【解決手段】本発明に係る電気化学デバイスは、蓄電素子と、容器とを具備する。蓄電素子が備える集電体は、捲回していない状態で主面が長方形形状であり、長手方向の一辺である第1の辺と第1の辺の反対側の辺である第2の辺を有し、第1の辺にリードが設けられ、所定間隔で複数の開口が設けられた開口領域と、開口が設けられてない非開口領域とを有し、非開口領域は、前第1の辺に沿って一定の幅を有する帯状の第1非開口領域と、第1非開口領域から第2の辺に向かって延伸し、一定の幅を有する帯状である複数の第2非開口領域を含み、複数の第2非開口領域のそれぞれは第1の辺に垂直である垂線に対して0度以上45度以下の角度で延伸する。容器は蓄電素子を収容し、リードが電気的に接続される外部端子を備える。
正極、負極及びセパレータを備え、前記正極と前記負極がセパレータを介して積層され、捲回された蓄電素子であって、前記正極と前記負極の少なくともいずれか一方である電極は、金属箔である集電体と、前記集電体の主面上に配置された活物質層と、前記集電体に電気的に接続されたリードとを備え、前記集電体は、捲回していない状態で前記主面が長方形形状であり、長手方向の一辺である第1の辺と前記第1の辺の反対側の辺である第2の辺を有し、前記第1の辺に前記リードが設けられ、所定間隔で複数の開口が設けられた開口領域と、開口が設けられてない非開口領域とを有し、前記非開口領域は、前記第1の辺に沿って一定の幅を有する帯状の第1非開口領域と、前記第1非開口領域から前記第2の辺に向かって延伸し、一定の幅を有する帯状である複数の第2非開口領域を含み、前記複数の第2非開口領域のそれぞれは前記第1の辺に垂直である垂線に対して0度以上45度以下の角度で延伸する蓄電素子と、
前記蓄電素子を収容し、前記リードが電気的に接続される外部端子を備える容器と
を具備するリチウムイオンキャパシタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、限られた面積では有効であり、電極が積層された積層型の電気化学デバイスでは有用であるが、電極長が長い捲回型の電気化学デバイスでは効果が限られる。また、特許文献2の構成では、貫通孔形成領域と非貫通孔形成領域を使い分けることで低抵抗化を実現しているが、貫通孔形成領域での抵抗低減効果が小さい。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、電極の抵抗が小さく、高出力特性を得ることが可能なリチウムイオンキャパシタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る電気化学デバイスは、蓄電素子と、容器とを備える。
上記蓄電素子は、正極、負極及びセパレータを備え、上記正極と上記負極がセパレータを介して積層され、捲回された蓄電素子であって、上記正極と上記負極の少なくともいずれか一方である電極は、金属箔である集電体と、上記集電体の主面上に配置された活物質層と、上記集電体に電気的に接続されたリードとを備え、上記集電体は、捲回していない状態で上記主面が長方形形状であり、長手方向の一辺である第1の辺と上記第1の辺の反対側の辺である第2の辺を有し、上記第1の辺に上記リードが設けられ、所定間隔で複数の開口が設けられた開口領域と、開口が設けられてない非開口領域とを有し、上記非開口領域は、上記第1の辺に沿って一定の幅を有する帯状の第1非開口領域と、上記第1非開口領域から上記第2の辺に向かって延伸し、一定の幅を有する帯状である複数の第2非開口領域を含み、上記複数の第2非開口領域のそれぞれは上記第1の辺に垂直である垂線に対して0度以上45度以下の角度で延伸する。
上記容器は、上記蓄電素子を収容し、上記リードが電気的に接続される外部端子を備える。
【0009】
この構成によれば、集電体に設けられた非開口領域は開口が設けられていないため、抵抗が小さく、導電経路として機能する。このため、集電体の各位置において電流は第2非開口領域を経由して第1非開口領域に流れ、第1非開口領域からリードに流れる。これにより、電極の長さが長くなっても集電体の抵抗を小さくすることが可能であり、高出力特性を有するリチウムイオンキャパシタとすることができる。
【0010】
上記第1非開口領域の幅は、上記第2非開口領域の幅より大きくてもよい。
【0011】
上記長手方向に沿った一方向を第1の方向とし、その反対側の方向を第2の方向とし、上記短手方向に沿って上記第1の辺から上記第2の辺に向かう方向を第3の方向としたときに、
上記複数の第2非開口領域は、上記垂線から上記第1の方向と上記第3の方向の間の方向に沿って延伸する複数の第1部分領域と、上記垂線から上記第2の方向と上記第3の方向の間の方向に沿って延伸する複数の第2部分領域とを含んでもよい。
【0012】
上記非開口領域は、さらに、上記第2の辺に沿って一定の幅を有する帯状の第3非開口領域を含んでもよい。
【0013】
上記複数の第2の非開口領域のピッチは、上記集電体の短手方向の幅より小さくてもよい。
【0014】
