【解決手段】発泡層と、前記発泡層の一方の面に位置する第一の非発泡層とを有し、前記発泡層が、ポリエステル系樹脂を含み、下記(a)式により求められる結晶化度が20%以下であり、前記第一の非発泡層が、ポリエステル系エラストマーを含み、前記第一の非発泡層のJIS K7215で求められるデュロ硬度Dが70以下である、積層発泡シート。結晶化度(%)=〔(融解熱量の絶対値(J/g)−結晶化熱量の絶対値(J/g)〕÷完全結晶化熱量(J/g)×100・・・(a)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[積層発泡シート]
本発明の積層発泡シートは、発泡層と、発泡層の一方の面に位置する第一の非発泡層とを有する。本発明の積層発泡シートは、さらに、発泡層の他方の面に位置する第二の非発泡層を有していてもよい。
積層発泡シートの一例について、
図1を用いて説明する。
図1の積層発泡シートは1、発泡層10と、発泡層10の一方の面に設けられた第一の非発泡層20と、発泡層10の他方の面に設けられた第二の非発泡層30と、を備える。積層発泡シート1は三層構造である。
なお、
図1は、厚さ方向が拡大され、図示されている。
【0012】
≪発泡層≫
発泡層は、樹脂組成物が発泡されてなる。樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂と発泡剤とを含有する。
【0013】
ポリエステル系樹脂は、主鎖にエステル結合(−CO−O−)を含むポリマーである。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンフラノエート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリカーボネート系樹脂、テレフタル酸とエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールの共重合体、及びこれらの混合物並びにこれらと他の樹脂との混合物等が挙げられる。また、植物由来のポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンフラノエート樹脂が用いられてもよい。ポリカーボネート系樹脂としては、芳香族系のポリカーボネート系樹脂、及び脂肪族系のポリカーボネート系樹脂が挙げられる。芳香族系のポリカーボネート系樹脂としては、2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA)、2,2−ビス(4ーオキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)エタン等のビスフェノールから誘導されるポリカーボネート系樹脂が挙げられる。脂肪族系のポリカーボネート系樹脂は、脂肪族ジオール又は脂環式ジオールから誘導される。これらのポリエステル系樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。特に好ましいポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂である。
ポリエステル系樹脂に他の樹脂を混合している場合、他の樹脂の含有量は、ポリエステル系樹脂の総質量に対して50質量%未満が好ましい。
【0014】
ポリエステル系樹脂の質量平均分子量としては、10万〜50万が好ましく、15万〜45万がより好ましく、20万〜40万がさらに好ましい。ポリエステル系樹脂の質量平均分子量が上記範囲内にあることで、脆性の良好な発泡シートを得やすい。前記質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した値を、標準試料として昭和電工(株)製の製品名「STANDARD SM−105」及び「STANDARD
SH−75」を用いて得られる較正曲線に基づき換算した値である。
【0015】
ポリエステル系樹脂のガラス転移点は、40〜100℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。ポリエステル系樹脂のガラス転移点が上記範囲内であると、耐熱性により優れる。なお、本明細書においてガラス転移点は、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載の方法により測定することができる。
【0016】
ポリエステル系樹脂の融点は、160〜300℃が好ましく、200〜260℃がより好ましい。ポリエステル系樹脂の融点が上記範囲内であると、耐熱性により優れる。なお、本明細書において融点は、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載の方法により測定することができる。
【0017】
ポリエステル系樹脂の極限粘度(IV値)は0.50〜1.50が好ましく、0.90〜1.10がより好ましい。IV値が上記下限値以上であれば、発泡しやすくなり押出発泡シートが得られやすくなる。IV値が上記上限値以下であれば、平滑なシートが得られやすくなる。
