【課題】コイルが、第一主面と第二主面とが対向している方向と直交する方向に沿うコイル軸を有している場合でも、素体におけるクラックの発生が抑制され、かつ、特性の低下が抑制されている積層コイル部品を提供する。
【解決手段】コイル20は、主面3aとの間隔Gaが主面3bとの間隔Gbより大きくなるように素体3内に配置されており、第二方向D2に沿うコイル軸CAを有している。接続導体31,33は、互いに対応するコイル20の端と端子電極5,7とを接続しており、第一方向D1に沿って延在している。コイル20は、第二方向D2で互いに離間しているコイル導体21,23と、第二方向D2で互いに隣り合うコイル導体21,23を接続するスルーホール導体と、を有している。第二方向D2から見て、スルーホール導体は、端子電極5,7と重なっていない。
実装面を構成する第一主面と、前記第一主面と第一方向で対向している第二主面と、前記第一方向と直交する第二方向で互いに対向している一対の側面と、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向で互いに対向している一対の端面と、を有している素体と、
前記第一主面との間隔が前記第二主面との間隔より大きくなるように前記素体内に配置されており、前記第二方向に沿うコイル軸を有するコイルと、
前記第一主面、前記第二主面、前記一対の側面、及び前記端面に配置されている複数の端子電極と、
互いに対応する前記コイルの端と前記端子電極とを接続しており、前記第一方向に沿って延在している複数の接続導体と、を備え、
前記コイルは、
前記第二方向で互いに離間している複数のコイル導体と、
前記複数のコイル導体のうち、前記第二方向で互いに隣り合うコイル導体を接続するスルーホール導体と、を有し、
前記第二方向から見て、前記スルーホール導体は、前記複数の端子電極と重なっていない、積層コイル部品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
素体は、実装面を構成する第一主面と、第一主面と対向している第二主面と、を有している。コイルは、互いに離間している複数のコイル導体を有する。
積層コイル部品の製造過程(焼成過程)において、コイル導体を形成するための金属成分が、素体が焼結する際の促進剤として機能し、素体における、コイル(コイル導体)近傍に位置する領域の焼結性が高まることがある。この場合、この領域は過剰に焼成されるおそれがある。
積層コイル部品が電子機器(たとえば、回路基板又は電子部品)にはんだ実装されている場合、電子機器から積層コイル部品に作用する外力が、素体に応力として作用することがある。外力は、はんだ実装の際に形成されたはんだフィレットから端子電極を通して素体に作用する。外力は、たとえば、第一主面に作用する傾向がある。第一主面に作用する外力が、過剰に焼成されている領域に作用する場合、当該領域にクラックが発生するおそれがある。クラックがコイルに達する場合、コイル(コイル導体)が断線するおそれがある。
【0005】
過剰に焼成されている領域が第一主面から離れている構成、すなわち、コイル(コイル導体)が第一主面から離れている構成では、外力が第一主面に作用する場合でも、外力が過剰に焼成されている領域に作用しがたい。
コイルが、第一主面と第二主面とが対向している方向に沿うコイル軸を有している構成では、各コイル導体は、たとえば、第一主面と第二主面とが対向している方向と直交する面内に配置される。この場合、第一主面とコイル(複数のコイル導体のうち、第一主面に最も近いコイル導体)との間隔を確保しやすい。
これに対し、コイルが、たとえば、第一主面と第二主面とが対向している方向と直交する方向に沿うコイル軸を有している構成では、各コイル導体は、第一主面と第二主面とが対向している方向に沿う面内に配置される。この場合、第一主面とコイルとの間隔を確保しがたい。第一主面とコイルとの間隔が大きくされると、コイルの内径が小さくなる傾向があり、積層コイル部品の特性が低下するおそれがある。
【0006】
