(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-19712(P2020-19712A)
(43)【公開日】2020年2月6日
(54)【発明の名称】土壌消毒用資材及び土壌消毒方法
(51)【国際特許分類】
A01N 59/16 20060101AFI20200110BHJP
A01N 25/00 20060101ALI20200110BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20200110BHJP
C05D 9/02 20060101ALI20200110BHJP
C09K 17/02 20060101ALI20200110BHJP
【FI】
A01N59/16 Z
A01N25/00 102
A01P3/00
C05D9/02
C09K17/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2018-142034(P2018-142034)
(22)【出願日】2018年7月30日
(71)【出願人】
【識別番号】511141618
【氏名又は名称】株式会社APS
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 陽一郎
【テーマコード(参考)】
4H011
4H026
4H061
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011BB18
4H011DA02
4H011DD04
4H026AA01
4H026AB04
4H061AA10
4H061EE16
4H061FF08
4H061HH44
4H061LL07
(57)【要約】
【課題】簡易、安全な工程で土壌の消毒を行うこと及び農作物の生育に適した土壌環境を提供すること
【解決手段】二価鉄化合物を含む土壌消毒用資材と、当該土壌消毒用資材を土壌に施用する工程を含む土壌消毒方法
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二価鉄化合物を含む土壌消毒用資材。
【請求項2】
前記二価鉄化合物は、硫酸第一鉄である
請求項1記載の土壌消毒用資材。
【請求項3】
前記硫酸第一鉄の粒径が0.1mm〜20mmである
請求項2記載の土壌消毒用資材。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の土壌消毒用資材を土壌に施用する工程を含む
土壌消毒方法。
【請求項5】
還元剤を前記土壌に施用する工程をさらに含む
請求項4記載の土壌消毒方法。
【請求項6】
肥料又は土壌改良剤を前記土壌に施用する工程をさらに含む
請求項5記載の土壌消毒方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、土壌の消毒技術に関する。
【背景技術】
【0002】
土壌の消毒技術については、従来種々の提案がなされている。
【0003】
代表的な土壌消毒手段として、クロルピクリンなどの土壌くん蒸剤を使用した土壌消毒方法が知られている。しかし、前記土壌くん蒸剤は取扱いに難点があり、安全で適正な使用が求められる。
【0004】
また、土壌くん蒸剤に頼らない土壌消毒手段として、低濃度エタノール、襖、糖蜜、太陽熱などを使用する土壌消毒方法も知られている。
【0005】
特許文献1には、低濃度エタノール水溶液を用いた土壌還元消毒方法が提案されている。しかし、低濃度エタノールを使用した土壌消毒手段では、コストの問題及びアルコールを用いるという安全上の懸念が完全に払しょくされるわけではない。
【0006】
襖、糖蜜を用いた土壌還元消毒方法においても、使用量や、施用時の地温や土壌微生物の繁茂状態など、使用条件において課題が残されている。
【0007】
太陽熱を用いた土壌還元消毒方法においても、土壌や天候の状態に効果が大きく左右される、また、効果が一定しないという課題が残されている。
【0008】
特に、これら低濃度エタノール、襖、糖蜜、太陽光、及び現在提案されている、その他の土壌くん蒸剤以外の消毒方法での共通した課題は、施用後の効果を高める為に、ビニールなどを用いた被覆が必要条件となっている為、この被覆作業と廃棄に関わる手間とコストが、普及の大きな妨げとなっている。
【0009】
また、転炉スラグなどの鉄を含む土壌改良資材を土壌へ投入する技術も知られている。しかし、鉄の使用量が1反(約1,000m
2)当たり100kg程度で、これは、転炉スラグをトン単位で投入することになり実用性に乏しい。
【0010】
