(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-19793(P2020-19793A)
(43)【公開日】2020年2月6日
(54)【発明の名称】粗製アクリロニトリルの安定化方法及びその貯蔵タンク
(51)【国際特許分類】
C07C 253/32 20060101AFI20200110BHJP
C07C 255/08 20060101ALI20200110BHJP
【FI】
C07C253/32
C07C255/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-182212(P2019-182212)
(22)【出願日】2019年10月2日
(62)【分割の表示】特願2016-572274(P2016-572274)の分割
【原出願日】2015年6月8日
(31)【優先権主張番号】201410250906.9
(32)【優先日】2014年6月9日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】513099153
【氏名又は名称】イネオス ユーロープ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】マクドネル ティモシー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】カウチ ジェイ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ワーグナー ディヴィッド ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェヒテンドルフ ポール トリッグ
(72)【発明者】
【氏名】トラヴァーズ トーマス ジョージ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC54
4H006AD40
4H006BC53
4H006BD20
4H006BD30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】粗製タンクにおける粗製アクリロニトリルの貯蔵を維持する方法の提供。
【解決手段】粗製アクリロニトリルを粗製タンクに搬送するステップと、粗製タンク内の粗製アクリロニトリルに、pHを目標pH未満に維持するのに有効な量の酸を加えるステップと、粗製タンク内の粗製アクリロニトリルの温度を目標温度未満に維持することからなるステップ。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗製タンクにおける粗製アクリロニトリルの貯蔵を維持する方法であって、
前記粗製アクリロニトリルを前記粗製タンクに搬送するステップと、
前記粗製タンク内の前記粗製アクリロニトリルに、pHを目標pH未満に維持するのに有効な量の酸を加えるステップと、
前記粗製タンク内の前記粗製アクリロニトリルの温度を目標温度未満に維持するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記粗製アクリロニトリルは、アクリロニトリル、水及びHCNを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目標pHは、約4.5又はそれ未満である、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記目標pHは、約2.5〜約4.5である、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記pHは、1箇所又は2箇所以上で測定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記pHが約0.1〜約0.5pH単位増加した時に酸が加えられる、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酸は、有機酸、硫酸及びこれらの混合物から成る群から選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記有機酸は、酢酸、グリコール酸及びこれらの混合物から成る群から選択される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記粗製タンク内の前記粗製アクリロニトリルの前記温度は、1箇所又は2箇所以上の測定箇所で測定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記粗製タンク内の前記粗製アクリロニトリルの前記温度は、1箇所〜約5箇所の測定箇所で測定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