上記開口領域では、上記開口領域の面積に占める上記開口の面積比である開口率は10%以上35%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、電極長が長くても電極の抵抗が小さく、高出力特性を得ることが可能なリチウムイオンキャパシタを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの斜視図である。
【
図2】同リチウムイオンキャパシタの一部構成の斜視図である。
【
図3】同リチウムイオンキャパシタが備える蓄電素子の斜視図である。
【
図7】同蓄電素子の負極リード及び正極リードの模式図である。
【
図8】同蓄電素子の容器との電気的接続の態様を示す模式図である。
【
図9】同蓄電素子が備える負極の、負極集電体を示す平面図である。
【
図10】同蓄電素子が備える負極の負極集電体における、開口領域と非開口領域の配置を示す平面図である。
【
図11】同蓄電素子が備える負極の負極集電体における、開口領域に設けられた開口を示す平面図である。
【
図12】同蓄電素子が備える負極の負極集電体における、開口領域に設けられた開口を示す模式図である。
【
図13】同蓄電素子が備える負極の負極集電体における、開口領域に設けられた開口を示す模式図である。
【
図14】同蓄電素子が備える負極の負極集電体における、開口領域と非開口領域の配置を示す平面図である。
【
図15】同蓄電素子が備える負極の負極集電体における、非開口領域の延伸方向を示す模式図である。
【
図16】同蓄電素子が備える負極の負極集電体における、開口領域と非開口領域の配置を示す平面図である。
【
図17】同蓄電素子が備える負極の負極集電体における、開口領域と非開口領域の配置を示す平面図である。
【
図18】同蓄電素子が備える負極の負極集電体における、開口領域と非開口領域の配置を示す平面図である。
【
図19】本発明の実施例に係る測定結果を示す表である。
【
図20】本発明の実施例に係る測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るリチウムイオンキャパシタについて説明する。
【0018】
[リチウムイオンキャパシタの構成]
図1は本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタ100の斜視図であり、
図2はリチウムイオンキャパシタ100の一部構成の斜視図である。なお、以下の図においてX、Y及びZ方向は相互に直交する3方向である。
【0019】
図1及び
図2に示すように、リチウムイオンキャパシタ100は、蓄電素子110及び容器120を備える。リチウムイオンキャパシタ100は円柱形状を有し、例えば直径(X−Y方向)18mm、長さ(Z方向)65mmとすることができる。
【0020】
図1に示すように、外装缶121に加工し、絶縁用ガスケットを介して正極端子122を挿入、さらに加工することで封口部122を形成した。
【0021】
外装缶121は金属からなり、缶底部121aと側壁部121bを有する。缶底部121aは円板形状を有する。側壁部121bは、缶底部121aの周縁に連続する円筒形状を有する。側壁部121bは絶縁性フィルムによって被覆されていてもよい。
【0022】
封口体122は金属からなり、側壁部121bに接合され、外装缶121の内部空間を封止する。封口体122の構成については後述する。
【0023】
図2に示すように、外装缶121に蓄電素子110及び図示しない電解液が収容され、封口体122によって封止されることにより、リチウムイオンキャパシタ100が形成されている。
【0024】
図3は、蓄電素子110の斜視図であり、
図4は蓄電素子110の拡大断面図である。これらの図に示すように、蓄電素子110は、負極130、正極140及びセパレータ150を有し、これらが積層された積層体が捲回されて構成されている。
【0025】
負極130は、
図4に示すように、負極集電体131及び負極活物質層132を有する。負極集電体131は、導電性材料からなり、銅箔等の金属箔であるものとすることができる。負極集電体131には、特定の配置で開口が設けられている。この開口については後述する。
【0026】
負極活物質層132は、負極集電体131の表裏両面上に形成されている。負極活物質層132の材料は、負極活物質がバインダ樹脂と混合されたものとすることができ、さらに導電助材を含んでもよい。負極活物質は、例えばハードカーボン、グラファイト又はソフトカーボン等の炭素系材料等とすることができる。
【0027】
バインダ樹脂は、負極活物質を接合する合成樹脂であり、例えばカルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、フッ素系ゴム、ポリビニリデンフルオライド、イソプレンゴム、ブタジエンゴム及びエチレンプロピレン系ゴム等とすることができる。
【0028】
