【解決手段】微細気泡発生ノズルは、気体が水に溶解している気体溶解加圧水の圧力を減圧する減圧流通部であって、減圧管と、入口側開口部と、出口側開口部とを備える減圧流通部と、減圧流通部の下流側に設けられる第1衝突室であって、出口側開口部の開口面積よりも大きい流路面積を備え、出口側開口部から排出された気体溶解加圧水を通過させる第1流路空間と、出口側開口部に対向する範囲に設けられ、出口側開口部から排出される気体溶解加圧水が衝突することによって気体溶解加圧水の流れる向きを変更させる第1衝突壁と、第1衝突壁に設けられ、第1衝突壁から出口側開口部に向かって突出する突出部とを有する、第1衝突室と、第1衝突室を通過した後の気体溶解加圧水を流出箇所に流出させる流出部と、を備える。
気体が水に溶解している気体溶解加圧水の圧力を減圧する減圧流通部であって、減圧管と、前記減圧管の上流側端部に設けられ、前記気体溶解加圧水を前記減圧管内に導入する入口側開口部と、前記減圧管の下流側端部に設けられ、前記減圧管を通過した前記気体溶解加圧水を排出する出口側開口部と、を備える前記減圧流通部と、
前記減圧流通部の下流側に設けられる第1衝突室であって、
前記出口側開口部の開口面積よりも大きい流路面積を備え、前記出口側開口部から排出された前記気体溶解加圧水を通過させる第1流路空間と、
前記出口側開口部に対向する範囲に設けられ、前記出口側開口部から排出される前記気体溶解加圧水が衝突することによって前記気体溶解加圧水の流れる向きを変更させる第1衝突壁と、
前記第1衝突壁に設けられ、前記第1衝突壁から前記出口側開口部に向かって突出する突出部と、
を有する、前記第1衝突室と、
前記第1衝突室を通過した後の前記気体溶解加圧水を流出箇所に流出させる流出部と、
を備える、微細気泡発生ノズル。
前記突出部は、前記気体溶解加圧水の流れ方向に沿って見た場合に前記流れ方向に対して傾斜する傾斜部を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の微細気泡発生ノズル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の微細気泡発生ノズルでは、流出箇所に流出される気体溶解加圧水に含まれる微細気泡の量が不十分であるという状況が発生する。
【0006】
本明細書では、流出箇所に流出される気体溶解加圧水に微細気泡を大量に含ませることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される微細気泡発生ノズルは、気体が水に溶解している気体溶解加圧水の圧力を減圧する減圧流通部であって、減圧管と、前記減圧管の上流側端部に設けられ、前記気体溶解加圧水を前記減圧管内に導入する入口側開口部と、前記減圧管の下流側端部に設けられ、前記減圧管を通過した前記気体溶解加圧水を排出する出口側開口部と、を備える前記減圧流通部と、前記減圧流通部の下流側に設けられる第1衝突室であって、前記出口側開口部の開口面積よりも大きい流路面積を備え、前記出口側開口部から排出された前記気体溶解加圧水を通過させる第1流路空間と、前記出口側開口部に対向する範囲に設けられ、前記出口側開口部から排出される前記気体溶解加圧水が衝突することによって前記気体溶解加圧水の流れる向きを変更させる第1衝突壁と、前記第1衝突壁に設けられ、前記第1衝突壁から前記出口側開口部に向かって突出する突出部と、を有する、前記第1衝突室と、前記第1衝突室を通過した後の前記気体溶解加圧水を流出箇所に流出させる流出部と、を備える。
【0008】
