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特開2020-194931コイル部品及びこれを備える非接触電力伝送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-194931(P2020-194931A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】コイル部品及びこれを備える非接触電力伝送装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20201106BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20201106BHJP
【FI】
   H01F38/14
   H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-100902(P2019-100902)
(22)【出願日】2019年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】森木 朋大
(72)【発明者】
【氏名】大石 太洋
(72)【発明者】
【氏名】麻生 裕文
(72)【発明者】
【氏名】千代 憲隆
(72)【発明者】
【氏名】友成 寿緒
(72)【発明者】
【氏名】葉山 純平
(72)【発明者】
【氏名】大塚 滋樹
(72)【発明者】
【氏名】今井 隆明
(72)【発明者】
【氏名】丸山 孝和
(72)【発明者】
【氏名】田口 修
(57)【要約】      (修正有)
【課題】異なる基板に形成されたコイルパターン同士を容易に接続可能なコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品1は、基板10、20と、基板10に形成されたコイルパターンと、基板20に形成されたコイルパターンと、基板10に形成されたコイルパターンの一端に接続され、基板10から突出した端子電極E1と、基板20に形成されたコイルパターンの一端に接続され、基板20から突出した端子電極E2とを備える。基板10、20は、端子電極が互いに重なり且つ互いに接続され端子電極E1、E2が形成できるよう、積層されている。このように、端子電極が基板10、20から突出していることから、複数の端子電極を容易に接続することが可能となる。しかも、基板から突出した端子電極をコイル部品の外部端子として使用することも可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の基板と、
前記第1の基板の一方の表面に形成された第1のコイルパターンと、
前記第2の基板の一方の表面に形成された第2のコイルパターンと、
前記第1のコイルパターンの一端に接続され、前記第1の基板から突出した第1の端子電極と、
前記第2のコイルパターンの一端に接続され、前記第2の基板から突出した第2の端子電極と、を備え、
前記第1及び第2の基板は、前記第1及び第2の端子電極が互いに重なり且つ互いに接続されるよう、積層されていることを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
前記第1の基板の他方の表面に形成された第3のコイルパターンと、
前記第2の基板の他方の表面に形成された第4のコイルパターンと、
前記第3のコイルパターンの一端に接続され、前記第1の基板から突出した第3の端子電極と、
前記第4のコイルパターンの一端に接続され、前記第2の基板から突出した第4の端子電極と、をさらに備え、
前記第1のコイルパターンの他端と前記第3のコイルパターンの他端は互いに接続され、
前記第2のコイルパターンの他端と前記第4のコイルパターンの他端は互いに接続され、
前記第1及び第2の基板は、前記第3及び第4の端子電極が互いに重なり且つ互いに接続されるよう、積層されていることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
第3及び第4の基板と、
前記第3の基板の一方の表面に形成された第5のコイルパターンと、
前記第4の基板の一方の表面に形成された第6のコイルパターンと、
前記第3の基板の他方の表面に形成された第7のコイルパターンと、
前記第4の基板の他方の表面に形成された第8のコイルパターンと、
前記第5のコイルパターンの一端に接続され、前記第3の基板から突出した第5の端子電極と、
前記第6のコイルパターンの一端に接続され、前記第4の基板から突出した第6の端子電極と、
前記第7のコイルパターンの一端に接続され、前記第3の基板から突出した第7の端子電極と、
前記第8のコイルパターンの一端に接続され、前記第4の基板から突出した第8の端子電極と、をさらに備え、
前記第5のコイルパターンの他端と前記第7のコイルパターンの他端は互いに接続され、
前記第6のコイルパターンの他端と前記第8のコイルパターンの他端は互いに接続され、
前記第3及び第4の基板は、前記第5及び第6の端子電極が互いに重なり且つ互いに接続されるとともに、前記第7及び第8の端子電極が互いに重なり且つ互いに接続されるよう、積層され、
前記第1及び第2の基板と前記第3及び第4の基板は、前記第1乃至第4のコイルパターンの一部と前記第5乃至第8のコイルパターンの一部が重なるよう、積層されていることを特徴とする請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第3の基板から突出した第1及び第2のダミー電極をさらに備え、
前記第1のダミー電極は、前記第1及び第2の端子電極と重なり、
前記第2のダミー電極は、前記第3及び第4の端子電極と重なることを特徴とする請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第4の基板から突出した第3及び第4のダミー電極をさらに備え、
