【解決手段】入力回路切換装置1は、所定期間PPにおいて車両200から入力される信号(例えば、車速信号SV2)の電圧を記憶する電圧記憶部146と、前記信号を受け付ける第1入力回路11と、前記信号を受け付け、第1入力回路11と相違する第2入力回路12と、前記電圧の値と、基準電圧VAとを比較する比較部143と、前記電圧の値が基準電圧VA以上である場合には、第1入力回路11が前記信号を受け付け、前記電圧の値が基準電圧VA未満である場合には、第2入力回路12が前記信号を受け付けるように設定する設定部144と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0018】
[1.ナビゲーション装置の構成]
[1−1.ナビゲーション装置の全体構成]
図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置100の構成の一例を示す図である。
ナビゲーション装置100は、車両200に搭載され、車両200の走行時に現在位置の表示や目的地への経路案内等を実行する装置であって、
図1に示すように、入力回路切換装置1と、ディスプレイ15と、スピーカー16と、GPS通信部17とを備える。
ナビゲーション装置100は、「車両情報処理装置」の一例に対応する。
【0019】
入力回路切換装置1は、車両200から車速信号SVを受け付ける入力回路を切り換える装置であって、第1入力回路11と、第2入力回路12と、セレクタ13と、制御部14とを備える。入力回路切換装置1は、「回路切換装置」の一例に対応する。
車両200は、車速信号SVを出力する第1出力回路21又は第2出力回路22を備える。第1出力回路21の構成については、後述にて
図4を参照して説明する。第2出力回路22の構成については、後述にて
図5を参照して説明する。
車両200は、車速センサーとECU(Electronic Control Unit)とを備え、車速センサーの検出信号がECUに伝送される。ECUは、車速センサーの検出信号に基づいて車速信号SVを生成し、第1出力回路21又は第2出力回路22に対して出力する。車速信号SVは、「車両から入力される信号」の一例に対応する。
以下の説明では、車両200のECUから第1出力回路21又は第2出力回路22に入力される車速信号SVを車速信号SV0と記載する。また、第1出力回路21又は第2出力回路22から第1入力回路11又は第2入力回路12に入力される車速信号SVを車速信号SV1と記載する。第1入力回路11又は第2入力回路12から制御部14に入力される車速信号SVを車速信号SV2と記載する。
【0020】
ディスプレイ15は、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、制御部14からの指示に従って、ユーザーに種々の情報を視認可能に表示する。ディスプレイ15は、例えば、現在位置を示す画像、目的地への経路を示す画像、及びガイダンス情報等を表示する。
なお、本実施形態では、「ユーザー」とは、整備工場等の作業者を含む。
【0021】
スピーカー16は、制御部14からの指示に従って、ユーザーに種々の情報を音声で出力する。スピーカー16は、例えば、目的地への経路を示す情報、及びガイダンス情報等を音声で出力する。
【0022】
GPS通信部17は、GPS(Global Positioning System)信号を受信し、GPS信号を制御部14に伝送する。制御部14は、GPS信号に基づいて、車両200の位置情報を生成する。
【0023】
第1入力回路11は、車両200から車速信号SV1を受け付ける。第1入力回路11の構成については、後述にて
図2を参照して詳細に説明する。第1入力回路11は、「第1回路」の一例に対応する。
【0024】
第2入力回路12は、第1入力回路11と相違する回路であって、車両200から車速信号SV1を受け付ける。第2入力回路12の構成については、後述にて
図3を参照して詳細に説明する。第2入力回路12は、「第2回路」の一例に対応する。
【0025】
セレクタ13は、制御部14からの指示に従って、第1入力回路11及び第2入力回路12の中から、車速信号SV1を受け付ける回路を設定する。
具体的には、セレクタ13は、第1端子131と第2端子132と、第3端子133とを備える。
第1端子131は、第1入力回路11の一方端に接続される。第2端子132は、第2入力回路12の一方端に接続される。第3端子133には、車両200から車速信号SV1が入力される。
初期状態においては、セレクタ13は、第1端子131と第3端子133とを通電可能に接続する。すなわち、初期状態においては、第1入力回路11が車速信号SV1を受け付けるように設定される。
また、第1入力回路11が車速信号SV1を受け付ける場合には、セレクタ13は、第1端子131と第3端子133とを通電可能に接続する。第2入力回路12が車速信号SV1を受け付ける場合には、セレクタ13は、第2端子132と第3端子133とを通電可能に接続する。
【0026】
制御部14は、メモリー14A及びプロセッサー14Bを備える。
メモリー14Aは、プロセッサー14Bが実行するプログラムやデータ等を不揮発的に記憶する記憶装置である。メモリー14Aは、磁気的記憶装置、フラッシュROM(Read Only Memory)等の半導体記憶素子、或いはその他の種類の不揮発性記憶装置により構成される。また、メモリー14Aは、プロセッサー14Bのワークエリアを構成するRAM(Random Access Memory)を含んでもよい。メモリー14Aは、制御部14により処理されるデータや、プロセッサー14Bが実行する制御プログラム等を記憶する。
【0027】
プロセッサー14Bは、単一のプロセッサーで構成されてもよいし、複数のプロセッサーがプロセッサー14Bとして機能する構成であってもよい。プロセッサー14Bは、制御プログラムを実行してナビゲーション装置100の各部を制御する。
【0028】
[1−2.制御部の構成]