この構成によると、気体溶解加圧水は、外部から減圧管内に導入される際に入口側開口部を通過することによって流速が上昇し、その結果減圧される(ベンチュリー効果)。気体溶解加圧水が減圧されることにより、気体溶解加圧水に溶解していた気体が析出し、気泡が発生する。そして、減圧管の出口側開口部から排出された気体溶解加圧水は、第1衝突室に導入される。上記の通り、第1流路空間の流路面積は、出口側開口部の開口面積よりも大きい。そのため、出口側開口部から排出された気体溶解加圧水は、第1衝突室に導入されることによって、その流速が低下する。流速が低下することにより、気体溶解加圧水は増圧される。また、上記の構成では、突出部は、第1衝突壁から出口側開口部に向かって突出している。そのため、減圧管を流れる気体溶解加圧水は、突出部に衝突することによってさらに流速が低下し、さらに増圧される。さらに、突出部に衝突した後の気体溶解加圧水は、第1衝突壁にも衝突することによって、流れる向きが変更されるとともに、さらに流速が低下する。その結果、気体溶解加圧水はさらに増圧される。減圧によって気泡が析出させられた後の気体溶解加圧水が増圧されると、気体溶解加圧水に含まれる気泡の一部が分裂して微細気泡になる。上記の構成によると、減圧管の出口側開口部から排出された気体溶解加圧水の流速は、第1衝突室に導入されること、突出部に衝突すること、第1衝突壁に衝突すること、のそれぞれの事象が発生する毎に低下し、気体溶解加圧水はその度毎に増圧される。そして、増圧される毎に、気体溶解加圧水に含まれる気泡の一部が分裂して微細気泡になる。すなわち、上記の構成によると、入口側開口部を通過することによって減圧された気体溶解加圧水は、流出部から流出箇所に流出されるまでの間に、少なくとも3段階で増圧され得る。そのため、上記の構成によると、気体溶解加圧水に含まれる気泡が分裂されて微細気泡が形成される機会が十分に確保され得る。そのため、上記の構成によると、流出箇所に流出される気体溶解加圧水に微細気泡を大量に含ませることができる。
【0009】
ここで言う「気体」は、空気、炭酸ガス、水素等、水に溶解可能な任意の気体を含む。また、「第1流路空間の流路面積」とは、出口側開口部から排出された気体溶解加圧水が第1衝突壁に衝突するまでの間の経路を含む空間における気体溶解加圧水の流れ方向と直交する平面の面積と、第1衝突壁に衝突した後の気体溶解加圧水が流出箇所に供給されるまでの間の経路を含む空間における気体溶解加圧水の流れ方向と直交する平面の面積と、のうちの少なくとも一方を含む。
【0010】
前記突出部の先端部は、前記出口側開口部を通過して前記減圧管内に配置されていてもよい。
【0011】
この構成によると、減圧管を流れる気体溶解加圧水が、突出部に衝突した後、さらに、減圧管のうちの下流側端部近傍の内面にさらに衝突した後で、出口側開口部から第1衝突室内に排出され得る。即ち、この構成によると、気体溶解加圧水の衝突回数が多くなる。その結果、気体溶解加圧水の流速が十分に低下し、気体溶解加圧水を十分に増圧させ得る。即ち、気体溶解加圧水に含まれる気泡が分裂されて微細気泡が形成される機会が十分に確保され得る。そのため、上記の構成によると、流出箇所に流出される気体溶解加圧水に微細気泡をより大量に含ませることができる。
【0012】
前記出口側開口部の前記開口面積は、前記入口側開口部の開口面積以上であってもよい。
【0013】
この構成によると、減圧管を、入口側開口部から出口側開口部に向けて流路面積が徐々に増加する態様(又は入口側開口部から出口側開口部に向けて流路面積が変化しない態様)で形成することができる。即ち、入口側開口部を通過したことで減圧された減圧管内の気体溶解加圧水が入口側開口部から出口側開口部に向かって減圧管内を流れる間に、気体溶解加圧水の流速を低下させ、気体溶解加圧水を増圧させることができる。即ち、気体溶解加圧水に含まれる気泡が分裂されて微細気泡が形成される機会を増やすことができる。そのため、上記の構成によると、流出箇所に流出される気体溶解加圧水に微細気泡をより大量に含ませることができる。
【0014】
前記突出部は、前記気体溶解加圧水の流れ方向に沿って見た場合に前記流れ方向に対して傾斜する傾斜部を有していてもよい。
【0015】
