【実施例1】
【0020】
以下、本発明の実施例1について
図1〜
図11に基づいて説明する。
本実施例1に係る車両Vは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関(図示略)と車両駆動用の電動機(モータジェネレータ)(図示略)とを駆動源としたハイブリッド自動車である。
【0021】
図1,
図2に示すように、車両Vは、前後に延びる左右1対のサイドシル1と、フロアパネル2と、前後に延びる左右1対のフロアフレーム3と、バッテリユニット10等を備えている。以下、図において、矢印F方向を車体前後方向前方とし、矢印L方向を車幅方向左方とし、矢印U方向を車体上下方向上方として説明する。また、この車両Vは、略左右対称構造である。
【0022】
まず、車両Vの全体構成について説明する。
サイドシル1は、車幅方向外側壁部を構成する断面略ハット状のアウタパネルと、車幅方向内側壁部を構成する断面略ハット状のインナパネルとを備え、両パネルが協働して前後に延びる略矩形状の閉断面を形成している。このサイドシル1の前端側部分には、上下に延びるヒンジピラーが連結され、後端側部分には、上下に延びるリヤピラーが連結されている。尚、この車両Vは、フロントドアが前端部分に形成されたヒンジピラーのヒンジ中心に開閉され、リヤドアが後端部分に形成されたリヤピラーのヒンジ中心に開閉される、所謂観音開きタイプのドア構造であり、センターピラーが省略されている。
【0023】
フロアパネル2は、1対のサイドシル1の間に掛け渡されるようにフルフラット状に形成され、車室内に膨出するトンネル部は形成されていない。
図1,
図2,
図8に示すように、このフロアパネル2は、前席乗員用シート(図示略)が搭載されるフロントパネル2aと、このフロントパネル2aの後端から後方上り傾斜状に上方に起立したキックアップパネル2cを介して後方に連なり後席乗員用シート(図示略)が搭載されるリヤパネル2bとを備えている。
【0024】
1対のフロアフレーム3は、断面略ハット状に夫々形成され、これら1対のフロアフレーム3の間隔が後側程離隔している。それ故、サイドシル1と隣り合うフロアフレーム3との間隔は、後側程接近している。フロアフレーム3は、フロントパネル2aの下面と協働して前後に延びる断面略矩形状の閉断面を形成している。リヤサスペンション4は、キックアップパネル2cの後方で且つリヤパネル2bの下方に配設されている。このサスペンション4は、後端部に車輪(図示略)を回転可能に支持する左右1対のトレーリングアーム4aと、車幅方向両端部が1対のトレーリングアーム4aに夫々連結された左右に延びるトーションビーム4bを備えたトーションビーム式サスペンションである。
【0025】
次に、バッテリユニット10について説明する。
図1,
図2に示すように、バッテリユニット10は、フロアパネル2の下方空間にレイアウトされている。
図3に示すように、このバッテリユニット10は、複数(例えば、16個)のバッテリモジュール11と、これら複数のバッテリモジュール11を収容するバッテリケース12によって構成されている。車両駆動用電動機に電力を供給するバッテリモジュール11は、規格電圧を有する直方体形状の複数のバッテリセル11a(
図8参照)を前後に積層状に整列させた直方体形状のバッテリ集合体に形成されている。このバッテリモジュール11は、平面視にて矩形形状に形成されている。バッテリセル11aは、例えば、2次電池の一種であるリチウムイオンバッテリである。
【0026】
複数のバッテリモジュール11は、平面視による矩形形状の長手方向寸法である縦寸法と、矩形形状の長手方向に直交する寸法である横寸法と、縦寸法及び横寸法に直交すると共に上下寸法である高さ寸法とが同一仕様、つまり同一形状に設定され、長手方向が前後方向と平行になる姿勢でバッテリケース12に夫々収容されている。
このバッテリモジュール11の重量は、例えば、約14kgであり、バッテリユニット10の総重量は、例えば、約300kgである。
【0027】
バッテリケース12は、バッテリモジュール11を直列接続した高電圧バッテリを収容するため、耐振性及び耐水性を確保するように構成されている。
