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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-194944(P2020-194944A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】熱処理方法および熱処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/26 20060101AFI20201106BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20201106BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20201106BHJP
【FI】
   H01L21/26 T
   H01L21/265 602B
   H01L21/26 J
   H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-101369(P2019-101369)
(22)【出願日】2019年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】繁桝 翔伍
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆泰
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131AA33
5F131AA34
5F131BA23
5F131BA24
5F131BA39
5F131CA03
5F131CA07
5F131DA02
5F131DA22
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB14
5F131DB62
5F131DB72
5F131DB76
5F131DD03
5F131EA02
5F131EB54
5F131EB72
5F131GA05
5F131GA32
5F131HA22
5F131HA25
5F131HA28
5F131KA23
5F131KA44
5F131KA47
5F131KA55
(57)【要約】
【課題】熱処理中の基板の反りを検出することができる熱処理方法および熱処理装置を提供する。
【解決手段】チャンバー内にて石英のサセプタに保持された半導体ウェハーに対してハロゲンランプからの光照射によって予備加熱を行った後に、フラッシュランプからフラッシュ光を照射する。予備加熱で昇温する半導体ウェハーの温度を端縁部放射温度計で測定するととともに、サセプタの温度を中央部放射温度計で測定する。端縁部放射温度計によるの測定温度の時間微分または中央部放射温度計による測定温度の時間微分が急激に変化する特異変化点が現出したときに、半導体ウェハーに反りが発生したと判定する。反りが発生したと判定された半導体ウェハーへのフラッシュ光照射を省略して当該半導体ウェハーをチャンバーから搬出し、後続の半導体ウェハーをチャンバー内に搬入する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法であって、
基板をチャンバー内に搬入してサセプタに保持させる搬入工程と、
前記サセプタに保持された前記基板に連続点灯ランプから光を照射する光照射工程と、
前記基板の温度を第1放射温度計によって測定する第1温度測定工程と、
前記サセプタの温度を第2放射温度計によって測定する第2温度測定工程と、
前記第1放射温度計による測定温度の時間微分または前記第2放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定する判定工程と、
を備えることを特徴とする熱処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の熱処理方法において、
前記判定工程では、前記第1放射温度計による測定温度の時間微分が第1閾値以上に変化したとき、または、前記第2放射温度計による測定温度の時間微分が第2閾値以上に変化したときに前記基板に反りが発生したと判定することを特徴とする熱処理方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の熱処理方法において、
前記判定工程では、光照射によって昇温する前記基板の温度が所定値未満のときには前記第2放射温度計による測定温度の時間微分によって判定し、前記所定値以上のときには前記第1放射温度計による測定温度の時間微分によって判定することを特徴とする熱処理方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱処理方法において、
前記判定工程では、前記第1放射温度計による測定温度の時間微分および前記第2放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定することを特徴とする熱処理方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱処理方法において、
前記光照射工程の後に、前記基板にフラッシュランプからフラッシュ光を照射するフラッシュ工程をさらに備え、
前記判定工程にて前記基板に反りが発生したと判定されたときには、前記基板へのフラッシュ光照射を省略して前記基板を前記チャンバーから搬出するとともに、前記基板の後続基板を前記チャンバー内に搬入することを特徴とする熱処理方法。
【請求項6】
基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法であって、
基板をチャンバー内に搬入してサセプタに保持させる搬入工程と、
前記サセプタに保持された前記基板に連続点灯ランプから光を照射する光照射工程と、
前記基板の温度を放射温度計によって測定する温度測定工程と、
前記放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定する判定工程と、
を備えることを特徴とする熱処理方法。
【請求項7】
基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法であって、
基板をチャンバー内に搬入してサセプタに保持させる搬入工程と、
前記サセプタに保持された前記基板に連続点灯ランプから光を照射する光照射工程と、
前記サセプタの温度を放射温度計によって測定する温度測定工程と、
前記放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定する判定工程と、
を備えることを特徴とする熱処理方法。
【請求項8】
基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
基板を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内にて前記基板を保持するサセプタと、
前記サセプタに保持された前記基板に光を照射する連続点灯ランプと、
前記基板の温度を測定する第1放射温度計と、
前記サセプタの温度を測定する第2放射温度計と、
前記第1放射温度計による測定温度の時間微分または前記第2放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定する判定部と、
