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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-195871(P2020-195871A)
(43)【公開日】2020年12月10日
(54)【発明の名称】神経刺激投与
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20201113BHJP
   A61B 5/04 20060101ALI20201113BHJP
   A61B 5/05 20060101ALI20201113BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20201113BHJP
【FI】
   A61N1/36
   A61B5/04 A
   A61B5/05 N
   A61B5/11 200
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-152822(P2020-152822)
(22)【出願日】2020年9月11日
(62)【分割の表示】特願2017-504070(P2017-504070)の分割
【原出願日】2015年7月27日
(31)【優先権主張番号】2014902897
(32)【優先日】2014年7月25日
(33)【優先権主張国】AU
(31)【優先権主張番号】2015900912
(32)【優先日】2015年3月13日
(33)【優先権主張国】AU
(71)【出願人】
【識別番号】513144730
【氏名又は名称】サルーダ・メディカル・ピーティーワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ルイス・パーカー
【テーマコード(参考)】
4C038
4C053
4C127
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB35
4C038VC20
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ04
4C127AA01
4C127BB05
4C127DD03
4C127EE03
(57)【要約】
【課題】本発明は、治療神経刺激の適用に関し、特に、様々な方法で神経経路の近傍に移植される1つ又は複数の電極を使用することにより、副作用を最小限に抑えるために望ましい用量の刺激を適用することに関する。
【解決手段】治療神経刺激を適用することは、感覚入力及びユーザの運動のうちの少なくとも一方をモニタリングすることを含む。感覚入力又はユーザの運動の検出に応答して、検出された感覚入力又はユーザの運動がマスキングを生じさせる持続時間に対応する時間期間内で、増大した刺激用量が送達され、増大した刺激用量は、神経リクルートメントの増大を生じさせるように構成される。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療神経刺激を適用する方法であって、
感覚入力及びユーザの運動のうちの少なくとも一方をモニタリングすることと、
感覚入力及びユーザの運動のうちの少なくとも一方の検出に応答して、前記検出された感覚入力又はユーザの運動がマスキングを生じさせる持続時間に対応する時間期間内で、増大した刺激用量を送達することであって、前記増大した刺激用量は、神経リクルートメントの増大を生じさせるように構成される、送達することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記増大した刺激用量は、刺激の振幅、刺激のパルス幅、及び/又は刺激の周波数のうちの1つ又は複数を増大させることにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記増大した刺激用量は、高周波刺激のバーストを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
感覚入力も運動も検出されないとき、刺激は低減用量で送達される、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
感覚入力も運動も検出されないとき、刺激は送達されない、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザに送達された累積刺激用量をモニタリングすることと、所望の刺激総用量を送達しようとするために、運動中又は運動間の何れかでの所要刺激レジメンを定義する基礎として前記累積刺激用量を使用することとを更に含む、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
感覚入力及び前記ユーザの運動のうちの少なくとも一方は、神経経路上の神経活動を測定することによって検出される、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記測定される神経活動は、前記神経経路に適用される電気刺激から生じる誘発神経反応を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
所与の刺激から誘発される前記神経反応の変化が検出される場合、運動が検出される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記測定される神経活動は、非誘発神経活動を含む、請求項7〜9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ユーザの運動は、加速度計により検出される、請求項1〜10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記増大した刺激用量が送達される時間期間は、典型的な人間の運動の持続時間の予め定義される近似である、請求項1〜11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記増大した刺激用量が送達される時間期間は、前記ユーザによる感覚入力又は運動の停止を検出し、及び次に前記増大した刺激用量の送達を停止する更なるステップを実行することにより、適応的に決定される、請求項1〜11の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記増大した刺激用量は、前記時間期間内の選択時点で送達される、請求項1〜13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
治療神経刺激を適用する装置であって、
ユーザの神経経路に沿って位置決めされるように構成される少なくとも1つの電極と、
