【解決手段】実施形態に係る通信装置は、通信部と、制御部とを備える。通信部は、第1通信方式および第2通信方式を時分割で切り替えて複数の他装置との間で多重通信を行う。制御部は、第1通信方式による通信を行っており、かつ、第2通信方式による通信を行っていない場合に、第1通信方式の制御権を自装置が保持するように制御する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する通信装置および通信方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
(第1実施形態)
〔1.通信処理の一例〕
まず、第1実施形態に係る通信装置が実行する通信処理の一例について
図1を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る通信処理の一例を示す図である。
【0012】
図1に示す通信装置1は、例えば、Bluetooth(登録商標)に準拠した第1通信方式と、Wi−Fi(登録商標)に準拠した第2通信方式とを周期的に切り替えて、複数の他装置との間で多重通信を行うことが可能な車載装置である。
【0013】
以下では、第1通信方式をBTと記載し、第2通信方式をWi−Fiと記載する。また、以下では、通信装置1を「自装置1」と記載する場合がある。
【0014】
他装置2〜4は、例えば、オーディオ情報の記憶再生機能、およびインターネットへの接続機能を備えたスマートフォンである。他装置2〜4も、本願の開示する通信装置の一例である。すなわち、自装置1と同様、他装置2〜4も、第1通信方式および第2通信方式による多重通信を行うことが可能である。なお、他装置2〜4は、スマートフォンに限らず、タブレットやノートPC(Personal Computer)等であってもよい。
【0015】
第1通信方式であるBluetoothは、マスタースレーブ方式を採用している。マスタースレーブ方式とは、他装置を制御する「マスター」と、マスターの制御下で動作する「スレーブ」とに役割を分担する方式のことである。マスターは、スレーブにどの程度の頻度での通信を許容するかをコントロールし、スレーブはマスターからの要求によってのみ通信することができる。
【0016】
ここで、マスターである通信装置が第1通信方式による通信だけでなく第2通信方式による通信も行っている場合、つまり、多重通信を行っている場合、第1通信方式による通信のみを行っている場合と比べて第1通信方式の通信品質が低下するおそれがある。これは、例えば、マスターである通信装置が、第1通信方式の制御だけでなく第2通信方式の制御も行わなければならないことから、第1通信方式の制御のみを行う場合と比べて、第1通信方式の制御を適切に行うことが困難となるためである。通信品質が低下すると、例えば、楽曲の再生を行っている場合には音飛び等が発生し易くなる。このため、通信品質の低下を生じさせないことが好ましい。
【0017】
そこで、第1実施形態に係る自装置1は、自装置1の通信状態に基づき、第1通信方式におけるマスターとスレーブの関係を切り替える(ロールチェンジする)こととした。
【0018】
具体的には、第1通信方式によって接続された複数の通信装置のうち、マスターとなる通信装置は、制御権を保有している。言い換えれば、制御権を保有している通信装置がマスターとなり、制御権を保有していない通信装置がスレーブとなる。自装置1は、第1通信方式による通信を行っている他装置2との間で制御権の受け渡しを行うことで、マスターとスレーブの関係を切り替える。
【0019】
たとえば、
図1に示す例において、他装置2は、第1通信方式および第2通信方式による多重通信を行っているのに対し、自装置1は、第1通信方式による通信のみを行っている。すなわち、他装置2は、通信状態がビジーであるのに対し、自装置1は、他装置2と比較して通信状態はビジーではない。このような場合、自装置1は、他装置2に対して制御権の自装置1への移転を要求し、他装置2から制御権を譲り受ける。これにより、通信状態がよりビジーでない自装置1が第1通信方式のマスターとなることで、通信品質の低下を抑制することができる。
【0020】
このように、第1実施形態に係る通信装置1は、第1通信方式による通信を行っており、かつ、第2通信方式による通信を行っていない場合に、第1通信方式の制御権を自装置が保持するように制御する。したがって、第1実施形態に係る通信装置1によれば、第1通信方式および第2通信方式による多重通信を行う場合における通信品質の低下を抑制することができる。
【0021】
以下、このような通信処理を行う通信装置1について、詳細に説明する。
【0022】
〔2.通信装置の構成〕
図2は、第1実施形態に係る通信装置1の構成の一例を示す説明図である。
図2に示すように、通信装置1は、通信部10と、制御部20と、記憶部30とを備える。
【0023】
通信部10は、アンテナ11と、切替部12と、BT部13と、Wi−Fi部14とを備える。アンテナ11は、BTの電波およびWi−Fiの電波の双方を送受信可能である。アンテナ11は、切替部12に接続される。
【0024】
