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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-197496(P2020-197496A)
(43)【公開日】2020年12月10日
(54)【発明の名称】トルクセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20201113BHJP
【FI】
   G01L3/10 301J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-105165(P2019-105165)
(22)【出願日】2019年6月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 晃大
(72)【発明者】
【氏名】小野 潤司
(57)【要約】
【課題】センサ性能をより向上させることができる磁歪式のトルクセンサの構造を実現する。
【解決手段】トルクセンサ1は、トルクが負荷される磁歪材であるトルク伝達軸2の被検出部3の外径側に配置される環状のコイルユニット4と、該コイルユニット4に結合されたバックヨーク5とを備える。コイルユニット4は、被検出部3を通過する磁束を発生するコイル部を含む円筒状の本体部6を有する。バックヨーク5は、磁性粉が混入したゴムである磁性ゴムにより、全体を一体に、かつ、全周がつながった環状に構成されたものであって、本体部6の外周面を覆う外周覆い部8と、該外周覆い部8の軸方向両端部から径方向内方に折れ曲がり、かつ、本体部6の軸方向両側面を覆う1対の側面覆い部9a、9bとを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクが負荷される磁歪材の外径側に配置される環状のコイルユニットと、該コイルユニットに結合されたバックヨークとを備えた磁歪式のトルクセンサであって、
前記コイルユニットは、前記磁歪材を通過する磁束を発生するコイル部を含む円筒状の本体部を有し、
前記バックヨークは、磁性粉が混入したゴムである磁性ゴムにより、全体を一体に、かつ、全周がつながった環状に構成されたものであって、前記本体部の外周面を覆う外周覆い部と、該外周覆い部の軸方向両端部から径方向内方に折れ曲がり、かつ、前記本体部の軸方向両側面を覆う1対の側面覆い部とを有する、
トルクセンサ。
【請求項2】
前記コイルユニットは、前記本体部の周方向1箇所から軸方向及び/又は径方向外方に突出し、かつ、配線の接続端子が接続される端子台をさらに有し、
前記バックヨークは、前記端子台を係合させることで該端子台のうち前記接続端子が接続される部分を前記バックヨークから露出させる端子台係合部をさらに有する、
請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項3】
前記端子台は、前記本体部の軸方向中間部の周方向1箇所から径方向外方に突出しており、
前記1対の側面覆い部は、前記本体部の軸方向両側面の全周を覆っている、
請求項2に記載のトルクセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトルク伝達軸が伝達しているトルクを測定するための磁歪式のトルクセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の高効率化、低燃費化を進めるべく、エンジンの最適な出力制御(ハイブリッド自動車におけるモータと同調した出力制御を含む)を行うために、エンジンの出力トルクを測定することが求められている。エンジンの出力トルクを測定する方法としては、例えば、エンジンの下流側に存在する何れかのトルク伝達軸が伝達しているトルクを測定することが考えられる。
【0003】
一方、トルク伝達軸が伝達しているトルクを測定するためのトルクセンサとして、磁歪式のトルクセンサが知られている。図11は、例えば特開2009−210325号公報などに記載されて従来から知られている磁歪式のトルクセンサの1例を示している。図11に示した磁歪式のトルクセンサ100は、磁歪材であるトルク伝達軸101の外径側に配置された円筒状のコイルユニット102と、コイルユニット102の外径側に配置された磁性材製で円筒状のバックヨーク103とを備えている。
