【解決手段】 本発明の酸化染毛剤は、レブリン酸が配合されていることを特徴とするものである。本発明の酸化染毛剤は、酸化染料が配合された酸化染毛用第1剤と酸化剤が配合された酸化染毛用第2剤とが混合されてなり、上記酸化染毛用第1剤および/または上記酸化染毛用第2剤に、レブリン酸が配合されたものであることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の酸化染毛剤にはレブリン酸が配合されており、これを毛髪に塗布することで、毛髪を、内部が詰まったような厚みのある感触にすることができ、また、滑らかな感触とすることができる。
【0009】
酸化染毛剤におけるレブリン酸の配合量は、その使用による上記の効果を良好に確保する観点から、0.05質量%以上であることが好ましい。また、酸化染毛剤におけるレブリン酸の配合量は、例えば5質量%以下である。
【0010】
本発明の酸化染毛剤は、酸化染料による染毛能を有し、かつレブリン酸が配合されていればよく、その形態については特に制限はないが、酸化染料が配合された酸化染毛用第1剤と、酸化剤が配合された酸化染毛用第2剤とが、使用前に混合されて形成される形態のものが一般的である。この場合、レブリン酸は、酸化染毛用第1剤のみに配合されていてもよく、酸化染毛用第2剤のみに配合されていてもよく、酸化染毛用第1剤および酸化染毛用第2剤の両方に配合されていてもよい。
【0011】
以下、酸化染毛用第1剤と酸化染毛用第2剤とが混合されて形成される実施形態の酸化染毛剤について、詳細に説明する。
【0012】
(酸化染毛用第1剤)
本実施形態の酸化染毛用第1剤(以下、単に「第1剤」という場合がある)は、酸化染料が配合されたものである。なお、本実施形態の第1剤のうちの典型的なものは、水の配合量が70質量以上のものである。
【0013】
酸化染料としては、酸化反応によって単独で発色する公知の染料中間体、および染料中間体との重合によって色調を呈する公知のカップラーから選択される1種または2種以上が挙げられる。
【0014】
染料中間体としては、硫酸トルエン2,5−ジアミン、塩酸ニトロパラフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、酢酸N−フェニルパラフェニレンジアミン、トルエン−3,4−ジアミン、パラニトロオルトフェニレンジアミン、硫酸パラニトロオルトフェニレンジアミン、硫酸オルトクロルパラフェニレンジアミン、硫酸4,4’−ジアミノフェニルアミンなどのフェニレンジアミン誘導体;硫酸2,4−ジアミノフェノール、オルトアミノフェノール、パラアミノフェノール、硫酸パラメチルアミノフェノール、3,3’−イミノジフェノールなどのフェノール誘導体;などが挙げられる。
【0015】
カップラーとしては、塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール、メタフェニレンジアミン、硫酸パラニトロメタフェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン誘導体;硫酸5−アミノオルトクレゾール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、メタアミノフェノールなどのアミノフェノール誘導体;レゾルシン;などが挙げられる。
【0016】
本実施形態の第1剤における酸化染料の配合量は、例えば0.05質量%以上3.0質量%以下である。
【0017】
本実施形態の第1剤にレブリン酸を配合する場合、その配合量は、第2剤と混合して形成される酸化染毛剤中の配合量が上記の範囲を満たすように調整すればよい。
【0018】
本実施形態の第1剤には、染色性を高める観点から、アルカリ剤を配合することが好ましい。第1剤に配合可能なアルカリ剤としては、公知の酸化染毛用第1剤に使用されているものであれば特に制限はなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸塩;リン酸ナトリウムなどの金属リン酸塩;アンモニア;炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン;アルギニンなどの塩基性アミノ酸;などが挙げられ、例えば、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
【0019】
本実施形態の第1剤におけるアルカリ剤の配合量は、例えば0.01質量%以上20質量%以下である。
【0020】
本実施形態の第1剤には、酸化染毛剤としての機能を損なわない範囲で、必要に応じて、公知の第1剤と同様の成分を配合することができる。このような成分としては、例えば、高級アルコール、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、多価アルコール、炭化水素、油脂、酸化防止剤、キレート剤、直接染料などが挙げられる。
【0021】
第1剤に配合可能な高級アルコールとしては、セタノール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコールなどの、炭素数が12〜22のアルコールが挙げられ、例えば、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。第1剤における高級アルコールの配合量は、例えば2質量%以上15質量%以下である。
【0022】
第1剤に配合可能なノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられ。例えば、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。第1剤におけるノニオン界面活性剤の配合量は、例えば0.1質量%以上5質量%以下である。
【0023】
第1剤に配合可能なカチオン界面活性剤としては、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、トリ長鎖アルキルモノメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩などが挙げられ、例えば、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。第1剤におけるカチオン界面活性剤の配合量は、例えば0.1質量%以上3質量%以下である。