その他、特許文献2には、0mV以下の酸化還元電位を有する微生物由来還元性混合物が提案され、この混合物の還元性を利用して土壌消毒技術である灌水還元技術に利用できることが記載されている。また、この混合物に土壌改良に供される腐食酸資材、ゼオライト、珪藻土、ケイ酸カルシウム、バーミキュライト及びピートモス類を加えた土質改良組成物を使用して土壌改良を行うことも記載されている。
【0011】
これら何れの手法であっても、還元消毒は一度きりであるので、消毒後に播種、又は定植した後に、天候や栽培環境によって発生する病害を、完全に除去できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−106034
【特許文献2】国際公開第2010/104197号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この発明は、簡易、安全な工程で土壌の消毒を行うこと及び農作物の生育に適した土壌環境を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
二価鉄化合物を含む土壌消毒用資材と、当該土壌消毒用資材を土壌に施用する工程を含む土壌消毒方法により上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、簡易、安全な工程で土壌の消毒を行うこと及び農作物の生育に適した土壌環境を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態は、土壌消毒に使用される新たな土壌消毒用資材及びこの資材を使用して土壌を消毒する方法である。
【0017】
本実施形態で対象となる土壌は、農作物を育てる土壌である。例えば、稲・麦等の普通作物や、野菜・果樹・花弁の園芸作物を育てる圃場が対象となる。また、前記土壌は播種・定植前後のどちらの状態でもよい。
【0018】
本実施形態の土壌消毒用資材として二価鉄化合物である硫酸第一鉄を使用している。本実施形態の硫酸第一鉄の仕様を以下に示す。
【0019】
FeSO
4・H
2O(Ferrous Sulfate Monohydrate)・・・91.18%
Ferrous (Fe2
+)・・・30.94%
Pb・・・11ppm
Cd・・・3ppm
As・・・1ppm
S・・・16.0%
【0020】
硫酸第一鉄の形状は粒状に加工されている。粒状に加工する場合、例えば、0.1mm〜20mm、より好ましくは1mm〜5mmの粒径を有するように加工する。
【0021】
本実施形態の土壌消毒方法は、前記硫酸第一鉄を土壌に施用する工程、土壌消毒に使用される従来公知の還元剤を前記土壌に施用する工程が含まれる。これらの工程を経ることで、前記土壌中に二価鉄イオンが発生し、前記土壌を還元状態にして植物病原菌、土壌病害虫を防除することができる。
【0022】
本実施形態では前記硫酸第一鉄を粒状に成形しているので、土壌に混和させやすく、土壌1反(約1,000mm
2)当たり10〜20Kgの施用量で済むので、従来の土壌還元消毒方法に比べてコストの観点から実用性に優れた土壌消毒方法となっている。
【0023】
また、本実施形態では前記硫酸第一鉄及び従来公知の還元剤を土壌に施用するだけなので、従来の土壌還元消毒方法に比べて、大量の水や長期間の保水に加え、被覆の必要がなく、更に、施用時の天候や気温の影響を受けることなく、簡易な工程で土壌消毒を行うことができ、農作物の生育に適した土壌環境を安定して維持することができる。
【0024】
また、本実施形態では前記硫酸第一鉄を粒状に成形しているので、土壌消毒後において当該土壌中に前記硫酸第一鉄が一定量残留する。そのため、自然の降雨又は降雪によって前記土壌が再度還元状態となる。そこで、播種又は定植後であっても、前記硫酸第一鉄を一度土壌に施用しておけば長期間植物病原菌、土壌病害虫を防除することができる。
【0025】
上記に付随して、土壌消毒後において当該土壌中に前記硫酸第一鉄が一定量残留するので、還元剤の施用は前記硫酸第一鉄の施用後である必要はない。農閑期に予め前記硫酸第一鉄を土壌に施用しておくことで、その後の降雨や降雪によって前記土壌が還元状態となり、次作の直前での土壌消毒を省略することが可能となる。或いは、病害の発生予測によっては、次作の前に還元剤を散布して更に土壌消毒を行ってもよい。
【0026】
この他、本実施形態では前記硫酸第一鉄を粒状に成形しているので、通常、農作業で用いられる肥料(苦土石灰、貝化石、ケイ酸カルシウム、バークたい肥など)、土壌改良剤(ゼオライト、珪藻土、緑色凝灰岩、腐植酸資材、バーミキュライト、ピートモスなどの土壌改良資材)を混用することで、土壌の消毒効果をより高めることが出来る。