前記第3のダミー電極は、前記第1及び第2の端子電極並びに前記第1のダミー電極と重なり、
前記第4のダミー電極は、前記第3及び第4の端子電極並びに前記第2のダミー電極と重なることを特徴とする請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1の基板から突出した第5及び第7のダミー電極と、
前記第2の基板から突出した第6及び第8のダミー電極と、をさらに備え、
前記第5及び第6のダミー電極は、前記第5及び第6の端子電極と重なり、
前記第7及び第8のダミー電極は、前記第7及び第8の端子電極と重なることを特徴とする請求項5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第1及び第2の端子電極に接続された第1のコネクタピンと、
前記第3及び第4の端子電極に接続された第2のコネクタピンと、
前記第5及び第6の端子電極に接続された第3のコネクタピンと、
前記第7及び第8の端子電極に接続された第4のコネクタピンと、をさらに備えることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項8】
請求項7に記載のコイル部品と、
前記第1及び第2のコネクタピンを介して前記第1乃至第4のコイルパターンに接続され、前記第3及び第4のコネクタピンを介して前記第5乃至第8のコイルパターンに接続された回路基板と、を備えることを特徴とする非接触電力伝送装置。
【請求項9】
前記回路基板は、前記第1乃至第4のコイルパターンと前記第5乃至第8のコイルパターンに電流を排他的に流すスイッチを有することを特徴とする請求項8に記載の非接触電力伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関し、特に、非接触電力伝送装置に用いることが好適なコイル部品及びこれを備える非接触電力伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電源ケーブルを用いることなく、送電側から受電側にワイヤレスで電力を供給する非接触電力伝送装置が実用化されている。非接触電力伝送装置は、電車、電気自動車等の輸送機器、家電製品、電子機器、無線通信機器、玩具、産業機器といった様々な製品への応用が期待されている。例えば、特許文献1には、スパイラル状のコイルパターンが形成された基板を複数枚用意し、これらが相互に接続されるよう積層することによって、非接触電力伝送装置用の送電コイル又は受電コイルを構成した例が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載されたコイル部品は、複数のコイルパターンが並列に接続された構成を有している。これにより抵抗値が低下することから、より多くの電流を流すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−102124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたコイル部品においては、異なる基板に形成されたコイルパターン同士を基板と重なる位置で接続していることから、コイルパターン同士の接続が必ずしも容易ではないという問題があった。
【0006】
したがって、本発明は、異なる基板に形成されたコイルパターン同士を容易に接続可能なコイル部品及びこれを備える非接触電力伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるコイル部品は、第1及び第2の基板と、第1の基板の一方の表面に形成された第1のコイルパターンと、第2の基板の一方の表面に形成された第2のコイルパターンと、第1のコイルパターンの一端に接続され、第1の基板から突出した第1の端子電極と、第2のコイルパターンの一端に接続され、第2の基板から突出した第2の端子電極とを備え、第1及び第2の基板は、第1及び第2の端子電極が互いに重なり且つ互いに接続されるよう、積層されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、端子電極が基板から突出していることから、複数の端子電極を容易に接続することが可能となる。しかも、基板から突出した端子電極をコイル部品の外部端子として使用することも可能となる。
【0009】
本発明によるコイル部品は、第1の基板の他方の表面に形成された第3のコイルパターンと、第2の基板の他方の表面に形成された第4のコイルパターンと、第3のコイルパターンの一端に接続され、第1の基板から突出した第3の端子電極と、第4のコイルパターンの一端に接続され、第2の基板から突出した第4の端子電極とをさらに備え、第1のコイルパターンの他端と第3のコイルパターンの他端は互いに接続され、第2のコイルパターンの他端と第4のコイルパターンの他端は互いに接続され、第1及び第2の基板は、第3及び第4の端子電極が互いに重なり且つ互いに接続されるよう、積層されていても構わない。これによれば、第1及び第3のコイルパターンからなる第1のコイルと、第2及び第4のコイルパターンからなる第2のコイルを容易に並列接続することが可能となる。
【0010】
