【実施例】
【0099】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0100】
以下の実施例および比較例に用いた製剤原料は次のとおりである。エチルセルロース(エトセル(商標登録)7、Dow Chemical)、ヒプロメロース(TC−5R、信越化学工業)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達株式会社)、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(AQOAT LGおよびAQOAT AS−LF、信越化学工業)、ヒプロメロースフタル酸エステル(HP−50およびHP−55、信越化学工業)、ポリビニルアルコール(PVA EG−05、三菱ケミカル株式会社)、ポリビニルピロリドン(プラスドン K29/30、Ashland)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(オイドラギット(登録商標)RLPO、エボニック)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS分散液(オイドラギット(登録商標)RL30D、エボニック)メタクリル酸コポリマーLD(オイドラギット(登録商標)L30D55、エボニック)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギット(登録商標)EPO、エボニック)、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(AEA(登録商標)、三菱ケミカルフーズ株式会社)、D−マンニトール(ペアリトール50C、ロケットジャパン)、D−マンニトール(マンニットQ、三菱フードテック)、D−マンニトール(グラニュトール(登録商標)R、フロイント産業株式会社)、結晶セルロース(セオラス(登録商標)KG−1000、旭化成株式会社)、結晶セルロース(セオラス(登録商標)UF−711、旭化成株式会社)、アルファー化デンプン(SWELSTAR(登録商標) PD−1、旭化成株式会社)、部分アルファー化デンプン(PCS(登録商標)、旭化成株式会社)、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業)、フマル酸(富士フィルム和光純薬株式会社)、L−アスパラギン酸(富士フィルム和光純薬株式会社)、L−グルタミン酸(ナカライテスク株式会社)、コハク酸(ナカライテスク株式会社)、グリシン(扶桑化学工業株式会社)、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、Ashland)、カルメロース(NS−300(登録商標)、ニチリン化学)、カルメロースカルシウム(ECG−505、五徳薬品)、クロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol(登録商標)、ウイルバー・エリス)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC(登録商標)NBD又はB1、信越化学工業)、デンプングリコール酸ナトリウム(プリモジェル(登録商標)、DSP五協フード&ケミカル)、軽質無水ケイ酸(アドソリダー101(登録商標)、フロイント産業株式会社)。
【0101】
以下の実施例および比較例における錠剤の硬度の測定は錠剤硬度計(MultiTest 50;フロイント産業株式会社)を用いてN=3で行った。
【0102】
以下の実施例および比較例における崩壊試験は、次の3つの方法で行った。(a)口腔内に水なしで錠剤を含ませ錠剤が口腔内の唾液のみで崩壊、溶解するまでの時間を測定した(N=3)。測定された崩壊時間を、「口腔内崩壊時間」と称する。(b)第十七改正日本薬局方の崩壊試験法に準じて測定した。測定された崩壊時間を「日局崩壊時間」と称する。(c)口腔内崩壊錠測定装置(トリコープテスタ(登録商標);岡田精工株式会社)により、人工唾液、37℃、6mL/minの滴下速度で崩壊時間を測定した(N=3)。測定された崩壊時間を「トリコープテスタによる崩壊時間」と称する。
【0103】
以下の実施例および比較例における溶出試験は、自動6連溶出試験器(富山産業社製)を用いて、日本薬局方第2法に従い溶出試験を行った。試験液は日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)900mLを用いた。なお、パドルの回転数は50rpmとした。溶出量の測定は、UV法にて実施した。溶出試験開始後30分、45分および60分の溶出量を溶出率で求めた。
【0104】
[第1の局面に従った口腔内崩壊錠]
[試験例1−1]
ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(AQOAT LG)を結合剤、有機酸をフマル酸として、(A)エドキサバンと(C)結合剤、または、(A)エドキサバン、(B)有機酸、および(C)結合剤を含む造粒物を造る際に、造粒物中への(B)有機酸の配合の必要性に関して検討を行った。
【0105】
表1に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGをエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用いて重量240mgの錠剤に製した。
【0106】
実施例1−1〜1−4および比較例1で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
実施例1−1〜1−4の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに20秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で60%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。有機酸を配合せず、薬物および賦形剤を用いて製した造粒物を用い、有機酸を造粒物にも混合用末にも使用せずに製した比較例1の錠剤においては、45分後の溶出率が60%に届かず、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有さないものであった。これらの結果から、有機酸の薬物の溶出への寄与度が高いことがわかった。
【0109】
[試験例1−2]
エチルセルロース(エトセル7)を結合剤として、(A)エドキサバンと(C)結合剤、または、(A)エドキサバン、(B)有機酸、および(C)結合剤を含む造粒物を造る際に、造粒物中への(B)有機酸の配合の必要性に関して検討を行った。
【0110】