図3に示すように、バッテリケース12は、左右1対のサイドフレーム21と、左右に延びて1対のサイドフレーム21の前端部を連結するフロントフレーム22と、左右に延びて1対のサイドフレーム21の後端部を連結するリヤフレーム23と、各フレーム21〜23に支持されると共にバッテリケース12の底部を形成する桶状のバッテリトレイ24と、このバッテリトレイ24と協働して複数のバッテリモジュール11を収容可能な密閉空間を形成する合成樹脂製のカバー部材25等を備えている。
【0028】
各フレーム21〜23は、略L字状のロアパネルと略L字状のアッパパネルが協働して略矩形状の閉断面を夫々構成している(
図7参照)。各フレーム21〜23が形成した閉断面は、環状に連なり、略ロ字状の閉断面構造体を構成している。
各フレーム21〜23は、取付部26〜29により車体に対して取り付けられている。
左右4対の取付部26及び左右1対の取付部27は、1対のサイドフレーム21のロアパネルから車幅方向外側に夫々延びている。これらの取付部26,27は、フロアフレーム3の下壁部にボルトbを介して夫々締結固定されている。左右1対の取付部28は、フロントフレーム22のロアパネルから前側に夫々延びている。これら取付部28は、フロントパネル2aの前側部分下面にボルトbを介して締結固定されている。取付部29は、リヤフレーム23のロアパネル中央部から上方に延び、上端部が、リヤパネル2bと協働して左右に延びる閉断面を形成するクロスメンバ(図示略)にボルトbを介して締結固定されている。
【0029】
図3〜
図5に示すように、バッテリトレイ24は、各フレーム21〜23の上壁部に載置された状態で強固に溶接固定されている。バッテリトレイ24とバッテリモジュール11との間には、冷却用配管(図示略)を間に介して板状のゴム部材(図示略)が配設されている。これにより、バッテリトレイ24とバッテリモジュール11との間隔が、相対変位可能に構成されている。
【0030】
バッテリトレイ24は、断面略ハット状の第1〜第3クロスフレーム31〜33によってバッテリモジュール11を収容する第1〜第3収容領域(バッテリ収容領域)S1〜S3を区分している。第3,第1クロスフレーム33,31が、フロントパネル2aの前部(前席乗員用シート)下方に対応した第1収容領域S1の前後範囲を区画し、第1,第2クロスフレーム31,32が、フロントパネル2aの後部下方に対応した第2収容領域S2の前後範囲を区画し、第2クロスフレーム32とリヤフレーム23が、キックアップパネル2c及びリヤパネル2bの下方に対応した第3収容領域S3の前後範囲を区画している。第1,第2収容領域S1,S2は、各列に4個のバッテリモジュール11を左右に隣接して整列させた上で単層状態にて夫々収容している。
【0031】
第3収容領域S3は、2段支持機構40を有し、下段の列に4個のバッテリモジュール11を左右に隣接して整列すると共にこれらの上段の列に4個のバッテリモジュール11を左右に隣接して整列させた2層状態にて8個のバッテリモジュール11を収容している。
図4〜
図6に示すように、2段支持機構40は、略π状の前支持部41と、略π状の後支持部42と、前支持部41の左右端部と後支持部42の左右端部とを夫々連結する左右1対の略T字状の側支持部43と、各支持部41〜43に掛け渡された底板部材44等を備え、上段の4個のバッテリモジュール11を支持している。前支持部41の左右1対の脚部は、第2クロスフレーム32の上壁部に締結固定され、後支持部42の左右1対の脚部は、リヤフレーム23の上壁部に締結固定されている。1対の側支持部43の脚部は、バッテリトレイ24上に締結固定されている。
【0032】
第1〜第3クロスフレーム31〜33は、バッテリトレイ24の上側にバッテリトレイ24と協働して左右に延びる閉断面を夫々形成している。
図4〜
