【課題】カメラ本体に取り付けられるレンズ鏡筒において、レンズ鏡筒の後端部に、光軸方向に移動する部材が配置されていても、レンズ鏡筒の後端部の外径を小さくすることが可能なレンズ鏡筒を提供する。
【解決手段】レンズ鏡筒1は、固定筒3と、固定筒3の内周側に配置され固定筒3に対して光軸方向へ移動可能なレンズ保持枠14と、固定筒3の外周側に配置され固定筒3に対してレンズ保持枠14と一緒に光軸方向へ移動可能なガイド筒17と、固定筒3の外周側に配置され固定筒3に対して回動可能な回動筒18とを備えている。ガイド筒17の前端部および回動筒18は、レンズ保持枠14とガイド筒17とを繋ぐ連結部41よりも前側に配置され、ガイド筒17の前端部と回動筒18との間には、回動筒18の回動動作をガイド筒17の直進動作に変換してガイド筒17およびレンズ保持枠14を光軸方向に移動させるための動力伝達機構26が設けられている。
前記光軸方向において前記第1レンズ保持枠に保持される前記レンズと前記第2レンズ保持枠に保持される前記レンズとの間に配置され、開口絞りの口径を変化させる絞り機構を備えることを特徴とする請求項5から10のいずれかに記載のレンズ鏡筒。
前記第3レンズ保持枠は、前記第3レンズ保持枠に保持される前記レンズが固定されるレンズ固定部材と、前記レンズ固定部材の外周側で前記レンズ固定部材を保持するとともに前記固定筒に固定される筒状の保持部材と、前記固定筒に対する前記レンズ固定部材の、前記固定筒の径方向における位置を調整するための調整用ネジとを備え、
前記保持部材には、前記調整用ネジが螺合するネジ穴が形成され、
前記ネジ穴は、前記保持部材の径方向で前記保持部材を貫通し、
前記固定筒には、前記調整用ネジを回すための工具を通過させる貫通穴が形成され、
前記貫通穴は、前記固定筒の径方向で前記固定筒を貫通するとともに、前記光軸方向において前記回動筒および前記ガイド筒とずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項9、10または12に記載のレンズ鏡筒。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のレンズ鏡筒では、レンズ鏡筒の後端部に配置される第2伝達筒を光軸方向に移動させるために、第2伝達筒の外周面に規制ローラが取り付けられている。また、このレンズ鏡筒では、カム溝部が形成された第1伝達筒が第2伝達筒の外周側に配置されている。そのため、特許文献1に記載のレンズ鏡筒では、レンズ鏡筒の後端部(すなわち、レンズ鏡筒の、カメラ本体に取り付けられる側の部分)の外径が大きくなるおそれがある。また、レンズ鏡筒の後端部の外径が大きくなると、カメラ本体の内部に配置される各種の構成部品とレンズ鏡筒の後端部とが干渉するおそれがあるため、カメラ本体の内部に配置される構成部品の配置の自由度が低下するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、カメラ本体に取り付けられるレンズ鏡筒において、レンズ鏡筒の後端部(レンズ鏡筒の、カメラ本体に取り付けられる側の部分)に、光軸方向に移動する部材が配置されていても、レンズ鏡筒の後端部の外径を小さくすることが可能なレンズ鏡筒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明のレンズ鏡筒は、カメラ本体に取り付けられるレンズ鏡筒において、筒状に形成されカメラ本体に固定される固定筒と、レンズを保持し固定筒の内周側に配置されるとともに固定筒に対してレンズの光軸方向へ移動可能な第1レンズ保持枠と、筒状に形成され固定筒の外周側に配置されるとともに固定筒に対して第1レンズ保持枠と一緒に光軸方向へ移動可能なガイド筒と、筒状に形成され固定筒の外周側に配置されるとともに固定筒に対して光軸方向を回動の軸方向として回動可能な回動筒とを備え、光軸方向のうちの、カメラ本体に取り付けられる側を後ろ側とし、後ろ側の反対側を前側とすると、ガイド筒の前端部および回動筒は、第1レンズ保持枠とガイド筒とを繋ぐ連結部よりも前側に配置され、ガイド筒の前端部と回動筒との間には、回動筒の回動動作を光軸方向へのガイド筒の直進動作に変換してガイド筒および第1レンズ保持枠を光軸方向に移動させるための第1動力伝達機構が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明のレンズ鏡筒では、第1レンズ保持枠とガイド筒とを繋ぐ連結部よりも前側に配置されるガイド筒の前端部と回動筒との間に、ガイド筒および第1レンズ保持枠を光軸方向に移動させる第1動力伝達機構が設けられている。そのため、本発明では、第1レンズ保持枠の、連結部よりも後ろ側の部分の外周側にカム等の動力伝達機構を設ける必要がない。したがって、本発明では、固定筒に対して光軸方向に移動する第1レンズ保持枠がレンズ鏡筒の後端部に配置されていても、レンズ鏡筒の後端部の外径を小さくすることが可能になる。
【0011】
本発明において、第1動力伝達機構は、ヘリコイド機構であることが好ましい。このように構成すると、カム溝とカム溝に係合するカムフォロアとから第1動力伝達機構が構成されている場合と比較して、レンズ鏡筒の径方向において第1動力伝達機構を小型化することが可能になる。
【0012】
本発明において、ガイド筒の前端部は、回動筒の外周側に配置され、ヘリコイド機構は、回動筒の外周面に形成される雄ヘリコイドネジと、ガイド筒の前端部の内周面に形成され雄ヘリコイドネジに螺合する雌ヘリコイドネジとから構成されていることが好ましい。このように構成すると、ガイド筒の前端部が回動筒の内周側に配置されていて、ヘリコイド機構が、ガイド筒の前端部の外周面に形成される雄ヘリコイドネジと、回動筒の内周面に形成される雌ヘリコイドネジとから構成されている場合と比較して、回動筒およびガイド筒の構成を簡素化することが可能になる。
【0013】
本発明において、連結部は、第1レンズ保持枠またはガイド筒に形成または固定される連結用突起を備え、固定筒には、固定筒の径方向で固定筒を貫通するとともに光軸方向を長手方向とする長穴状の第1ガイド穴が形成され、第1ガイド穴には、連結用突起の一部が配置されていることが好ましい。このように構成すると、第1レンズ保持枠とガイド筒とを繋ぐための連結用突起を用いた比較的簡易な構成で、互いに繋がった状態の第1レンズ保持枠およびガイド筒を光軸方向に案内することが可能になる。また、このように構成すると、連結用突起と第1ガイド穴とを用いて、光軸方向を回動の軸方向とする第1レンズ保持枠の回動を防止することが可能になるため、レンズ鏡筒の光学性能の低下を抑制することが可能になる。