各測定箇所は、異なるタンク高さに存在する、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記粗製タンク内の前記粗製アクリロニトリルの前記温度は、再循環流を用いて維持される、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記再循環流は、1箇所又は2箇所以上の除去箇所において前記粗製タンクから取り出される、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記再循環流は、約1箇所〜約5箇所の除去箇所において前記粗製タンクから取り出される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記再循環流は、熱交換器を用いて冷却される、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記再循環流は、前記除去箇所とは異なる1箇所又は2箇所以上において前記粗製タンクに戻される、
請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記再循環流は、前記粗製タンク内の前記粗製アクリロニトリルの温度を約25℃又はそれ未満に維持するのに有効である、
請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記再循環流を用いて、前記粗製タンク内の前記粗製アクリロニトリルに酸が加えられる、
請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記再循環は、約50〜約150時間の回転率をもたらすのに有効である、
請求項12に記載の方法。
【請求項20】
粗製アクリロニトリルを受け取る粗製タンクを準備する方法であって、
前記粗製タンクの浮き屋根の下の有機体を吸収するのに有効な量の水を前記粗製タンクに加えるステップと、
前記粗製タンク内の前記水の温度を約25℃又はそれ未満に維持するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記水は、前記粗製タンクの約6〜約15体積パーセントで前記粗製タンクに加えられる、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記粗製タンク内の前記水の前記温度は、再循環システムを用いて維持される、
請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記再循環流は、熱交換器を用いて冷却される、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記水は、約1〜約10℃の温度に維持される、
請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記粗製タンク内の前記水が約25℃又はそれ未満である時に、前記粗製タンクに酸が加えられる、
請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記水のpHは、約3〜約4である、
請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記粗製タンクが約25℃又はそれ未満であり、pHが4又はそれ未満の時に、前記粗製タンクに前記粗製アクリロニトリルが加えられる、
請求項20に記載の方法。
【請求項28】
粗製アクリロニトリル貯蔵タンクであって、
前記粗製アクリロニトリル貯蔵タンク内の異なる高さの温度を検出するように構成された1又は2以上の温度センサと、
前記粗製アクリロニトリル貯蔵タンクから粗製アクリロニトリルを除去するように構成された1又は2以上の除去箇所と、
前記粗製アクリロニトリル貯蔵タンク内の前記粗製アクリロニトリルのpHを検出するように構成されたpHセンサと、
再循環流の少なくとも一部を前記粗製アクリロニトリル貯蔵タンクに戻すように構成された戻り管路と、
を備えることを特徴とする粗製アクリロニトリル貯蔵タンク。
【請求項29】
前記粗製アクリロニトリル貯蔵タンクの前記1又は2以上の除去箇所から引き出された再循環流を冷却するように構成された冷却器をさらに備える、
請求項28に記載の粗製アクリロニトリル貯蔵タンク。
【請求項30】
前記pHセンサによって検出された前記pHに対応する信号を前記pHセンサから受け取るように構成されるとともに、前記タンクへの酸の流れを調整するように構成されたコントローラをさらに備える、
請求項28に記載の粗製アクリロニトリル貯蔵タンク。
【請求項31】
前記コントローラは、前記温度センサによって検出された前記温度に対応する信号を前記温度センサから受け取るように構成されるとともに、前記再循環流の流量を調整するように構成される、
請求項30に記載の粗製アクリロニトリル貯蔵タンク。
【請求項32】
前記再循環流に酸を加える入口をさらに備える、
請求項28に記載の粗製アクリロニトリル貯蔵タンク。
【請求項33】
前記粗製アクリロニトリル貯蔵タンクは、長さ対直径の比率が約0.5〜約1.5である、
