【解決手段】車両駆動装置10は、バッテリ18と電源用キャパシタ22とが直列接続されている電源3と、バッテリ18の電圧が提供される主駆動モータ16と、バッテリ18と電源用キャパシタ22の合計電圧(Vin)が提供される副駆動モータ20と、充電回路19と、電源3の充放電を制御する制御回路24と、を備える。制御回路24は、充電回路19のスイッチSW1〜SW4を操作して、バッテリ18と電源用キャパシタ22の充放電を制御する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態による車両駆動装置の構成について説明する。
図1は車両駆動装置を搭載した車両のレイアウト図であり、
図2は車両駆動装置の各モータの出力と車速の関係を示す図である。
【0017】
図1に示すように、本発明の実施形態による車両駆動装置10を搭載した車両1は、運転席よりも前方の、車両の前部に内燃機関であるエンジン12が搭載され、主駆動輪である左右一対の後輪2aを駆動する所謂FR(Front engine, Rear drive)車である。
【0018】
本発明の実施形態による車両駆動装置10は、一対の後輪2aを駆動する主駆動モータ16と、一対の前輪2bを駆動する副駆動モータ20と、これらモータへ電力供給する電源3(バッテリ18、電源用キャパシタ22)と、充電回路19と、制御回路24とを備えている。
【0019】
エンジン12は、車両1の主駆動輪である後輪2aに対する駆動力を発生するための内燃機関である。本実施形態においては、エンジン12として直列4気筒エンジンが採用されており、車両1の前部に配置されたエンジン12が動力伝達機構14を介して後輪2aを駆動するようになっている。
【0020】
動力伝達機構14は、エンジン12及び主駆動モータ16が発生した駆動力を主駆動輪である後輪2aに伝達するように構成されている。
図1に示すように、動力伝達機構14は、エンジン12及び主駆動モータ16に接続された動力伝達軸であるプロペラシャフト14a、及び変速機であるトランスミッション14bを備えている。
【0021】
主駆動モータ16は、主駆動輪に対する駆動力を発生するための電動機であって、車両1の車体上に設けられ、エンジン12の後ろ側に、エンジン12に隣接して配置されている。また、主駆動モータ16に隣接してインバータ16aが配置されており、このインバータ16aにより、バッテリ18の直流電圧が交流電圧に変換されて主駆動モータ16に供給される。さらに、
図1に示すように、主駆動モータ16はエンジン12と直列に接続されており、主駆動モータ16が発生した駆動力も動力伝達機構14を介して後輪2aに伝達される。また、本実施形態においては、主駆動モータ16として、比較的低電圧(本例では、48V以下)で駆動される25kWの永久磁石電動機(永久磁石同期電動機)が採用されている。
【0022】
副駆動モータ20は、副駆動輪である前輪2bに対する駆動力を発生するように、前輪2b各輪に設けられている。また、副駆動モータ20はインホイールモータであり、前輪2b各輪のホイール内に夫々収容されている。また、キャパシタ22の直流電圧は、トンネル部15内に配置されたインバータ20aにより交流電圧に変換されて、各副駆動モータ20に供給される。さらに、本実施形態においては、副駆動モータ20には減速機構である減速機が設けられておらず、副駆動モータ20の駆動力は前輪2bに直接伝えられ、車輪が直接駆動される。また、本実施形態においては、各副駆動モータ20として、比較的高電圧(本例では、120V以下)で駆動される17kWの誘導電動機が夫々採用されている。
【0023】
電源3は、バッテリ18とキャパシタ22とが直列接続されて構成されている(
図3参照)。即ち、バッテリ18の負極端子が車両1の車体アースGに接続され、バッテリ18の正極端子とキャパシタ22の負極端子とが接続されている。
【0024】
バッテリ18は、主として主駆動モータ16を作動させる電気エネルギーを蓄積するための蓄電器である。本実施形態においては、バッテリ18として、48V、3.5kWhのリチウムイオンバッテリ(LIB)が使用されている。具体的には、バッテリ18は、複数のバッテリセル18a(
図3参照)が直列接続されて構成されている。本実施形態では、1つのバッテリセル18aの定格電圧が約3Vであり、12個のバッテリセル18aが直列接続されている。
【0025】
キャパシタ22は、車両1の前輪2b各輪に設けられた副駆動モータ20に電力を供給するための蓄電器である。キャパシタ22は、車両1後部において、プラグイン式の充電回路19と概ね対称の位置に配置される。本実施形態においては、キャパシタ22は、耐圧72V、数ファラッド程度の静電容量を有する。なお、副駆動モータ20は、主駆動モータ16よりも高い電圧で駆動されるモータであり、主としてキャパシタ22に蓄積された電気エネルギーにより駆動される。
【0026】
充電回路19は、バッテリ18及びキャパシタ22に電気的に接続されている。充電回路19は、主駆動モータ16及び副駆動モータ20の回生電力、及び、給電口23に接続された充電スタンド等の外部電源17から供給された電力により、バッテリ18及びキャパシタ22を充電するように構成されている。
【0027】