表2に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(エトセル7を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、エトセル7をエタノールに溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用いて表2に示す圧力で打錠し、重量240mgの錠剤に製した。
【0111】
実施例1−5〜1−8と比較例2〜3で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表2に示す。
【0112】
【表2】
【0113】
実施例1−5,1−6の錠剤は、口腔内崩壊時間が25秒以内、日局崩壊時間が20秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。崩壊剤を配合しなかった実施例1−7は、実施例1−5,1−6と比べれば溶出性が低下したが、45分で60%以上の溶出率が得られた。有機酸が造粒物中ではなく混合末に含まれる実施例1−8も、実施例1−5,1−6と比べれば溶出性が低下したが、45分で60%以上の溶出率が得られた。一方、有機酸を全く含まない比較例2,3の錠剤においては、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに25秒以内であっても、45分後の溶出率が60%に届かず、効能効果発現に適した溶出性を有さないものであった。なお、この結果からも、有機酸が薬物の溶出の迅速化への寄与度が高いことがわかった。
【0114】
[試験例1−3]
ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(AQOAT LG)を結合剤として、(A)エドキサバンと(C)結合剤、または、(A)エドキサバン、(B)有機酸と(C)結合剤を含む造粒物を造る際に、造粒物中への(B)有機酸の配合の必要性に関して検討を行った。
【0115】
表3に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGをエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用いて重量240mgの錠剤に製した。
【0116】
実施例1−9〜1−12および比較例4で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表3に示す。
【0117】
【表3】
【0118】
実施例1−9および実施例1−10の錠剤は、口腔内崩壊時間が25秒以内、日局崩壊時間が20秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0119】
崩壊剤を配合せず、薬物、有機酸、および賦形剤を配合して製した造粒物を用いて製した実施例1−11の錠剤、および有機酸を配合せず薬物、崩壊剤、および賦形剤を配合して製した造粒物に混合末として有機酸を配合して製した実施例1−12の錠剤も、45分の薬物溶出率が60%以上であった。なお、結合剤としてAQOAT LGを用いても、有機酸を配合しない比較例4の錠剤は45分後の溶出率が60%に届かず、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有さないものであり、有機酸の薬物の溶出への寄与度が高いことがわかった。
【0120】
[試験例1−4]
国際公開公報2018/101373号(特許文献3)に提示された処方に準じて錠剤を製し、本発明の口腔内崩壊錠と比較した。
【0121】
表4に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGおよびHPC−Lを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGはエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した溶液を結合剤液として、またHPC−Lは水に溶解した溶液を結合剤液として添加し、撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径10mm(隅角平面)の杵を用い、重量360mgまたは400mgの錠剤に製した。重量360mgの錠剤は錠剤硬度が約55Nに、また400mgの錠剤は錠剤硬度が約60Nになるように圧縮成形を行った。
【0122】
溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表4に示す。
【0123】
【表4】
【0124】
本発明による方法で製した実施例1−13〜1−15の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間ともに20秒以内であり、また、トリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内で、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0125】
一方、比較例5および比較例6の錠剤は、溶出率は45分で75%以上であったが、口腔内崩壊時間およびトリコープテスタによる崩壊時間が30秒以上、日局崩壊時間が25秒以上であり、実施例に比べて明らかに遅延した崩壊速度を有していた。なお、この結果は、国際公開公報2018/101373号(特許文献3)に示されている結果を再現するものであった。
【0126】
参考までに、インタビューフォームに示されている配合成分との類似性から、リクシアナOD錠60mg(ロットNo.UNA0047:エドキサバントシル酸塩水和物として80.8mgを含有する)の口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、およびトリコープテスタによる崩壊時間を測定したところ、口腔内崩壊時間は33秒、日局崩壊時間は33秒、トリコープテスタによる崩壊時間は45秒であり、本実施例に比べて明らかに遅延した崩壊速度であった。
【0127】
さらに、実施例1−1〜1−13の錠剤は、表1〜3に示すように、薬物含有量80.8mgに対し、仕上がりの錠剤重量が240mgであり、試験例1−4に示す国際公開第WO2018/101373号(特許文献3)に準じて製した錠剤と比べて、重量で約40%減じて小型化されており、アドヒアランスが向上された製剤だといえる。
【0128】
[試験例1−5]
水不溶性高分子としてグルコース環を構成単位として有するエトセル7、AQOAT LG、HP−50およびHP−55を用い、フマル酸以外の有機酸との組み合わせによる実験を実施した。
【0129】