【0024】
第1剤に配合可能なアニオン界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、脂肪酸メチルタウリン塩、テトラデセンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、リン酸ジアルキル、リン酸ジアルケニル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルケニルエーテルリン酸などが挙げられ、例えば、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。第1剤におけるアニオン界面活性剤の配合量は、例えば0.1質量%以上5質量%以下である。
【0025】
第1剤に配合可能な多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ブチレングリコールなどが挙げられ、例えば、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。第1剤における多価アルコールの配合量は、例えば0.5質量%以上10質量%以下である。
【0026】
第1剤に配合可能な炭化水素としては、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられ、例えば、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。第1剤における炭化水素の配合量は、例えば0.1質量%以上5質量%以下である。
【0027】
第1剤に配合可能な油脂としては、硬化油、アーモンド油、アボガド油、オリーブ油、シア脂油、月見草油、ツバキ油、ピーナッツ油、ローズヒップ油などが挙げられ、例えば、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。第1剤における油脂の配合量は、例えば0.1質量%以上5質量%以下である。
【0028】
第1剤に配合可能な酸化防止剤としては、アスコルビン酸、亜硫酸塩などが挙げられる。
【0029】
第1剤に配合可能なキレート剤としては、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸およびその塩、エチレンジアミン四酢酸(エデト酸)およびその塩、ジエチレントリアミン五酢酸およびその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸およびその塩などが挙げられる。
【0030】
本実施形態の第1剤のpHは、例えば5以上12以下である。第1剤のpHは、公知のpH調整剤、上記アルカリ剤などの配合量を調整することで調節することができる。
【0031】
本実施形態の第1剤は、例えばクリーム状の剤型である。
【0032】
(酸化染毛剤用第2剤)
本実施形態の酸化染毛剤用第2剤(以下、単に「第2剤」という場合がある)は、酸化剤が配合されたものである。なお、本実施形態の第2剤のうちの典型的なものは、水の配合量が70質量以上のものである。
【0033】
第2剤に配合可能な酸化剤としては、過酸化水素、臭素酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩などが挙げられ、例えば、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。第2剤における酸化剤の配合量は、特に制限はないが、例えば1質量%以上10質量%以下である。
【0034】
本実施形態の第2剤にレブリン酸を配合する場合、その配合量は、第1剤と混合して形成される酸化染毛剤中の配合量が上記好適範囲を満たすように調整すればよい。
【0035】
更に、本実施形態の第2剤には、酸化染毛剤としての機能を損なわない範囲で、必要に応じて、高級アルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤(4級アンモニウム型界面活性剤など)、アニオン界面活性剤(リン酸塩型界面活性剤、硫酸塩型界面活性剤など)、多価アルコール、炭化水素、油脂(植物油など)、pH調整剤(有機酸など)などを配合することもできる。
【0036】
本実施形態の第2剤に高級アルコールを配合する場合、高級アルコールとしては、第1剤に配合可能なものとして先に例示した炭素数が12〜22のアルコールが挙げられ、例えば、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。第2剤における高級アルコールの配合量は、例えば1質量%以上15質量%以下である。
【0037】
また、本実施形態の第2剤にポリオキシエチレンアルキルエーテルを配合する場合、炭素数が12〜22のポリオキシエチレンアルキルエーテルのうちの1種または2種以上が配合される。炭素数が12〜22のポリオキシエチレンアルキルエーテルの第2剤における配合量は、例えば0.5〜5質量%である。
【0038】
本実施形態の第2剤のpHは、例えば2以上3以下である。第2剤のpHは、上記pH調整剤によって調節することができる。
【0039】
本実施形態の第2剤は、例えばクリーム状の剤型である。
【0040】
(酸化染毛剤)
本実施形態の酸化染毛剤を形成するに際しては、上記第1剤と上記第2剤との混合比率は、質量比で、第1剤:第2剤=1:1〜2とすればよい。
【0041】
本実施形態の酸化染毛剤は、公知の酸化染毛剤と同様の方法で使用することができる。
【0042】
以下には、本実施形態の酸化染毛剤の処方例(第1剤の処方例および第2剤の処方例)を示す。本実施形態の酸化染毛剤を形成するに際しては、以下のいずれか1つの第1剤と、いずれか1つの第2剤とを、組み合わせて使用する(第1剤である下記処方例1−1と組み合わせる第2剤は、下記処方例2−1〜2−128であり、第1剤である下記処方例1−2と組み合わせる第2剤は、下記処方例2−1〜2−128である。)。この際、混合する質量比率は、第1剤:第2剤=1:1である。
【0043】
(酸化染毛用第1剤の処方例)