この構成によると、突出部に衝突する気体溶解加圧水を、傾斜部に沿って流すことができる。そのため、突出部に衝突した気体溶解加圧水によって乱流が形成されることが抑制される。乱流の形成が抑制されることで、気体溶解加圧水に含まれる微細気泡の大きさのバラツキを抑えることができる。
【0016】
前記微細気泡発生ノズルは、前記第1衝突室よりも下流側かつ前記流出部よりも上流側に設けられる第2衝突室をさらに備えていてもよい。前記第2衝突室は、前記第1流路空間の前記流路面積よりも大きい流路面積を備え、前記第1衝突室を通過した後の前記気体溶解加圧水を通過させる第2流路空間と、前記第1衝突室を通過した後の前記気体溶解加圧水が衝突することによって前記気体溶解加圧水の流れる向きを変更させる第2衝突壁と、を有していてもよい。
【0017】
第2流路空間の流路面積は、第1流路空間の流路面積よりも大きい。そのため、上記の構成によると、第1衝突室を通過した後の気体溶解加圧水は、第2衝突室に導入されることによってその流速が低下する。その結果、第2衝突室に導入された気体溶解加圧水は増圧される。また、第2衝突室に導入された気体溶解加圧水は、第2衝突壁にさらに衝突することによって、流れる向きが変更されるとともに、さらに流速が低下する。その結果、気体溶解加圧水はさらに増圧される。即ち、気体溶解加圧水に含まれる気泡が分裂されて微細気泡が形成される機会を増やすことができる。そのため、上記の構成によると、流出箇所に流出される気体溶解加圧水に微細気泡をより大量に含ませることができる。
【0018】
ここで言う「第2流路空間の流路面積」とは、第1衝突室から導入された気体溶解加圧水が第2衝突壁に衝突するまでの間の経路を含む空間における気体溶解加圧水の流れ方向と直交する平面の面積と、第2衝突壁に衝突した後の気体溶解加圧水が流出箇所に供給されるまでの間の経路を含む空間における気体溶解加圧水の流れ方向と直交する平面の面積と、のうちの少なくとも一方を含む。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施例)
(微細気泡発生ノズル10の構成)
図1〜
図4を参照して、第1実施例の微細気泡発生ノズル10について説明する。微細気泡発生ノズル10は、浴槽(図示省略)等の流出箇所に微細気泡を含む水を供給するためのノズルである。
図1に示すように、微細気泡発生ノズル10は、ノズル本体20と、ホルダ部40と、を備える。
図1、
図2において、ノズル本体20は、ホルダ部40に支持されている。
【0021】
(ノズル本体20の構成)
図1〜
図3を参照して、ノズル本体20の構成について説明する。なお、以下の説明では、
図2中のX軸方向を左右方向、Y軸方向を上下方向、Z軸方向を前後方向と呼ぶ場合がある。
図3に示すように、ノズル本体20は、減圧管22と鍔部28とを備える。
【0022】
図1〜
図3に示すように、減圧管22は、空気が水に溶解している空気溶解加圧水の圧力を減圧することができる管状部材である。
図2に示すように、減圧管22の内部には、減圧管22内を2本の管部に区画する区画壁25が設けられている。減圧管22の後方側の上流側端部22a(図中Z軸の正方向側の端部)には、2個の流入口23が開口されている。流入口23には、空気が水に溶解している空気溶解加圧水を供給するための給水手段(図示しない)が接続される。空気溶解加圧水は、流出箇所に供給される微細気泡を含む水の原料となる液体である。
【0023】
減圧管22のうち、上流側端部22aの近傍であって、2個の流入口23よりもやや前方寄り(Z軸の負方向寄り)の位置には、2個の入口側開口部24が開口されている。入口側開口部24の開口面積は、流入口23の開口面積よりも小さい。言い換えると、減圧管22は、入口側開口部24において縮径されている。区画壁25は、減圧管22の後方側の上流側端部22a(図中Z軸の正方向側の端部)から、減圧管22の途中までの区間を2本の管部に区画している。そのため、減圧管22の前方側の下流側端部22b(図中Z軸の負方向側の端部)は、区画壁25によって2本の管部に区画されていない。下流側端部22bには、1個の出口側開口部26のみが開口されている。本実施例では、出口側開口部26の開口面積(即ちXY平面上の面積)は、2個の入口側開口部24の開口面積(即ちXY平面上の面積)の合計面積よりも大きい。言い換えると、減圧管22は、入口側開口部24から出口側開口部26に向かって拡径されている。
