特開2020-197042(P2020-197042A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2020197042-寄せ撞木ほぞ接合構造 図000003
  • 特開2020197042-寄せ撞木ほぞ接合構造 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-197042(P2020-197042A)
(43)【公開日】2020年12月10日
(54)【発明の名称】寄せ撞木ほぞ接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20201113BHJP
【FI】
   E04B1/58 506L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-103078(P2019-103078)
(22)【出願日】2019年5月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津畑 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】貞広 修
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA02
2E125AA12
2E125AB12
2E125AC23
2E125AG24
2E125AG26
2E125CA79
2E125CA92
(57)【要約】
【課題】製作加工が容易で、耐力に優れた寄せ撞木ほぞ接合構造を提供する。
【解決手段】部材12、14どうしを接合する構造10であって、一方の部材14の上面22に設けられたほぞ穴24および逃げ穴26と、他方の部材12の下面16に設けられ、一方の部材14の逃げ穴26からほぞ穴24に寄せてほぞ穴24に嵌合する側方視で撞木状のほぞ部18とを備え、ほぞ穴24はほぞ部18と同一形状に形成されている。ほぞ部18のせん断補強をするためのせん断補強材20をさらに備えることが望ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材どうしを接合する構造であって、
一方の部材の上面に設けられたほぞ穴および逃げ穴と、他方の部材の下面に設けられ、一方の部材の逃げ穴からほぞ穴に寄せてほぞ穴に嵌合する側方視で撞木状のほぞ部とを備え、ほぞ穴はほぞ部と同一形状に形成されていることを特徴とする寄せ撞木ほぞ接合構造。
【請求項2】
ほぞ部のせん断補強をするためのせん断補強材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の寄せ撞木ほぞ接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寄せ撞木ほぞ接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、庇の腕木、釣束と鴨居などの取合いに使用される寄せ蟻ほぞ接合構造が知られている。図3図4は、従来の接合構造の一例である。これらの図に示すように、部材1(束材)の下端に蟻ほぞ2を形成するとともに、部材3(梁材)に蟻ほぞ穴4と逃げ穴5を形成し、蟻ほぞ2を逃げ穴5から差し込んで横に移動させ、蟻ほぞ穴4に収めることによって、部材1と部材3を接合する。
【0003】
一方、柱と土台、柱と梁等の木材どうしを結合する際に平ほぞと金物等を用いた構造として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−90085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、木材の材料強度の大小関係は通常、圧縮強度>引張強度>>せん断強度>めり込み強度となる。伝統工法で用いられている接合部の多くは、木材のめり込みによってその耐力が決まるため高い耐力を期待することは難しく、上述した寄せ蟻ほぞ接合構造もその例外ではない。
【0006】
また、伝統工法で用いられる接合部は、その形状が煩雑であり、高い技能を有する者でなければ製作加工がかなわない。また、高い技能を有していたとしても、その製作には時間が掛かるため、生産性が非常に低いという問題がある。
【0007】
このため、製作加工が容易で、耐力に優れたほぞ接合構造が求められていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、製作加工が容易で、耐力に優れた寄せ撞木ほぞ接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る寄せ撞木ほぞ接合構造は、部材どうしを接合する構造であって、一方の部材の上面に設けられたほぞ穴および逃げ穴と、他方の部材の下面に設けられ、一方の部材の逃げ穴からほぞ穴に寄せてほぞ穴に嵌合する側方視で撞木状のほぞ部とを備え、ほぞ穴はほぞ部と同一形状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の寄せ撞木ほぞ接合構造は、上述した発明において、ほぞ部のせん断補強をするためのせん断補強材をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る寄せ撞木ほぞ接合構造によれば、部材どうしを接合する構造であって、一方の部材の上面に設けられたほぞ穴および逃げ穴と、他方の部材の下面に設けられ、一方の部材の逃げ穴からほぞ穴に寄せてほぞ穴に嵌合する側方視で撞木状のほぞ部とを備え、ほぞ穴はほぞ部と同一形状に形成されているので、製作加工が容易で、耐力に優れた寄せ撞木ほぞ接合構造を提供することができるという効果を奏する。
【0012】
また、本発明に係る他の寄せ撞木ほぞ接合構造によれば、ほぞ部のせん断補強をするためのせん断補強材をさらに備えるので、寄せ撞木ほぞ接合構造の耐力をさらに向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係る寄せ撞木ほぞ接合構造の実施の形態を示す図であり、(1)は上面図、(2)は男木の正面断面図、(3)は側面図、(4)は男木の側面断面図である。
