【実施例1】
【0019】
以下、本発明の実施例1について
図1〜
図11に基づいて説明する。
本実施例1に係る車両Vは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関(図示略)と車両駆動用の電動機(モータジェネレータ)(図示略)とを駆動源としたハイブリッド自動車である。
【0020】
図1,
図2に示すように、車両Vは、前後に延びる左右1対のサイドシル1と、フロアパネル2と、前後に延びる左右1対のフロアフレーム3と、バッテリユニット10等を備えている。以下、図において、矢印F方向を車体前後方向前方とし、矢印L方向を車幅方向左方とし、矢印U方向を車体上下方向上方として説明する。また、この車両Vは、略左右対称構造である。
【0021】
まず、車両Vの全体構成について説明する。
サイドシル1は、車幅方向外側壁部を構成する断面略ハット状のアウタパネルと、車幅方向内側壁部を構成する断面略ハット状のインナパネルとを備え、両パネルが協働して前後に延びる略矩形状の閉断面を形成している。このサイドシル1の前端側部分には、上下に延びるヒンジピラーが連結され、後端側部分には、上下に延びるリヤピラーが連結されている。尚、この車両Vは、フロントドアが前端部分に形成されたヒンジピラーのヒンジ中心に開閉され、リヤドアが後端部分に形成されたリヤピラーのヒンジ中心に開閉される、所謂観音開きタイプのドア構造であり、センターピラーが省略されている。
【0022】
フロアパネル2は、1対のサイドシル1の間に掛け渡されるようにフルフラット状に形成され、車室内に膨出するトンネル部は形成されていない。
図1,
図2,
図8に示すように、このフロアパネル2は、前席乗員用シート(図示略)が搭載されるフロントパネル2aと、このフロントパネル2aの後端から後方上り傾斜状に上方に起立したキックアップパネル2cを介して後方に連なり後席乗員用シート(図示略)が搭載されるリヤパネル2bとを備えている。尚、前席右側シートがドライバシートとされている。
【0023】
1対のフロアフレーム3は、断面略ハット状に夫々形成され、これら1対のフロアフレーム3の間隔が後側程離隔している。それ故、サイドシル1と隣り合うフロアフレーム3との間隔は、後側程接近している。フロアフレーム3は、フロントパネル2aの下面と協働して前後に延びる断面略矩形状の閉断面を形成している。リヤサスペンション4は、キックアップパネル2cの後方で且つリヤパネル2bの下方に配設されている。このサスペンション4は、後端部に車輪(図示略)を回転可能に支持する左右1対のトレーリングアーム4aと、車幅方向両端部が1対のトレーリングアーム4aに夫々連結された左右に延びるトーションビーム4bを備えたトーションビーム式サスペンションである。
【0024】
次に、バッテリユニット10について説明する。
図1〜
図3に示すように、バッテリユニット10は、フロアパネル2の下方空間にレイアウトされている。このバッテリユニット10は、複数(例えば、16個)のバッテリモジュール11と、これら複数のバッテリモジュール11を収容するバッテリケース12によって構成されている。車両駆動用電動機に電力を供給するバッテリモジュール11は、規格電圧を有する直方体形状の複数のバッテリセル11a(
図8参照)を前後に積層状に整列させた直方体形状のバッテリ集合体に形成されている。バッテリセル11aは、例えば、2次電池の一種であるリチウムイオンバッテリである。
複数のバッテリモジュール11は、縦、横及び高さ寸法を含めて同一仕様に設定され、長手方向が前後方向と平行になる姿勢でバッテリケース12に夫々収容されている。
このバッテリモジュール11の重量は、例えば、約14kgであり、バッテリユニット10の総重量は、例えば、約300kgである。
【0025】
バッテリケース12は、バッテリモジュール11を直列接続した高電圧バッテリを収容するため、耐振性及び耐水性を確保するように構成されている。
図3に示すように、バッテリケース12は、左右1対のサイドフレーム21と、左右に延びて1対のサイドフレーム21の前端部を連結するフロントフレーム22と、左右に延びて1対のサイドフレーム21の後端部を連結するリヤフレーム23と、各フレーム21〜23に支持されると共にバッテリケース12の底部を形成する桶状のバッテリトレイ24と、このバッテリトレイ24と協働して複数のバッテリモジュール11を収容可能な密閉空間を形成する合成樹脂製のカバー部材25等を備えている。サイドフレーム21の左右方向の曲げ剛性は、フロアフレーム3の左右方向の曲げ剛性よりも低くなるように設定されている。