【0024】
図1〜
図3に示すように、鍔部28は、減圧管22の前後方向中間部付近の外面に設けられている円板状部材である。
図2に示すように、鍔部28の外径は、減圧管22の外径よりも大きい。
【0025】
(ホルダ部40の構成)
続いて、
図1、
図2、
図4を参照して、ホルダ部40の構成について説明する。
図4に顕著に示されるように、ホルダ部40は、外側円筒部42と、内側円筒部44と、2個の連結部52と、を備える。外側円筒部42と2個の連結部52とは連続して一体に成形されている。内側円筒部44は、外側円筒部42の内側に収容されて形成されている。
【0026】
外側円筒部42は、円筒状の部材である。
図2、
図4に示すように、後方側の開口部には、上述のノズル本体20の鍔部28を収容するための段差43が形成されている。
【0027】
2個の連結部52は、それぞれ、外側円筒部42の外周面から外側に突出して形成されている。連結部52には、ネジ穴Bが設けられている。連結部52のネジ穴Bは、ホルダ部40を浴槽接続具(図示省略)に取付けるためのネジ穴である。なお、浴槽接続具は、微細気泡発生ノズル10を浴槽に取付けるための機具である。ホルダ部40内に、ノズル本体20を挿入した後に、浴槽接続具の取付穴(図示省略)と連結部52のネジ穴Bを位置合わせし、ネジ部材(図示省略)をネジ穴Bに螺合させることで、微細気泡発生ノズル10と浴槽接続具が連結される。
【0028】
内側円筒部44は、外側円筒部42の内側に収容されて形成されている筒状部材である。内側円筒部44は、4個の接続部48を介して外側円筒部42の内面と接続されている。内側円筒部44と外側円筒部42との間の隙間により、4個の流出口50が形成されている。
【0029】
内側円筒部44の前方側端部には、円板部46が形成されている。円板部46は、内側円筒部44の前方側端部を閉塞している。円板部46のXY平面における中心部には、突出部49が形成されている。突出部49は、円板部46の後側の面から後方に向けて突出する略円柱状の突起部材である。
図2に示すように、突出部49の先端付近には、後方から前方に向かう方向(即ち、空気溶解加圧水の流れ方向(
図2中矢印参照))に沿って見た場合に、当該方向に対して傾斜する傾斜部49aが形成されている。言い換えると、突出部49の先端付近は、後方に向かって尖った形状に形成されている。
【0030】
(ノズル本体20がホルダ部40に支持される状態)
続いて、ノズル本体20がホルダ部40に支持される状態における各構成要素の位置関係について説明する。
図1、
図2に示すように、ノズル本体20がホルダ部40に支持されることにより、本実施例の微細気泡発生ノズル10が形成される。この状態では、ノズル本体20のうち、減圧管22の下流側端部22b及び鍔部28がホルダ部40内に差し込まれている。具体的には、減圧管22の下流側端部22bは、ホルダ部40の内側円筒部44(後述)内に差し込まれている。また、鍔部28は、外側円筒部42の開口部に形成されている段差43内に収容されている。この際、鍔部28の前面28aは、段差43と当接する。ノズル本体20がホルダ部40に支持されている状態では、減圧管22の上流側端部22aは、ホルダ部40の後方側に突出している。
【0031】
図2に示すように、ノズル本体20がホルダ部40に支持される状態では、突出部49のうち、傾斜部49aを含む先端部分は、出口側開口部26を通過して減圧管22内に配置される。
