【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0012】
第1の態様は、ガイドワイヤチューブの近位端側に設けられる接続用コネクタであって、前記ガイドワイヤチューブのガイドワイヤルーメンに連通される挿通孔を備えた弾性シール部材と、該ガイドワイヤルーメンと該挿通孔とに連通される外部接続用のルアーテーパ部材と、該弾性シール部材に押圧力を付与してガイドワイヤを締付固定する固定用押圧部材とが設けられている一方、該弾性シール部材に対して押圧力を最小にした状態においても該ガイドワイヤルーメンと該挿通孔と該ルアーテーパ部材の連通状態が、該弾性シール部材と該ルアーテーパ部材との間の液密状態を保ちつつ、維持されるものである。
【0013】
本態様に従う構造とされた接続用コネクタによれば、外部接続用のルアーテーパ部材を備えていることから、カテーテル等に接続用コネクタを装着した状態でもシリンジ等を接続することができる。また、固定用押圧部材による弾性シール部材への押圧力を最小にした状態でも、弾性シール部材とルアーテーパ部材との液密状態が保たれる。それ故、ガイドワイヤの非固定状態において、シリンジ等から体内に導入した流体等が、弾性シール部材と固定用押圧部材やルアーテーパ部材との隙間を通じて意図せず外部へ漏れ出すことが防止され得る。
【0014】
なお、弾性シール部材とルアーテーパ部材とが軸方向で隣接して配される場合には、弾性シール部材とルアーテーパ部材との液密状態が保たれればよい。また、弾性シール部材とルアーテーパ部材との軸方向間に固定用押圧部材が配される場合には、弾性シール部材と固定用押圧部材との液密状態が保たれることで、間接的に弾性シール部材とルアーテーパ部材との液密状態が保たれ得る。
【0015】
第2の態様は、前記第1の態様に係る接続用コネクタにおいて、前記固定用押圧部材が前記ルアーテーパ部材の遠位端側に位置して該ルアーテーパ部材と一体的に構成されていると共に、該固定用押圧部材の遠位端側端面が前記弾性シール部材の近位端側端面に当接するものである。
【0016】
本態様に従う構造とされた接続用コネクタによれば、部品点数の削減が図られるだけでなく、固定用押圧部材とルアーテーパ部材とを別体として形成した場合に生じ得る隙間を通じて流体が外部空間へ漏出することが回避され得る。
【0017】
第3の態様は、前記第1又は第2の態様に係る接続用コネクタにおいて、前記弾性シール部材の近位端側端面に当接されて該弾性シール部材と前記ルアーテーパ部材との間の液密状態を保つ該ルアーテーパ部材側の当接面が、該弾性シール部材の近位端側端面に比して小さな径方向幅寸法を有しているものである。
【0018】
本態様に従う構造とされた接続用コネクタによれば、弾性シール部材の近位端側に位置する固定用押圧部材やルアーテーパ部材が弾性シール部材へ食い込むように押圧されることで、固定用押圧部材やルアーテーパ部材と弾性シール部材との間のシールがより確実に達成される。
【0019】
第4の態様は、前記第3の態様に係る接続用コネクタにおいて、前記当接面が、略多角形状とされているものである。
【0020】
本態様に従う構造とされた接続用コネクタによれば、略多角形状とされたルアーテーパ部材側の当接面の各角部が、弾性シール部材へ食い込みやすいことなどによって、固定用押圧部材やルアーテーパ部材と弾性シール部材との当接面間のシール性の向上が図られ得る。なお、角部の食い込みによるシール性向上等の目的から、ルアーテーパ部材側の当接面は六以上の角部を有する多角形形状が好適である。
【0021】
第5の態様は、前記第1〜第4の何れかの態様に係る接続用コネクタにおいて、前記固定用押圧部材がねじ送り機構で前記弾性シール部材への接近及び離隔方向に移動可能に組み付けられており、該固定用押圧部材が該ねじ送り機構による該弾性シール部材に対する離隔方向への移動端においても該弾性シール部材へ当接状態とされることで、該弾性シール部材と該ルアーテーパ部材との間の液密状態が保持されるものである。
