンの表面が疎水性である場合は、昇華性物質よりも油に対する溶解度が小さい溶媒が昇華性物質含有液に含まれる。パターンの表面が疎水性であり、溶媒の疎水性が高いと、溶媒がパターンの表面に保持され易いので、固化膜を形成した後も多くの溶媒がパターンの間に残る。この場合、パターンを倒壊させる倒壊力が、溶媒からパターンに加わる。疎水性が低い溶媒を用いれば、固化膜を形成した後にパターンの間に残る溶媒を零またはこれに近い値まで減らすことができる。
【0025】
このように、パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであっても、昇華性物質含有液に含まれる溶媒は、昇華性物質含有液に含まれる昇華性物質よりもパターンの表面に対する親和性が低い。したがって、固化膜を形成した後にパターンの間に残る溶媒を減らすことができ、固化膜を形成しているときや形成した後にパターンに加わる倒壊力を弱めることができる。そのため、パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであっても低いパターンの倒壊率で基板を乾燥させることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明は、親水部および疎水部が前記パターンの前記表面に含まれており、前記パターンの側面の上端部が親水性であるときは、前記昇華性物質および溶媒を選択する前に、前記パターンの前記表面が親水性であるとみなし、前記親水部および疎水部が前記パターンの前記表面に含まれており、前記パターンの前記側面の前記上端部が疎水性であるときは、前記昇華性物質および溶媒を選択する前に、前記パターンの前記表面が疎水性であるとみなす性質判断工程をさらに含む、請求項4に記載の基板乾燥方法である。
【0027】
この方法では、親水部および疎水部がパターンの表面に含まれる場合、パターンの側面の上端部が親水性であれば、パターンの表面が親水性であるとみなす。親水部および疎水部がパターンの表面に含まれる場合、パターンの側面の上端部が疎水性であれば、パターンの表面が疎水性であるとみなす。つまり、パターンの側面の上端部の性質に基づいて、パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであるかを判断する。
【0028】
隣接する2つの凸状パターンの間に液面(気体と液体との界面)が形成されると、表面張力に起因する倒壊力がパターンに加わる。この倒壊力は、パターンの根本から液面までの距離が増加するにしたがって増加する。したがって、隣接する2つの凸状パターンの間に液面が形成されても、パターンの根本(下端)から液面までの距離が短ければ、パターンに加わる倒壊力は弱い。
【0029】
親水部および疎水部がパターンの表面に含まれており、パターンの側面の上端部が親水性であるときに、パターンの表面が疎水性であるとみなすと、固化膜を形成した後に溶媒の液面がパターンの側面の上端部に形成され、大きな倒壊力がパターンに加わるかもしれない。パターンの表面が親水性であるとみなせば、溶媒の液面がパターンの間に形成されても、溶媒の液面は、パターンの根本側に配置される。これにより、パターンの根本から液面までの距離を短縮することができる。
【0030】
同様の理由により、親水部および疎水部がパターンの表面に含まれており、パターンの側面の上端部が疎水性であるときに、パターンの表面が疎水性であるとみなせば、溶媒の液面がパターンの間に形成されても、パターンの根本から液面までの距離を短縮することができる。これにより、パターンに加わる倒壊力を弱めることができ、パターンの倒壊率を低下させることができる。
【0031】
請求項6に記載の発明は、パターンが形成された基板の表面を乾燥させる基板処理装置であって、前記パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであるかに基づいて昇華性物質を選択する昇華性物質選択手段と、前記パターンの前記表面が親水性である場合、前記昇華性物質選択手段によって選択された前記昇華性物質よりも水に対する溶解度が小さい親水用の溶媒を選択し、前記パターンの前記表面が疎水性である場合、前記昇華性物質選択手段によって選択された前記昇華性物質よりも油に対する溶解度が小さい疎水用の溶媒を選択する溶媒選択手段と、前記溶媒選択手段によって選択された前記溶媒に、前記昇華性物質選択手段によって選択された前記昇華性物質を溶解させることにより、前記昇華性物質および溶媒を含む昇華性物質含有液を製造する溶解手段と、前記溶解手段によって製造された前記昇華性物質含有液を前記基板の前記表面に供給する昇華性物質含有液供給手段と、前記基板の前記表面上の前記昇華性物質含有液から前記溶媒を蒸発させることにより、前記昇華性物質を含む固化膜を前記基板の前記表面に形成する固化膜形成手段と、前記固化膜を昇華させることにより、前記基板の前記表面から前記固化膜を除去する昇華手段とを含む、基板処理装置である。この構成によれば、前述の基板乾燥方法と同様の効果を奏することができる。
【0032】
パターンの表面が親水性および疎水性のいずれであるかは、昇華性物質含有液が基板の表面に最初に接触するときのパターンの表面の性質(親水性または疎水性)に基づいて判断すればよい。例えば、昇華性物質含有液が供給される前に薬液が基板の表面に供給されると、パターンの表面が、親水性および疎水性の一方から、親水性および疎水性の他方に変化する場合がある。このような場合、薬液が供給された後のパターンの表面の性質に基づいて昇華性物質および溶媒を選択すればよい。
【0033】
選択された前記昇華性物質が選択された前記溶媒に溶けないまたは溶けにくい場合、前記溶解工程は、選択された前記昇華性物質と、選択された前記溶媒と、親水基および疎水基の両方を含む両親媒性分子と、を混合することにより、選択された前記溶媒に選択された前記昇華性物質を溶解させる両親媒性分子追加工程を含んでいてもよい。前記溶解手段は、選択された前記昇華性物質と、選択された前記溶媒と、親水基および疎水基の両方を含む両親媒性分子と、を混合することにより、選択された前記溶媒に選択された前記昇華性物質を溶解させる両親媒性分子追加手段を含んでいてもよい。これらの場合、溶媒は、両親媒性分子に溶け、昇華性物質は、溶媒および両親媒性分子の混合液に溶ける。したがって、昇華性物質が溶媒に溶けないまたは溶け難くても、昇華性物質および溶媒を含む昇華性物質含有液を製造できる。
【0034】
前記昇華性物質選択工程は、前記パターンの前記表面が親水性である場合、親水基を含む前記昇華性物質を選択し、前記パターンの前記表面が疎水性である場合、疎水基を含む前記昇華性物質を選択する工程であってもよい。前記昇華性物質選択手段は、前記パターンの前記表面が親水性である場合、親水基を含む前記昇華性物質を選択し、前記パターンの前記表面が疎水性である場合、疎水基を含む前記昇華性物質を選択する手段であってもよい。これらの場合、パターンの表面に対して親和性が高い昇華性物質を含む昇華性物質含有液を製造できる。したがって、固化膜を形成した後にパターンの間に残留する溶媒をさらに減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1A】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置を上から見た模式図である。
図1B】基板処理装置を側方から見た模式図である。
図2】基板処理装置に備えられた処理ユニットの内部を水平に見た模式図である。
図3】基板処理装置に備えられた昇華性物質含有液供給ユニットを示す模式図である。
図4】基板処理装置で処理される基板の断面の例を示す断面図である。
図5】制御装置のハードウェアを示すブロック図である。
図6】基板処理装置によって行われる基板の処理の一例について説明するための工程図である。
図7A図6に示す基板の処理において、昇華性物質含有液を基板の上面に供給してから、固化膜を基板の上面から除去するまでの間に発生すると想定される現象について説明するための模式図である。
図7B】同現象について説明するための模式図である。
図7C】同現象について説明するための模式図である。
図7D】同現象について説明するための模式図である。
図7E】同現象について説明するための模式図である。
図7F】同現象について説明するための模式図である。
図8A図6に示す基板の処理において、昇華性物質含有液を基板の上面に供給してから、固化膜を基板の上面から除去するまでの間に発生すると想定される現象について説明するための模式図である。
図8B】同現象について説明するための模式図である。
図8C】同現象について説明するための模式図である。
図8D】同現象について説明するための模式図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置に備えられた昇華性物質含有液供給ユニットを示す模式図である。
図10図6に示す昇華性物質含有液供給工程の他の例について説明するための工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
以下の説明において、基板処理装置1内の気圧は、特に断りがない限り、基板処理装置1が設置されるクリーンルーム内の気圧(例えば1気圧またはその近傍の値)に維持されているものとする。
図1Aは、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1を上から見た模式図である。図1Bは、基板処理装置1を側方から見た模式図である。
【0037】
図1Aに示すように、基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、基板Wを収容するキャリアCAを保持するロードポートLPと、ロードポートLP上のキャリアCAから搬送された基板Wを処理液や処理ガスなどの処理流体で処理する複数の処理ユニット2と、ロードポートLP上のキャリアCAと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットと、基板処理装置1を制御する制御装置3とを備えている。