【0014】
本発明において、レンズ鏡筒は、レンズを保持し固定筒に対して光軸方向へ移動可能な第2レンズ保持枠を備え、第2レンズ保持枠は、回動筒および固定筒の内周側に配置されるとともに第1レンズ保持枠よりも前側に配置され、第2レンズ保持枠と回動筒との間には、回動筒の回動動作を光軸方向への第2レンズ保持枠の直進動作に変換して第2レンズ保持枠を光軸方向に移動させるための第2動力伝達機構が設けられていることが好ましい。このように構成すると、共通の回動筒を用いて、第1レンズ保持枠と第2レンズ保持枠とを一緒に光軸方向に移動させることが可能になる。したがって、レンズ鏡筒の構成を簡素化することが可能になる。
【0015】
本発明において、第2動力伝達機構は、カム溝と、カム溝に係合するカムフォロアとから構成されていることが好ましい。このように構成すると、第2動力伝達機構がヘリコイド機構である場合と比較して第2動力伝達機構の構成を簡素化することが可能になる。すなわち、第2動力伝達機構がヘリコイド機構である場合には、たとえば、固定筒の外周側に配置されるとともに固定筒に対して第2レンズ保持枠と一緒に光軸方向へ移動する部材であって、光軸方向の長さが比較的長くなっている部材を別途設ける必要が生じるが、第2動力伝達機構がカム溝とカムフォロアとから構成されている場合には、このような部材を別途設ける必要がなくなる。したがって、第2動力伝達機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0016】
本発明において、ガイド筒の前端部は、回動筒の外周側に配置され、第1動力伝達機構は、回動筒の外周面に形成される雄ヘリコイドネジと、ガイド筒の前端部の内周面に形成され雄ヘリコイドネジに螺合する雌ヘリコイドネジとから構成されるヘリコイド機構であり、カム溝は、回動筒の内周面に形成されていることが好ましい。このように構成すると、回動筒の外周面に雄ヘリコイドネジが形成され、回動筒の内周面にカム溝が形成されているため、共通の回動筒を用いて、第1レンズ保持枠と第2レンズ保持枠とを一緒に光軸方向に移動させることが可能であっても、雄ヘリコイドネジおよびカム溝を容易に形成することが可能になる。
【0017】
本発明において、カムフォロアは、第2レンズ保持枠に取り付けられ、固定筒には、固定筒の径方向で固定筒を貫通するとともに光軸方向を長手方向とする長穴状の第2ガイド穴が形成され、第2ガイド穴には、カムフォロアの一部が配置されていることが好ましい。このように構成すると、カムフォロアを用いた比較的簡易な構成で第2レンズ保持枠を光軸方向に案内することが可能になる。また、このように構成すると、カムフォロアと第2ガイド穴とを用いて、光軸方向を回動の軸方向とする第2レンズ保持枠の回動を防止することが可能になるため、レンズ鏡筒の光学性能の低下を抑制することが可能になる。
【0018】
本発明において、レンズ鏡筒は、たとえば、レンズを保持し固定筒の内周側に配置される第3レンズ保持枠を備え、第3レンズ保持枠に保持されるレンズは、光軸方向において第1レンズ保持枠に保持されるレンズと第2レンズ保持枠に保持されるレンズとの間に配置されている。この場合には、第1レンズ保持枠と第2レンズ保持枠との間に、別のレンズ保持枠である第3レンズ保持枠が配置されているため、フォーカスやズームの際の移動群の構成バリエーションを増やすことが可能になる。第3レンズ保持枠は、固定筒に固定されていても良いし、第1レンズ保持枠および第2レンズ保持枠とは独立して移動しても良いし、第1レンズ保持枠および第2レンズ保持枠と一緒に移動しても良い。また、第3レンズ保持枠が複数設けられていても良い。
【0019】
本発明において、固定筒には、固定筒の径方向の外側に突出する規制用突起が形成または固定され、回動筒には、回動筒の周方向を長手方向とする長穴状の規制穴が形成され、規制穴には、規制用突起の少なくとも一部が配置され、規制穴と規制用突起とによって、固定筒に対する回動筒の光軸方向への移動が規制されていることが好ましい。このように構成すると、規制用突起と規制穴とを用いた比較的簡易な構成で、固定筒に対する回動筒の光軸方向への移動を規制することが可能になる。
【0020】
本発明において、レンズ鏡筒は、たとえば、光軸方向において第1レンズ保持枠に保持されるレンズと第2レンズ保持枠に保持されるレンズとの間に配置され、開口絞りの口径を変化させる絞り機構を備えている。この場合には、回動筒の回動によって光軸方向に移動する第1レンズ保持枠と第2レンズ保持枠との間に、別の駆動機構を必要とする絞り機構が配置されているため、光学系全体の設計自由度を向上させることが可能になるとともに、レンズ鏡筒の機械的構成の自由度を向上させることが可能になる。
【0021】
本発明において、レンズ鏡筒は、たとえば、レンズを保持し固定筒の内周側に配置される複数の第3レンズ保持枠を備え、絞り機構は、光路用の開口が形成される環状の地板と、地板に回動可能に取り付けられる複数枚の絞り羽根とを備え、地板は、第3レンズ保持枠に固定されている。この場合には、地板を固定筒へ直接固定する場合と比較して、第1レンズ保持枠または第2レンズ保持枠と絞り機構との干渉を抑制することが可能となる。特に、第1レンズ保持枠とガイド筒との連結部よりも後方寄りに絞り機構が配置されている場合には、固定筒と絞り機構との間に第1レンズ保持枠が配置されるが、第3レンズ保持枠に地板を固定することで、絞り機構と第1レンズ枠との干渉を抑制することが可能となる。
【0022】
本発明において、第3レンズ保持枠は、第3レンズ保持枠に保持されるレンズが固定されるレンズ固定部材と、レンズ固定部材の外周側でレンズ固定部材を保持するとともに固定筒に固定される筒状の保持部材と、固定筒に対するレンズ固定部材の、固定筒の径方向における位置を調整するための調整用ネジとを備え、保持部材には、調整用ネジが螺合するネジ穴が形成され、ネジ穴は、保持部材の径方向で保持部材を貫通し、固定筒には、調整用ネジを回すための工具を通過させる貫通穴が形成され、貫通穴は、固定筒の径方向で固定筒を貫通するとともに、光軸方向において回動筒およびガイド筒とずれた位置に配置されていることが好ましい。