給電口23は、車両1の後部側面に設けられたコネクタであり、充電回路19に電気的に接続されている。給電口23のコネクタは、充電スタンド等の外部電源17から延びる電気ケーブル17aのプラグに接続可能に構成されており、給電口23を介して電力が充電回路19に供給される。このように、本実施形態の車両駆動装置10は、直流電力を供給する外部電源17を、電気ケーブル17aを介して給電口23に接続することにより、バッテリ18及びキャパシタ22を充電可能に構成されている。
【0028】
制御回路24は、エンジン12、主駆動モータ16、及び副駆動モータ20を制御して、電動機走行モード及び内燃機関走行モードを実行するように構成されている。また、制御回路24は、充電回路19を制御して、バッテリ18及びキャパシタ22を充放電させるように構成されている。具体的には、制御回路24は、マイクロプロセッサ、メモリ、インタフェイス回路、及びこれらを作動させるプログラム(以上、図示せず)等によって構成することができる。
【0029】
次に、
図2を参照すると、車両駆動装置10における車速と各モータの出力の関係が示されている。
図2において、主駆動モータ16の出力を破線で示し、1つの副駆動モータ20の出力を一点鎖線で、2つの副駆動モータ20の出力の合計を二点鎖線で、全てのモータの出力の合計を実線で示している。なお、
図2は、車両1の速度を横軸とし、各モータの出力を縦軸として示しているが、車両1の速度とモータの回転数には一定の関係が存在するので、横軸をモータ回転数とした場合でも、各モータの出力は
図2と同様の曲線を描く。
【0030】
本実施形態においては主駆動モータ16には永久磁石電動機が採用されているため、
図2に破線で示すように、モータ回転数が低い低車速域で主駆動モータ16の出力が大きく、車速が速くなるにつれて出力可能なモータ出力が減少する。即ち、本実施形態において、主駆動モータ16は、約48Vで駆動され、1000rpm程度まで最大トルクである約200Nmのトルクを出力し、約1000rpm以上で回転数の増加と共にトルクが低下する。また、本実施形態において、主駆動モータ16は、最低速域において約20kW程度の連続出力が得られ、最大出力約25kWが得られるように構成されている。
【0031】
これに対して、副駆動モータ20には誘導電動機が採用されているため、
図2に一点鎖線及び二点鎖線で示すように、低車速域では副駆動モータ20の出力は極めて小さく、車速が速くなるにつれて出力が増大し、車速約130km/h付近で最大出力が得られた後、モータ出力は減少する。本実施形態において、副駆動モータ20は、約120Vで駆動され、車速約130km/h付近で1台当たり約17kW、2台合計で約34kWの出力が得られるように構成されている。即ち、本実施形態において、副駆動モータ20は、約600乃至800rpmでトルクカーブがピークをもち、最大トルク約200Nmが得られる。
【0032】
図2の実線には、これら主駆動モータ16及び2台の副駆動モータ20の出力の合計が示されている。このグラフから明らかなように、本実施形態においては、車速約130km/h付近で最大出力約53kWが得られており、この車速における、この最大出力でWLTP試験において要求される走行条件を満足することができる。なお、
図2の実線では、低車速域においても2台の副駆動モータ20の出力値が合算されているが、実際には低車速域では各副駆動モータ20が駆動されることはない。即ち、発進時及び低車速域においては主駆動モータ16のみで車両が駆動され、高車速域で大出力が必要とされたとき(高車速域で車両1を加速させるとき等)のみ2台の副駆動モータ20が出力を発生する。このように、高回転領域で大きな出力を発生することができる誘導電動機(副駆動モータ20)を、高速域のみで使用することにより、車両重量の増加を低く抑えながら必要なとき(所定速度以上での加速時等)に十分な出力を得ることができる。
【0033】
次に、
図3を参照して、本発明の実施形態による車両駆動装置10の電気的な構成を説明する。
図3は、車両駆動装置の電気ブロック図である。
【0034】
本実施形態では、車両駆動装置10は、3つの異なる大きさの電源電圧を供給するように構成されている。即ち、車両駆動装置10には、最大で120V電圧を供給する第1電力ライン5aと、最大で48V電圧を供給する第2電力ライン5bと、最大で12V電圧を供給する第3電力ライン5cが設けられている。
【0035】
第1電力ライン5aは、キャパシタ22の正極端子に接続されており、インバータ20aを介して、副駆動モータ20へ向けて120VDC電圧を供給する。即ち、キャパシタ22の正極端子と車両1の車体アースGとの間には、バッテリ18の端子間電圧とキャパシタ22の端子間電圧の合計電圧により、最大で120VDCの電位差が生成される。各副駆動モータ20に接続されたインバータ20aは、バッテリ18及びキャパシタ22の出力を交流に変換した上で誘導電動機である副駆動モータ20を駆動する。
【0036】
第2電力ライン5bは、バッテリ18の正極端子に接続されており、インバータ16aを介して、主駆動モータ16へ向けて48VDC電圧を供給する。即ち、バッテリ18の正極端子と車両1の車体アースGとの間には、バッテリ18の端子間電圧により、最大で48VDCの電位差が生成される。インバータ16aは、バッテリ18の出力を交流に変換した上で永久磁石電動機である主駆動モータ16を駆動する。