カチオン界面活性剤を配合した酸化染毛用第1剤の処方例(処方例1−1)を表1に示す。処方例1−1のpHは、5、7、9または12である。すなわち、処方例1−1は、表1だけ確認すると一つの処方例しか認識できないが、実際は、pHが5の処方例1−1、pHが7の処方例1−1、pHが9の処方例1−1、およびpHが12の処方例1−1を表1に示している。処方例1−1は、表1に示す通り、酸化染料、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(5E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.)、親油性モノステアリン酸グリセリル、パラフィン、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール1000、塩化セチルトリメチルアンモニウム、プロピレングリコール、L−アスコルビン酸、無水亜硫酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、カチオン化セルロース、25%アンモニア水、炭酸水素アンモニウムおよび水を配合して得られる。この処方例1−1のpHは、pH調整剤を用いて設定される。
【0044】
また、アニオン界面活性剤を配合した酸化染毛用第1剤の処方例(処方例1−2)を表2に示す。処方例1−2のpHは、5、7、9または12である。すなわち、処方例1−2は、表2だけ確認すると一つの処方例しか認識できないが、実際は、pHが5の処方例1−2、pHが7の処方例1−2、pHが9の処方例1−2、およびpHが12の処方例1−2を表2に示している。処方例1−2は、表2に示す通り、酸化染料、ステアリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、リン酸ジセチル、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(21E.O.)、プロピレングリコール、キサンタンガム、L−アスコルビン酸、無水亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩、25%アンモニア水、炭酸水素アンモニウムおよび水を配合して得られる。この処方例1−2のpHは、pH調整剤を用いて設定される。
【0045】
以下の表1および表2に記載する第1剤の各配合成分の配合量は質量部であるが、その質量部の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。また、表1および表2の精製水の欄の「計100とする」とは、第1剤に配合される精製水以外の各成分の合計量に、精製水の量を加えて100%にしたことを意味している。更に、表1における「ポリオキシエチレンベヘニルエーテル」および「ポリオキシエチレンセチルエーテル」、並びに表2における「ポリオキシエチレンステアリルエーテル」の後の括弧内の数値は、酸化エチレンの平均付加モル数を意味している。また、表1における「カチオン化セルロース」は、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースである。
【0048】
(酸化染毛用第2剤の処方例)
酸化染毛用第2剤の処方例(処方例2−1〜2−128)を表3〜表15に示す。処方例2−1〜2−128のpHは、2以上3以下である。処方例2−1〜2−128は、表3〜15に示す通り、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ポリオキシエチレンセチルエーテル(5.5E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(2E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(21E.O.)、ポリオキシエチレンセトステアリルエーテル(25E.O.)、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(5E.O.)、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(10E.O.)、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、リン酸ジセチル、リン酸ジステアリル、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸(10E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸(20E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸(15E.O.)、ラウリル硫酸ナトリウム、サラシミツロウ、ラノリン、杏仁油、ホホバ油、流動パラフィン、パラフィン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ヒドロキシエタンジホスホン酸液、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム液、フェノキシエタノール、過酸化水素、レブリン酸、乳酸、クエン酸および水から選定した成分を配合して得られる。この処方例2−1〜2−128のpHは、pH調整剤を用いて設定される。
【0049】
以下の表3〜表15に記載する第2剤の各配合成分の配合量は質量部であるが、その質量部の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。また、表3〜表15の精製水の欄の「計100とする」とは、第2剤に配合される精製水以外の各成分の合計量に、精製水の量を加えて100%にしたことを意味している。更に、表3〜表15における「ポリオキシエチレンセチルエーテル」、「ポリオキシエチレンステアリルエーテル」、「ポリオキシエチレンセトステアリルエーテル」、「ポリオキシエチレンベヘニルエーテル」、「ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸」および「ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸」の後の括弧内の数値は、酸化エチレンの平均付加モル数を意味している。