【0038】
搬送ロボットは、ロードポートLP上のキャリアCAに対して基板Wの搬入および搬出を行うインデクサロボットIRと、複数の処理ユニット2に対して基板Wの搬入および搬出を行うセンターロボットCRとを含む。インデクサロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送し、センターロボットCRは、インデクサロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、基板Wを支持するハンドH1を含み、インデクサロボットIRは、基板Wを支持するハンドH2を含む。
【0039】
複数の処理ユニット2は、平面視でセンターロボットCRのまわりに配置された複数のタワーTWを形成している。図1Aは、4つのタワーTWが形成されている例を示している。センターロボットCRは、いずれのタワーTWにもアクセス可能である。図1Bに示すように、各タワーTWは、上下に積層された複数(例えば3つ)の処理ユニット2を含む。
【0040】
図1Aに示すように、基板処理装置1は、バルブなどの流体機器を収容する複数(例えば4つ)の流体ボックスFBを備えている。4つの流体ボックスFBは、それぞれ、4つのタワーTWに対応している。キャビネットCC内の液体は、いずれかの流体ボックスFBを介して、当該流体ボックスFBに対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット2に供給される。基板処理装置1のキャビネットCCは、基板処理装置1の外壁1aのまわりに配置されていてもよいし、基板処理装置1が設置されるクリーンルームの地下に配置されていてもよい。
【0041】
図2は、基板処理装置1に備えられた処理ユニット2の内部を水平に見た模式図である。
処理ユニット2は、基板Wに処理液を供給するウェット処理ユニット2wである。処理ユニット2は、内部空間を有する箱型のチャンバー4と、チャンバー4内で1枚の基板Wを水平に保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに回転させるスピンチャック10と、回転軸線A1まわりにスピンチャック10を取り囲む筒状の処理カップ21とを含む。
【0042】
チャンバー4は、基板Wが通過する搬入搬出口5bが設けられた箱型の隔壁5と、搬入搬出口5bを開閉するシャッター7とを含む。FFU6(ファン・フィルター・ユニット)は、隔壁5の上部に設けられた送風口5aの上に配置されている。FFU6は、クリーンエアー(フィルターによってろ過された空気)を送風口5aからチャンバー4内に常時供給する。チャンバー4内の気体は、処理カップ21の底部に接続された排気ダクト8を通じてチャンバー4から排出される。これにより、クリーンエアーのダウンフローがチャンバー4内に常時形成される。排気ダクト8に排出される排気の流量は、排気ダクト8内に配置された排気バルブ9の開度に応じて変更される。
【0043】
スピンチャック10は、水平な姿勢で保持された円板状のスピンベース12と、スピンベース12の上方で基板Wを水平な姿勢で保持する複数のチャックピン11と、スピンベース12の中央部から下方に延びるスピン軸13と、スピン軸13を回転させることによりスピンベース12および複数のチャックピン11を回転させるスピンモータ14とを含む。スピンチャック10は、複数のチャックピン11を基板Wの外周面に接触させる挟持式のチャックに限らず、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)をスピンベース12の上面12uに吸着させることにより基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。
【0044】
処理カップ21は、基板Wから外方に排出された処理液を受け止める複数のガード24と、複数のガード24によって下方に案内された処理液を受け止める複数のカップ23と、複数のガード24および複数のカップ23を取り囲む円筒状の外壁部材22とを含む。図2は、4つのガード24と3つのカップ23とが設けられており、最も外側のカップ23が上から3番目のガード24と一体である例を示している。
【0045】
ガード24は、スピンチャック10を取り囲む円筒部25と、円筒部25の上端部から回転軸線A1に向かって斜め上に延びる円環状の天井部26とを含む。複数の天井部26は、上下に重なっており、複数の円筒部25は、同心円状に配置されている。天井部26の円環状の上端は、平面視で基板Wおよびスピンベース12を取り囲むガード24の上端24uに相当する。複数のカップ23は、それぞれ、複数の円筒部25の下方に配置されている。カップ23は、ガード24によって下方に案内された処理液を受け止める環状の受液溝を形成している。
【0046】
処理ユニット2は、複数のガード24を個別に昇降させるガード昇降ユニット27を含む。ガード昇降ユニット27は、上位置から下位置までの範囲内の任意の位置にガード24を位置させる。図2は、2つのガード24が上位置に配置されており、残り2つのガード24が下位置に配置されている状態を示している。上位置は、ガード24の上端24uがスピンチャック10に保持されている基板Wが配置される保持位置よりも上方に配置される位置である。下位置は、ガード24の上端24uが保持位置よりも下方に配置される位置である。
【0047】
回転している基板Wに処理液を供給するときは、少なくとも一つのガード24が上位置に配置される。この状態で、処理液が基板Wに供給されると、処理液は、基板Wから外方に振り切られる。振り切られた処理液は、基板Wに水平に対向するガード24の内面に衝突し、このガード24に対応するカップ23に案内される。これにより、基板Wから排出された処理液がカップ23に集められる。
【0048】
処理ユニット2は、スピンチャック10に保持されている基板Wに向けて処理液を吐出する複数のノズルを含む。複数のノズルは、基板Wの上面に向けて薬液を吐出する薬液ノズル31と、基板Wの上面に向けてリンス液を吐出するリンス液ノズル35と、基板Wの上面に向けて昇華性物質含有液を吐出する昇華性物質含有液ノズル39と、基板Wの上面に向けて置換液を吐出する置換液ノズル43とを含む。
【0049】
薬液ノズル31は、チャンバー4内で水平に移動可能なスキャンノズルであってもよいし、チャンバー4の隔壁5に対して固定された固定ノズルであってもよい。リンス液ノズル35、昇華性物質含有液ノズル39、および置換液ノズル43についても同様である。図2は、薬液ノズル31、リンス液ノズル35、昇華性物質含有液ノズル39、および置換液ノズル43が、スキャンノズルであり、これら4つのノズルにそれぞれ対応する4つのノズル移動ユニットが設けられている例を示している。
【0050】
薬液ノズル31は、薬液ノズル31に薬液を案内する薬液配管32に接続されている。薬液配管32に介装された薬液バルブ33が開かれると、薬液が、薬液ノズル31の吐出口から下方に連続的に吐出される。薬液ノズル31から吐出される薬液は、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸、リン酸、酢酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、および腐食防止剤の少なくとも1つを含む液であってもよいし、これ以外の液体であってもよい。
【0051】
図示はしないが、薬液バルブ33は、薬液が通過する環状の弁座が設けられたバルブボディと、弁座に対して移動可能な弁体と、弁体が弁座に接触する閉位置と弁体が弁座から離れた開位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む。他のバルブについても同様である。アクチュエータは、空圧アクチュエータまたは電動アクチュエータであってもよいし、これら以外のアクチュエータであってもよい。制御装置3は、アクチュエータを制御することにより、薬液バルブ33を開閉させる。
【0052】
薬液ノズル31は、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方に薬液ノズル31を移動させるノズル移動ユニット34に接続されている。ノズル移動ユニット34は、薬液ノズル31から吐出された薬液が基板Wの上面に供給される処理位置と、薬液ノズル31が平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置と、の間で薬液ノズル31を水平に移動させる。
【0053】
リンス液ノズル35は、リンス液ノズル35にリンス液を案内するリンス液配管36に接続されている。リンス液配管36に介装されたリンス液バルブ37が開かれると、リンス液が、リンス液ノズル35の吐出口から下方に連続的に吐出される。リンス液ノズル35から吐出されるリンス液は、例えば、純水(脱イオン水:DIW(Deionized Water))である。リンス液は、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(例えば、10〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
【0054】
リンス液ノズル35は、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方にリンス液ノズル35を移動させるノズル移動ユニット38に接続されている。ノズル移動ユニット38は、リンス液ノズル35から吐出されたリンス液が基板Wの上面に供給される処理位置と、リンス液ノズル35が平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置と、の間でリンス液ノズル35を水平に移動させる。
【0055】
