【解決手段】キーボード装置10は、複数のプレート部材40〜42を並べて構成されたベースプレート30と、ベースプレート30の上面30a側で上下動可能に支持される複数のキートップ24と、ベースプレート30の上面30a側に取り付けられ、各キートップ24が上下動可能に挿入される複数の孔部28aを有するフレーム26と、隣接するプレート部材同士の対向する端面間に形成されたプレート境界部Bと重なる位置に設けられ、隣接するプレート部材同士をフレーム26に対して同時に締結する締結具と、を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成では、ベースプレートとフレームとをラッチ嵌合部を介して固定している。このようなベースプレートとフレームとの固定強度をさらに向上させたい場合は、ラッチ嵌合部に代えて或いはラッチ嵌合部と共に、ねじやリベット等の締結具を用いることが考えられる。
【0006】
ところで、上記のような分割構造のベースプレートでは、分割されたプレート部材の縁部は、キートップの押下操作時に沈み込み方向の負荷を受けるため、確実に固定できることが望ましい。ところが、キーボード装置は、各キートップのストロークに締結具が干渉することを防止する等の観点により、締結具の設置位置についての制限が多い。また、締結具の仕様本数が多過ぎるとコストや重量、作業効率等の点で問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、ベースプレートの剛性を確保しつつ、コストや重量を低減することができるキーボード装置及び該キーボード装置を備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に係るキーボード装置は、キーボード装置であって、複数のプレート部材を並べて構成されたベースプレートと、前記ベースプレートの上面側で上下動可能に支持される複数のキートップと、前記ベースプレートの上面側に取り付けられ、各キートップが上下動可能に挿入される複数の孔部を有するフレームと、隣接するプレート部材同士の対向する端面間に形成されたプレート境界部と重なる位置に設けられ、該隣接するプレート部材同士を前記フレームに対して同時に締結する締結具と、を備える。
【0009】
前記プレート境界部は、当該キーボード装置の前後方向と左右方向とに折れ曲がったジグザグ形状を有し、前記隣接するプレート部材の一方には、前記ジグザグ形状による出隅部が形成されており、前記締結具は、少なくとも前記出隅部を形成する前記プレート境界部と重なる位置に設けられた構成としてもよい。
【0010】
前記隣接するプレート部材は、前記端面に切欠形状部をそれぞれ有すると共に、隣接するプレート部材の前記切欠形状部は、互いに対向するように配置され、前記互いに対向する前記切欠形状部間に形成された隙間に、前記締結具が通された構成としてもよい。
【0011】
前記締結具は、ねじ部と、頭部と有するねじであり、前記ねじは、前記ねじ部が前記プレート境界部に通され、前記頭部が前記隣接するプレート部材のそれぞれに当接した構成としてもよい。
【0012】
前記ベースプレートは、前記隣接するプレート部材同士をその並び方向に沿って所定のスライド範囲内でスライド可能に繋いだジョイント部を有し、前記ジョイント部は、前記プレート境界部を跨ぐように設けられると共に、該プレート境界部を跨ぐ部分が前記締結具によって前記フレームと締結された構成としてもよい。
【0013】
本発明の第2態様に係る電子機器は、上記構成のキーボード装置と、前記キーボード装置を設けた本体筐体と、前記本体筐体に対して回動可能に連結され、ディスプレイを有するディスプレイ筐体と、を備える。
【0014】
前記フレームは、前記本体筐体の上面を形成するカバー部材であり、前記ベースプレートは、前記カバー部材に対して前記締結具で締結されることで、前記カバー部材の下面側に吊り下げられた状態で前記本体筐体に取り付けられた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記態様によれば、ベースプレートの剛性を確保しつつ、コストや重量を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るキーボード装置について、この装置を備える電子機器を例示して好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、一実施形態に係るキーボード装置10を備えた電子機器12の平面図である。電子機器12は、キーボード装置10を搭載した本体筐体14と、ディスプレイ16を搭載したディスプレイ筐体18とをヒンジ20で回動可能に連結したノート型PCである。