本発明の一つの態様は、コイルが、第一主面と第二主面とが対向している方向と直交する方向に沿うコイル軸を有している場合でも、素体におけるクラックの発生が抑制され、かつ、特性の低下が抑制されている積層コイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様に係る積層コイル部品は、素体と、コイルと、複数の端子電極と、複数の接続導体と、を備えている。素体は、実装面を構成する第一主面と、第一主面と第一方向で対向している第二主面と、第一方向と直交する第二方向で互いに対向している一対の側面と、第一方向及び第二方向と直交する第三方向で互いに対向している一対の端面と、を有している。コイルは、第一主面との間隔が第二主面との間隔より大きくなるように素体内に配置されており、第二方向に沿うコイル軸を有している。複数の端子電極は、第一主面、第二主面、一対の側面、及び端面に配置されている。複数の接続導体は、互いに対応するコイルの端と端子電極とを接続しており、第一方向に沿って延在している。コイルは、第二方向で互いに離間している複数のコイル導体と、複数のコイル導体のうち、第二方向で互いに隣り合うコイル導体を接続するスルーホール導体と、を有している。第二方向から見て、スルーホール導体は、複数の端子電極と重なっていない。
【0008】
上記一つの態様では、コイルが、第一主面との間隔が第二主面との間隔より大きくなるように素体内に配置されている。
コイルと第一主面との間隔が、コイルと第二主面との間隔より大きい構成では、第一主面とコイルとの間隔が確保されやすく、コイルが第一主面から離されやすい。したがって、素体における、コイル近傍に位置する領域の焼結性が高まっている場合でも、当該領域に外力が作用しがたく、素体におけるクラックの発生が抑制される。
【0009】
コイルと第二主面との間隔が、コイルと第一主面との間隔より小さい構成では、コイルが第一主面から離されている場合でも、コイルの内径が小さくなりがたい。したがって、インダクタンスの低下が抑制される。
接続導体が、第一方向に沿って延在している。すなわち、接続導体は、略直線状を呈している。この構成では、たとえば、接続導体が略L字状を呈している構成に比して、接続導体の長さが小さく、形状が変化する箇所が存在しがたい。形状が変化する箇所が接続導体に存在している場合、Q値が低下するおそれがある。したがって、接続導体の直流抵抗の増加及びQ値の低下が抑制される。
第二方向から見て、スルーホール導体が、複数の端子電極と重なっていない。スルーホール導体は、コイル導体の端と接続される。コイル導体の端では、当該端とスルーホール導体とを確実に接続するために、導体幅が大きくされる。第二方向から見て、スルーホール導体が、端子電極と重なっている構成では、第二方向から見て、コイル導体の端が端子電極と重なるおそれがある。この場合、コイル導体の端での導体幅が大きいので、コイルと端子電極との間に形成される浮遊容量が増加するおそれがある。浮遊容量が増加すると、積層コイル部品の自己共振周波数が低くなる。これに対し、第二方向から見て、スルーホール導体が、複数の端子電極と重なっていない構成では、コイル導体の端での導体幅が大きい場合でも、コイルと端子電極との間に形成される浮遊容量が増加しがたく、積層コイル部品の自己共振周波数が低くなりがたい。
これらの結果、上記一つの態様では、積層コイル部品の特性の低下が抑制される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一つの態様によれば、コイルが、第一主面と第二主面とが対向している方向と直交する方向に沿うコイル軸を有している場合でも、素体におけるクラックの発生が抑制され、かつ、特性の低下が抑制されている積層コイル部品を提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0013】
図1〜
図5を参照して、本実施形態に係る積層コイル部品1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る積層コイル部品を示す斜視図である。
図2は、素体及びコイルの構成を示す斜視図である。
図3は、素体、端子電極、及びコイルの構成を示す図である。
図4〜
図7は、コイル導体及びスルーホール導体の構成を示す図である。
図1に示されるように、積層コイル部品1は、素体3と、複数の端子電極5,7と、を備えている。本実施形態では、積層コイル部品1は、一対の端子電極5,7を備えている。
【0014】
素体3は、直方体形状を呈している。素体3は、互いに対向している一対の主面3a,3b、互いに対向している一対の側面3c、及び互いに対向している一対の端面3e,3fを有している。本明細書では、直方体形状は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。たとえば、主面3aが第一主面を構成する場合、主面3bは第二主面を構成する。