制御部14は、機能的に、検出部141、決定部142、比較部143、設定部144、禁止部145及び電圧記憶部146を備える。具体的には、プロセッサー14Bが、制御プログラムを実行することによって、検出部141、決定部142、比較部143、設定部144及び禁止部145として機能する。また、プロセッサー14Bが、制御プログラムを実行することによって、メモリー14Aを電圧記憶部146として機能させる。
【0029】
電圧記憶部146は、基準電圧VAを記憶する。基準電圧VAは、例えば0.2Vである。基準電圧VAは、比較部143によって読み出される。
また、電圧記憶部146は、所定期間PPにおいて車両200から制御部14に入力される車速信号SV2の電圧を記憶する。所定期間PPは、決定部142によって決定される。電圧記憶部146は、「記憶部」の一例に対応する。
【0030】
検出部141は、車両200の移動を検出する。
具体的には、検出部141は、GPSを介して車両200の移動を検出する。更に具体的には、検出部141は、GPS通信部17が受信したGPS信号に基づいて、車両200の移動距離を検出する。
また、検出部141は、車両200のアクセル開度PAに基づき、車両200の移動を検出する。更に具体的には、検出部141は、車両200のアクセル開度PAに基づき、車両200の移動距離を検出する。
アクセル開度PAは、車両200に配置されたアクセル開度センサーによって検出される。アクセル開度センサーは、アクセル開度PAを示す信号を車両200のECUに伝送する。検出部141は、車両200のECUからアクセル開度PAを示す情報を取得する。
【0031】
決定部142は、検出部141の検出結果に基づいて、所定期間PPを、車両200が移動を開始したときから車両200が所定距離LAだけ移動するまでの期間に決定する。
所定距離LAは、例えば10mである。
また、制御部14は、セレクタ13に第1端子131と第3端子133とを通電可能に接続させることによって、第1入力回路11が車速信号SV1を受け付けるように設定する。そして、制御部14は、所定期間PPにおいて制御部14に入力される車速信号SV2の電圧を取得して、電圧記憶部146に書き込む。
【0032】
比較部143は、車速信号SV2の電圧の値と基準電圧VAとを比較する。具体的には、比較部143は、所定期間PPにおける車速信号SV2の電圧の平均値VBと、基準電圧VAとを比較する。
本実施形態では、比較部143は、所定期間PPにおける車速信号SV2の電圧の平均値VBと、基準電圧VAとを比較するが、本発明の実施形態はこれに限定されない。比較部143は、車速信号SV2の電圧の値と基準電圧VAとを比較すればよい。例えば、比較部143は、所定期間PPにおける車速信号SV2の電圧の最大値と、基準電圧VAとを比較してもよい。
【0033】
設定部144は、平均値VBが基準電圧VA以上である場合には、第1入力回路11が車速信号SV1を受け付けるように、セレクタ13を設定する。すなわち、設定部144は、セレクタ13に、第1端子131と第3端子133とを通電可能に接続させる。
また、設定部144は、平均値VBが基準電圧VA未満である場合には、第2入力回路12が車速信号SV1を受け付けるように、セレクタ13を設定する。すなわち、設定部144は、セレクタ13に、第2端子132と第3端子133とを通電可能に接続させる。
【0034】
禁止部145は、設定部144による設定が終了していない場合には、車両200に対する電圧の印加を禁止する。
具体的には、禁止部145は、設定部144による設定が終了していない場合には、セレクタ13に第1端子131と第3端子133とを通電可能に接続させることによって、第1入力回路11が車速信号SV1を受け付けるように設定する。なお、第1入力回路11が車速信号SV1を受け付ける場合には、第1入力回路11は、車両200の第1出力回路21又は第2出力回路22に対して電圧を印加しない。
【0035】
[1−3.第1入力回路の構成]
図2は、第1入力回路11の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、第1入力回路11は、端子T1A、端子T1B、ダイオードD1、コンデンサーC1、ダイオードD2、分圧抵抗R1、分圧抵抗R2及び差動アンプA1を備える。
【0036】
端子T1Aは、セレクタ13を介して、第1出力回路21又は第2出力回路22に接続される。端子T1Bは、制御部14に接続される。
ダイオードD1は、アノード側が接地され、カソード側が端子T1Aに接続される。コンデンサーC1は、一方側が接地され、他方側が端子T1Aに接続される。
【0037】
ダイオードD2は、端子T1Aと分圧抵抗R1との間に配置され、アノード側が端子T1Aに接続され、カソード側が分圧抵抗R1に接続される。
分圧抵抗R1は、一方端がダイオードD2のカソード側に接続され、他方端が差動アンプA1のプラス端子に接続される。
分圧抵抗R2は、一方端が差動アンプA1のプラス端子に接続され、他方端が接地される。
【0038】
差動アンプA1は、分圧抵抗R1及び分圧抵抗R2によって分圧された電圧がプラス端子に入力され、この電圧を増幅する。差動アンプA1の出力端子は、差動アンプA1のマイナス端子に接続され、ネガティブフィードバックが掛けられている。差動アンプA1の出力端子は、端子T1Bに接続される。
すなわち、差動アンプA1は、分圧抵抗R1及び分圧抵抗R2によって分圧された電圧を増幅し、端子T1Bを介して制御部14に出力する。
【0039】
[1−4.第2入力回路の構成]
図3は、第2入力回路12の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、第2入力回路12は、端子T2A、端子T2B、ダイオードD3、コンデンサーC2、ダイオードD4、プルアップ抵抗R3、ダイオードD5、分圧抵抗R4、分圧抵抗R5、差動アンプA2及びコンデンサーC3を備える。
【0040】
端子T2Aは、セレクタ13を介して、第1出力回路21又は第2出力回路22に接続される。端子T2Bは、制御部14に接続される。
ダイオードD3は、アノード側が接地され、カソード側が端子T2Aに接続される。コンデンサーC1は、一方側が接地され、他方側が端子T2Aに接続される。