感覚入力及び前記ユーザの運動のうちの少なくとも一方をモニタリングするように構成され、且つ前記検出された感覚入力又はユーザの運動がマスキングを生じさせる持続時間に対応する時間期間内で、前記少なくとも1つの電極を介して増大した刺激用量を送達するように構成される制御ユニットであって、前記増大した刺激用量は、神経リクルートメントの増大を生じさせるように構成される、制御ユニットと
を備える、装置。
【請求項16】
神経ブロックを行う方法であって、一連の電気刺激を神経組織に送達することを含み、各刺激は、少なくとも前記神経組織への刺激電極の所与の相対位置において、前記一連のうちの第1の刺激が活動電位を生成し、且つ各後続刺激が、前記神経組織の脱分極も生じさせず、又は活動電位も誘発せずに、前記神経組織の膜電位を変更するレベルで構成され、各後続刺激は、先行刺激から前記神経組織の前記膜電位が回復する前に送達され、それにより、前記一連の刺激は、活動電位の伝導が阻止又は回避される変更範囲内に前記膜電位を維持する、方法。
【請求項17】
前記ブロックは、一連の閾値超え刺激を適用することにより行われ、前記一連の閾値越え刺激のうちの最初の刺激は活動電位を誘発する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ブロックは、第1の姿勢では閾値下であるが、前記ユーザが第2の姿勢に移るときに閾値を超える一連の刺激を適用することにより行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記一連の刺激は、500Hzよりも大きい周波数で送達される、請求項16〜18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記一連の刺激は、1kHzよりも大きい周波数で送達される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記一連の刺激は、5〜15kHzの範囲の周波数で送達される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
公称閾値下刺激レベルは、移植刺激器を前記ユーザに装着するとき、臨床医により予め決定される、請求項16〜21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記公称閾値下レベルは、前記神経組織のリクルートメント閾値を随時繰り返し決定することにより適応的に決定される、請求項16〜22の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
神経ブロックを行う装置であって、
ユーザの神経経路に沿って位置決めされるように構成される少なくとも1つの電極と、
一連の電気刺激を神経組織に送達するように構成される制御ユニットと
を含み、各刺激は、少なくとも前記神経組織への前記電極の所与の相対位置において、前記一連のうちの第1の刺激が活動電位を生成し、且つ各後続刺激が、前記神経組織の脱分極も生じさせず、又は活動電位も誘発せずに、前記神経組織の膜電位を変更するレベルで構成され、各後続刺激は、先行刺激から前記神経組織の前記膜電位が回復する前に送達され、それにより、前記一連の刺激は、活動電位の伝導が阻止又は回避される変更範囲内に前記膜電位を維持する、装置。
【請求項25】
コンピュータに手順を実行させるコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品であって、請求項1に記載の方法を実行するコンピュータプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項26】
コンピュータに手順を実行させるコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品であって、請求項16に記載の方法を実行するコンピュータプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療神経刺激の適用に関し、特に、様々な方法で神経経路の近傍に移植される1つ又は複数の電極を使用することにより、副作用を最小限に抑えるために望ましい用量の刺激を適用することに関する。
【背景技術】
【0002】
複合活動電位(CAP)を生じさせるために、神経刺激を適用することが望ましい様々な状況がある。例えば、神経調節を使用して、慢性神経障害痛、パーキンソン病、及び偏頭痛を含む様々な疾患を治療する。神経調節システムは、電気パルスを組織に適用して、治療効果をもたらす。
【0003】
胴体及び四肢に発する神経障害痛の緩和に使用される場合、電気パルスが脊髄の脊柱(DC)に適用される。そのようなシステムは通常、移植される電気パルス生成器と、経皮誘導伝導により再充電可能であり得る電池等の電源とを備える。電極アレイが、パルス生成器に接続され、脊柱の上の背側硬膜外空間に位置決めされる。電極により脊柱に適用される電気パルスは、ニューロンの脱分極を生じさせ、伝搬する活動電位を生成させる。このように刺激された線維は、脊髄内のそのセグメントから脳への痛みの伝達を阻止する。痛み緩和効果を持続させるために、刺激は、例えば、30Hz〜100Hzの範囲の周波数で略連続して適用される。
【0004】
脊髄刺激(SCS)の臨床的効果は十分に確立されているが、関わる精密なメカニズムの理解は乏しい。DCは、関心のある求心性Aβ線維を含むため、電気刺激の標的である。Aβ線維は、接触、振動、及び皮膚からの圧力の感覚を仲介する。
【0005】
効果的で快適な動作のために、刺激振幅又は送達電荷をリクルートメント閾値上に維持する必要がある。リクルートメント閾値未満の刺激は、いかなる活動電位もリクルートすることができない。快適閾値未満の刺激を適用する必要もあり、快適閾値を超えると、リクルートメントが大きすぎる場合に不快な感覚を生じさせ、高刺激レベルでは、急性痛、冷たい感覚、及び圧覚に関連する感覚神経線維さえもリクルートし得るAβ線維のリクルートメントの増大に起因して、不快さ又は痛みの知覚が生じる。略全ての神経調節用途では、単一クラスの線維反応が望まれるが、利用される刺激波形は、他のクラスの線維もリクルートさせ得、求心性又は遠心性運動線維がリクルートされる場合、筋収縮等の望ましくない副作用を生じさせる。適切な神経リクルートメントを維持する作業は、電極移動及び/又は移植を受けた人の姿勢変化により更に難しくなり、電極移動及び/又は姿勢変化は両方とも、刺激が電極位置又はユーザ姿勢の変化前に適用されるか、又は後に適用されるかに応じて、所与の刺激から生じる神経リクルートメントを有意に変化させ得る。硬膜外空間に電極アレイが動く余地があり、そのようなアレイの移動は、電極−線維距離を変化させ、したがって、所与の刺激のリクルートメント有効性を変化させる。更に、脊髄自体も硬膜に対して脊髄液(CSF)内で移動し得る。姿勢変更中、CSFの量及び脊髄と電極との距離は、有意に変化し得る。この影響は、姿勢変化のみにより、以前は快適で有効であった刺激レジメンが効果をなくすか、又は痛みがあるようになり得るほど大きい。
【0006】