IV値は、JIS K7367−5:2000の方法で測定できる。
【0018】
<発泡剤>
発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタンなどのフロン、二酸化炭素、窒素などが挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素、窒素が好ましい。これらの発泡剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0019】
樹脂組成物中の発泡剤の含有量は、発泡剤の種類や、比重等を勘案して適宜決定され、例えば、樹脂100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましく、0.8〜5.5質量部がより好ましい。
発泡層中の発泡剤の含有量(いわゆる残存ガス量)は、発泡層の総質量に対し、0.3〜3.6質量%が好ましく、0.5〜3.3質量%がより好ましい。
【0020】
<任意成分>
樹脂組成物は、界面活性剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤(炭化水素、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石鹸、シリコーン油、低分子ポリエチレン等のワックス等)、展着剤(流動パラフィン、ポリエチレングリコール、ポリブテン等)、着色剤、熱安定化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が添加されてもよい。
【0021】
気泡調整剤としては、例えば、タルク、シリカ等の無機粉末;多価カルボン酸の酸性塩;多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの反応混合物等が挙げられる。なかでも、独立気泡率を維持して、且つ熱成形性を向上しやすい点から、反応混合物が好ましい。
気泡調整剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
気泡調整剤の添加量は、樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部が好ましい。
【0022】
架橋剤としては、例えば、無水ピロメリット酸などの酸二無水物、多官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物などが挙げられる。
架橋剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
架橋剤の添加量は、樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部が好ましい。
【0023】
発泡層の結晶化度は、20%以下であり、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。発泡層の結晶化度が上記上限値以下であれば、熱成形性をより向上できる。
【0024】
結晶化度は、下記(a)式により求められる。
【0025】
結晶化度(%)=〔(融解熱量の絶対値(J/g)−結晶化熱量の絶対値(J/g)〕÷完全結晶化熱量(J/g)×100・・・(a)
【0026】
(a)式中、融解熱量及び結晶化熱量は、JIS K7122:2012「プラスチックの転移熱測定方法」に従い測定したDSC曲線から求めることができる。測定条件は以下の通りである。
【0027】
アルミニウム製測定容器の底に、隙間のないように測定試料を5〜10mg充填する。
次に窒素ガス流量20mL/分の下、30℃にて2分間保持し、速度10℃/分にて30℃から290℃まで昇温した時のDSC曲線を得る。このときの基準物質としてアルミナを用いる。
【0028】
算出される結晶化度は、融熱ピークの面積から求められる融解熱量(J/g)と結晶化ピークの面積から求められる結晶化熱量(J/g)の差を、樹脂の完全結晶の理論融解熱量で除して求められる値である。融解熱量及び結晶化熱量は、装置付属の解析ソフトを用いて算出できる。
完全結晶化熱量は、100%結晶化した場合の熱量を表す。なお、PETの完全結晶化熱量は、140.1J/gである。
発泡層の結晶化度は、後述する発泡容器の製造方法において、成形時の金型の温度及び成形時間等の組み合わせにより調節できる。
【0029】
発泡層の厚みT1は、0.1〜5.0mmが好ましく、0.3〜4.0mmがより好ましい。発泡層の厚みが上記下限値以上であると、形状保持性に優れる。発泡層の厚みが上記上限値以下であると、熱成形性をより向上できる。
本明細書において、厚みは、測定対象物の幅方向(TD方向)等間隔の20箇所をマクロゲージによって測定し、その算術平均値により求められた値である。
【0030】
発泡層の坪量は、150〜1200g/m
2が好ましく、200〜1000g/m
2がより好ましい。発泡層の坪量が上記数値範囲内であると、取扱い性に優れる。
なお坪量は、以下の方法で測定することができる。