【0023】
このように構成すると、レンズ鏡筒が組み立てられた状態でも、調整用ネジを工具によって回すことが可能になる。したがって、レンズ鏡筒の組立後であっても、固定筒に対するレンズ固定部材の径方向の位置を比較的容易に調整することが可能になる。すなわち、レンズ鏡筒の組立後であっても、第3レンズ保持枠に保持されるレンズの、固定筒に対する径方向の位置を比較的容易に調整することが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明では、カメラ本体に取り付けられるレンズ鏡筒において、レンズ鏡筒の後端部に、光軸方向に移動する部材が配置されていても、レンズ鏡筒の後端部の外径を小さくすることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
(レンズ鏡筒の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるレンズ鏡筒1の構成を説明するための断面図である。
図2は、
図1に示す固定筒3の斜視図である。
図3は、
図1に示す回動筒18の斜視図である。
【0028】
本形態のレンズ鏡筒1は、カメラ本体2に取り付けられて使用される。カメラ本体2は、C−MOSイメージセンサ等の撮像素子を備えている。レンズ鏡筒1は、全体として略円柱状に形成されている。レンズ鏡筒1は、筒状に形成されるとともにカメラ本体2に固定される固定筒3と、固定筒3の内周側に配置される複数のレンズ4〜8と、レンズ4を保持するレンズ保持枠10と、レンズ5を保持するレンズ保持枠11と、レンズ6を保持するレンズ保持枠12と、レンズ7を保持するレンズ保持枠13と、レンズ8を保持するレンズ保持枠14とを備えている。なお、本明細書における「レンズ」には、1枚のレンズのみならず、複数枚のレンズからなるレンズ群も含まれるものとする。
【0029】
レンズ4〜8は、レンズ4〜8の光軸Lの方向(光軸方向)において、この順番で配置されている。具体的には、光軸方向のうちの、カメラ本体2に取り付けられる側(
図1等のZ2方向側、結像側)を後ろ側とし、後ろ側の反対側である
図1等のZ1方向側(被写体側)を前側とすると、レンズ4〜8は、前側から後ろ側に向かってこの順番で配置されている。すなわち、レンズ保持枠12に保持されるレンズ6およびレンズ保持枠13に保持されるレンズ7は、前後方向(光軸方向)においてレンズ保持枠11に保持されるレンズ5とレンズ保持枠14に保持されるレンズ8との間に配置されている。
【0030】
レンズ4、6、7は、固定筒3に対して前後方向に移動しない固定レンズであり、レンズ保持枠10、12、13は、固定筒3に固定されている。一方、レンズ5、8は、固定筒3に対して前後方向に移動可能なフォーカスレンズであり、レンズ保持枠11、14は、固定筒3に対して前後方向(光軸方向)へ移動可能となっている。本形態のレンズ保持枠11は、第2レンズ保持枠であり、レンズ保持枠12、13は、第3レンズ保持枠であり、レンズ保持枠14は、第1レンズ保持枠である。
【0031】
また、レンズ鏡筒1は、筒状に形成されるとともに固定筒3に対してレンズ保持枠14と一緒に前後方向(光軸方向)へ移動可能なガイド筒17と、筒状に形成されるとともに固定筒3に対して前後方向(光軸方向)を回動の軸方向として回動可能な回動筒18と、レンズ鏡筒1の開口絞りの口径を変化させる絞り機構19とを備えている。ガイド筒17および回動筒18は、固定筒3の外周側(固定筒3の径方向の外側)に配置されている。絞り機構19は、固定筒3の内周側(固定筒3の径方向の内側)に配置されている。
【0032】
固定筒3は、円筒状に形成されており、固定筒3の軸方向と前後方向とが一致するように配置されている。カメラ本体2には、固定筒3の後端部が固定されている。固定筒3には、固定筒3の径方向で固定筒3を貫通するガイド穴3a、3bと、固定筒3の径方向で固定筒3を貫通する貫通穴3cとが形成されている。ガイド穴3a、3bは、前後方向(光軸方向)を長手方向とする長穴状に形成されている。貫通穴3cは、丸穴状に形成されている。本形態のガイド穴3aは、第2ガイド穴であり、ガイド穴3bは、第1ガイド穴である。
【0033】
ガイド穴3aは、ガイド穴3bよりも前側に形成されている。ガイド穴3aとガイド穴3bとは、固定筒3の周方向において同じ位置に形成されている。ガイド穴3aは、固定筒3の周方向において2箇所に形成され、ガイド穴3bは、固定筒3の周方向において2箇所に形成されている。2個のガイド穴3aは、固定筒3の軸心に対して180°ピッチで配置され、2個のガイド穴3bは、固定筒3の軸心に対して180°ピッチで配置されている。貫通穴3cは、ガイド穴3bよりも後ろ側に形成されている。貫通穴3cは、たとえば、固定筒3の周方向において3箇所に形成されている。3個の貫通穴3cは、固定筒3の軸心に対して120°ピッチで形成されている。
【0034】
固定筒3には、固定筒3に対する前後方向への回動筒18の移動を規制するための規制用突起20が固定されている。規制用突起20は、固定筒3の外周面から固定筒3の径方向の外側に突出している。また、規制用突起20は、前後方向においてガイド穴3aとガイド穴3bとの間に配置されている。規制用突起20は、ネジ21によって固定筒3に固定されている。
【0035】
回動筒18は、フォーカスレンズであるレンズ5、8を前後方向(光軸方向)へ移動させる焦点調整機構の一部を構成している。回動筒18は、円筒状に形成されており、回動筒18の軸方向と前後方向とが一致するように配置されている。上述のように、回動筒18は、固定筒3の外周側に配置されている。具体的には、回動筒18は、固定筒3の前側部分の外周側に配置されている。また、回動筒18の全体が固定筒3の外周側に配置されている。
【0036】
回動筒18の前端は、固定筒3の前端よりも後ろ側に配置されている。回動筒18の後端は、固定筒3の後端よりも前側に配置されている。回動筒18は、レンズ保持枠11を前後方向へ移動させるためのカム溝23aが形成される第1筒部材23と、レンズ保持枠14を前後方向へ移動させるための雄ヘリコイドネジ24aが形成される第2筒部材24とから構成されている。
【0037】