【0026】
各フレーム21〜23は、略L字状のロアパネルと略L字状のアッパパネルが協働して略矩形状の閉断面を夫々構成している(
図7参照)。各フレーム21〜23が形成した閉断面は、環状に連なり、略ロ字状の閉断面構造体を構成している。
各フレーム21〜23は、取付部26〜29により車体に対して取り付けられている。
左右4対の取付部26及び左右1対の取付部27は、1対のサイドフレーム21のロアパネルから車幅方向外側に夫々延びている。これらの取付部26,27は、フロアフレーム3の下壁部にボルトbを介して夫々締結固定されている。左右1対の取付部28は、フロントフレーム22のロアパネルから前側に夫々延びている。これら取付部28は、フロントパネル2aの前側部分下面にボルトbを介して締結固定されている。取付部29は、リヤフレーム23のロアパネル中央部から上方に延び、上端部が、リヤパネル2bと協働して左右に延びる閉断面を形成するクロスメンバ(図示略)にボルトbを介して締結固定されている。
【0027】
図3〜
図5に示すように、バッテリトレイ24は、各フレーム21〜23の上壁部に載置された状態で強固に溶接固定されている。バッテリトレイ24とバッテリモジュール11との間には、冷却用配管(図示略)を間に介して板状のゴム部材(図示略)が配設されている。これにより、バッテリトレイ24とバッテリモジュール11との間隔が、相対変位可能に構成されている。
【0028】
バッテリトレイ24は、断面略ハット状の第1〜第3クロスフレーム31〜33によってバッテリモジュール11を収容する第1〜第3収容領域(バッテリ収容領域)S1〜S3を区分している。第3,第1クロスフレーム33,31が、フロントパネル2aの前部下方(前席乗員用シート)に対応した第1収容領域S1の前後範囲を区画し、第1,第2クロスフレーム31,32が、フロントパネル2aの後部下方に対応した第2収容領域S2の前後範囲を区画し、第2クロスフレーム32とリヤフレーム23が、キックアップパネル2c及びリヤパネル2bの下方に対応した第3収容領域S3の前後範囲を区画している。第1,第2収容領域S1,S2は、4個のバッテリモジュール11を左右に整列させて単層状態で夫々収容している。
【0029】
第3収容領域S3は、2段支持機構40を有し、4個のバッテリモジュール11を左右に整列すると共にこれらのバッテリモジュール11の上側に4個のバッテリモジュール11を左右に整列させた2層状態で8個のバッテリモジュール11を収容している。
図4〜
図6に示すように、2段支持機構40は、略π状の前支持部41と、略π状の後支持部42と、前支持部41の左右端部と後支持部42の左右端部とを夫々連結する左右1対の略T字状の側支持部43と、各支持部41〜43に掛け渡された底板部材44等を備え、上段の4個のバッテリモジュール11を支持している。前支持部41の左右1対の脚部は、第2クロスフレーム32の上壁部に締結固定され、後支持部42の左右1対の脚部は、リヤフレーム23の上壁部に締結固定されている。1対の側支持部43の脚部は、バッテリトレイ24上に締結固定されている。
【0030】
第1〜第3クロスフレーム31〜33は、バッテリトレイ24の上側にバッテリトレイ24と協働して左右に延びる閉断面を夫々形成している。これら第1〜第3クロスフレーム31〜33は、サイドフレーム21と略同じ左右方向の曲げ剛性になるよう構成され、前後方向に略等間隔になるように配設されている。
【0031】
図4〜
図6に示すように、第1クロスフレーム31は、上壁部の左右両端部から車幅方向外側に夫々延びる上壁連結部31aと、前壁部及び後壁部の左右両端部から前方及び後方に夫々延びる前後1対の側壁連結部31bとが形成されている。上壁連結部31aは、サイドフレーム21の上壁部に接続され、1対の側壁連結部31bは、サイドフレーム21の内側壁部に夫々接続されている。これら上壁連結部31aと1対の側壁連結部31bは、一体的に連なるように連続形成されている。第3クロスフレーム33は、上壁部の左右両端部から車幅方向外側に夫々延びる上壁連結部33aと、前壁部及び後壁部の左右両端部から前方及び後方に夫々延びる前後1対の側壁連結部33bとが形成されている。上壁連結部33aは、サイドフレーム21の上壁部に接続され、1対の側壁連結部33bは、サイドフレーム21の内側壁部に夫々接続されている。これら上壁連結部33aと1対の側壁連結部33bは、独立して分離形成されている。
【0032】