昇華性物質含有液ノズル39は、昇華性物質含有液ノズル39に処理液を案内する昇華性物質含有液配管40に接続されている。昇華性物質含有液配管40に介装された昇華性物質含有液バルブ41が開かれると、昇華性物質含有液が、昇華性物質含有液ノズル39の吐出口から下方に連続的に吐出される。同様に、置換液ノズル43は、置換液ノズル43に置換液を案内する置換液配管44に接続されている。置換液配管44に介装された置換液バルブ45が開かれると、置換液が、置換液ノズル43の吐出口から下方に連続的に吐出される。
【0056】
昇華性物質含有液は、溶質に相当する昇華性物質と、昇華性物質と溶け合う溶媒と、を含む溶液である。昇華性物質含有液は、昇華性物質および溶媒以外の物質をさらに含んでいてもよい。昇華性物質は、常温(室温と同義)または常圧(基板処理装置1内の圧力。例えば1気圧またはその近傍の値)で液体を経ずに固体から気体に変化する物質であってもよい。
【0057】
昇華性物質含有液の凝固点(1気圧での凝固点。以下同様。)は、室温(例えば、23℃またはその近傍の値)よりも低い。基板処理装置1は、室温に維持されたクリーンルーム内に配置されている。したがって、昇華性物質含有液を加熱しなくても、昇華性物質含有液を液体に維持できる。昇華性物質の凝固点は、昇華性物質含有液の凝固点よりも高い。昇華性物質の凝固点は、室温よりも高い。室温では、昇華性物質は固体である。昇華性物質の凝固点は、溶媒の沸点より高くてもよい。溶媒の蒸気圧は、昇華性物質の蒸気圧よりも高い。
【0058】
昇華性物質は、例えば、2−メチル−2−プロパノール(別名:tert−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ターシャリーブチルアルコール)やシクロヘキサノールなどのアルコール類、フッ化炭化水素化合物、1,3,5−トリオキサン(別名:メタホルムアルデヒド)、樟脳(別名:カンフル、カンファー)、ナフタレン、およびヨウ素のいずれかであってもよいし、これら以外の物質であってもよい。
【0059】
溶媒は、例えば、純水、IPA、メタノール、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、アセトン、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、PGEE(プロピレングリコールモノエチルエーテル、1−エトキシ−2−プロパノール)、およびエチレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種であってもよい。IPAは、水よりも蒸気圧が高く、水よりも表面張力が低い。
【0060】
後述するように、置換液は、リンス液の液膜で覆われた基板Wの上面に供給され、昇華性物質含有液は、置換液の液膜で覆われた基板Wの上面に供給される。リンス液および昇華性物質含有液の両方と溶け合うのであれば、置換液は、どのような液体であってもよい。置換液は、例えば、IPA(液体)である。置換液は、IPAおよびHFEの混合液であってもよいし、これら以外であってもよい。
【0061】
リンス液の液膜で覆われた基板Wの上面に置換液が供給されると、基板W上の殆どのリンス液は、置換液によって押し流され、基板Wから排出される。残りの微量のリンス液は、置換液に溶け込み、置換液中に拡散する。拡散したリンス液は、置換液と共に基板Wから排出される。したがって、基板W上のリンス液を効率的に置換液に置換できる。同様の理由により、基板W上の置換液を効率的に昇華性物質含有液に置換できる。これにより、基板W上の昇華性物質含有液に含まれるリンス液を減らすことができる。
【0062】
昇華性物質含有液ノズル39は、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方に昇華性物質含有液ノズル39を移動させるノズル移動ユニット42に接続されている。ノズル移動ユニット42は、昇華性物質含有液ノズル39から吐出された昇華性物質含有液が基板Wの上面に供給される処理位置と、昇華性物質含有液ノズル39が平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置と、の間で昇華性物質含有液ノズル39を水平に移動させる。
【0063】
同様に、置換液ノズル43は、鉛直方向および水平方向の少なくとも一方に置換液ノズル43を移動させるノズル移動ユニット46に接続されている。ノズル移動ユニット46は、置換液ノズル43から吐出された置換液が基板Wの上面に供給される処理位置と、置換液ノズル43が平面視で処理カップ21のまわりに位置する待機位置と、の間で置換液ノズル43を水平に移動させる。
【0064】
処理ユニット2は、スピンチャック10の上方に配置された遮断部材51を含む。図2は、遮断部材51が円板状の遮断板である例を示している。遮断部材51は、スピンチャック10の上方に水平に配置された円板部52を含む。遮断部材51は、円板部52の中央部から上方に延びる筒状の支軸53によって水平に支持されている。円板部52の中心線は、基板Wの回転軸線A1上に配置されている。円板部52の下面は、遮断部材51の下面51Lに相当する。遮断部材51の下面51Lは、基板Wの上面に対向する対向面である。遮断部材51の下面51Lは、基板Wの上面と平行であり、基板Wの直径以上の外径を有している。
【0065】
遮断部材51は、遮断部材51を鉛直に昇降させる遮断部材昇降ユニット54に接続されている。遮断部材昇降ユニット54は、上位置(図2に示す位置)から下位置までの範囲内の任意の位置に遮断部材51を位置させる。下位置は、薬液ノズル31などのスキャンノズルが基板Wと遮断部材51との間に進入できない高さまで遮断部材51の下面51Lが基板Wの上面に近接する近接位置である。上位置は、スキャンノズルが遮断部材51と基板Wとの間に進入可能な高さまで遮断部材51が退避した離間位置である。
【0066】
複数のノズルは、遮断部材51の下面51Lの中央部で開口する上中央開口61を介して処理液や処理ガスなどの処理流体を下方に吐出する中心ノズル55を含む。中心ノズル55は、回転軸線A1に沿って上下に延びている。中心ノズル55は、遮断部材51の中央部を上下に貫通する貫通穴内に配置されている。遮断部材51の内周面は、径方向(回転軸線A1に直交する方向)に間隔を空けて中心ノズル55の外周面を取り囲んでいる。中心ノズル55は、遮断部材51と共に昇降する。処理流体を吐出する中心ノズル55の吐出口は、遮断部材51の上中央開口61の上方に配置されている。
【0067】
中心ノズル55は、中心ノズル55に不活性ガスを案内する上気体配管56に接続されている。基板処理装置1は、中心ノズル55から吐出される不活性ガスを加熱または冷却する上温度調節器59を備えていてもよい。上気体配管56に介装された上気体バルブ57が開かれると、不活性ガスの流量を変更する流量調整バルブ58の開度に対応する流量で、不活性ガスが、中心ノズル55の吐出口から下方に連続的に吐出される。中心ノズル55から吐出される不活性ガスは、窒素ガスである。不活性ガスは、ヘリウムガスやアルゴンガスなどの窒素ガス以外のガスであってもよい。
【0068】
遮断部材51の内周面と中心ノズル55の外周面は、上下に延びる筒状の上気体流路62を形成している。上気体流路62は、不活性ガスを遮断部材51の上中央開口61に導く上気体配管63に接続されている。基板処理装置1は、遮断部材51の上中央開口61から吐出される不活性ガスを加熱または冷却する上温度調節器66を備えていてもよい。上気体配管63に介装された上気体バルブ64が開かれると、不活性ガスの流量を変更する流量調整バルブ65の開度に対応する流量で、不活性ガスが、遮断部材51の上中央開口61から下方に連続的に吐出される。遮断部材51の上中央開口61から吐出される不活性ガスは、窒素ガスである。不活性ガスは、ヘリウムガスやアルゴンガスなどの窒素ガス以外のガスであってもよい。
【0069】
複数のノズルは、基板Wの下面中央部に向けて処理液を吐出する下面ノズル71を含む。下面ノズル71は、スピンベース12の上面12uと基板Wの下面との間に配置されたノズル円板部と、ノズル円板部から下方に延びるノズル筒状部とを含む。下面ノズル71の吐出口は、ノズル円板部の上面中央部で開口している。基板Wがスピンチャック10に保持されているときは、下面ノズル71の吐出口が、基板Wの下面中央部に上下に対向する。
【0070】
下面ノズル71は、加熱流体の一例である温水(室温よりも高温の純水)を下面ノズル71に案内する加熱流体配管72に接続されている。下面ノズル71に供給される純水は、加熱流体配管72に介装されたヒータ75によって加熱される。加熱流体配管72に介装された加熱流体バルブ73が開かれると、温水の流量を変更する流量調整バルブ74の開度に対応する流量で、温水が、下面ノズル71の吐出口から上方に連続的に吐出される。これにより、温水が基板Wの下面に供給される。
【0071】
下面ノズル71は、さらに、冷却流体の一例である冷水(室温よりも低温の純水)を下面ノズル71に案内する冷却流体配管76に接続されている。下面ノズル71に供給される純水は、冷却流体配管76に介装されたクーラー79によって冷却される。冷却流体配管76に介装された冷却流体バルブ77が開かれると、冷水の流量を変更する流量調整バルブ78の開度に対応する流量で、冷水が、下面ノズル71の吐出口から上方に連続的に吐出される。これにより、冷水が基板Wの下面に供給される。
【0072】
下面ノズル71の外周面とスピンベース12の内周面は、上下に延びる筒状の下気体流路82を形成している。下気体流路82は、スピンベース12の上面12uの中央部で開口する下中央開口81を含む。下気体流路82は、不活性ガスをスピンベース12の下中央開口81に導く下気体配管83に接続されている。基板処理装置1は、スピンベース12の下中央開口81から吐出される不活性ガスを加熱または冷却する下温度調節器86を備えていてもよい。下気体配管83に介装された下気体バルブ84が開かれると、不活性ガスの流量を変更する流量調整バルブ85の開度に対応する流量で、不活性ガスが、スピンベース12の下中央開口81から上方に連続的に吐出される。
【0073】