切替部12は、アンテナ11の接続先をBT部13とWi−Fi部14との間で切り替える。切替部12は、制御部20から制御信号が入力されるタイミングでアンテナ11の接続先を切り替えることにより、Wi−FiからBTへ、または、BTからWi−Fiへの切り替えを行う。なお、BTとWi−Fiとの切り替えタイミングは、通信品質や通信効率に大きく影響するため、各メーカは、独自に試行錯誤して導出した最適な切り替えタイミングを採用している。
【0025】
BT部13は、アンテナ11と接続された場合に、他装置との間でBTによる情報の送受信を行う。ここでは、一例として、他装置2との間で楽曲データの送受信が行われるものとする。すなわち、BT部13は、他装置2から楽曲データを受信し、受信した楽曲データを制御部20へ出力する。なお、ここでは図示を省略するが、通信装置1は、楽曲データの再生機能を有しており、BT部13から取得した楽曲データを復調して図示しないスピーカから出力させることができる。
【0026】
Wi−Fi部14は、アンテナ11と接続された場合に、他装置との間でWi−Fiによる情報の送受信を行う処理部である。
【0027】
通信部10は、上記のように構成されており、BTとWi−Fiとを周期的に切り替えることにより、1本のアンテナ11を使用してWi−Fiによる情報の送受信と、BTによる情報の送受信とを見かけ上同時並行的に実行する多重通信を行うことができる。
【0028】
制御部20は、状監視認部21と、移転処理部22とを備える。状監視認部21は、自装置1の通信状態を監視する。状監視認部21は、例えば、他装置との間でBTやWi−Fiによる通信リンクが確立されているか否か、あるいは、BTやWi−Fiによるデータの送受信が行われているか否かを監視することによって通信状態を監視することができる。
【0029】
ここで、自装置1の通信状態としては、BTによる通信およびWi−Fiによる通信の双方が行われていない状態、BTによる通信のみが行われている状態、Wi−Fiによる通信のみが行われている状態、および、BTによる通信およびWi−Fiによる通信の双方が行われている状態の4つの状態がある。このうち、BTによる通信のみが行われている状態を「単独動作状態」と記載し、BTによる通信およびWi−Fiによる通信の双方が行われている状態を「複合動作状態」と記載する。
【0030】
状監視認部21は、通信状態の監視結果として、単独動作状態または複合動作状態であることを示す通信状態情報31を記憶部30に記憶させる。
【0031】
移転処理部22は、記憶部30に記憶された通信状態情報31および制御権情報32に基づき、制御権の移転に関する処理を行う。
【0032】
ここで、移転処理部22が行う移転処理の内容について
図3を参照して説明する。
図3は、自装置1および他装置2の通信状態と制御権の主体との関係の一例を示す図である。
【0033】
図3に示す状態Aのように、自装置1が単独動作状態であり、自装置1とBTにより通信中の他装置2が複合動作状態である場合、制御権の主体は、単独動作中の自装置1であることが望ましい。
【0034】
そこで、移転処理部22は、自装置1の通信状態が単独動作状態であり、かつ、自装置1が制御権を保持していない場合、制御権の主体が自装置1となるように、他装置2に対し、制御権の自装置1への移転を要求する。自装置1の通信状態が単独動作状態であるか否かは、通信状態情報31に基づき判定される。また、自装置1が制御権を保持しているか否かは、制御権情報32に基づき判定される。
【0035】
移転処理部22は、上記移転要求を受け入れる旨の情報を他装置2から受信した場合、記憶部30に記憶された制御権情報32を「制御権なし」から「制御権あり」に更新する。制御権情報32は、制御権の有無を示す情報である。
【0036】
また、
図3に示す状態Bのように、自装置1が複合動作状態であり、他装置2が単独動作状態である場合、制御権の主体は、単独動作状態の他装置2であることが望ましい。
【0037】
そこで、他装置2は、単独動作状態であり、かつ、制御権を保持している場合に、自装置1に対して、制御権の他装置2への移転を要求する。そして、移転処理部22は、自装置1の通信状態が複合動作状態である場合に、この要求を受け入れる。具体的には、移転処理部22は、移転要求を受け入れる旨の情報を他装置2へ送信し、記憶部30に記憶された制御権情報32を「制御権あり」から「制御権なし」に更新する。
【0038】
また、
図3に示す状態Cのように、自装置1および他装置2がともに単独動作状態である場合、制御権の主体は、自装置1であっても他装置2であってもよい。この場合、移転処理部22は、自装置1が制御権を保持していなければ、他装置2に対し、制御権の自装置1への移転を要求する。なお、この場合、他装置2も、自装置1に対し、制御権の他装置2への移転を要求することとなる。そこで、制御権の移転が無駄に繰り返されないようにするために、自装置1の通信状態が単独動作状態である場合には、他装置2からの移転要求を拒否してもよい。
【0039】
図3に示す状態Dのように、自装置1および他装置2がともに複合動作状態である場合、自装置1および他装置2ともに制御権の主体として望ましくない。この場合、自装置1および他装置2のいずれも制御権の移転要求を行わないため、制御権の主体は現状のまま維持される。