図1は、ディスプレイ筐体18を本体筐体14から開いて使用形態とした状態での平面図である。キーボード装置10は、ノート型PC以外の電子機器に搭載されてもよい。キーボード装置10は、例えばデスクトップ型PCに使用する外付けのキーボード装置であってもよい。
【0019】
以下、キーボード装置10について、
図1に示すように電子機器12に搭載されたキーボード装置10を使用するユーザから見た状態を基準とし、手前側を前、奥側を後、厚み方向を上下、幅方向を左右と呼んで説明する。
【0020】
本体筐体14は、内部に図示しない基板、演算処理装置、ハードディスク装置、バッテリ装置等の各種電子部品を収容している。キーボード装置10は、本体筐体14の上面に露出するように設けられている。ディスプレイ16は、例えば液晶ディスプレイである。ディスプレイ筐体18は、その下端部が本体筐体14の後端部とヒンジ20を介して連結されている。
【0021】
キーボード装置10は、複数のキースイッチ22を有する。キーボード装置10は、各キースイッチ22の操作面となるキートップ24の周囲をフレーム(アイソレーションフレーム)26で仕切ったアイソレーション型のキーボード装置である。
【0022】
図2は、キーボード装置10の一部を拡大した平面図である。
図3は、キーボード装置10の構成を模式的に示した一部拡大側面断面図である。
図1〜
図3に示すように、各キートップ24は、隣接する他のキートップ24との間がフレーム26の枠部28によって区画され、それぞれが独立した配置となっている。
【0023】
フレーム26は、樹脂や金属等で形成されている。フレーム26には、複数の孔部28aが設けられている。枠部28は、孔部28aを形成する部分であり、前後方向及び左右方向に沿って網目状を成している。各孔部28aの配列は、各キートップ24の配列と一致している。各孔部28aには、各キートップ24が上下動可能に挿入されている。フレーム26は、その上面が本体筐体14の上面及び各キートップ24の操作面と略面一或いは多少低位置にある(
図3参照)。本実施形態のフレーム26は、本体筐体14の上面を構成するカバー部材14a(
図1参照)と一体に形成されている。フレーム26は、カバー部材14aと別体に構成されてもよい。
【0024】
枠部28は、孔部28aを形成する横枠28b及び縦枠28cを有する。
図1に示すように、各キースイッチ22は、左右方向(横方向)には右前端位置を除いて原則1列に並んでいる。各キースイッチ22は、前後方向(縦方向)には左右両端位置を除いて左右方向に位置ずれして並んでいる。つまり横枠28bは右前端位置を除いて左右方向に延在している。一方、縦枠28cは、左右両端位置を除いて前後方向と左右方向に折れ曲がったジグザグ形状となっている。
【0025】
図3に示すように、キーボード装置10は、複数のキースイッチ22と、ベースプレート30と、メンブレンシート32と、バックライトシート34とを備える。
【0026】
各キースイッチ22は、キートップ24と、ガイド機構36と、ラバードーム38とを有する。ガイド機構36は、キートップ24をベースプレート30の上面30a側で上下動可能に支持するものである。ガイド機構36は、キートップ24の下面とベースプレート30の上面30aとの間を連結するパンタグラフ機構である。ラバードーム38は、シリコーンゴム等の可撓性を有する弾性材料で形成されたドーム形状部材であり、メンブレンシート32とキートップ24との間に配設されている。ラバードーム38は、キートップ24が押下された場合にメンブレンシート32を押圧すると共に、キートップ24の押下操作が解除された際にキートップ24を元の位置に復帰させる弾性部材である。
【0027】
ベースプレート30は、各キースイッチ22やフレーム26の取付板である。ベースプレート30は、例えば板厚0.3mmのステンレス板やアルミニウム板等、金属製の板状部材に切り起こし成形や打ち抜き成形を施したものである。本実施形態のベースプレート30は、長手方向(左右方向)で3分割された分割構造を有するが、詳細は後述する。
【0028】
メンブレンシート32は、ベースプレート30の上面30a側に積層されている。メンブレンシート32は、例えば押圧された場合に接点が閉じる三層構造のスイッチシートである。メンブレンシート32は、例えば固定接点及び可動接点が重なる位置が押圧された場合に、固定接点と可動接点とが密着することで接点を閉じるものである。メンブレンシート32は各所に貫通孔を有し、この貫通孔を通してガイド機構36や枠部28がベースプレート30の上面30aに着地する。メンブレンシート32は、ベースプレート30の下面30b側に積層されてもよい。