【0022】
本態様に従う構造とされた接続用コネクタによれば、ねじ送り機構を採用することで弾性シール部材への固定用押圧部材の接近及び離隔方向への移動、即ちガイドワイヤの固定状態と非固定状態との切替えが容易に達成され得る。なお、本態様では、ねじ送り機構により固定用押圧部材を弾性シール部材に対する離隔方向への移動端に位置させることで、前記第1の態様における「弾性シール部材に対して押圧力を最小にした状態」が構成され得る。
【0023】
第6の態様は、前記第5の態様に係る接続用コネクタにおいて、前記ねじ送り機構を構成する回転操作部が、前記ルアーテーパ部材と別部品とされて該ルアーテーパ部材とは相対回転可能とされているものである。
【0024】
本態様に従う構造とされた接続用コネクタによれば、回転操作部がルアーテーパ部材と相対回転することで、回転操作部の回転抵抗が抑えられる。その結果、回転操作部の回転抵抗の軽減が図られると共に、弾性シール部材と固定用押圧部材との当接面の相対回転による摺動も抑えられて、固定用押圧部材の弾性シール部材への食い込み部分の安定性の向上ひいてはシール性能の安定性の向上が図られ得る。特に前記第4の態様と組み合わされることにより、多角形状とされた固定用押圧部の各角部における弾性シール部材への食い込みによるシール性能の向上がより安定して実現可能になる。
【0025】
また、回転操作部とルアーテーパ部材とが相対回転することから、ルアーテーパ部材へシリンジ等を中心軸回りで回転させつつ接続又は抜去する際には、シリンジ等とルアーテーパ部材とが共回りし、当該回転が回転操作部にまで及ぼされて、更に回転操作部の回転により固定用押圧部材が弾性シール部材への接近又は離隔方向に移動して、意図せず弾性シール部材の挿通孔が遮断されたり開放されたりすることが防止され得る。
【0026】
第7の態様は、前記第6の態様に係る接続用コネクタにおいて、前記回転操作部の装着部位において該回転操作部の緩み方向への移動端を規定する係止用突起が設けられていることにより、前記固定用押圧部材の前記弾性シール部材に対する離隔方向への移動端が規定されるようになっているものである。
【0027】
本態様に従う構造とされた接続用コネクタによれば、固定用押圧部材が弾性シール部材から離隔した方向へ移動した際における固定用押圧部材の脱落が防止され得る。また、弾性シール部材と固定用押圧部材との当接状態(シール)の維持が、固定用押圧部材の移動端を規定するだけの簡単な構造で実現可能になる。
【0028】
ところで、血管や食道等の体腔における狭窄の治療などに用いられるバルーンカテーテルでは、例えば特開2002−143311号公報に示されているように、ガイドワイヤが挿通されるガイドルーメンと、バルーン内に流体を給排する膨張ルーメンとを備えている。また、バルーンカテーテルは、近位端側に分岐部を有しており、当該分岐部からは、ガイドルーメンに連通されるガイドシャフトと、膨張ルーメンに連通される膨張シャフトとが、相互に独立して延び出している。そして、このようなバルーンカテーテルにおけるガイドシャフトの近位端側に設けられる接続用コネクタとして、上述の第1〜7の態様に係る接続用コネクタが好適に採用され得る。
【0029】
ここにおいて、本発明は、接続用コネクタに関する上記第1〜7の態様に加えて、かかる接続用コネクタが好適に採用され得るバルーンカテーテル用の分岐コネクタに関する以下第8,9の態様も含むものである。
【0030】
すなわち、バルーンカテーテルは、特開2002−143311号公報等に開示されているように、一般にバルーン内部を貫通して設けられたガイドシャフトを備えている。そして、ガイドワイヤルーメンへガイドワイヤを挿通した状態でバルーンを体内管腔の治療部位までデリバリすると共に、バルーン用ルーメンを通じてバルーン内へ圧力流体を供給するようになっている。