【0040】
記憶部30は、通信状態情報31と、制御権情報32とを記憶する。通信状態情報31は、自装置1の通信状態が単独動作状態または複合動作状態であることを示す情報である。制御権情報32は、自装置1が制御権を保有しているか否かを示す情報である。
【0041】
なお、通信装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。
【0042】
そして、通信装置1は、CPUがROMに記憶された通信プログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能する通信部10と、制御部20とを備える。なお、通信部10および制御部20は、それぞれの一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。記憶部30は、例えば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0043】
〔3.処理手順〕
次に、第1実施形態に係る通信装置1による処理の手順について
図4および
図5を参照して説明する。まず、制御権の自装置1への移転を要求する移転要求処理の手順について
図4を参照して説明する。
図4は、第1実施形態に係る移転要求処理の手順を示すフローチャートである。
【0044】
図4に示すように、制御部20は、自装置1の通信状態が単独動作状態であるか否かを通信状態情報31に基づいて判定する(ステップS101)。この処理において、単独動作状態であると判定した場合(ステップS101,Yes)、制御部20は、制御権を保持していないか否かを制御権情報32に基づいて判定する(ステップS102)。
【0045】
ステップS102において、制御権を保持していないと判定した場合(ステップS102,Yes)、制御部20は、他装置2に対し、制御権の自装置1への移転を要求する(ステップS103)。
【0046】
つづいて、制御部20は、制御権の自装置1への移転要求が受け入れられたか否かを判定する(ステップS104)。この処理において、制御権の自装置1への移転要求が受け入れられたと判定した場合(ステップS104,Yes)、制御部20は、制御権情報32を「制御権なし」から「制御権あり」に更新する(ステップS105)。これにより、自装置1は他装置2との関係においてマスターとなる。
【0047】
なお、制御部20は、例えば、移転要求を受け入れる旨の情報を他装置2から受信することにより、移転要求が受け入れられたと判定することができる。また、制御部20は、移転要求を拒否する旨の情報を他装置2から受信した場合、または、移転要求を受け入れる旨の情報が一定時間内に受信されなかった場合に、移転要求が受け入れられなかったと判定することができる。
【0048】
ステップS105の処理を終えると、制御部20は、繰り返し条件が成立したか否かを判定する(ステップS106)。繰り返し条件としては、例えば、ステップS101の処理を行ってから予め決められた時間が経過したこと、楽曲データの送受信を行っている場合には、楽曲と楽曲の間の期間内(現在の楽曲が終了してから次の楽曲が開始されるまでの期間内)であること、通信状態情報31が更新されたこと、制御権情報32が更新されたこと、などがある。
【0049】
ステップS106において、繰り返し条件が成立したと判定した場合(ステップS106,Yes)、制御部20は、処理をステップS101へ移行し、ステップS101〜S106の処理を繰り返す。
【0050】
なお、制御部20は、ステップS101において単独動作状態ではないと判定した場合(ステップS101,No)、ステップS102において制御権を保持していると判定した場合(ステップS102,No)、ステップS104において移転要求が受け入れられなかった場合(ステップS104,No)も、処理をステップS106へ移行する。
【0051】
ここで、ステップS104において移転要求が受け入れられなかった場合(ステップS104,No)、制御部20は、単独動作状態である限り、他装置2に対して制御権の自装置1の移転を繰り返し要求することとなる。このように、移転要求を繰り返し行うことにより、例えば、他装置2の通信状態が単独動作状態から複合動作状態に変化した場合に、他装置2から制御権を迅速に譲り受けることができる。
【0052】
また、制御部20は、他装置2に対する制御権への移転を楽曲と楽曲との間に要求するようにすることで、制御権の移転処理が楽曲の再生に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0053】
次に、他装置2から制御権の移転を要求された場合の処理である要求受入判定処理の手順について
図5を参照して説明する。
図5は、第1実施形態に係る要求受入判定処理の手順を示すフローチャートである。
【0054】
図5に示すように、制御部20は、自装置1から他装置2への制御権の移転要求を受信したか否かを判定する(ステップS201)。
【0055】