発泡層の幅方向の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に、10cm×10cmの切片10個を切り出し、各切片の質量(g)を0.001g単位まで測定する。各切片の質量(g)の平均値を1m
2当たりの質量に換算した値を、発泡層の坪量(g/m
2)とする。
【0031】
発泡層の密度は、50〜1000kg/m
3であり、90〜900kg/m
3が好ましく、100〜700kg/m
3がより好ましく、150〜650kg/m
3がさらに好ましい。発泡層の密度が上記数値範囲内であると、取扱い性に優れる。
【0032】
<発泡シートの製造方法>
発泡層を形成する発泡シートは、従来公知の製造方法に準拠して製造される。
発泡シートの製造方法としては、樹脂組成物を調製し、樹脂組成物をシート状に押し出し、発泡(一次発泡)する方法が挙げられる(押出発泡法)。
発泡シートの製造方法の一例について、
図2を用いて説明する。
図2の発泡シートの製造装置200は、インフレーション成形により発泡シートを得る装置であり、押出機202と、発泡剤供給源208と、サーキュラーダイ210と、マンドレル220と、2つの巻取機240とを備える。
押出機202は、いわゆるタンデム型押出機であり、押出機A202aと押出機B202bとが配管206で接続された構成とされている。第一の押出部202aはホッパー204を備え、押出機A202aには、発泡剤供給源208が接続されている。
押出機B202bには、サーキュラーダイ210が接続され、サーキュラーダイ210の下流には、マンドレル220が設けられている。マンドレル220は、カッター222を備える。
【0033】
まず、樹脂組成物を構成する原料をホッパー204から押出機A202aに投入する。
ホッパー204から投入される原料は、発泡シートを構成する樹脂、及び必要に応じて配合される添加剤等である。
【0034】
押出機A202aでは、原料を任意の温度に加熱しながら混合して樹脂溶融物とし、発泡剤供給源208から発泡剤を押出機A202aに供給し、樹脂溶融物に発泡剤を混合して樹脂組成物とする。
加熱温度は、樹脂の種類等を勘案して、樹脂が溶融しかつ添加剤が変性しない範囲で適宜決定される。
【0035】
樹脂組成物は、押出機A202aから配管206を経て押出機B202bに供給され、さらに混合され、任意の温度に冷却された後、サーキュラーダイ210へ供給される。サーキュラーダイ210から押し出す際の樹脂組成物の温度は140〜190℃であり、より好ましくは150〜190℃である。
樹脂組成物は、サーキュラーダイ210から押し出され、発泡剤が発泡して円筒状の発泡シート101aとなる。サーキュラーダイ210から押し出された発泡シート101aは、冷却空気211を吹き付けられた後、マンドレル220に供給される。この冷却空気211の温度、量、吹き付け位置との組み合わせにより、発泡シート101aの冷却速度を調節できる。
円筒状の発泡シート101aは、マンドレル220で任意の温度にされ、サイジングされ、カッター222によって2枚に切り裂かれて発泡シート101となる。発泡シート101は、各々ガイドロール242とガイドロール244とに掛け回され、巻取機240に巻き取られて発泡シートロール102となる。
発泡シートの発泡倍数は、例えば、2〜20倍とされる。
なお、発泡シートは、インフレーション成形以外の方法により製造されてもよい。
【0036】
[第一の非発泡層]
第一の非発泡層は、発泡層の一方の面に位置する層である。
なお、本明細書において、「非発泡」とは、原料樹脂を発泡させていない状態を表し、発泡倍数が、1.0倍である場合をいう。
第一の非発泡層は、ポリエステル系エラストマーを含む。ポリエステル系エラストマーとは、共重合成分として、ポリエステル、並びに、ポリエーテル、及び他のポリエステルからなる群より選ばれる少なくとも1つを有する共重合体である。ここで、ポリエステル系エラストマーは、ハードセグメントがポリエステルであり、ソフトセグメントがポリエーテル、または他のポリエステルであることが好ましい。
【0037】
ポリエステル系エラストマーとしては、ソフトセグメントとハードセグメントの占める割合は、重量比で95/5〜10/90、特に90/10〜30/70であることが好ましい。具体的なポリエステル系エラストマーとしては、ポリエチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリエチレンアジペートブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリブチレンアジペートブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリブチレンセバケートブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ−ε−カプロラクトンブロック共重合体などが挙げられる。
【0038】
ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、東レ・デュポン社製の「ハイトレル(登録商標)」の4777、5577、6377、7277、8068グレード等が挙げられる。