請求項28に記載の粗製アクリロニトリル貯蔵タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルの製造方法の改善に関する。具体的には、本開示は、粗製アクリロニトリルタンクの動作に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリロニトリルは、主に繊維製品、並びにABS樹脂及びSAN樹脂などの樹脂において使用されるアクリル繊維用のポリマーなどの様々なポリマー材料の製造のためのモノマーとして使用される重要な汎用化学物質である。アクリロニトリルは、世界的に年間400万トンを超える量が生産されている。アクリロニトリル、又はメタクリロニトリルなどのオレフィン系不飽和ニトリルの製造のために最も一般的に使用されている方法は、アンモ酸化反応器内で空気又はその他の酸素分子源を酸化剤として用いてアクリロニトリル製造用のプロピレン又はプロパン、或いはメタクリロニトリル製造用のイソブチレンなどの好適な炭化水素をアンモニアの存在下で反応させるものである。通常、アンモ酸化反応とも呼ばれるこのような酸化反応では、容認できる変換及び収率の所望のアクリロニトリル又はメタクリロニトリルをもたらすために、流動化触媒床において固体で粒子状の不均一系触媒を用いてアンモ酸化反応を触媒する。このようなアンモ酸化反応では、オレフィン系不飽和ニトリルの生成に加え、一般にアセトニトリル、シアン化水素(HCN)及びその他の副産物などの他の生成物も生成される。炭化水素からアクリロニトリルへの触媒酸化方法は、例えば米国特許第4,503,001号、第4,767,878号、第4,863,891号及び第5,093,299号に開示されており、これらの特許は全て引用により本明細書に組み入れられる。
【0003】
アクリロニトリル製品は、特定の化学的不純物の最大量、並びに水及び重合防止剤の所定量を含む仕様を満たすことが重要である。アクリロニトリル製品の安定性には、アクリロニトリル製品の水及び重合体の含有量の制御が重要である。通常、アクリロニトリル製品における水の量、及びモノメチルエーテルハイドロキノン又はハイドロキノンメチルエーテル(以下「MEHQ」)重合防止剤の量は、特定の水準又は範囲内に維持されなければならない。MEHQ重合防止剤は、機能するために、及びアクリロニトリル製品の望ましくない重合を抑制するために、一定量の水を必要とする。一定量の水及び防止剤を含まないアクリロニトリル製品は反応性が高いので、通常、米国及び国家間の船荷仕様書などの仕様書は、出荷するアクリロニトリル製品に最低量の水及び防止剤が含まれていることを必要とする。水及び防止剤が過剰であると、アクリロニトリルの望ましいその後の反応が遅く困難になるので、通常、仕様書には、水及び防止剤の最大含有量も記載される。通常、アクリロニトリル製品の仕様書には、シアン化水素、アセトニトリル及びアセトンなどの特定の不純物に関する最大量が記載されている。
【0004】
時には、保持タンクに未精製又は規格外の製品を導入することが必要な場合もある。このような場合、粗製アクリロニトリルタンクを未精製又は規格外の製品保持タンクとして使用することが必要になり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,503,001号明細書
【特許文献2】米国特許第4,767,878号明細書
【特許文献3】米国特許第4,863,891号明細書
【特許文献4】米国特許第5,093,299号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アクリロニトリル/メタクリロニトリルの製造は長年にわたって商業的に行われてきたが、改善によって相当な利点が得られる分野も未だに存在する。通常、回収塔からの粗製アクリロニトリルは、アクリロニトリル、シアン化物及び水を含み、従って特に安定しているわけではない。従って、粗製アクリロニトリルは、重合反応及びアクリロニトリル製品の損失を生じがちな場合もある。従来の方法及び装置よりも効果的な粗製アクリロニトリルタンクの動作をもたらす方法及び装置を有することによって重合反応及びアクリロニトリル製品の損失を低減又は排除することが有用であると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の例示的な実施形態の詳細な説明を添付図面に関連して読めば、本開示の上述の及びその他の態様、特徴及び利点が明らかになるであろう。
【0008】
従って、本開示の態様は、従来の方法及び装置の不利点を克服又は低減する安全で効果的でコスト効率の良い方法及び装置を提供するものである。
【0009】
粗製タンクにおける粗製アクリロニトリルの貯蔵を維持する方法を提供する。この方法は、粗製アクリロニトリルを粗製タンクに搬送するステップと、粗製タンク内の粗製アクリロニトリルに、pHを目標pH未満に維持するのに有効な量の酸を加えるステップと、粗製タンク内の粗製アクリロニトリルの温度を目標温度未満に維持するステップとを含む。
【0010】
別の態様では、粗製アクリロニトリルを受け取る粗製タンクを準備する方法が、粗製タンクの浮き屋根の下の有機体を吸収するのに有効な量の水を粗製タンクに加えるステップと、粗製タンク内の水の温度を約25℃又はそれ未満に維持するステップと、水を4又はそれ未満のpHに酸性化するステップとを含む。
【0011】
別の態様では、粗製アクリロニトリル貯蔵タンクが、粗製アクリロニトリル貯蔵タンク内の異なる高さの温度を検出するように構成された複数の温度センサと、粗製アクリロニトリル貯蔵タンクから粗製アクリロニトリルを除去するように構成された複数の除去箇所とを含む。このタンクは、粗製アクリロニトリル貯蔵タンク内の粗製アクリロニトリルのpHを検出するように構成されたpHセンサと、粗製アクリロニトリル貯蔵タンクの除去箇所から引き出された再循環流を冷却するように構成された冷却器と、再循環流の少なくとも一部を粗製アクリロニトリル貯蔵タンクに戻すように構成された戻り管路とをさらに含む。
【0012】