ステップS201において、自装置1から他装置2への制御権の移転要求を受信したと判定した場合(ステップS201,Yes)、制御部20は、自装置1の通信状態が複合動作状態であるか否かを判定する(ステップS202)。この処理において、複合動作状態であると判定した場合(ステップS202,Yes)、制御部20は、移転要求を受け入れる(ステップS203)。具体的には、制御部20は、他装置2に対し、移転要求を受け入れる旨の情報を送信する(ステップS203)。そして、制御部20は、制御権情報32を「制御権あり」から「制御権なし」に更新する(ステップS204)。
【0056】
一方、ステップS202において、複合動作状態ではないと判定した場合(ステップS202,No)、制御部20は、移転要求を拒否する(ステップS205)。具体的には、制御部20は、他装置2に対し、移転要求を拒否する旨の情報を送信する(ステップS205)。なお、制御部20は、複合動作状態でないと判定した場合に、移転要求に対する応答を行わないこととしてもよい。
【0057】
ステップS204,S205の処理を終えると、制御部20は、処理をステップS201へ移行し、ステップS201〜S205の処理を繰り返す。
【0058】
上述してきたように、第1実施形態に係る通信装置(一例として、自装置1)は、通信部(一例として、通信部10)と、制御部(一例として、制御部20)とを備える。通信部は、第1通信方式(一例として、Bluetooth)および第2通信方式(一例として、Wi−Fi)を時分割で切り替えて複数の他装置との間で多重通信を行う。制御部は、第1通信方式による通信を行っており、かつ、第2通信方式による通信を行っていない場合に、第1通信方式の制御権を自装置が保持するように制御する。
【0059】
これにより、通信状態がビジーでない(すなわち、単独動作状態の)自装置が第1通信方式のマスターとなることで、第1通信方式および第2通信方式による多重通信を行う場合における通信品質の低下を抑制することができる。
【0060】
制御部は、第1通信方式による通信を行っており、かつ、第2通信方式による通信を行っていない場合において、制御権を未だ保持していなければ、第1通信方式による通信を行っている他装置(一例として、他装置2)に対し、制御権の自装置への移転を要求してもよい。これにより、通信状態がビジーでない自装置を第1通信方式のマスターとすることができる。
【0061】
制御部は、制御権の自装置への移行要求が受け入れられなかった場合に、第1通信方式による通信を行っている他装置に対し、制御権の自装置への移転を繰り返し要求してもよい。このように、移転要求を繰り返し行うことで、例えば、他装置の通信状態が単独動作状態から複合動作状態に変化した場合に、他装置から制御権を迅速に譲り受けることができる。
【0062】
制御部は、第1通信方式による通信を行っている他装置と楽曲データの送受信を行っている場合に、制御権の自装置への移転を楽曲と楽曲との間に要求してもよい。これにより、制御権の移転処理が楽曲の再生に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0063】
制御部は、第1通信方式による通信を行っている他装置から制御権の自装置への移転を要求された場合に、第1通信方式による通信を行っており、かつ、第2通信方式による通信を行っていなければ、移転要求を受け入れてもよい。これにより、通信状態がビジーでない自装置を第1通信方式のマスターとすることができる。
【0064】
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、通信状態がビジーでない通信装置が、制御権の自装置への移転を要求する場合の例について説明したが、これに限らず、通信状態がビジーな通信装置が、制御権の他装置への移転を要求してもよい。第2実施形態では、この場合の例について説明する。
【0065】
まず、他装置2に対して制御権の他装置2への移転を要求する移転要求処理について
図6を参照して説明する。
図6は、第2実施形態に係る移転要求処理の手順を示すフローチャートである。
【0066】
図6に示すように、制御部20は、通信状態情報31に基づき、自装置1の通信状態が複合動作状態であるか否かを判定する(ステップS301)。この処理において、複合動作状態であると判定した場合(ステップS301,Yes)、制御部20は、制御権情報32に基づき、制御権を保持しているか否かを判定する(ステップS302)。
【0067】
ステップS302において、制御権を保持していると判定した場合(ステップS302,Yes)、制御部20は、他装置2に対し、制御権の他装置2への移転を要求する(ステップS303)。
【0068】
つづいて、制御部20は、移転要求が受け入れられたか否かを判定する(ステップS304)。この処理において、移転要求が受け入れられたと判定された場合(ステップS304,Yes)、制御部20は、制御権情報32を「制御権あり」から「制御権なし」に更新する(ステップS305)。これにより、自装置1は他装置2との関係においてスレーブとなる。
【0069】