を備えることを特徴とする熱処理装置。
【請求項9】
請求項8記載の熱処理装置において、
前記判定部は、前記第1放射温度計による測定温度の時間微分が第1閾値以上に変化したとき、または、前記第2放射温度計による測定温度の時間微分が第2閾値以上に変化したときに前記基板に反りが発生したと判定することを特徴とする熱処理装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9記載の熱処理装置において、
前記判定部は、光照射によって昇温する前記基板の温度が所定値未満のときには前記第2放射温度計による測定温度の時間微分によって判定し、前記所定値以上のときには前記第1放射温度計による測定温度の時間微分によって判定することを特徴とする熱処理装置。
【請求項11】
請求項8から請求項10のいずれかに記載の熱処理装置において、
前記判定部は、前記第1放射温度計による測定温度の時間微分および前記第2放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定することを特徴とする熱処理装置。
【請求項12】
請求項8から請求項11のいずれかに記載の熱処理装置において、
前記連続点灯ランプからの光照射の後に、前記基板にフラッシュ光を照射するフラッシュランプをさらに備え、
前記判定部が前記基板に反りが発生したと判定したときには、前記基板へのフラッシュ光照射を省略して前記基板を前記チャンバーから搬出するとともに、前記基板の後続基板を前記チャンバー内に搬入することを特徴とする熱処理装置。
【請求項13】
基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
基板を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内にて前記基板を保持するサセプタと、
前記サセプタに保持された前記基板に光を照射する連続点灯ランプと、
前記基板の温度を測定する放射温度計と、
前記放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定する判定部と、
を備えることを特徴とする熱処理装置。
【請求項14】
基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
基板を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内にて前記基板を保持するサセプタと、
前記サセプタに保持された前記基板に光を照射する連続点灯ランプと、
前記サセプタの温度を測定する放射温度計と、
前記放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定する判定部と、
を備えることを特徴とする熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハー等の薄板状精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法および熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するフラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリ秒以下)に昇温させる熱処理技術である。
【0003】
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。
【0004】
このようなフラッシュランプアニールは、極短時間の加熱が必要とされる処理、例えば典型的には半導体ウェハーに注入された不純物の活性化に利用される。イオン注入法によって不純物が注入された半導体ウェハーの表面にフラッシュランプからフラッシュ光を照射すれば、当該半導体ウェハーの表面を極短時間だけ活性化温度にまで昇温することができ、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
【0005】
このようなキセノンフラッシュランプを使用した熱処理装置として、特許文献1には、半導体ウェハーの表面側にフラッシュランプを配置するとともに裏面側にハロゲンランプを配置し、それらの組み合わせによって所望の熱処理を行うものが開示されている。特許文献1に開示の熱処理装置においては、サセプタに保持された半導体ウェハーをハロゲンランプによってある程度の温度にまで予備加熱し、その後フラッシュランプからのフラッシュ光照射によって所望の処理温度にまで昇温している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−164451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示される熱処理において、半導体ウェハーをハロゲンランプによって予備加熱したときに、薄板状の半導体ウェハーが反ることがある。半導体ウェハーが反る要因としては、ハロゲンランプの熱処理パターンに由来するものとウェハー自体に問題がある場合とがある。いずれの場合であっても、半導体ウェハーが沿った状態でフラッシュランプから極短時間の強いフラッシュ光を照射すると、半導体ウェハーが割れるおそれがある。ウェハー割れが発生すると、その半導体ウェハーを無駄に消費するだけでなく、チャンバー内が多量のパーティクルによって汚染され、復旧作業に多大の時間を要することとなる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱処理中の基板の反りを検出することができる熱処理方法および熱処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法において、基板をチャンバー内に搬入してサセプタに保持させる搬入工程と、前記サセプタに保持された前記基板に連続点灯ランプから光を照射する光照射工程と、前記基板の温度を第1放射温度計によって測定する第1温度測定工程と、前記サセプタの温度を第2放射温度計によって測定する第2温度測定工程と、前記第1放射温度計による測定温度の時間微分または前記第2放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定する判定工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る熱処理方法において、前記判定工程では、前記第1放射温度計による測定温度の時間微分が第1閾値以上に変化したとき、または、前記第2放射温度計による測定温度の時間微分が第2閾値以上に変化したときに前記基板に反りが発生したと判定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る熱処理方法において、前記判定工程では、光照射によって昇温する前記基板の温度が所定値未満のときには前記第2放射温度計による測定温度の時間微分によって判定し、前記所定値以上のときには前記第1放射温度計による測定温度の時間微分によって判定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記判定工程では、前記第1放射温度計による測定温度の時間微分および前記第2放