【0037】
第3電力ライン5cは、直列接続された複数のバッテリセル18aのうち、特定のバッテリセル18aの正極端子に接続されている。即ち、この特定のバッテリセル18aの正極端子と車両1の車体アースGとの間には、所定数(本例では、4個)のバッテリセル18aの直列接続回路により、約12VDCの電位差が生成される。第3電力ライン5cは、アクセサリ電源であり、スイッチ18cを介して車両1の電気負荷28へ向けて12VDC電圧を供給する。電気負荷は、車載電気機器(例えば、空調装置、オーディオ装置等)である。
【0038】
このように、主駆動モータ16は、バッテリ18の基準出力電圧である約48Vで駆動される。また、副駆動モータ20は、バッテリ18の出力電圧とキャパシタ22の端子間電圧を合算した合計電圧で駆動されるので、48Vよりも高い最大120Vの電圧で駆動される。キャパシタ22には副駆動モータ20に供給する電気エネルギーが蓄積され、副駆動モータ20は、常にキャパシタ22を介して供給された電力によって駆動される。
【0039】
図3に示すように、充電回路19は、キャパシタ22の正極端子と、バッテリ18の正極端子とキャパシタ22の負極端子との接続点N0と、車体アースGとに接続されている。制御回路24は、所定時(モータ回生時、外部電源17による外部充電時)に、充電回路19を用いてバッテリ18及びキャパシタ22の充電処理を実行する。
【0040】
なお、制御回路24は、図示しない複数の電圧センサ及び複数の電流センサを用いて、第1電力ライン5a,第2電力ライン5b,第3電力ライン5cの電圧及び電流を監視している。さらに、制御回路24は、これらの電圧値及び電流値を用いて、バッテリ18の端子間電圧(以下「バッテリ電圧」という),キャパシタ22の端子間電圧(以下「キャパシタ電圧」という),及びこれらの充電状態(SOC;State of Charge)を計算している。
【0041】
車両1の減速時等には、主駆動モータ16及び各副駆動モータ20は発電機として機能し、車両1の運動エネルギーを回生して電力を生成する。主駆動モータ16によって回生された電力はバッテリ18に蓄積され、各副駆動モータ20によって回生された電力は主としてキャパシタ22に蓄積される。
【0042】
また、外部電源17を用いて充電する場合、外部電源17が給電口23に接続されると、充電回路19とキャパシタ22に外部電源17の充電電圧が印加され、バッテリ18及びキャパシタ22への充電が可能になる。
【0043】
なお、キャパシタ22は静電容量が比較的小さいため、モータ回生及び外部充電により、キャパシタ22への充電が行われると、キャパシタ電圧は比較的急速に上昇する。充電によりキャパシタ電圧が所定電圧に達すると、制御回路24は、充電回路19を制御して、キャパシタ22に蓄積された静電エネルギー(電荷)を用いてバッテリ18を充電する。これにより、キャパシタ電圧は低下するので、再びキャパシタ22への充電が可能となる。このような処理を繰り返すことにより、バッテリ電圧を徐々に昇圧することが可能である。即ち、各副駆動モータ20により回生された電力、及び、外部電源17からの電力は、一時的にキャパシタ22に蓄積された後、バッテリ18へ充電される。
【0044】
また、一般に、充電スタンド等の外部電源17は、車両の給電口に接続されたとき、車両の電圧(即ち、給電口の対アース電圧)を取得し、この電圧が所定の下限電圧(例えば、50V)未満の場合は、安全性確保のため充電処理を実行しないように構成されている。
【0045】
本実施形態においては、バッテリ18の定格電圧(48V)は下限電圧(50V)よりも低い電圧に設定されているが、外部電源17は、バッテリ電圧Vbattとキャパシタ電圧Vcapの合計電圧(即ち、第1電力ライン5aの電圧)を、車両1の電圧として取得する。このため、本実施形態では、合計電圧が下限電圧以上であれば、バッテリ電圧Vbattの大きさにかかわらず、外部電源17は充電処理を開始し、制御回路24は、充電回路19を制御して、バッテリ18及びキャパシタ22を充電することができる。
【0046】
一方、外部電源17が給電口23に接続されたときに合計電圧(=Vbatt+Vcap)が下限電圧未満であれば、外部電源17は充電処理を開始しない。この場合、制御回路24は、充電回路19を制御して、バッテリ18に蓄積されている電気エネルギーの一部を用いて、キャパシタ電圧を昇圧する。このとき、バッテリ18は蓄積電荷量が大きいので、バッテリ電圧はほとんど下がらない。これにより、合計電圧を下限電圧以上に昇圧することが可能である。
【0047】
また、外部充電時以外においても(即ち、車両1の走行中)、キャパシタ22の放電によりキャパシタ電圧が所定電圧よりも低くなった場合、制御回路24は、キャパシタ22から副駆動モータ20への給電前に、バッテリ18の電力を用いてキャパシタ22を充電することができる。
【0048】
なお、本明細書において、バッテリ18の定格電圧とは、一般的な条件下での作動電圧の最大値(満充電電圧)を意味し、キャパシタ22の定格電圧とは、キャパシタ22に与えられる最大の電圧(満充電電圧)を意味する。また、バッテリが一般的な条件下で放電した場合の平均的な作動電圧をバッテリの公称電圧という。さらに、バッテリ18の定格電圧(48V)はキャパシタ22の定格電圧(72V)よりも低く設定されているが、バッテリ18に蓄積可能な電荷(電気量:クーロン)は、キャパシタ22に蓄積可能な電荷よりも遥かに多くなるように構成されている。