図6に示すように、第1クロスフレーム31は、上壁部の左右両端部から車幅方向外側に夫々延びる上壁連結部31aと、前壁部及び後壁部の左右両端部から前方及び後方に夫々延びる前後1対の側壁連結部31bとが形成されている。上壁連結部31aは、サイドフレーム21の上壁部に接続され、1対の側壁連結部31bは、サイドフレーム21の内側壁部に夫々接続されている。これら上壁連結部31aと1対の側壁連結部31bは、一体的に連なるように連続形成されている。第3クロスフレーム33は、上壁部の左右両端部から車幅方向外側に夫々延びる上壁連結部33aと、前壁部及び後壁部の左右両端部から前方及び後方に夫々延びる前後1対の側壁連結部33bとが形成されている。上壁連結部33aは、サイドフレーム21の上壁部に接続され、1対の側壁連結部33bは、サイドフレーム21の内側壁部に夫々接続されている。これら上壁連結部33aと1対の側壁連結部33bは、独立して分離形成されている。
【0033】
第2クロスフレーム32は、上壁部の左右両端部から車幅方向外側に夫々延びる上壁連結部32aと、前壁部及び後壁部の左右両端部から前方及び後方に夫々延びる前後1対の側壁連結部32bとが形成されている。上壁連結部32aは、サイドフレーム21の上壁部に接続され、1対の側壁連結部32bは、サイドフレーム21の内側壁部に夫々接続されている。これら上壁連結部33aと1対の側壁連結部33bは、一体的に連なるように連続形成されている。
図1,
図6〜
図8に示すように、バッテリトレイ24の下面に左右に延びる下側クロスフレーム34が設けられている。下側クロスフレーム34は、バッテリトレイ24の下側にバッテリトレイ24と協働して左右に延びる閉断面を夫々形成している。下側クロスフレーム34が形成する閉断面は、第2クロスフレーム32が形成する閉断面とバッテリトレイ24を挟んで上下に隣接している。
【0034】
各バッテリモジュール11は、板金製の前後1対の取付ブラケット51〜53を介して第1〜第3クロスフレーム31〜33及びリヤフレーム23に夫々取り付けられている。
図9に示すように、取付ブラケット51〜53は、上下に延びてバッテリモジュール11に連結される連結壁部51a〜53aと、前後に延びて締結部材を介して締結される固定壁部51b〜53bとを備え、断面略L字状に形成されている。前側に取り付けられる取付ブラケットの連結壁部51a,53aが、左右に隣り合う2つのバッテリモジュール11の前壁部に4本のボルトを介して夫々連結され、後側に取り付けられる取付ブラケットの連結壁部52a,53aが、左右に隣り合う2つのバッテリモジュール11の後壁部に4本のボルトを介して夫々連結される。また、
図8に示すように、取付ブラケットの連結壁部51a〜53aは、バッテリモジュール11の重心の高さ位置が第1〜第3クロスフレーム31〜33及びリヤフレーム23の上壁部の高さ位置と略同じ高さ位置になるようにバッテリモジュール11に連結されている。
【0035】
第1収容領域S1には、第3クロスフレーム33に固定された左右1対の第1取付ブラケット51と、第1クロスフレーム31に固定された左右1対の第2取付ブラケット52とが配置されている。
図9(a)に示すように、第1取付ブラケット51は、例えば、1.6mmの鋼板をプレス加工して成形され、連結壁部51aと、固定壁部51bとを備えている。固定壁部51bは、左側端部に前方(屈曲部と反対方向)に延びる締結部51sが形成され、固定壁部51bの中央部と左側端部との中間よりも僅かに中央部寄り部分に前方に延びる位置決め部51pが形成され、固定壁部51bの中央部に対して位置決め部51pと対称部分に前方に延びる締結部51tが形成されている。固定壁部51bは、固定壁部51bから前方に延設され、締結部51sと締結部51tがボルトを介して第3クロスフレーム33の上壁部に固定されている。尚、左側第1取付ブラケット51では、車幅方向外側の締結部51sにて位置決めし、車幅方向内側の位置決め部51pにて締結固定している(
図4参照)。
【0036】
図9(b)に示すように、第2取付ブラケット52は、例えば、1.6mmの鋼板をプレス加工して成形され、連結壁部52aと、固定壁部52bとを備えている。固定壁部52bは、右側端部に後方に延びる締結部52sが形成され、左側端部に後方に延びる締結部52tが形成され、固定壁部52bの中央部分に後方に延びる締結部52uが形成され、締結部52sと締結部52uとの中央部分に後方に延びる位置決め部52pが形成されている。左端部から締結部51sまでの距離が、右端部から締結部52sまでの距離及び左端部から締結部52tまでの距離と略同じであり、左端部から締結部51pまでの距離が、右端部から締結部52pまでの距離よりも大きく設定されている。固定壁部52bは、屈曲部から後方に延設され、締結部52sと締結部52tと締結部52uがボルトを介して第1クロスフレーム31の上壁部に固定されている。