本明細書に含まれている文献、動作、材料、装置、製品等のあらゆる考察は、本発明の状況を提供することのみを目的とする。これらの任意又は全てが、本出願の各請求項の優先日前に存在することから、従来技術の基礎をなすこと又は本発明に関連する分野での一般知識であったことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0007】
本明細書全体を通して、「備える(comprise)」という言葉又は「備える(comprises)」又は「備えている(comprising)」等の変形は、記された要素、完全体、若しくはステップ、又は要素、完全体、若しくはステップの群の包含を暗示するが、任意の他の要素、完全体、若しくはステップ、又は要素、完全体、若しくはステップの群の除外を暗示しない。
【0008】
本明細書では、要素が選択肢リスト「のうちの少なくとも1つ」であり得るとの記述は、その要素が、列挙された選択肢の任意の1つであり得るか、又は列挙された選択肢のうちの2つ以上の任意の組合せであり得ることを理解されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様によれば、本発明は、治療神経刺激を適用する方法であって、
感覚入力及びユーザの運動のうちの少なくとも一方をモニタリングすることと、
感覚入力及びユーザの運動のうちの少なくとも一方の検出に応答して、検出された感覚入力又はユーザの運動がマスキングを生じさせる持続時間に対応する時間期間内で、増大した刺激用量を送達することであって、増大した刺激用量は、神経リクルートメントの増大を生じさせるように構成される、送達することと
を含む、方法を提供する。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、治療神経刺激を適用する装置であって、
ユーザの神経経路に沿って位置決めされるように構成される少なくとも1つの電極と、
感覚入力及びユーザの運動のうちの少なくとも一方をモニタリングするように構成され、且つ感覚入力及びユーザの運動のうちの少なくとも一方の検出に応答して、検出された感覚入力又はユーザの運動がマスキングを生じさせる持続時間に対応する時間期間内で、少なくとも1つの電極を介して増大した刺激用量を送達するように構成される制御ユニットであって、増大した刺激用量は、神経リクルートメントの増大を生じさせるように構成される、制御ユニットと
を備える、装置を提供する。
【0011】
本発明の第1及び第2の態様は、運動又は感覚入力中、知覚の心理物理学により、個人が、所与の刺激から、個人が運動していないか、又は感覚入力を受け取っていない間に同じ刺激が適用される場合と比較して、低減された感覚を知覚することになり得ることを認識する。しかし、大きい刺激用量を送達することの利点は、刺激完了後、ある時間期間にわたり残る。したがって、本発明の第1及び第2の態様は、ユーザが運動しているか、又は感覚入力を受け取っている時間期間が、増大した刺激用量を送達する機会を提示することを認識する。
【0012】
本発明の第1及び第2の態様の幾つかの実施形態では、増大した刺激用量は、刺激の振幅、刺激のパルス幅、及び/又は刺激の周波数のうちの1つ又は複数を増大させることにより行われ得る。増大した刺激用量は、例えば、高周波刺激、例えば、10kHz、40μsパルス幅、及び2mA振幅のバーストを含み得る。感覚入力も運動も検出されないとき、低減用量で、例えば、20又は30Hzで刺激が送達され得るか、又は刺激が送達されなくてよい。
【0013】
幾つかの実施形態では、ユーザに送達された累積刺激用量がモニタリングされ得、1時間又は1日等の用量期間の過程にわたり、所望の刺激総量を送達しようとするために、感覚入力又は運動の期間中及び/又は感覚入力及び運動がない期間中、所要刺激レジメンを定義する基礎として使用され得る。
【0014】
幾つかの実施形態では、感覚入力又はユーザの運動は、神経経路上の神経活動を測定することによって検出される。測定される神経活動は、神経経路に適用される電気刺激から生じる誘発神経反応を含み得、例えば、所与の刺激から誘発される神経反応の変化が検出される場合、感覚入力又は運動が検出され得る。測定される神経活動は、追加又は代替として、装置による電気刺激の適用以外の理由での神経経路上の神経活動である非誘発神経活動を含み得る。そのような実施形態は、感覚入力又はユーザの運動の期間中、非誘発神経活動が有意に生じ、それにより、非誘発神経活動で観測される増大又は変化が、感覚入力又はユーザの運動を示すものとして解釈され得ることを認識する。
【0015】
他の実施形態では、ユーザの移動は、加速度計又は他の移動検出器により検出され得る。
【0016】
増大した刺激用量が送達される時間期間は、典型的な人間の運動の持続時間の予め定義される近似であり得、例えば、1秒の持続時間のオーダであるように予め定義され得る。追加又は代替として、増大した刺激用量が送達される時間期間は、感覚入力又はユーザの運動の停止を検出し、及び次に増大した刺激用量の送達を停止する更なるステップを実行することにより、適応的に決定され得る。
【0017】
追加又は代替として、増大した刺激用量が送達される時間期間は、非誘発神経活動の典型的な持続時間に対応する値をとるように予め定義されるか、又は適応的に決定され得る。例えば、幾つかの実施形態では、増大した刺激用量が送達される時間期間は、10〜100msの範囲内、より好ましくは20〜40msの範囲内、より好ましくは約30msであり得る。そのような実施形態では、刺激用量の増大は、例えば、刺激の周波数を60Hzから1kHzに増大させることにより、刺激の周波数を増大させて、60Hzで生じる約2つの刺激のみの送達よりもむしろ、非誘発神経活動の30ms窓中に約30の刺激を送達することを含み得る。
【0018】
追加又は代替として、増大した刺激用量が送達される時間期間及び/又は増大した刺激用量の刺激強度は、運動又は感覚入力の強度を測定し、運動強度から時間期間及び/又は刺激強度を決定する更なるステップを実行することにより適応的に決定され得、例えば、時間期間及び/又は刺激強度は、運動強度に比例させることができ得る。運動又は感覚強度は、例えば、検出される運動若しくは感覚入力の大きさ若しくは電力、又は検出される運動若しくは感覚入力の他の強度測定値を含み得る。そのような実施形態では、刺激強度は、感覚閾値が運動又は感覚入力に伴って変化する時間にわたり、特定の量又は割合だけ感覚閾値を下回ったままであるように制御され得、それにより、治療用量の刺激を維持しながら、刺激が異常感覚を生じさせることを回避又は最小限に抑える。
【0019】