第1筒部材23および第2筒部材24は、円筒状に形成されている。第2筒部材24は、第1筒部材23の外周側に配置されている。第2筒部材24の前後方向の長さは、第1筒部材23の前後方向の長さよりも短くなっている。第2筒部材24の前端は、第1筒部材23の前端よりも前側に配置され、第2筒部材24の後端は、第1筒部材23の後端よりも前側に配置されている。第1筒部材23と第2筒部材24とは、複数のネジ25によって互いに固定されており、一体化している。
【0038】
第1筒部材23には、上述のように、カム溝23aが形成されている。カム溝23aは、螺旋状に形成されている。カム溝23aは、第1筒部材23の内周側の面に形成される有底の溝部であり、カム溝23aは、第1筒部材23の径方向において第1筒部材23を貫通していない。ただし、カム溝23aの一部には、第1筒部材23の径方向において第1筒部材23を貫通する貫通穴が形成されている。また、カム溝23aは、第1筒部材23の、第2筒部材24によって覆われている部分に形成されている。すなわち、カム溝23aは、回動筒18の内周面に形成されている。第1筒部材23には、2本のカム溝23aが形成されている。
【0039】
また、2本のカム溝部23aは、前後方向(光軸方向)において互いにずれた位置に配置されている。回動筒18の回転角が大きく、かつ、カム係合によって移動するレンズ保持枠11の前後方向の移動量が少ない場合、2本のカム溝23aを前後方向でずらさずに形成すると、2本のカム溝23aが互いに干渉して構造上成り立たなくなる。2本のカム溝23aを前後方向にずらして配置することで、このような問題は解決される。
【0040】
また、第1筒部材23には、規制用突起20の一部が配置される規制穴23bが形成されている。規制穴23bは、第1筒部材23の内周側の面に形成される有底の溝部であり、規制穴23bは、第1筒部材23の径方向において第1筒部材23を貫通していない。だだし、規制穴23bの一部には、第1筒部材23の径方向において第1筒部材23を貫通する貫通穴が形成されている。規制用突起20は、規制穴23bの一部に形成される貫通穴を介して固定筒11に固定される。
【0041】
規制穴23bは、第1筒部材23の後端部に形成されている。具体的には、規制穴23bは、第1筒部材23の、第2筒部材24の後端よりも後ろ側に配置される部分に形成されている。また、規制穴23bは、第1筒部材23の周方向を長手方向とする長穴状(長溝状)に形成されている。すなわち、回動筒18には、回動筒18の径方向で回動筒18を貫通せずに第1筒部材23の内周側の面に形成される有底の溝部として構成されるとともに回動筒18の周方向を長手方向とする長溝状の規制穴23bが形成されている。
【0042】
本形態では、規制穴23bと規制用突起20とによって、固定筒3に対する前後方向(光軸方向)への回動筒18の移動が規制されている。すなわち、規制穴23bに規制用突起20の一部が配置されることで、固定筒3に対して前後方向へ回動筒18が動かないようになっている。なお、規制穴23bは、回動筒18の周方向を長手方向とする長溝状に形成されているため、規制用突起20は、規制穴23bに案内されることで規制穴23b内部を周方向に移動する。また、規制用突起20が規制穴23bの内部を周方向に移動するため、回動筒18は、固定筒3に対して前後方向を回動の軸方向として所定角度、回動可能となっている。
【0043】
ちなみに本形態では、規制穴23bは、第1筒部材23の周方向の端部を有さない1本の連続した環状の溝部である。そのため、規制用突起20は、規制穴23bの内部を止まることなく移動することが可能となる。このような構成により、規制用突起20の個数を増やして、隣接する規制用突起20の間隔が回動筒18の回転角度よりも狭くなったとしても、全ての規制用突起20を一つの環状の規制穴23bに挿入することで、規制用突起20と規制穴23bとの周方向における干渉を防ぐことが可能となる。この結果、固定筒3に対する回動筒18の傾きを防止したり、外部からの衝撃等の外力が光軸方向から規制用突起20と規制穴23bとの間に伝達した際の衝撃を分散したりするために、規制用突起20の個数を増やしたとしても、レンズ鏡筒1の大型化を抑制することが可能となる。
【0044】
上記の構成において、規制用突起20の周方向の移動を規制する他の部材がない場合は、レンズ保持枠11に取り付けられる後述のカムフォロア28が回動筒18のカム溝23aの端部に衝突するまで、回動筒18を回動させることが可能となっている。しかしながら、カム溝23aの端部にカムフォロア28が衝突すると、衝突時の衝撃がレンズ保持枠11を介してレンズ5に伝わって画像のブレとして撮影に悪影響を及ぼすおそれがある。また、衝撃によりレンズ保持枠11やレンズ5の位置がずれたり傾いたりすることによって光学性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0045】
そのため、本形態では、回動筒18の固定筒3に対する周方向の回動転量の規制を、固定筒3に固定されたストッパ(図示省略)と、第1筒部材23の内周側の面に形成された周方向の端部を有する回動規制用横溝部(図示省略)とによって行っている。回動筒18の周方向の回動を固定筒3に固定されたストッパにより行うことで、回動筒18を限界まで周方向へ回転させたとしても、衝撃が直接レンズ保持枠11に伝わることを抑制することが可能となる。
【0046】
なお、回動筒18のカム溝23aや固定筒3のガイド穴3aの端部にレンズ保持枠11のカムフォロア28を衝突させることで回動方向の規制を行うことも可能ではある。その場合、レンズ保持枠11が保持するレンズ5は、レンズ鏡筒1で保持する複数のレンズから成る光学系において、光軸に対する光軸方向のずれや傾きに対する感度が低いレンズであることが好ましい。このような構成により、衝撃がレンズ5に伝達したとしても光学性能上に影響が発生することを抑制することが可能となるため、ストッパおよび回動規制用横溝部を別に設けることなく、構成の簡略化が可能となる。
【0047】
また、本形態では、規制穴23bは、1本の連続した長溝状に形成されているが、回動筒18の周方向の回動量が少なくても良い場合、または、規制用突起20の数を減らしても問題のない場合、あるいは、規制穴23bを前後方向(光軸方向)にずらして複数形成することが可能な場合には、規制穴23bを1本の連続した環状の長溝状に形成する必要がなくなるため、規制穴23bを、周方向の端部を有する長溝状に形成することも可能である。この場合には、規制穴23bの端部と規制用突起20とを衝突させることで、ストッパおよび回動規制用横溝部を別に設けることなく、固定筒3に対する回動筒18の周方向の回動量の規制を行うことが可能である。