スピンベース12の下中央開口81から吐出される不活性ガスは、窒素ガスである。不活性ガスは、ヘリウムガスやアルゴンガスなどの窒素ガス以外のガスであってもよい。基板Wがスピンチャック10に保持されているときに、スピンベース12の下中央開口81が窒素ガスを吐出すると、窒素ガスは、基板Wの下面とスピンベース12の上面12uとの間をあらゆる方向に放射状に流れる。これにより、基板Wとスピンベース12との間の空間が窒素ガスで満たされる。
【0074】
次に、昇華性物質含有液供給ユニット99について説明する。
図3は、基板処理装置1に備えられた昇華性物質含有液供給ユニット99を示す模式図である。図4は、基板処理装置1で処理される基板Wの断面の例を示す断面図である。
図3に示すように、基板処理装置1は、スピンチャック10に保持されている基板Wに昇華性物質含有液を供給する昇華性物質含有液供給ユニット99を備えている。前述の昇華性物質含有液ノズル39、昇華性物質含有液配管40、および昇華性物質含有液バルブ41は、昇華性物質含有液供給ユニット99に含まれる。
【0075】
昇華性物質含有液供給ユニット99は、原液に相当する昇華性物質含有液を貯留する原液タンク87と、原液タンク87内の昇華性物質含有液を循環させる循環配管88と、原液タンク87内の昇華性物質含有液を循環配管88に送るポンプ89と、循環配管88内の昇華性物質含有液を昇華性物質含有液配管40に案内する個別配管90とを含む。昇華性物質含有液供給ユニット99は、さらに、個別配管90の内部を開閉する開閉バルブ91と、個別配管90から昇華性物質含有液配管40に供給される昇華性物質含有液の流量を変更する流量調整バルブ92とを含む。
【0076】
昇華性物質含有液供給ユニット99は、昇華性物質含有液を希釈する希釈液を貯留する希釈液タンク93を含む。希釈液は、例えば、原液タンク87内の昇華性物質含有液に含まれる溶媒と同一名称の溶媒である。希釈液供給ユニットは、希釈液タンク93内の希釈液を循環させる循環配管94と、希釈液タンク93内の希釈液を循環配管94に送るポンプ95と、循環配管94内の希釈液を昇華性物質含有液配管40に案内する個別配管96とを含む。希釈液供給ユニットは、さらに、個別配管96の内部を開閉する開閉バルブ97と、個別配管96から昇華性物質含有液配管40に供給される希釈液の流量を変更する流量調整バルブ98とを含む。
【0077】
開閉バルブ91が開かれると、昇華性物質含有液が、流量調整バルブ92の開度に対応する流量で昇華性物質含有液配管40に供給される。開閉バルブ97が開かれると、希釈液が、流量調整バルブ98の開度に対応する流量で昇華性物質含有液配管40に供給される。開閉バルブ91および開閉バルブ97の両方が開かれると、原液タンク87から供給された昇華性物質含有液が、希釈液タンク93から供給された希釈液と昇華性物質含有液配管40内で混ざり合い、希釈される。したがって、希釈された昇華性物質含有液が、昇華性物質含有液ノズル39から吐出される。
【0078】
制御装置3は、後述するレシピで指定された昇華性物質含有液の濃度(昇華性物質の濃度)に基づいて、開閉バルブ91、流量調整バルブ92、開閉バルブ97、および流量調整バルブ98の開度を設定する。例えば、レシピで指定された昇華性物質含有液の濃度が、原液タンク87内の昇華性物質含有液の濃度に一致している場合は、開閉バルブ91が開かれ、開閉バルブ97が閉じられる。レシピで指定された昇華性物質含有液の濃度が、原液タンク87内の昇華性物質含有液の濃度よりも低い場合は、開閉バルブ91および開閉バルブ97の両方が開かれ、流量調整バルブ92および流量調整バルブ98の開度が調整される。これにより、昇華性物質含有液ノズル39から吐出される昇華性物質含有液の濃度が、レシピで指定された昇華性物質含有液の濃度に近づけられる。
【0079】
昇華性物質含有液は、基板処理装置1で処理される基板Wに応じて選択されており、基板処理装置1での基板Wの処理が開始される前に原液タンク87に貯留されている。基板Wの表面に形成されたパターンP1(図4参照)の表面が親水性である場合、親水基を含む昇華性物質と、この昇華性物質よりも水に対する溶解度が小さい親水用の溶媒とが選択される。基板Wの表面に形成されたパターンP1の表面が疎水性である場合、疎水基を含む昇華性物質と、この昇華性物質よりも油に対する溶解度が小さい疎水用の溶媒とが選択される。その後、選択された昇華性物質を選択された溶媒に溶解させる。これにより、選択された昇華性物質および溶媒を含む昇華性物質含有液が製造される。溶媒への昇華性物質の溶解は、原液タンク87内で行われてもよいし、原液タンク87とは異なるタンク内で行われてもよい。
【0080】
原液タンク87内の昇華性物質含有液は、2種類以上の昇華性物質を含んでいてもよいし、2種類以上の溶媒を含んでいてもよい。原液タンク87内の昇華性物質含有液は、昇華性物質および溶媒以外の物質をさらに含んでいてもよい。例えば、親水基および疎水基の両方を含む両親媒性分子が昇華性物質含有液に含まれていてもよい。この場合、溶媒は、アルコールなどの親水基および疎水基の両方を分子中に含む物質でなくてもよい。
【0081】
パターンP1の表面が親水性であり、2種類以上の昇華性物質が昇華性物質含有液に含まれる場合、少なくとも1種類の昇華性物質が、親水基を含んでいればよい。この場合、水に対する溶媒の溶解度は、親水基を含む昇華性物質の水に対する溶解度よりも小さければよい。パターンP1の表面が親水性であり、2種類以上の溶媒が昇華性物質含有液に含まれる場合、全種類の溶媒の水に対する溶解度が、親水基を含む昇華性物質の水に対する溶解度よりも小さいことが好ましい。
【0082】
パターンP1の表面が疎水性であり、2種類以上の昇華性物質が昇華性物質含有液に含まれる場合、少なくとも1種類の昇華性物質が、疎水基を含んでいればよい。この場合、油に対する溶媒の溶解度は、疎水基を含む昇華性物質の油に対する溶解度よりも小さければよい。パターンP1の表面が疎水性であり、2種類以上の溶媒が昇華性物質含有液に含まれる場合、全種類の溶媒の油に対する溶解度が、疎水基を含む昇華性物質の油に対する溶解度よりも小さいことが好ましい。
【0083】
パターンP1の表面が親水性である場合、昇華性物質含有液は、樟脳、ターシャリーブチルアルコール、およびIPAからなる溶液、または、樟脳、IPA、第1溶質、第2溶質、および第1溶媒からなる溶液であってもよいし、これら以外の溶液であってもよい。第1溶質、第2溶質、および第1溶媒の具体例は、以下の通りである。パターンP1の表面が疎水性である場合、昇華性物質含有液は、樟脳およびIPAからなる溶液、または、樟脳およびメタノールからなる溶液であってもよいし、これら以外の溶液であってもよい。樟脳は、疎水基の一例であるメチル基を分子中に含む昇華性物質である。ターシャリーブチルアルコールは、疎水基の一例であるメチル基と、親水基の一例であるヒドロキシル基と、を分子中に含む昇華性物質である。
【0084】
第1溶質および第2溶質のそれぞれは、単独の物質である。第1溶質および第2溶質は、互いに異なる物質である。第1溶質および第2溶質のそれぞれは、アミノ基、ヒドロキシ基およびカルボニル基の少なくとも一つを有する。
第1溶質および第2溶質のそれぞれは、無水フタル酸、カフェイン、メラミン、1,4−ベンゾキノン、樟脳、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリアジン、1−アダマンタノール、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ボルネオール、(−)−ボルネオール、(±)−イソボルネオール、1,2−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,4−シクロヘキサンジオン、3−メチル−1,2−シクロペンタンジオン、(±)−カンファーキノン、(−)−カンファーキノン、(+)−カンファーキノン、1−アダマンタンアミンのいずれかである。
【0085】
第1溶媒は、純水を含んでいなくてもよいし、純水と純水以外の1種類以上の物質とを含んでいてもよい。第1溶媒は、有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤は、単独の物質であってもよいし、2種類以上の物質の混合物であってもよい。
有機溶剤の例としては、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(IPA)等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類、エチルブチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)等の乳酸エステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類等、を挙げることができる。
【0086】
前記エーテル類として、その他に、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類を挙げることができる。
【0087】
図4(a)に示すように、パターンP1の表面の全域、つまり、パターンP1の上面Puの全域とパターンP1の側面Psの全域とが、同じ性質である場合、パターンP1の表面のいずれかの部分が親水性であれば、パターンP1の表面は親水性であると判断される。パターンP1の表面の全域が同じ性質である場合、パターンP1の表面のいずれかの部分が疎水性であれば、パターンP1の表面は疎水性であると判断される。この場合、パターンP1の表面に対する水の接触角が、例えば60度以下であれば、パターンP1の表面は親水性であると判断される。パターンP1の表面の全域が同じ性質である場合、パターンP1は、単層膜および積層膜のいずれであってもよい。
【0088】