増大した刺激用量は、時間期間全体にわたり、又は感覚入力、運動、又は時間期間の開始時及び/又は停止等の時間期間内の選択された時点で送達され得る。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、神経ブロックを行う方法であって、一連の電気刺激を神経組織に送達することを含み、各刺激は、少なくとも神経組織への刺激電極の所与の相対位置において、一連のうちの第1の刺激が活動電位を生成し、且つ各後続刺激が、神経組織の脱分極も生じさせず、又は活動電位も誘発せずに、神経組織の膜電位を変更するレベルで構成され、各後続刺激は、先行刺激から神経組織の膜電位が回復する前に送達され、それにより、一連の刺激は、活動電位の伝導が阻止又は回避される変更範囲内に膜電位を維持する、方法を提供する。
【0021】
本発明の第4の態様によれば、神経ブロックを行う装置であって、
ユーザの神経経路に沿って位置決めされるように構成される少なくとも1つの電極と、
一連の電気刺激を神経組織に送達するように構成される制御ユニットと
を含み、各刺激は、少なくとも神経組織への電極の所与の相対位置において、一連のうちの第1の刺激が活動電位を生成し、且つ各後続刺激が、神経組織の脱分極も生じさせず、又は活動電位も誘発せずに、神経組織の膜電位を変更するレベルで構成され、各後続刺激は、先行刺激から神経組織の膜電位が回復する前に送達され、それにより、一連の刺激は、活動電位の伝導が阻止又は回避される変更範囲内に膜電位を維持する、装置を提供する。
【0022】
したがって、本発明の第3及び第4の態様の実施形態は、最初は活動電位を生成し、次にブロックを生成する一連の刺激を適用し、ブロックは、一連の刺激が、活動電位の伝導が阻止又は回避される変更範囲内に膜電位を維持する期間中に生じる。幾つかの実施形態では、ブロックは、最初の刺激が活動電位を誘発する一連の閾値超え刺激を適用することにより行われ得る。追加又は代替の実施形態は、ブロックは、第1の姿勢では閾値下であるが、ユーザが第2の姿勢に移るときに閾値を超えする一連の刺激を適用することにより行われ得る。そのような実施形態では、刺激閾値が閾値振幅下になった後に送達される第1の刺激は、活動電位を誘発する。ブロックは、ブロック中に送達される刺激が刺激部位で活動電位を誘発させないか、又は誘発させるとしても極僅かであり、したがって、異常感覚の影響の有意な低減又は完全な消失をもたらすため、有益である。
【0023】
本発明の第3及び第4の態様の幾つかの実施形態では、一連の刺激は、500Hz、より好ましくは1kHz超、例えば、5〜15kHzの範囲であり得る周波数又は平均周波数で送達され得る。幾つかの実施形態では、周波数は、国際公開第2012/155189号パンフレットの技法を使用することによる等、被験者の平均不応期を特定することにより定義され得、この国際公開の内容は参照により本明細書に援用される。次に、送達される刺激の周波数は、刺激間隔が、特定された不応期未満、又はその適する分数又は倍数であるように設定され得る。
【0024】
本発明の第3及び第4の態様の幾つかの実施形態では、公称閾値下レベルは、例えば、ユーザに移植刺激器が装着されるとき、臨床医により予め決定され得る。公称閾値下レベルは、幾つかの実施形態では、所与の姿勢での刺激閾値の大きい割合、例えば、その姿勢での刺激閾値の50%、75%、又は90%の大きさであるレベルに設定される。公称閾値下レベルは、例えば、刺激により誘発された神経反応を測定し、最も新しく決定された閾値レベルを参照することにより公称閾値下レベルを再設定することによる等、神経組織のリクルートメント閾値を随時繰り返し決定することにより、適応的に決定され得る。神経組織のリクルートメント閾値は、幾つかの実施形態では、運動中に神経ブロックを確立できるように、典型的な人間の運動の持続時間よりもはるかに大きい時間間隔で決定される。
【0025】
本発明の幾つかの実施形態は、本発明の第1の態様により感覚入力又は運動が検出されるときのみ、本発明の第3の態様によりブロックを実施し得る。そのような実施形態では、感覚入力又は運動の検出は、公称閾値下レベルで連続してブロック刺激を送達することにより行われ得、それにより、ブロック刺激は、瞬間リクルートメント閾値を公称閾値下レベルに下げる感覚入力又は運動中にのみ行われる。代替的には、そのような実施形態では、ブロックは、感覚入力又は運動の検出に応答して開始し得、それにより、一連のうちの最初の刺激により生成される活動電位は、感覚入力又は運動によりマスキングされる。
【0026】
第5の態様によれば、本発明は、治療神経刺激を適用する手順をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品であって、
感覚入力及びユーザの運動のうちの少なくとも一方をモニタリングするコンピュータプログラムコード手段と、
感覚入力及びユーザの運動のうちの少なくとも一方の検出に応答して、検出された感覚入力又はユーザの運動がマスキングを生じさせる持続時間に対応する時間期間内で、増大した刺激用量を送達するコンピュータプログラムコード手段であって、増大した刺激用量は、神経リクルートメントの増大を生じさせるように構成される、送達するコンピュータプログラムコード手段と
を含む、コンピュータプログラム製品を提供する。
【0027】
第6の態様によれば、本発明は、治療神経刺激を適用する手順をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品であって、一連の電気刺激を神経組織に送達するコンピュータプログラムコード手段を含み、各刺激は、少なくとも神経組織への刺激電極の所与の相対位置において、一連のうちの第1の刺激が活動電位を生成し、且つ各後続刺激が、神経組織の脱分極も生じさせず、又は活動電位も誘発せずに、神経組織の膜電位を変更するレベルで構成され、各後続刺激は、先行刺激から神経組織の膜電位が回復する前に送達され、それにより、一連の刺激は、活動電位の伝導が阻止又は回避される変更範囲内に膜電位を維持する、コンピュータプログラム製品を提供する。
【0028】
本発明の第5及び第6の態様の幾つかの実施形態では、コンピュータプログラム製品は、1つ又は複数のプロセッサにより実行される命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体を含む。
【0029】
本発明の例について添付図面を参照してこれより説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】移植された脊髄刺激器を概略的に示す。
図2】移植された神経刺激器のブロック図である。
図3】移植された刺激器と神経との相互作用を示す概略図である。
図4】軸索で活動電位を生成する閾値が続く強度持続時間曲線を示す。
図5】高周波パルス列を送達することの強度持続時間曲線への効果を示す。
図6】幾つかの異なる姿勢での個人の振幅成長曲線を示す。
図7】脊柱の活性化に対応する強度持続時間曲線を示す。
図8】一定のECAP反応を維持するために必要な刺激電流のモニタリングを示す。
図9】患者が静止した状態でのECAP記録例を示す。
図10】患者が現場を歩いている状態でのECAP記録を示す。
図11】患者から測定される非誘発活動を示す。