【0049】
次に、
図4〜
図11を参照して、本発明の実施形態による車両駆動装置10の充電処理を説明する。
図4は、バッテリ、キャパシタ及び充電回路の電気回路の説明図である。
図4に示すように、バッテリ18の正極端子にはスイッチSWbattが接続され、キャパシタ22の正極端子にはスイッチSWcapが接続されており、バッテリ18及びキャパシタ22の接続、非接続が切り替え可能である。
【0050】
充電回路19は、直列接続されたバッテリ18及びキャパシタ22に対して並列に接続されている。充電回路19には直列に接続された4つのスイッチが内蔵されており、スイッチSW1、SW2、SW3、SW4が、この順序で接続されている。スイッチSW1の一端はキャパシタ22の正極端子に接続され、スイッチSW4の一端はバッテリ18の負極端子(車体アースG)に接続されている。また、スイッチSW2とSW3の接続点N2は、バッテリ18とキャパシタ22の接続点N0に接続されている。
【0051】
スイッチSW1〜SW4、SWbatt、SWcapは、制御回路24によって開閉が制御される。さらに、スイッチSW1とSW2の接続点N1と、スイッチSW3とSW4の接続点N3との間には、充電用キャパシタ19bが接続されている。なお、本実施形態においては、各スイッチとして半導体スイッチが採用されているが、機械接点によるリレーをスイッチとして使用することもできる。
【0052】
まず、
図5〜
図9を参照して、本実施形態における外部充電処理について説明する。
図5は外部充電処理の処理フロー、
図6は外部充電処理内の充電前情報処理の処理フロー、
図7は外部充電処理内の充電処理の処理フローである。
図8は外部充電時における電流及び電圧の変位を示すタイムチャート、
図9は外部充電時の各ステージにおける電気スイッチの開閉位置及び電流の流れを示す図である。
【0053】
図8は、上段から順に、入力電圧値Vin、スイッチSWbatt及びSWcapの開閉状態、スイッチSW1及びSW3の開閉状態、スイッチSW2及びSW4の開閉状態を示している。これに続いて
図8には、キャパシタ22の端子間電圧Vcap(キャパシタ22の正極端子と負極端子の間の電圧)、キャパシタ22に流れる電流Icap、バッテリ18の端子間電圧Vbatt、バッテリ18に流れる電流Ibatt、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vc、充電用キャパシタ19bに流れる電流Icが示されている。
【0054】
図5(外部充電処理)に示すように、制御回路24は、外部電源17が給電口23に接続されたことを検出すると、外部充電処理の充電前情報処理(S10)、車両リレー処理(S20)、充電処理(S30)、充電完了処理(S40)を順次に実行する。なお、外部電源17は、車両1への接続後、所定の条件が満たされると電力供給を開始する。
【0055】
図6(充電前情報処理S10)に示すように、制御回路24は、先ず入力電圧値Vinを演算する(S11)。入力電圧値Vinは、外部電源17から見た車両1の電圧に相当し、具体的には、バッテリ電圧とキャパシタ電圧の合計電圧に相当する。このため、制御回路24は、スイッチSWbatt及びSWcapを閉状態にして、電圧センサを用いて入力電圧値Vin(第1電力ライン5aの電圧に相当)を測定する。なお、入力電圧値Vinを直接的に測定する代わりに、バッテリ電圧Vbattと、キャパシタ電圧Vcapとを、それぞれ電圧センサによって測定し、これら電圧値を加算して入力電圧値Vinを演算してもよい。
【0056】
次に、制御回路24は、充電処理が可能な状態であるか否かを判定する(S12)。具体的には、入力電圧値Vinが所定電圧以上であるか否かが判定される。所定電圧は、外部充電開始閾値であり、下限電圧(50V)以上の電圧(例えば、55V)に設定されている。入力電圧値Vinが所定電圧未満の場合(S12;No)、後述するキャパシタ充電処理(S50)が実行された後、ステップS11の処理へ戻る。一方、入力電圧値Vinが所定電圧以上の場合(S12;Yes)、制御回路24は、バッテリ18及びキャパシタ22の状態を演算する(S13)。すなわち、この処理において、制御回路24は、バッテリ電圧Vbatt、キャパシタ電圧Vcap、バッテリ電流Ibatt、キャパシタ電流Icapを、電圧センサ及び電流センサを用いて測定すると共に、バッテリ18及びキャパシタ22のSOCを取得する。
【0057】
次に、制御回路24は、バッテリ18及びキャパシタ22の状態判定を行う(S14)。この処理では、バッテリ18及びキャパシタ22が正常に充電可能な健全な状態であること(例えば、バッテリ電圧Vbatt及びキャパシタ電圧Vcapが設定された閾値以上であること、又は各SOCが設定された閾値以上であること)が判定される。バッテリ18又はキャパシタ22が健全な状態でないと判定された場合(S14;No)、故障診断処理が実行される。一方、バッテリ18及びキャパシタ22が共に健全な状態であると判定された場合(S14;Yes)、車両リレー処理(
図5のS20)へ移行する。車両リレー処理では、制御回路24は、スイッチSWbatt,SWcap,SW1〜SW4を、初期位置(開位置)に切り替える。