第2クロスフレーム32は、上壁部の左右両端部から車幅方向外側に夫々延びる上壁連結部32aと、前壁部及び後壁部の左右両端部から前方及び後方に夫々延びる前後1対の側壁連結部32bとが形成されている。上壁連結部32aは、サイドフレーム21の上壁部に接続され、1対の側壁連結部32bは、サイドフレーム21の内側壁部に夫々接続されている。これら上壁連結部33aと1対の側壁連結部33bは、一体的に連なるように連続形成されている。
図1,
図6〜
図8に示すように、バッテリトレイ24の下面に左右に延びる下側クロスフレーム34が設けられている。下側クロスフレーム34は、バッテリトレイ24の下側にバッテリトレイ24と協働して左右に延びる閉断面を夫々形成している。下側クロスフレーム34が形成する閉断面は、第2クロスフレーム32が形成する閉断面とバッテリトレイ24を挟んで上下に隣接している。
【0033】
各バッテリモジュール11は、板金製の前後1対の取付ブラケット51〜53を介して第1〜第3クロスフレーム31〜33及びリヤフレーム23に夫々取り付けられている。
取付ブラケット51〜53の左右方向の曲げ剛性は、バッテリトレイ24の左右方向の曲げ剛性よりも高く且つ第1〜第3クロスフレーム31〜33の左右方向の曲げ剛性よりも低くなるように設定されている。
【0034】
図9に示すように、取付ブラケット51〜53は、上下に延びてバッテリモジュール11に連結される連結壁部51a〜53aと、前後に延びて締結部材を介して締結される固定壁部51b〜53bとを備え、断面略L字状に形成されている。バッテリモジュール11の前側に取り付けられる取付ブラケットの連結壁部51a,53aが、左右に隣り合う2つのバッテリモジュール11の前壁部に4本のボルトを介して夫々連結され、バッテリモジュール11の後側に取り付けられる取付ブラケットの連結壁部52a,53aが、左右に隣り合う2つのバッテリモジュール11の後壁部に4本のボルトを介して夫々連結される。また、
図8に示すように、取付ブラケットの連結壁部51a〜53aは、バッテリモジュール11の重心の高さ位置が第1〜第3クロスフレーム31〜33及びリヤフレーム23の上壁部の高さ位置と略同じ高さ位置になるようにバッテリモジュール11に連結されている。
【0035】
第1収容領域S1には、第3クロスフレーム33に固定された左右1対の第1取付ブラケット51と、第1クロスフレーム31に固定された左右1対の第2取付ブラケット52とが配置されている。
図9(a)に示すように、第1取付ブラケット51は、例えば、1.6mmの鋼板をプレス加工して成形され、連結壁部51aと、固定壁部51bとを備えている。固定壁部51bは、左側端部に前方(屈曲部と反対方向)に延びる締結部51sが形成され、固定壁部51bの中央部と左側端部との中間よりも僅かに中央部寄り部分に前方に延びる位置決め部51pが形成され、固定壁部51bの中央部に対して位置決め部51pと対称部分に前方に延びる締結部51tが形成されている。固定壁部51bは、固定壁部51bから前方に延設され、締結部51sと締結部51tがボルトを介して第3クロスフレーム33の上壁部に固定されている。尚、左側第1取付ブラケット51では、車幅方向外側の締結部51sにて位置決めし、車幅方向内側の位置決め部51pにて締結固定している(
図4参照)。
【0036】
図9(b)に示すように、第2取付ブラケット52は、例えば、1.6mmの鋼板をプレス加工して成形され、連結壁部52aと、固定壁部52bとを備えている。固定壁部52bは、右側端部に後方に延びる締結部52sが形成され、左側端部に後方に延びる締結部52tが形成され、固定壁部52bの中央部分に後方に延びる締結部52uが形成され、締結部52sと締結部52uとの中央部分に後方に延びる位置決め部52pが形成されている。固定壁部52bは、屈曲部から後方に延設され、締結部52sと締結部52tと締結部52uがボルトを介して第1クロスフレーム31の上壁部に固定されている。
【0037】
第2収容領域S2には、第1クロスフレーム31に固定された左右1対の第3取付ブラケット53と、第2クロスフレーム32に固定された左右1対の第3取付ブラケット53とが配置されている。
図9(c)に示すように、第1クロスフレーム31に固定された右側の第3取付ブラケット53は、例えば、2.0mmの鋼板をプレス加工して成形され、連結壁部53aと、固定壁部53bとを備えている。固定壁部53bは、左側端部に前方に延びる位置決め部53pが形成され、固定壁部53bの中央部と左側端部との中央部分に前方に延びる締結部53sが形成され、左側端部に前方に延びる締結部53tが形成されている。固定壁部53bは、屈曲部から前方に延設されている。第1クロスフレーム31に固定された左側の第3取付ブラケット53及び第2クロスフレーム32に固定された左右1対の第3取付ブラケット53も配置位置を除き同様に構成されている。