以下の例示的な実施形態の詳細な説明を添付図面に関連して読めば、本開示の上述の及びその他の態様、特徴及び利点が明らかになるであろう。
【0013】
同じ特徴を同じ参照番号によって示す添付図面を考慮しながら以下の説明を参照することにより、本開示の例示的な実施形態及びその利点を完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の態様による、アクリロニトリル製品の製造に適用する実施形態の概略的フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
粗製アクリロニトリルの貯蔵には、温度及びpHの両方をモニタして制御することが重要である。この態様では、方法が、粗製タンクの異なる高さにおいて複数の液体温度を検出するステップを含む。この方法は、粗製タンクの流出高さから引き出された再循環流を循環させるステップと、再循環流を冷却するステップと、検出温度が所定の温度範囲外にある時に再循環流の少なくとも一部をタンクに戻すステップとを含む。
【0016】
本明細書において説明する方法では、アクリロニトリル製品を最終製品貯蔵庫に放出するまでに必要な時間及びステップが、従来のシステム及び方法よりも少なくて済む。仕様書の範囲内のアクリロニトリル製品を生産するように試料の分析及び動作パラメータの調整を行う上で、研究所及び工場の労力を低減することができる。他の利点は、ランダウンタンクの数及び/又は容量を、従来のシステム及び方法において必要なランダウンタンクの数及び/又は容量よりも低減できる点である。別の利点は、化学的不純物に関する規格外のアクリロニトリル製品の検出が早くなることにより、是正措置をとることができるとともに、システムの(単複の)一部を再通過するアクリロニトリル製品の量を従来のシステム及び方法において必要とされる量に対して低減できる点である。
【0017】
以下、図を参照しながら、方法及びそれを実行する装置の参照についてさらに説明する。
【0018】
図1に示すように、装置10は、タンク12を含む。タンク12は、管路16を介して粗製アクリロニトリル製品流14を受け取るように構成することができる。粗製アクリロニトリル製品流14は、回収塔又はその他の容器(図示せず)からタンク12に搬送することができる。粗製アクリロニトリル製品流14は、管路16を介して位置18においてタンク12内に搬送することができる。温度センサ20、22、24、26及び28は、タンク12内の液体の対応する垂直高さ30、32、34、36及び38においてタンク12内の液体の温度を測定するように構成することができる。タンク12内の粗製アクリロニトリル製品は、管路40を介してタンク12から搬出することができる。塔頂蒸気110は、タンク12から管路112を介してスクラバー(図示せず)に搬送することができる。
【0019】
粗製アクリロニトリル製品は、タンク12から管路82、84、86及び/又は88を介して搬送することができる。バルブ92、94、96及び98は、それぞれ管路82、84、86及び88に対応することができる。ノズル102、104、106及び108は、それぞれ管路82、84、86及び88に対応することができる。ノズル102、104、106及び108は、タンク12内の液体の垂直高さ32、34、36及び38にそれぞれ対応するタンク12内の垂直高さを有することができる。一連のノズルのノズル間の距離は同一とすることができる。従って、ノズル102とノズル104との間の距離は、ノズル104とノズル106との間の距離と同じであり、他も同様とすることができる。1つの態様では、連続するノズル間の距離を約2〜約12フィートとすることができ、別の態様では、約5〜約12フィートとすることができ、別の態様では、約8〜約12フィートとすることができ、別の態様では約10フィートとすることができる。
図1には、ノズル100の垂直高さを垂直高さ30よりも低く示しているが、ノズル100は、垂直高さ30と同じ又はほぼ同じ垂直高さを有することもできる。
【0020】
管路46は、粗製アクリロニトリル製品を熱交換器又は冷却器54に、例えば冷却器54の入口56の管側に搬送することができる。冷却器54は、冷却器54の入口60のシェル側に導入される冷却水などの冷却流体58を用いて熱伝達を通じて粗製アクリロニトリル製品を冷却するように構成することができる。冷却流体58は、冷却器54の出口62から排出することができる。
【0021】
粗製アクリロニトリル製品は、冷却器54内で冷却された後に出口64から排出し、冷却器54から管路66を介して冷却アクリロニトリル製品流78として搬送することができる。例えば、管路70を介してグリコール酸又は酢酸及びこれらの組み合わせなどの酸68を搬送し、接合部74において管路66内の粗製アクリロニトリル製品に加えることができる。酸68は、酸供給源76からポンプ72によって管路70を介して圧送することができる。1つの態様では、冷却アクリロニトリル製品流78に酸68を加えて、タンク12内の液体のpHを所定のpH範囲内に維持することができる。冷却アクリロニトリル製品は、管路80及びノズル100を通じてタンク12に戻すことができる。
【0022】