【0041】
プルアップ抵抗R3は、ダイオードD4のアノード側とダイオードD5のアノード側とにプルアップ電圧を印加する。プルアップ抵抗R3の一方端は、所定の電圧(例えば、5V)が印加され、プルアップ抵抗R3の他方端は、ダイオードD4のアノード側及びダイオードD5のアノード側の各々に接続される。
ダイオードD4は、端子T2AとダイオードD5との間に配置される。ダイオードD4のアノード側は、ダイオードD5のアノード側に接続され、ダイオードD4のカソード側は、端子T2Aに接続される。
【0042】
ダイオードD5は、ダイオードD4と分圧抵抗R4との間に配置される。ダイオードD5のアノード側は、ダイオードD4のアノード側に接続され、ダイオードD5のカソード側は、分圧抵抗R4の一方端に接続される。
分圧抵抗R4は、一方端がダイオードD5のカソード側に接続され、他方端が差動アンプA2のプラス端子に接続される。
分圧抵抗R5は、一方端が差動アンプA2のプラス端子に接続され、他方端が接地される。
【0043】
差動アンプA2は、分圧抵抗R4及び分圧抵抗R5によって分圧された電圧がプラス端子に入力され、この電圧を増幅する。差動アンプA2の出力端子は、差動アンプA2のマイナス端子に接続され、ネガティブフィードバックが掛けられている。差動アンプA1の出力端子は、端子T2Bに接続される。
差動アンプA2の正電源端子には、所定の電圧(例えば、5V)が印加され、差動アンプA2の負電源端子は、接地されている。
コンデンサーC3は、差動アンプA2の正電源端子と差動アンプA2の負電源端子との間に配置される。
すなわち、差動アンプA2は、分圧抵抗R4及び分圧抵抗R5によって分圧された電圧を増幅し、端子T2Bを介して制御部14に出力する。
【0044】
[2.第1出力回路と第1入力回路との動作]
[2−1.第1出力回路と第1入力回路とが接続された第1状態]
図4は、第1出力回路21と第1入力回路11とが接続された第1状態を示す図である。
図4に示すように、第1出力回路21は、プッシュプル方式で車速信号SV1を出力する。具体的には、第1出力回路21は、第1トランジスタTR1と、第2トランジスタTR2と、端子T21とを備える。
【0045】
第1トランジスタTR1は、PNPトランジスタであって、エミッタが電圧VCにプルアップされ、ベースには、車両200のECUから電圧V2が入力され、コレクタは、端子T21に接続される。電圧V2は、車速信号SV0の一例に対応する。電圧VCは、例えば1Vである。
第2トランジスタTR2は、NPNトランジスタであって、エミッタが接地され、ベースには、車両200のECUから電圧V2が入力され、コレクタが端子T21に接続される。
端子T21は、第1入力回路11の端子T1Aに接続される。
【0046】
次に、第1状態における第1出力回路21と第1入力回路11との動作について説明する。電圧V2は、例えば、その値が1Vと0(零)Vとを所定の周期で繰り返す矩形波である。電圧V2については、後述にて
図7を参照して説明する。
電圧V2の値が1Vになった場合には、第2トランジスタTR2はON状態になり、第1トランジスタTR1はOFF状態になる。その結果、端子T21の電圧値は略0Vになる。また、端子T21から第2トランジスタTR2に向けて電流J12が流れる。
また、電圧V2の値が0Vになった場合には、第2トランジスタTR2はOFF状態になり、第1トランジスタTR1はON状態になる。その結果、端子T21の電圧値は1Vになる。また、第1トランジスタTR1から端子T21に向けて電流J11が流れる。
【0047】
端子T21は、端子T1Aに接続されているため、電圧V2の値が1Vになった場合には、端子T1Aの電圧値は略0Vになり、電圧V2の値が0Vになった場合には、端子T1Aの電圧値は1Vになる。
端子T1Aの電圧値が略0Vになると、第1入力回路11のコンデンサーC1の両端電圧も略0Vになる。その結果、第1入力回路11の分圧抵抗R1及び分圧抵抗R2に印加される電圧も略0Vになるため、第1入力回路11の差動アンプA1のプラス端子には略0Vが印加される。その結果、第1入力回路11の端子T1Bの電圧V1Aの値は略0Vになる。
端子T1Aの電圧値が1Vになると、第1入力回路11の分圧抵抗R1及び分圧抵抗R2に1Vの電圧が印加されるため、第1入力回路11の差動アンプA1のプラス端子には、分圧電圧VRが印加される。その結果、第1入力回路11の端子T1Bの電圧V1Aの値は分圧電圧VRを増幅した電圧VQになる。
【0048】
分圧電圧VRは、次の式(1)で表わされ、電圧VQは、次の式(2)で表わされる。
VR=1×R2/(R1+R2) (1)
ただし、抵抗値R1は、分圧抵抗R1の抵抗値を示し、抵抗値R2は、分圧抵抗R1の抵抗値を示す。
VQ=α×VR (2)
ただし、増幅率αは、差動アンプA1の増幅率を示す。本実施形態では、例えば、電圧VQが1Vである場合について説明する。
【0049】
このようにして、第1状態においては、電圧V1Aは、その値が1Vと0(零)Vとを所定の周期で繰り返す矩形波である。すなわち、第1状態では、車速信号SV2が第1出力回路21及び第1入力回路11を介して制御部14に入力される。具体的には、車速信号SV0が第1出力回路21に入力され、第1入力回路11を介して車速信号SV2が制御部14に入力される。電圧V1Aは、車速信号SV2の一例に対応する。第1状態における端子T1Bの電圧V1Aの変化については、後述にて
図7を参照して説明する。
【0050】
[2−2.第2出力回路と第2入力回路とが接続された第2状態]
図5は、第2出力回路22と第2入力回路12とが接続された第2状態を示す図である。
図5に示すように、第2出力回路22は、オープンコレクタ方式で車速信号SV1を出力する。具体的には、第2出力回路22は、第3トランジスタTR3と、端子T22とを備える。
【0051】
第3トランジスタTR3は、NPNトランジスタであって、エミッタが接地され、ベースには、車両200のECUから電圧V2が入力され、コレクタが端子T22に接続される。
端子T22は、第2入力回路12の端子T2Aに接続される。