【0015】
一対の主面3a,3b、一対の側面3c、及一対の端面3e,3fは、矩形状を呈している。一対の主面3a,3bが対向している方向が、第一方向D1である。一対の側面3cが対向している方向が、第二方向D2である。一対の端面3e,3fが対向している方向が、第三方向D3である。積層コイル部品1は、電子機器にはんだ実装される。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。積層コイル部品1では、主面3aが、電子機器と対向する。主面3aは、実装面を構成するように配置される。主面3aは、実装面である。本明細書では、矩形状は、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状を含む。
【0016】
一対の側面3cは、一対の主面3a,3bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面3cは、第三方向D3にも延在している。一対の端面3e,3fは、一対の主面3a,3bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の端面3e,3fは、第二方向D2にも延在している。第一方向D1は、各主面3a,3bに直交する方向であり、第二方向D2と直交している。第三方向D3は、各主面3a,3bと各側面3cとに平行な方向であり、第一方向D1と第二方向D2とに直交している。第二方向D2は、各側面3cに直交する方向であり、第三方向D3は、各端面3e,3fに直交する方向である。
【0017】
図2に示されるように、素体3は、複数の絶縁体層11が積層されて構成されている。素体3は、積層されている複数の絶縁体層11を有している。各絶縁体層11は、第二方向D2に積層されている。各絶縁体層11は、第二方向D2から見て、矩形状を呈している。実際の素体3では、各絶縁体層11は、各絶縁体層11の間の境界が視認できない程度に一体化されている。各絶縁体層11は、たとえば、非磁性材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体で構成されている。非磁性材料は、たとえば、ガラス成分を含む誘電体材料である。誘電体材料は、たとえば、BaTiO
3系、Ba(Ti,Zr)O
3系、又は(Ba,Ca)TiO
3系の誘電体セラミックである。ガラス成分は、たとえば、ホウケイ酸ガラスである。非磁性材料は、ガラスセラミック材料又は誘電体材料であってもよい。各絶縁体層11は、磁性材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体で構成されていてもよい。磁性材料は、たとえば、Ni−Cu−Zn系フェライト材料、Ni−Cu−Zn−Mg系フェライト材料、又はNi−Cu系フェライト材料である。
【0018】
端子電極5,7は、
図1に示されるように、素体3の第三方向D3での両端部にそれぞれ配置されている。端子電極5は、素体3の端面3e側に配置されており、端子電極7は、素体3の端面3f側に配置されている。端子電極5と端子電極7とは、第三方向D3で離間している。各端子電極5,7は、導電材(たとえば、Ag又はPd)を含んでいる。各端子電極5,7は、導電性金属粉末(たとえば、Ag粉末又はPd粉末)及びガラスフリットを含む導電性ペーストの焼結体として構成される。各端子電極5,7の表面には、めっき層が形成されていてもよい。めっき層は、たとえば、電気めっきにより形成される。電気めっきには、たとえば、Ni又はSnが用いられる。
【0019】
端子電極5は、5つの電極部分5a,5b,5c,5d,5eを含んでいる。電極部分5aは、主面3a上に位置している。電極部分5bは、主面3b上に位置している。電極部分5cは、一方の側面3c上に位置している。電極部分5dは、他方の側面3c上に位置している。電極部分5eは、端面3e上に位置している。端子電極5は、一対の主面3a,3b、一対の側面3c、及び端面3eに配置されている。電極部分5eは、端面3eの全体を覆っている。電極部分5aは、主面3aの一部を覆っている。電極部分5bは、主面3bの一部を覆っている。電極部分5cは、側面3cの一部を覆っている。5つの電極部分5a,5b,5c,5d,5eは、一体的に形成されている。
