【解決手段】電力変換装置10は、ハーフブリッジを構成するように互いに直列接続された、第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2と、第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2との間に一端が接続されたインダクタLと、互いに直列接続された第1の整流素子D1および第1の整流素子の抵抗R1と、互いに直列接続された第2の整流素子D2および第2の整流素子D2の抵抗R2と、を備える。第1の整流素子D1と第2の整流素子D2は、電源側からグランド側への電力の共有を遮断する向きに接続される。第1の整流素子D1および第1の抵抗R1は、第1のスイッチング素子Q1に並列に接続される。第2の整流素子D2および第2の抵抗Q2は、第2のスイッチング素子Q2に並列に接続される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の一実施形態における電力変換装置10の一部構成を示した概略回路図である。電力変換装置には、チョッパ回路、DC‐DCコンバータ、PFCコンバータ、単相インバータ、多相インバータ、マトリックスコンバータ、サイクルコンバータなどがあり、これらには半導体を備えたスイッチング回路(チョッピング回路)が用いられる。
この電力変換装置10は、そのスイッチング回路の1つとして例示されたハーフブリッジ回路である。
【0021】
電源Vcc側のA点と信号用接地G1側のB点との間(
図10参照)には、ハーフブリッジを構成するための第1および第2のスイッチング素子Q1(ハイサイド)およびQ2(ローサイド)が配置されている。
これら第1および第2のスイッチング素子Q1およびQ2は具体的には、FET、GaN‐FET、MOSFET、IGBT、BJT等のSi半導体や化合物半導体(例えばGaAS半導体)であり、本実施形態では、オフ耐圧1000VオーダーのN型のMOSFETで構成される。
【0022】
第1および2のスイッチング素子Q1およびQ2は、A点とB点との間で直列接続されており、第1および第2のスイッチング素子Q1およびQ2は、制御部(例えば、後述する制御入力部101)によってスイッチング制御されるように構成されている(図示せず)。
【0023】
第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2との間のC点に一端が接続された、インダクタL(V
out、V
out2)がさらに配置されている。
さらに、直列接続された第1の抵抗R1および第1のダイオードD1(整流素子、還流ダイオード)が、第1のスイッチング素子Q1に対して並列に配置されている。ここで、第1のダイオードD1は、第1の抵抗R1の上流に配置され、かつ、第1のダイオードD1のアノード(プラス)側が第1の抵抗R1の一端に接続されている。
【0024】
直列接続された第2の抵抗R2および第2のダイオードD2(整流素子、還流ダイオードやFETなど)が、第2のスイッチング素子Q2に対して並列に配置されている。ここで、第2のダイオードD2は、第2の抵抗R2の上流に配置され、かつ、第2のダイオードD2のアノード側が第2の抵抗R2の一端に接続されている。
【0025】
図示しないが、第1および第2のダイオードD1およびD2のそれぞれは、直列接続された複数のダイオードから構成されてもよい(第1および第2の整流子群D1、D1、、、およびD2、D2、D2、、、)。これにより、1つの素子が経年劣化やサージなどによって故障したとしても、同列の他の素子が、ショート電流を防止できる。
第1および第2の抵抗R1およびR2のそれぞれは、同様の機能を実現する他の素子(例えばダイオードなどの整流素子)が代わりに用いられてもよい。
又、第1のダイオードD1と第1の抵抗R1の接続を、第1の抵抗R1と第1のダイオードD1としても良い。第2のダイオードD2と第2の抵抗R2も同様である。
【0026】
図2に示されているように、
図1の第1のダイオードD1は、同様の機能を実現する整流素子(例えばNチャネルMOS FET)が代わりに用いられてもよい。