【0052】
次に、第2状態における第2出力回路22と第2入力回路12との動作について説明する。電圧V2は、例えば、その値が1Vと0(零)Vとを所定の周期で繰り返す矩形波である。電圧V2については、後述にて
図7を参照して説明する。
電圧V2の値が0Vになった場合には、第3トランジスタTR3はOFF状態になり、端子T22から第3トランジスタTR3に向けて電流J2は流れない。電圧V2の値が1Vになった場合には、第3トランジスタTR3はON状態になり、端子T22の電圧値は略0Vになる。その結果、端子T22から第3トランジスタTR3に向けて電流J2が流れる。
【0053】
端子T22は、端子T2Aに接続されているため、電圧V2の値が1Vになった場合には、端子T2Aの電圧値は略0Vになり、電圧V2の値が0Vになった場合には、端子T1Aの電圧値は、端子T2Aの電圧値と同一になる。
端子T2Aの電圧値は略0Vになると、コンデンサーC2の両端電圧も略0Vになる。その結果、分圧抵抗R4及び分圧抵抗R5に印加される電圧も略0Vになる。その結果、分圧抵抗R5の両端電圧も略0Vになるため、第2入力回路12の端子T2Bの電圧V2Aの値は略0Vになる。
【0054】
端子T1Aの電圧値が端子T2Aの電圧値と同一になると、プルアップ抵抗R3とダイオードD4とコンデンサーC2とを順次介して、電流が流れ、コンデンサーC2の両端電圧は、所定の電圧(例えば、5V)と同一になる。更に、コンデンサーC2の両端電圧が5Vになると、プルアップ抵抗R3とダイオードD5と分圧抵抗R4と分圧抵抗R5とを順次経由して、電流が流れる。その結果、分圧抵抗R5の両端には次の式(4)で示す分圧電圧VSが印加される。また、第2入力回路12の端子T2Bの電圧V1Bの値は分圧電圧VSを増幅した電圧VTになる。
【0055】
分圧電圧VSは、次の式(3)で表わされ、電圧VTは、次の式(4)で表わされる。
VS=5×R5/(R4+R5) (3)
ただし、抵抗値R4は、分圧抵抗R4の抵抗値を示し、抵抗値R5は、分圧抵抗R5の抵抗値を示す。
VT=β×VS (4)
ただし、増幅率βは、差動アンプA2の増幅率を示す。本実施形態では、例えば、電圧VTが1Vである場合について説明する。
【0056】
このようにして、第2状態においては、電圧V1Bは、その値が1Vと0(零)Vとを所定の周期で繰り返す矩形波である。すなわち、第2状態では、車速信号SV2が第2出力回路22及び第2入力回路12を介して制御部14に入力される。具体的には、車速信号SV0が第2出力回路22に入力され、車速信号SV2が制御部14に入力される。電圧V1Bは、車速信号SV2の一例に対応する。第2状態における端子T2Bの電圧V1Bの変化については、後述にて
図7を参照して説明する。
【0057】
[2−3.第2出力回路と第1入力回路とが接続された第3状態]
図6は、第2出力回路22と第1入力回路11とが接続された第3状態を示す図である。
図6を参照して、第3状態における第2出力回路22と第1入力回路11との動作について説明する。
【0058】
電圧V2は、例えば、その値が1Vと0(零)Vとを所定の周期で繰り返す矩形波である。電圧V2については、後述にて
図7を参照して説明する。
電圧V2の値が0Vになった場合には、第3トランジスタTR3はOFF状態になり、端子T22から第3トランジスタTR3に向けて電流は流れない。
電圧V2の値が1Vになった場合には、第3トランジスタTR3はON状態になり、端子T22の電圧値は略0Vになる。
【0059】
端子T22は、端子T1Aに接続されているため、電圧V2の値が1Vになった場合には、端子T1Aの電圧値は略0Vになり、電圧V2の値が0Vになった場合には、端子T1Aの電圧値は端子T22の電圧値と同一値になる。
端子T1Aの電圧値が略0Vになると、コンデンサーC1の両端電圧も略0Vになる。そして、第1入力回路11の分圧抵抗R1及び分圧抵抗R2に印加される電圧も略0Vになるため、第1入力回路11の差動アンプA1のプラス端子には略0Vが印加される。その結果、第1入力回路11の端子T1Bの電圧V1Cの値は略0Vになる。
端子T1Aの電圧値が端子T22の電圧値と同一値になると、第1入力回路11の分圧抵抗R1及び分圧抵抗R2に電圧が印加されないため、第1入力回路11の差動アンプA1のプラス端子には0Vが印加される。その結果、第1入力回路11の端子T1Bの電圧V1Cの値は0Vになる。
【0060】
このようにして、第3状態においては、電圧V1Cは、その値が0Vに維持される。すなわち、第3状態では、車速信号SVが第2出力回路22に印加された場合には、第1入力回路11を介して制御部14に入力される車速信号SV2は0Vに維持される。電圧V1Cは、車速信号SV2の一例に対応する。第3状態における端子T1Bの電圧V1Cの変化については、後述にて
図7を参照して説明する。
【0061】
[3.制御部によるセレクタの設定動作]
次に、
図7を参照して、制御部14によるセレクタ13の設定動作について説明する。
図7は、車両200のECUから第1出力回路21又は第1入力回路11に入力される電圧V2の変化と、第1状態〜第3状態の各々における出力信号の一例を示す図である。出力信号は、第1入力回路11又は第2入力回路12から制御部14に入力される信号を示す。
具体的には、第1状態における出力信号は、
図4を参照して説明した電圧V1Aであり、第2状態における出力信号は、
図5を参照して説明した電圧V1Bであり、第3状態における出力信号は、
図6を参照して説明した電圧V1Cである。
【0062】
初期状態においては、セレクタ13は、第1端子131と第3端子133とを通電可能に接続する。すなわち、初期状態においては、第1入力回路11が車速信号SV1を受け付けるように設定される。
よって、車両200が第1出力回路21を介して車速信号SV1を出力する場合には、第1出力回路21と第1入力回路11とが接続され、第1状態になる。その結果、制御部14には、車速信号SV2として
図4を参照して説明した電圧V1Aが入力される。