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記光照射工程の後に、前記基板にフラッシュランプからフラッシュ光を照射するフラッシュ工程をさらに備え、前記判定工程にて前記基板に反りが発生したと判定されたときには、前記基板へのフラッシュ光照射を省略して前記基板を前記チャンバーから搬出するとともに、前記基板の後続基板を前記チャンバー内に搬入することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の発明は、基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法において、基板をチャンバー内に搬入してサセプタに保持させる搬入工程と、前記サセプタに保持された前記基板に連続点灯ランプから光を照射する光照射工程と、前記基板の温度を放射温度計によって測定する温度測定工程と、前記放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定する判定工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項7の発明は、基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法において、基板をチャンバー内に搬入してサセプタに保持させる搬入工程と、前記サセプタに保持された前記基板に連続点灯ランプから光を照射する光照射工程と、前記サセプタの温度を放射温度計によって測定する温度測定工程と、前記放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定する判定工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項8の発明は、基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内にて前記基板を保持するサセプタと、前記サセプタに保持された前記基板に光を照射する連続点灯ランプと、前記基板の温度を測定する第1放射温度計と、前記サセプタの温度を測定する第2放射温度計と、前記第1放射温度計による測定温度の時間微分または前記第2放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9の発明は、請求項8の発明に係る熱処理装置において、前記判定部は、前記第1放射温度計による測定温度の時間微分が第1閾値以上に変化したとき、または、前記第2放射温度計による測定温度の時間微分が第2閾値以上に変化したときに前記基板に反りが発生したと判定することを特徴とする。
【0018】
また、請求項10の発明は、請求項8または請求項9の発明に係る熱処理装置において、前記判定部は、光照射によって昇温する前記基板の温度が所定値未満のときには前記第2放射温度計による測定温度の時間微分によって判定し、前記所定値以上のときには前記第1放射温度計による測定温度の時間微分によって判定することを特徴とする。
【0019】
また、請求項11の発明は、請求項8から請求項10のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記判定部は、前記第1放射温度計による測定温度の時間微分および前記第2放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定することを特徴とする。
【0020】
また、請求項12の発明は、請求項8から請求項11のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記連続点灯ランプからの光照射の後に、前記基板にフラッシュ光を照射するフラッシュランプをさらに備え、前記判定部が前記基板に反りが発生したと判定したときには、前記基板へのフラッシュ光照射を省略して前記基板を前記チャンバーから搬出するとともに、前記基板の後続基板を前記チャンバー内に搬入することを特徴とする。
【0021】
また、請求項13の発明は、基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内にて前記基板を保持するサセプタと、前記サセプタに保持された前記基板に光を照射する連続点灯ランプと、前記基板の温度を測定する放射温度計と、前記放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
【0022】
また、請求項14の発明は、基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内にて前記基板を保持するサセプタと、前記サセプタに保持された前記基板に光を照射する連続点灯ランプと、前記サセプタの温度を測定する放射温度計と、前記放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに前記基板に反りが発生したと判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1から請求項5の発明によれば、基板の温度を測定する第1放射温度計による測定温度の時間微分またはサセプタの温度を測定する第2放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに基板に反りが発生したと判定するため、目視等で確認することなく熱処理中の基板の反りを検出することができる。
【0024】
特に、請求項5の発明によれば、基板に反りが発生したと判定されたときには、基板へのフラッシュ光照射を省略して基板をチャンバーから搬出するとともに、後続基板をチャンバー内に搬入するため、基板の割れを未然に防止して処理効率の低下を防ぐことができる。
【0025】
請求項6の発明によれば、基板の温度を測定する放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに基板に反りが発生したと判定するため、目視等で確認することなく熱処理中の基板の反りを検出することができる。
【0026】
請求項7の発明によれば、サセプタの温度を測定する放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに基板に反りが発生したと判定するため、目視等で確認することなく熱処理中の基板の反りを検出することができる。
【0027】
請求項8から請求項12の発明によれば、基板の温度を測定する第1放射温度計による測定温度の時間微分またはサセプタの温度を測定する第2放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに基板に反りが発生したと判定するため、目視等で確認することなく熱処理中の基板の反りを検出することができる。
【0028】
特に、請求項12の発明によれば、基板に反りが発生したと判定したときには、基板へのフラッシュ光照射を省略して基板をチャンバーから搬出するとともに、後続基板をチャンバー内に搬入するため、基板の割れを未然に防止して処理効率の低下を防ぐことができる。
【0029】
請求項13の発明によれば、基板の温度を測定する放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに基板に反りが発生したと判定するため、目視等で確認することなく熱処理中の基板の反りを検出することができる。