図2図2は、本発明の効果の説明図であり、(1)は比較例、(2)は実施例である。
図3図3は、従来のほぞ接合構造の一例を示す概略図であり、(1)は上面図、(2)は部分横断面図、(3)は側面図、(4)は分解斜視図である。
図4図4は、従来のほぞ接合構造の一例を示す概略図であり、(1)は上面図、(2)は部分横断面図、(3)は側面図、(4)は部分縦断面図、(5)は分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る寄せ撞木ほぞ接合構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態に係る寄せ撞木ほぞ接合構造10は、角型断面の男木12(部材)と女木14(部材)どうしを接合する構造である。男木12の下面16には、撞木状のほぞ部18と、ほぞ部18のせん断補強をするためのビス20(せん断補強材)が設けられている。女木14の上面22には、ほぞ穴24および逃げ穴26が隣接して設けられている。
【0016】
ほぞ部18は、男木12の下部の幅方向両側面に、正面視でコの字状の溝部28を奥行き方向に形成することによって設けることができる。ビス20は、図1(1)、(2)に示すように、ほぞ部18の下端の頭部30に打ち込まれ、ほぼ幅方向全長に亘って延びている。このビス20は、図1(3)、(4)に示すように、奥行き方向に間隔をあけて複数本(図の例では6本)設けられている。ほぞ部18の頭部30にビス20を打ち込むことで、せん断割れに対する補強を行うことが可能である。
【0017】
ほぞ穴24は、女木14の軸方向視でほぞ部18と同一形状の穴である。このほぞ穴24の下側には、ほぞ部18の頭部30が収容される凹部32が形成され、上側には、ほぞ部18の溝部28が嵌合する凸部34が形成されている。逃げ穴26は、上面視で男木12と同一断面の直方体状の穴である。
【0018】
上記の寄せ撞木ほぞ接合構造10の施工手順について説明する。
まず、男木12にほぞ部18を形成する一方、女木14にほぞ穴24、逃げ穴26を形成する。ほぞ部18の頭部30にはビス20を打ち込んでおく。次に、男木12のほぞ部18を女木14の逃げ穴26に差し込んだ後、女木14の軸方向に寄せてほぞ部18をほぞ穴24に挿入し、双方を嵌合する。最後に、逃げ穴26に同形状の図示しない閉塞部材を挿入配置し、ほぞ部18がほぞ穴24から逃げ穴26に動かないように固定する。このようにして、寄せ撞木ほぞ接合構造10を得ることができる。なお、ほぞ部18、ほぞ穴24、逃げ穴26、閉塞部材の各間を接着剤で接着してもよい。
【0019】
本実施の形態によれば、木材をめり込みではなくせん断で効かせることで接合部の耐力向上を図ることができる。このため、表に金物を露出させずに伝統的な接合構造を高耐力化することが可能である。また、男木12に対して撞木状のほぞ部18を、女木14に対してほぞ部18と同形状のほぞ穴24と逃げ穴26のみを設ければよいことから、上記の従来の寄せ蟻ほぞ接合構造に比べて製作加工が容易である。ルーターで容易に加工できるため、高度な技能を有していない者でも簡単に加工ができ、さらに機械加工も可能であるため、生産性が高い。
【0020】
<本発明の効果の検証>
図2に示すような形状寸法の木質の接合構造について、許容引張力を比較した。図2(1)は従来の寄せ蟻ほぞ接合構造(比較例)であり、(2)は本発明の実施例である。比較例では、めり込みによる許容引張力が16.2kN、首部分の許容引張力が245.2kN、蟻ほぞ軸方向せん断による許容引張力が172.8kNであった。これに対し、本実施例では、首部分の許容引張力が245.2kN、撞木ほぞ軸方向せん断による許容引張力が60kN+αであった。ここで、60kNは木材のせん断強度、+αは補強用ビスによる強度向上による増加分である。比較例のめり込みによる許容引張力が16.2kNであるのに対し、本実施例の撞木ほぞ軸方向せん断による許容引張力が60kN+αであることから、本実施例は比較例に比べて3.7倍以上の耐力向上が図れることがわかる。
【0021】
上記の実施の形態においては、せん断補強材としてビス20を設けた場合を例にとり説明したが、本発明はビスに限るものではなく、ほぞ部18のせん断補強をするものであればいかなるものでもよい。このようにしても、上記と同様の作用効果を奏することができる。また、せん断補強材は省略することもできるが、接合構造の耐力を向上する上で設けることが望ましい。
【0022】
また、上記の実施の形態においては、2つの部材が男木12、女木14の木質材で構成される場合を例にとり説明したが、本発明は木質材に限るものではなく、例えば樹脂材などで構成してもよい。このようにしても、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0023】
また、本実施の形態は、例えば、トラス構造の継手、机や椅子などの家具や設備の軸組部分など、引張りが生じる接合部分に適用することもできる。
【0024】
以上説明したように、本発明に係る寄せ撞木ほぞ接合構造によれば、部材どうしを接合する構造であって、一方の部材の上面に設けられたほぞ穴および逃げ穴と、他方の部材の下面に設けられ、一方の部材の逃げ穴からほぞ穴に寄せてほぞ穴に嵌合する側方視で撞木状のほぞ部とを備え、ほぞ穴はほぞ部と同一形状に形成されているので、製作加工が容易で、耐力に優れた寄せ撞木ほぞ接合構造を提供することができる。
【0025】
また、本発明に係る他の寄せ撞木ほぞ接合構造によれば、ほぞ部のせん断補強をするためのせん断補強材をさらに備えるので、寄せ撞木ほぞ接合構造の耐力をさらに向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、本発明に係る寄せ撞木ほぞ接合構造は、庇の腕木、釣束と鴨居などの部材どうしの接合に有用であり、特に、表に金物を露出させずに伝統工法による接合構造を高耐力化するのに適している。
【符号の説明】
【0027】
10 寄せ撞木ほぞ接合構造
12 男木(部材)
14 女木(部材)
16 下面
18 ほぞ部
20 ビス(せん断補強材)
22 上面
24 ほぞ穴
26 逃げ穴
28 溝部
30 頭部
32 凹部
34 凸部
図1
図2
図3
図4