また、車両200が第2出力回路22を介して車速信号SV1を出力する場合には、第2出力回路22と第1入力回路11とが接続され、第3状態になる。その結果、制御部14には、車速信号SV2として、
図6を参照して説明した電圧V1Cが入力される。
【0063】
図7の上段に示すグラフの横軸は、時間Tであり、縦軸は車両200のECUから第1出力回路21又は第2出力回路22に入力される電圧V2を示す。
図7の上段にグラフG1で示すように、電圧V2は、その値が1Vと0Vとを所定の周期PWで繰り返す矩形波である。
【0064】
図7の中段に示すグラフの横軸は、時間Tであり、縦軸は第1状態において制御部14に入力される電圧V1Aを示す。
図7の中段にグラフG2で示すように、電圧V1Aは、その値が1Vと0Vとを所定の周期PWで繰り返す矩形波である。
【0065】
図7の下段に示すグラフの横軸は、時間Tであり、縦軸は第3状態において制御部14に入力される電圧V1Cを示す。
図7の下段にグラフG3で示すように、電圧V1Cは、0Vに維持される。
【0066】
図7に示すように、本実施形態では、所定期間PPは、例えば、時間Tが時間T0から時間T8までの期間を示す。また、所定期間PPは、サンプリング期間Pの8倍の期間を示す。サンプリング期間Pは、制御部14が、車速信号SV2の電圧の値を取得する時間間隔を示す。
具体的には、制御部14は、時間T1、時間T2、時間T3、時間T4、時間T5、時間T6、時間T7及び時間T8において、車速信号SV2の電圧の値を取得する。
時間T1は、時間T0からサンプリング期間Pだけ経過後の時間Tを示す。時間T2は、時間T1からサンプリング期間Pだけ経過後の時間Tを示す。時間T3は、時間T2からサンプリング期間Pだけ経過後の時間Tを示す。時間T4は、時間T3からサンプリング期間Pだけ経過後の時間Tを示す。時間T5は、時間T4からサンプリング期間Pだけ経過後の時間Tを示す。時間T6は、時間T5からサンプリング期間Pだけ経過後の時間Tを示す。時間T7は、時間T6からサンプリング期間Pだけ経過後の時間Tを示す。時間T8は、時間T7からサンプリング期間Pだけ経過後の時間Tを示す。
【0067】
比較部143は、所定期間PPにおける車速信号SV2の電圧の平均値VBを算出する。第1状態においては、平均値VBは、次の式(5)で表わされる。
VB=V11+V12+V13+V14
+V15+V16+V17+V18 (5)
なお、電圧値V11〜電圧値V18の各々は、時間T1〜時間T8の各々における車速信号SV2の電圧値を示す。
グラフG2に示すように、電圧値V11、V13、V14、V16、V17の値は0Vであり、電圧値V12、V15、V18の値は1Vである。よって、第1状態においては、平均値VBは、0.375(=3/8)Vである。
したがって、比較部143は、平均値VBが基準電圧VA(=0.2V)以上であると判定する。また、設定部144は、平均値VBが基準電圧VA以上であるため、第1入力回路11が車速信号SV1を受け付けるように、セレクタ13を設定する。すなわち、車両200が第1出力回路21を介して車速信号SV1を出力する場合には、設定部144は、車速信号SV1を受け付ける回路として、第1入力回路11が設定された状態(=
図4に示す第1状態)を維持する。
【0068】
第3状態においては、平均値VBは、次の式(6)で表わされる。
VB=V31+V32+V33+V34
+V35+V36+V37+V38 (6)
なお、電圧値V31〜電圧値V38の各々は、時間T1〜時間T8の各々における車速信号SV2の電圧値を示す。
グラフG3に示すように、電圧値V31〜V38の値は0Vである。よって、第3状態においては、平均値VBは、0(=0/8)Vである。
したがって、比較部143は、平均値VBが基準電圧VA(=0.2V)未満であると判定する。また、設定部144は、平均値VBが基準電圧VA未満であるため、第2入力回路12が車速信号SV1を受け付けるように、セレクタ13を設定する。すなわち、車両200が第2出力回路22を介して車速信号SV1を出力する場合には、設定部144は、車速信号SV1を受け付ける回路を、第1入力回路11から第2入力回路12に変更する。その結果、第2出力回路22と第2入力回路12とが接続され、
図5を参照して説明した第2状態に遷移する。
【0069】
第2状態においては、
図7の中段にグラフG2で示すように、電圧V1Bは、その値が1Vと0Vとを所定の周期PWで繰り返す矩形波である。
図7の中段に示すグラフの縦軸は第2状態において制御部14に入力される電圧V1Bを示す。
【0070】
このようにして、車両200が第1出力回路21を介して車速信号SV1を出力する場合には、第1状態が維持され、車両200が第2出力回路22を介して車速信号SV1を出力する場合には、第3状態から第2状態に遷移される。よって、車両200の出力回路に応じて、入力回路を適正に設定できる。したがって、車両200の出力回路に影響を与えることを抑制できる。
【0071】
本実施形態では、車両200から入力される信号が車速信号SVである場合について説明するが、本発明はこれに限定されない。車両200から入力される信号が、例えば、車両200に搭載されたエンジンの回転数を示す信号でもよい。
【0072】
[4.制御部の処理]
図8〜
図11は、本実施形態に係る制御部14の処理の一例を示すフローチャートである。
なお、以下の説明では、決定部142が、予め所定期間PPを決定している場合について説明する。具体的には、所定期間PPは、車両200が移動を開始したときから車両200が所定距離LAだけ移動するまでの期間に決定されている。
【0073】
図8に示すように、ステップS101において、制御部14は、「回路設定処理」の処理結果があるか否かを判定する。「回路設定処理」は、設定部144が、第1入力回路11又は第2入力回路12を、車速信号SV1を受け付ける回路として設定する処理を示す。「回路設定処理」については、
図9に示すステップS121から
図11に示すステップS173を参照して説明する。
回路設定処理の処理結果があると制御部14が判定した場合(ステップS101;YES)には、処理がステップS105に進む。回路設定処理の処理結果がないと制御部14が判定した場合(ステップS101;NO)には、処理がステップS103に進む。