【0030】
請求項14の発明によれば、サセプタの温度を測定する放射温度計による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに基板に反りが発生したと判定するため、目視等で確認することなく熱処理中の基板の反りを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る熱処理装置の構成を示す縦断面図である。
図2】保持部の全体外観を示す斜視図である。
図3】サセプタの平面図である。
図4】サセプタの断面図である。
図5】移載機構の平面図である。
図6】移載機構の側面図である。
図7】複数のハロゲンランプの配置を示す平面図である。
図8】熱処理装置における処理手順を示すフローチャートである。
図9】端縁部放射温度計によって測定された半導体ウェハーの温度プロファイルの一例を示す図である。
図10】中央部放射温度計によって測定されたサセプタの温度プロファイルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。図1の熱処理装置1は、基板として円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。処理対象となる半導体ウェハーWのサイズは特に限定されるものではないが、例えばφ300mmやφ450mmである(本実施形態ではφ300mm)。熱処理装置1に搬入される前の半導体ウェハーWには不純物が注入されており、熱処理装置1による加熱処理によって注入された不純物の活性化処理が実行される。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
【0034】
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。さらに、熱処理装置1は、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
【0035】
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
【0036】
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
【0037】
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。
【0038】
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
【0039】
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガスを供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83は処理ガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、処理ガス供給源85から緩衝空間82に処理ガスが送給される。緩衝空間82に流入した処理ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。処理ガスとしては、例えば窒素(N)等の不活性ガス、または、水素(H)、アンモニア(NH)等の反応性ガス、或いはそれらを混合した混合ガスを用いることができる(本実施形態では窒素ガス)。
【0040】
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。
【0041】
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
【0042】
排気部190としては、真空ポンプや熱処理装置1が設置される工場の排気ユーティリティを用いることができる。排気部190として真空ポンプを採用し、バルブ84を閉止してガス供給孔81から何らのガス供給を行うことなく密閉空間である熱処理空間65の雰囲気を排気すると、チャンバー6内を真空雰囲気にまで減圧することができる。また、排気部190として真空ポンプを用いていない場合であっても、ガス供給孔81からガス供給を行うことなく排気を行うことにより、チャンバー6内を大気圧未満の気圧に減圧することができる。
【0043】
図2は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプタ74を備えて構成される。基台リング71、連結部72およびサセプタ74はいずれも石英にて形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英にて形成されている。
【0044】
基台リング71は円環形状から一部が欠落した円弧形状の石英部材である。この欠落部分は、後述する移載機構10の移載アーム11と基台リング71との干渉を防ぐために設けられている。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図1参照)。基台リング71の上面に、その円環形状の周方向に沿って複数の連結部72(本実施形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。
【0045】
サセプタ74は基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。図3は、サセプタ74の平面図である。また、図4は、サセプタ74の断面図である。サセプタ74は、保持プレート75、ガイドリング76および複数の基板支持ピン77を備える。保持プレート75は、石英にて形成された略円形の平板状部材である。保持プレート75の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、保持プレート75は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。
【0046】
保持プレート75の上面周縁部にガイドリング76が設置されている。ガイドリング76は、半導体ウェハーWの直径よりも大きな内径を有する円環形状の部材である。例えば、半導体ウェハーWの直径がφ300mmの場合、ガイドリング76の内径はφ320mmである。ガイドリング76の内周は、保持プレート75から上方に向けて広くなるようなテーパ面とされている。ガイドリング76は、保持プレート75と同様の石英にて形成される。ガイドリング76は、保持プレート75の上面に溶着するようにしても良いし、別途加工したピンなどによって保持プレート75に固定するようにしても良い。或いは、保持プレート75とガイドリング76とを一体の部材として加工するようにしても良い。
【0047】
保持プレート75の上面のうちガイドリング76よりも内側の領域が半導体ウェハーWを保持する平面状の保持面75aとされる。保持プレート75の保持面75aには、複数の基板支持ピン77が立設されている。本実施形態においては、保持面75aの外周円(ガイドリング76の内周円)と同心円の周上に沿って30°毎に計12個の基板支持ピン77が立設されている。12個の基板支持ピン77を配置した円の径(対向する基板支持ピン77間の距離)は半導体ウェハーWの径よりも小さく、半導体ウェハーWの径がφ300mmであればφ270mm〜φ280mm(本実施形態ではφ270mm)である。それぞれの基板支持ピン77は石英にて形成されている。複数の基板支持ピン77は、保持プレート75の上面に溶接によって設けるようにしても良いし、保持プレート75と一体に加工するようにしても良い。
