特開2020-195027(P2020-195027A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-195027(P2020-195027A)
(43)【公開日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/42 20060101AFI20201106BHJP
   H01Q 1/27 20060101ALI20201106BHJP
【FI】
   H01Q1/42
   H01Q1/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-98551(P2019-98551)
(22)【出願日】2019年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白髭 健太
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA02
5J046AB13
5J046MA09
5J046RA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】放射パターンの歪みを抑制する。
【解決手段】アンテナ装置1は、電波を放射する送信アンテナ2と、アンテナが配置される基板3と、アンテナの放射面側から基板を覆うカバー4と、を備える。カバーは誘電体である。基板の法線方向におけるカバーと基板との最大距離は、電波の自由空間波長の1/2より小さい。カバーの厚みt1は、電波のカバー中における実効波長の1/2より小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を放射するアンテナと、
前記アンテナが配置される基板と、
前記アンテナの放射面側から前記基板を覆うカバーと、
を備え、
前記カバーは誘電体であり、
前記基板の法線方向における前記カバーと前記基板との最大距離は、前記電波の自由空間波長の1/2より小さく、
前記カバーの厚みは、前記電波の前記カバー中における実効波長の1/2より小さい、アンテナ装置。
【請求項2】
前記カバーと前記基板との間に介在する介在部材を備え、
前記介在部材の誘電率は、前記基板の誘電率及び前記カバーの誘電率のいずれとも異なり、
前記基板の法線方向における前記カバーと前記基板との最大距離は、前記電波の前記介在部材中における実効波長の1/2より小さい、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記基板に配置されるグランドパターンを備え、
前記基板の法線方向における前記カバーと前記グランドパターンとの最大距離は、前記電波の自由空間波長の1/2より小さい、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記カバーと前記基板との間に介在する介在部材を備え、
前記介在部材の誘電率は、前記基板の誘電率及び前記カバーの誘電率のいずれとも異なり、
前記基板の法線方向における前記カバーと前記グランドパターンとの最大距離は、前記電波の前記介在部材中における実効波長の1/2より小さい、請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記基板は、前記カバーによって覆われる被覆面と、前記被覆面に対向する対向面と、を備え、
前記基板の法線方向における前記カバーと前記対向面との最大距離は、前記電波の自由空間波長の1/2より小さい、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記カバーと前記基板との間に介在する介在部材を備え、
前記介在部材の誘電率は、前記基板の誘電率及び前記カバーの誘電率のいずれとも異なり、
前記基板の法線方向における前記カバーと前記対向面との最大距離は、前記電波の前記介在部材中における実効波長の1/2より小さい、請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記アンテナ装置は車載用アンテナ装置であり、前記アンテナは垂直偏波用アンテナである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に配置されるアンテナを保護するために、アンテナの放射面側から基板を覆うカバーを備える構造を採用したアンテナ装置が広く知られている(例えば特許文献1参照)。なお、レーダ装置に搭載されるアンテナ装置では、上記のカバーはレドーム(Radome)と称されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2005/055366号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のカバーを備えるアンテナ装置では、上記のカバーがアンテナ装置の放射パターンに悪影響を与えて放射パターンに歪みが生じるおそれがある。例えばレーダ装置に搭載されるアンテナ装置では、放射パターンの歪みが大きいほど、レーダ装置の角度分解能および最低検知距離が低下する。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて、放射パターンの歪みを抑制することができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアンテナ装置は、電波を放射するアンテナと、前記アンテナが配置される基板と、前記アンテナの放射面側から前記基板を覆うカバーと、を備え、前記カバーは誘電体であり、前記基板の法線方向における前記カバーと前記基板との最大距離は、前記電波の自由空間波長の1/2より小さく、前記カバーの厚みは、前記電波の前記カバー中における実効波長の1/2より小さい構成(第1の構成)である。