図12】本発明の幾つかの実施形態により適用される刺激レジメンを示す。
図13】ブロック中に記録される神経電圧を示す。
図14】運動活動検出器の動作を示す。
図15】患者が運動中に観測される神経反応信号及び図14の検出により送達される結果としての刺激レジメンを示す。
図16】患者が運動中に観測される神経反応信号及び図14の検出により送達される結果としての刺激レジメンを示す。
図17】患者が運動中に観測される神経反応信号及び図14の検出により送達される結果としての刺激レジメンを示す。
図18】本発明の別の実施形態による神経活動検出器の動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、移植された脊髄刺激器100を概略的に示す。刺激器100は、患者の下腹部又は上後臀部領域の適する場所に移植された電子モジュール110と、硬膜外空間内に移植され、適するリードによりモジュール110に接続される電極組立体150とを備える。移植された神経装置100の動作の多くの態様は、外部制御装置192により再構成可能である。更に、移植された神経装置100はデータ収集の役割を果たし、収集されたデータは外部装置192に通信される。
【0032】
図2は、移植された神経刺激器100のブロック図である。モジュール110は、電池112及びテレメトリモジュール114を含む。本発明の実施形態では、テレメトリモジュール114は、赤外線(IR)、電磁、容量性、及び誘導転送等の任意の適するタイプの経皮通信190を使用して、外部装置192と電子モジュール110との間で電力及び/又はデータを転送し得る。
【0033】
モジュールコントローラ116は、患者設定120、制御プログラム122等を記憶する、関連付けられたメモリ118を有する。コントローラ116は、患者設定120及び制御プログラム122に従ってパルス生成器124を制御して、電流パルスの形態の刺激を生成する。電極選択モジュール126は、生成されたパルスを電極アレイ150の適切な電極に切り替え、選択された電極周囲の組織に電流パルスを送達する。測定回路128は、電極選択モジュール126により選択された電極アレイの検知電極において検知される神経反応の測定を捕捉するように構成される。
【0034】
図3は、移植された刺激器100と神経180との相互作用を示す概略図であり、この場合、神経180は脊髄であるが、代替の実施形態は、末梢神経、内臓神経、副交感神経、又は脳構造を含む任意の所望の神経組織に隣接して位置決めし得る。電極選択モジュール126は、神経180を含む組織周囲に電気電流パルスを送達する電極アレイ150の刺激電極2を選択し、且つゼロの正味電荷移動を維持するための刺激電流回復のためにアレイ150の戻り電極4も選択する。
【0035】
神経180に適切な刺激を送達すると、慢性痛の脊髄刺激器の場合、必要に応じて感覚異常をもたらし得る治療目的で、神経180に沿って示されるように伝搬する複合活動電位を含む神経反応が誘発される。このために、刺激電極を使用して、30Hzで刺激を送達する。装置を装着するために、臨床医は刺激を適用し、刺激は、患者により感覚異常として経験される感覚をもたらす。感覚異常が、痛みの影響を受けるユーザの体の部位と一致する場合、臨床医は、その構成を進行中の使用に推薦する。
【0036】
装置100は、神経180に沿って伝搬する複合活動電位(CAP)の存在及び強度を、そのようなCAPが電極2及び4からの刺激によって誘発されるか、又は他の方法で誘発されるかに関係なく、検知するように更に構成される。このために、アレイ150の任意の電極は、電極選択モジュール126により選択されて、測定電極6及び測定参照電極8として機能し得る。測定電極6及び8により検知されたシグナルは、測定回路128に渡され、測定回路128は、例えば、本出願人による国際公開第2012/155183号パンフレットの教示に従って動作し得、この国際公開は、参照により本明細書に援用される。
【0037】
しかし、本発明は、異常感覚の経験が、継続的に痛みの軽減に必要であるか否かが不明確であることを認識する。異常感覚は一般に、不愉快な感覚ではないが、それにもかかわらず、感覚の生成なしで痛み軽減を提供する刺激レジメンにおいて恩恵があり得る。
【0038】
軸索での活動電位生成の閾値は図4に示される強度持続時間曲線を辿る。刺激のパルス幅が増大するにつれて、軸先が閾値に達するために必要な電流は低減する。基電流は漸近値であり、非常に長いパルス幅であっても活動電位を生成することが不可能な最大電流である。次に、クロナキシーが、起電流の2倍である電流で活動電位を誘発するために必要な最小パルス幅として定義される。
【0039】
図5は、高周波パルス列を送達することの強度持続時間曲線への効果を示す。示されるように、高周波パルス列は、神経の活性化に関してより長いパルス幅を有する単一パルスとして有効に機能することができる。すなわち、密な間隔の刺激は有効に加算され、同じパルス幅を有する間隔の広い刺激と比較した場合、線維の追加の集団をリクルートすることができる。刺激は、軸索膜を閾値まで脱分極し、活動電位を生成してもよく、又は軸索膜電位を閾値の直下まで脱分極し、活動電位を生成しなくてもよい。軸索が刺激に反応して活動電位を生成する場合、不応期と呼ばれる時間期間にわたり、第2の電位を生成することができない。他方、第1の刺激に反応して閾値に達しなかった軸索は、次の刺激が前の刺激からの膜電位の回復前に行われる場合、軸索膜電位が刺激毎に上昇してますます閾値に近づくため、後続刺激で閾値に達し得る。この効果は、少数の高周波刺激にわたり均衡し、低周波での同じパルス幅の単一刺激と比較した場合、リクルートされる線維数が効果的に2倍になることを説明し得る。
【0040】
脊柱内のAβ繊維の活性化は、姿勢変化に応答してかなり変化し得る。この姿勢の影響は主に、繊維に対する刺激電極の移動に起因する。姿勢変化は、誘発複合活動電位(ECAP)を記録することにより測定することができる。姿勢の瞬間変化、例えば、くしゃみ又は咳は、誘発CAPの振幅の10倍以上の増大をもたらし得る。図6は、幾つかの異なる姿勢での個人の振幅成長曲線を示す。図6は、患者がある姿勢から別の姿勢に移る際のリクルートメント閾値の著しい変化を示し、ユーザが仰臥位である場合には略0.5mAという低さであるが、ユーザが腹臥位である場合には約3mAである。
【0041】
図7は、単一姿勢での脊柱の活性化に対応する強度持続時間曲線を示す。ECAPの閾値に対応する電流とパルス幅との関係である。例えば、35μsのパルス幅は、閾値電流11.5mAに対応する。図6のリクルートメント曲線に注目すると、座っている患者が仰臥位に移る場合、図7の閾値は値の1/3に下がると予期することができ、これは、パルス幅35μsの場合、閾値が11.5/3=3.83mAになることを示す。姿勢変化に応答して閾値を維持するために、パルス幅を増大させることができるか、又は先に示されたように、より短いパルス幅を使用して高周波列を使用することができる。
【0042】