【0048】
図2に戻り、基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプタ74の保持プレート75の周縁部とが溶接によって固着される。すなわち、サセプタ74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されている。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、サセプタ74の保持プレート75は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。すなわち、保持プレート75の保持面75aは水平面となる。
【0049】
チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプタ74の上に水平姿勢にて載置されて保持される。このとき、半導体ウェハーWは保持プレート75上に立設された12個の基板支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。より厳密には、12個の基板支持ピン77の上端部が半導体ウェハーWの下面に接触して当該半導体ウェハーWを支持する。12個の基板支持ピン77の高さ(基板支持ピン77の上端から保持プレート75の保持面75aまでの距離)は均一であるため、12個の基板支持ピン77によって半導体ウェハーWを水平姿勢に支持することができる。
【0050】
また、半導体ウェハーWは複数の基板支持ピン77によって保持プレート75の保持面75aから所定の間隔を隔てて支持されることとなる。基板支持ピン77の高さよりもガイドリング76の厚さの方が大きい。従って、複数の基板支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの水平方向の位置ずれはガイドリング76によって防止される。
【0051】
また、図2および図3に示すように、サセプタ74の保持プレート75には、上下に貫通して開口部78が形成されている。開口部78は、端縁部放射温度計20(図1参照)がサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの下面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。すなわち、端縁部放射温度計20が開口部78を介してサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの下面から放射された光を受光してその半導体ウェハーWの温度を測定する。さらに、サセプタ74の保持プレート75には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。
【0052】
図5は、移載機構10の平面図である。また、図6は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。移載アーム11およびリフトピン12は石英にて形成されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図5の実線位置)と保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図5の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
【0053】
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプタ74に穿設された貫通孔79(図2,3参照)を通過し、リフトピン12の上端がサセプタ74の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。一対の移載アーム11の退避位置は、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
【0054】
図1に戻り、熱処理装置1は、端縁部放射温度計(エッジパイロメーター)20および中央部放射温度計(センターパイロメーター)25の2つの放射温度計を備える。上述の通り、端縁部放射温度計20は、サセプタ74の開口部78を介して半導体ウェハーWの下面端縁部から放射された赤外光を受光し、その赤外光の強度から半導体ウェハーWの温度を測定するウェハー温度計である。一方、中央部放射温度計25は、サセプタ74の中央部から放射された赤外光を受光し、その赤外光の強度からサセプタ74の温度を測定するサセプタ温度計である。なお、図示の便宜上、図1では端縁部放射温度計20および中央部放射温度計25をチャンバー6の内部に記載しているが、これらはいずれもチャンバー6の外壁面に取り付けられ、外壁面に設けられた貫通孔を通して赤外光を受光する。
【0055】
チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
【0056】
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
【0057】
キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、ハロゲンランプHLの如き連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。すなわち、フラッシュランプFLは、1秒未満の極めて短い時間で瞬間的に発光するパルス発光ランプである。なお、フラッシュランプFLの発光時間は、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源のコイル定数によって調整することができる。
【0058】
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
【0059】
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4は、筐体41の内側に複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLを内蔵している。ハロゲン加熱部4は、複数のハロゲンランプHLによってチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行って半導体ウェハーWを加熱する光照射部である。
【0060】
図7は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。40本のハロゲンランプHLは上下2段に分けて配置されている。保持部7に近い上段に20本のハロゲンランプHLが配設されるとともに、上段よりも保持部7から遠い下段にも20本のハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
【0061】
また、図7に示すように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
【0062】