これらのポリエステル系エラストマーは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0039】
ポリエステル系エラストマーの含有量は、第一の非発泡層を構成する樹脂100質量%に対し、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。また、非架橋型オレフィン系エラストマーの含有量は、第一の非発泡層を構成する樹脂100質量%に対し、100質量%であってもよい。
【0040】
第一の非発泡層を構成する樹脂の融点は、160℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。また、第一の非発泡層を構成する樹脂の融点は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。第一の非発泡層を構成する樹脂の融点が上記範囲内であると、耐熱性により優れる。
【0041】
第一の非発泡層のJIS K7125で求められる最大静摩擦係数は、1.5以上が好ましく、1.7以上がより好ましく、1.9以上がさらに好ましく、2.0以上が特に好ましい。第一の非発泡層の最大静摩擦係数が上記数値以上であると、滑りにくいものにすることができる。
最大静摩擦係数の測定の相手材は滑り性を明確にするために、アルミ材の鏡面仕上げを用いることが好ましい。
【0042】
第一の非発泡層の坪量aは、50〜500g/m
2が好ましく、150〜300g/m
2がより好ましい。第一の非発泡層の坪量aが上記数値範囲内であると、取扱い性に優れる。
なお坪量は、以下の方法で測定することができる。
第一の非発泡層の幅方向の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に、10cm×10cmの切片10個を切り出し、各切片の質量(g)を0.001g単位まで測定する。各切片の質量(g)の平均値を1m
2当たりの質量に換算した値を、第一の非発泡層の坪量a(g/m
2)とする。
【0043】
第一の非発泡層の厚みT2は、求められる強度等に応じて適宜決定され、例えば、0.03〜0.5mmが好ましく、0.10〜0.4mmがより好ましく、0.13〜0.3mmがさらに好ましい。上記下限値以上であれば、十分な強度を得られやすい。上記上限値以下であれば、成形加工が容易である。
【0044】
第一の非発泡層のJIS K7215で求められるデュロ硬度Dは70以下である。また、第一の非発泡層のデュロ硬度Dは50以下が好ましい。第一の非発泡層のデュロ硬度Dが上記数値以下であると、グリップ性に優れる。
【0045】
第一の非発泡層のJIS K6251で求められる破断点伸び率は500%以上が好ましく、600%以上がより好ましく、800%以上がさらに好ましい。破断点伸び率が上記数値以上であると、熱成形性に優れる。
【0046】
第一の非発泡層には、添加剤が含まれてもよい。前記添加剤としては、難燃剤、難燃助剤、滑剤、展着剤、着色剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、界面活性剤、フィラー等が挙げられる。
フィラーとしては、無機フィラーが好ましく、例えば、タルク、カオリン、焼成カオリン、ベントナイト、雲母族鉱物(セリサイト、白雲母、金雲母、黒雲母)、等の板状の鉱物粒子が挙げられる。これらのなかでもタルクが好ましい。
フィラーの含有量は、第一の非発泡層の総質量に対し、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。無機フィラーの含有量が上記数値範囲内であると、強度に優れる。
フィラーの平均粒子径は、1〜50μmが好ましく、3〜30μmがより好ましい。フィラーの平均粒子径が上記数値範囲内であると、強度に優れる。
なお、本明細書において平均粒子径は、レーザー回折法で測定できる。
第一の非発泡層に前記添加剤が含まれる場合、その含有量は樹脂100質量部に対して0質量部超30質量部以下が好ましい。
【0047】
[第二の非発泡層]
第二の非発泡層は、発泡層の他方の面に位置する層である。
第二の非発泡層としては、前記<第一の非発泡層>と同様のものを使用できる。
【0048】
積層発泡シート1の厚みTは、用途等を勘案して適宜決定され、例えば、0.5〜6.0mmが好ましく、1.0〜3.5mmがより好ましい。積層発泡シートの厚みが上記下限値以上であれば、十分な強度を得られやすい。上記上限値以下であれば、成形加工が容易である。
【0049】
積層発泡シートの坪量は、150〜1500g/m
2が好ましく、200〜1300g/m
2がより好ましく、300〜1200g/m
2がさらに好ましい。積層発泡シートの坪量が上記数値範囲内であると、取扱い性に優れる。
なお坪量は、以下の方法で測定することができる。