【0029】
バックライトシート34は、ベースプレート30の下面30b側に積層されている。バックライトシート34は、例えばPETやポリカーボネート、アクリル等の透光性を有する樹脂製の光ガイドプレート等を含み、その左右中央或いは左右端部にLED素子等の光源を有する。バックライトシート34は、光源から発せられた光を左右方向に導き、光反射面で反射して各キートップ24を裏面から照射する。バックライトシート34は省略されてもよく、この場合はバックライトシート34に代えて防水シートを用いるとよい。
【0030】
図4Aは、ベースプレート30の平面図である。
図4Bは、
図4Aに示すベースプレート30の上面30aにフレーム26の枠部28を重ねた状態での平面図であり、フレーム26は2点鎖線で図示している。
図5Aは、
図4A中の丸印VAで囲んだ部分の平面図である。
図5Bは、
図5Aに示すベースプレート30をねじ39を用いてフレーム26に締結した状態での平面図である。
図6Aは、ベースプレート30の
図5Aに示す部分を上面30a側から見た斜視図である。
図6Bは、ベースプレート30の
図5Aに示す部分を下面30b側から見た斜視図である。
図7は、
図5B中のVII−VII線で示す模式的な断面図ある。
【0031】
図4A及び
図4Bに示すように、ベースプレート30は、長手方向(左右方向)に沿って3枚のプレート部材40,41,42を並べて配置した分割構造である。本実施形態のベースプレート30は、隣接するプレート部材40,41間及びプレート部材41,42間は、それぞれ複数のブリッジ部44,45で繋がれている。
【0032】
プレート部材40は、ベースプレート30の左側部分を構成するプレートである。プレート部材41は、ベースプレート30の中央部分を構成するプレートである。プレート部材42は、ベースプレート30の右側部分を構成するプレートである。隣接するプレート部材40,41は、互いに対向する端面40a,41a間にプレート境界部Bを介して配置されている。同様に、隣接するプレート部材41,42は、互いに対向する端面41b,42a間にプレート境界部Bを介して配置されている。プレート境界部Bは、隣接するプレート部材40,41間及びプレート部材41,42間の境界線である。本実施形態のプレート境界部Bは、端面40a,41a間及び端面41b,42a間に形成された間隙である。
【0033】
端面40a,41aは、前後方向と左右方向に折れ曲がったジグザグ形状を描いて互いに対向している。同様に、端面41b,42aは、前後方向と左右方向に折れ曲がったジグザグ形状を描いて互いに対向している。つまり各プレート境界部Bは、前後方向と左右方向に折れ曲がったジグザグ形状で各プレート部材40〜42間を分割している。
【0034】
各ブリッジ部44,45は、隣接するプレート部材40,41間及びプレート部材41,42間を、各プレート部材40〜42の並び方向(左右方向)に相対移動可能に繋いでいる。つまり隣接するプレート部材40,41間及びプレート部材41,42間は、ブリッジ部44,45を介してプレート境界部Bが左右に拡縮する方向に互いに相対移動可能に繋がれている。
【0035】
ブリッジ部44は、例えば1本のプレート境界部Bに対してそれぞれ5個或いは6個ずつ設けられている。ブリッジ部44は、例えばプレート境界部Bに沿ってプレート部材40,41間及びプレート部材41,42間を切断する際、一部を切断せずに残した平面視略Z字形状の幅狭プレートである。
【0036】
図5A及び
図6Aに示すように、ブリッジ部44は、例えばプレート部材41,42の端面41a,42a間をZ字形状に繋いだ弾性アーム44aを有する。弾性アーム44aは、一方の端面41aから対向する端面42a側へと突出した後、隙間Gの延在方向に沿って延在し、続いて端面42a側へと屈曲した板片である。プレート部材40,41間のブリッジ部44についても、
図5A及び
図6Aに示すものと略同一の構成である。ブリッジ部44は、弾性アーム44aが弾性変形することで、プレート部材40,41間及びプレート部材41,42間を互いに接離させる左右方向に沿って弾性変位可能に連結している。
【0037】
ブリッジ部45は、例えば1本のプレート境界部Bに対してそれぞれ6個ずつ設けられており、プレート境界部Bを左右方向に跨いでいる。ブリッジ部45は、プレート境界部Bを構成するプレート部材40,41及びプレート部材41,42をそれぞれ切り起こして係合させた係合部である。
【0038】
図6A及び