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向と下段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向とが互いに直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
【0063】
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。すなわち、ハロゲンランプHLは少なくとも1秒以上連続して発光する連続点灯ランプである。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
【0064】
また、ハロゲン加熱部4の筐体41内にも、2段のハロゲンランプHLの下側にリフレクタ43が設けられている(図1)。リフレクタ43は、複数のハロゲンランプHLから出射された光を熱処理空間65の側に反射する。
【0065】
制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。また、判定部31は、制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって実現される機能処理部である。判定部31は、端縁部放射温度計20および/または中央部放射温度計25の温度測定結果に基づいて半導体ウェハーWの反りを判定するのであるがその詳細についてはさらに後述する。
【0066】
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。
【0067】
次に、熱処理装置1における処理動作について説明する。図8は、熱処理装置1における処理手順を示すフローチャートである。ここで処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物(イオン)が添加された半導体基板である。その不純物の活性化が熱処理装置1によるフラッシュ光照射加熱処理(アニール)により実行される。以下に説明する半導体ウェハーWの処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
【0068】
まず、半導体ウェハーWの処理に先立って給気のためのバルブ84が開放されるとともに、排気用のバルブ89,192が開放されてチャンバー6内に対する給排気が開始される。バルブ84が開放されると、ガス供給孔81から熱処理空間65に窒素ガスが供給される。また、バルブ89が開放されると、ガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された窒素ガスが下方へと流れ、熱処理空間65の下部から排気される。
【0069】
また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からもチャンバー6内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。なお、熱処理装置1における半導体ウェハーWの熱処理時には窒素ガスが熱処理空間65に継続的に供給されており、その供給量は処理工程に応じて適宜変更される。
【0070】
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介して処理対象となる半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される(ステップS1)。このときには、半導体ウェハーWの搬入にともなって装置外部の雰囲気を巻き込むおそれがあるが、チャンバー6には窒素ガスが供給され続けているため、搬送開口部66から窒素ガスが流出して、そのような外部雰囲気の巻き込みを最小限に抑制することができる。
【0071】
搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWは保持部7の直上位置まで進出して停止する。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通ってサセプタ74の保持プレート75の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。このとき、リフトピン12は基板支持ピン77の上端よりも上方にまで上昇する。
【0072】
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプタ74に受け渡されて水平姿勢にて下方より保持される。半導体ウェハーWは、保持プレート75上に立設された複数の基板支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。また、半導体ウェハーWは、パターン形成がなされて不純物が注入された表面を上面として保持部7に保持される。複数の基板支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの裏面(表面とは反対側の主面)と保持プレート75の保持面75aとの間には所定の間隔が形成される。サセプタ74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
【0073】
半導体ウェハーWが石英にて形成された保持部7のサセプタ74によって水平姿勢にて下方より保持された後、ハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される(ステップS2)。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびサセプタ74を透過して半導体ウェハーWの下面に照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWが予備加熱されて温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
【0074】
ハロゲンランプHLによる予備加熱を行うときには、半導体ウェハーWの温度が端縁部放射温度計20によって測定されるとともに、サセプタ74の温度が中央部放射温度計25によって測定される(ステップS3)。すなわち、サセプタ74に保持された半導体ウェハーWの下面端縁部から開口部78を介して放射された赤外光を端縁部放射温度計20が受光して昇温中のウェハー温度を測定する。また、サセプタ74自体から放射された赤外光を中央部放射温度計25が受光して昇温中の半導体ウェハーWを保持するサセプタ74の温度を測定する。端縁部放射温度計20および中央部放射温度計25によって測定された半導体ウェハーWおよびサセプタ74の温度は制御部3に伝達される。なお、端縁部放射温度計20および中央部放射温度計25による温度測定は、ハロゲンランプHLによる予備加熱を開始する以前から行っていても良い。
【0075】
図9は、端縁部放射温度計20によって測定された半導体ウェハーWの温度プロファイルの一例を示す図である。また、図10は、中央部放射温度計25によって測定されたサセプタ74の温度プロファイルの一例を示す図である。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視しつつ、ハロゲンランプHLの出力を制御する。すなわち、制御部3は、端縁部放射温度計20による測定値に基づいて、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1となるようにハロゲンランプHLの出力をフィードバック制御する。予備加熱温度T1は、半導体ウェハーWに添加された不純物が熱により拡散する恐れのない、200℃ないし800℃程度とされる(本実施の形態では750℃)。