【0038】
第3収容領域S3の下段には、第2クロスフレーム32に固定された左右1対の第3取付ブラケット53と、リヤフレーム23に固定された左右1対の第3取付ブラケット53とが第2収容領域S2と同様に配置されている。更に、第3収容領域S3の上段には、前支持部41に固定された左右1対の第3取付ブラケット53と、後支持部42に固定された左右1対の第3取付ブラケット53とが下段と同様に配置されている。
第1〜第3取付ブラケット51〜53は、板厚、締結部位置、及び位置決め部位置を除いて略同様の仕様に設定されている。
【0039】
ここで、走行騒音に関して、フロアフレーム3の左右方向の曲げ剛性に対するモジュール支持部材の左右方向の曲げ剛性の比(以下、車幅方向剛性比という)と車体振動との関係について説明する。本発明者は、車両Vに係る評価モデルを作成した上で、車幅方向剛性比を変化させながら基準騒音レベルに対する走行騒音についてCAE解析を行った。
【0040】
モジュール支持部材は、バッテリモジュール11を支持すると共にその荷重をサイドフレーム21を介してフロアフレーム3に伝達する機構である。本実施形態では、第3クロスフレーム33の左右方向の曲げ剛性とサイドフレーム21の左右方向の曲げ剛性が略等しいため、第1取付ブラケット51がモジュール支持部材に相当している。また、フロアフレーム3のうち、解析対象(荷重伝達に寄与する)部分は、バッテリケース12が締結固定される領域、つまり、最も前側に位置する取付部26から取付部27に対応した部分である。そして、モジュール支持部材の左右方向の曲げ剛性は、第1取付ブラケット51の左右方向の曲げ剛性であるため、第1取付ブラケット51の左右方向の曲げ剛性をフロアフレーム3の該当部分における左右方向の曲げ剛性で除算して車幅方向剛性比を求める。車体振動は、フロアパネル2の変位から算出した等価放射エネルギの平均値と見做している。
【0041】
解析結果を
図10に示す。横軸は、車幅方向剛性比、縦軸は、車体振動である。
図10に示すように、車幅方向剛性比が0.1以上の領域で車体振動が抑制されている。
これは、フロアフレーム3にバッテリケース12(バッテリモジュール11の合計)の重量が作用してフロアフレーム3の左右方向の振動振幅が抑制されることに加え、一方のフロアフレーム3の左右方向の変位をモジュール支持部材(第1取付ブラケット51及び第3クロスフレーム33)が媒体となって他方のフロアフレーム3に伝達するため、1対のフロアフレーム3の左右方向の変位が同調し、フロアパネル2による面外方向の変形が抑制されたことが要因と考えられる。
【0042】
また、車幅方向剛性比が0.5を超える領域では車体振動が収束している。
これは、フロアパネル2の面外変形以外に起因した車体振動と推測される。即ち、車幅方向剛性比が0.5を超える領域では、モジュール支持部材の剛性を高くしても、車体振動抑制の効果を得ることは難しいことを示している。
【0043】
以上のことから、本実施形態においては、モジュール支持部材である第1〜第3ブラケット51〜53の左右方向の曲げ剛性が、フロアフレーム3の左右方向の曲げ剛性に対して0.1以上0.5以下になるように板厚、材質、形状が夫々構成されている。
【0044】
次に、上記バッテリユニット取付構造の作用、効果について説明する。
作用、効果の説明に当り、CAE(Computer Aided Engineering)によるシミュレーション解析を行った。バッテリユニットを搭載していない車両モデルA(評価基準モデル)と、本実施例の車両モデルCとを作成し、モデルA,Cについて各周波数帯域における車体振動を夫々算出した。尚、車両モデルAと車両モデルCは、バッテリユニットを除いて略同一仕様である。また、車体振動の評価指標として、放射される音響パワーに対応する等価放射エネルギ(ERP:Equivalent Radiation Energy)を各々のモデルの各節点の変位から算出している。
【0045】
図11に、解析結果を示す。横軸は、周波数、縦軸は、車体振動を示している。尚、(a)は、フロアパネル前部領域、(b)は、フロアパネル中部領域、(c)は、フロアパネル後部領域の振動特性を示している。
図11(a)〜