【0004】
コイルユニット102は、具体的な構造の図示は省略するが、環状のコイル部と、該コイル部を保持する合成樹脂製のコイルホルダとを含んで、全体を円筒状に構成されている。前記コイル部は、通電により磁束を発生させる機能を有している。バックヨーク103は、前記コイル部により発生した磁束の磁路として機能することにより、該コイル部により発生した磁束のうち、トルク伝達軸101を通過しない磁束を減らして、トルク伝達軸101を通過する磁束、すなわち、バックヨーク103とトルク伝達軸101との間で還流する磁束(図11の矢印α参照)を増やすものである。
【0005】
トルク伝達軸101にトルクが負荷され、トルク伝達軸101が弾性的に捩れ変形すると、逆磁歪効果に基づいてトルク伝達軸101の透磁率が変化し、これに伴って、前記コイル部のインダクタンスが変化する。したがって、トルク伝達軸101の透磁率の変化を、前記コイル部のインダクタンスの変化として検出することにより、トルク伝達軸101が伝達するトルクを測定することができる。特に、図示の構造では、バックヨーク103によって、トルク伝達軸101を通過する磁束、すなわち、トルク伝達軸101とバックヨーク103との間で還流する磁束を増やすことができるため、その分、センサ性能を向上させることができる。具体的には、トルク測定に関して、感度を向上させたり、誤差を低減したり、ノイズを低減したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−210325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図11に示したトルクセンサ100を構成するバックヨーク103は、磁性体金属板製、フェライト磁心、圧粉磁心といった、弾性変形しにくい又は弾性変形しない部材である。このため、図11に示したトルクセンサ100においては、組み立ての都合上、バックヨーク103を単なる円筒状に構成することで、バックヨーク103の内径側にコイルユニット102を軸方向から挿入できるようにしている。
【0008】
しかしながら、図11に示したトルクセンサ100のように、バックヨーク103を単なる円筒状に構成すると、バックヨーク103とトルク伝達軸101との間隔(エアギャップ)Gが大きくなる。このため、バックヨーク103の外径側(径方向に関してトルク伝達軸101と反対側)に漏れる磁束(図11の矢印β参照)が発生することを避けられない。すなわち、図11に示したトルクセンサ100は、トルク伝達軸101とバックヨーク103との間で還流する磁束の量を増やし、センサ性能のより一層の向上を図る面からは、さらなる改良の余地がある。
【0009】
本発明は、上述したような事情に鑑み、センサ性能をより向上させることができる磁歪式のトルクセンサの構造を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のトルクセンサは、磁歪式であり、トルクが負荷される磁歪材の外径側に配置される環状のコイルユニットと、該コイルユニットに結合されたバックヨークとを備える。
前記コイルユニットは、前記磁歪材を通過する磁束を発生するコイル部を含む円筒状の本体部を有する。なお、該本体部は、例えば、前記コイル部と、該コイル部を保持する非磁性材製のコイルホルダとを組み合わせることによって、円筒状に構成することができる。なお、前記本体部は円筒状であるが、該本体部に含まれる前記コイル部の全体形状は、必ずしも全周がつながった円形状である必要はない。すなわち、前記コイル部の全体形状は、全周がつながった円形状であっても良いし、例えば半円形状などの円弧形状であっても良い。
前記バックヨークは、磁性粉が混入したゴムである磁性ゴムにより、全体を一体に、かつ、全周がつながった環状に構成されたものであって、前記本体部の外周面を覆う外周覆い部と、該外周覆い部の軸方向両端部から径方向内方に折れ曲がり、かつ、前記本体部の軸方向両側面を覆う1対の側面覆い部とを有する。
【0011】