【0048】
第2筒部材24には、上述のように、雄ヘリコイドネジ24aが形成されている。雄ヘリコイドネジ24aは、第2筒部材24の外周面に形成されている。すなわち、雄ヘリコイドネジ24aは、回動筒18の外周面に形成されている。また、雄ヘリコイドネジ24aは、第2筒部材24の後端部に形成されている。なお、本形態では、第2筒部材24に、図示を省略するモータが連結されており、回動筒18は、モータの動力で回動する。ただし、ユーザが回動筒18を手動で回動させてもよい。
【0049】
ガイド筒17は、段付きの円筒状に形成されており、ガイド筒17の軸方向と前後方向とが一致するように配置されている。上述のように、ガイド筒17は、固定筒3の外周側に配置されている。具体的には、ガイド筒17の全体が固定筒3の外周側に配置されている。ガイド筒17の前端は、固定筒3の前端よりも後ろ側に配置されている。ガイド筒17の後端は、固定筒3の後端よりも前側に配置されている。ガイド筒17は、ガイド筒17の後端部を構成する円筒状の小径部17aと、小径部17aよりも外径および内径の大きい大径部17bとから構成されている。
【0050】
小径部17aは、大径部17bの後端に繋がっている。小径部17aは、回動筒18よりも後ろ側に配置されており、固定筒3の外周面に沿って配置されている。また、小径部17aは、固定筒3の貫通穴3cよりも前側に配置されている。小径部17aには、レンズ保持枠14とガイド筒17とを繋ぐための貫通穴17cが形成されている。貫通穴17cは、小径部17aの径方向において小径部17aを貫通している。また、貫通穴17cは、丸穴状に形成されている。
【0051】
大径部17bは、回動筒18の外周側に配置されている。具体的には、大径部17bは、回動筒18の後ろ側部分の外周側に配置されている。すなわち、ガイド筒17の前端部は、回動筒18の外周側に配置されている。ガイド筒17の前端部(すなわち、大径部17bの前端部)の内周面には、回動筒18の雄ヘリコイドネジ24aに螺号する雌ヘリコイドネジ17dが形成されている。
【0052】
本形態では、雄ヘリコイドネジ24aと雌ヘリコイドネジ17dとによって、回動筒18の回動動作を前後方向へのガイド筒17の直進動作に変換してガイド筒17およびレンズ保持枠14を前後方向に移動させる動力伝達機構26が構成されている。すなわち、ガイド筒17の前端部と回動筒18との間には、回動筒18の回動動作を前後方向(光軸方向)へのガイド筒17の直進動作に変換してガイド筒17およびレンズ保持枠14を前後方向(光軸方向)に移動させるための動力伝達機構26が設けられている。また、動力伝達機構26は、雄ヘリコイドネジ24aと雌ヘリコイドネジ17dとから構成されるヘリコイド機構である。本形態の動力伝達機構26は、第1動力伝達機構である。
【0053】
レンズ保持枠10の前端部は、固定筒3の前端よりも前側に配置されている。レンズ保持枠10の、前端部を除いた大半部分は、固定筒3の内周側に配置されている。レンズ保持枠10は、図示を省略するネジによって固定筒3の前端部に固定されている。レンズ保持枠12は、固定筒3の内周側に配置されている。具体的には、レンズ保持枠12の全体が固定筒3の内周側に配置されている。レンズ保持枠12は、図示を省略するネジによって固定筒3に固定されている。
【0054】
レンズ保持枠11は、固定筒3の内周側に配置されている。具体的には、レンズ保持枠11の全体が固定筒3の内周側に配置されている。また、レンズ保持枠11は、回動筒18の内周側に配置されている。レンズ保持枠11は、レンズ保持枠14よりも前側に配置されている。レンズ保持枠11には、カム溝23aに係合するカムフォロア28が取り付けられている。カムフォロア28は、レンズ保持枠11から固定筒3の径方向の外側に突出している。カムフォロア28は、ネジ29によってレンズ保持枠11に取り付けられている。また、カムフォロア28は、固定筒3の内周側にレンズ保持枠11を配置するとともに固定筒3の外周側に回動筒18の第1筒部材23を配置し、第2ガイド穴3aおよびカム溝23aの貫通孔を介して第1筒部材23の外周側からレンズ保持枠11とカムフォロア28とを当接させた状態で、ネジ29によってレンズ保持枠11に取り付けられる。
【0055】
レンズ保持枠11には、第1筒部材23に形成されるカム溝23aの本数と同数のカムフォロア28が取り付けられている。すなわち、レンズ保持枠11には、2個のカムフォロア28が取り付けられている。2個のカムフォロア28のそれぞれは、2本のカム溝23aのそれぞれに係合している。2個のカムフォロア28は、固定筒3の周方向において互いにずれた位置に配置されている。また、2個のカムフォロア28は、前後方向(光軸方向)において互いにずれた位置に配置されている。2個のカムフォロア28の前後方向のずれ量は、2本のカム溝23aの前後方向のずれ量と対応している。
【0056】
本形態では、カム溝23aとカムフォロア28とによって、回動筒18の回動動作を前後方向へのレンズ保持枠11の直進動作に変換してレンズ保持枠11を前後方向に移動させる動力伝達機構30が構成されている。すなわち、レンズ保持枠11と回動筒18との間には、回動筒18の回動動作を前後方向(光軸方向)へのレンズ保持枠11の直進動作に変換してレンズ保持枠11を前後方向(光軸方向)に移動させるための動力伝達機構30が設けられている。本形態の動力伝達機構30は、第2動力伝達機構である。
【0057】
カムフォロア28の一部は、ガイド穴3aに配置されている。本形態では、ガイド穴3aとカムフォロア28とによって、前後方向を回動の軸とした固定筒3に対するレンズ保持枠11の回動が防止されている。また、カムフォロア28は、ガイド穴3aに沿って前後方向に移動する。すなわち、前後方向(光軸方向)に移動するレンズ保持枠11は、ガイド穴3aとカムフォロア28とによって前後方向に案内される。
【0058】
レンズ保持枠13は、固定筒3の内周側に配置されている。具体的には、レンズ保持枠13の全体が固定筒3の内周側に配置されている。レンズ保持枠13は、レンズ7が固定されるレンズ固定部材32と、レンズ固定部材32の外周側でレンズ固定部材32を保持する保持部材33とを備えている。レンズ固定部材32および保持部材33は、筒状に形成されている。保持部材33は、固定筒3に固定されている。また、レンズ保持枠13は、固定筒3に対するレンズ固定部材32の、固定筒3の径方向における位置を調整するための調整用ネジ34を備えている。調整用ネジ34は、六角穴付止めネジである。