本発明によるコイル部品は、第3及び第4の基板と、第3の基板の一方の表面に形成された第5のコイルパターンと、第4の基板の一方の表面に形成された第6のコイルパターンと、第3の基板の他方の表面に形成された第7のコイルパターンと、第4の基板の他方の表面に形成された第8のコイルパターンと、第5のコイルパターンの一端に接続され、第3の基板から突出した第5の端子電極と、第6のコイルパターンの一端に接続され、第4の基板から突出した第6の端子電極と、第7のコイルパターンの一端に接続され、第3の基板から突出した第7の端子電極と、第8のコイルパターンの一端に接続され、第4の基板から突出した第8の端子電極とをさらに備え、第5のコイルパターンの他端と第7のコイルパターンの他端は互いに接続され、第6のコイルパターンの他端と第8のコイルパターンの他端は互いに接続され、第3及び第4の基板は、第5及び第6の端子電極が互いに重なり且つ互いに接続されるとともに、第7及び第8の端子電極が互いに重なり且つ互いに接続されるよう、積層され、第1及び第2の基板と第3及び第4の基板は、第1乃至第4のコイルパターンの一部と第5乃至第8のコイルパターンの一部が重なるよう、積層されていても構わない。これによれば、第1乃至第4のコイルパターンからなるコイルユニットの平面位置と、第5乃至第8のコイルパターンからなるコイルユニットの平面位置が異なることから、これらコイルユニットを非接触電力伝送装置用の送電コイル又は受電コイルとして用いれば、送電可能エリア又は受電可能エリアを拡大することが可能となる。
【0011】
本発明によるコイル部品は、第3の基板から突出した第1及び第2のダミー電極をさらに備え、第1のダミー電極は、第1及び第2の端子電極と重なり、第2のダミー電極は、第3及び第4の端子電極と重なるものであっても構わない。これによれば、第1及び第2の端子電極の接続が容易になるとともに、第3及び第4の端子電極の接続が容易になる。
【0012】
本発明によるコイル部品は、第4の基板から突出した第3及び第4のダミー電極をさらに備え、第3のダミー電極は、第1及び第2の端子電極並びに第1のダミー電極と重なり、第4のダミー電極は、第3及び第4の端子電極並びに第2のダミー電極と重なるものであっても構わない。これによれば、第1及び第2の端子電極の接続がより容易になるとともに、第3及び第4の端子電極の接続がより容易になる。
【0013】
本発明によるコイル部品は、第1の基板から突出した第5及び第7のダミー電極と、第2の基板から突出した第6及び第8のダミー電極とをさらに備え、第5及び第6のダミー電極は、第5及び第6の端子電極と重なり、第7及び第8のダミー電極は、第7及び第8の端子電極と重なるものであっても構わない。これによれば、第5及び第6の端子電極の接続が容易になるとともに、第7及び第8の端子電極の接続が容易になる。
【0014】
本発明によるコイル部品は、第1及び第2の端子電極に接続された第1のコネクタピンと、第3及び第4の端子電極に接続された第2のコネクタピンと、第5及び第6の端子電極に接続された第3のコネクタピンと、第7及び第8の端子電極に接続された第4のコネクタピンとをさらに備えるものであっても構わない。これによれば、回路基板との接続が容易となる。
【0015】
本発明による非接触電力伝送装置は、上記のコイル部品と、第1及び第2のコネクタピンを介して第1乃至第4のコイルパターンに接続され、第3及び第4のコネクタピンを介して第5乃至第8のコイルパターンに接続された回路基板とを備えることを特徴とする。本発明によれば、回路基板とコイル部品の接続作業が容易になることから、製造コストを低減することが可能となる。
【0016】
本発明において、回路基板は、第1乃至第4のコイルパターンと第5乃至第8のコイルパターンに電流を排他的に流すスイッチを有するものであっても構わない。これによれば、本発明によるコイル部品を非接触電力伝送装置の送電コイルとして用いた場合、受電コイルの平面位置に応じ、第1〜第4又は第5〜第8のコイルパターンを用いて電力伝送を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
このように、本発明によれば、異なる基板に形成されたコイルパターン同士を容易に接続可能なコイル部品及びこれを備える非接触電力伝送装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態によるコイル部品1の外観を示す略斜視図である。
図2図2は、コイル部品1の略分解斜視図である。
図3図3は、コイル部品1の模式的な断面図である。
図4図4は、基板10及びその表面に形成されたコイルパターン100A,200Aの形状を説明するための略斜視図である。
図5図5は、基板40及びその表面に形成されたコイルパターン300A,400A,500A,600Aの形状を説明するための略斜視図である。
図6図6(a)は引き出しパターンが形成された部分の模式的な断面図であり、図6(b)は端子電極が形成された部分の模式的な断面図である。
図7図7は、センターコイルC0の等価回路図である。
図8図8(a)は引き出しパターンが形成された部分の第1の変形例による模式的な断面図であり、図8(b)は端子電極が形成された部分の第1の変形例による模式的な断面図である。
図9図9(a)は引き出しパターンが形成された部分の第2の変形例による模式的な断面図であり、図9(b)は端子電極が形成された部分の第2の変形例による模式的な断面図である。
図10図10は、コイル部品1を透過的に示す模式的な平面図である。
図11図11は、コイル部品1とこれに接続される周辺回路の回路図である。
図12図12は、コイル部品1を非接触電力伝送装置の送電コイルとして用いた場合における、ワイヤレス送電装置の外観を示す模式図である。
図13図13は、コイル部品1を用いた非接触電力伝送装置の構成を示す模式図である。
図14図14は、コイル部品1と回路基板700を接続する第1の方法を説明するための模式図である。
図15図15は、コイル部品1と回路基板700を接続する第2の方法を説明するための模式図である。
図16図16は、コイル部品1と回路基板700を接続する第2の方法を説明するための模式図である。
図17図17は、コイル部品1と回路基板700を接続する第2の方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるコイル部品1の外観を示す略斜視図である。また、図2はコイル部品1の略分解斜視図であり、図3はコイル部品1の模式的な断面図である。
【0021】