そして、ステップS103において、制御部14は、回路設定処理が1回目であるか否かを判定する。なお、路設定処理が1回目であるとは、回路設定処理が過去に1回も実行されていないことを示す。
回路設定処理が1回目であると制御部14が判定した場合(ステップS103;YES)には、処理がステップS109に進む。回路設定処理が1回目ではないと制御部14が判定した場合(ステップS103;NO)には、処理がステップS105に進む。
そして、ステップS105において、制御部14は、車速信号SV1を受け付ける回路の設定を変更しないと決定する。
【0074】
次に、ステップS107において、制御部14は、ユーザーから回路設定処理を実行する指示を受け付けたか否かを判定する。ユーザーは、例えば、整備工場等の作業者である。
ユーザーから回路設定処理を実行する指示を受け付けていないと制御部14が判定した場合(ステップS107;NO)には、処理が終了する。ユーザーから回路設定処理を実行する指示を受け付けたと制御部14が判定した場合(ステップS107;YES)には、処理がステップS109に進む。
そして、ステップS109において、制御部14は、車両200にGPS機能が実装されているか否かを判定する。
車両200にGPS機能が実装されていないと制御部14が判定した場合(ステップS109;NO)には、処理が
図11に示すステップS155に進む。車両200にGPS機能が実装されていると制御部14が判定した場合(ステップS109;YES)には、処理が
図9に示すステップS121に進む。
【0075】
そして、
図9に示すように、ステップS121において、制御部14は、GPSを用いた回路設定処理を開始する。また、制御部14は、セレクタ13を、第1端子131と第3端子133とを通電可能に接続させる。すなわち、制御部14は、第1入力回路11が車速信号SV1を受け付けるように設定する。
次に、ステップS123において、検出部141は、GPSによる測位を開始する。
次に、ステップS125において、検出部141は、タイマーに1秒をセットする。
次に、ステップS127において、検出部141は、タイマーを介して1秒が経過したか否かを判定する。
1秒が経過していないと検出部141が判定した場合(ステップS127;NO)には、処理が待機状態になる。1秒が経過したと検出部141が判定した場合(ステップS127;YES)には、処理がステップS129に進む。
次に、ステップS129において、検出部141は、GPSによる測位が可能か否かを判定する。
GPSによる測位が可能ではないと検出部141が判定した場合(ステップS129;NO)には、処理がステップS130に進む。
ステップS130において、検出部141は、第1期間が経過したか否かを判定する。第1期間は、例えば10秒である。
第1期間が経過していないと検出部141が判定した場合(ステップS130;NO)には、処理がステップS129に戻る。第1期間が経過したと検出部141が判定した場合(ステップS130;YES)には、処理が
図11に示すステップS155に進む。
GPSによる測位が可能であると検出部141が判定した場合(ステップS129;YES)には、処理がステップS131に進む。
そして、ステップS131において、検出部141は、GPSによる測位地点の座標Aをメモリー14Aに記憶する。また、制御部14は、ユーザーに対して車両200を所定速度で前進させるように指示する。
具体的には、制御部14は、ディスプレイ15に車両200を所定速度で前進させることを示すガイダンス情報を表示し、スピーカー16から車両200を所定速度で前進させることを示すガイダンス情報を音声出力する。所定速度は、例えば5km/時である。ユーザーは、これらのガイダンス情報に従って、車両200を所定速度で前進させる。
【0076】
次に、ステップS133において、制御部14は、車速信号SV2の取り込みを開始する。また、制御部14は、車速信号SV2の電圧を、電圧記憶部146に記録する。
次に、ステップS135において、制御部14は、タイマーに所定期間PPをセットする。所定期間PPは、例えば10秒である。
次に、ステップS137において、制御部14は、タイマーを介して所定期間PPが経過したか否かを判定する。
所定期間PPが経過していないと制御部14が判定した場合(ステップS137;NO)には、処理が待機状態になる。所定期間PPが経過したと制御部14が判定した場合(ステップS137;YES)には、処理がステップS139に進む。
そして、ステップS139において、検出部141は、GPSによる測位が可能か否かを判定する。また、制御部14は、ディスプレイ15に車両200を停止させることを示すガイダンス情報を表示し、スピーカー16から車両200を停止させることを示すガイダンス情報を音声出力する。ユーザーは、これらのガイダンス情報に従って、車両200を停止させる。
GPSによる測位が可能ではないと検出部141が判定した場合(ステップS139;NO)には、処理が
図11に示すステップS155に進む。GPSによる測位が可能であると検出部141が判定した場合(ステップS139;YES)には、処理がステップS141に進む。
そして、ステップS141において、検出部141は、GPSによる測位地点の座標Bをメモリー14Aに記憶し、処理が
図10のステップS143に進む。
【0077】
次に、
図10に示すステップS143において、検出部141は、座標A及び座標Bに基づき、車両200の移動距離を算出し、車両200の移動距離が閾値以上であるか否かを判定する。閾値は、例えば10mである。
車両200の移動距離が閾値以上ではないと検出部141が判定した場合(ステップS143;NO)には、処理がステップS145に進む。
そして、ステップS145において、制御部14は、回路設定処理を実行できないと判定する。
次に、ステップS147において、制御部14は、回路設定処理を実行できないことをユーザーに通知する。具体的には、制御部14は、ディスプレイ15に回路設定処理を実行できないことを示すガイダンス情報を表示し、スピーカー16から回路設定処理を実行できないことを示すガイダンス情報を音声出力する。その後、処理が終了する。