導電助剤は、導電性材料からなる粒子であり、負極活物質の間での導電性を向上させる。導電助剤は、例えば、黒鉛やカーボンブラック等の炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、導電助剤は、電気化学的に安定かつ導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などであってもよい。
【0029】
図5は捲回前の負極130を示す平面図である。同図に示すように、負極集電体131の表面の大部分には負極活物質層132が積層されている。また、負極集電体131の裏面にも同様に図示しない負極活物質層132が積層されている。
【0030】
さらに、負極130は負極リード133を備える。負極リード133は、負極集電体131の一部が突出して形成されている。負極リード133は、後述するように外装缶121に接続され、外装缶121と負極130を電気的に接続させる。
【0031】
なお、負極リード133は、負極集電体131の一部が突出して形成されたものに限られず、負極集電体131に電気的に接続された、負極集電体131とは別の板状又は箔状部材であってもよい。負極リード133の数は
図5に示す2つに限られず、1つ以上の任意の数とすることができる。
【0032】
正極140は、
図4に示すように、正極集電体141及び正極活物質層142を有する。正極集電体141は、導電性材料からなり、アルミニウム箔等の金属箔であるものとすることができる。正極集電体141は表面が化学的あるいは機械的に粗面化された金属箔や、貫通孔が形成された金属箔が好適である。
【0033】
正極活物質層142は、正極集電体141の表裏両面上に形成されている。正極活物質層142の材料は、正極活物質がバインダ樹脂と混合されたものとすることができ、さらに導電助材を含んでもよい。正極活物質は、例えば活性炭又はPAS(Polyacenic Semiconductor:ポリアセン系有機半導体)等とすることができる。
【0034】
バインダ樹脂は、正極活物質を接合する合成樹脂であり、例えばカルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、フッ素系ゴム、ポリビニリデンフルオライド、イソプレンゴム、ブタジエンゴム及びエチレンプロピレン系ゴム等とすることができる。
【0035】
導電助剤は、導電性材料からなる粒子であり、正極活物質の間での導電性を向上させる。導電助剤は、例えば、黒鉛やカーボンブラック等の炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、導電助剤は、電気化学的に安定かつ導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などであってもよい。
【0036】
図6は捲回前の正極140を示す平面図である。同図に示すように、正極集電体141の表面の大部分には正極活物質層142が積層されている。また、正極集電体141の裏面にも同様に図示しない正極活物質層142が積層されている。
【0037】
さらに、正極140は正極リード143を備える。正極リード143は、板状又は箔状の金属からなり、正極集電体141上において正極活物質層142が塗布されていない領域に接続されている。正極リード143は、正極集電体141と同一材料からなり、例えばアルミニウムからなるものとすることができる。正極リード143は、後述するように正極端子122に接続され、正極端子122と正極140を電気的に接続させる。
【0038】
なお、正極リード143は、正極集電体141の一部が突出して形成されたものであってもよい。正極リード143の数は1つ以上に限られず、2つ以上であってもよい。
【0039】
セパレータ150は負極130と正極140の間に配置され、負極130と正極140を絶縁すると共に電解液中に含まれるイオンを透過する。セパレータ150は、織布、不織布、ガラス繊維、セルロース繊維又はプラスチック繊維等からなる多孔質シートとすることができる。
【0040】
リチウムイオンキャパシタ100は以上のように構成されている。蓄電素子110と共に容器120に収容される電解液は、リチウムイオンキャパシタ100の種類に応じて任意に選択することが可能である。
【0041】
[蓄電素子と外装缶の電気的接続について]
リチウムイオンキャパシタ100では、蓄電素子110は容器120に電気的に接続され、容器120を介して蓄電素子110の充電及び放電が行われる。
【0042】
図7は蓄電素子110の模式的な断面図である。同図に示すように、負極130及び正極140はセパレータ150によって隔てられた状態で捲回されている。同図に示すように、捲回中心の孔を中心孔Sとする。負極リード133は負極130から蓄電素子110の片側(
図7中、下方)に突出し、正極リード143は正極140から反対側(
図7中、上方)に突出する。
【0043】