1つの態様では、コントローラ11を、温度センサ20、22、24、26及び/又は28によって測定された液体の温度並びに垂直高さ30、32、34、36及び/又は38などの測定パラメータに対応する1又は2以上の信号を処理するように構成することができる。コントローラ11は、測定パラメータが所定のパラメータ範囲を上回っているか、それとも下回っているかを判断するように構成することができる。当業者であれば、本開示によれば、この測定パラメータは、例えば所定の垂直高さの温度センサによって測定された温度などの、タンク12の動作に有用ないずれの好適なパラメータであってもよいと認識するであろう。コントローラ11は、測定パラメータが所定のパラメータ範囲を下回っている場合又は上回っている場合に、通信線又は無線通信(
図1には図示せず)を介して1又は2以上の装置の動作を調整するように構成することができる。例えば、コントローラ11は、冷却器54の動作、並びに例えば92、94、96及び/又は98などのバルブの動作を制御することにより、1又は2以上のノズル100、102、104、106及び/又は108を通じて搬送される粗製アクリロニトリル製品の量を調整するように構成することができる。
【0023】
1つの態様では、冷却アクリロニトリル製品を再循環させ、タンク12内の液体を冷却させ、タンク12内の液体と混合することにより、タンク12内の液体、及び/又はタンク12内の液体の局所的領域の温度を所定の温度範囲内に維持することができる。1つの態様では、コントローラ11を、タンク12から管路40を介して引き出される液体の量、冷却器54内で冷却される粗製アクリロニトリル製品の量、及び管路66を介してタンク12に戻される(冷却後の)粗製アクリロニトリル製品の量を制御するように構成することができる。この態様では、粗製タンク内の温度を約25℃又はそれ未満にする再循環が効果的である。関連する態様では、温度が1箇所〜約5箇所で測定され、別の態様では、2箇所〜約4箇所で測定される。1つの態様では、この方法が、約50〜約150時間の回転率をもたらすのに有効であり、別の態様では、約75〜約125時間の回転率をもたらすのに有効であり、別の態様では、約75〜約80時間の回転率をもたらすのに有効であり、別の態様では、約100〜約105時間の回転率をもたらすのに有効である。
【0024】
1つの態様では、コントローラ11を、タンク12内の液体のpH、及び/又はタンク12から管路40を介して引き出された液体のpHに対応する1又は2以上の信号を処理するように構成することができる。この態様では、pH計116を、タンク12内の粗製アクリロニトリル製品のpHを位置120において測定し、測定されたpHに対応する信号をコントローラ11又は流量コントローラ118に伝達するように構成することができる。コントローラ11又は流量コントローラ118は、pH計からの情報を処理して接合部74への酸68の流れを制御するように構成することができる。1つの態様では、コントローラ11又は流量コントローラ118を、位置120において測定したpHが所定のpHから外れている場合に、接合部74への酸68の流れに関する少なくとも1つの動作パラメータを調整するように構成することができる。1つの態様では、コントローラ11を、流量コントローラ118の動作を制御するように構成することができる。1つの態様では、コントローラ11が、流量コントローラ118を含むことができる。コントローラ11及び/又は流量コントローラ118は、プロセッサを含むことができる。コントローラ11及び/又は流量コントローラ118のプロセッサは、所定の条件又はパラメータを受け取って記憶するように構成されたメモリを含むことができる。所定の条件又はパラメータは、位置120における液体の所望のpH値又はpH範囲とすることができる。
【0025】
1つの態様では、コントローラ11及び/又は流量コントローラ118を、pH計116によって測定されたpHに対応する信号を約6時間毎などの所定の頻度で受け取り、測定信号が所定のpH範囲内にあるかどうかを判断するように構成することができる。1つの態様では、所定のpH範囲を約2.5〜4.5とすることができ、別の実施形態では、約3〜約4とすることができる。1つの態様では、測定されたpHが約4.5を超えるか、或いはこれに近づいている場合、コントローラ11及び/又は流量コントローラ118は、流量コントローラ118に対応するバルブ119の開きを、接合部74においてさらに多くの酸68が加えられ、従ってタンク12にさらに多くの酸が加えられるように調整することができる。位置120において測定されたpHが約2.5又はこれに近づいている場合、コントローラ11及び/又は流量コントローラ118は、流量コントローラ118に対応するバルブ119の開きを、接合部74において加えられる酸68の量を低減し、従ってタンク12に加えられる酸68の量を低減するように調整することができる。
【0026】
図1に示すように、管路40内の流出物41は、位置43においてタンク12の底部から引き出すことができる。位置43は、タンク12の全高に関してゼロ又はほぼゼロの垂直高さを有することができる。1つの態様では、この粗製アクリロニトリル貯蔵タンクの長さ対直径の比率が約0.5〜約1.5であり、別の態様では約0.75〜約1.25であり、別の態様では約0.9〜約1.1である。
【0027】
図2に、本開示の態様による方法300のフロー図を示す。方法300は、