【0020】
端子電極7は、5つの電極部分7a,7b,7c,7d,7fを含んでいる。電極部分7aは、主面3a上に位置している。電極部分7bは、主面3b上に位置している。電極部分7cは、側面3c上に位置している。電極部分7dは、側面3c上に位置している。電極部分7fは、端面3f上に位置している。端子電極5は、一対の主面3a,3b、一対の側面3c、及び端面3fに配置されている。電極部分7fは、端面3fの全体を覆っている。電極部分7aは、主面3aの一部を覆っている。電極部分7bは、主面3bの一部を覆っている。電極部分7cは、一方の側面3cの一部を覆っている。電極部分7dは、他方の側面3cの一部を覆っている。5つの電極部分7a,7b,7c,7d,7fは、一体的に形成されている。
【0021】
積層コイル部品1は、
図2及び3に示されているように、コイル20と、複数の接続導体31,33と、を備えている。本実施形態では、積層コイル部品1は、一対の接続導体31,33を備えている。コイル20は、素体3内に配置されている。コイル20は、複数のコイル導体21,23,25,27と、複数のスルーホール導体22,24,26と、を有している。本実施形態では、コイル20は、四つのコイル導体21,23,25,27と、三つのスルーホール導体22,24,26と、を有している。コイル導体21,23,25,27、スルーホール導体22,24,26、及び接続導体31,33は、導電材(たとえば、Ag又はPdなど)を含んでいる。各コイル導体21,23,25,27は、導電性材料(たとえば、Ag粉末又はPd粉末など)を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0022】
コイル導体21,23,25,27は、第二方向D2で互いに離間している。コイル導体21とコイル導体23とは、コイル導体21とコイル導体23との間に少なくとも一層の絶縁体層11が位置している状態で、第二方向D2で互いに隣り合っている。コイル導体23とコイル導体25とは、コイル導体23とコイル導体25との間に少なくとも一層の絶縁体層11が位置している状態で、第二方向D2で互いに隣り合っている。コイル導体25とコイル導体27とは、コイル導体25とコイル導体27との間に少なくとも一層の絶縁体層11が位置している状態で、第二方向D2で互いに隣り合っている。コイル導体21,23,25,27は、第二方向D2に並んでいる。したがって、コイル20は、第二方向D2に沿うコイル軸CAを有している。コイル20は、第二方向D2から見て、多角形状を呈している。本実施形態では、コイル20は、第二方向D2から見て、四角形状を呈している。
【0023】
コイル導体21は、
図4に示されるように、複数の導体部分21a,21b,21c,21dを有している。導体部分21aは、端面3e寄りに位置している。導体部分21bは、主面3a寄りに位置している。導体部分21cは、端面3f寄りに位置している。導体部分21dは、主面3b寄りに位置している。導体部分21dは、その端にパッド領域21d
Pを有している。パッド領域21d
Pの導体幅は、パッド領域21d
P以外の領域の導体幅より大きい。第二方向D2から見て、パッド領域21d
Pは、端子電極5,7と重なっていない。パッド領域21d
Pは、第二方向D2から見て、端子電極5,7から露出するように位置している。
【0024】
コイル導体23は、
図5に示されるように、複数の導体部分23a,23b,23cを有している。導体部分23aは、主面3b寄りに位置している。導体部分23bは、端面3e寄りに位置している。導体部分23cは、主面3a寄りに位置している。導体部分23aは、その端にパッド領域23a
Pを有している。導体部分23cは、その端にパッド領域23c
Pを有している。パッド領域23a
P,23c
Pの導体幅は、パッド領域23a
P,23c
P以外の領域の導体幅より大きい。第二方向D2から見て、パッド領域23a
P,23c
Pは、端子電極5,7と重なっていない。パッド領域23a
P,23c
Pは、第二方向D2から見て、端子電極5,7から露出するように位置している。
【0025】
コイル導体25は、
図6に示されるように、複数の導体部分25a,25b,25cを有している。導体部分25aは、主面3a寄りに位置している。導体部分25bは、端面3f寄りに位置している。導体部分25cは、主面3b寄りに位置している。導体部分25aは、その端にパッド領域25a