本発明は、皮膚感覚が運動及び感覚入力により抑圧され、抑圧のレベルが運動又は感覚入力の強度に依存し、運動誘発の抑圧が変動及び圧力の両方を減衰させることを更に認識する。圧覚の低減は、低速、中速、及び高速での運動のそれぞれで30、38、及び79%であった。一般に、感覚入力は、大きい刺激の存在がより小さい刺激の知覚をマスキングし得るマスキング現象を示す。これは、より小さい刺激が、より大きい刺激の前に提示される(前方マスキング)場合であっても生じる。この現象は、皮膚入力中に生じる。
【0043】
したがって、本発明の第1の実施形態は、運動を検出し、運動が電気刺激により生成される感覚をマスキングするのに十分に強い期間中のみ、電気刺激を適用又は増大させる能力を有する脊髄刺激システムを提供する。そのようなシステムは、移植された個人に痛みの緩和を達成するが、被験者が静止しているときに被験者により知覚される感覚が、運動中の知覚閾値未満であることに起因して、感覚を生成させない。
【0044】
個人の運動を検出し得る幾つかの方法がある。一方法は、刺激器の動きを検知する加速度計を使用するというものであり、別の方法は、脊髄の硬膜外空間内の動きの結果として変化する電極アレイのインピーダンスを使用するというものである。運動を検出する第3の方法は、誘発される複合活動電位の調節を使用するというものである。複合活動電位の記録を利用して、例えば、国際公開第2012/155183号パンフレット及び国際公開第2012/155188号パンフレットに記載されるように、一定リクルートメントを達成する閉ループ神経調節システムが開発されており、これらの国際公開は全体的に、参照により本明細書に援用される。ECAPの振幅は、姿勢変化に伴って敏感に変化することが示されている。したがって、振幅を使用して、運動を検出し、それらの運動に一致する刺激バーストの送達のタイミングをとることができる。ECAPの測定は、姿勢に応じた脊髄の脊柱内のリクルートメントのレベルを直接評価する方法を提供する。感覚入力の検出にも適する運動を検出する更なる方法は、例えば、本出願人の仮特許出願豪国特許出願公開第2014904595号明細書に記載されるように、神経刺激器により誘発されなかった神経での神経活動をモニタリングすることであり、この特許出願公開の内容は参照により本明細書に援用される。そのような非誘発神経活動は、マスキングが生じ得る機会を提示し、したがって、増大した刺激用量の送達が適切であり得る時間を定義する遠心性運動シグナル又は求心性感覚又は固有感覚シグナルから生じ得る。
【0045】
この実施形態でのアルゴリズムは以下のように機能する。患者が静止した状態で、ECAPの下位異常感覚振幅のフィードバック制御を確立する。運動が、刺激電流をモニタリングすることにより検出され、刺激電流は、一定ECAP反応を維持するように常時調整される。ある時間にわたる変化の振幅の設定点が確立され、その設定点に達する場合、刺激パラメータを変更するのに十分に高速な運動を示す。電流の変化は、十分に大きい運動を検出する基準を満たすには不十分であることもあれば(図8の時間期間P1で生じるように)、又は基準を満たすか、若しくは超えることもある(図8の時間期間P2で生じるように)。
【0046】
この変化が検出されると、新しい刺激状況が、刺激パラメータを調整することにより設定される。刺激パラメータは、振幅、パルス幅、刺激周波数、又はそれらの組合せ等の脊柱線維のリクルートメントに影響する任意のものであり得る。刺激器は、時間期間にわたり新しい設定において刺激列を出力する。出力は、一定レベルのリクルートメントが達成されるように、フィードバックループでも同様に制御することができる。刺激増大期間のタイミングは、検出された運動に位置する短い期間、停止するように調整され、個人に知覚されないように、運動が停止する前に終了する。
【0047】
タイミング及び振幅は、固定時間にわたり適用される固定振幅、測定されるECAPの振幅若しくは運動に比例して調整され、固定間隔後に終了する振幅、又は一定の刺激振幅及びECAP振幅の時間にわたる一次導関数である変動が降下した後の終了等の幾つかの手段により設定することができる。刺激パラメータが、設定レベルの変動に達したときに調整されることを想起する。したがって、固定ECAP振幅は、電流適用時間にわたる一次導関数が設定レベル未満に下がる場合に終了するフィードバックを介して調整することができる。
【0048】
刺激列が送達された後、システムは、知覚閾値未満の刺激モードに戻り、姿勢の更なる変化についてモニタリングし、シーケンスが繰り返される。刺激パラメータの調整は、時間又は他の時変関数にわたり制御することができる(一定比率での増大又は低減)。
【0049】
理論による限定を意図せずに、SCSの動作の現在姿勢メカニズムは、シナプス伝達を介して、後角内の抑制性神経伝達物質であるGABAを放出することになる脊柱内のAβ線維活動に基づく。次に、GABAは、ダイナミックレンジが広いニューロンでの自発活動を低減し、したがって、痛み軽減をもたらす。GABA介在阻害の動力学は未知であるが、患者によってはかなり長いことがあるSCSからの切り替え後効果がある。これは、GABAの蓄積が短期間にわたり可能であり得、より長い期間の痛み阻害に繋がることを示唆する。GABA放出の量子が刺激に比例する場合、筋緊張連続刺激をより高周波の刺激バーストと比較することが有益である。連続筋緊張刺激は、60Hzの刺激周波数では1時間の期間にわたり216,000の刺激を提供し、一方、1.2kHzでは、同数の刺激の送達は、3分で達成される。上述したような刺激送達にわたる制御を所与として、1時間中の3分の活動が、筋緊張刺激を用いて同数の閾値超え刺激を送達する。したがって、より高周波の刺激バーストが筋緊張刺激と同程度に有効であり得るが、刺激の経過持続時間ははるかに短い。
【0050】
ECAPの使用により、日中に受容者に適用される刺激の用量を入念に制御することができ、刺激数が、最適な治療の達成に必要な目標レベル未満になる場合、追加の刺激を適用することができる。これは、個人が十分に活動的ではないため、又はシステム設定点が最適に調整されないために生じ得る。そのような状況を所与として、システムは、ユーザ若しくは臨床医に警告するか、又は筋収縮連続閾値下刺激の期間に戻ることができる。
【0051】
幾つかの実施形態では、適用される治療刺激は、神経活性化のための閾値超え刺激であり得るが、他の実施形態では、閾値超え刺激は、他の治療部位での心理生理学的知覚のために適用し得る。
【0052】
上述したECAP測定は、検出された運動に一致するように痛み軽減刺激を適用するタイミングをとる方法として使用し得る。患者の各自の非誘発神経活動の測定を含め、幾つかの他の方法を使用することもできる。図9は、患者が静止した状態でのECAP記録例を示し、図10は、患者が現場を歩いている状態でのECAP記録を示す。
【0053】