その一方で、図4(b)に示すように、親水部および疎水部がパターンP1の表面に含まれており、パターンP1の側面Psの上端部Pxが親水性であるときは、パターンP1の表面が親水性であるとみなす。親水部および疎水部がパターンP1の表面に含まれており、パターンP1の側面Psの上端部Pxが疎水性であるときは、パターンP1の表面が疎水性であるとみなす。つまり、親水部および疎水部がパターンP1の表面に含まれる場合は、パターンP1の側面Psの上端部Pxの性質に基づいて、パターンP1の表面が親水性および疎水性のいずれであるかを判断する。
【0089】
図5は、制御装置3のハードウェアを示すブロック図である。
制御装置3は、コンピュータ本体3aと、コンピュータ本体3aに接続された周辺装置3dとを含む、コンピュータである。コンピュータ本体3aは、各種の命令を実行するCPU3b(central processing unit:中央処理装置)と、情報を記憶する主記憶装置3cとを含む。周辺装置3dは、プログラムP等の情報を記憶する補助記憶装置3eと、リムーバブルメディアRMから情報を読み取る読取装置3fと、ホストコンピュータ等の他の装置と通信する通信装置3gとを含む。
【0090】
制御装置3は、入力装置および表示装置に接続されている。入力装置は、ユーザーやメンテナンス担当者などの操作者が基板処理装置1に情報を入力するときに操作される。情報は、表示装置の画面に表示される。入力装置は、キーボード、ポインティングデバイス、およびタッチパネルのいずれかであってもよいし、これら以外の装置であってもよい。入力装置および表示装置を兼ねるタッチパネルディスプレイが基板処理装置1に設けられてもよい。
【0091】
CPU3bは、補助記憶装置3eに記憶されたプログラムPを実行する。補助記憶装置3e内のプログラムPは、制御装置3に予めインストールされたものであってもよいし、読取装置3fを通じてリムーバブルメディアRMから補助記憶装置3eに送られたものであってもよいし、ホストコンピュータなどの外部装置から通信装置3gを通じて補助記憶装置3eに送られたものであってもよい。
【0092】
補助記憶装置3eおよびリムーバブルメディアRMは、電力が供給されていなくても記憶を保持する不揮発性メモリーである。補助記憶装置3eは、例えば、ハードディスクドライブ等の磁気記憶装置である。リムーバブルメディアRMは、例えば、コンパクトディスクなどの光ディスクまたはメモリーカードなどの半導体メモリーである。リムーバブルメディアRMは、プログラムPが記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体の一例である。リムーバブルメディアRMは、一時的ではない有形の記録媒体(non-transitory tangible recording medium)である。
【0093】
補助記憶装置3eは、複数のレシピを記憶している。レシピは、基板Wの処理内容、処理条件、および処理手順を規定する情報である。複数のレシピは、基板Wの処理内容、処理条件、および処理手順の少なくとも一つにおいて互いに異なる。制御装置3は、ホストコンピュータによって指定されたレシピにしたがって基板Wが処理されるように基板処理装置1を制御する。制御装置3は、以下の各工程を実行するようにプログラムされている。
【0094】
図6は、基板処理装置1によって行われる基板Wの処理の一例について説明するための工程図である。以下では、図2および図6を参照する。
処理される基板Wは、例えば、シリコンウエハなどの半導体ウエハである。基板Wの表面は、トランジスタやキャパシタ等のデバイスが形成されるデバイス形成面に相当する。基板Wは、パターン形成面である基板Wの表面にパターンP1(図7A参照)が形成された基板Wであってもよいし、基板Wの表面にパターンP1が形成されていない基板Wであってもよい。後者の場合、後述する薬液供給工程でパターンP1が形成されてもよい。
【0095】
基板処理装置1によって基板Wが処理されるときは、チャンバー4内に基板Wを搬入する搬入工程(図6のステップS1)が行われる。
具体的には、遮断部材51が上位置に位置しており、全てのガード24が下位置に位置しており、全てのスキャンノズルが待機位置に位置している状態で、センターロボットCR(図1A参照)が、基板WをハンドH1で支持しながら、ハンドH1をチャンバー4内に進入させる。そして、センターロボットCRは、基板Wの表面が上に向けられた状態でハンドH1上の基板Wを複数のチャックピン11の上に置く。その後、複数のチャックピン11が基板Wの外周面に押し付けられ、基板Wが把持される。センターロボットCRは、基板Wをスピンチャック10の上に置いた後、ハンドH1をチャンバー4の内部から退避させる。
【0096】
次に、上気体バルブ64および下気体バルブ84が開かれ、遮断部材51の上中央開口61およびスピンベース12の下中央開口81が窒素ガスの吐出を開始する。これにより、基板Wと遮断部材51との間の空間が窒素ガスで満たされる。同様に、基板Wとスピンベース12との間の空間が窒素ガスで満たされる。その一方で、ガード昇降ユニット27が少なくとも一つのガード24を下位置から上位置に上昇させる。その後、スピンモータ14が駆動され、基板Wの回転が開始される(図6のステップS2)。これにより、基板Wが液体供給速度で回転する。
【0097】
次に、薬液を基板Wの上面に供給し、基板Wの上面全域を覆う薬液の液膜を形成する薬液供給工程(図6のステップS3)が行われる。
具体的には、遮断部材51が上位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット34が薬液ノズル31を待機位置から処理位置に移動させる。その後、薬液バルブ33が開かれ、薬液ノズル31が薬液の吐出を開始する。薬液バルブ33が開かれてから所定時間が経過すると、薬液バルブ33が閉じられ、薬液の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット34が、薬液ノズル31を待機位置に移動させる。
【0098】
薬液ノズル31から吐出された薬液は、液体供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。そのため、薬液が基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面全域を覆う薬液の液膜が形成される。薬液ノズル31が薬液を吐出しているとき、ノズル移動ユニット34は、基板Wの上面に対する薬液の着液位置が中央部と外周部とを通るように着液位置を移動させてもよいし、中央部で着液位置を静止させてもよい。
【0099】
次に、リンス液の一例である純水を基板Wの上面に供給して、基板W上の薬液を洗い流すリンス液供給工程(図6のステップS4)が行われる。
具体的には、遮断部材51が上位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット38がリンス液ノズル35を待機位置から処理位置に移動させる。その後、リンス液バルブ37が開かれ、リンス液ノズル35がリンス液の吐出を開始する。純水の吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも一つのガード24を鉛直に移動させてもよい。リンス液バルブ37が開かれてから所定時間が経過すると、リンス液バルブ37が閉じられ、リンス液の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット38が、リンス液ノズル35を待機位置に移動させる。
【0100】
リンス液ノズル35から吐出された純水は、液体供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上の薬液は、リンス液ノズル35から吐出された純水に置換される。これにより、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜が形成される。リンス液ノズル35が純水を吐出しているとき、ノズル移動ユニット38は、基板Wの上面に対する純水の着液位置が中央部と外周部とを通るように着液位置を移動させてもよいし、中央部で着液位置を静止させてもよい。
【0101】
次に、リンス液および昇華性物質含有液の両方と溶け合う置換液を基板Wの上面に供給し、基板W上の純水を置換液に置換する置換液供給工程(図6のステップS5)が行われる。
具体的には、遮断部材51が上位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット46が置換液ノズル43を待機位置から処理位置に移動させる。その後、置換液バルブ45が開かれ、置換液ノズル43が置換液の吐出を開始する。置換液の吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも一つのガード24を鉛直に移動させてもよい。置換液バルブ45が開かれてから所定時間が経過すると、置換液バルブ45が閉じられ、置換液の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット46が、置換液ノズル43を待機位置に移動させる。
【0102】
置換液ノズル43から吐出された置換液は、液体供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上の純水は、置換液ノズル43から吐出された置換液に置換される。これにより、基板Wの上面全域を覆う置換液の液膜が形成される。置換液ノズル43が置換液を吐出しているとき、ノズル移動ユニット46は、基板Wの上面に対する置換液の着液位置が中央部と外周部とを通るように着液位置を移動させてもよいし、中央部で着液位置を静止させてもよい。また、基板Wの上面全域を覆う置換液の液膜が形成された後、置換液ノズル43に置換液の吐出を停止させながら、基板Wをパドル速度(例えば、0を超える20rpm以下の速度)で回転させてもよい。
【0103】
次に、昇華性物質含有液を基板Wの上面に供給して、昇華性物質含有液の液膜を基板W上に形成する昇華性物質含有液供給工程(図6のステップS6)が行われる。