【0058】
図7(充電処理S30)に示すように、制御回路24は、先ず外部電源17に対する充電指令を演算し(S31)、不図示の通信ラインを介して外部電源17へ充電指令を送信する(S32)。すなわち、制御回路24は、所定の充電スケジュールで充電が完了するように、外部電源17から供給されるべき充電電流値を計算する。充電指令は、この計算により得られた充電電流値の供給を要求する信号である。このとき、制御回路24は、スイッチSWbatt,SWcapを閉位置に切り替える。一方、外部電源17においても、外部電源17に設けられた電圧センサを用いて車両1の入力電圧値Vinが測定される。外部電源17は、測定した入力電圧値Vinが下限電圧以上である場合、車両1から充電指令を受け取ると充電電力を供給する(
図9のステージ(1)参照)。
【0059】
図8を参照すると、時刻t
1において、スイッチSWbatt及びSWcapがON(閉状態)にされ、外部電源17による充電が開始されている(
図9のステージ(1)参照)。この状態では、バッテリ18及びキャパシタ22が外部電源17に接続されるが、充電回路19は外部電源17から切り離されている。これにより、外部電源17から供給された電流は、キャパシタ22及びバッテリ18に流入し(電流Icap、Ibatt>0)、キャパシタ22及びバッテリ18を充電する。これに伴い、キャパシタ電圧Vcap及びバッテリ電圧Vbattが上昇する。なお、キャパシタ22に蓄積可能な電荷は、バッテリ18に蓄積可能な電荷よりも少ないため、キャパシタ電圧Vcapはバッテリ電圧Vbattよりも速く上昇する。
【0060】
制御回路24は、ステップS13と同様に、バッテリ18及びキャパシタ22の状態を演算する(S33)。そして、制御回路24は、キャパシタ22の電気エネルギーの判定を行う(S34)。この処理では、キャパシタ22の電気エネルギーが、バッテリ18への放出電荷量に適した所定範囲内にあるか否かが判定される。具体的には、キャパシタ電圧Vcapが充電スケジュールに即した所定の電圧範囲内にあるか否かが判定される。キャパシタ22の電気エネルギーが所定範囲内にない場合(S34;No)、ステップS31の処理へ戻って、充電指令演算を再度実行する。一方、キャパシタ22の電気エネルギーが所定範囲内にある場合(S34;Yes)、キャパシタ22に適正な量の放電電荷が蓄積されているので、制御回路24は、スイッチSW1,SW3を閉状態にし、スイッチSW2,SW4を開状態にして(S35)、キャパシタ22を放電させて、充電用キャパシタ19bを充電する(
図9のステージ(2)参照)。
【0061】
図8を参照すると、時刻t
2において、キャパシタ電圧Vcapは、所定の電圧値まで上昇しており、スイッチSW1及びSW3がONにされる(
図9のステージ(2)参照)。この状態では、外部電源17からの電流が充電用キャパシタ19bに流入すると共に、キャパシタ22に蓄積された電荷が放電され(電流Icap<0)、充電用キャパシタ19bに流入する(電流Ic>0)。これにより、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vc(以下「充電用キャパシタ電圧Vc」という)が上昇する。一方、キャパシタ電圧Vcapは低下する。これにより、キャパシタ22は、再び充電可能な状態となる。なお、入力電圧値Vinは、全体の傾向として、時間と共に増加しており、時刻t
3においても外部電源17の下限電圧以上に維持される。
【0062】
充電用キャパシタ電圧Vcが所定の電圧に上昇するまで、スイッチSW1,SW3は閉状態に維持される(S36;No)。一方、充電用キャパシタ電圧Vcが所定の電圧に達すると(S36;Yes)、制御回路24は、スイッチSW1,SW3を開状態にし、スイッチSW2,SW4を閉状態にして(S37)、充電用キャパシタ19bからバッテリ18へ電荷を放出させて、バッテリ18を充電する(
図9のステージ(3)参照)。
【0063】
図8を参照すると、時刻t
3において、充電用キャパシタ電圧Vcが所定電圧に達しているので、スイッチSW1及びSW3はOFFにされ、スイッチSW2及びSW4はONにされる(
図9のステージ(3)参照)。この状態では、外部電源17からの電流がキャパシタ22及びバッテリ18に流入して、これらが充電されると共に、充電用キャパシタ19bに蓄積された電荷もスイッチSW2、SWbattを通ってバッテリ18に充電される。これにより、キャパシタ電圧Vcap及びバッテリ電圧Vbattが上昇すると共に、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが低下する。
【0064】
バッテリ電圧Vbattが上昇すると共に、充電用キャパシタ電圧Vcが所定の電圧に低下するまで、スイッチSW1〜SW4のスイッチ位置は維持される(S38;No)。一方、充電用キャパシタ電圧Vcが所定の電圧まで低下すると(S38;Yes)、制御回路24は、バッテリ18の充電が完了したか否かを判定する(S39)。この処理では、バッテリ電圧Vbattが所定の充電終了閾値(例えば、満充電電圧=48V)に達したか否か、又は、バッテリ18のSOCが所定の値(例えば、100%)に達したか否かが判定される。
【0065】