Pを有している。導体部分25cは、その端にパッド領域25c
Pを有している。パッド領域25a
P,25c
Pの導体幅は、パッド領域25a
P,25c
P以外の領域の導体幅より大きい。第二方向D2から見て、パッド領域25a
P,25c
Pは、端子電極5,7と重なっていない。パッド領域25a
P,25c
Pは、第二方向D2から見て、端子電極5,7から露出するように位置している。
【0026】
コイル導体27は、
図7に示されるように、複数の導体部分27a,27b,27c,27dを有している。導体部分27aは、主面3b寄りに位置している。導体部分27bは、端面3e寄りに位置している。導体部分27cは、主面3a寄りに位置している。導体部分27dは、端面3f寄りに位置している。導体部分27aは、その端にパッド領域27a
Pを有している。パッド領域27a
Pの導体幅は、パッド領域27a
P以外の領域の導体幅より大きい。第二方向D2から見て、パッド領域27a
Pは、端子電極5,7と重なっていない。パッド領域27a
Pは、第二方向D2から見て、端子電極5,7から露出するように位置している。
【0027】
スルーホール導体22は、パッド領域21d
Pとパッド領域23a
Pとを接続している。コイル導体21とコイル導体23とが、スルーホール導体22で接続される。スルーホール導体22は、複数のコイル導体21,23,25,27のうち、第二方向D2で互いに隣り合うコイル導体21,23を接続している。コイル導体21とコイル導体23とは、スルーホール導体22を通して、電気的に接続されている。第二方向D2から見て、パッド領域21d
P,23a
Pが、端子電極5,7と重なっていないので、スルーホール導体22も、第二方向D2から見て、端子電極5,7と重なっていない。
【0028】
スルーホール導体24は、パッド領域23c
Pとパッド領域25a
Pとを接続している。コイル導体23とコイル導体25とが、スルーホール導体24で接続される。スルーホール導体24は、複数のコイル導体21,23,25,27のうち、第二方向D2で互いに隣り合うコイル導体23,25を接続している。コイル導体23とコイル導体25とは、スルーホール導体24を通して、電気的に接続されている。第二方向D2から見て、パッド領域23c
P,25a
Pが、端子電極5,7と重なっていないので、スルーホール導体24も、第二方向D2から見て、端子電極5,7と重なっていない。
【0029】
スルーホール導体26は、パッド領域25c
Pとパッド領域27a
Pとを接続している。コイル導体25とコイル導体27とが、スルーホール導体26で接続される。スルーホール導体26は、複数のコイル導体21,23,25,27のうち、第二方向D2で互いに隣り合うコイル導体25,27を接続している。コイル導体25とコイル導体27とは、スルーホール導体26を通して、電気的に接続されている。第二方向D2から見て、パッド領域25c
P,27a
Pが、端子電極5,7と重なっていないので、スルーホール導体26も、第二方向D2から見て、端子電極5,7と重なっていない。
【0030】
導体部分21b,23c,25a,27cと主面3aとの各間隔Gaは、導体部分21d,23a,25c,27aと主面3bとの各間隔Gbより大きい。したがって、コイル20は、主面3aとの間隔が主面3bとの間隔より大きくなるように素体3内に配置されている。コイル20は、第一方向D1で、主面3b寄りに位置している。間隔Ga,Gbは、第一方向D1での長さである。本実施形態では、各間隔Gaは、同等であり、各間隔Gbは、同等である。本明細書では、同等は、必ずしも、値が一致していることだけを意味するのではない。製造誤差、又は、測定誤差などが値に含まれている場合でも、値が同等であるとしてもよい。各間隔Gaは、異なっていてもよく、各間隔Gbは、異なっていてもよい。この場合、間隔Gaの最小値が、間隔Gbの最大値より大きければよい。
【0031】
接続導体31は、コイル導体21の端と接続されている一端と、主面3bに露出している他端とを有している。接続導体31の一端は、導体部分21aと接続されている。本実施形態では、接続導体31は、コイル導体21と一体に連続して形成されている。接続導体31の他端は、電極部分5bと接続されている。接続導体31は、互いに対応するコイル20の一端と端子電極5とを接続している。端子電極5は、接続導体31を通して、コイル20と電気的に接続されている。接続導体31は、第一方向D1に沿って延在している。接続導体31は、略直線状を呈している。接続導体31は、幅を有しているので、実際には、接続導体31は、略矩形板状を呈している。本実施形態では、接続導体31の幅は、コイル導体21の幅よりも大きいが、接続導体31の幅は、コイル導体21の幅以下であってもよい。