ステップS305の処理を終えると、制御部20は、繰り返し条件が成立したか否かを判定する(ステップS306)。繰り返し条件としては、例えば、ステップS301の処理を行ってから予め決められた時間が経過したこと、楽曲データの送受信を行っている場合には、楽曲と楽曲の間の期間(現在の楽曲が終了してから次の楽曲が開始されるまでの期間)であること、通信状態情報31が更新されたこと、制御権情報32が更新されたこと、などがある。
【0070】
ステップS306において、繰り返し条件が成立したと判定した場合(ステップS306,Yes)、制御部20は、処理をステップS301へ移行し、ステップS301〜S306の処理を繰り返す。
【0071】
なお、制御部20は、ステップS301において複合動作状態ではないと判定した場合(ステップS301,No)、ステップS302において制御権を保持していないと判定した場合(ステップS302,No)、ステップS304において移転要求が受け入れられなかった場合(ステップS304,No)も、処理をステップS306へ移行する。
【0072】
次に、第2実施形態に係る要求受入判定処理について
図7を参照して説明する。
図7は、第2実施形態に係る要求受入判定処理の手順を示すフローチャートである。
【0073】
図7に示すように、制御部20は、制御権の自装置1への移転要求を受信したか否かを判定する(ステップS401)。
【0074】
ステップS401において、制御権の自装置1への移転要求を受信したと判定した場合(ステップS401,Yes)、制御部20は、自装置1の通信状態が単独動作状態であるか否かを判定する(ステップS402)。この処理において、単独動作状態であると判定した場合(ステップS402,Yes)、制御部20は、この移転要求を受け入れる。具体的には、制御部20は、他装置2に対し、移転要求を受け入れる旨の情報を送信する(ステップS403)。そして、制御部20は、制御権情報32を「制御権なし」から「制御権あり」に更新する(ステップS404)。
【0075】
一方、ステップS402において、単独動作状態ではないと判定した場合(ステップS402,No)、制御部20は、移転要求を拒否する。具体的には、制御部20は、移転要求を拒否する旨の情報を送信する(ステップS405)。
【0076】
ステップS404,S405の処理を終えると、制御部20は、処理をステップS401へ移行し、ステップS401〜S405の処理を繰り返す。
【0077】
なお、制御部20は、ステップS405において、移転要求を拒否する旨の情報を送信することなく、処理をステップS401へ移行してもよい。すなわち、制御部20は、単独動作状態でない場合には、移転要求に対する応答を行わないこととしてもよい。
【0078】
上述してきたように、第2実施形態に係る通信装置(一例として、自装置1)は、通信部(一例として、通信部10)と、制御部(一例として、制御部20)とを備える。通信部は、第1通信方式(一例として、Bluetooth)および第2通信方式(一例として、Wi−Fi)を時分割で切り替えて複数の他装置との間で多重通信を行う。制御部は、第1通信方式による通信を行っており、かつ、第2通信方式による通信を行っている場合に、第1通信方式による通信を行っている他装置(一例として、他装置2)が第1通信方式の制御権を保持するように制御する。
【0079】
これにより、通信状態がビジーでない(すなわち、単独動作状態の)他装置が第1通信方式のマスターとなることで、第1通信方式および第2通信方式による多重通信を行う場合における通信品質の低下を抑制することができる。
【0080】
制御部は、第1通信方式による通信を行っており、かつ、第2通信方式による通信を行っている場合において、制御権を既に保持していれば、第1通信方式による通信を行っている他装置に対し、制御権の他装置への移転を要求してもよい。これにより、通信状態がビジーでない他装置を第1通信方式のマスターとすることができる。
【0081】
制御部は、第1通信方式による通信を行っている他装置に対する制御権の移転要求が受け入れられなかった場合に、第1通信方式による通信を行っている他装置に対し、制御権の他装置への移転を繰り返し要求してもよい。このように、移転要求を繰り返し行うことで、例えば、他装置の通信状態が複合動作状態から単独動作状態に変化した場合に、他装置に対して制御権を迅速に譲り渡すことができる。
【0082】
制御部は、第1通信方式による通信を行っている他装置と楽曲データの送受信を行っている場合に、第1通信方式による通信を行っている他装置に対する制御権への移転を楽曲と楽曲との間に要求してもよい。これにより、制御権の移転処理が楽曲の再生に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0083】
制御部は、第1通信方式による通信を行っている他装置から制御権の自装置への移転を要求された場合に、第1通信方式による通信を行っており、かつ、第2通信方式による通信を行っているならば、移転要求を拒否してもよい。これにより、通信状態がビジーである自装置が第1通信方式のマスターとなることを防止することができる。
【0084】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。