図8は、蓄電素子110と容器120との電気的接続を示す模式図である。同図に示すように、負極リード133は外装缶121に接合され、外装缶121の缶底部121aは負極端子として機能する。正極リード143は正極端子122に接合される。
【0044】
[負極集電体について]
負極集電体131には上述のように、特定の配置で開口が設けられている。
図9は、負極集電体131及び負極リード133を示す模式図であり、負極130から負極活物質層132を除いた状態を示す。
【0045】
同図に示すように、負極集電体131は、長方形形状を有し、長手方向の一辺には負極リード133が設けられている。以下、負極集電体131の長手方向の辺のうち、負極リード133が設けられている辺を第1の辺M1とし、第1の辺131aの反対側の辺を第2の辺M2とする。
【0046】
図10は、負極集電体131上の領域を示す模式図である。同図に示すように、負極集電体131の主面上には開口領域135(図中、斜線領域)と非開口領域136が設けられている。開口領域135は、開口が設けられている領域である。
【0047】
図11は、開口領域135の拡大図である。同図に示すように、開口領域135には、複数の開口137が設けられている。開口137は負極集電体131の表裏両面に連通する円形の貫通孔であり、開口領域135において規則的に配列している。
【0048】
図12は、開口137の配列を示す模式図である。同図に示すように開口137は、中心点を結ぶ線Aが60°の角度で交差するように配列しているものとすることができる。開口領域135における開口率、即ち開口領域135の面積に占める開口137の面積比は10%以上35%以下が好適である。一例として、孔径D80μm、ピッチP150μmとすると開口率は27.6%となる。
【0049】
図13は、開口領域135と非開口領域136における開口137の配置を示す模式図である。同図に示すように、非開口領域136は開口137が設けられていない領域であり、非開口領域136の幅Wは、開口領域135周縁の開口137の中心点を結ぶ線Aの間隔とすることができる。
【0050】
図14は、非開口領域136の配置を示す模式図であり、
図15は
図14の拡大図である。これらの図に示すように非開口領域136は、第1非開口領域136a、第2非開口領域136b及び第3非開口領域136cを含む。
【0051】
第1非開口領域136aは、上記第1の辺M1に沿って一定の幅を有する帯状の領域である。
図15において第1非開口領域136aの幅を幅W1として示す。
【0052】
また第3非開口領域136cは、上記第2の辺M2に沿って一定の幅を有する帯状の領域である。
図15において第3非開口領域136cの幅を幅W3として示す。
【0053】
第2非開口領域136bは、第1非開口領域136aから第2の辺M2に向かって延伸し、一定の幅を有する帯状の領域である。第2非開口領域136bは、第1部分領域136d及び第2部分領域136eを含む。
【0054】
以下、
図15に示すように、第1の辺M1に垂直な線を垂線Lhとする。また、負極集電体131の長手方向(X方向)に沿った一方向を第1の方向H1とし、その反対側の方向を第2の方向H2とする。
【0055】
さらに、負極集電体131の短手方向(Z方向)に沿って第1の辺M1から第2の辺M2に向かう方向を第3の方向H3とする。また、第1の方向H1と第3の方向H3の間の方向を第4の方向H4とし、第2の方向H2と第3の方向H3の間の方向を第5の方向H5とする。
【0056】
第1部分領域136dは、垂線Lhから第4の方向H4に沿って延伸する。
図15において第1部分領域136dの中心線を線L4として示す。垂線Lhと線L4のなす角θは0°以上45°以下が好適である。第1部分領域136dの数は特に限定されず、2つ以上であればよい。
【0057】
第2部分領域136eは、垂線Lhから第5の方向H5に沿って延伸する。
図15において第2部分領域136eの中心線を線L5として示す。垂線Lhと線L5のなす角θ'は0°以上45°以下が好適である。第2部分領域136eの数は特に限定されず、2つ以上であればよい。
【0058】
図15に第1部分領域136dの幅を幅W2aとし、第2部分領域136eの幅を幅W2bとする。孔径D80μm、ピッチP150μmである場合、幅W2a及び幅W2bは、0.14mmより大きく2mm以下が好適であり、上記第1非開口領域136aの幅W1は幅W2a及び幅W2bより大きい幅が好適である。
【0059】
また、線L4の間隔、即ち第1部分領域136dのピッチをピッチR1とし、線L5の間隔、即ち第2部分領域136eのピッチをピッチR2とする。ピッチR1及びピッチR2は負極集電体131の短手方向(Z方向)の幅Hより小さいものが好適である。
【0060】
[効果について]
リチウムイオンキャパシタ100では、製造時にリチウムイオンのプレドープを行う必要がある。金属リチウムを負極130に電気的に接続し、電解液に浸漬させると、金属リチウムからリチウムイオンが溶出し、電解液中を移動して負極活物質層132にドープされる。