図6Bに示すように、ブリッジ部45は、係合アーム46と、アーム支持部47とで構成されている。
【0039】
係合アーム46は、一方のプレート部材42の一部を切り起こして180度反転させ、他方のプレート部材41側へと突出させたものである。係合アーム46は、プレート境界部Bを跨いで設けられ、先端側がアーム支持部47と係合している。係合アーム46は、アームベース46aと、第1係止部46bとを有する。アームベース46aは、プレート境界部Bに配設される幅広な板部である。第1係止部46bは、アームベース46aよりも先端側に設けられている。係合アーム46の先端は、二股に分岐して2本の角状に突出しており、これら2本の角の先端間を繋いだ横板部分が第1係止部46bとなる。
【0040】
アーム支持部47は、他方のプレート部材41に設けられ、係合アーム46を左右方向にスライド可能に支持する部分である。アーム支持部47は、ガイド片47aと、第2係止部47bとを有する。ガイド片47aは、プレート部材41の一部を切り起こして180度反転させ、プレート部材42側へと突出させたものである。ガイド片47aは、先細り形状の板片である。ガイド片47aは、第1係止部46bの下に重ねて設けられ、第1係止部46bの下面を支持している。第2係止部47bは、プレート部材41の一部を切り抜いて形成された横板である。第2係止部47bは、係合アーム46の上に重ねて設けられ、第1係止部46bとアームベース46aとの間に介在している。これにより第2係止部47bは、第1係止部46bと端面同士で対向している。このように、アーム支持部47は、ガイド片47aと第2係止部47bとで係合アーム46を上下に挟んでいる。
【0041】
従って、ブリッジ部45は、第1係止部46bと第2係止部47bとの間の端面間の隙間分だけ、プレート部材41,42間を左右方向にスライド可能な状態で繋ぐジョイント部である。つまりブリッジ部45は、隣接するプレート部材41,42間を所定のスライド範囲内でスライド可能に連結している。
図4Aに示すように、ブリッジ部45は左右反転構造であってもよく、この場合は係合アーム46が他方のプレート部材41側に設けられ、アーム支持部47が一方のプレート部材42側に設けられる。プレート部材40,41間のブリッジ部45についても、
図6A及び
図6Bに示すブリッジ部45と略同一の構成である。
【0042】
図4Bに示すように、ベースプレート30は、プレート境界部Bがフレーム26の枠部28の下方に重なる位置に沿って設けられている。具体的には、プレート境界部Bは、孔部28aの下方を避けつつ、横枠28b及び縦枠28cの下方を通過している。また、ブリッジ部44,45についても横枠28b及び縦枠28cの下方に重なる位置に設けられる。これにより、各キートップ24の上下動作にブリッジ部44,45が干渉することが防止されている。
【0043】
図4Aに示すように、ベースプレート30の各所には、板厚方向に貫通した締結孔50,51,52が形成されている。
【0044】
締結孔50は、各プレート部材40〜42の各所に多数形成されている。各締結孔50は、それぞれフレーム26の枠部28の下方に重なる位置に形成されている。
図3に示すように、各締結孔50にはねじ39のねじ部39aが通される。ねじ部39aは、枠部28の下面に開口形成されたねじ穴28dに螺合される。
【0045】
図4、
図5A及び
図6Aに示すように、締結孔51は、プレート境界部Bと重なる位置に複数形成されている。各締結孔51は、隣接するプレート部材41,42の端面41a,42aにそれぞれ形成された半円形の切欠形状部51a,51bによって形成されている。つまり締結孔51は、対向する切欠形状部51a,51b間に形成された隙間と、プレート境界部Bによる隙間とを合わせた構造である。
【0046】
図5B及び
図7に示すように、各締結孔51にはねじ39のねじ部39aが通される。ねじ部39aは、枠部28の下面に開口形成されたねじ穴28dに螺合される。この際、ねじ39は、頭部39bが当該プレート境界部Bを形成する左右のプレート部材41,42の下面30bに同時に当接する。その結果、当該キーボード装置10は、1本のねじ39が2枚のプレート部材41,42をフレーム26に対して同時に締結した構造となる。なお、プレート部材40、41についても、その間のプレート境界部Bに設けられた締結孔51により、上記したプレート部材41,42の場合と同様にねじ39でフレーム26に締結される。
【0047】
図4、
図5A及び
図6Aに示すように、締結孔52は、各ブリッジ部45を構成する係合アーム46のアームベース46aに形成されている。
図5Bに示すように、各締結孔52にはねじ39のねじ部39aが通され、