図1図3に示すように、本実施形態によるコイル部品1は、磁性シート2と、磁性シート2と重なるように配置されたセンターコイルC0、第1のサイドコイルC1及び第2のサイドコイルC2によって構成されている。磁性シート2は、フェライト、パーマロイ、複合磁性材料などの高透磁率材料からなるシート部材であり、センターコイルC0及びサイドコイルC1,C2に鎖交する磁束の磁路として機能する。特に限定されるものではないが、本実施形態によるコイル部品1は、非接触電力伝送装置の送電コイルとして用いることができる。この場合、センターコイルC0及びサイドコイルC1,C2から見て、磁性シート2とは反対側に位置する受電面3に受電コイルが配置される。
【0022】
センターコイルC0は、基板10,20,30の一方の表面11,21,31にそれぞれ形成されたコイルパターン100A,100B,100Cと、基板10,20,30の他方の表面12,22,32にそれぞれ形成されたコイルパターン200A,200B,200Cとを備えている。第1のサイドコイルC1は、基板40,50,60の一方の表面41,51,61にそれぞれ形成されたコイルパターン300A,300B,300Cと、基板40,50,60の他方の表面42,52,62にそれぞれ形成されたコイルパターン400A,400B,400Cとを備えている。第2のサイドコイルC2は、基板40,50,60の一方の表面41,51,61にそれぞれ形成されたコイルパターン500A,500B,500Cと、基板40,50,60の他方の表面42,52,62にそれぞれ形成されたコイルパターン600A,600B,600Cとを備えている。基板10,20,30,40,50,60の材料については特に限定されないが、PET樹脂などの透明又は半透明な厚みが10〜50μm程度であるフィルム状のフレキシブル材料を用いることができる。また、基板10,20,30,40,50,60は、ガラスクロスにエポキシ系樹脂が含浸されたフレキシブル基板であっても構わない。
【0023】
本実施形態においては、センターコイルC0を構成する各コイルパターン(100A,100B,100C,200A,200B,200C)のターン数が互いに同じであり、第1のサイドコイルC1を構成する各コイルパターン(300A,300B,300C,400A,400B,400C)のターン数が互いに同じであり、第2のサイドコイルC2を構成する各コイルパターン(500A,500B,500C,600A,600B,600C)のターン数が互いに同じである。また、第1のサイドコイルC1を構成する各コイルパターンのターン数と、第2のサイドコイルC2を構成する各コイルパターンのターン数も同じである。センターコイルC0を構成する各コイルパターンのターン数と、第1のサイドコイルC1又は第2のサイドコイルC2を構成する各コイルパターンのターン数は、同じであっても構わないし、異なっていても構わない。以下、コイルパターン100A,100B,100Cを特に区別する必要がない場合、或いは、コイルパターン100A,100B,100Cを総称する場合には、単に「コイルパターン100」と表記することがある。他のコイルパターン200,300,400,500,600についても同様である。
【0024】
図4は、基板10及びその表面に形成されたコイルパターン100A,200Aの形状を説明するための略斜視図である。
【0025】
図4に示すように、コイルパターン100Aの外周端は端子電極E1Aに接続され、コイルパターン200Aの外周端は端子電極E2Aに接続されている。端子電極E1A,E2Aは、基板10上に形成されておらず、基板10から突出している。つまり、端子電極E1A,E2Aは、基板10とは重なりを有していない。端子電極E1Aは、基板10の一方の表面11に設けられた引き出しパターン111Aと、基板10の他方の表面12に設けられた引き出しパターン112Aを介して、コイルパターン100Aの外周端に接続されている。引き出しパターン111Aと引き出しパターン112Aは、基板10を貫通して設けられたスルーホール導体を介して互いに接続されている。一方、端子電極E2Aは、基板10の一方の表面11に設けられた引き出しパターン211Aを介して、コイルパターン200Aの外周端に接続されている。
【0026】
端子電極E1A,E2Aは、それぞれ引き出しパターン111A,211Aの延長であり、引き出しパターン111A,211Aと同じ導電材料からなる。端子電極E1A,E2Aは、コイルパターン100A,200Aや引き出しパターン111A,112A,211Aと同時に基板10の表面に形成され、その後、レーザービームの照射などによって、端子電極E1A,E2Aと重なる部分における基板10を除去することにより、基板10から突出した状態とされる。
【0027】
特に限定されるものではないが、コイルパターン100A,200Aはいずれもスパイラル状の5本のスリットによって径方向に6分割されている。例えば、コイルパターン200Aはライン201A〜206Aに6分割され、各ライン201A〜206Aが複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回されている。ライン201A〜206Aの内周端は、基板10を貫通して設けられたスルーホール導体T11〜T16を介して、コイルパターン100Aの対応するラインにそれぞれ接続される。具体的には、最も外周側に位置するライン201Aは、スルーホール導体T11を介して、コイルパターン100Aを構成する最も内側に位置するラインに接続され、最も内周側に位置するライン206Aは、スルーホール導体T16を介して、コイルパターン100Aを構成する最も外側に位置するラインに接続される。
【0028】
コイルパターン100B,200B,100C,200Cについても同様の構成を有していることから重複する説明は省略する。
【0029】