【0059】
保持部材33には、調整用ネジ34が螺合するネジ穴33aが形成されている。ネジ穴33aは、保持部材33の径方向において保持部材33を貫通している。ネジ穴33aは、たとえば、保持部材33の周方向において3箇所に形成されている。3個のネジ穴33aは、たとえば、保持部材33の軸心に対して120°ピッチで形成されている。本形態では、3個の調整用ネジ34の、ネジ穴33aに対するねじ込み量を調整することで、固定筒3に対するレンズ固定部材32の径方向の位置が調整される。すなわち、3個の調整用ネジ34の、ネジ穴33aに対するねじ込み量を調整することで、固定筒3に対するレンズ7の径方向の位置が調整される。
【0060】
上述のように、ガイド筒17の小径部17aは、回動筒18よりも後ろ側に配置されている。また、小径部17aは、固定筒3の貫通穴3cよりも前側に配置されている。すなわち、貫通穴3cは、前後方向(光軸方向)において回動筒18およびガイド筒17とずれた位置に配置されている。具体的には、貫通穴3cは、回動筒18およびガイド筒17よりも後ろ側に配置されている。また、貫通穴3cは、固定筒3の周方向において調整用ネジ34が配置される位置に配置されている。
【0061】
本形態では、ネジ穴33aに対する調整用ネジ34のねじ込み量を調整する際に、調整用ネジ34を回すための工具が貫通穴3cを通過する。すなわち、固定筒3には、調整用ネジ34を回すための工具が通過する貫通穴3cが形成されている。具体的には、ネジ穴33aに対する調整用ネジ34のねじ込み量を調整する際に、ドライバーの先端部が貫通穴3cを通過する。
【0062】
レンズ保持枠14は、固定筒3の内周側に配置されている。具体的には、レンズ保持枠14の全体が固定筒3の内周側に配置されている。レンズ保持枠14は、レンズ8が固定されるレンズ固定部材36と、レンズ固定部材36が固定される保持部材37とから構成されている。レンズ固定部材36は、レンズ保持枠14の後端部を構成しており、レンズ固定部材36の前端部は、保持部材37の後端部に固定されている。レンズ8は、レンズ保持枠14の後端部に固定されている。
【0063】
保持部材37は、段付きの円筒状に形成されており、保持部材37の軸方向と前後方向とが一致するように配置されている。保持部材37は、保持部材37の後端部を構成する円筒状の小径部37aと、小径部37aよりも外径および内径の大きい大径部37bとから構成されている。小径部37aは、大径部37bの後端に繋がっている。レンズ固定部材36は、小径部37aの後端部に固定されている。保持部材37の前端(すなわち、大径部37bの前端)は、ガイド筒17の雌ヘリコイドネジ17dの後端よりも後ろ側に配置されている。なお、保持部材37の前端が雌ヘリコイドネジ17dの後端より前側に配置されていても良い。
【0064】
大径部37bの前端部には、ガイド筒17の貫通穴17cに配置される連結用突起39が固定されている。すなわち、レンズ保持枠14には、連結用突起39が固定されている。連結用突起39は、大径部37bの外周面から大径部37bの径方向の外側に突出している。連結用突起39は、ネジ40によって大径部37bに固定されている。連結用突起39は、貫通穴17cに挿通されており、連結用突起39の一部が貫通穴17cに嵌っている。本形態では、ガイド筒17の貫通穴17cと連結用突起39とによって、レンズ保持枠14とガイド筒17とを繋ぐ連結部41が構成されている。
【0065】
連結部41は、ガイド筒17の大径部17bおよび回動筒18よりも後ろ側に配置されている。すなわち、ガイド筒17の前端部および回動筒18は、連結部41よりも前側に配置されている。また、連結用突起39は、前後方向においてガイド穴3bが形成された位置に配置されており、連結用突起39の一部は、ガイド穴3bの中に配置されている。本形態では、ガイド穴3bと連結用突起39とによって、前後方向を回動の軸とした固定筒3に対するレンズ保持枠14およびガイド筒17の回動が防止されている。すなわち、ガイド筒17は、回動筒18に対して前後方向を回動の軸方向として相対的に回動するが、固定筒3に対しては相対的に回動しない。
【0066】
また、連結用突起39は、ガイド穴3bに沿って前後方向に移動する。すなわち、前後方向(光軸方向)に移動するガイド筒17およびレンズ保持枠14は、ガイド穴3bと連結用突起39とによって前後方向に案内される。なお、小径部37aと大径部37bとの境界部から前後方向の両側に向かう所定の範囲では、保持部材37に、調整用ネジ34を回すための工具が通過する貫通穴37cが形成されている。貫通穴37cは、保持部材37の径方向で保持部材37を貫通している。
【0067】
絞り機構19は、前後方向(光軸方向)においてレンズ5とレンズ8との間に配置されている。絞り機構19は、光路用の開口が形成される環状の地板44と、地板44に回動可能に取り付けられる複数枚の絞り羽根45とを備えている。地板44は、図示を省略するネジによってレンズ保持枠12の後端部に固定されている。すなわち、地板44は、レンズ保持枠12を介して固定筒3に固定されている。
【0068】
絞り羽根45は、前後方向においてレンズ6とレンズ7との間に配置されている。すなわち、レンズ6は、前後方向(光軸方向)において、レンズ5と絞り羽根45との間に配置され、レンズ7は、前後方向(光軸方向)において、レンズ8と絞り羽根45との間に配置されている。また、絞り羽根45は、連結部41よりも後ろ側に配置されている。すなわち、連結部41は、絞り羽根45よりも前側に配置されている。なお、絞り羽根45には、絞り羽根45を回動させる回動機構(図示省略)が連結されている。この回動機構は、モータ等を備えている。