本発明のトルクセンサにおいては、前記コイルユニットは、前記本体部の周方向1箇所から軸方向及び/又は径方向外方に突出し、かつ、配線の接続端子が接続される端子台をさらに有し、前記バックヨークは、前記端子台を係合させることで該端子台のうち前記接続端子が接続される部分を前記バックヨークから露出させる端子台係合部をさらに有する構成を採用することができる。
【0012】
この場合には、前記端子台は、前記本体部の軸方向中間部の周方向1箇所から径方向外方に突出しており、前記1対の側面覆い部は、前記本体部の軸方向両側面の全周を覆っている構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のトルクセンサによれば、センサ性能をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施の形態の第1例のトルクセンサをトルク伝達軸の周囲に配置した状態で示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態の第1例のトルクセンサをトルク伝達軸の周囲に配置した状態で軸方向から見た図である。
図3図3は、図2のA−A断面図である。
図4図4は、図2のB−B断面図である。
図5図5(a)は、実施の形態の第1例のトルクセンサを構成するコイルユニットを軸方向から見た図であり、図5(b)は、図5(a)のC−C断面図である。
図6図6(a)は、実施の形態の第1例のトルクセンサを構成するバックヨークを軸方向から見た図であり、図6(b)は、図6(a)のD−D断面図であり、図6(c)は、図6(a)のE−E断面図である。
図7図7は、実施の形態の第2例のトルクセンサをトルク伝達軸の周囲に配置した状態で示す斜視図である。
図8図8は、実施の形態の第2例のトルクセンサをトルク伝達軸の周囲に配置した状態で軸方向から見た図である。
図9図9は、図8のF−F断面図である。
図10図10は、図8のG−G断面図である。
図11図11は、従来から知られているトルクセンサの1例をトルク伝達軸の周囲に配置した状態で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1図6を用いて説明する。
【0016】
本例の磁歪式のトルクセンサ1は、自動車のパワートレインのうち、エンジンの下流側に存在するトルク伝達軸2が伝達しているトルクを測定するために用いられる。
【0017】
磁歪材であるトルク伝達軸2は、軸方向一部の外周面に、軸方向に関して外径が変化しない円筒面である被検出部3を備える。トルク伝達軸2は、少なくとも被検出部3を含む一部又は全体が、磁歪特性を有する材料、例えば、SC(機械構造用炭素鋼)、SUS(ステンレス鋼)、SCr(クロム鋼)、SCM(クロムモリブデン鋼)、SNCM(ニッケルクロムモリブデン鋼)などの磁歪特性の良い鉄鋼により造られている。
【0018】
トルクセンサ1は、全体を円筒状に構成されている。トルクセンサ1は、図1図4に示すように、トルク伝達軸2の被検出部3の外径側に、被検出部3と同軸に配置することで、内周面を被検出部3に近接対向させている。また、この状態で、トルクセンサ1は、図示しないハウジングなどの非回転部材に支持されている。
【0019】
トルクセンサ1は、コイルユニット4と、バックヨーク5とを備える。なお、以下の説明では、トルクセンサ1の軸方向に関して、図1図3図4図5(b)、図6(b)、図6(c)の左側を一方側とし、図1図3図4図5(b)、図6(b)、図6(c)の右側を他方側とする。
【0020】
コイルユニット4は、図3図5に示すように、円筒状の本体部6と、本体部6の軸方向一方側端部の周方向1箇所に結合された端子台7とを有する。
【0021】
本体部6は、具体的な構造の図示は省略するが、環状(具体的には全体形状が円形状)のコイル部と、該コイル部を保持する合成樹脂製のコイルホルダとを含んで円筒状に構成されている。前記コイル部は、例えば、前記コイルホルダに外嵌又は内嵌したり、前記コイルホルダに包埋したりすることで、前記コイルホルダに保持されている。前記コイル部は、通電により磁束を発生させる機能を有している。このような本体部6の内周面は、被検出部3に近接対向している。また、トルクセンサ1の使用状態で、前記コイル部から発生した磁束の一部は、被検出部3を通過する。なお、前記コイル部の全体形状は、例えば半円形状などの円弧形状とすることもできる。