【0061】
負極集電体131に開口137を設けることにより、リチウムイオンが開口137を通過して拡散しやすくなり、蓄電素子110の全体に均等にドープされる。しかしながら、負極集電体131の全体に開口137を設けると、負極集電体131の抵抗が大きくなり、リチウムイオンキャパシタ100の出力が低下する。特に負極集電体131の長手方向の長さが大きくなると負極集電体131の抵抗増加がより問題となる。
【0062】
これに対し、上記のように非開口領域136を設けることにより、電流が開口137が存在しない非開口領域136を流れ、負極集電体131での抵抗を低下させることができる。
【0063】
特に、負極リード133が設けられる第1の辺M1に沿って第1非開口領域136aを設け、第1非開口領域136aから第2の辺M2に向かって第2非開口領域136bを延伸させることにより、第1非開口領域136a及び第2非開口領域136bが導通経路となり、負極集電体131の各位置から負極リード133に向かって電流が流れやすくなる。
【0064】
また、第1非開口領域136aの幅W1を、第2非開口領域136bの幅W2a及び幅W2bより大きくすることにより、第1非開口領域136aでの抵抗がより小さくなり、第2非開口領域136bから第1非開口領域136aに電流が流入しやすくなる。
【0065】
加えて、第2非開口領域136bのピッチR1及びピッチR2を負極集電体131の短手方向の幅Hより小さくすることにより、第2非開口領域136bを通過する導通経路が最短となり、より多くの電流を第2非開口領域136bを介して第1非開口領域136aに流入させることが可能である。
【0066】
[その他の構成について]
負極集電体131における開口領域135及び非開口領域136の配置は上述のものに限られない。
図16乃至
図18は、開口領域135及び非開口領域136の他の配置を示す模式図である。
【0067】
図16に示すように、非開口領域136は、第3非開口領域136cを有さず、第1非開口領域136a及び第2非開口領域136bのみを有するものであってもよい。
【0068】
また、
図17に示すように第2非開口領域136bは第1部分領域136dのみから構成され、第2部分領域136eを有しないものであってもよい。なお、この構成において、非開口領域136は第3非開口領域136cを有さないものであってもよい。
【0069】
さらに、
図18に示すように第2非開口領域136bは、負極集電体131の長手方向に垂直、即ち垂線Lhとのなす角θが0°であってもよい。この構成においても、非開口領域136は第3非開口領域136cを有さないものであってもよい。
【0070】
上記説明では、負極集電体131における開口領域と非開口領域の配置について説明したが、正極集電体141においても負極集電体131と同様に開口領域と非開口領域を配置することも可能である。
【実施例】
【0071】
実施例として、上記実施形態において説明した構成を有し、種々の電極長(長手方向の長さ)とした正極及び負極を備えるリチウムイオンキャパシタを作成した。負極は開口率:25%、孔径D(
図12参照):0.1mm、幅W1及び幅W2(
図15参照):2mm、幅W1a及び幅W2a(
図15参照):1.5mm、角度θ及び角度θ'(
図15参照):30°とした。
【0072】
また、比較例として、種々の電極長とした正極と負極を備えるリチウムイオンキャパシタを作成した。負極は非開口領域(
図10参照)が設けられていない他は実施例に係る負極と同一の構成を有する。
【0073】
実施例及び比較例に係るリチウムイオンキャパシタについて、静電容量と直流抵抗の測定を行った。静電容量の測定は、静電容量の10倍である25F(=250mA)の電流で充電し、3.8Vに到達したら30分間3.8Vで保持した。その後、静電容量の1倍である25F(=25mA)の電流で放電し、2.2Vに到達するまでの時間を測定した。静電容量は以下の(式1)により求めた。
【0074】
静電容量=(放電電流:A)*(放電時間:sec)/(充電電圧:3.8V−放電終了電圧:2.2V) (式1)
【0075】
直流抵抗の測定は、静電容量の10倍である25F(=250mA)の電流で充電し、3.8Vに到達したら30分間3.8Vで保持した。その後、静電容量の10倍である25F(=25mA)の電流で充電し、2.2Vに到達するまでの時間を測定した。放電後5秒以降の放電曲線と近似する直線から、以下の(式2)に示すように放電直後の電圧降下を見積直流抵抗とした。
【0076】
直線から求められる放電直後の電圧:V、充電電圧V
0
直流抵抗=(V−V
0)/(放電電流:A) (式2)
【0077】
また、静電容量(F)と直流抵抗(Ω)の積である時定数(F・Ω)を算出した。
図19は、測定結果を示す表であり、
図20は測定結果を示すグラフである。これらの図に示すように、本実施形態の構成とすることにより、電極長が長くなっても、抵抗の上昇が抑制されていることがわかる。