図2の例では、突出部49の先端部分は、区画壁25の前端部と対向している。減圧管22の下流側端部22bは、内側円筒部44の内側であって、突出部49の先端部分よりも前方(即ちZ軸の負方向寄り)に配置される。また、この状態では、減圧管22の下流側端部22bと円板部46とが対向するように配置される。
【0032】
ノズル本体20がホルダ部40に支持されることにより、ノズル本体20とホルダ部40とによって、流路空間60、流路空間62、通路64、流路空間66、通路68とが形成される。流路空間60、流路空間62、通路64、流路空間66、通路68は、いずれも、空気溶解加圧水をこの順で流通させるための空間及び通路である。
【0033】
流路空間60は、突出部49の外側と下流側端部22bとの間に形成される空間である。ここで、流路空間60の流路面積(即ちXY平面上の面積)は、2個の入口側開口部24の開口面積の合計面積よりも大きい。
【0034】
流路空間62は、流路空間60の下流側に形成される。流路空間62は、減圧管22の下流側端部22bと円板部46との間に形成される。流路空間62の流路面積は、どの部分においても、上述の流路空間60の流路面積の合計面積よりも大きい。詳しく言うと、減圧管22の下流側端部22bの前方における、下流側端部22bの延長線と突出部49との間の空間のXY平面上の面積、および、下流側端部22bと円板部46との間の空間の面積(より詳しくは、円板部46のXY平面上の中心から鉛直に伸びる軸線を中心軸とし、かつ、XY平面上における上記中心軸と下流側端部22bの外側とを結ぶ線を半径とする仮想的な円柱のうち、下流側端部22bと円板部46との間の範囲の外側面部分の面積)のいずれもが、上述の流路空間60の流路面積の合計面積よりも大きい。
【0035】
通路64は、流路空間62の下流側に形成される。通路64は、内側円筒部44の内面と、内側円筒部44内に配置された減圧管22の外面との間に形成される。ここで、通路64の流路面積(即ちXY平面上の面積)は、上述の流路空間62のどの部分の流路面積よりも大きい。
【0036】
流路空間66は、通路64の下流側に形成される。流路空間66は、内側円筒部44の後端と鍔部28の前面28aとの間に形成される。流路空間66は、内側円筒部44の後端、外側円筒部42の内面、減圧管22の外面、及び、鍔部28の前面28aによって画定される空間である。流路空間66の流路面積は、どの部分においても、上述の通路64の流路面積よりも大きい。詳しく言うと、内側円筒部44の後端と減圧管22の外面の間の空間のXY平面上の面積、内側円筒部44の後端と鍔部28の前面28aとの間の空間の面積(より詳しくは、円板部46のXY平面上の中心から鉛直に伸びる軸線を中心軸とし、かつ、XY平面上における上記中心軸と内側円筒部44の外側とを結ぶ線を半径とする仮想的な円柱のうち、内側円筒部44の後端と前面28aとの間の範囲の外側面部分の面積)、および、内側円筒部44の後端と外側円筒部42の内面との間の空間のXY平面上の面積、のいずれもが、上述の通路64の流路面積よりも大きい。
【0037】
通路68は、流路空間66の下流側に形成される。通路68は、流路空間66と流出口50とを接続する通路である。通路68は、外側円筒部42の内面と内側円筒部44の外面との間の隙間によって形成される。ここで、通路68の流路面積(即ちXY平面上の面積)は、上述の流路空間66のどの部分の流路面積よりも大きい。
【0038】
(空気溶解加圧水の流れ)
図2を参照して、微細気泡発生ノズル10内における空気溶解加圧水の流れ、及び、それに伴って微細気泡が形成される過程について説明する。
図2において、実線矢印が空気溶解加圧水の流路を示している。
【0039】
まず、ノズル本体20の流入口23を介して、外部から空気溶解加圧水が減圧管22内に導入される。この時点における空気溶解加圧水の圧力は、大気圧よりも大きい。
【0040】