【0032】
接続導体33は、コイル導体27の端と接続されている一端と、主面3bに露出している他端とを有している。接続導体33の一端は、導体部分27dと接続されている。本実施形態では、接続導体33は、コイル導体27と一体に連続して形成されている。接続導体33の他端は、電極部分7bと接続されている。接続導体33は、互いに対応するコイル20の他端と端子電極7とを接続している。端子電極7は、接続導体33を通して、コイル20と電気的に接続されている。接続導体33は、第一方向D1に沿って延在している。接続導体33は、略直線状を呈している。接続導体33は、幅を有しているので、実際には、接続導体33は、略矩形板状を呈している。本実施形態では、接続導体33の幅は、コイル導体27の幅よりも大きいが、接続導体33の幅は、コイル導体27の幅以下であってもよい。
【0033】
以上のように、積層コイル部品1では、コイル20が、主面3aとの間隔Gaが主面3bとの間隔Gbより大きくなるように素体3内に配置されている。
コイル20と主面3aとの間隔Gaが、コイル20と主面3bとの間隔Gbより大きい構成では、主面3aとコイル20との間隔Gaが確保されやすく、コイル20が主面3aから離されやすい。したがって、素体3における、コイル20近傍に位置する領域の焼結性が高まっている場合でも、当該領域に外力が作用しがたく、素体3におけるクラックの発生が抑制される。たとえば、コイル導体21,23,25,27がAgを含んでいる場合、Agが、素体3を構成するガラス成分の焼結を促進する。
【0034】
コイル20と主面3bとの間隔Gbが、コイル20と主面3aとの間隔Gaより小さい構成では、コイル20が主面3aから離されている場合でも、コイル20の内径が小さくなりがたい。したがって、積層コイル部品1では、インダクタンスの低下が抑制される。
接続導体31,33が、第一方向D1に沿って延在している。すなわち、接続導体31,33は、略直線状を呈している。この構成では、たとえば、接続導体31,33が略L字状を呈している構成に比して、接続導体31,33の長さが小さく、形状が変化する箇所が存在しがたい。形状が変化する箇所が接続導体31,33に存在している場合、Q値が低下するおそれがある。したがって、積層コイル部品1では、接続導体31,33の直流抵抗の増加及びQ値の低下が抑制される。
第二方向D2から見て、スルーホール導体22,24,26が、端子電極5,7と重なっていない。スルーホール導体22,24,26は、コイル導体21,23,25,27の端と接続される。コイル導体21,23,25,27の端では、当該端とスルーホール導体22,24,26とを確実に接続するために、導体幅が大きくされる。第二方向D2から見て、スルーホール導体22,24,26が、端子電極5,7と重なっている構成では、第二方向D2から見て、コイル導体21,23,25,27の端が端子電極5,7と重なるおそれがある。この場合、コイル導体21,23,25,27の端での導体幅が大きいので、コイル20と端子電極5,7との間に形成される浮遊容量が増加するおそれがある。浮遊容量が増加すると、積層コイル部品1の自己共振周波数が低くなる。これに対し、第二方向D2から見て、スルーホール導体22,24,26が、端子電極5,7と重なっていない構成では、コイル導体21,23,25,27の端での導体幅が大きい場合でも、コイル20と端子電極5,7との間に形成される浮遊容量が増加しがたく、積層コイル部品1の自己共振周波数が低くなりがたい。
これらの結果、積層コイル部品1の特性の低下が抑制される。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0036】
コイル20の形状は、多角形状に限られない。コイル20は、たとえば、第二方向D2から見て、円形状を呈していてもよい。円形状は、真円形状だけでなく、楕円形状又は長円形状を含む。
コイル導体21,23,25,27の数、及び、スルーホール導体22,24,26の数は、上述した値に限られない。