【0022】
端子台7は、前記コイル部への通電を行う図示しない配線(ケーブル)の接続端子を接続するためのものであり、該接続端子を接続した状態で、トルク伝達軸2が伝達するトルクを測定するための測定回路と前記コイル部とが導通される。端子台7は、軸方向から見た形状が扇形であり、本体部6の軸方向一方側端部の周方向1箇所から軸方向一方側に突出している。また、端子台7は、径方向内側面が本体部6の内周面と同一円筒面内に配置されており、径方向外側部が本体部6の外周面よりも径方向外側に突出している。なお、端子台7に対する前記配線の接続端子の接続は、例えば、軸方向片側から行うようにすることもできるし、径方向外側から行うようにすることもできる。また、端子台は、本例の形状と異なる任意の形状を採用することができる。また、端子台は、本体部の外周面よりも径方向外側に突出しておらず、本体部の軸方向側面から軸方向にのみ突出していてもよい。
【0023】
バックヨーク5は、図1図6に示すように、磁性材料によって、全体を一体に、かつ、全周がつながった環状に構成されている。特に、本例では、バックヨーク5を構成する磁性材料として、フェライト粉などの磁性粉が混入したニトリルブタジエンゴム(NBR)などのゴムである、磁性ゴムを用いている。該磁性ゴム中の磁性粉の割合は、例えば40〜90体積%とすることができる。また、バックヨーク5は、例えば射出成形により造ることができる。
【0024】
本例では、バックヨーク5は、コイルユニット4とは別個に造られた後、コイルユニット4に対して、本体部6の外周面及び軸方向両側面を覆うように組み付けられている。このようなバックヨーク5は、外周覆い部8と、1対の側面覆い部9a、9bとを有する。
【0025】
外周覆い部8は、全周がつながった円筒状に構成されており、本体部6の外周面を軸方向全長及び全周にわたり覆っている。1対の側面覆い部9a、9bのうちの一方の側面覆い部9aは、外周覆い部8の軸方向一方側部から径方向内側に折れ曲がり、本体部6の軸方向一方側側面を覆っている。すなわち、一方の側面覆い部9aは、周方向1箇所に不連続部を有する欠円輪状に構成されており、該不連続部を軸方向から見た形状が扇形の端子台係合部10としている。そして、一方の側面覆い部9aは、端子台係合部10に端子台7を周方向のがたつきなく係合させた状態で、本体部6の軸方向一方側側面のうち、端子台7から周方向に外れた部分を覆っている。1対の側面覆い部9a、9bのうちの他方の側面覆い部9bは、外周覆い部8の軸方向他方側部から径方向内側に折れ曲がり、本体部6の軸方向他方側側面を全周にわたり覆っている。すなわち、他方の側面覆い部9aは、全周がつながった円輪状に構成されている。また、1対の側面覆い部9a、9bの内周面は、本体部6の内周面と同一円筒面内に配置されており、被検出部3に近接対向している。
【0026】
上述したようなバックヨーク5は、前記コイル部により発生した磁束の磁路として機能することにより、該コイル部から発生した磁束のうち、被検出部3を通過しない磁束を減らして、被検出部3を通過する磁束、すなわち、バックヨーク5と被検出部3との間で還流する磁束(図3及び図4の矢印α参照)を増やすものである。
【0027】
上述のようなトルクセンサ1を組み立てる際には、磁性ゴム製のバックヨーク5を弾性的に拡径させつつ、バックヨーク5の内径側にコイルユニット4を軸方向から挿入した後、バックヨーク5を弾性的に復元させて縮径させることで、コイルユニット4にバックヨーク5を組み付ける。そして、このように組み付けた状態で、外周覆い部8により本体部6の外周面を覆うとともに、1対の側面覆い部9a、9bにより本体部6の軸方向両側面を覆う。また、端子台係合部10に端子台7を周方向のがたつきなく係合させて、端子台7の軸方向一方側面及び外周面をバックヨーク5から露出させる。本例では、端子台係合部10と端子台7との係合によって、コイルユニット4とバックヨーク5との相対回転を阻止することができる。なお、図示の例では、端子台7の径方向外側部がバックヨーク5の外周面よりも径方向外側に突出しているとともに、端子台7の軸方向一方側部がバックヨーク5の軸方向一方側の側面よりも軸方向一方側に突出している。ただし、端子台の径方向外側部をバックヨークの外周面よりも径方向外側に突出させない構成や、端子台の軸方向一方側部をバックヨークの軸方向一方側の側面よりも軸方向一方側に突出させない構成を採用することもできる。