図7の構成例と同様に枠部28のねじ穴28dに螺合される。この際、ねじ39は、頭部39bがアームベース46aを下から上に押圧する。このため、ブリッジ部45は、係合アーム46がねじ39で締結されることで、これを上下から挟み込んでいるアーム支持部47も1本のねじ39で同時にフレーム26に締結される。具体的には、係合アーム46がね39で下から上に向かって押圧されることで、第1係止部46bがその上面側にあるガイド片47aを押圧し、これにより各プレート部材41,42が同時にフレーム26と締結される。なお、プレート部材40、41についても、その間のブリッジ部45に設けられた締結孔52により、上記したプレート部材41,42の場合と同様にねじ39でフレーム26に締結される。
【0048】
図4A及び
図4Bに示すように、各プレート部材40〜42は、各所に位置決め嵌合部54を有する。
図8は、位置決め嵌合部54でベースプレート30とフレーム26を位置決めした状態を模式的に示す平面図である。
【0049】
図8Aに示すように、位置決め嵌合部54は、各プレート部材40〜42にそれぞれ複数設けられている。位置決め嵌合部54は、プレート部材40〜42の一部を切り起こして上方へと起立させた板片である。位置決め嵌合部54は、例えば左右方向に延びた幅寸法を有する。位置決め嵌合部54は、枠部28の下方に重なる位置に設けられ、枠部28の下面に開口する嵌合凹部56に嵌合する。これにより位置決め嵌合部54は、各プレート部材40〜42を前後方向に対して所定範囲(例えば前後方向で合計0.1mm程度)内のがたつきで位置決めする。さらに位置決め嵌合部54は、各プレート部材40〜42を左右方向に対して所定範囲(例えば左右方向で合計0.1mm程度)内のがたつきで位置決めする。なお、位置決め嵌合部54は、少なくとも各プレート部材40〜42の左右方向略中央に設けられているとよい。本実施形態の場合、各プレート部材40〜42の中央の位置決め嵌合部54は、例えばそれぞれ前後方向に沿って3個ずつ設けられている(
図4A参照)。
【0050】
本実施形態のキーボード装置10において、ベースプレート30をフレーム26に固定する際は、先ず、各プレート部材40〜42の位置決め嵌合部54をフレーム26の嵌合凹部56に嵌合させる。そうすると、フレーム26の嵌合凹部56の位置に応じて、各プレート部材40〜42間の相対位置がブリッジ部44,45を介して変位しつつ、フレーム26に対して位置決めされる。その際、各キートップ24は、各孔部28aに挿入される。続いて、各締結孔50〜52を通してねじ39をフレーム26のねじ穴26dに螺合させる。これにより各プレート部材40〜41がフレーム26と締結され、キーボード装置10の組付作業が完了する。
【0051】
ところで、本実施形態のベースプレート30は、プレート部材40〜42による分割構造となっている。このため、ベースプレート30は、その長手方向(左右方向)での寸法公差を、各プレート部材40〜42のそれぞれの左右方向寸法に応じた値で設定できる。すなわち、短尺な各プレート部材40〜42のそれぞれの寸法公差は、ベースプレート30を1枚の長尺板で構成する場合の寸法公差に比べて小さく設定することができ、寸法精度が向上する。例えばベースプレート30が1枚板で左右寸法が300mmの場合、左右方向での寸法公差は0.2mm以上必要となるが、3分割構造の各プレート部材40〜42の左右方向での寸法公差は0.1〜0.15mm程度でよい。また、各プレート部材40〜42間がブリッジ部44,45を介して並び方向に相対移動可能となっている。このため、フレーム26の孔部28aと、各プレート部材40〜42に支持される各キートップ24との間の隙間C(
図2参照)は、上記した高精度の寸法公差に基づく大きさに設定可能である。その結果、各キートップ24とフレーム26との間の隙間Cを低減することができる。しかも、このような小さな隙間Cであってもキートップ24がフレーム26と干渉することを防止でき、その円滑な動作を確保することができる。
【0052】
当該キーボード装置10は、このような分割構造のベースプレート30を備える。そこで、締結孔51,52に締結されるねじ39は、隣接するプレート部材40,41(41,42)同士の対向する端面40a,41a(41a,42a)間に形成されたプレート境界部Bと重なる位置に設けられる。そして、締結孔51,52では、1本のねじ39が隣接するプレート部材40,41(41,42)をフレーム26に対して同時に締結している。
【0053】