具体的には、遮断部材51が上位置に位置しており、少なくとも一つのガード24が上位置に位置している状態で、ノズル移動ユニット42が昇華性物質含有液ノズル39を待機位置から処理位置に移動させる。その後、昇華性物質含有液バルブ41が開かれ、昇華性物質含有液ノズル39が昇華性物質含有液の吐出を開始する。昇華性物質含有液の吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード24を切り替えるために、少なくとも一つのガード24を鉛直に移動させてもよい。昇華性物質含有液バルブ41が開かれてから所定時間が経過すると、昇華性物質含有液バルブ41が閉じられ、昇華性物質含有液の吐出が停止される。その後、ノズル移動ユニット42が、昇華性物質含有液ノズル39を待機位置に移動させる。
【0104】
昇華性物質含有液ノズル39から吐出された昇華性物質含有液は、液体供給速度で回転している基板Wの上面に衝突した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上の置換液は、昇華性物質含有液ノズル39から吐出された昇華性物質含有液に置換される。これにより、基板Wの上面全域を覆う昇華性物質含有液の液膜が形成される。昇華性物質含有液ノズル39が昇華性物質含有液を吐出しているとき、ノズル移動ユニット42は、基板Wの上面に対する昇華性物質含有液の着液位置が中央部と外周部とを通るように着液位置を移動させてもよいし、中央部で着液位置を静止させてもよい。
【0105】
次に、基板W上の昇華性物質含有液の一部を除去して、基板Wの上面全域が昇華性物質含有液の液膜で覆われた状態を維持しながら、基板W上の昇華性物質含有液の膜厚(液膜の厚さ)を減少させる膜厚減少工程(図6のステップS7)が行われる。
具体的には、遮断部材51が下位置に位置している状態で、スピンモータ14が基板Wの回転速度を膜厚減少速度に維持する。膜厚減少速度は、液体供給速度と等しくてもよいし、異なっていてもよい。基板W上の昇華性物質含有液は、昇華性物質含有液の吐出が停止された後も、遠心力によって基板Wから外方に排出される。そのため、基板W上の昇華性物質含有液の液膜の厚さが減少する。基板W上の昇華性物質含有液がある程度排出されると、単位時間当たりの基板Wからの昇華性物質含有液の排出量が零または概ね零に減少する。これにより、基板W上の昇華性物質含有液の液膜の厚さが基板Wの回転速度に応じた値で安定する。
【0106】
次に、基板W上の昇華性物質含有液から溶媒を蒸発させて、昇華性物質を含む固化膜SF(図7B参照)を基板W上に形成する固化膜形成工程(図6のステップS8)が行われる。
具体的には、遮断部材51が下位置に位置している状態で、スピンモータ14が基板Wの回転速度を固化膜形成速度に維持する。固化膜形成速度は、液体供給速度と等しくてもよいし、異なっていてもよい。さらに、上気体バルブ57を開いて、中心ノズル55に窒素ガスの吐出を開始させる。上気体バルブ57を開くことに加えてまたは代えて、流量調整バルブ65の開度を変更して、遮断部材51の上中央開口61から吐出される窒素ガスの流量を増加させてもよい。
【0107】
固化膜形成速度での基板Wの回転等が開始されると、昇華性物質含有液の蒸発が促進され、基板W上の昇華性物質含有液の一部が蒸発する。溶媒の蒸気圧が溶質に相当する昇華性物質の蒸気圧よりも高いので、溶媒は、昇華性物質の蒸発速度よりも大きい蒸発速度で蒸発する。したがって、昇華性物質の濃度が徐々に増加しながら、昇華性物質含有液の膜厚が徐々に減少していく。昇華性物質含有液の凝固点は、昇華性物質の濃度の上昇に伴って上昇する。昇華性物質含有液の凝固点が昇華性物質含有液の温度に一致すると、昇華性物質含有液の凝固が始まり、基板Wの上面全域を覆う凝固体に相当する固化膜SFが形成される。
【0108】
次に、基板W上の固化膜SFを昇華させて、基板Wの上面から除去する昇華工程(図6のステップS9)が行われる。
具体的には、遮断部材51が下位置に位置している状態で、スピンモータ14が基板Wの回転速度を昇華速度に維持する。昇華速度は、液体供給速度と等しくてもよいし、異なっていてもよい。さらに、上気体バルブ57が閉じられている場合は、上気体バルブ57を開いて、中心ノズル55に窒素ガスの吐出を開始させる。上気体バルブ57を開くことに加えてまたは代えて、流量調整バルブ65の開度を変更して、遮断部材51の上中央開口61から吐出される窒素ガスの流量を増加させてもよい。昇華速度での基板Wの回転が開始されてから所定時間が経過すると、スピンモータ14が止まり、基板Wの回転が停止される(図6のステップS10)。
【0109】
昇華速度での基板Wの回転等が開始されると、基板W上の固化膜SFの昇華が始まり、昇華性物質を含む気体が、基板W上の固化膜SFから発生する。固化膜SFから発生した気体(昇華性物質を含む気体)は、基板Wと遮断部材51との間の空間を放射状に流れ、基板Wの上方から排出される。そして、昇華が始まってからある程度の時間が経つと、全ての固化膜SFが基板Wから除去される。
【0110】
次に、基板Wをチャンバー4から搬出する搬出工程(図6のステップS11)が行われる。
具体的には、遮断部材昇降ユニット54が遮断部材51を上位置まで上昇させ、ガード昇降ユニット27が全てのガード24を下位置まで下降させる。さらに、上気体バルブ64および下気体バルブ84が閉じられ、遮断部材51の上中央開口61とスピンベース12の下中央開口81とが窒素ガスの吐出を停止する。その後、センターロボットCRが、ハンドH1をチャンバー4内に進入させる。センターロボットCRは、複数のチャックピン11が基板Wの把持を解除した後、スピンチャック10上の基板WをハンドH1で支持する。その後、センターロボットCRは、基板WをハンドH1で支持しながら、ハンドH1をチャンバー4の内部から退避させる。これにより、処理済みの基板Wがチャンバー4から搬出される。
【0111】
図7A図7Fは、図6に示す基板Wの処理において、昇華性物質含有液を基板Wの上面に供給してから、固化膜SFを基板Wの上面から除去するまでの間に発生すると想定される現象について説明するための模式図である。
以下では、パターンP1の表面の全域が親水性であり、親水基を含む昇華性物質と、溶媒としてのIPAとが、昇華性物質含有液に含まれる場合について説明する。以下の説明において、親水基を含む昇華性物質の水に対する溶解度は、水に対するIPAの溶解度よりも大きいものとする。
【0112】
図7Aに示すように、昇華性物質含有液は、基板Wが回転しており、基板Wの上面が置換液の液膜で覆われている状態で基板Wの上面に供給される。これにより、図7Bに示すように、置換液がパターンP1の間から排出され、パターンP1の間が昇華性物質含有液で満たされる。図7Cは、基板Wの上面に供給された昇華性物質含有液中における昇華性物質の分布を示している。図7Cでは、昇華性物質を〇で表している。
【0113】
IPAの1つの分子は、親水基の一例であるヒドロキシル基と、疎水基の一例である2つのメチル基とを含む。したがって、パターンP1の表面に引き寄せる引力がIPAに加わる一方で、パターンP1の表面から遠ざける斥力もIPAに加わる。さらに、親水基を含む昇華性物質は、IPAよりもパターンP1の表面に対する親和性が高い。したがって、昇華性物質と比べると、IPAは、パターンP1の表面に保持され難いと考えられる。
【0114】
図7Dに示すように、基板Wの上面が昇華性物質含有液の液膜で覆われた後は、基板W上の昇華性物質含有液から溶媒を蒸発させる。溶媒が蒸発すると、昇華性物質の濃度が高まる。昇華性物質含有液の凝固点は、昇華性物質の濃度の上昇に伴って上昇する。昇華性物質含有液の凝固点が昇華性物質含有液の温度に一致すると、図7Eに示すように、昇華性物質含有液の凝固が始まり、基板Wの上面全域を覆う凝固体に相当する固化膜SFが形成される。その後、図7Fに示すように、固化膜SFを昇華させ、基板Wの上面から除去する。
【0115】
固化膜SFを形成しているとき、昇華性物質含有液の液膜のバルク部(図7C参照)、つまり、昇華性物質含有液の液膜の上面(液面)からパターンP1の上面Puまでの範囲に位置する液体層から溶媒が蒸発し、液膜のバルク部における昇華性物質の濃度が上昇する。パターンP1の間にある昇華性物質含有液に含まれるIPAは、液膜のバルク部に移動し、昇華性物質含有液の上面から空気中に放出される。これにより、パターンP1の上方だけでなく、パターンP1の間でも、昇華性物質の濃度が上昇する。そのため、図7Eに示すように、固化膜SFが形成された後は、IPAの液体がパターンP1の間から排出され、隣接する2つの凸状パターンP1の間が固化膜SFで満たされると考えられる。
【0116】
図8A図8Dは、図6に示す基板Wの処理において、昇華性物質含有液を基板Wの上面に供給してから、固化膜SFを基板Wの上面から除去するまでの間に発生すると想定される現象について説明するための基板Wの断面図である。
以下では、パターンP1の表面の全域が親水性であり、親水基を含む昇華性物質と、溶媒としてのメタノールとが、昇華性物質含有液に含まれる場合について説明する。溶媒がIPAではなくメタノールであることを除き、基板Wの処理条件は、図7A図7Fを参照して説明した基板Wの処理条件と同じである。以下の説明において、親水基を含む昇華性物質の水に対する溶解度は、水に対するメタノールの溶解度よりも小さいものとする。
【0117】
図7A図7Fを参照して説明した基板Wの処理と同様に、溶媒としてのメタノールを含む昇華性物質含有液は、基板Wが回転しており、基板Wの上面が置換液の液膜で覆われている状態で基板Wの上面に供給される。これにより、置換液がパターンP1の間から排出され、パターンP1の間が昇華性物質含有液で満たされる。図8Aは、パターンP1の間が、昇華性物質および溶媒(メタノール)を含む昇華性物質含有液で満たされている状態を示している。
【0118】