図5は、基板40及びその表面に形成されたコイルパターン300A,400A,500A,600Aの形状を説明するための略斜視図である。
【0030】
図5に示すように、コイルパターン300Aの外周端は端子電極E3Aに接続され、コイルパターン400Aの外周端は端子電極E4Aに接続されている。端子電極E3A,E4Aは、基板40上に形成されておらず、基板40から突出している。つまり、端子電極E3A,E4Aは、基板40とは重なりを有していない。端子電極E3Aは、基板40の一方の表面41に設けられた引き出しパターン311Aと、基板40の他方の表面42に設けられた引き出しパターン312Aを介して、コイルパターン300Aの外周端に接続されている。引き出しパターン311Aと引き出しパターン312Aは、基板40を貫通して設けられたスルーホール導体を介して互いに接続されている。一方、端子電極E4Aは、基板40の一方の表面41に設けられた引き出しパターン411Aを介して、コイルパターン400Aの外周端に接続されている。
【0031】
同様に、コイルパターン500Aの外周端は端子電極E5Aに接続され、コイルパターン600Aの外周端は端子電極E6Aに接続されている。端子電極E5A,E6Aは、基板40上に形成されておらず、基板40から突出している。つまり、端子電極E5A,E6Aは、基板40とは重なりを有していない。端子電極E5Aは、基板40の一方の表面41に設けられた引き出しパターン511Aと、基板40の他方の表面42に設けられた引き出しパターン512Aを介して、コイルパターン500Aの外周端に接続されている。引き出しパターン511Aと引き出しパターン512Aは、基板40を貫通して設けられたスルーホール導体を介して互いに接続されている。一方、端子電極E6Aは、基板40の一方の表面41に設けられた引き出しパターン611Aを介して、コイルパターン600Aの外周端に接続されている。
【0032】
端子電極E3A,E4E,E5A,E6Aは、それぞれ引き出しパターン311A,411A,511A,611Aの延長であり、引き出しパターン311A,411A,511A,611Aと同じ導電材料からなる。端子電極E3A,E4E,E5A,E6Aは、コイルパターン300A,400A,500A,600Aや引き出しパターン311A,312A,411A,511A,512A,611Aと同時に基板40の表面に形成され、その後、レーザービームの照射などによって、端子電極E3A,E4E,E5A,E6Aと重なる部分における基板40を除去することにより、基板40から突出した状態とされる。
【0033】
特に限定されるものではないが、コイルパターン300A,400A,500A,600Aはいずれもスパイラル状の5本のスリットによって径方向に6分割されている。例えば、コイルパターン400Aはライン401A〜406Aに6分割され、各ライン401A〜406Aが複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回されている。同様に、コイルパターン600Aはライン601A〜606Aに6分割され、各ライン601A〜606Aが複数ターンに亘ってスパイラル状に巻回されている。ライン401A〜406Aの内周端は、基板40を貫通して設けられたスルーホール導体T21〜T26を介して、コイルパターン300Aの対応するラインにそれぞれ接続される。同様に、ライン601A〜606Aの内周端は、基板40を貫通して設けられたスルーホール導体T31〜T36を介して、コイルパターン500Aの対応するラインにそれぞれ接続される。
【0034】
具体的には、最も外周側に位置するライン401Aは、スルーホール導体T21を介して、コイルパターン300Aを構成する最も内側に位置するラインに接続され、最も内周側に位置するライン406Aは、スルーホール導体T26を介して、コイルパターン300Aを構成する最も外側に位置するラインに接続される。同様に、最も外周側に位置するライン601Aは、スルーホール導体T31を介して、コイルパターン500Aを構成する最も内側に位置するラインに接続され、最も内周側に位置するライン606Aは、スルーホール導体T36を介して、コイルパターン500Aを構成する最も外側に位置するラインに接続される。
【0035】
コイルパターン300B,400B,500B,600B,300C,400C,500C,600Cについても同様の構成を有していることから重複する説明は省略する。
【0036】
本発明において、各コイルパターンを構成する各ターンを複数のラインに分割することは必須でないが、各ターンを複数のラインに分割することにより、電流密度分布の偏在が緩和される。さらに、上記のように基板の一方の表面に設けられたコイルパターンと基板の他方の表面に設けられたコイルパターンとで内外周の入れ替えを行えば、ライン間における内外周差が相殺されることから、電流密度分布がより均一化され、直流抵抗や交流抵抗をよりいっそう低減することが可能となる。
【0037】
図6(a)は引き出しパターンが形成された部分の模式的な断面図であり、図6(b)は端子電極が形成された部分の模式的な断面図である。
【0038】
図6(a)に示すように、コイルパターン100A,100B,100Cの外周端にそれぞれ接続された3つの引き出しパターン111A,111B,111Cは基板20,30を介して互いに重なり、コイルパターン200A,200B,200Cにそれぞれ接続された3つの引き出しパターン211A,211B,211Cは基板20,30を介して互いに重なる。また、コイルパターン300A,300B,300Cの外周端にそれぞれ接続された3つの引き出しパターン311A,311B,311Cは基板50,60を介して互いに重なり、コイルパターン400A,400B,400Cにそれぞれ接続された3つの引き出しパターン411A,411B,411Cは基板50,60を介して互いに重なる。同様に、コイルパターン500A,500B,500Cの外周端にそれぞれ接続された3つの引き出しパターン511A,511B,511Cは基板50,60を介して互いに重なり、コイルパターン600A,600B,600Cにそれぞれ接続された3つの引き出しパターン611A,611B,611Cは基板50,60を介して互いに重なる。