表5に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(エトセル7、AQOAT LG、HP−50およびHP−55を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、エトセル7、AQOAT LG、HP−50およびHP−55をエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、2.5kNの打錠圧で直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて、実施例1−16,1−17では重量250mgの錠剤に、実施例1−18〜1−21については重量240mgの錠剤に製した。
【0130】
実施例1−16〜1−21で得られた錠剤について溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表5に示す。
【0131】
【表5】
【0132】
実施例1−16〜1−21の錠剤は、口腔内崩壊時間が20秒以内、日局崩壊時間が25秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が30秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0133】
[試験例1−6]
水不溶性高分子としてアクリル系コポリマーであるオイドラギットRLPO、オイドラギットL100−55およびオイドラギットL30D−55を用い、有機酸との組み合わせによる実験を実施した。
【0134】
表6に示す処方に準じて造粒用の各成分それぞれ(オイドラギット3品目を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、RLPOについてはエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液として、またRL30DとL30D−55については水で希釈した液を結合剤液として添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて重量240mgの錠剤に製した。
【0135】
実施例1−22〜1−26で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表6に示す。
【0136】
【表6】
【0137】
実施例1−22〜1−26の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間による崩壊時間ともに25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で60%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0138】
[試験例1−7]
水不溶性高分子としてエトセル7およびAQOAT LGを、水溶性高分子としてHPC−L、プラスドンK29/30、およびPVA EG−05を用い、崩壊剤と有機酸を類似させた配合処方系での組み合わせによる比較実験を実施した。
【0139】
表7に示す処方に準じて造粒用の各成分それぞれ(水不溶性高分子および水溶性高分子を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、PVAEG−05以外の高分子についてはエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液として、またPVA EG−05については水で溶解した液を結合剤液として添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて重量240mg、硬度40〜50Nの錠剤に製した。
【0140】
実施例1−27〜1−29および比較例7〜9で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表7に示す。
【0141】
【表7】
【0142】
実施例1−27〜1−29の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに20秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0143】
一方、比較例7〜9の錠剤は、溶出率は45分で80%以上であったが、口腔内崩壊時間およびトリコープテスタによる崩壊時間が60秒以上、日局崩壊時間が50秒以上であり、水溶性高分子を用いた比較例の錠剤は明らかに遅延した崩壊速度を有していた。
【0144】
[試験例1−8]
水不溶性高分子としてAQOAT AS−LFの微細粉末を用い、これを水に懸濁して造粒する方法に関して検討した。
【0145】
エドキサバントシル酸塩水和物を4.04g、ペアリトール50Cを3.21g、NS−300を0.5g、L−アスパラギン酸を1.5gとり混合し、0.25gのAQOAT AS−LFを適量の水に懸濁した溶液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し、篩過して得られた造粒物に、グラニュトールRを1.35g、ポリプラスドンXL−10を0.5g、NS−300を0.5g、アドソリダー101を0.15gとり混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用い2.8kNの成形圧で打錠し重量240mgの錠剤に製して、実施例1−30の錠剤とした。
【0146】
実施例1−30で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表8に示す。
【0147】
【表8】
【0148】
AQOAT AS−LFの粉末を水に懸濁した溶液で造粒して製した実施例1−30の錠剤は、口腔内崩壊時間および日局崩壊時間が25秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が30秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で80%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0149】
[試験例1−9]
賦形剤として有機酸でもあるグリシンを用いて口腔内崩壊錠を製した。結合剤をAQOAT AS−LFとし、結合剤中に微量のHPC−Lを配合した。
【0150】