【0028】
本例のトルクセンサ1の使用時に、トルク伝達軸2にトルクが負荷され、磁歪材である被検出部3が弾性的に捩れ変形すると、逆磁歪効果に基づいて被検出部3の透磁率が変化し、これに伴って、前記コイル部のインダクタンスが変化する。したがって、被検出部3の透磁率の変化を、前記コイル部のインダクタンスの変化として検出することにより、トルク伝達軸2が伝達するトルクを測定することができる。
【0029】
特に、本例では、バックヨーク5は、円筒状の外周覆い部8だけでなく、外周覆い部8の軸方向両端部から径方向内方に折れ曲がった1対の側面覆い部9a、9bを有しており、バックヨーク5と被検出部3との間隔(エアギャップ)Gが、1対の側面覆い部9a、9bの内周面と被検出部3との間で十分に小さくなっている。このため、前述の図11に示すような、円筒状のバックヨーク103を用いた構造と比較して、被検出部3を通過しない漏れ磁束を減らすことができ、被検出部3を通過する磁束、すなわち、バックヨーク5と被検出部3との間で還流する磁束を増やすことができる。したがって、その分、センサ性能を向上させること、具体的には、トルク測定に関して、感度を向上させたり、誤差を低減したり、ノイズを低減したりすることができる。
【0030】
また、本例では、バックヨーク5は、図4から明らかなように、軸方向両端部に1対の側面覆い部9a、9bを有しており、該側面覆い部9a、9bの内径が、コイルユニット4の外径よりも小さくなっている。このようなバックヨーク5を、仮に、フェライト磁心や圧粉磁心などの脆性が高い(割れやすい)部材とする場合には、バックヨーク5を弾性的に拡径させることができないため、バックヨーク5の構造を、軸方向や周方向に分割できる構造としなければ、バックヨーク5をコイルユニット4に組み付けることができなくなる。しかしながら、バックヨーク5の構造を、軸方向や周方向に分割できる構造とすると、分割箇所に生じる微小隙間によって、バックヨーク5の存在に基づくセンサ性能の向上の効果が低下する可能性がある。
【0031】
これに対して、本例では、バックヨーク5を磁性ゴム製の部材としているため、バックヨーク5を弾性的に拡径させることができる。したがって、本例では、バックヨーク5の構造を、軸方向や周方向に分割できる構造とせず、全体を一体に、かつ、全周がつながった環状の構造としていながらも、バックヨーク5を弾性的に拡径させることに基づいて、バックヨーク5をコイルユニット4に組み付けることができる。このような本例の構造では、バックヨーク5が、分割箇所(微小隙間)を有していないため、その分、バックヨーク5の存在に基づくセンサ性能の向上の効果を高くすることができる。
【0032】
また、本例では、バックヨーク5を磁性ゴム製の部材としているため、例えば、バックヨーク5をハウジングに締り嵌めで内嵌したり、トルクセンサ1の単体の状態でバックヨーク5が他の物体にぶつかったりしても、バックヨーク5の割れを防ぐことができる。したがって、トルクセンサ1の取り扱い性を良くすることができる。また、バックヨーク5の割れを防ぐことができるため、バックヨーク5の割れを防ぐことを目的として、バックヨーク5の肉厚を大きくする必要がない。すなわち、本例では、バックヨーク5の肉厚を小さくすることができるため、その分、バックヨーク5の材料である磁性ゴムの量を少なくしてコストを抑えたり、トルクセンサ1を小型に構成したりすることができる。
【0033】
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図7図10を用いて説明する。
【0034】