図9及び図10では、患者が現場を歩いている状態での刺激直後の非誘発活動に起因して、ノイズの振幅に有意な差がある。単純な視覚的検査により、図9では、時間期間15〜20s中、神経活動振幅が一般に、5マイクロボルト未満であり、一方、図10の同じ期間中、神経活動振幅が多くの場合、10マイクロボルトを超えることが示される。幾つかの自動技法を使用して、非誘発神経活動の振幅を特定し得る。振幅は、反応の最大値及び最大値を特定することにより直接測定することができ、又は代替的には、窓にわたるRMS(最小二乗平均)を特定することができる。
【0054】
非誘発活動は、刺激を出力せずに連続的に測定することができる。このようにして、個人の活動又は運動の程度を連続的に評価することができ、それにより、十分に迅速な運動を検出し、刺激用量増大のトリガーとして使用することができる。
【0055】
図11aは、患者から測定された非誘発活動を示し、足をさすることから、現場での歩き及び咳までの範囲の運動活動を経た個人でのRMS非誘発活動を示す。図から明らかなように、RMS信号は患者が活動的であり、現場を歩いている場合、はるかに大きい。図11bは、患者から測定される非誘発神経活動の別の図を示し、1102において、歩いておらず、1104において、足をさすっており、1106において、座りながら片脚を持ち上げ、1108において歩いている個人のRMS非誘発活動を示す。特に、図11bは、1104での足をさする感覚入力及び1106での足を持ち上げる運動及び/又は固有感覚入力がそれぞれ、1102において示される運動なしの時間とは僅かにのみ異なることを示し、本発明の幾つかの実施形態は特に、この問題に対処するように構成される。
【0056】
幾つかの実施形態では、非誘発活動を利用するアルゴリズムは、以下のように動作する。
i.移植片システムは、活動の閾値活動測定に達する(Tnn)まで、非誘発活動(N)をモニタリングする。
ii.閾値に達すると、刺激が生成され、任意の誘発反応が終了した後、刺激後非誘発活動の大きさが再測定される(N)。
iii.非誘発活動(N)が、点刺激が停止する第2の閾値活動測定(Tns)未満になるまで、刺激はレート(R)で生成される。Tnsは通常、Tnnよりも小さい値をとり、適する程度のヒステリシスを提供するように選択される。
iv.次に、移植片システムは、非誘発活動をモニタリングし続け、ステップ(i)に戻る。
【0057】
刺激レート(R)は一定レートであってもよく、又は非誘発活動の大きさに伴って変化するように設計することもできる。
【0058】
誘発活動の振幅を使用して、例えば、国際公開第2012/155188号パンフレットに記載されたようなフィードバックループにおいて各連続刺激を用いて生成される刺激の振幅を制御することができる。そのような方法でフィードバックループを利用することの利点は、かなり変動することが分かっている活動的運動期間中、ECAP振幅を一定に保つことである。
【0059】
このアルゴリズムのパラメータは、以下のように決定することができる。
i.患者に、患者が静止した状態で連続刺激を用いる従来の方法がプログラムされる。刺激の位置及び振幅は、痛みのある部位の異常感覚カバレッジを得るように調整される。痛み軽減を得るためのECAP(E)の振幅が書き留められる。
ii.刺激はオフにされ、非誘発活動の範囲が測定される。閾値Tnnが、患者が静止した状態での非誘発活動のベースラインよりも上にあるように設計される。
【0060】
非誘発活動の存在は、個人の運動及び/又は個人への感覚入力の結果である。運動は、誘発活動の振幅にも影響し、それにより、誘発活動がフィードバックループを用いて制御される場合、一定の振幅を維持するように設定される電流又は他の刺激パラメータの変更を使用して、運動の変化についてモニタリングし、刺激を停止するポイントを設定することができる。
【0061】
運動及び/又は感覚入力が検出されたときのみ、増大刺激を送達することにより、本発明は、かなり低減された電力予算を提供する。例えば、運動が15秒毎に検出され、送達刺激が5の刺激を含む場合、システムは、連続20Hz刺激レジメンの場合の毎分1200の刺激と比較して、毎分20の刺激を送達し、すなわち、98.3%少ない刺激を提供する。
【0062】
図12aは、例えば、姿勢変化に伴い経時変化する脊柱活性化の閾値1210を示す。時間1222、1224において、この閾値1210は、刺激レベル1230未満に下がる。本発明は、図12bに示されるように期間全体を通して、又は例えば、図12cに示されるように期間の開始時及び/又は終了時において、これらの期間1222、1224中に刺激レジメンとを開始又は増大し得る。影響を受ける各線維も、その線維からの電極の距離に応じて僅かに異なる時間及びユーザの運動が線維を電極の有効刺激範囲内にする時間においてではあるが、対応する方法で反応することに留意されたい。図12bにおいて送達される送達刺激1240、1242は、10kHz、40μsパルス幅、及び2mA振幅での高周波刺激のバーストを含む。そのような刺激は、各時間期間1222及び1224中にブロックを行うように構成され、それにより図12bでは、単一の活動電気1250、1252のみが、各時間期間1222、1224で生成され、次に、線維は、各時間期間の残りの時間にわたりブロックされる。
【0063】
図12cでは、代替の刺激レジメンが適用され、刺激は、閾値交差においてのみ適用され、これらは、ユーザが実際にある姿勢から別の姿勢に移る時点である。本発明の第1の態様によれば、刺激1260、1262、1264、1266のシーケンスは、運動の時間中、増大した刺激用量を送達し、それにより、増大した数の活動電位1270がそのような時間に誘発される。この実施形態は、運動中、知覚の心理物理学により、個人が、個人が運動していない間に同じ刺激が適用される場合と比較して、所与の刺激から低減した感覚を知覚することになり得ることを認識する。しかし、大きい容量の刺激を送達することの利点は、刺激完了後にある時間期間にわたり残る。
【0064】
図13は、刺激1240、1242により生成し得るブロック中に記録される神経電圧を示す。見て分かるように、一連の高周波刺激の期間は、活動電位1302の期間未満である。したがって、一連のうちの最初の刺激は、活動電位1302を生成し、各後続刺激は、神経組織を脱分極させずに、且つ活動電位を誘発させずに、神経組織の膜電位を変更し、各後続刺激は、先行刺激から神経組織の膜電位が回復する前に送達される。
【0065】
図14図17は、適用される刺激1430により誘発される観測された神経反応1450の解析により、患者1440の運動を検出する運動活動検出器1410の動作を示す。検出器1410により実行されるアルゴリズムは、運動関連低速脊髄電位が記録される場合のみ、刺激を送達できるようにし、その他の場合、刺激をディセーブルする。運動関連脊髄電位は、この実施形態では、1〜30Hzの帯域幅を有し、リード位置について正規化された200μVp−pを超える信号として定義される。
【0066】