エドキサバントシル酸塩水和物を4.04g、グリシンを3.86g、L−HPC B1を1.5gとり混合し、0.09gのAQOAT AS−LFと0.01gのHPC−Lをエタノール8重量部と水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し、篩過して得られた造粒物に、グラニュトールRを1.35g、ポリプラスドンXL−10を0.5g、NS−300を0.5g、アドソリダー101を0.15gとり混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用い。2.2kNの成形圧で打錠し重量240mgの錠剤に製して、実施例1−31の錠剤とした。
【0151】
実施例1−31で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表9に示す。
【0152】
【表9】
【0153】
有機酸であるグリシンを賦形剤的に用いた実施例1−31の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、およびトリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0154】
[第2の局面に従った口腔内崩壊錠]
[試験例2−1]
ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(AQOAT LG)を結合剤、L−HPCを崩壊剤として(A)エドキサバンと(C)結合剤、または、(A)エドキサバン、(B)崩壊剤、および(C)結合剤を含む造粒物を造る際に、造粒物中への(B)崩壊剤の配合の必要性に関して検討を行った。
【0155】
表10に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGをエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用いて重量240mgの錠剤に製した。
【0156】
実施例2−1〜2−3および比較例1で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。
【0157】
【表10】
【0158】
実施例2−1〜2−3の錠剤は、口腔内崩壊時間が20秒以内、日局崩壊時間が25秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で60%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。崩壊剤を配合せず、薬物および賦形剤を用いて製した造粒物を用いた比較例1の錠剤においては、45分後の溶出率が60%に届かず、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有さないものであった。
【0159】
これらの結果から、崩壊剤の薬物の溶出への寄与度が高いことがわかった。また、実施例2−3から、腸溶性高分子としてヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを結合剤とし用いる場合、造粒物中に低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどの崩壊剤を配合しておけば、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有する錠剤を作れることが示唆された。
【0160】
[試験例2−2]
エチルセルロース(エトセル7)を結合剤として、(A)エドキサバンと(B)崩壊剤、または、(A)エドキサバンと(B)崩壊剤と(C)結合剤を含む造粒物を造る際に、結合剤の必要性に関して検討を行った。
【0161】
表11に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(エトセル7を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、エトセル7をエタノールに溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用いて表1に示す圧力で打錠し、重量240mgの錠剤に製した。
【0162】
表11に示すように、比較例2では、崩壊剤を用いず、薬物と賦形剤を配合して製した造粒物を用いて錠剤を調製した。比較例3では、薬物、崩壊剤、および賦形剤を配合して同じように製した造粒物を用いて錠剤を調製した。
【0163】
比較例2〜3で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表11に示す。
【0164】
【表11】
【0165】
造粒物中に有機酸と崩壊剤を全く含まない比較例2、崩壊剤のみを含む比較例3の錠剤のいずれも、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに25秒以内であっても、45分後の溶出率が60%に届かず、効能効果発現に適した溶出性を有さないものであり、エトセル7を結合剤として用いる場合、エドキサバンを分散させ溶出性を向上させるのに有効な有機酸の配合が必要であることが示唆されている。
【0166】
[試験例2−3]
ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(AQOAT LG)を結合剤として(A)エドキサバンと(B)崩壊剤と(C)結合剤を含む造粒物を造る際に、造粒物中への(B)崩壊剤の配合の必要性に関して検討を行った。
【0167】
表12に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGをエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用いて重量240mgの錠剤に製した。
【0168】
実施例2−4〜2−7および比較例4で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表12に示す。
【0169】
【表12】
【0170】
実施例2−4,2−5の錠剤は、口腔内崩壊時間が25秒以内、日局崩壊時間が20秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0171】
実施例2−6の錠剤も、45分の薬物溶出率が60%以上であった。結合剤をAQOAT LGとする実験系においては、薬物および崩壊剤を配合して製した造粒物を用い有機酸を配合せず製した実施例2−7の錠剤も、45分の薬物溶出率は60%以上であった。なお、結合剤としてAQOAT LGを用いても、崩壊剤を配合しない比較例4の錠剤は45分後の溶出率が60%に届かず、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有さないものであった。
【0172】
[試験例2−4]
国際公開公報2018/101373号(特許文献3)に提示された処方に準じて錠剤を製し、本発明の口腔内崩壊錠と比較した。
【0173】