メタノールの1つの分子は、親水基の一例であるヒドロキシル基と、疎水基の一例であるメチル基とを含む。したがって、パターンP1の表面に引き寄せる引力がメタノールに加わる一方で、パターンP1の表面から遠ざける斥力もメタノールに加わる。しかし、IPAと比較すると、1つの分子に含まれるメチル基の数が少ない。そのため、IPAと比較すると、メタノールは、パターンP1の表面に保持され易いと考えられる。さらに、親水基を含む昇華性物質は、メタノールよりもパターンP1の表面に対する親和性が低い。したがって、昇華性物質と比べると、メタノールは、パターンP1の表面に保持され易いと考えられる。
【0119】
固化膜SFを形成しているとき、パターンP1の間にある昇華性物質含有液に含まれるメタノールは、昇華性物質含有液の液膜のバルク部(図8A参照)に移動し、昇華性物質含有液の上面から空気中に放出される。しかしながら、メタノールをパターンP1の表面に保持する力が比較的強いので、メタノールがパターンP1の間から排出され難い。そのため、パターンP1の間にある昇華性物質含有液における昇華性物質の濃度が上昇し難い。これが原因で、液膜のバルク部が固化膜SFに変化した後に、メタノールがパターンP1の間に残る場合があると考えられる。図8Bは、パターンP1の上方に固化膜SFが形成された後に、パターンP1の間がメタノールで満たされている例を示している。
【0120】
図8Bに示す例の場合、図8Cに示すように、固化膜SFを昇華させた後も、メタノールがパターンP1の間に残る。パターンP1の間に残ったメタノールは、蒸発によって基板Wからなくなる。しかしながら、メタノールが基板Wからなくなるまでの間に、メタノールの液面(気体と液体との界面)が、隣接する2つの凸状パターンP1の間に形成され、パターンP1を倒壊させる倒壊力がメタノールからパターンP1に加わる。パターンP1の強度が低いと、図8Dに示すように、このような倒壊力でパターンP1が倒壊してしまう。
【0121】
このように、パターンP1の表面が親水性であり、溶媒の親水性が強いと、固化膜SFを形成しているときに、溶媒がパターンP1の間から排出されずにパターンP1の間に残り、パターンP1を倒壊させる倒壊力が溶媒からパターンP1に加わる。同様に、パターンP1の表面が疎水性であり、溶媒の疎水性が強いと、固化膜SFを形成しているときに、溶媒がパターンP1の間から排出されずにパターンP1の間に残り、パターンP1を倒壊させる倒壊力が溶媒からパターンP1に加わる。したがって、溶媒とパターンP1との親和性も考慮して溶媒を選択しないと、パターンP1の強度によって、パターンP1の倒壊が発生してしまう。
【0122】
以上のように本実施形態では、溶質に相当する昇華性物質と溶媒とを含む昇華性物質含有液をパターンP1が形成された基板Wの表面に供給する。その後、昇華性物質含有液から溶媒を蒸発させる。これにより、昇華性物質を含む固化膜SFが基板Wの表面上に形成される。その後、基板W上の固化膜SFを液体を経ずに気体に変化させる。これにより、固化膜SFが基板Wの表面から除去される。したがって、スピンドライなどの従来の乾燥方法に比べて、パターンP1の倒壊率を低下させることができる。
【0123】
パターンP1の表面が親水性である場合、昇華性物質よりも水に対する溶解度が小さい溶媒が昇華性物質含有液に含まれる。パターンP1の表面が親水性であり、溶媒の親水性が高いと、溶媒がパターンP1の表面に保持され易いので、固化膜SFを形成した後も多くの溶媒がパターンP1の間に残る。この場合、パターンP1を倒壊させる倒壊力が、溶媒からパターンP1に加わる。親水性が低い溶媒を用いれば、固化膜SFを形成した後にパターンP1の間に残る溶媒を零またはこれに近い値まで減らすことができる。
【0124】
パターンP1の表面が疎水性である場合は、昇華性物質よりも油に対する溶解度が小さい溶媒が昇華性物質含有液に含まれる。パターンP1の表面が疎水性であり、溶媒の疎水性が高いと、溶媒がパターンP1の表面に保持され易いので、固化膜SFを形成した後も多くの溶媒がパターンP1の間に残る。この場合、パターンP1を倒壊させる倒壊力が、溶媒からパターンP1に加わる。疎水性が低い溶媒を用いれば、固化膜SFを形成した後にパターンP1の間に残る溶媒を零またはこれに近い値まで減らすことができる。
【0125】
このように、パターンP1の表面が親水性および疎水性のいずれであっても、昇華性物質含有液に含まれる溶媒は、昇華性物質含有液に含まれる昇華性物質よりもパターンP1の表面に対する親和性が低い。したがって、固化膜SFを形成した後にパターンP1の間に残る溶媒を減らすことができ、固化膜SFを形成しているときや形成した後にパターンP1に加わる倒壊力を弱めることができる。そのため、パターンP1の表面が親水性および疎水性のいずれであっても低いパターンP1の倒壊率で基板Wを乾燥させることができる。
【0126】
本実施形態では、親水部および疎水部がパターンP1の表面に含まれる場合、パターンP1の側面Psの上端部Pxが親水性であれば、パターンP1の表面が親水性であるとみなす。親水部および疎水部がパターンP1の表面に含まれる場合、パターンP1の側面Psの上端部Pxが疎水性であれば、パターンP1の表面が疎水性であるとみなす。つまり、パターンP1の側面Psの上端部Pxの性質に基づいて、パターンP1の表面が親水性および疎水性のいずれであるかを判断する。
【0127】
隣接する2つの凸状パターンP1の間に液面(気体と液体との界面)が形成されると、表面張力に起因する倒壊力がパターンP1に加わる。この倒壊力は、パターンP1の根本から液面までの距離が増加するにしたがって増加する。したがって、隣接する2つの凸状パターンP1の間に液面が形成されても、パターンP1の根本(下端)から液面までの距離が短ければ、パターンP1に加わる倒壊力は弱い。
【0128】
親水部および疎水部がパターンP1の表面に含まれており、パターンP1の側面Psの上端部Pxが親水性であるときに、パターンP1の表面が疎水性であるとみなすと、固化膜SFを形成した後に溶媒の液面がパターンP1の側面Psの上端部Pxに形成され、大きな倒壊力がパターンP1に加わるかもしれない。パターンP1の表面が親水性であるとみなせば、溶媒の液面がパターンP1の間に形成されても、溶媒の液面は、パターンP1の根本側に配置される。これにより、パターンP1の根本から液面までの距離を短縮することができる。
【0129】
同様の理由により、親水部および疎水部がパターンP1の表面に含まれており、パターンP1の側面Psの上端部Pxが疎水性であるときに、パターンP1の表面が疎水性であるとみなせば、溶媒の液面がパターンP1の間に形成されても、パターンP1の根本から液面までの距離を短縮することができる。これにより、パターンP1に加わる倒壊力を弱めることができ、パターンP1の倒壊率を低下させることができる。
【0130】
次に、第2実施形態について説明する。
第1実施形態に対する第2実施形態の主な相違点は、昇華性物質含有液が基板Wに供給される直前に昇華性物質含有液が製造されることである。
以下の図9図10において、図1図8Dに示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0131】
図9は、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置1に備えられた昇華性物質含有液供給ユニット99を示す模式図である。
昇華性物質含有液供給ユニット99は、昇華性物質を含む液体を貯留する第1原液タンク87Aと、昇華性物質を含む液体を貯留する第2原液タンク87Bとを含む。第1原液タンク87A内の液体は、親水基を含む昇華性物質を含む。第2原液タンク87B内の液体は、疎水基を含む昇華性物質を含む。第1原液タンク87A内の液体と第2原液タンク87B内の液体とは、少なくとも一つの成分が互いに異なる。第1原液タンク87A内の液体は、昇華性物質の融液であってもよい。昇華性物質の濃度が高ければ、第1原液タンク87A内の液体は、昇華性物質および溶媒を含む溶液であってもよいし、溶媒以外の物質と昇華性物質とを含んでいてもよい。第2原液タンク87B内の液体についても同様である。
【0132】
昇華性物質含有液供給ユニット99は、溶媒を貯留する第1希釈液タンク93Aと、溶媒を貯留する第2希釈液タンク93Bとを含む。第1希釈液タンク93A内の溶媒と第2希釈液タンク93B内の溶媒とは、少なくとも一つの成分が互いに異なる。第1希釈液タンク93A内の溶媒は、溶媒の融液であってもよいし、溶媒の水溶液であってもよいし、水以外の物質と溶媒とを含んでいてもよい。第2希釈液タンク93B内の溶媒についても同様である。第1希釈液タンク93A内の溶媒と第2希釈液タンク93B内の溶媒とは、アルコールであってもよい。
【0133】
第1原液タンク87A内の液体は、ポンプ89Aによって循環配管88Aに送られ、循環配管88Aから第1原液タンク87Aに戻る。第2原液タンク87B内の液体は、ポンプ89Bによって循環配管88Bに送られ、循環配管88Bから第2原液タンク87Bに戻る。循環配管88Aは、開閉バルブ91Aと流量調整バルブ92Aとが介装された個別配管90Aに接続されている。循環配管88Bは、開閉バルブ91Bと流量調整バルブ92Bとが介装された個別配管90Bに接続されている。個別配管90Aおよび個別配管90Bの下流端は、ミキシングバルブ100を介して昇華性物質含有液配管40に接続されている。
【0134】
第1希釈液タンク93A内の溶媒は、ポンプ95Aによって循環配管94Aに送られ、循環配管94Aから第1希釈液タンク93Aに戻る。第2希釈液タンク93B内の溶媒は、ポンプ95Bによって循環配管94Bに送られ、循環配管94Bから第2希釈液タンク93Bに戻る。循環配管94Aは、開閉バルブ97Aと流量調整バルブ98Aとが介装された個別配管96Aに接続されている。循環配管94Bは、開閉バルブ97Bと流量調整バルブ98Bとが介装された個別配管96Bに接続されている。個別配管96Aおよび個別配管96Bの下流端は、ミキシングバルブ100を介して昇華性物質含有液配管40に接続されている。
【0135】