流入口23から導入された空気溶解加圧水は、流入口23よりも開口面積が小さい入口側開口部24を通過する。これにより、空気溶解加圧水の流速が上昇し、空気溶解加圧水が大気圧よりも低い圧力まで減圧される(即ちベンチュリー効果による減圧)。空気溶解加圧水が減圧されることにより、空気溶解加圧水に溶解していた空気が析出し、気泡が発生する。
【0041】
上記の通り、本実施例では、減圧管22は、入口側開口部24から出口側開口部26に向けて流路面積が増加するように形成されている。そのため、入口側開口部24を通過したことで減圧された減圧管22内の空気溶解加圧水が入口側開口部24から出口側開口部26に向かって減圧管22内を流れる間に、空気溶解加圧水の流速が低下する。流速が低下する結果、空気溶解加圧水が増圧される。空気溶解加圧水が増圧されることにより、空気溶解加圧水に含まれる気泡の一部が分裂して微細気泡になる。
【0042】
上記の通り、本実施例では、突出部49の先端部が、出口側開口部26を通過して減圧管22内に配置されている。そのため、出口側開口部26に向かって減圧管22内を流れてきた空気溶解加圧水は、突出部49に衝突した後、さらに、減圧管22のうちの下流側端部22b近傍の内面にさらに衝突した後で、流路空間60を通って、出口側開口部26から流路空間62内へと排出される。減圧管22を流れてきた空気溶解加圧水が、突出部49、及び、下流側端部22b近傍の内面に続けて衝突する毎に、空気溶解加圧水の流速が低下する。そして、空気溶解加圧水の流速が低下する毎に、空気溶解加圧水は増圧される。その結果、空気溶解加圧水に含まれる気泡の一部がさらに分裂して微細気泡になる。
【0043】
なお、空気溶解加圧水が突出部49に衝突する際には、空気溶解加圧水は、流れ方向に対して傾斜する傾斜部49aに衝突する。即ち、突出部49に衝突する空気溶解加圧水は、傾斜部49aに沿って流される。そのため、突出部49に衝突した空気溶解加圧水によって乱流が形成されることが抑制される。乱流の形成が抑制されることで、空気溶解加圧水に含まれる微細気泡の大きさのバラツキが抑えられる。
【0044】
上記の通り、流路空間62の流路面積は、流路空間60の流路面積より大きい。そのため、流路空間60を通って、出口側開口部26から流路空間62内へと排出された空気溶解加圧水の流速はさらに低下する。これにより、空気溶解加圧水はさらに増圧される。その結果、空気溶解加圧水に含まれる気泡の一部がさらに分裂して微細気泡になる。
【0045】
また、流路空間62内へと排出された空気溶解加圧水は、円板部46に衝突する。これにより、空気溶解加圧水が流れる向きが変更されるとともに、空気溶解加圧水の流速がさらに低下する。空気溶解加圧水がさらに増圧され、結果として、空気溶解加圧水に含まれる気泡の一部がさらに分裂して微細気泡になる。
【0046】
円板部46に衝突した後の空気溶解加圧水は、通路64を通過して流路空間66内へと排出される。上記の通り、通路64の流路面積は、流路空間62のどの部分の流路面積よりも大きい。そして、流路空間66の流路面積は、通路64の流路面積よりも大きい。そのため、通路64を通過して流路空間66内へと排出された空気溶解加圧水の流速はさらに低下する。空気溶解加圧水がさらに増圧され、結果として、空気溶解加圧水に含まれる気泡の一部がさらに分裂して微細気泡になる。
【0047】
そして、流路空間66内へと排出された空気溶解加圧水は、鍔部28の前面28aに衝突する。これにより、空気溶解加圧水が流れる向きが変更されるとともに、空気溶解加圧水の流速がさらに低下する。空気溶解加圧水もさらに増圧される。その結果、空気溶解加圧水に含まれる気泡の一部がさらに分裂して微細気泡になる。
【0048】