【0007】
上記第1の構成のアンテナ装置において、前記カバーと前記基板との間に介在する介在部材を備え、前記介在部材の誘電率は、前記基板の誘電率及び前記カバーの誘電率のいずれとも異なり、前記基板の法線方向における前記カバーと前記基板との最大距離は、前記電波の前記介在部材中における実効波長の1/2より小さい構成(第2の構成)であってもよい。
【0008】
上記第1の構成のアンテナ装置において、前記基板に配置されるグランドパターンを備え、前記基板の法線方向における前記カバーと前記グランドパターンとの最大距離は、前記電波の自由空間波長の1/2より小さい構成(第3の構成)であってもよい。
【0009】
上記第3の構成のアンテナ装置において、前記カバーと前記基板との間に介在する介在部材を備え、前記介在部材の誘電率は、前記基板の誘電率及び前記カバーの誘電率のいずれとも異なり、前記基板の法線方向における前記カバーと前記グランドパターンとの最大距離は、前記電波の前記介在部材中における実効波長の1/2より小さい構成(第4の構成)であってもよい。
【0010】
上記第1の構成のアンテナ装置において、前記基板は、前記カバーによって覆われる被覆面と、前記被覆面に対向する対向面と、を備え、前記基板の法線方向における前記カバーと前記対向面との最大距離は、前記電波の自由空間波長の1/2より小さい構成(第5の構成)であってもよい。
【0011】
上記第5の構成のアンテナ装置において、前記カバーと前記基板との間に介在する介在部材を備え、前記介在部材の誘電率は、前記基板の誘電率及び前記カバーの誘電率のいずれとも異なり、前記基板の法線方向における前記カバーと前記対向面との最大距離は、前記電波の前記介在部材中における実効波長の1/2より小さい構成(第6の構成)であってもよい。
【0012】
上記第1〜第6いずれかの構成のアンテナ装置において、前記アンテナ装置は車載用アンテナ装置であり、前記アンテナは垂直偏波用アンテナである構成(第6の構成)であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るアンテナ装置によると、放射パターンの歪みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係るアンテナ装置の断面模式図
図2図1に示すアンテナ装置の放射パターンの一例を示す図
図3】放射パターンの第1参考例を示す図
図4】放射パターンの第2参考例を示す図
図5】放射パターンの第3参考例を示す図
図6】放射パターンの第4参考例を示す図
図7】アンテナ装置の第1変形例を示す図
図8】アンテナ装置の第2変形例を示す図
図9】アンテナ装置の第3変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書において、「平行」とは厳密に平行でなくてもよく、設計上の誤差やばらつきなどを考慮した上で平行とみなすことができればよい。また、本明細書において、「垂直」とは厳密に垂直でなくてもよく、設計上の誤差やばらつきなどを考慮した上で垂直とみなすことができればよい。
【0016】
図1は実施形態に係るアンテナ装置の断面模式図である。なお、図1では、説明を分かりやすくするために、X軸Y軸Z軸の直交座標を合わせて示す。この直交座標は、以下の説明で用いる他の図面においても示す場合がある。
【0017】
図1に示すアンテナ装置1は、送信アンテナ2と、基板3と、カバー4と、を備える。
【0018】
送信アンテナ2は、電波Wを放射する。送信アンテナ2から放射される電波Wは、カバー4を介してアンテナ装置1の外部に照射される。
【0019】
電波Wの電界成分はZ軸と平行な方向に振幅して伝播する。本実施形態とは異なり、電界成分がZ軸と平行でない方向に振幅して伝播する電波を送信アンテナ2が放射してもよいが、その場合には、放射パターンの歪みの抑制効果が本実施形態と比較して弱まることになる。
【0020】
図1では送信アンテナ2を1つ図示しているが、アンテナ装置1が備える送信アンテナ2の個数は、1つでもよく、複数でもよい。送信アンテナ2は、基板3に配置される。
【0021】
送信アンテナ2としては、例えばマイクロストリップアンテナの放射素子を用いることができる。送信アンテナ2がマイクロストリップアンテナの放射素子である場合には、放射素子に対向するグランドパターンが基板3に配置される。なお、例えば基板3内部にスロットアンテナを形成し、当該スロットアンテナを送信アンテナ2として用いることも可能である。
【0022】
アンテナ装置1から照射された電波Wが物標により反射した反射波を受信アンテナで受信することで、物標までの距離、物標の方位(角度)、物標の相対速度等を検出することが可能となる。上記の受信アンテナは、アンテナ装置1に設けてもよく、アンテナ装置1の外部に設けてもよい。また、送信アンテナ2が上記の受信アンテナを兼ねてもよい。すなわち、送信アンテナ2を、電波Wを送信し反射波を受信する送受信アンテナにしてもよい。