表13に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGおよびHPC−Lを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGはエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した溶液を結合剤液として、またHPC−Lは水に溶解した溶液を結合剤液として添加し、撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径10mm(隅角平面)の杵を用い、重量360mgまたは400mgの錠剤に製した。重量360mgの錠剤は錠剤硬度が約55Nに、また400mgの錠剤は錠剤硬度が約60Nになるように圧縮成形を行った。
【0174】
溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表13に示す。
【0175】
【表13】
【0176】
本発明による方法で製した実施例2−8〜2−10の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間ともに20秒以内であり、また、トリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内で、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0177】
一方、比較例5および比較例6の錠剤は、溶出率は45分で80%以上であったが、口腔内崩壊時間およびトリコープテスタによる崩壊時間が30秒以上、日局崩壊時間が25秒以上であり、実施例に比べて明らかに遅延した崩壊速度を有していた。なお、この結果は、国際公開公報2018/101373号(特許文献3)に示されている結果を再現するものであった。
【0178】
参考までに、インタビューフォームに示されている配合成分との類似性から、リクシアナOD錠60mg(ロットNo.UNA0047:エドキサバントシル酸塩水和物として80.8mgを含有する)の口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、およびトリコープテスタによる崩壊時間を測定したところ、口腔内崩壊時間は33秒、日局崩壊時間は33秒、トリコープテスタによる崩壊時間は45秒であり、本実施例に比べて明らかに遅延した崩壊速度であった。
【0179】
さらに、実施例2−1〜2−7の錠剤は、表10〜12に示すように、薬物含有量80.8mgに対し、仕上がりの錠剤重量が240mgであり、試験例3に示す国際公開第WO2018/101373号(特許文献3)に準じて製した錠剤と比べて、重量で約40%減じて小型化されており、アドヒアランスが向上された製剤だといえる。
【0180】
[試験例2−5]
水不溶性高分子としてグルコース環を構成単位として有するAQOAT LGおよびHPを用い、フマル酸以外の有機酸との組み合わせによる実験を実施した。
【0181】
表14に示す処方に準じて、造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGおよびHPを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LG、HP−50およびHP−55をエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、2.5kNの打錠圧で直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて、実施例2−11,2−12では重量250mgの錠剤に、実施例2−13〜2−15については重量240mgの錠剤に製した。
【0182】
実施例2−11〜2−15で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表14に示す。
【0183】
【表14】
【0184】
実施例2−11〜2−15の錠剤は、口腔内崩壊時間が20秒以内、日局崩壊時間およびトリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で75%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0185】
[試験例2−6]
水不溶性高分子としてAQOAT LGを、水溶性高分子としてHPC−L、プラスドン K29/30、およびPVA EG-05を用い、崩壊剤と有機酸を類似させた配合処方系での組み合わせによる比較実験を実施した。
【0186】
表15に示す処方に準じて造粒用の各成分それぞれ(水不溶性高分子および水溶性高分子を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LG、HPC−L、およびプラスドンK29/30についてはエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液として、またPVA EG−05については水で溶解した液を結合剤液として添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて重量240mg、硬度40〜50Nの錠剤に製した。
【0187】
実施例2−16,2−17および比較例7〜9で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表15に示す。
【0188】
【表15】
【0189】
実施例2−16,2−17の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに20秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で75%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0190】
一方、比較例7〜9の錠剤は、溶出率は45分で80%以上であったが、口腔内崩壊時間およびトリコープテスタによる崩壊時間が60秒以上、日局崩壊時間が50秒以上であり、水溶性高分子を用いた比較例の錠剤は明らかに遅延した崩壊速度を有していた。
【0191】
[試験例2−7]
結合剤をAQOAT LGとし、有機酸を配合しない場合の各種崩壊剤の添加効果に関して検討を実施した。
【0192】
表16に示す処方に準じて、表17に示す水膨潤性崩壊剤を配合して、実施例2−18〜2−23の錠剤を製した。造粒用の各成分それぞれ(AQOAT LGを除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、AQOAT LGをエタノール8重量部、水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢とし、直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて、打錠圧2kNで重量240mgの錠剤に製した。