バッテリ18の充電が完了していない場合(S39;No)、再びステップS33へ移行する。すなわち、バッテリ18の充電が完了するまで、ステップS33〜S39の処理が繰り返され(
図8の時刻t
2〜t
10参照)、車両駆動装置10は、
図9のステージ(2)とステージ(3)の状態に交互に切り替えられる。一方、バッテリ18の充電が完了した場合(S39;Yes)、充電完了処理(
図5のS40)へ移行する。充電完了処理では、制御回路24は、スイッチSW1〜SW4を開状態に切り替える処理、充電完了信号を外部電源17へ送信する処理等を実行し、外部充電処理を終了する。
【0066】
なお、
図8では、時刻t
10において、バッテリ18の充電が完了している(すなわち、S39;Yes)。
図8に示すように、入力電圧値Vinは、バッテリ電圧Vbattと同様に時間と共に増加し、充電スケジュールに従って、時刻t
10に充電終了閾値(例えば、120V)に達する。すなわち、バッテリ電圧Vbattとキャパシタ電圧Vcapは、共に定格電圧(48V,72V)に達する。
【0067】
次に、
図10〜
図12を参照して、本実施形態における外部充電処理内のキャパシタ充電処理について説明する。
図10はキャパシタ充電処理の処理フロー、
図11はキャパシタ充電処理時における電流及び電圧の変位を示すタイムチャート、
図12はキャパシタ充電処理時の各ステージにおける電気スイッチの開閉位置及び電流の流れを示す図である。
【0068】
充電前情報処理(
図6参照)において、入力電圧値Vinが所定電圧未満の場合(S12;No)、キャパシタ充電処理S50が実行される。キャパシタ充電処理の実行中には、まだ外部電源17から充電電力は供給されていない。キャパシタ充電処理では、制御回路24は、ステップS13と同様に、バッテリ18及びキャパシタ22の状態を演算する(S51)。次いで、制御回路24は、スイッチSW1,SW3を開状態にし、スイッチSW2,SW4を閉状態にして(S52)、バッテリ18により充電用キャパシタ19bを充電する(
図12のステージ(11)参照)。
【0069】
図11を参照すると、時刻t
11において、スイッチSWbatt及びSWcapがON(閉状態)にされており、入力電圧値Vinが外部充電開始閾値未満であることが検出される。時刻t
12において、キャパシタ22への充電を開始するため、スイッチSW1,SW3はOFF(開状態)の状態で、スイッチSW2,SW4がONにされる(
図12のステージ(11)参照)。この状態では、バッテリ18から出力された電流(Ibatt<0)が、スイッチSWbatt及びスイッチSW2を通って充電用キャパシタ19bに流入(Ic>0)する。これにより、充電用キャパシタ電圧Vcが上昇する。一方、バッテリ電圧Vbattは低下するが、バッテリ18には十分な電荷が蓄積されているため、その低下量は僅かである。
【0070】
充電用キャパシタ電圧Vcが所定の電圧に上昇するまで、スイッチSW2,SW4は閉状態に維持される(S53;No)。一方、充電用キャパシタ電圧Vcが所定の電圧に達すると(S53;Yes)、制御回路24は、スイッチSW1,SW3を閉状態にし、スイッチSW2,SW4を開状態にして(S54)、充電用キャパシタ19bからキャパシタ22へ電荷を放出して、キャパシタ22を充電する(
図12のステージ(12)参照)。
【0071】
図11を参照すると、時刻t
13において、充電用キャパシタ電圧Vcが所定電圧まで上昇しており、スイッチSW1,SW3がONにされ、スイッチSW2,SW4がOFFにされる(
図12のステージ(12)参照)。この状態では、充電用キャパシタ19bから放電された電流(電流Ic<0)がキャパシタ22に流入する(電流Icap>0)。これにより、充電用キャパシタ電圧Vcが低下し、キャパシタ電圧Vcapが上昇する(バッテリ電圧Vbattは変化しない)。この結果、入力電圧値Vinは増加する。
【0072】
キャパシタ電圧Vcapが上昇すると共に、充電用キャパシタ電圧Vcが所定の電圧に低下するまで、スイッチSW1〜SW4のスイッチ位置が維持される(S55;No)。一方、充電用キャパシタ電圧Vcが所定の電圧まで低下すると(S55;Yes)、制御回路24は、キャパシタ22の充電が完了したか否かを判定する(S56)。この処理では、キャパシタ電圧Vcapが十分に昇圧されたか否か、すなわち、入力電圧値Vinが外部充電開始閾値に到達したか否かが判定される。
【0073】
キャパシタ22の充電が完了していない場合(S56;No)、再びステップS51へ移行する。すなわち、キャパシタ22の充電が完了するまで、ステップS51〜S56の処理が繰り返され(
図11の時刻t
12〜t
18参照)、車両駆動装置10は、
図12のステージ(11)とステージ(12)の状態に交互に切り替えられる。一方、キャパシタ22の充電が完了した場合(S56;Yes)、キャパシタ充電処理は終了され、充電前情報処理S10(
図6)へ戻る。その後、外部充電処理(
図5)が継続され、車両リレー処理S20を経て、充電処理S30(
図7)が実行される。充電処理S30において、外部電源17が充電電流を供給すると、車両駆動装置10は、
図12のステージ(13)の状態となる(
図9のステージ(1)と同じ)。
【0074】