【0039】
以下、引き出しパターン111A,111B,111Cを単に引き出しパターン111と総称し、引き出しパターン211A,211B,211Cを単に引き出しパターン211と総称し、引き出しパターン311A,311B,311Cを単に引き出しパターン311と総称し、引き出しパターン411A,411B,411Cを単に引き出しパターン411と総称し、引き出しパターン511A,511B,511Cを単に引き出しパターン511と総称し、引き出しパターン611A,611B,611Cを単に引き出しパターン611と総称する。ここで、引き出しパターン111,211,311,411,511,611の平面位置は互いに異なっている。
【0040】
図6(b)に示すように、引き出しパターン111,211,311,411,511,611の延長線上には、端子電極E1,E2,E3,E4,E5,E6がそれぞれ位置する。ここで、端子電極E1は引き出しパターン111A,111B,111Cの延長である端子電極E1A,E1B,E1Cからなり、端子電極E2は引き出しパターン211A,211B,211Cの延長である端子電極E2A,E2B,E2Cからなり、端子電極E3は引き出しパターン311A,311B,311Cの延長である端子電極E3A,E3B,E3Cからなり、端子電極E4は引き出しパターン411A,411B,411Cの延長である端子電極E4A,E4B,E4Cからなり、端子電極E5は引き出しパターン511A,511B,511Cの延長である端子電極E5A,E5B,E5Cからなり、端子電極E6は引き出しパターン611A,611B,611Cの延長である端子電極E6A,E6B,E6Cからなる。
【0041】
端子電極E1は、基板10,20,30から突出しており、基板10,20,30とは重ならない位置に設けられていることから、対応する3つの端子電極E1A,E1B,E1Cを容易に接続することができる。他の端子電極E2,E3,E4,E5,E6についても同様である。3つの端子電極(例えばE1A,E1B,E1C)を接続する方法としては、特に限定されるものではないが、超音波接続により行うことができる。
【0042】
これにより、図7に示すように、コイルパターン100A,200Aからなるコイルと、コイルパターン100B,200Bからなるコイルと、コイルパターン100C,200Cからなるコイルが並列に接続され、センターコイルC0が構成されることになる。このように、センターコイルC0は、3つのコイルが並列に接続されていることから、1つのコイルのみを使用する場合と比べて約3倍の電流を流すことが可能となる。但し、本発明において並列に接続するコイルの数がこれに限定されるものではない。
【0043】
図8(a)は引き出しパターンが形成された部分の第1の変形例による模式的な断面図であり、図8(b)は端子電極が形成された部分の第1の変形例による模式的な断面図である。
【0044】
図8に示す第1の変形例では、基板40,50,60の表面にダミーパターン111D,211Dが設けられている。ここで、ダミーパターン111Dは、平面視で引き出しパターン111と重なる位置に設けられ、ダミーパターン211Dは、平面視で引き出しパターン211と重なる位置に設けられている。そして、ダミーパターン111Dの延長線上にはダミー電極D1が設けられ、ダミーパターン211Dの延長線上にはダミー電極D2が設けられている。ダミー電極D1,D2は、基板10,20,30,40,50,60とは重ならない位置に設けられており、それぞれ端子電極E1,E2と重なり、且つ、接続されている。このようなダミー電極D1,D2を用いれば、図8(b)に示す平坦なステージSに端子電極E1,E2,E3,E4,E5,E6を載置した状態で超音波接続を行うことができる。つまり、超音波接続を行う際に、端子電極E1,E2に曲げ応力が加わらないという利点が得られる。
【0045】
図9(a)は引き出しパターンが形成された部分の第2の変形例による模式的な断面図であり、図9(b)は端子電極が形成された部分の第2の変形例による模式的な断面図である。
【0046】
図9に示す第2の変形例では、基板10,20,30の表面にダミーパターン311D,411D,511D,611Dが設けられている。ここで、ダミーパターン311Dは、平面視で引き出しパターン311と重なる位置に設けられ、ダミーパターン411Dは、平面視で引き出しパターン411と重なる位置に設けられ、ダミーパターン511Dは、平面視で引き出しパターン511と重なる位置に設けられ、ダミーパターン611Dは、平面視で引き出しパターン611と重なる位置に設けられている。そして、ダミーパターン311Dの延長線上にはダミー電極D3が設けられ、ダミーパターン411Dの延長線上にはダミー電極D4が設けられ、ダミーパターン511Dの延長線上にはダミー電極D5が設けられ、ダミーパターン611Dの延長線上にはダミー電極D6が設けられている。ダミー電極D3,D4,D5,D6は、基板10,20,30,40,50,60とは重ならない位置に設けられており、それぞれ端子電極E3,E4,E5,E6と重なり、且つ、接続されている。このようなダミー電極D3,D4,D5,D6を用いれば、図9(b)に示す平坦なステージSに端子電極E1,E2,E3,E4,E5,E6を載置した状態で超音波接続を行う場合に、端子電極E1,E2に曲げ応力が加わらないという利点が得られるだけでなく、各端子電極E1,E2,E3,E4,E5,E6の超音波接続における条件を一致させることが可能となる。
【0047】
次に、各コイルパターンの平面形状について説明する。
【0048】