【0193】
実施例2−18〜2−23で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表18に示した。
【0194】
【表16】
【0195】
【表17】
【0196】
【表18】
【0197】
実施例2−18〜2−23の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間による崩壊時間ともに25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で65%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0198】
[試験例2−8]
崩壊剤として試験例2−7で良好な結果が得られたプリモジェルを用い、各種水不溶性高分子を結合剤として用いた場合の、崩壊性と溶出性に及ぼす効果に関して検討を実施した。
【0199】
表19に示す処方に準じて、表20に示す水不溶性高分子を結合剤として用い、実施例2−24,2−25および比較例10〜16の錠剤を製した。造粒用の各成分それぞれ(水不溶性高分子を除く)について、50錠相当分を乳鉢中に秤取し、腸溶性高分子をエタノール8重量部と水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し篩過して得られた造粒物に、混合用の添加剤を秤取、混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢とし、直径8.5mm(平面隅角)の杵を用いて、(打錠圧2kNで)重量240mgの錠剤に製した。
【0200】
実施例2−24,2−25および比較例10〜16で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表21に示す。
【0201】
【表19】
【0202】
【表20】
【0203】
【表21】
【0204】
実施例2−24,2−25の水不溶性高分子であってグルコース環を構成単位とする腸溶性高分子を結合剤として用いて製した錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間による崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0205】
対して、比較例10〜12のアクリル酸系腸溶性高分子、アクリル酸系徐放性高分子、およびグルコース環を構成単位とする水不溶性高分子を結合剤として用いて製した錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間による崩壊時間ともに25秒以内であり、崩壊特性は優れていたが、45分の薬物の溶出率が60%に届かず、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有していなかった。また、比較例13〜16のアクリル酸系胃溶性高分子、ポリビニルアセタール系胃溶性高分子、およびグルコース環を構成単位とする水溶性高分子を結合剤として用いて製した錠剤は、45分の薬物の溶出率は60%以上であるものの、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間による崩壊時間、トリコープテスタによる崩壊時間ともに30秒以上であり、口腔内崩壊錠には適さない遅延した崩壊特性を有する錠剤であった。
【0206】
[試験例2−9]
(C)結合剤としてAQOAT AS−LFの微細粉末を用い、これを水に懸濁して造粒する方法に関して検討した。
【0207】
エドキサバントシル酸塩水和物を4.04g、ペアリトール50Cを3.21g、NS−300を0.5g、L−アスパラギン酸を1.5gとり混合し、0.25gのAQOAT AS−LFを適量の水に懸濁した溶液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し、篩過して得られた造粒物に、グラニュトールRを1.35g、ポリプラスドンXL−10を0.5g、NS−300を0.5g、アドソリダー101を0.15gとり混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用い2.8kNの成形圧で打錠し重量240mgの錠剤に製して、実施例34の錠剤とした。
【0208】
実施例2−26で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表22に示す。
【0209】
【表22】
【0210】
AQOATの粉末を水に懸濁した溶液で造粒して製した実施例2−26の錠剤は、口腔内崩壊時間および日局崩壊時間が25秒以内、トリコープテスタによる崩壊時間が30秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で80%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0211】
[試験例2−10]
賦形剤として有機酸でもあるグリシンを用いて口腔内崩壊錠を製した。結合剤をAQOAT AS−LFとし、結合剤中に微量のHPC−Lを配合した。
【0212】
エドキサバントシル酸塩水和物を4.04g、グリシンを3.86g、L−HPC B1を1.5gとり混合し、0.09gのAQOAT AS−LFと0.01gのHPC−Lをエタノール8重量部と水2重量部の混液に溶解した結合剤液を添加して撹拌し湿塊としたものを、通風乾燥機にて60℃で乾燥し、篩過して得られた造粒物に、グラニュトールRを1.35g、ポリプラスドンXL−10を0.5g、NS−300を0.5g、アドソリダー101を0.15gとり混合し、ステアリン酸マグネシウムを外部滑沢として用い、直径8.5mm(隅角平面)の杵を用い。2.2kNの成形圧で打錠し重量240mgの錠剤に製して、実施例2−27の錠剤とした。
【0213】
実施例2−27で得られた錠剤について、溶出試験、崩壊試験、口腔内崩壊試験および硬度試験を実施した。結果を表23に示す。
【0214】
【表23】
【0215】
有機酸であるグリシンを賦形剤的に用いた実施例2−27の錠剤は、口腔内崩壊時間、日局崩壊時間、およびトリコープテスタによる崩壊時間が25秒以内であり、優れた崩壊特性を有するものであると同時に、錠剤からの薬物の溶出率も45分で70%以上であり、医薬品の効能効果発現に適した溶出性を有するものであった。
【0216】
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。