【0037】
第2収容領域S2には、第1クロスフレーム31に固定された左右1対の第3取付ブラケット53と、第2クロスフレーム32に固定された左右1対の第3取付ブラケット53とが配置されている。
図9(c)に示すように、第1クロスフレーム31に固定された右側の第3取付ブラケット53は、例えば、2.0mmの鋼板をプレス加工して成形され、連結壁部53aと、固定壁部53bとを備えている。固定壁部53bは、左側端部に前方に延びる位置決め部53pが形成され、固定壁部53bの中央部と左側端部との中央部分に前方に延びる締結部53sが形成され、左側端部に前方に延びる締結部53tが形成されている。固定壁部53bは、屈曲部から前方に延設されている。右端部から締結部52sまでの距離は、左端部から位置決め部53pまでの距離と略同じであり、右端部から締結部52pまでの距離は、左端部から締結部53sまでの距離と略同じである。第1クロスフレーム31に固定された左側の第3取付ブラケット53及び第2クロスフレーム32に固定された左右1対の第3取付ブラケット53も配置位置を除き同様に構成されている。
【0038】
第3収容領域S3の下段には、第2クロスフレーム32に固定された左右1対の第3取付ブラケット53と、リヤフレーム23に固定された左右1対の第3取付ブラケット53とが第2収容領域S2と同様に配置されている。更に、第3収容領域S3の上段には、前支持部41に固定された左右1対の第3取付ブラケット53と、後支持部42に固定された左右1対の第3取付ブラケット53とが下段と同様に配置されている。
第1〜第3取付ブラケット51〜53は、板厚、締結部位置、及び位置決め部位置を除いて略同様の仕様に設定されている。
【0039】
第2,第3収容領域S2,S3に収容された12個のバッテリモジュール11は、6組の前後1対の第3取付ブラケット53によってクロスフレーム31,32及びリヤフレーム23に取り付けられているため、全て同じ取付剛性である。
一方、第1収容領域S1に収容された4個のバッテリモジュール11は、2組の前後1対の第1,第2取付ブラケット51,52によってクロスフレーム33,31に取り付けられている。そして、第1,第2取付ブラケット51,52は、第3取付ブラケット53と板厚、締結部位置(固定形態)が異なっているため、第1収容領域S1に収容されたバッテリモジュール11の固有振動数は、第2,第3収容領域S2,S3に収容されたバッテリモジュール11の固有振動数と異なる。これにより、全てのバッテリモジュール11が車幅方向、前後方向及び高さ方向において同一姿勢でバッテリケース12に夫々収容された場合であっても、バッテリユニット10と中周波帯域の車体振動との共振を抑制している。
【0040】
次に、上記バッテリユニット取付構造の作用、効果について説明する。
作用、効果の説明に当り、CAE(Computer Aided Engineering)によるシミュレーション解析を行った。第1〜第3収容領域S1〜S3に収容された全てのバッテリモジュール11を第3取付ブラケット53を用いて取り付けた車両モデルA(評価基準モデル)と、本実施例の車両モデルBとを作成し、125Hzの周波数帯域における車室内の騒音レベル(ノイズ)について測定を行った。尚、検証の簡略化のため、車両モデルBは、第1収容領域S1に収容されたバッテリモジュール11を第2取付ブラケット52を用いて取り付けると共に第2,第3収容領域S2,S3に収容されたバッテリモジュール11を第3取付ブラケット53を用いて取り付けたモデルとしている。また、取付ブラケット以外は、車両モデルAと車両モデルBは、同じ構成である。
【0041】
図10に、解析結果を示す。
図10に示すように、車両モデルAは、125Hzの周波数帯域におけるロードノイズが発生した。車両モデルAは、バッテリモジュール11が第1〜第3収容領域S1〜S3に収容されているため、バッテリユニット(バッテリモジュール11)の総重量が車体に作用してロードノイズの抑制に有効である。しかし、バッテリモジュール11の取付剛性が全て同じであるため、第1収容領域S1のバッテリモジュール11と第2収容領域S2のバッテリモジュール11が同じ周波数の挙動を示し、車体前後で時間差を有する左右揺動が増幅されている。それ故、