ミキシングバルブ100は、個別配管90A、個別配管90B、個別配管96A、および個別配管96Bにそれぞれ接続された個別流路101、個別流路102、個別流路103、および個別流路104を含む。ミキシングバルブ100は、さらに、個別流路101での液体の逆流を防止する第1チェックバルブV1と、個別流路102での液体の逆流を防止する第2チェックバルブV2と、個別流路103での液体の逆流を防止する第3チェックバルブV3と、個別流路104での液体の逆流を防止する第4チェックバルブV4と、個別流路101、個別流路102、個別流路103、および個別流路104の下流端に接続された集合流路105とを含む。
【0136】
開閉バルブ91A、開閉バルブ91B、開閉バルブ97A、および開閉バルブ97Bの開閉と、流量調整バルブ92A、流量調整バルブ92B、流量調整バルブ98A、および流量調整バルブ98Bの開度は、制御装置3によって制御される。開閉バルブ91Aが開かれると、第1原液タンク87A内の昇華性物質を含む液体が、流量調整バルブ92Aの開度に対応する流量でミキシングバルブ100に供給される。開閉バルブ91B、開閉バルブ97A、および開閉バルブ97Bのそれぞれが開かれたときも同様である。
【0137】
開閉バルブ91Aおよび開閉バルブ91Bの少なくとも一方と、開閉バルブ97Aおよび開閉バルブ97Bの少なくとも一方とが開かれると、昇華性物質を含む液体と溶媒とがミキシングバルブ100に供給され、ミキシングバルブ100の集合流路105内で混合される。これにより、昇華性物質を含む液体が溶媒で希釈され、昇華性物質含有液が製造される。ミキシングバルブ100で製造された昇華性物質含有液は、昇華性物質含有液配管40から昇華性物質含有液ノズル39に供給され、昇華性物質含有液ノズル39から基板Wの上面に向けて吐出される。
【0138】
パターンP1の表面が親水性である場合、親水基を含む昇華性物質と、この昇華性物質よりも水に対する溶解度が小さい溶媒とが、ミキシングバルブ100内で混合される。つまり、開閉バルブ91Aと、開閉バルブ97Aまたは開閉バルブ97Bとが、制御装置3によって開かれる。パターンP1の表面が疎水性である場合は、疎水基を含む昇華性物質と、この昇華性物質よりも油に対する溶解度が小さい溶媒とが、ミキシングバルブ100内で混合される。つまり、開閉バルブ91Bと、開閉バルブ97Aまたは開閉バルブ97Bとが、制御装置3によって開かれる。
【0139】
昇華性物質含有液が基板Wに供給されるときは、開閉バルブ91Aおよび開閉バルブ91Bの少なくとも一方と、開閉バルブ97Aおよび開閉バルブ97Bの少なくとも一方とが開かれる。開くべき複数のバルブは、レシピで指定されていてもよい。パターンP1の表面が親水性および疎水性のいずれであるかを判断するための情報が制御装置3に入力される場合は、制御装置3が、開くべき複数のバルブを選択してもよい。このような情報には、例えば、パターンP1の表面の材質を示す情報や、昇華性物質含有液が供給される前に基板Wに供給される液体の種類を示す情報などが含まれる。
【0140】
なお、昇華性物質を含む液体が昇華性物質以外の物質(例えば溶媒)を含む場合、開閉バルブ91Aおよび開閉バルブ91Bの少なくとも一方と、開閉バルブ97Aおよび開閉バルブ97Bの少なくとも一方とが開かれると、昇華性物質を含む液体が溶媒によって希釈される。この場合、昇華性物質以外の物質は、希釈用の溶媒と同一名称の溶媒であってもよいし、希釈用の溶媒とは異なる物質であってもよい。後者の場合、昇華性物質を含む液体が溶媒によって希釈されると、昇華性物質以外の物質の濃度は、この物質が基板Wの処理に与える影響を無視できる値まで低下する。
【0141】
図10は、図6に示す昇華性物質含有液供給工程の他の例について説明するための工程図である。
第2実施形態に係る基板処理装置1では、第1実施形態と同様に、図6に示す各工程が実行される。
昇華性物質含有液供給工程(図6のステップS6)が行われるときは、制御装置3は、昇華性物質含有液ノズル39に昇華性物質含有液を吐出させるべきか否かを判断する(図10のステップS21)。吐出の必要がない場合(図10のステップS21でNo)、制御装置3は、所定時間経過後に、昇華性物質含有液を吐出させるべきか否かを再び判断する(図10のステップS21に戻る)。
【0142】
昇華性物質含有液を吐出させる必要がある場合(図10のステップS21でYes)、制御装置3は、開閉バルブ91Aおよび開閉バルブ91Bの少なくとも一方と、開閉バルブ97Aおよび開閉バルブ97Bの少なくとも一方とを開く(図10のステップS22)。これにより、昇華性物質を含む液体と溶媒とが混合され、昇華性物質含有液がミキシングバルブ100内で製造される。そして、昇華性物質含有液が昇華性物質含有液ノズル39から吐出される。
【0143】
昇華性物質含有液の吐出が開始された後、制御装置3は、所定時間が経過したか否かを判断する(図10のステップS23)。所定時間が経過していない場合(図10のステップS23でNo)、制御装置3は、所定時間が経過したか否かを再び判断する(図10のステップS23に戻る)。所定時間が経過している場合(図10のステップS23でYes)、制御装置3は、ステップS22で開いた複数のバルブを閉じる(図10のステップS24)。これにより、昇華性物質を含む液体と溶媒との混合と、昇華性物質含有液の吐出とが停止される。
【0144】
他の実施形態
本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、第1実施形態において、パターンP1の表面が親水性であるときに基板Wに供給すべき親水用の昇華性物質含有液を貯留する親水用のタンクと、パターンP1の表面が疎水性であるときに基板Wに供給すべき疎水用の昇華性物質含有液を貯留する疎水用のタンクとを設けてもよい。
【0145】
この場合、パターンP1の表面が親水性および疎水性のいずれであっても、適切な昇華性物質含有液を基板Wに供給でき、パターンP1の倒壊率を低下させることができる。親水用の昇華性物質含有液および疎水用の昇華性物質含有液のいずれを基板Wに供給するかは、レシピで指定されていてもよいし、制御装置3に入力された情報に基づいて制御装置3が選択してもよい。
【0146】
第1実施形態において、原液タンク87から供給された昇華性物質含有液は、昇華性物質含有液配管40以外の位置で、希釈液タンク93から供給された希釈液と混ざり合ってもよい。例えば、昇華性物質含有液は、昇華性物質含有液配管40以外の配管、ミキシングバルブ100などのバルブ、および昇華性物質含有液ノズル39のうちの少なくとも一つの内部で希釈液と混ざり合ってもよい。昇華性物質含有液は、基板Wの上面で希釈液と混ざり合ってもよい。
【0147】
同様に、第2実施形態において、第1原液タンク87Aおよび第2原液タンク87Bの少なくとも一方から供給された、昇華性物質を含む液体は、ミキシングバルブ100以外の位置で、第1希釈液タンク93Aおよび第2希釈液タンク93Bの少なくとも一方から供給された溶媒と混ざり合ってもよい。例えば、昇華性物質を含む液体は、ミキシングバルブ100以外のバルブ、配管、および昇華性物質含有液ノズル39のうちの少なくとも一つの内部で溶媒と混ざり合ってもよい。昇華性物質を含む液体は、基板Wの上面で溶媒と混ざり合ってもよい。昇華性物質の固体をキャビネットCC内で溶媒に溶解させてもよい。
【0148】
固化膜SFは、ウェット処理ユニット2wとは異なる処理ユニット2で除去されてもよい。固化膜SFを除去する処理ユニット2は、基板処理装置1の一部であってもよいし、基板処理装置1とは異なる基板処理装置の一部であってもよい。つまり、ウェット処理ユニット2wが備えられた基板処理装置1と、固化膜SFを除去する処理ユニット2が備えられた基板処理装置とが、同じ基板処理システムに設けられており、固化膜SFを除去する前に、基板処理装置1から別の基板処理装置に基板Wを搬送してもよい。
【0149】
純水などの基板W上のリンス液を昇華性物質含有液で置換できる場合は、基板W上のリンス液を置換液に置換する置換液供給工程を行わずに、昇華性物質含有液供給工程を行ってもよい。
遮断部材51は、スピンチャック10と共に回転軸線A1まわりに回転してもよい。例えば、遮断部材51が基板Wに接触しないようにスピンベース12上に置かれてもよい。この場合、遮断部材51がスピンベース12に連結されるので、遮断部材51は、スピンベース12と同じ方向に同じ速度で回転する。
【0150】
遮断部材51が省略されてもよい。ただし、基板Wの下面に純水などの液体を供給する場合は、遮断部材51が設けられていることが好ましい。基板Wの外周面を伝って基板Wの下面から基板Wの上面に回り込んだ液滴や、処理カップ21から内側に跳ね返った液滴を遮断部材51で遮断でき、基板W上の昇華性物質含有液に混入する液体を減らすことができるからである。
【0151】
基板処理装置1は、円板状の基板Wを処理する装置に限らず、多角形の基板Wを処理する装置であってもよい。
前述の全ての構成の2つ以上が組み合わされてもよい。前述の全ての工程の2つ以上が組み合わされてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0152】
制御装置3は、昇華性物質選択手段および溶媒選択手段の一例である。昇華性物質含有液供給ユニット99は、昇華性物質含有液供給手段の一例である。スピンチャック10および中心ノズル55は、固化膜形成手段の一例である。スピンチャック10および中心ノズル55は、昇華手段の一例でもある。昇華性物質含有液配管40およびミキシングバルブ100は、溶解手段の一例である。
【符号の説明】
【0153】
1 :基板処理装置
3 :制御装置(昇華性物質選択手段、溶媒選択手段)
10 :スピンチャック(固化膜形成手段、昇華手段)
40 :昇華性物質含有液配管(溶解手段)
55 :中心ノズル(固化膜形成手段、昇華手段)
99 :昇華性物質含有液供給ユニット(昇華性物質含有液供給手段)
100 :ミキシングバルブ(溶解手段)
P1 :パターン
Ps :パターンの側面
Px :パターンの側面の上端部
SF :固化膜
W :基板
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10