図11(c)に示すように、一点鎖線で示すモデルCは、フロアパネルの略全域において、一部を除き実線で示すモデルAよりも改善されたことが確認された。特に、モデルCは、ロードノイズの原因となる約200〜400Hzの周波数帯域において、フロアパネル前部の車体振動を確実に抑えることができ、ロードノイズ性能を格段に向上している。尚、本実施形態において、20〜50Hzの低周波音をドラミングノイズ、100〜400Hzの中周波音をロードノイズとしている。
【0046】
実施例1に係るバッテリユニット取付構造によれば、バッテリユニット10が、バッテリモジュール11と、バッテリモジュール11を収容すると共に1対のフロアフレーム3に取り付けられるバッテリケース12を有するため、バッテリモジュール11をバッテリケース12を介して車体に対して強固に連結することができる。フロアフレーム3の左右方向の曲げ剛性に対するバッテリケース12の左右方向の曲げ剛性の剛性比を0.1以上に設定したため、バッテリケース12を介して一方のフロアフレーム3の左右方向の変位を他方のフロアフレーム3に伝達することにより1対のフロアフレーム3の左右方向の挙動を同期させることができ、フロアパネル2の面外変形を抑制してロードノイズを低減することができる。
【0047】
バッテリケース12が、前後方向に延びて1対のフロアフレーム3に取り付けられる左右1対のサイドフレーム21と、左右方向に延びて1対のサイドフレーム21を連結する前後1対の第3,第1クロスフレーム33,31と、バッテリモジュール11の前端部及び後端部を支持する前後1対の第1,第2ブラケット51,52とを有し、第3,第1クロスフレーム33,31の左右方向の曲げ剛性が第1,第2ブラケット51,52の左右方向の曲げ剛性よりも高く設定され且つサイドフレーム3の左右方向の曲げ剛性に対する第1,第2ブラケット51,52の左右方向の曲げ剛性の剛性比を0.1以上に設定している。これにより、バッテリトレイ24の剛性に拘りなくバッテリケース12の左右方向の曲げ剛性を設定することができ、バッテリユニット10の軽量化を図ることができる。
【0048】
モジュール支持部材が、上下方向に延びてバッテリモジュール11に連結される連結壁部51aと、連結壁部51aの下端部からバッテリモジュール11と反対方向に延びる固壁定部51bとを備えた第1取付ブラケット51を有するため、連結壁部51aと固壁定部51bとが形成する屈曲部によってモジュール支持部材の左右方向の曲げ剛性を高くすることができる。
【0049】
バッテリケース12が、バッテリモジュール11の下側を覆うバッテリトレイ24を有し、バッテリトレイ24の左右方向の曲げ剛性が第1取付ブラケット51の左右方向の曲げ剛性よりも低く設定されたため、フロアフレーム3の左右方向の曲げ剛性に対する第1取付ブラケット51の左右方向の曲げ剛性の剛性比を容易に設定することができる。
【0050】
第1取付ブラケット51が、左右方向に隣り合う複数のバッテリモジュール11を支持するため、複数のバッテリモジュール11を支持する取付ブラケットを一体化することができ、一層モジュール支持部材の左右方向の曲げ剛性を高くすることができる。
フロアフレーム3の左右方向の曲げ剛性に対するモジュール支持部材の左右方向の曲げ剛性の剛性比を0.5以下に設定したため、最小限の重量増加でロードノイズを低減することができる。
【0051】
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、第1〜第3収容領域S1〜S3と第1〜第3クロスフレーム31〜33とを設けたバッテリケース12の例を説明したが、少なくともモジュール支持部材の各々の左右方向の曲げ剛性が、フロアフレーム3の左右方向の曲げ剛性に対して0.1以上0.5以下に設定されれば良く、単一の収容領域と単一のクロスフレームとを備えたバッテリケース12であっても良い。
【0052】
2〕前記実施形態においては、3種類の第1〜第3取付ブラケット51〜53の例を説明したが、単一の取付ブラケットでも良い。また、単一のクロスフレームに左右1対の取付ブラケットを設けた例を説明したが、単一のクロスフレームに1或いは3以上の取付ブラケットを設けても良く、また、単一の取付ブラケットに1或いは3以上のバッテリモジュールを取り付けても良い。
【0053】
3〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態や各実施形態を組み合わせた形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。