【0031】
ところが、従来構造のバルーンカテーテルにおける体内への挿入部分では、バルーンルーメンとガイドワイヤルーメンとが共通のシャフト構造とされているが、体外に位置する分岐部からバルーンシャフトとガイドシャフトが分岐して相互に独立して延びている。それ故、例えばバルーンの膨縮操作やガイドワイヤの操作を行う毎に2本のシャフトから目的とする方を選択しなければならずに操作が面倒であり、且つ他方のシャフトは垂れ下がったままになって操作の邪魔になることがあった。
【0032】
しかも、上記公報に開示されているように、ガイドシャフトの基端側のコネクタには、ガイドワイヤ挿通口とは別途に流体注入ポートが設けられていることから、ガイドワイヤルーメンへ潤滑液やプライミング用液などを注入する際には、ガイドワイヤ挿通口を封止する必要があり、作業が面倒であった。
【0033】
加えて、ガイドワイヤルーメンへガイドワイヤを挿通した状態でバルーンを体内管腔の治療部位までデリバリする際には、ガイドワイヤだけが意図せず押し込まれて腔壁を損傷等しないように、前記特許文献1に記載の如きガイドワイヤの固定機構を別途に準備してガイドシャフトの基端側コネクタに装着しなければならず、労力の負担が大きかった。
【0034】
本発明は、このような従来構造のバルーンカテーテルに対して、作業者の負担軽減が図られ得るように少なくとも一つの改善が施された、新規な構造のバルーン用分岐コネクタを提供することも、目的の一つとする。かかるバルーン用分岐コネクタは、上記第1〜7の態様に係る接続用コネクタに対して、同じカテーテル関連の技術分野に属し、ガイドワイヤの操作等に際しての労力の軽減乃至は操作の改善を図るという共通の課題を有しており、上記1〜7の態様に係る接続用コネクタが好適に採用され得るといった、関連性を有するものである。
【0035】
第8の態様は、ガイドワイヤチューブが挿通されたバルーンを遠位端側に備えたシャフトの近位端側に設けられたバルーン用分岐コネクタであって、前記バルーン用のバルーンルーメンに連通されたバルーン用コネクタ部と、前記ガイドワイヤチューブのガイドワイヤルーメンに連通されたガイドワイヤ用コネクタ部とが、互いに非連通で設けられており、該ガイドワイヤ用コネクタ部には、外部接続用のルアーテーパ部材と、該ルアーテーパ部材を通じて該ガイドワイヤルーメンに挿通されるガイドワイヤを固定する固定機構とが設けられているものである。
【0036】
本態様に従う構造とされたバルーン用分岐コネクタでは、バルーン用コネクタ部とガイドワイヤ用コネクタ部との両方が、単一のコネクタ構造をもって一体的に設けられる。それ故、バルーンとガイドワイヤの何れか一方を操作する際に、他方のシャフトが垂れ下がって邪魔になることがない。
【0037】
また、ガイドワイヤが挿通されるルアーテーパ部材には、外部から流体を注入等するシリンジ等のルアー接続部を直接的に接続することができることから、ガイドワイヤの潤滑液などの注入の作業も容易となる。
【0038】
また、ガイドワイヤの固定機構を備えていることから、バルーンカテーテルを管腔内に挿入する際に、ガイドワイヤのみが意図せず先行して突出するリスクを回避することもできる。
【0039】
第9の態様は、前記第8の態様に係るバルーン用分岐コネクタにおいて、前記第1〜第7の何れかの態様に記載の接続用コネクタを、前記ガイドワイヤ用コネクタ部として備えているものである。
【0040】
本態様によれば、バルーン用分岐コネクタにおけるガイドワイヤ用コネクタ部のシール性を安定して確保することが可能になる。即ち、ガイドワイヤの非固定状態では、ガイドワイヤ用コネクタ部(接続用コネクタ)における弾性シール部材とルアーテーパ部材との液密性が確保されて、例えば外部から流体を注入する際に意図しない流体の漏れが防止され得る。