鍔部28の前面28aに衝突した後の空気溶解加圧水は、通路68を通過し、流出口50から流出箇所(浴槽等)に向けて流出する。上記の通り、通路68の流路面積は、流路空間66のどの部分の流路面積よりも大きい。通路68を通過する空気溶解加圧水の流速はさらに低下する。そして、流出箇所に空気溶解加圧水が流出されることにより、空気溶解加圧水の流速がさらに低下し、空気溶解加圧水はさらに増圧される。その結果、空気溶解加圧水に含まれる気泡の一部がさらに分裂して微細気泡になる。
【0049】
このような流路で微細気泡発生ノズル10内を空気溶解加圧水が流れることにより、流出箇所に流出される空気溶解加圧水には、微細気泡を大量に含ませることができる。
【0050】
以上、本実施例の微細気泡発生ノズル10の構成及び作用について説明した。本実施例と請求項の記載の対応関係を説明しておく。空気溶解加圧水が「気体溶解加圧水」の一例である。減圧管22、流入口23、入口側開口部24、及び、出口側開口部26の組み合わせが「減圧流通部」の一例である。流路空間62、突出部49、及び、円板部46の組み合わせが「第1衝突室」の一例である。そして、流路空間62が「第1流路空間」の一例であり、円板部46が「第1衝突壁」の一例である。流出口50が「流出部」の一例である。流路空間66及び鍔部28の前面28aの組み合わせが「第2衝突室」の一例である。そして、流路空間66が「第2流路空間」の一例であり、鍔部28の前面28aが「第2衝突壁」の一例である。
【0051】
(第2実施例)
図5、
図6を参照して、第2実施例の微細気泡発生ノズル100について、第1実施例と異なる点を中心に説明する。本実施例は、第1実施例の変形例の一つである。
図5、
図6では、第1実施例と同じ構成を有する要素を、
図1〜
図4で用いられる符号と同じ符号を用いて表している。
図5、
図6に示すように、本実施例では、ホルダ部140の円板部46に形成される突出部149の形状が第1実施例とは異なっている。本実施例では、突出部149は、円板部46の後側の面から後方に向けて突出する円柱状の突起部材である。突出部149の先端部は円板部46と平行な平らな面である。本実施例では、突出部149は、傾斜部を有していない。
【0052】
本実施例の微細気泡発生ノズル100も、突出部149の形状以外の構成は第1実施例の微細気泡発生ノズル10と共通しているため、第1実施例の微細気泡発生ノズル10と基本的には同様の作用効果を発揮することができる。即ち、
図5に示すように、出口側開口部26に向かって減圧管22内を流れてきた空気溶解加圧水は、突出部149に衝突した後、さらに、減圧管22のうちの下流側端部22b近傍の内面にさらに衝突した後で、流路空間60を通って、出口側開口部26から流路空間62内へと排出される。減圧管22を流れてきた空気溶解加圧水が、突出部149、及び、下流側端部22b近傍の内面に続けて衝突する毎に、空気溶解加圧水の流速が低下する。そして、空気溶解加圧水の流速が低下する毎に、空気溶解加圧水は増圧される。その結果、空気溶解加圧水に含まれる気泡の一部がさらに分裂して微細気泡になる。
【0053】
(第3実施例)
図7、
図8を参照して、第3実施例の微細気泡発生ノズル200について、第1実施例と異なる点を中心に説明する。本実施例も、第1実施例の変形例の一つである。
図7、
図8でも、第1実施例と同じ構成を有する要素を、
図1〜
図4で用いられる符号と同じ符号を用いて表している。
図7、
図8に示すように、本実施例でも、ホルダ部240の円板部46に形成される突出部249の形状が第1実施例とは異なっている。本実施例では、突出部249は、円板部46の後側の面から後方に向けて突出する円柱部250と、円柱部250の側方に設けられる2本の傾斜付き円柱部252とを有している。円柱部250は、円板部46の後側の面から後方に向けて突出する円柱状の突起部材である。円柱部250の先端部は円板部46と平行な平らな面である。2本の傾斜付き円柱部252は、それぞれ、円柱部250の側方に配置されるとともに、円板部46の後側の面から後方に向けて突出する略円柱状の突起部材である。ただし、傾斜付き円柱部252は、円柱部250よりも小径に形成されている。傾斜付き円柱部252の先端付近には、後方から前方に向かう方向(即ち、空気溶解加圧水の流れ方向(