なお、上述のように、キャパシタ充電処理は、外部充電処理において所定条件で実行される。しかしながら、外部充電処理以外において、車両1の走行中等に、キャパシタ22が放電されキャパシタ電圧が低下した場合にも実行される。すなわち、キャパシタ充電処理は、副駆動モータ20への給電前に、キャパシタ電圧を所定電圧以上に維持しておくためにも実行される。
【0075】
次に、
図13〜
図15を参照して、本実施形態におけるキャパシタ放電処理について説明する。
図13はキャパシタ放電処理の処理フロー、
図14はキャパシタ放電処理時における電流及び電圧の変位を示すタイムチャート、
図15はキャパシタ放電処理時の各ステージにおける電気スイッチの開閉位置及び電流の流れを示す図である。
【0076】
キャパシタ放電処理は、キャパシタ22に蓄積された電荷をバッテリ18へ放出させるために実行される。この処理は、例えば、キャパシタ22を交換する際にキャパシタ22を安全な電圧になるまで放電させるため、また、副駆動モータ20により回生された電力によりキャパシタ22が必要以上に充電されることを防止するために実行される。
【0077】
キャパシタ放電処理が開始されると、制御回路24は、放電前情報処理(S61)を実行する。この処理では、バッテリ電圧Vbatt、キャパシタ電圧Vcap、バッテリ電流Ibatt、キャパシタ電流Icap、バッテリ18及びキャパシタ22のSOC等が取得される(S13参照)。次いで、制御回路24は、車両リレー処理(S62)を実行する。この処理では、スイッチSW1〜SW4が初期位置(開位置)にされる。
【0078】
次いで、制御回路24は、放電処理(S63〜S68)を実行する。放電処理では、制御回路24は、ステップS13と同様に、バッテリ18及びキャパシタ22の状態を演算する(S63)。次いで、制御回路24は、スイッチSW1,SW3を閉状態にし、スイッチSW2,SW4を開状態にして(S64)、キャパシタ22から充電用キャパシタ19bへ電荷を放出させて、充電用キャパシタ19bを充電する(
図15のステージ(21)参照)。
【0079】
図14を参照すると、時刻t
21において、キャパシタ電圧Vcapは所定電圧以上である。時刻t
22において、スイッチSW1,SW3はONにされ、スイッチSW2,SW4はOFF(開状態)にされる(
図15のステージ(21)参照)。この状態では、キャパシタ22から放電された電流(Icap<0)が、スイッチSWcap及びスイッチSW1を通って充電用キャパシタ19bに流入する(Ic>0)。これにより、充電用キャパシタ電圧Vcは上昇し、キャパシタ電圧Vcapは低下する。
【0080】
充電用キャパシタ電圧Vcが所定の電圧に上昇するまで、スイッチSW1,SW3は閉状態に維持される(S65;No)。一方、充電用キャパシタ電圧Vcが所定の電圧に達すると(S65;Yes)、制御回路24は、スイッチSW1,SW3を開状態にし、スイッチSW2,SW4を閉状態にして(S66)、充電用キャパシタ19bからバッテリ18へ電荷を放出させて、バッテリ18を充電する(
図15のステージ(22)参照)。
【0081】
図14を参照すると、時刻t
23において、充電用キャパシタ電圧Vcが所定電圧まで上昇しており、スイッチSW1,SW3はOFFにされ、スイッチSW2,SW4はONにされる(
図15のステージ(22)参照)。この状態では、充電用キャパシタ19bから放電された電流(電流Ic<0)がバッテリ18に流入する(電流Ibatt>0)。これにより、充電用キャパシタ電圧Vcが低下し、バッテリ電圧Vbattが僅かに上昇する(キャパシタ電圧Vcapは変化しない)。
【0082】
バッテリ電圧Vbattが上昇すると共に、充電用キャパシタ電圧Vcが所定の電圧に低下するまで、スイッチSW1〜SW4のスイッチ位置が維持される(S67;No)。一方、充電用キャパシタ電圧Vcが所定の電圧まで低下すると(S67;Yes)、制御回路24は、キャパシタ22の放電が完了したか否かを判定する(S68)。この処理では、キャパシタ電圧Vcapが十分に降圧されたか否か(すなわち、キャパシタ電圧Vcapが放電終了閾値に到達したか否か)が判定される。なお、S68において、付加的に、入力電圧値Vinが、入力電圧値Vinに対して設定された放電終了閾値に到達したか否かを判定してもよい。
【0083】
キャパシタ22の放電が完了していない場合(S68;No)、再びステップS61へ移行する。すなわち、キャパシタ22の放電が完了するまで、ステップS61〜S68の処理が繰り返され(
図14の時刻t
22〜t
28参照)、車両駆動装置10は、
図15のステージ(21)とステージ(22)の状態に交互に切り替えられる。一方、キャパシタ22の放電が完了した場合(S68;Yes)、キャパシタ放電処理は終了され、放電完了処理(S69)へ移行する。放電完了処理において、スイッチSW1〜SW4が開状態にされ、キャパシタ放電処理は終了される。なお、
図15のステージ(23)は、車両1のメンテナンス等において、時刻t
29にスイッチSWbatt及びSWcapがOFFにされた待機状態を示している。
【0084】
以下に本発明の実施形態による車両駆動装置10の作用について説明する。