車両200の移動距離が閾値以上であると検出部141が判定した場合(ステップS143;YES)には、処理がステップS149に進む。
そして、ステップS149において、比較部143は、電圧記憶部146に記憶された車速信号SV2の電圧値に基づき、所定期間PPにおける車速信号SV2の電圧の平均値VBを算出し、平均値VBが基準電圧VA以上であるか否かを判定する。
平均値VBが基準電圧VA以上であると比較部143が判定した場合(ステップS149;YES)には、処理がステップS151に進む。
そして、ステップS151において、設定部144は、第1入力回路11が車速信号SV1を受け付けるように、セレクタ13を設定し、処理が終了する。
平均値VBが基準電圧VA以上ではないと比較部143が判定した場合(ステップS149;NO)には、処理がステップS153に進む。
そして、ステップS153において、設定部144は、第2入力回路12が車速信号SV1を受け付けるように、セレクタ13を設定し、処理が終了する。
【0078】
図8に示すステップS109でNO、
図9に示すステップS130でYES、又は、
図9に示すステップS139でNOの場合には、
図11に示すように、ステップS155において、制御部14は、アクセル開度PAを用いた回路設定処理を開始する。また、制御部14は、セレクタ13を、第1端子131と第3端子133とを通電可能に接続させる。すなわち、制御部14は、第1入力回路11が車速信号SV1を受け付けるように設定する。
次に、ステップS157において、タイマーに所定期間PPをセットする。所定期間PPは、例えば10秒である。また、制御部14は、ユーザーに対して車両200を所定速度で前進させるように指示する。
具体的には、制御部14は、ディスプレイ15に車両200を所定速度で前進させることを示すガイダンス情報を表示し、スピーカー16から車両200を所定速度で前進させることを示すガイダンス情報を音声出力する。所定速度は、例えば5km/時である。ユーザーは、これらのガイダンス情報に従って、車両200を所定速度で前進させる。
次に、ステップS159において、検出部141は、アクセル開度PAが開度閾値PAS以上であるか否かを判定する。開度閾値PASは、例えば5%である。
アクセル開度PAが開度閾値PAS以上ではないと検出部141が判定した場合(ステップS159;NO)には、処理がステップS161に進む。
そして、ステップS161において、制御部14は、回路設定処理を実行できないと判定する。
次に、ステップS163において、制御部14は、回路設定処理を実行できないことをユーザーに通知する。具体的には、制御部14は、ディスプレイ15に回路設定処理を実行できないことを示すガイダンス情報を表示し、スピーカー16から回路設定処理を実行できないことを示すガイダンス情報を音声出力する。その後、処理が終了する。
【0079】
アクセル開度PAが開度閾値PAS以上であると検出部141が判定した場合(ステップS159;NO)には、処理がステップS165に進む。
そして、ステップS165において、車速信号SV2の取り込みを開始する。また、制御部14は、車速信号SV2の電圧を、電圧記憶部146に記録する。
次に、ステップS167において、制御部14は、タイマーを介して所定期間PPが経過したか否かを判定する。
所定期間PPが経過していないと制御部14が判定した場合(ステップS167;NO)には、処理がステップS159に戻る。所定期間PPが経過したと制御部14が判定した場合(ステップS167;YES)には、処理がステップS169に進む。
そして、ステップS169において、比較部143は、電圧記憶部146に記憶された車速信号SV2の電圧値に基づき、所定期間PPにおける車速信号SV2の電圧の平均値VBを算出し、平均値VBが基準電圧VA以上であるか否かを判定する。
平均値VBが基準電圧VA以上であると比較部143が判定した場合(ステップS169;YES)には、処理がステップS171に進む。
そして、ステップS171において、設定部144は、第1入力回路11が車速信号SV1を受け付けるように、セレクタ13を設定し、処理が終了する。
平均値VBが基準電圧VA以上ではないと比較部143が判定した場合(ステップS169;NO)には、処理がステップS173に進む。
そして、ステップS173において、設定部144は、第2入力回路12が車速信号SV1を受け付けるように、セレクタ13を設定し、処理が終了する。
【0080】
[5.入力回路切換装置の構成及び効果]
以上、図面を参照して説明したように、本実施形態に係る入力回路切換装置1は、所定期間PPにおいて車両200から入力される信号(例えば、車速信号SV)の電圧を記憶する電圧記憶部146と、前記信号を受け付ける第1入力回路11と、前記信号を受け付け、第1入力回路11と相違する第2入力回路12と、前記電圧の値と基準電圧VAとを比較する比較部143と、前記電圧の値が基準電圧VA以上である場合には、第1入力回路11が前記信号を受け付け、前記電圧の値が基準電圧VA未満である場合には、第2入力回路12が前記信号を受け付けるように設定する設定部144と、を備える。
この構成によれば、車速信号SV等の車両200から入力される信号の電圧の値に応じて、第1入力回路11又は第2入力回路12が設定されるため、車両200から入力される信号を受け付ける回路として適正な回路を設定する可能性を高め得る。したがって、車両200側の回路に影響を与えることを抑制できる。
【0081】
また、入力回路切換装置1において、設定部144による設定が終了していない場合には、車両200に対する電圧の印加を禁止する禁止部145を備える。
この構成によれば、設定部144による設定が終了していない場合に、車両200に対する電圧の印加が禁止されるため、車両200側の回路に影響を与えることを抑制できる。
【0082】
また、入力回路切換装置1において、車両200から入力される信号は、車両200の車速を示す。