図7中矢印参照))に沿って見た場合に、当該方向に対して傾斜する傾斜部252aが形成されている。言い換えると、傾斜付き円柱部252の先端付近は、後方に向かって尖った形状に形成されている。
【0054】
本実施例の微細気泡発生ノズル100も、突出部249の形状以外の構成は第1実施例の微細気泡発生ノズル10と共通しているため、第1実施例の微細気泡発生ノズル10と基本的には同様の作用効果を発揮することができる。即ち、
図7に示すように、出口側開口部26に向かって減圧管22内を流れてきた空気溶解加圧水は、突出部249に衝突した後、さらに、減圧管22のうちの下流側端部22b近傍の内面にさらに衝突した後で、流路空間60を通って、出口側開口部26から流路空間62内へと排出される。減圧管22を流れてきた空気溶解加圧水が、突出部249、及び、下流側端部22b近傍の内面に続けて衝突する毎に、空気溶解加圧水の流速が低下する。そして、空気溶解加圧水の流速が低下する毎に、空気溶解加圧水は増圧される。その結果、空気溶解加圧水に含まれる気泡の一部がさらに分裂して微細気泡になる。
【0055】
空気溶解加圧水が突出部249に衝突する際には、空気溶解加圧水は、流れ方向に対して傾斜する傾斜部252aに衝突する。即ち、突出部249に衝突する空気溶解加圧水は、傾斜部252aに沿って流される。そのため、本実施例でも、突出部249に衝突した空気溶解加圧水によって乱流が形成されることが抑制される。従って、本実施例でも、乱流の形成が抑制されることで、空気溶解加圧水に含まれる微細気泡の大きさのバラツキを抑えることができる。
【0056】
(第4実施例)
第4実施例も、第1実施例の変形例の一つである。第4実施例では、
図9に示すように、ホルダ部340の円板部46に形成される突出部349は、多角柱状の形状に形成されている。本実施例のホルダ部340を備える場合も、微細気泡発生ノズルは、第1実施例と基本的には同様の作用効果を発揮することができる。
【0057】
(第5実施例)
第5実施例も、第1実施例の変形例の一つである。第5実施例では、
図10に示すように、ホルダ部440の円板部46に形成される突出部449は、円柱部450と、その周囲に形成される6本のリブ部452と、を備える。なお、円柱部250の先端付近は後方に向けて傾斜している。本実施例のホルダ部440を備える場合も、微細気泡発生ノズルは、第1実施例と基本的には同様の作用効果を発揮することができる。
【0058】
以上、実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0059】
(変形例1)減圧管22の出口側開口部26の開口面積は、2個の入口側開口部24の開口面積の合計と同じであってもよい。この場合も、減圧管22内の空気溶解加圧水の流速が、入口側開口部24から出口側開口部26に向かう間に低下すればよい。
【0060】
(変形例2)減圧管22の区画壁25が省略されていてもよい。即ち、減圧管22は、2本の管部に区画されていなくてもよい。
【0061】
(変形例3)上記の各実施例では、微細気泡発生ノズルは、空気が水に溶解した空気溶解加圧水の供給を受け、空気溶解加圧水内の空気を析出させて微細気泡に変え、空気の微細気泡を含む水を流出箇所に供給する。これに限られず、微細気泡発生ノズルは、空気以外の他の気体(例えば、炭酸ガスや水素等)が水に溶解した気体溶解加圧水の供給を受け、当該気体溶解加圧水内の気体を析出させて微細気泡に変え、その期待の微細気泡を含む水を流出箇所に供給するようにしてもよい。即ち、「気体」は空気に限られず、炭酸ガスや水素等の任意の気体であってもよい。
【0062】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。