図10は、本実施形態によるコイル部品1を透過的に示す模式的な平面図である。
【0049】
図10において、ハッチングが付されている領域は、コイルパターンの最内周ターンから最外周ターンが含まれるコイル領域、つまり、コイルパターンの内径領域を除いた領域である。コイル領域内の具体的なパターン形状については後述する。
【0050】
図10に示すように、センターコイルC0のコイル領域の一部は、平面視で第1のサイドコイルC1のコイル領域と重なりを有しており、センターコイルC0のコイル領域の別の一部は、平面視で第2のサイドコイルC2のコイル領域と重なりを有している。第1のサイドコイルC1のコイル領域と第2のサイドコイルC2のコイル領域は重なりを有していない。第1のサイドコイルC1のコイル領域と第2のサイドコイルC2のコイル領域は、センターコイルC0のx方向における中心を軸として対称となる形状を有しており、且つ、センターコイルC0のx方向における中心を軸として対称となるよう配置されている。本実施形態においては、センターコイルC0及びサイドコイルC1,C2のコイル領域のy方向における幅については互いに同じである。
【0051】
センターコイルC0及びサイドコイルC1,C2は、それぞれ内径領域70〜72を有している。内径領域とは、コイルパターンによって囲まれた導体パターンの存在しない領域を指す。図10に示すように、本実施形態においては、センターコイルC0の内径領域70の一部は、第1のサイドコイルC1のコイル領域と重なっており、センターコイルC0の内径領域70の別の一部は、第2のサイドコイルC2のコイル領域と重なっている。また、第1のサイドコイルC1の内径領域71は、全てセンターコイルC0のコイル領域と重なっており、第2のサイドコイルC2の内径領域72は、全てセンターコイルC0のコイル領域と重なっている。
【0052】
このように、本実施形態によるコイル部品1を構成する3つのコイルC0〜C2は、互いにx方向位置が異なるよう配置されていることから、非接触電力伝送装置の送電コイルとして用いた場合、給電可能エリアがx方向に拡大される。例えば、受電コイルが領域X0に存在する場合にはセンターコイルC0を用いて給電し、受電コイルが領域X1に存在する場合には第1のサイドコイルC1を用いて給電し、受電コイルが領域X2に存在する場合には第2のサイドコイルC2を用いて給電することができる。領域X0と領域X1の境界については、例えば内径領域70と内径領域71の間に設定し、領域X0と領域X2の境界については、例えば内径領域70と内径領域72の間に設定すれば良い。
【0053】
図11は、本実施形態によるコイル部品1とこれに接続される周辺回路の回路図である。
【0054】
図11に示すように、センターコイルC0は、直列に接続されたコイルパターン100A,200Aと、直列に接続されたコイルパターン100B,200Bと、直列に接続されたコイルパターン100C,200Cが並列接続された構成を有している。同様に、第1のサイドコイルC1は、直列に接続されたコイルパターン300A,400Aと、直列に接続されたコイルパターン300B,400Bと、直列に接続されたコイルパターン300C,400Cが並列接続された構成を有している。第2のサイドコイルC2は、直列に接続されたコイルパターン500A,600Aと、直列に接続されたコイルパターン500B,600Bと、直列に接続されたコイルパターン500C,600Cが並列接続された構成を有している。
【0055】
本実施形態によるコイル部品1を非接触電力伝送装置の送電コイルとして用いる場合、スイッチ5を介して、センターコイルC0又はサイドコイルC1,C2を送電回路4に接続する。スイッチ5は、送電回路4とセンターコイルC0及びサイドコイルC1,C2を排他的に接続する回路であり、その切り替え制御は切替回路6によって行われる。これにより、送電回路4から出力される電流は、センターコイルC0及びサイドコイルC1,C2のいずれかに供給される。送電回路4、スイッチ5及び切替回路6は、後述する回路基板700に設けることができる。
【0056】
図12は、本実施形態によるコイル部品1を非接触電力伝送装置の送電コイルとして用いた場合における、ワイヤレス送電装置の外観を示す模式図である。
【0057】
図12に示す例では受電面3がxy平面を構成しており、受電面3にワイヤレス受電装置RXが載置される。ワイヤレス受電装置RXは例えばスマートフォンなどの携帯端末である。受電面3及びワイヤレス受電装置RXには、両者を正確に位置決めするための位置決め機構などが設けられておらず、ワイヤレス受電装置RXは、使用者によって受電面3に無造作に置かれる。そして、図12に示すように、受電面3に置かれたワイヤレス受電装置RXが領域X0に存在する場合には、図11に示した切替回路6によってセンターコイルC0が選択され、送電回路4からセンターコイルC0に電流を流すことによって、非接触でワイヤレス受電装置RXに電力伝送を行う。これに対し、仮に、受電面3に置かれたワイヤレス受電装置RXが領域X1に存在する場合には、切替回路6によって第1のサイドコイルC1が選択される。また、受電面3に置かれたワイヤレス受電装置RXが領域X2に存在する場合には、切替回路6によって第2のサイドコイルC2が選択される。これにより、ワイヤレス受電装置RXが受電面3のどの位置に置かれても、正しく電力伝送を行うことが可能となる。ワイヤレス受電装置RXの位置判定は、位置センサなどを用いて直接判定しても構わないし、コイル部品1のインピーダンスや電力波形の変化などを検出することによって間接的に行っても構わない。
【0058】
図13は、本実施形態によるコイル部品1を用いた非接触電力伝送装置の構成を示す模式図である。
【0059】