図1に示す装置10を用いて実行することができる。ステップ301は、粗製タンクの第1の高さにおいて第1の液体温度を検出するステップを含むことができる。ステップ302は、粗製タンクの第2の高さにおいて第2の液体温度を検出するステップを含むことができる。ステップ303は、粗製タンクの流出高さから引き出された再循環流を循環させるステップを含むことができる。ステップ304は、再循環流を冷却するステップを含むことができる。ステップ305は、検出された第1の温度が所定の温度範囲外にある時に、再循環流の少なくとも第1の部分を第1の戻り高さに戻すステップを含むことができる。方法300は、検出された第2の温度が所定の温度範囲外にある時に、再循環流の少なくとも第2の部分を第2の戻り高さに戻すステップを含むことができる。1つの態様では、少なくとも第1の戻り高さ又は第2の戻り高さが、粗製タンクの流出高さよりも高い。
【0028】
1つの態様では、粗製アクリロニトリル製品流14などの粗製アクリロニトリル製品流を受け取る空の粗製タンクを準備する方法を提供する。1つの態様では、この方法が、粗製タンクの浮き屋根の下の有機体を吸収するのに有効な量の水を粗製タンクに加えるステップを含む。有機体の吸収は、粗製タンクからの有機体の損失を防ぐのに有効である。
【0029】
別の態様では、始動方法が、タンクの浮き屋根を浮かせるために、空の粗製タンクに約6重量%又はそれ以上の、別の態様では約6〜約15%の、別の態様では約6〜約10%の、別の態様では約6〜約8%の水を満たすステップを含むことができる。この方法は、例えば冷却器54などの冷却器内に水を循環させて、タンク内の液体の目標温度を例えば25℃又はそれ未満に、別の態様では約20℃又はそれ未満に、別の態様では約18℃又はそれ未満に、別の態様では約15℃又はそれ未満に、別の態様では約10℃又はそれ未満に、別の態様では約1〜約10℃に、別の態様では約5〜約10℃にするステップを含むことができる。この方法は、循環水に酸を加えて、タンク内の液体のpHを約4又はそれ未満に、別の態様では約3〜約4にするステップを含むことができる。この態様では、水温が25℃又はそれ未満に達した後で水に酸を加える。別の態様では、粗製タンクが25℃又はそれ未満になり、pHが約4又はそれ未満になると、粗製タンクに粗製アクリロニトリルを加える。
【0030】
粗製アクリロニトリルがタンク内に存在する態様では、方法が、6時間毎などの定期的に液体のpHをサンプリングし、pHが約4.5を超えた場合にさらなる酸を加えるステップを含むことができる。方法は、摂氏18度未満の温度を維持するように冷却器54などの冷却器を通じて粗製アクリロニトリル製品を循環させるステップを含むことができる。
【0031】
1つの態様では、保持タンクに未精製又は規格外の製品を導入するニーズに対処する方法を提供することができる。このような場合、粗製アクリロニトリルタンクを未精製又は規格外の製品保持タンクとして使用することが必要になり得る。1つの態様では、タンク温度及びpHをモニタして、タンク内における化学反応を回避又は低減する。
【0032】
1つの態様では、2つの別個のタンク12を順番に又は同時に動作させることができる。
【0033】
上記明細書では、本開示をそのいくつかの好ましい実施形態に関連して説明し、例示目的で多くの詳細を示したが、当業者には、本開示の基本原理から逸脱することなく、本開示のさらなる実施形態も可能であり、本明細書で説明した詳細の一部を大幅に変更することもできることが明らかであろう。本開示の特徴は、本開示の趣旨又は範囲、及び特許請求の範囲から逸脱することなく修正、改変、変更又は代替が可能であると理解されたい。例えば、様々な構成要素の寸法、数、サイズ及び形状は、特定の用途に適合するように変更することができる。従って、本明細書で図示し説明した特定の実施形態は、例示を目的とするものに過ぎない。
【手続補正書】
【提出日】2019年10月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗製アクリロニトリルを受け取る粗製タンクを準備する方法であって、
前記粗製タンクの浮き屋根の下の有機体を吸収するのに有効な量の水を空の前記粗製タンクに加えるステップと、
前記粗製タンク内の前記水の温度を約25℃又はそれ未満に維持し、前記粗製タンク内の前記水の前記温度は、再循環システムを用いて維持され、再循環流は1箇所又は2箇所以上の除去箇所において前記粗製タンクから取り出される前記水であり、前記粗製タンク内の前記水が約25℃又はそれ未満である時に、前記粗製タンクに酸が加えられるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記水は、前記粗製タンクの約6〜約15体積パーセントで前記粗製タンクに加えられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再循環流は、熱交換器を用いて冷却される、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水は、約1〜約10℃の温度に維持される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水のpHは、約3〜約4である、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記粗製タンクが約25℃又はそれ未満であり、pHが4又はそれ未満の時に、前記粗製タンクに前記粗製アクリロニトリルが加えられる、
請求項1に記載の方法。