本実施形態によれば、車両1に搭載された車両駆動装置10は、充電式のバッテリ18と電源用キャパシタ22とが直列接続されている電源3と、バッテリ18の電圧が提供される主駆動モータ16(第1の車両駆動モータ)と、バッテリ18と電源用キャパシタ22の合計電圧(Vin)が提供される副駆動モータ20(第2の車両駆動モータ)と、電源3に接続された充電回路19と、充電回路19を介して電源3の充放電を制御する制御回路24と、を備え、電源用キャパシタ22は、第1の端子及び第2の端子を有し、充電回路19は、第1の端子及び第2の端子を有する充電用キャパシタ19bと、充電用キャパシタ19bの第1の端子と電源用キャパシタ22の第1の端子を電気的に接続及び切断するためのスイッチSW1(第1のスイッチ)と、充電用キャパシタ19bの第1の端子と電源用キャパシタ22の第2の端子を電気的に接続及び切断するためのスイッチSW2(第2のスイッチ)と、充電用キャパシタ19bの第2の端子とバッテリ18の正極端子を電気的に接続及び切断するためのスイッチSW3(第3のスイッチ)と、充電用キャパシタ19bの第2の端子とバッテリ18の負極端子を電気的に接続及び切断するためのスイッチSW4(第4のスイッチ)と、を備え、制御回路24は、スイッチSW1〜SW4を操作して、バッテリ18と電源用キャパシタ22の充放電を制御するように構成されている。
【0085】
このように構成された本実施形態では、電源3がバッテリ18とキャパシタ22の直列接続を備えており、キャパシタ22に接続された第1電力ライン5aと、バッテリ18に接続された第2電力ライン5bと、を少なくとも備えている。第1電力ライン5aと第2電力ライン5bとは、異なる電源電圧を提供することができる。第1電力ライン5aにより副駆動モータ20が駆動され、第2電力ライン5bにより主駆動モータ16が駆動される。このように、本実施形態では、容易且つ簡易な構成で複数の電源電圧を供給することができる。また、本実施形態では、電源3がバッテリ18と電源用キャパシタ22の直列接続で構成されているため、充電回路を4つの電気スイッチと、電荷バッファとしての充電用キャパシタとによる簡単な構成にすることができる。制御回路24は、これら4つの電気スイッチの開閉により、バッテリ18と電源用キャパシタ22との間で電荷の充放電を容易に行うことが可能である。
【0086】
また、本実施形態において好ましくは、電源用キャパシタ22の定格電圧(72V)は、バッテリ18の定格電圧(48V)よりも大きい。このように構成された本実施形態では、外部電源17により電源3を充電する場合、バッテリ18の定格電圧が外部電源17の下限電圧より小さくても、バッテリ18よりも定格電圧が大きい電源用キャパシタ22を直列接続することにより、車両1の入力電圧値Vinを容易に下限電圧よりも大きく維持することができる。
【0087】
また、本実施形態において、具体的には、バッテリ18の正極端子と電源用キャパシタ22の第2の端子が接続されており、電源3は、スイッチSW1〜SW4の直列回路に並列接続され、充電用キャパシタ19bは、スイッチSW2とスイッチSW3の直列回路に並列接続され、スイッチSW2とスイッチSW3の間の接続点N2が、バッテリ18の正極端子に接続されている。
【0088】
また、本実施形態において好ましくは、制御回路24は、スイッチSW1,SW3を閉状態にすると共にスイッチSW2,SW4を開状態にして(S35)、電源用キャパシタ22に蓄えられている電荷の一部を充電用キャパシタ19bに蓄える第1段階(
図9のステージ(2))と、スイッチSW1,SW3を開状態にすると共にスイッチSW2,SW4を閉状態にして(S37)、充電用キャパシタ19bに蓄えられた電荷によりバッテリ18を充電する第2段階(
図9のステージ(3))と、を複数回繰返すように充電回路19を制御する。
【0089】
このように構成された本実施形態では、電源用キャパシタ22の電荷を、充電回路19を介してバッテリ18へ放出することにより、バッテリ18を充電することができる。このとき、例えば、電源用キャパシタ22に外部電源17から充電電力を供給することにより、実質的に、外部電源17によりバッテリ18と電源用キャパシタ22を同時に充電することができる。
【0090】
また、本実施形態において好ましくは、制御回路24は、スイッチSW1,SW3を開状態にすると共にスイッチSW2,SW4を閉状態にして(S52)、バッテリ18に蓄えられている電荷の一部を充電用キャパシタ19bに蓄える第3段階(
図12のステージ(11))と、スイッチSW1,SW3を閉状態にすると共にスイッチSW2,SW4を開状態にして(S54)、充電用キャパシタ19bに蓄えられた電荷により電源用キャパシタ22を充電する第4段階(
図12のステージ(12))と、を複数回繰返すように充電回路19を制御する。
【0091】
このように構成された本実施形態では、バッテリ18の電荷を、充電回路19を介して電源用キャパシタ22へ放出することにより、電源用キャパシタ22を充電することができる。
【0092】
また、本実施形態において好ましくは、電源用キャパシタ22は、蓄積可能な電荷が、バッテリ18に蓄積可能な電荷よりも少なく構成されている。このように構成された本実施形態では、バッテリ18により電源用キャパシタ22を充電する場合、バッテリ18と電源用キャパシタ22の合計電圧を増加させることができる。よって、合計電圧が外部電源17の下限電圧より低い場合、合計電圧を昇圧することにより、外部充電可能とすることができる。