【0023】
基板3は、例えば樹脂、テフロン(登録商標)等の誘電体で形成される。基板3は、カバー4によって覆われる被覆面F1と、被覆面F1に対向する対向面F2と、を備える。被覆面F1及び対向面F2はそれぞれ基板3の外形面である。基板3の法線方向、より具体的には被覆面F1及び対向面F2の各法線方向は、Y軸に平行である。
【0024】
カバー4は、送信アンテナ2の放射面側から基板3を覆う。カバー4は、例えば風、雨、砂等の自然環境から送信アンテナ2を保護する保護部材である。カバー4は、例えばグラスファイバー、テフロン等の誘電体で形成される。カバー4と基板3の被覆面F1とによって囲まれる空間には、基板3の被覆面F1上に配置されるアンテナ2等の素子が占有する領域を除いて空気が存在する。
【0025】
基板3の法線方向におけるカバー4と基板3との最大距離d1(以下、「距離d1」と略す)は、電波Wの自由空間波長λの1/2より小さい。これにより、距離d1は、カバー4と基板との間をX軸に沿って伝搬する電波Wのカットオフ波長より小さくなる。その結果、カバー4と基板との間をX軸に沿って電波Wが伝搬することを抑制できる。
【0026】
カバー4と基板との間をX軸に沿って伝搬する電波Wの一部が、Y軸の正方向成分を含む方向でアンテナ装置1の外部に漏れだすと、アンテナ装置1の放射パターンに歪が生じる。アンテナ装置1は、上記の通りカバー4と基板との間をX軸に沿って電波Wが伝搬することを抑制できるので、X軸に平行な方向の放射パターンに歪が生じることを抑制できる。
【0027】
なお、例えばカバー4の形状が本実施形態とは異なり半球状である場合、半球の頂点と基板3との距離が、距離d1となる。
【0028】
カバーの厚みt1は、電波Wのカバー4中における実効波長λgの1/2より小さい。なお実効波長とは、媒質中を伝搬する際の電波の波長である。これにより、厚みt1は、カバー4の内部をX軸に沿って伝搬する電波Wのカットオフ波長より小さくなる。その結果、カバー4の内部をX軸に沿って電波Wが伝搬することを抑制できる。
【0029】
カバー4の内部をX軸に沿って伝搬する電波Wの一部が、Y軸の正方向成分を含む方向でアンテナ装置1の外部に漏れだすと、アンテナ装置1の放射パターンに歪が生じる。アンテナ装置1は、上記の通りカバー4の内部をX軸に沿って電波Wが伝搬することを抑制できるので、X軸に平行な方向の放射パターンに歪が生じることを抑制できる。
【0030】
なお、本実施形態とは異なりカバー4の厚みが均一でない場合は、Y軸に垂直な方向の厚みt2を除いた中で最大となる厚みが電波Wのカバー4中における実効波長λgの1/2より小さくなるようにすればよい。カバー4が積層構造である場合は、カバー4の内部をX軸に沿って電波Wが伝搬する特性が単一層構造である場合と同等とみなせなければ、積層構造の各層を別々のカバーであると考えて各カバーの厚みが電波Wのカバー4中における実効波長λgの1/2より小さくなるようにすればよい。
【0031】
図2は、アンテナ装置1のX軸に平行な方向の放射パターンの一例を示す図である。図2に示す放射パターンは、歪がほとんど発生しておらず、カバーを有しないアンテナ装置(アンテナ装置1からカバー4を取り除いた構造のアンテナ装置)のX軸に平行な方向の放射パターン(図3に示す放射パターンの第1参考例)に近い特性になる。
【0032】
例えばアンテナ装置1を車載用アンテナ装置とし、車載用レーダ装置に搭載した場合、アンテナ装置1は、X軸Y軸が大地に対して水平になり、Z軸が大地に対して垂直になるように自動車等の車両に搭載される。上述した通り送信アンテナ2は電界成分がZ軸と平行な方向に振幅して伝播する電波Wを放射するので、Z軸が大地に対して垂直になるように自動車等の車両にアンテナ装置1が搭載される場合には、送信アンテナ2は垂直偏波用アンテナとなる。この構成により、例えば車載用レーダ装置の水平方向における角度分解能および最低検知距離を向上させることができる。
【0033】
図4図6は、放射パターンの第2〜第4参考例を示す図である。図4図6に示す放射パターンの第2〜第4参考例では、歪を十分に抑制できていない。
【0034】
図4に示す放射パターンの第2参考例は、距離d1を電波Wの自由空間波長λの1/2より大きく、カバー4の厚みt1を電波Wのカバー4中における実効波長λgの1/2より大きくした場合の一例である。図5に示す放射パターンの第3参考例は、カバー4の厚みt1は図4に示す放射パターンの第2参考例から変更せずに、距離d1を電波Wの自由空間波長λの1/2より小さくした場合の一例である。距離d1を電波Wの自由空間波長λの1/2より小さくすることで、歪を抑制できるが、その対策だけでは不十分であることが図5から分かる。
【0035】
図6に示す放射パターンの第4参考例は、距離d1を電波Wの自由空間波長λの1/2より小さく、カバー4の厚みt1を電波Wのカバー4中における実効波長λgの1/2より大きくした場合の他の例である。図5に示す放射パターンの第3参考例と図6に示す放射パターンの第4参考例とでは、カバー4の厚みt1の値が互いに異なっている。
【0036】