積層発泡シートの幅方向の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に、10cm×10cmの切片10個を切り出し、各切片の質量(g)を0.001g単位まで測定する。各切片の質量(g)の平均値を1m
2当たりの質量に換算した値を、積層発泡シートの坪量(g/m
2)とする。
【0050】
積層発泡シートの密度は、100〜1000kg/m
3が好ましく、150〜800kg/m
3がより好ましく、300〜500kg/m
3がさらに好ましい。積層発泡シートの密度が上記数値範囲内であると、取扱い性に優れる。
【0051】
積層発泡シートのJIS K7171で求められる曲げ強度は、2.5MPa以上が好ましく、3.0MPa以上がより好ましく、4.0MPa以上が特に好ましい。積層発泡シートの曲げ強度が上記以上であると、強度に優れる。
【0052】
[積層発泡シートの製造方法]
積層発泡シート1の製造方法の一例について、説明する。
積層発泡シート1の製造方法は、例えば、発泡シートを得る発泡シート形成工程と、発泡シートの一方の面に第一の非発泡層を構成する樹脂を押出ラミネートにより融着する第一の積層工程と、発泡シートの他方の面に第二の非発泡層を構成する樹脂を押出ラミネートにより融着する第二の積層工程と、を備えることが好ましい。
【0053】
発泡シート形成工程は、前述の発泡シートの製造方法と同様である。
【0054】
第一の積層工程は、発泡シートの一方の面に第一の非発泡層を構成する樹脂を押出ラミネートにより融着する工程である。
以下、第一の積層工程、及び第二の積層工程の一例について、
図3を用いて説明する。
【0055】
発泡シートロール102から発泡シート101を繰り出し、発泡シート101の一方の面に第一押出機111で溶融された樹脂103をダイ110より供給する。その後、一対の冷却ロール112で圧着して融着する。
こうして、発泡層10と、第一の非発泡層20とを備える2層からなる積層発泡シート104となる。積層工程における加熱温度は、各層の材質等に応じて、適宜決定される。
【0056】
第一の積層工程において、発泡シート101の一方の面に、第一の非発泡層20を構成する樹脂を融着させる際の温度は、200〜240℃が好ましく、210〜240℃がより好ましい。融着させる際の温度が上記範囲内であると、得られる積層発泡シートの耐摩耗性を向上しやすくなる。
【0057】
第二の積層工程は、発泡シートの他方の面に第二の非発泡層を構成する樹脂を押出ラミネートにより融着する工程である。
第一の積層工程で得られた2層からなる積層発泡シート104を、ロール113にかけ回し、発泡シートの他方の面に第二押出機115で溶融された樹脂105をダイ114より供給する。その後、一対の冷却ロール116で圧着されて融着される。
こうして、発泡層10と、第一の非発泡層20と、第二の非発泡層30とを備える3層からなる積層発泡シート1となる。
【0058】
第二の積層工程において、発泡シート101の他方の面に、第二の非発泡層30を構成する樹脂を融着させる際の温度は、200〜240℃が好ましく、210〜240℃がより好ましい。融着させる際の温度が上記範囲内であると、得られる積層発泡シートの耐摩耗性を向上しやすくなる。
【0059】
なお、前記2つの積層工程は、第二の積層工程、第一の積層工程の順に行ってもよいまた、本発明の積層発泡シートは上記製造方法(押出ラミネート法)に限定されず、発泡層と非発泡層とを共押出しや熱ラミネート法で積層してもよい。
【0060】
≪成形体≫
本発明の成形体は、積層発泡シートを成形することにより得られる。
積層発泡シートを成形する方法としては、例えば、積層発泡シートを任意の温度に加熱して二次発泡させ、次いで、積層発泡シートを任意の形状の雄型と雌型とで挟み込んで成形する方法が挙げられる。
第一の非発泡層が鉛直方向下方に向く面になるように成形することが好ましい。
【0061】
本発明の成形体は、車両のフロアマット用、ラゲッジトレイ用、車両のアンダーカバー用として使用できる。
車両のフロアマットとは、車両の床面に着脱可能に配置されるものであり、搭乗者が車外から持ち込む土砂等による汚れを補足し、車室外で洗浄して繰り返し使用されるものである。車両のフロアマットにおいては、第一の非発泡層が前記フロアマット使用時における鉛直方法下方に向く面になるように配置することが好ましい。これにより、車両のフロアマットが所定の位置からずれるのを防ぐことができる。
図4は、本発明の車両のフロアマットの一例を示す模式図である。
図4の車両のフロアマット2は、車両前方の座席の足元に配置できるように切り欠き部を有し、滑り止めのために表面に網目状の凹凸構造を有する。切り欠き部は車両の形状に合わせて形成すればよい。凹凸構造はどのような形状でもよく、あってもなくてもよい。
【0062】
車両のアンダーカバーとは、車体下部を覆い保護するものである。車両のアンダーカバーにおいては、第一の非発泡層が前記アンダーカバー使用時における鉛直方向下方に向く面になるように配置することが好ましい。これにより、車両走行中に地面から車両に跳ね上がる土砂等から車両を保護することができる。
図5は、本発明の車両のアンダーカバーの一例を示す模式図である。