従って、当該キーボード装置10によれば、ねじ39は、1本で隣接するプレート部材40,41(41,42)の縁部を同時に固定できる。その結果、キーボード装置10は、ねじ39の使用数やねじ39の締結作業の工数を低減できる。しかも、ねじ39は、プレート境界部Bと重なる位置に配置される。このため、各プレート部材40〜42の縁部(端面40a,41a,42aに沿った部分)が高い剛性でフレーム26に固定される。このため、当該キーボード装置10は、キートップ24のキートップの押下操作時に、各プレート部材40〜42の縁部が沈み込むことを抑制でき、高い操作感が得られる。また、ねじ39が、各キートップ24の上下動作に干渉することも防止されている。その結果、当該キーボード装置10は、各キートップ24のストロークを十分に確保しつつ、ベースプレート30の剛性を確保できる。さらに当該キーボード装置10は、コストや重量の低減も図ることができる。なお、ベースプレート30をフレーム26に締結する締結具としては、ねじ39以外、例えばリベット等を用いてもよい。
【0054】
特に、当該キーボード装置10では、各キートップ24の配列に従って、プレート境界部Bも前後方向と左右方向とに折れ曲がったジグザグ形状となっている。このため、各プレート部材40〜42の一部には、プレート境界部Bのジグザグ形状に沿って突き出した角部(出隅部A)が形成されている(
図4A及び
図5A参照)。例えば
図5A中で細かな点を付した範囲が出隅部Aとなる。この出隅部Aは、その上部にキートップ24が配置されるため、このキートップ24が押下操作された際には下方への押圧力を受ける。その際、出隅部Aは、その四周のうち、隣接する2辺がプレート境界部Bに面しているため、キートップ24の押圧力によって下に沈み込む懸念が他の部分よりも大きい。ベースプレート30の沈み込みが発生すると、キートップ24がフカフカし、操作感が低下する。この点、当該キーボード装置10は、この出隅部Aの範囲に締結孔51や締結孔52を設け、これをねじ39で固定している。このため、キートップ24の押下操作時での出隅部Aの沈み込みをも抑制でき、剛性の高い操作感を得ることができる。なお、締結孔51,52を持たない従来構成の場合、出隅部及びその近傍をねじ固定する際は、隣接するプレート部材間の縁部に、互いに対になる締結孔及びねじの設置スペースを確保する必要があり、構造上困難な場合も多い。
【0055】
締結孔51は、切欠形状部51a,51bを設けず、プレート境界部Bの隙間をそのまま利用したものでもよい。但し、切欠形状部51a,51bを設けない構成とした場合は、プレート境界部Bの幅を拡大させる必要が生じる。そうすると、ブリッジ部44,45による各プレート部材40〜42の連結強度の確保等が難しくなる懸念がある。このため、締結孔51は、切欠形状部51a,51bを設けた構成が好ましい。
【0056】
当該電子機器12は、
図3及び
図7に示すように、ベースプレート30をフレーム26の下面側から締結する構造である。キーボード装置10は、ベースプレート30を介して本体筐体14のカバー部材14aの下面側に吊り下げられた取付構造となる。このため、ベースプレート30は、その下面30b側が本体筐体14内で浮いた状態となり、その剛性の確保が一層重要となる。この点、当該キーボード装置10は、各締結孔50〜52によるねじ39の固定構造により、さらには出隅部Aでの固定構造により、高い剛性が確保されている。
【0057】
当該キーボード装置10では、各プレート部材40〜42間がブリッジ部44,45を介して並び方向に相対移動可能となっている。このため、ベースプレート30は、キーボード装置10の製造時には1枚板として取り扱うことができ、製造効率が高い。各プレート部材40〜42は、ブリッジ部44,45で連結されず、完全に独立した構造でもよい。なお、この構成では、端面40a,41a間及び端面41b,42a間に接触部分ができることもあり、この接触部分も含めてプレート境界部Bが形成されることになる。
【0058】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0059】
上記では、3枚のプレート部材40〜42でベースプレート30を形成した構成を例示したが、プレート部材の設置数は2枚でも4枚以上でもよい。
【0060】
上記では、ベースプレート30の長手方向(左右方向)に沿ってプレート部材40〜42を並べた構成を例示したが、長手方向と共に又は長手方向に代えて短手方向(前後方向)に沿ってプレート部材を並べた構成としてもよい。なお、キーボード装置10が平面視正方形の場合は、前後方向及び左右方向のいずれについても長手方向と言うことができ、前後方向及び左右方向のいずれか又は両方にプレート部材を並べた構成とするとよい。