【0069】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のレンズ鏡筒1は、カメラ本体2に取り付けられるレンズ鏡筒1において、筒状に形成されカメラ本体2に固定される固定筒3と、レンズ8を保持し固定筒3の内周側に配置されるとともに固定筒3に対してレンズ8の光軸方向へ移動可能なレンズ保持枠14と、筒状に形成され固定筒3の外周側に配置されるとともに固定筒3に対してレンズ保持枠14と一緒に光軸方向へ移動可能なガイド筒17と、筒状に形成され固定筒3の外周側に配置されるとともに固定筒3に対して光軸方向を回動の軸方向として回動可能な回動筒18とを備えている。また、本形態では、光軸方向のうちの、カメラ本体2に取り付けられる側を後ろ側とし、後ろ側の反対側を前側とすると、ガイド筒17の前端部および回動筒18は、レンズ保持枠14とガイド筒17とを繋ぐ連結部41よりも前側に配置されている。さらに、本形態では、ガイド筒17の前端部と回動筒18との間には、回動筒18の回動動作を光軸方向へのガイド筒17の直進動作に変換してガイド筒17およびレンズ保持枠14を光軸方向に移動させるための動力伝達機構26が設けられている。
【0070】
このように本形態では、レンズ保持枠14とガイド筒17とを繋ぐ連結部41よりも前側に配置されるガイド筒17の前端部と回動筒18との間に、ガイド筒17およびレンズ保持枠14を光軸方向に移動させる動力伝達機構26が設けられている。そのため、本形態では、レンズ保持枠14の、連結部41よりも後ろ側の部分の外周側にカム等の動力伝達機構を設ける必要がない。したがって、本形態では、固定筒3に対して光軸方向に移動するレンズ保持枠14がレンズ鏡筒1の後端部に配置されていても、レンズ鏡筒1の後端部の外径を小さくすることが可能になる。
【0071】
本形態のように、動力伝達機構26は、ヘリコイド機構であることが好ましい。このようにすると、カム溝とカム溝に係合するカムフォロアとから動力伝達機構26が構成されている場合と比較して、レンズ鏡筒1の径方向において動力伝達機構26を小型化することが可能になる。
【0072】
本形態のように、ガイド筒17の前端部は、回動筒18の外周側に配置され、動力伝達機構26であるヘリコイド機構は、回動筒18の外周面に形成される雄ヘリコイドネジ24aと、ガイド筒17の前端部の内周面に形成され雄ヘリコイドネジ24aに螺合する雌ヘリコイドネジ17dとから構成されていることが好ましい。このようにすると、ガイド筒17の前端部が回動筒18の内周側に配置されていて、ヘリコイド機構が、ガイド筒17の前端部の外周面に形成される雄ヘリコイドネジと、回動筒18の内周面に形成される雌ヘリコイドネジとから構成されている場合と比較して、回動筒18およびガイド筒17の構成を簡素化することが可能になる。
【0073】
本形態のように、連結部41は、レンズ保持枠14に固定される連結用突起39を備え、固定筒3には、固定筒3の径方向で固定筒3を貫通するとともに光軸方向を長手方向とする長穴状のガイド穴3bが形成され、ガイド穴3bには、連結用突起39の一部が配置されていることが好ましい。このようにすると、レンズ保持枠14とガイド筒17とを繋ぐための連結用突起39を用いた比較的簡易な構成で、互いに繋がった状態のレンズ保持枠14およびガイド筒17を光軸方向に案内することが可能になる。また、連結用突起39とガイド穴3とを用いて、前後方向を回動の軸方向とするレンズ保持枠14の回動を防止することが可能になるため、レンズ鏡筒1の光学性能の低下を抑制することが可能になる。
【0074】
本形態のように、レンズ鏡筒1は、レンズ5を保持し固定筒3に対して光軸方向へ移動可能なレンズ保持枠11を備え、レンズ保持枠11は、回動筒18および固定筒3の内周側に配置されるとともにレンズ保持枠14よりも前側に配置され、レンズ保持枠11と回動筒18との間には、回動筒18の回動動作を光軸方向へのレンズ保持枠11の直進動作に変換してレンズ保持枠11を光軸方向に移動させるための動力伝達機構30が設けられていることが好ましい。このようにすると、共通の回動筒18を用いて、レンズ保持枠14とレンズ保持枠11とを一緒に光軸方向に移動させることが可能になる。したがって、レンズ鏡筒1の構成を簡素化することが可能になる。
【0075】
本形態のように、動力伝達機構30は、カム溝23aと、カム溝23aに係合するカムフォロア28とから構成されていることが好ましい。このようにすると、動力伝達機構30がヘリコイド機構である場合と比較して動力伝達機構30の構成を簡素化することが可能になる。すなわち、動力伝達機構30がヘリコイド機構である場合には、たとえば、固定筒3の外周側に配置されるとともに固定筒3に対してレンズ保持枠11と一緒に光軸方向へ移動する部材であって、光軸方向の長さが比較的長くなっている部材を別途設ける必要が生じるが、動力伝達機構30がカム溝24aとカムフォロア28とから構成されている場合には、このような部材を別途設ける必要がなくなる。したがって、動力伝達機構30の構成を簡素化することが可能になる。
【0076】
本形態のように、ガイド筒17の前端部は、回動筒18の外周側に配置され、動力伝達機構26は、回動筒18の外周面に形成される雄ヘリコイドネジ24aと、ガイド筒17の前端部の内周面に形成され雄ヘリコイドネジ24aに螺合する雌ヘリコイドネジ17dとから構成されるヘリコイド機構であり、カム溝23aは、回動筒18の内周面に形成されていることが好ましい。このようにすると、回動筒18の外周面に雄ヘリコイドネジ24aが形成され、回動筒18の内周面にカム溝23aが形成されているため、共通の回動筒18を用いて、レンズ保持枠14とレンズ保持枠11とを一緒に光軸方向に移動させることが可能であっても、雄ヘリコイドネジ24aおよびカム溝23aを形成しやすくなる。
【0077】
本形態のように、カムフォロア28は、レンズ保持枠11に取り付けられ、固定筒3には、固定筒3の径方向で固定筒3を貫通するとともに光軸方向を長手方向とする長穴状のガイド穴3aが形成され、ガイド穴3aには、カムフォロア28の一部が配置されていることが好ましい。このようにすると、カムフォロア28を用いた比較的簡易な構成で、レンズ保持枠11を光軸方向に案内することが可能になる。また、カムフォロア28とガイド穴3aを用いて、光軸方向を回動の軸方向とするレンズ保持枠11の回動を防止することが可能になるため、レンズ鏡筒1の光学性能の低下を抑制することが可能になる。
【0078】
本形態のように、固定筒3には、固定筒3の径方向の外側に突出する規制用突起20が固定され、回動筒18には、回動筒18の径方向で回動筒18を貫通するとともに回動筒18の周方向を長手方向とする長溝状の規制穴23bが形成され、規制穴23bには、規制用突起20の少なくとも一部が配置され、規制穴23bと規制用突起20とによって、固定筒3に対する回動筒18の光軸方向への移動が規制されていることが好ましい。このようにすると、規制用突起20と規制穴23bとを用いた比較的簡易な構成で、固定筒3に対する回動筒18の光軸方向への移動を規制することが可能になる。