本例の磁歪式のトルクセンサ1aでは、コイルユニット4aは、円筒状の本体部6の軸方向中間部の周方向1箇所に、軸方向から見た形状が扇形の端子台7aを結合している。すなわち、端子台7aは、本体部6の軸方向中間部の周方向1箇所から径方向外方に突出している。また、バックヨーク5aは、外周覆い部8aの軸方向中間部の周方向1箇所に、該1箇所を径方向に貫通し、かつ、周方向に伸長する矩形孔である、端子台係合部10aを有する。そして、端子台係合部10aに端子台7aを径方向内側から挿通することで、端子台係合部10aに端子台7aを周方向及び軸方向のがたつきなく係合させている。また、この状態で、端子台7aの径方向外側部は、外周覆い部8aの外周面よりも径方向外側に突出している。本例では、端子台7aに対する配線の接続端子の接続は、径方向外側から行うようにしている。また、本例では、バックヨーク5aの軸方向両端部を構成する1対の側面覆い部9bのそれぞれは、全周がつながった円輪状に構成されており、本体部6の軸方向側面の全周(全体)を覆っている。なお、端子台は、本例の形状と異なる任意の形状を採用することができる。また、端子台の径方向外側部をバックヨークの外周覆い部よりも径方向外側に突出させない構成を採用することもできる。
【0035】
上述のような本例のトルクセンサ1aでは、バックヨーク5aの軸方向他方側端部を構成する側面覆い部9bだけでなく、バックヨーク5aの軸方向一方側端部を構成する側面覆い部9bも、全周がつながった円輪状に構成されている。このため、本例では、実施の形態の第1例に比べて、バックヨーク5aの軸方向一方側端部から外径側に回る磁束(漏れ磁束)をより十分に減らすことができる。したがって、その分、センサ性能をより向上させることができる。
その他の構成及び作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
【0036】
上述した実施の形態の各例では、トルクセンサの製造方法として、コイルユニットとバックヨークとを別個に造った後、コイルユニットに対してバックヨークを組み付ける方法を採用した。ただし、本発明を実施する場合には、トルクセンサの製造方法として、インサート成形によりコイルユニットに対してバックヨークを結合する方法、すなわち、バックヨークを射出成形により造るのと同時に、コイルユニットに対して結合する方法を採用することもできる。
【0037】
また、本発明を実施する場合、トルクセンサを構成するコイルユニットの構造は、特に限定されず、磁歪材を通過する磁束(磁歪材とバックヨークとの間で還流する磁束)を発生するコイル部を含むものであれば、公知構造を含む、各種構造のものを採用することができる。また、磁歪材は、トルク伝達軸そのものに限らず、例えば、トルク伝達軸の外周面のうちコイル部と径方向に対向する部分に固定された磁歪膜や、トルク伝達軸に外嵌固定されたスリーブなどであっても良い。
【0038】
本発明のトルクセンサを自動車のパワートレインの一部に設置する場合、具体的な設置箇所は、特に問わない。例えば、本発明のトルクセンサは、オートマチックトランスミッション(AT)、ベルト式無段変速機、トロイダル型無段変速機、オートマチックマニュアルトランスミッション(AMT)、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)などの車側の制御で変速を行うトランスミッションや、トランスファーや、マニュアルトランスミッション(MT)に設置することができる。また、対象となる車両の駆動方式(FF、FR、MR、RR、4WDなど)も、特に問わない。
また、本発明のトルクセンサは、自動車のパワートレインに限らず、例えば、風車、圧延機、鉄道車両、工作機械、建設機械、農業機械、家庭用電気器具、モータなど、各種機械装置に組み込んで使用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1、1a トルクセンサ
2 トルク伝達軸
3 被検出部
4、4a コイルユニット
5、5a バックヨーク
6 本体部
7、7a 端子台
8、8a 外周覆い部
9a、9b 側面覆い部
10、10a 端子台係合部
100 トルクセンサ
101 トルク伝達軸
102 コイルユニット
103 バックヨーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11