図5の車両のアンダーカバーは、複数の凹条を含む凹凸構造を有することで、空気抵抗を小さくして燃費をよくすることができる。凹凸構造はどのような形状でもよく、あってもなくてもよい。
【0063】
車両のラゲッジトレイとは、車両のトランクルーム等の底部に設置する物入用のトレイである。車両のラゲッジトレイにおいては、第一の非発泡層が前記車両のラゲッジトレイ使用時における鉛直方向下方に向く面になるように配置することが好ましい。これにより、車両のラゲッジトレイが所定の位置からずれるのを防ぐことができる。
図6は、本発明の車両のラゲッジトレイの一例を示す模式図である。
図6の車両のラゲッジトレイ4は、平面視で長方形であるが、どのような形状であってもよい。
図7は、本発明の車両のラゲッジトレイの他の例を示す模式図である。
図7の車両のラゲッジトレイ5は、トランク内に配置できるように切り欠き部を有し、滑り止めのために表面に平面視で四角形の複数の凸部を含む凹凸構造を有する。切り欠き部は車両の形状に合わせて形成すればよい。凹凸構造はどのような形状でもよく、あってもなくてもよい。
【実施例】
【0064】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0065】
[実施例1]
ポリエステル系樹脂として、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET、三井化学社製商品名「SA135」、ガラス転移温度Tg:79℃、融点:247.1℃、IV値:0.86)100質量部、タルク0.72質量部、及び、無水ピロメリット酸0.2質量部を含む樹脂組成物を口径が65mmで且つL/D比が35の単軸押出機に供給して290℃にて溶融混練した。続いて、単軸押出機内に発泡剤としてブタン(ノルマルブタン:イソブタン=65:35(質量比))をポリエステル系樹脂100質量部に対して1.0質量部となるように圧入してさらに溶融混練した。その後、約220℃まで冷却し、単軸押出機の先端に接続されているサーキュラーダイから円筒状に押出発泡させて円筒状体を製造し、この円筒状体を徐々に拡径した上で冷却マンドレルに供給して円筒状体をその表面温度が25℃となるように冷却した後、円筒状体をその押出方向に連続的に内外周面間に亘って切断し切り開いて展開することによって、厚み1.0mm、密度400kg/m
3の発泡シートを得た。
ポリエステル系エラストマー樹脂(東レ・デュポン社製、商品名「4777」)100質量部を、第3押し出し機と第4押し出し機に供給した。第3押し出し機の先端に取り付けたTダイからシートを押出し、押し出した直後の溶融状態のシートを発泡シートの一方の面に積層し、融着させた。続いて、第4押し出し機の先端に取り付けたTダイからシートを押出し、押し出した直後の溶融状態のシートを発泡シートの他方の面に積層し、融着させた。これにより、両面に非発泡層を有する積層発泡シートを得た。なお、第3押し出し機と第4押し出し機の押出条件は同一とした。Tダイはいずれも、その樹脂流路における幅方向の両端部の温度が260℃となるように、両端部以外の部分の温度が280℃となるように調整した。
【0066】
[実施例2]
発泡剤の割合を、ポリエステル系樹脂100質量部に対して3.0質量部に変更したこと、展開後のシート引取速度を2.5倍に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0067】
[実施例3]
発泡剤の割合を、ポリエステル系樹脂100質量部に対して0.8質量部に変更したこと、展開後のシート引取速度を0.7倍に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0068】
[実施例4]
発泡剤の割合を、ポリエステル系樹脂100質量部に対して2.0質量部に変更したこと、展開後のシート引取速度を1.2倍に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0069】
[実施例5]
発泡剤の割合を、ポリエステル系樹脂100質量部に対して1.2質量部に変更したこと、展開後のシート引取速度を2.0倍に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0070】
[実施例6]
ポリエステル系エラストマー樹脂(東レ・デュポン社製、商品名「4777」)をポリエステル系エラストマー樹脂(東レ・デュポン社製、商品名「5577」)に変更したこと、展開後のシート引取速度を1.5倍に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0071】
[実施例7]
発泡剤の割合を、ポリエステル系樹脂100質量部に対して1.5質量部に変更したこと、及びポリエステル系エラストマー樹脂(東レ・デュポン社製、商品名「4777」)をポリエステル系エラストマー樹脂(東レ・デュポン社製、商品名「6377」)に変更したこと、展開後のシート引取速度を1.3倍に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0072】