【0079】
本形態のように、レンズ保持枠13は、レンズ7が固定されるレンズ固定部材32と、レンズ固定部材32の外周側でレンズ固定部材32を保持するとともに固定筒3に固定される筒状の保持部材33と、固定筒3に対するレンズ固定部材32の、固定筒3の径方向における位置を調整するための調整用ネジ34とを備え、保持部材33には、調整用ネジ34が螺合するネジ穴33aが形成され、ネジ穴33aは、保持部材33の径方向で保持部材33を貫通し、固定筒3には、調整用ネジ34を回すための工具を通過させる貫通穴3cが形成され、貫通穴3cは、固定筒3の径方向で固定筒3を貫通するとともに、光軸方向において回動筒18およびガイド筒17とずれた位置に配置されていることが好ましい。
【0080】
このようにすると、レンズ鏡筒1が組み立てられた状態でも、調整用ネジ34を工具によって回すことが可能になる。したがって、レンズ鏡筒1の組立後であっても、固定筒3に対するレンズ固定部材32の径方向の位置を比較的容易に調整することが可能になる。すなわち、レンズ鏡筒1の組立後であっても、レンズ保持枠13に保持されるレンズ7の、固定筒3に対する径方向の位置を比較的容易に調整することが可能になる。
【0081】
本形態のように、レンズ保持枠11〜14の全体が固定筒3の内周側に配置されていることが好ましい。このようにすると、レンズ保持枠11〜14の一部が固定筒3の外周側に配置されている場合と比較して、固定筒3の径方向でレンズ鏡筒1を小型化することが可能になる。
【0082】
本形態のように、回動筒18は、カム溝23aが形成される第1筒部材23と、雄ヘリコイドネジ24aが形成される第2筒部材24とから構成されていることが好ましい。
このようにすると、第1筒部材23の径方向において第1筒部材23の少なくとも一部を貫通するようにカム溝23aを形成すれば良いため、カム溝23aを容易に形成することが可能になる。また、カム溝23aの少なくとも一部を貫通するようにカム溝23aを形成したとしても、カム溝23aと雄ヘリコイドネジ24aとを重複して配置することが可能となり、回動筒18の光軸方向の長さを短縮することが可能となる。また、回動筒18を2部品で構成することで、個々の部品の構成を単純化することが可能となり、製造難易度を低下させることが可能となる。
【0083】
本形態のように、レンズ保持枠11、ガイド筒17および回動筒18の前端は、固定筒3の前端よりも後ろ側に配置され、レンズ保持枠14、ガイド筒17および回動筒18の後端は、固定筒3よりも前側に配置されていることが好ましい。このようにすると、光軸方向でレンズ鏡筒1を小型化することが可能になる。
【0084】
本形態のように、ガイド筒17の全体が固定筒3の外周側に配置されていることが好ましい。ガイド筒17の一部が固定筒3の内周側に配置されている場合には、固定筒3の内周側と外周側の両方にガイド筒17の配置スペースを設ける必要があるため、固定筒3の径方向でレンズ鏡筒1が大型化するが、このようにすると、固定筒3の径方向でレンズ鏡筒1を小型化することが可能になる。
【0085】
本形態のように、回動筒18の全体が固定筒3の外周側に配置されていることが好ましい。回動筒18の一部が固定筒3の内周側に配置されている場合には、固定筒3の内周側と外周側の両方に回動筒18の配置スペースを設ける必要があるため、固定筒3の径方向でレンズ鏡筒1が大型化するが、このようにすると、固定筒3の径方向でレンズ鏡筒1を小型化することが可能になる。
【0086】
(他の実施の形態)
上述した形態において、動力伝達機構26は、回動筒18の内周面に形成される雌ヘリコイドネジと、ガイド筒17の外周面に形成される雄ヘリコイドネジとから構成されていても良い。また、上述した形態において、動力伝達機構26は、回動筒18およびガイド筒17のいずれか一方に形成されるカム溝と、回動筒18およびガイド筒17のいずれか他方に形成または固定されるカムフォロアとから構成されていても良い。さらに、上述した形態において、動力伝達機構30は、ヘリコイド機構であっても良い。また、上述した形態において、レンズ保持枠11は、固定筒3に固定されていても良い。この場合には、動力伝達機構30が不要になる。
【0087】
上述した形態では、回動筒18は、第1筒部材23と第2筒部材24との2個の部材によって構成されているが、回動筒18は、1個の部材によって構成されていても良い。また、上述した形態において、連結用突起39は、レンズ保持枠14と一体で形成されていても良い。また、上述した形態において、連結用突起39は、ガイド筒17の小径部17aに固定されていても良いし、小径部17aと一体で形成されていても良い。さらに、上述した形態において、規制用突起20は、固定筒3と一体で形成されていても良い。
【0088】
上述した形態において、第1筒部材23に3本のカム溝23aが形成されていても良い。この場合には、レンズ保持枠11に、3個のカムフォロア28が取り付けられており、3個のカムフォロア28は、固定筒3の周方向において互いにずれた位置に配置されている。また、3個のカムフォロア28は、前後方向(光軸方向)において互いにずれた位置に配置されている。また、上述した形態において、カムフォロア28は、レンズ保持枠11と一体で形成されていても良い。
【0089】
上述した形態では、レンズ鏡筒3の後端側を径方向で小型化するため、第1駆動伝達機構である動力伝達機構26が第2駆動伝達機構である動力伝達機構30よりも後ろ側に配置されているが、仮に、レンズ鏡筒3の前端側を径方向で小径化する必要である場合には、第1駆動伝達機構が第2駆動伝達機構より前側に配置されていても良い。
【0090】
上述した形態において、第1レンズ保持枠であるレンズ保持枠14は、レンズ鏡筒3に配置されるレンズ保持枠の中で最も後方側に配置されているが、第1レンズ保持枠よりも後方側に別のレンズ保持枠が配置されていても良い。レンズ構成によってはフォーカスレンズとして移動するレンズが最も後端側のレンズとならない場合もあり、その場合でも、フォーカスレンズの駆動機構周りの外形の小型化をする上で本発明は効果を発揮する。