図11の矢印に示すように、車体前後で時間差を有する車体の左右揺動が、車両モデルAのフロントバネル2aの上下変位を誘発してロードノイズ性能が悪化している。尚、
図11では、便宜上、バッテリモジュール11を省略して示している。
【0042】
一方、車両モデルBは、第1収容領域S1のバッテリモジュール11と第2収容領域S2のバッテリモジュール11の取付剛性(締結部数)が異なるため、両者の固有振動数が異なっている。それ故、第1収容領域S1のバッテリモジュール11と第2収容領域S2のバッテリモジュール11の共振を回避してロードノイズに対応した周波数帯域における車体の左右揺動を抑制することができ、結果的に、フロントバネル2aの上下変位を抑制し、中周波帯域の車体振動を低減している。
図10に示すように、車両モデルBのロードノイズに対応した周波数帯域における騒音レベルは、車両モデルAのロードノイズに対応する周波数帯域における騒音レベルよりも0.3dB低いことが確認された。尚、第3取付ブラケット53を用いて取り付けたバッテリモジュール11の固有振動数は、略125Hzであり、第2取付ブラケット52を用いて取り付けたバッテリモジュール11の固有振動数は、略160Hzであった。
【0043】
実施例1に係るバッテリユニット取付構造によれば、バッテリユニット10が、1対のフロアフレーム3に取り付けられる左右1対のサイドフレーム21と、車幅方向に延びて1対のサイドフレーム21を連結するクロスフレーム31〜33と、縦寸法と横寸法と縦寸法及び横寸法に直交する高さ寸法とが略同寸法に設定された複数のバッテリモジュール11とを有し、複数のバッテリモジュール11が、クロスフレーム31〜33に同一姿勢で支持されると共に縦寸法の方向が前後方向と略平行になるように車幅方向に隣接して複数列に配置されているため、バッテリユニットをコンパクト化することができる。
第1収容領域S1のバッテリモジュール11の取付剛性を第2,第3収容領域S2,S3のバッテリモジュール11の取付剛性に対して異ならせているため、取付剛性の変更によって第1収容領域S1のバッテリモジュール11の固有振動数と第2,第3収容領域S2,S3のバッテリモジュール11の固有振動数とを異ならせることができ、バッテリユニット10の中周波帯域の成分を減少させることにより、中周波帯域の車体振動との共振を抑制することができる。
【0044】
複数のバッテリモジュール11は、車幅方向に延びる列が3列以上配置されると共に前端側の第1収容領域S1のバッテリモジュール11の取付剛性を第2,第3収容領域S2,S3のバッテリモジュール11の取付剛性に対して異ならせたため、車体振動に対して影響の大きい一端側の列のバッテリモジュール11の取付剛性を変更することにより、共振抑制効果を高くすることができる。
【0045】
複数のバッテリモジュールは、前後方向に3列配置されると共に最前列である第1収容領域S1のバッテリモジュール11が単層状態で配置され且つ最後列である第3収容領域S3のバッテリモジュール11がフロアパネル2のキックアップ部2cの下方において上下2段の2層状態で配置され、第1収容領域S1のバッテリモジュール11の取付剛性を第2,第3収容領域S2,S3のバッテリモジュール11の取付剛性に対して変更している。
これにより、最小限の取付剛性変更で上下2段のバッテリモジュールを搭載したバッテリユニット10のロードノイズ性能を向上することができる。
【0046】
複数のバッテリモジュールは、前後方向に3列以上配置されると共に最前列である第1収容領域S1及びこの最前列の後側に隣接した2列目である第2収容領域S2のバッテリモジュール11が単層状態で配置され且つ前記2列目のバッテリモジュール11の後側に上下2段の2層状態で配置された第3収容領域S3のバッテリモジュール11を有し、第1収容領域S1のバッテリモジュール11の取付剛性を第2収容領域S2のバッテリモジュール11の取付剛性に対して変更している。