[実施例8]
発泡剤の割合を、ポリエステル系樹脂100質量部に対して0.8質量部に変更したこと、展開後のシート引取速度を2.0倍に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0073】
[実施例9]
発泡剤の割合を、ポリエステル系樹脂100質量部に対して1.2質量部に変更したこと、展開後のシート引取速度を2.8倍に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0074】
[実施例10]
発泡剤の割合を、ポリエステル系樹脂100質量部に対して0.8質量部に変更したこと、展開後のシート引取速度を1.7倍に変更したこと及びポリエステル系エラストマー樹脂(東レ・デュポン社製、商品名「4777」)をポリエステル系エラストマー樹脂(東レ・デュポン社製、商品名「8068」)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0075】
[実施例11]
ポリカーボネート系樹脂(出光興産社製、商品名「タフロンA2500」、ガラス転移温度154℃)100質量部、高分子量アクリル系樹脂(三菱レイヨン社製、商品名「メタブレンP−530A」、質量平均分子量300万)1質量部、気泡調整剤(ポリテトラフルオロエチレン粉末)0.1質量部となる割合で発泡シートを形成させるための樹脂原料を用意した。なお、前記ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度よりも100℃高い温度(254℃)における前記樹脂原料の溶融張力は、2.7cNで、MFRは1.0g/10minであった。
スクリュー径50mmφの押出機と65mmφの押出機とが連結されたタンデム型押出機の内の上流側の押出機(スクリュー径50mmφ押出機)のホッパーに前記樹脂原料を供給し、該上流側の押出機内で最高温度280℃で加熱溶融させて溶融混練を実施した。その後、前記樹脂原料100質量部に対する割合が1.4質量部となる割合でイソペンタン(発泡剤)をこの押出機の途中において圧入し、さらに溶融混練を実施させた。次いで、下流側の押出機の先端に装着された円環状の吐出口を有するサーキュラーダイ(吐出口の口径70mm、スリット幅0.50mm)から樹脂温度230℃で押出して円筒状の発泡体を形成させ、該サーキュラーダイの下流側(押出方向前方)に配した直径200mmの冷却用マンドレルの外周面に前記発泡体の内面を摺接させつつ該発泡体に引取りをかけ、該冷却用マンドレルで発泡体を拡径するとともに内側から冷却し、該冷却用マンドレルの下流側に設けたカッターで前記発泡体を押出方向に向けて連続的に切断して平坦なシートとなるように展開し、長尺帯状のポリカーボネート系樹脂発泡シートを作製した。なお、作製した発泡シートは、厚み1.0mmで、密度250kg/m
3の発泡シートを得た。
得られた発泡シートの両面に、実施例1と同様の方法で非発泡層を積層し、積層発泡シートを得た。
【0076】
[比較例1]
発泡剤の割合を、ポリエステル系樹脂100質量部に対して1.1質量部に変更したこと、発泡シートの表面温度が120℃まで冷却し、発泡シートを得た後、再度、表面温度が120℃になるように2分間加熱したこと以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0077】
[比較例2]
発泡剤の割合を、ポリエステル系樹脂100質量部に対して0.8質量部に変更したこと、展開後のシート引取速度を2.0倍に変更したこと及びポリエステル系エラストマー樹脂(東レ・デュポン社製、商品名「4777」)をポリエステル系エラストマー樹脂(東レ・デュポン社製、商品名「2751」)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0078】
[比較例3]
発泡剤の割合を、ポリエステル系樹脂100質量部に対して0.8質量部に変更したこと、展開後のシート引取速度を1.6倍に変更したこと及びポリエステル系エラストマー樹脂(東レ・デュポン社製、商品名「4777」)をポリエステル系エラストマー樹脂(東レ・デュポン社製、商品名「7237」)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0079】
[比較例4]
第一の非発泡層、及び第二の非発泡層を形成しなかったこと、発泡剤の割合を、ポリエステル系樹脂100質量部に対して1.5質量部に変更したこと、展開後のシート引取速度を1.3倍に変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡シートを得た。
【0080】
[比較例5]
発泡剤の割合を、ポリエステル系樹脂100質量部に対して1.2質量部に変更したこと、展開後のシート引取速度を1.3倍に変更したこと及びポリエステル系エラストマー樹脂(東レ・デュポン社製、商品名「4777」)をポリオレフィン系エラストマー樹脂(三井化学社製、商品名「M4400NS」)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。