この構成によれば、車速信号SVを受け付ける回路として適正な回路を設定する可能性を高め得る。したがって、車両200側の回路に影響を与えることを抑制できる。
【0083】
また、入力回路切換装置1において、車両200の移動を検出する検出部141と、検出部141の検出結果に基づいて、所定期間PPを、車両200が移動を開始したときから車両200が所定距離LAだけ移動するまでの期間に決定する決定部142と、を備える。
この構成によれば、所定期間PPが、車両200が移動を開始したときから車両200が所定距離LAだけ移動するまでの期間に決定されるため、所定距離LAを適正な距離に設定することによって、所定期間PPを適正な長さに決定できる。
【0084】
また、入力回路切換装置1において、検出部141は、GPSを介して車両200の移動を検出する。
この構成によれば、GPSを介して車両200の移動を検出するため、車速信号SV等の車両200からの信号を用いずに車両200の移動を検出できる。
【0085】
また、入力回路切換装置1において、検出部141は、車両200のアクセル開度PAに基づき、車両200の移動を検出する。
この構成によれば、車両200のアクセル開度PAに基づき車両200の移動を検出するため、車速信号SVを用いずに車両200の移動を検出できる。
【0086】
また、入力回路切換装置1において、車両200は、プッシュプル方式、又はオープンコレクタ方式で前記信号を出力し、第1入力回路11は、プッシュプル方式で前記信号が出力される場合に、前記信号を受け付けるように構成され、第2入力回路12は、オープンコレクタ方式で前記信号が出力される場合に、前記信号を受け付けるように構成される。
この構成によれば、プッシュプル方式で前記信号が出力される場合には、第1入力回路11が前記信号を受け付けるように設定し、プッシュプル方式で前記信号が出力される場合には、第2入力回路12が前記信号を受け付けるように設定すればよい。したがって、プッシュプル方式で前記信号が出力される場合にも、オープンコレクタ方式で前記信号が出力される場合にも、前記信号を適正に受け付けることができる。したがって、車両200側の回路に影響を与えることを抑制できる。
【0087】
本実施形態に係るナビゲーション装置100は、所定期間PPにおいて車両200から入力される信号(例えば、車速信号SV)の電圧を記憶する電圧記憶部146と、前記信号を受け付ける第1入力回路11と、前記信号を受け付け、第1入力回路11と相違する第2入力回路12と、前記電圧の値と、基準電圧VAとを比較する比較部143と、前記電圧の値が基準電圧VA以上である場合には、第1入力回路11が前記信号を受け付け、前記電圧の値が基準電圧VA未満である場合には、第2入力回路12が前記信号を受け付けるように設定する設定部144と、を備える。
この構成によれば、車速信号SV等の車両200から入力される信号の電圧の値に応じて、第1入力回路11又は第2入力回路12が設定されるため、車両200から入力される信号を受け付ける回路として適正な回路を設定する可能性を高め得る。したがって、車両200側の回路に影響を与えることを抑制できる。
【0088】
本実施形態に係る入力回路切換装置1の制御方法は、所定期間PPにおいて車両200から入力される信号(例えば、車速信号SV)の電圧を記憶する電圧記憶部146と、前記信号を受け付ける第1入力回路11と、前記信号を受け付け、第1入力回路11と相違する第2入力回路12と、を備える回路切換装置1の制御方法であって、前記信号の電圧の値と、基準電圧VAとを比較し、前記電圧の値が基準電圧VA以上である場合には、第1入力回路11が前記信号を受け付け、前記電圧の値が基準電圧VA未満である場合には、第2入力回路12が前記信号を受け付けるように設定する。
この構成によれば、車速信号SV等の車両200から入力される信号の電圧の値に応じて、第1入力回路11又は第2入力回路12が設定されるため、車両200から入力される信号を受け付ける回路として適正な回路を設定する可能性を高め得る。したがって、車両200側の回路に影響を与えることを抑制できる。
【0089】
[6.入力回路切換装置の他の実施形態]
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
本実施形態では、車両200から入力される信号が車速信号SVであるである場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。車両200から入力される信号が、例えば、車両200に搭載されたエンジンの回転数を示す信号でもよい。
【0090】
本実施形態では、「車両情報処理装置」がナビゲーション装置100である場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。「車両情報処理装置」が、入力回路切換装置1を備え、車両200の情報を処理する装置であればよい。「車両情報処理装置」は、例えば、デジタルタコグラフ、又はドライブレコーダー等でもよい。
【0091】
また、
図1は、本願発明を理解容易にするために、ナビゲーション装置100及び入力回路切換装置1の機能構成を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、ナビゲーション装置100及び入力回路切換装置1の各々の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素が更に多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0092】
また、
図8〜
図11に記載のフローチャートの処理単位は、制御部14の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。制御部14の処理は、処理内容に応じて、更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、フローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。