【0076】
また、制御部3の判定部31は、端縁部放射温度計20および中央部放射温度計25の温度測定結果に基づいて半導体ウェハーWの反りを監視している。具体的には判定部31は、端縁部放射温度計20による半導体ウェハーWの測定温度の時間微分または中央部放射温度計25によるサセプタ74の測定温度の時間微分に特異変化点が現出しているか否かを監視する(ステップS4)。測定温度の時間微分は、温度変化レート(昇温レートまたは降温レート)であり、図9,10に示す温度プロファイルの傾きでもある。そして、測定温度の時間微分の特異変化点とは、温度プロファイルの傾きが急激に変化する特異点である。
【0077】
予備加熱時にハロゲンランプHLからの光照射によって半導体ウェハーWが昇温するときに、薄板状の半導体ウェハーWに反りが発生することがある。半導体ウェハーWに反りが発生すると、端縁部放射温度計20と半導体ウェハーWとの間の測定距離が変化するとともに、端縁部放射温度計20の光軸と半導体ウェハーWの下面とのなす測定角度も変化することになる。このような測定距離および測定角度の変化が端縁部放射温度計20の温度測定に影響を与えた結果、端縁部放射温度計20による半導体ウェハーWの測定温度の時間微分に特異変化点が現出するのである。すなわち、端縁部放射温度計20による半導体ウェハーWの測定温度の時間微分に特異変化点が現出することは半導体ウェハーWに反りが発生していることを示しているのである。よって、判定部31は、端縁部放射温度計20による半導体ウェハーWの測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに半導体ウェハーWに反りが発生したと判定する。
【0078】
より具体的には、判定部31は、端縁部放射温度計20による半導体ウェハーWの測定温度の時間微分が所定の閾値以上に変化したときに半導体ウェハーWに反りが発生したと判定する。例えば、図9に示す温度プロファイルにおいて、半導体ウェハーWの昇温レートが50℃/秒であるときに、端縁部放射温度計20による測定温度の時間微分が閾値である20%以上変化したとき、すなわち40℃/秒以下または60℃/秒以上となったときに判定部31は測定温度の時間微分に特異変化点が現出したと判断して半導体ウェハーWに反りが発生したと判定する。図9に示す例では、時刻t1に端縁部放射温度計20による半導体ウェハーWの測定温度の時間微分に特異変化点が現出している。
【0079】
また、半導体ウェハーWに反りが発生すると、複数の基板支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの一部とサセプタ74の保持プレート75とが接触することとなる。複数の半導体ウェハーWを連続して処理するときにはサセプタ74が所定温度にまで昇温している。また、ロットの最初の半導体ウェハーWを処理する前にサセプタ74を当該所定温度にまで予熱することも行われている。よって、常温の半導体ウェハーWがサセプタ74に保持された時点ではサセプタ74の温度よりも半導体ウェハーWの温度の方が低い。相対的に低温の半導体ウェハーWが反ってサセプタ74に接触すると、サセプタ74から半導体ウェハーWへの熱伝導が生じ、接触部位近傍におけるサセプタ74の温度が急激に降温する。その結果、中央部放射温度計25によるサセプタ74の測定温度の時間微分に特異変化点が現出することとなる。すなわち、中央部放射温度計25によるサセプタ74の測定温度の時間微分に特異変化点が現出することも半導体ウェハーWに反りが発生していることを示しているのである。よって、判定部31は、中央部放射温度計25によるサセプタ74の測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときにも半導体ウェハーWに反りが発生したと判定する。
【0080】
より具体的には上記と同様に、判定部31は、中央部放射温度計25によるサセプタ74の測定温度の時間微分が所定の閾値以上に変化したときに半導体ウェハーWに反りが発生したと判定する。図10に示す例では、時刻t2に判定部31が中央部放射温度計25による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したと判断して半導体ウェハーWに反りが発生したと判定する。
【0081】
本実施形態においては、端縁部放射温度計20による半導体ウェハーWの測定温度の時間微分および中央部放射温度計25によるサセプタ74の測定温度の時間微分の少なくともいずれか一方に特異変化点が現出したときに判定部31は半導体ウェハーWに反りが発生したと判定する。すなわち、端縁部放射温度計20による半導体ウェハーWの測定温度の時間微分および中央部放射温度計25によるサセプタ74の測定温度の時間微分の双方に特異変化点が現出していないときには、判定部31は半導体ウェハーWに反りが発生していないと判定する。
【0082】
特異点が現出しておらず、判定部31が半導体ウェハーWに反りが発生していないと判定したときには、ステップS4からステップS7に進み、正常な半導体ウェハーWに対するフラッシュ光照射が実行される。具体的には、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時点にてフラッシュ加熱部5のフラッシュランプFLがサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光照射を行う。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。
【0083】
フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光(閃光)照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃以上の処理温度T2まで上昇し、半導体ウェハーWに注入された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、熱処理装置1では、半導体ウェハーWの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、半導体ウェハーWに注入された不純物の熱による拡散を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。なお、不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし100ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
【0084】