これにより、最小限の取付剛性変更で上下2段のバッテリモジュールを搭載したバッテリユニット10のロードノイズ性能を向上することができる。
【0047】
複数のバッテリモジュール11は、取付ブラケット51〜53を介してクロスフレーム31〜33に取り付けられているため、サイドフレーム21及びクロスフレーム31〜33の特性に拘らず、取付ブラケット51〜53の変更でバッテリモジュール11の取付剛性を変更することができる。
【0048】
第1収容領域S1のバッテリモジュール11の取付剛性を第2,第3収容領域S2,S3のバッテリモジュール11の取付剛性に対して高くしたため、第1収容領域S1のバッテリモジュール11の取付剛性を確保しつつ、第1収容領域S1のバッテリモジュール11の固有振動数と第2,第3収容領域S2,S3のバッテリモジュール11の固有振動数とを異ならせることができる。
【0049】
第1収容領域S1のバッテリモジュール11を取り付ける第2取付ブラケット52の締結部52s〜52uの数を第2,第3収容領域S2,S3のバッテリモジュール53を取り付ける第3取付ブラケット53の締結部53s,53tの数よりも増加したため、最低限の変更で第1収容領域S1のバッテリモジュール11の固有振動数を第2,第3収容領域S2,S3のバッテリモジュール11の固有振動数よりも高くすることができる。
【0050】
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、複数のバッテリモジュール11の長手方向が前後方向と平行になる姿勢でクロスフレーム31〜33及びリヤフレーム23に支持された例を説明したが、複数のバッテリモジュール11の長手方向が車幅方向と平行になる姿勢でサイドフレーム21に支持されても良い。この場合、バッテリモジュール11を取り付ける取付ブラケット51〜53は、サイドフレーム21に固定される。また、バッテリモジュール11の長手方向前壁部及び後壁部を取付ブラケット51〜53で挟み込む例を説明したが、11の長手直交方向の側壁部を取付ブラケット51〜53で挟み込んでも良い。
【0051】
2〕前記実施形態においては、第1〜第3収容領域S1〜S3を形成した例を説明したが、収容領域を2つ形成しても良く、4つ以上形成しても良い。また、後端の第3収容領域S3に2段支持機構40を設けた例を説明したが、3段以上の支持機構を設けても良く、第2収容領域S2にも、2段支持機構又は3段以上の支持機構を設けても良い。
【0052】
3〕前記実施形態においては、第1収容領域S1において、前側に第1取付ブラケット51、後側に第2取付ブラケット52を設けた例を説明したが、前後共に第1取付ブラケット51、或いは前後共に第2取付ブラケット52にしても良い。また、第1収容領域S1に収容されたバッテリモジュール11の取付剛性を第2,第3収容領域S2,S3に収容されたバッテリモジュール11の取付剛性よりも高くした例を説明したが、第1収容領域S1に収容されたバッテリモジュール11の取付剛性を第2,第3収容領域S2,S3に収容されたバッテリモジュール11の取付剛性よりも低くしても良い。この場合、締結部の数を低減する、或いは板厚を低減する。
【0053】
4〕前記実施形態においては、長手方向が前後方向に平行なバッテリモジュール11を同じ向きで車幅方向に隣接して複数列に配置した例を説明したが、長手方向が車幅方向に平行なバッテリモジュール11を同じ向きで前後方向に隣接して複数列に配置しても良い。
この場合、バッテリモジュール11をクロスフレーム31〜33及びリヤフレーム23に支持させても良く、サイドフレーム21に支持させても良い。
【0054】
5〕前記実施形態においては、直方体状のバッテリモジュール11の例を説明したが、少なくとも平面視にて矩形形状であれば良く、複数の円柱状のバッテリモジュールをその軸心が車体前後方向又は車幅方向に向かうように配置したバッテリユニットであっても同様の効果を奏することができる。
【0055】
6〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態や各実施形態を組み合わせた形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。