【0081】
<坪量>
発泡シート、第一の非発泡層シート、第二の非発泡層シート、又は積層発泡シートの幅方向の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に、10cm×10cmの切片10個を切り出し、各切片の質量(g)を0.001g単位まで測定した。各切片の質量(g)の平均値を1m
2当たりの質量に換算した値を、坪量M(g/m
2)とした。
【0082】
<厚み>
発泡シート、第一の非発泡層シート、第二の非発泡層シート、又は積層発泡シートの幅方向の両端20mmを除き、幅方向50mm間隔で21点を測定点とした。この測定点について、ダイヤルシックネスゲージSM−112(テクロック社製)を使用し、厚みを最小単位0.01mmまで測定した。この測定値の平均値を厚みT(mm)とした。
【0083】
<密度>
厚みT(mm)と坪量M(g/m
2)とから、下記(2)式により密度ρ(kg/m
3)を求めた。
ρ=M/T ・・・(2)
【0084】
<結晶化度>
発泡層の中心部を削り試料を採取し、下記測定装置を用いて、下記測定条件のもと、JIS K7122に従いDSC測定を行い、結晶化熱量を求めた。
(測定装置)
DSC装置:示差走査熱量計装置 DSC7000X型(日立ハイテクサイエンス社製)
(測定条件)
試料量:5.5±0.5mg
リファレンス(アルミナ)量:5mg
窒素ガス流量:20mL/min
試験数:2
上記で得られたDSC曲線の融解熱量及び結晶化熱量から、下記式(1)より結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=〔(融解熱量の絶対値(J/g)−結晶化熱量の絶対値(J/g)〕÷完全結晶化熱量(J/g)×100
【0085】
<IV値>
JIS K7367−5に従い、IV値を測定した。
【0086】
<デュロ硬度D>
JIS K7215に従い、デュロ硬度Dを測定した。
【0087】
<破断点伸び率>
JIS K6251に従い、破断点伸び率を測定した。
【0088】
<融点>
JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載の方法により、融点を測定した。
【0089】
<最大静摩擦係数>
JIS K7125に従い、積層発泡シートの表面(非発泡層)の最大静摩擦係数を測定した。
【0090】
<熱成形性>
熱成形については単発成型機FVS−500型(脇坂エンジニアリング製)を使用して、該積層発泡シートを加熱温度150℃、加熱時間120秒で予備加熱して、シート表面温度を125℃にした。その後、オス型側から圧縮空気を供給してメス型に積層発泡シートを密着させてオス型とメス型を6秒間閉じて180℃にて真空成形し、口径155φの円筒型の発泡積層熱成形体を得た。
得られた熱成形体の表面を目視で確認し、以下の評価基準に従って、熱成形性を評価した。
(評価基準)
○:表面が平滑で、容器強度が十分で剥がれ等もなく、熱成形性が良好である。
△:表面が平滑であるが、容器強度が部分的に十分でなく、熱成形性に劣る。
×:表面に凹凸があり、裂け等もある。
【0091】
<曲げ強度>
積層発泡シートを幅50mm×長さ150mm×厚さ(各例の厚さ)の大きさに切り抜いた試験片を用いて、以下の条件にてMD方向及びTD方向の曲げ強度を測定した。
(試験条件)
測定装置:テンシロン万能試験機 RTG−1310(A&G社製)。
n数:3。
試験速度:50mm/分。
支点間距離:100mm。
先端治具:加圧くさび 5R。
支持台:2.5R。
曲げ強度が大きいほど、強度に優れる。
【0092】
<寸法変化率>
前記<熱成形性>の試験で得られた熱成形体の寸法変化率は以下のように算出した。
(寸法変化率測定方法)
成形体の長辺と短辺をそれぞれ測定し、成形体を200℃で10分間加熱した後の長辺と短辺を測定する。
下記式よりそれぞれの寸法変化量の絶対値を求め、その平均値を成形体の寸法変化率とする。
長辺の寸法変化量の絶対値[%]=|(加熱後の長辺の寸法〕−(加熱前の長辺の寸法)|/(加熱前の長辺の寸法)×100
短辺の寸法変化量の絶対値[%]=|(加熱後の短辺の寸法〕−(加熱前の短辺の寸法)|/(加熱前の長辺の寸法)×100
寸法変化率[%]=〔(長辺の寸法変化率)+(短辺の寸法変化率)〕/2
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
本発明を適用した実施例1〜11は、グリップ性、耐熱性、及び熱成形性のいずれにおいても優れていた。
発泡層の結晶化度が20%超である比較例1は、耐熱性、及び成形性において劣っていた。
第一の非発泡層のデュロ硬度Dが70超である比較例2、及び3は、グリップ性において劣っていた。
非発泡層を形成しなかった比較例4は、グリップ性、耐熱性、及び熱成形性において劣っていた。
ポリエステル系エラストマーの代わりにオレフィン系エラストマーを使用した比較例5は、積層発泡シートを得ることが出来なかった。