検出器1410の一目標は、特定の肢又は痛みが生じる部位に関連付けられた体の部分の運動を正確に検出することであり、例えば、脚の痛みの場合、検出器1410は、歩行、脚を上げること等を検出しようとすることである。検出器1410は、運動がなお発生している間、刺激を開始できるようにするのに十分に迅速に運動を検出するようにも構成される。検出器1410もパラメータ化され、それにより、アルゴリズムは、刺激パラメータを変更させて患者に向けて機能するようにさせることができる。
【0067】
検出器1410は、時間にわたり一連の刺激を適用し、各刺激後、神経反応振幅測定を取得することにより動作する。30秒の過程にわたりこのようにして得られる一連の神経反応振幅は、図15の1502においてプロットされる。この期間中、患者は現場で歩いていた。神経反応信号1502はローパスフィルタリングされ、差別化され、整流されて、整流差別化された神経反応信号1504を生成する。差別器により、運動を早期に検出することができ、整流器は、立ち下がり信号及び立ち上がり信号が捕捉されることを保証する。勾配値m[n]、すなわち、信号1504は次に、以下の式を用いてエンベロープ検出器に供給される。
【0068】
【数1】
【0069】
パラメータαは0〜1の値である。1に近い値は、より遅いエンベロープ遅延を生じさせ、したがって、各検出後、刺激をより長い期間にわたり適用させる。差別化信号1504から上記のように生成されるエンベロープ1506を図15に示す。検出器出力1508は、エンベロープ1506から閾値処理され、検出器出力値1は、刺激を適用させ、出力0は刺激送達をディセーブルする。したがって、この実施形態において見て分かるように、検出器出力1508は、運動が検出されるときのみ、刺激を選択的に送達させる。
【0070】
閾値及びパラメータαの調整により、刺激用量を調整することができる。例えば、図16及び図17は、図15の1508に見られるよりも小さいか、又はより疎な刺激期間を生じさせるパラメータを有する、様々な患者運動中のアルゴリズム出力を示す。
【0071】
活動検出器の他の実施形態は、運動の大きさを示す運動大きさ出力を提供することもでき、運動大きさ出力は、刺激の大きさ若しくは持続時間又は他の刺激パラメータを調整するのに使用し得る。
【0072】
見て分かるように、図14図17の実施形態は、患者が歩行中の期間に有効である。図18は、脚をさする等の感覚入力を適宜検出するように更に動作可能である別の実施形態を示す。この実施形態では、検出器は、一連の刺激を時間にわたり適用し、各刺激後の神経反応振幅測定を取得することにより動作する。約30秒の過程にわたりこのようにして得られる一連の神経反応振幅は、図18の1802にプロットされる。測定への約19秒前、及び測定1802の約39秒後、患者は、1822により示されるように非活性であった。期間1824中、患者は脚をさすった。期間1822と期間1824との間の信号1802の差はかなり僅かであるが、脚をさする感覚入力は、期間1824中、刺激を送達して、マスキングを利用する機会を提示する。したがって、本実施形態は、測定信号1802を解析し、非活性期間1822から感覚入力期間1824を区別するように構成される。
【0073】
この目標を達成するために、図18の実施形態は、60Hzにおける神経測定1802を取得する。各測定又はサンプルx[n]は、検出窓長パラメータNにより定義される長さの循環バッファに保存される。新しい各サンプルは、式:
【0074】
【数2】
【0075】
を使用した移動平均の更新に使用される。
【0076】
2サンプル移動平均が、処理時間の最小化に有益である。次に、信号1802の分散1804が、循環バッファ内の全てのサンプルから計算され、上記移動平均を使用して、
【0077】
【数3】
【0078】
である。
【0079】
分散1804,var[n]は次に、以下の式:
【0080】
【数4】
【0081】
を有するエンベロープ検出器に供給される。
【0082】
パラメータαは0〜1の値であり、調整可能であり、それにより、値が小さいほど、初期検出後に刺激をより長い期間にわたって適用させる。エンベロープ検出器の出力は、図18の1806に示される。
【0083】
検出器出力1808は、閾値1810との比較により、エンベロープ1806からの閾値処理により生成され、検出器出力値1は刺激を適用させ、出力0は刺激送達をディセーブルする。閾値は、所与のハードウェア及び/又は所与の患者に合うように調整することができる。したがって、この実施形態で見て分かるように、検出器出力1808は、感覚入力が発生しているときのみ、刺激を選択的に送達させる。特に、この実施形態では、検出器出力1808は、期間1822中、刺激を適宜ディセーブルし、一方、期間1824中、脚をさすることにより提供されるマスキング機会を良く利用して、非活性期間1822と脚をさする期間1824との間の信号1802の差がいくらか僅かであるにもかかわらず、増大した用量の刺激を送達する。
【0084】
広く記載される本発明の趣旨又は範囲から逸脱せずに、特定の実施形態に示されるような本発明に対する多くの変形形態及び/又は変更形態をなし得ることが当業者には理解される。したがって、本実施形態は、全ての点で限定又は制限ではなく例示として見なされるべきである。
【符号の説明】
【0085】
100 脊髄刺激器
110 モジュール
112 電池
114 テレメトリモジュール
116 モジュールコントローラ
118 メモリ
120 患者設定
122 制御プログラム
124 パルス生成器
126 電極選択モジュール
128 測定回路
150 電極組立体
180 神経
190 経皮通信
192 外部制御装置
1210 脊柱活性化のしきい値
1240、1242 送達刺激
1250、1252 活動電気
1260、1262、1264、1266 刺激
1270 活動電位
1302 活動電位
1410 運動活動検出器
1430 刺激
1440 患者
1450 神経反応
1502、1504 神経反応信号
1506 エンベロープ
1508 検出器出力
1802 測定信号
1806 エンベロープ
1808 検出器出力
1810 閾値
1822 非活性期間
1824 感覚入力期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2020年9月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療神経刺激を適用する方法であって、
感覚入力及びユーザの運動のうちの少なくとも一方をモニタリングすることと、
感覚入力及びユーザの運動のうちの少なくとも一方の検出に応答して、前記検出された感覚入力又はユーザの運動がマスキングを生じさせる持続時間に対応する時間期間内で、増大した刺激用量を送達することであって、前記増大した刺激用量は、神経リクルートメントの増大を生じさせるように構成される、送達することと
を含む、方法。
【外国語明細書】
2020195871000001.pdf