図2に示す放射パターンの一例は、距離d1は図6に示す放射パターンの第4参考例から変更せずに、カバー4の厚みを電波Wのカバー4中における実効波長λgの1/2より小さくした場合の一例である。距離d1を電波Wの自由空間波長λの1/2より小さくすることに加えて、カバー4の厚みを電波Wのカバー4中における実効波長λgの1/2より小さくすることで、歪を十分に抑制できることが図2から分かる。
【0037】
なお、例えば基板3の誘電率が比較的低く、さらに対向面F2に導電体で構成される構造体(不図示)が接触している場合には、カバー4と対向面F2に接触している構造体との間をX軸に沿って電波Wが伝搬するおそれがある。したがって、基板3の法線方向におけるカバー4と対向面F2との最大距離d2(以下、「距離d2」と略す)を、電波Wの自由空間波長λの1/2より小さくすることが望ましい。これにより、距離d2は、カバー4と対向面F2に接触している構造体との間をX軸に沿って伝搬する電波Wのカットオフ波長より小さくなる。その結果、カバー4と対向面F2に接触している構造体との間をX軸に沿って電波Wが伝搬することを抑制できる。
【0038】
図7は、アンテナ装置1の第1変形例を示す図である。図7に示すアンテナ装置1Aは、アンテナ装置1に介在部材5を追加した構成である。介在部材5は、カバー4と基板3との間に介在する。介在部材5は、カバー4と基板3の被覆面F1とによって囲まれる空間(ただし、基板3の被覆面F1上に配置されるアンテナ2等の素子が占有する領域を除く)を占有する。介在部材5により、アンテナ装置1Aの機械的強度を向上させることができる。
【0039】
介在部材5は、例えば樹脂で形成される。介在部材5の誘電率は、基板3の誘電率及びカバー4の誘電率のいずれとも異なる。アンテナ装置1Aでは、カバー4と基板3との間、言い換えれば介在部材5の内部をX軸に沿って電波Wが伝搬するおそれがある。したがって、距離d1を、電波Wの介在部材5中における実効波長λg’の1/2より小さくすることが望ましい。これにより、介在部材5の内部をX軸に沿って電波Wが伝搬することを抑制できるので、X軸に平行な方向の放射パターンに歪が生じることを抑制できる。
【0040】
なお、アンテナ装置1Aにおいても、アンテナ装置1と同様に、例えば基板3の誘電率が比較的低く、さらに対向面F2に導電体で構成される構造体(不図示)が接触している場合には、カバー4と対向面F2に接触している構造体との間をX軸に沿って電波Wが伝搬するおそれがある。したがって、距離d2を、電波Wの介在部材5中における実効波長λg’の1/2より小さくすることが望ましい。これにより、距離d2は、カバー4と対向面F2に接触している構造体との間をX軸に沿って伝搬する電波Wのカットオフ波長より小さくなる。その結果、カバー4と対向面F2に接触している構造体との間をX軸に沿って電波Wが伝搬することを抑制できる。
【0041】
図8は、アンテナ装置1の第2変形例を示す図である。図8に示すアンテナ装置1Bは、アンテナ装置1にグランドパターン6を追加した構成である。グランドパターン6は、基板3の対向面F2に配置される。なお、本変形例とは異なり、グランドパターン6を基板3の内部に配置してもよい。グランドパターン6は、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電体で形成される。グランドパターン6は接地される。
【0042】
例えば基板3の誘電率が比較的低い場合には、カバー4とグランドパターン6との間をX軸に沿って電波Wが伝搬するおそれがある。したがって、基板3の法線方向におけるカバー4とグランドパターン6との最大距離d3(以下、「距離d3」と略す)を、電波Wの自由空間波長λの1/2より小さくすることが望ましい。これにより、距離d3は、カバー4とグランドパターン6との間をX軸に沿って伝搬する電波Wのカットオフ波長より小さくなる。その結果、カバー4とグランドパターン6との間をX軸に沿って電波Wが伝搬することを抑制できる。
【0043】
図9は、アンテナ装置1の第3変形例を示す図である。図9に示すアンテナ装置1Cは、アンテナ装置1Bに介在部材5を追加した構成である。アンテナ装置1Cが備える介在部材5は、アンテナ装置1Aが備える介在部材5と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0044】
アンテナ装置1Cでは、介在部材5の内部をX軸に沿って電波Wが伝搬するおそれがある。したがって、距離d3を、電波Wの介在部材5中における実効波長λg’の1/2より小さくすることが望ましい。これにより、介在部材5の内部をX軸に沿って電波Wが伝搬することを抑制できるので、X軸に平行な方向の放射パターンに歪が生じることを抑制できる。
【0045】
本明細書における実施形態や実施例の構成は、本発明の例示にすぎない。実施形態や変形例の構成は、本発明の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、複数の実施形態及び変形例は、可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【符号の説明】
【0046】
1 アンテナ装置
2 送信アンテナ
3 基板
4 カバー
5 介在部材
6 グランドパターン
F1 被覆面
F2 対向面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9