フラッシュ加熱処理が終了した後、所定時間経過後にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から急速に降温する。降温中の半導体ウェハーWの温度は端縁部放射温度計20によって測定され、その測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、端縁部放射温度計20の測定結果より半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプタ74の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWをサセプタ74から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが装置外部の搬送ロボットによりチャンバー6から搬出され(ステップS8)、半導体ウェハーWの加熱処理が完了する。
【0085】
一方、特異変化点が現出して判定部31が半導体ウェハーWに反りが発生していると判定したときには、ステップS4からステップS5に進み、続くフラッシュ光照射を省略して当該半導体ウェハーWをチャンバー6から搬出する。フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は照射時間が極めて短く強度の強い光である。反りが発生した半導体ウェハーWにそのような強いフラッシュ光が瞬間的に照射されると、半導体ウェハーWが割れるおそれがある。このため、半導体ウェハーWに反りが発生したと判定されたときには、その半導体ウェハーWに対してはフラッシュ光照射を行うことなく、当該半導体ウェハーWをチャンバー6から搬出するのである。
【0086】
反りが発生したと判定された半導体ウェハーWがチャンバー6から搬出された後、後続の新たな半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入される(ステップS6)。そして、新たに搬入された後続の半導体ウェハーWに対して上述と同様の処理が行われる。
【0087】
本実施形態においては、ハロゲンランプHLによる半導体ウェハーWの予備加熱時に、端縁部放射温度計20による半導体ウェハーWの測定温度の時間微分または中央部放射温度計25によるサセプタ74の測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに、半導体ウェハーWに反りが発生したと判定している。このため、フラッシュ光照射前に、目視等で確認すること無く自動で予備加熱処理中の半導体ウェハーWの反りを検出することができる。
【0088】
フラッシュ光照射前に半導体ウェハーWの反りを検出することにより、反った半導体ウェハーWにフラッシュ光を照射して当該半導体ウェハーWが割れるのを未然に防ぐことができる。これにより、破損した半導体ウェハーWの破片によるチャンバー6内の汚染を防止することができる。
【0089】
また、反りが発生したと判定された半導体ウェハーWへのフラッシュ光照射を省略して当該半導体ウェハーWをチャンバー6から搬出するとともに、引き続いて後続の半導体ウェハーWをチャンバー6内に搬入して処理を行っているため、反りが発生したときに熱処理装置1のダウンタイムが発生することはなく、スループットの低下を防止することが可能となる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。上記実施形態においては、端縁部放射温度計20による半導体ウェハーWの測定温度の時間微分または中央部放射温度計25によるサセプタ74の測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに、半導体ウェハーWに反りが発生したと判定していた。これに代えて、端縁部放射温度計20による半導体ウェハーWの測定温度の時間微分および中央部放射温度計25によるサセプタ74の測定温度の時間微分の双方に特異変化点が現出したときのみに、半導体ウェハーWの反りが発生したと判定するようにしても良い。このようにすれば、半導体ウェハーWに反りが発生していないにもかかわらず、反りが発生したと判定する誤検出を低減することができる。
【0091】
また、端縁部放射温度計20による半導体ウェハーWの測定温度の時間微分または中央部放射温度計25によるサセプタ74の測定温度の時間微分のいずれか一方のみに特異変化点が現出したときに、半導体ウェハーWの反りが発生したと判定するようにしても良い。すなわち、中央部放射温度計25の測定温度の時間微分の変化にかかわらず、端縁部放射温度計20による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに、半導体ウェハーWの反りが発生したと判定する。或いは、端縁部放射温度計20の測定温度の時間微分の変化にかかわらず、中央部放射温度計25による測定温度の時間微分に特異変化点が現出したときに、半導体ウェハーWの反りが発生したと判定する。
【0092】
半導体ウェハーWの温度が比較的高温のときには、ウェハー反りが発生したときに端縁部放射温度計20による測定温度の時間微分に特異変化点が現出しやすい。逆に、半導体ウェハーWの温度が比較的低温のときには、ウェハー反りが発生したときに中央部放射温度計25による測定温度の時間微分に特異変化点が現出しやすい。従って、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定値(例えば400℃)未満のときには、中央部放射温度計25によるサセプタ74の測定温度の時間微分によって半導体ウェハーWの反りを判定するのが好ましい。一方、昇温する半導体ウェハーWの温度が上記所定値以上のときには、端縁部放射温度計20による半導体ウェハーWの測定温度の時間微分によって半導体ウェハーWの反りを判定するのが好ましい。
【0093】
また、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
【0094】
また、上記実施形態においては、1秒以上連続して発光する連続点灯ランプとしてフィラメント方式のハロゲンランプHLを用いて半導体ウェハーWの予備加熱を行っていたが、これに限定されるものではなく、ハロゲンランプHLに代えて放電型のアークランプ(例えば、キセノンアークランプ)を連続点灯ランプとして用いて予備加熱を行うようにしても良い。この場合、アークランプからの光照射によって加熱される半導体ウェハーWの反りが検出されることとなる。
【0095】
また、熱処理装置1によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。或いは、熱処理装置1では、高誘電率ゲート絶縁膜(High-k膜)の熱処理、金属とシリコンとの接合、或いはポリシリコンの結晶化を行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0096】
1 熱処理装置
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 保持部
10 移載機構
20 端縁部放射温度計
25 中央部放射温度計
31 判定部
63 上側チャンバー窓
64 下側チャンバー窓
65 熱処理空間
74 サセプタ
75 保持プレート
77 基板支持ピン
FL フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
W 半導体ウェハー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10