図13に示す非接触電力伝送装置は、ワイヤレス送電装置TXとワイヤレス受電装置RXからなるシステムであり、空間9を介して、ワイヤレス送電装置TXに含まれる送電コイルC0〜C2とワイヤレス受電装置RXに含まれる受電コイル7を対向させることにより、ワイヤレスで電力伝送を行う。送電コイルC0〜C2は、電源回路、インバータ回路、共振回路などを含む送電回路4に接続され、送電回路4から交流の電流が供給される。受電コイル7は、共振回路、整流回路、平滑回路などを含む受電回路8に接続される。そして、送電コイルC0〜C2と受電コイル7を向かい合わせることにより両者を磁気結合させれば、ワイヤレス送電装置TXからワイヤレス受電装置RXへ空間9を介してワイヤレスに電力を伝送することができる。
【0060】
送電コイルC0〜C2から見て空間9の反対側には磁性シート2が配置され、受電コイル7から見て空間9の反対側には磁性シート2が配置される。磁性シート2は、送電コイルC0〜C2及び受電コイル7のインダクタンスを高める役割を果たし、これにより、より効率的な電力伝送を行うことが可能となる。
【0061】
次に、端子電極E1〜E6を介したコイル部品1と回路基板の接続方法について説明する。
【0062】
図14は、コイル部品1と回路基板700を接続する第1の方法を説明するための模式図である。
【0063】
第1の接続方法では、貫通孔701が設けられた回路基板700の表面にコイル部品1を搭載し、端子電極E1〜E6を90°折り曲げて貫通孔701に挿入することによって、コイル部品1と回路基板700を接続している。このように、本実施形態によるコイル部品1は、端子電極E1〜E6が基板から突出していることから、端子電極E1〜E6を折り曲げ、貫通孔701に挿入することによって回路基板700に接続することができる。或いは、回路基板700にコネクタを搭載し、端子電極E1〜E6を折り曲げることなく、コネクタに端子電極E1〜E6を挿入する方法を用いても構わない。
【0064】
図15図17は、コイル部品1と回路基板700を接続する第2の方法を説明するための模式図である。
【0065】
第2の接続方法では、図15及び図16に示すコネクタ部材800が用いられる。コネクタ部材800は、6つのコネクタピン801〜806を有しており、これらコネクタピン801〜806は端子電極E1〜E6にそれぞれ接続される。コネクタピン801〜806は、銅などの金属からなる棒状体であり、90°折り曲げられた形状を有している。図16に示すように、コネクタピン801〜806は、樹脂などの絶縁材料からなる支持体810によって支持され、コネクタピン801〜806同士の間隔が一定に保たれる。コネクタピン801〜806と端子電極E1〜E6の接続は、超音波接続によって行うことが可能である。そして、図17に示すように、ソケット702が設けられた回路基板700にコイル部品1を搭載し、ソケット702にコネクタピン801〜806を差し込むことによって、コイル部品1と回路基板の電気的接続を確立することができる。コイル部品1の固定は、接着剤などを用いて行うことができる。
【0066】
このように、端子電極E1〜E6にそれぞれ接続されたコネクタピン801〜806を用いれば、コイル部品1と回路基板700の接続作業を容易に行うことが可能となる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0068】
例えば、上記実施形態によるコイル部品1は、1つのセンターコイルC0と2つのサイドコイルC1,C2を備えているが、本発明においてこの点は必須ではない。したがって、センターコイルC0のみからなるものであっても構わないし、サイドコイルC1又はC2のみからなるものであっても構わない。また、1つのセンターコイルC0と1つのサイドコイルC1からなるものであっても構わないし、2つのサイドコイルC1,C2からなるものであっても構わない。さらに、サイドコイルC1とサイドコイルC2が平面視で重ならない点も必須でなく、平面視で両者の一部が互いに重なりを有していても構わない。
【0069】
また、センターコイルC0やサイドコイルC1,C2を構成するコイルパターンの数や、各コイルパターンのターン数についても特に限定されない。さらに、上記実施形態においては、2つのコイルパターン(例えばコイルパターン100Aと200A)を基板の表裏に形成しているが、本発明においてこの点も必須でない。
【符号の説明】
【0070】
1 コイル部品
2 磁性シート
3 受電面
4 送電回路
5 スイッチ
6 切替回路
7 受電コイル
8 受電回路
9 空間
10,20,30,40,50,60 基板
11,21,31,41,51,61 基板の一方の表面
12,22,32,42,52,62 基板の他方の表面
70〜72 内径領域
100A,100B,100C,200A,200B,200C,300A,300B,300C,400A,400B,400C,500A,500B,500C,600A,600B,600C, コイルパターン
111A,111B,111C,112A,211A,211B,211C,311A,311B,311C,312A,411A,411B,411C,511A,511B,511C,512A,611A,611B,611C 引き出しパターン
111D,211D、311D,411D,511D,611D ダミーパターン
201A〜206A,401A〜406A,601A〜606A ライン
700 回路基板
701 貫通孔
702 ソケット
800 コネクタ部材
801〜806 コネクタピン
810 支持体
C0 センターコイル
C1,C2 サイドコイル
D1〜D6 ダミー電極
E1〜E6,E1A,E1B,E1C,E2A,E2B,E2C,E3A,E3B,E3C,E4A,E4B,E4C,E5A,E5B,E5C,E6A,E6B,E6C 端子電極
RX ワイヤレス受電装置
S ステージ
T11〜T16,T21〜T26,T31〜T36 スルーホール導体
TX ワイヤレス送電装置
X0〜X2 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17