図2(a)では、NチャネルMOS FET1のゲートおよびソースが同電位であり、それらは第1の抵抗R1の上流側の一端子に接続され、かつ、ドレインがQ1の上流側の一端子に接続されている。
【0027】
図2(b)では、NチャネルMOS FET2のソースが、第1の抵抗R1の上流側の一端子に接続され、ゲートが第1の抵抗R1の下流側の一端子に接続され、かつ、ドレインがQ1の上流側の一端子に接続されている。
図2(c)では、第1の抵抗R1とNチャネルMOS FET3のソースとの間に、第3の抵抗R3がさらに備えられている。NチャネルMOS FET3のソースが、第3の抵抗R3の上流側の一端子に接続され、ゲートが第1の抵抗R1と第3の抵抗R3との間に接続され、かつ、ドレインがQ1の上流側の一端子に接続されている。
【0028】
第2のダイオードD2も第1のダイオードD1と同様にNチャネルMOS FETが代用されてよい。
図2で説明したように、ダイオード(D1、D2)の代わりにFETを用い、そのFETの接続先をアレンジすることにより、電力効率が向上する。
【0029】
図1に戻るが、B点に対してA点のほうが高電位となる。第1のスイッチング素子Q1がONで、かつ、第2のスイッチング素子Q2がOFFとなるHI状態(後述する第1のスイッチング状態、以降HI状態と呼称する)である場合、通常は、A点からC点を経由してインダクタL(V
out)の後流側の他端D点へ電流が流れ、C点からB点へは電流が流れない。
【0030】
A点からC点に流れる電流は、第1のスイッチング素子Q1の順方向電流i1であり、C点からD点に流れる電流は、インダクタL(回路)またはその後流にある負荷に流れる電流i2である。
このとき、第1のスイッチング素子Q1の順方向電流i1と、インダクタLまたはその後流にある負荷に流れる電流i2とは等しい。
【0031】
しかしながら、第2のダイオードD2が経年劣化やサージなどによってショート故障した場合、C点からB点へ電流が流れてしまう。C点からB点に流れる電流は、ショート故障した第2のダイオードD2および第2の抵抗R2を経由する電流i3となる。
順方向電流i1および電流i3が流れるため、A点とB点との間がショート状態となり、大電流が流れ、第1のスイッチング素子Q1やその間の配線自体などを破壊するのを防止するために、第2の抵抗R2が配置されている。この抵抗により電流制限がかかるため、回路部品が損傷するのを防ぐことができる。
【0032】
なお、A点とB点との間に流れるショート電流は、
(A点とB点との間の電位差)/(第1のスイッチング素子Q1のON抵抗値+第2の抵抗R2の抵抗値)
によって算出できる。第2の抵抗R2によって電流制限がかかることが、この算出式を見ても理解できる。ここで、第1および第2の抵抗R1およびR2の抵抗値は、数kΩオーダーとなる。
【0033】
あるいは、仕様温度範囲を超えた高温環境下でこの電力変換装置10が使用された場合、第2のダイオードD2の逆バイアスリーク電流が増加し、C点からB点へ電流が流れる。このC点からB点へ流れる電流は、第2のダイオードD2および第2の抵抗R2を経由する電流i3'となる。
【0034】
この電流i3'が流れると、第2のダイオードD2は発熱し、さらに高温になり逆バイアスリーク電流がさらに増加してしまう。この悪循環を熱暴走といい、熱暴走が続くと最悪の場合、第2のダイオードD2が破壊されてしまうが、第2の抵抗R2の配置により電流制限がかかるため、熱暴走を防ぐこともできる。
【0035】
<第2の実施形態>
図3は、本発明の他実施形態における電力変換装置10の一部構成を示した概略回路図である。この電力変換装置10は、
図1の電力変換装置10に2つの電圧モニタ回路51,52(後述する電位測定部位21,22に相当)がさらに備えられたものである。
図1と同様の構成に関しては、説明を省略する。
【0036】
2つの電圧モニタ回路51,52はそれぞれ、第1の抵抗R1および第2の抵抗R2の両端に接続され、各抵抗間の電圧を測定することができる。
【0037】
図1で説明した第1のスイッチング素子Q1がONで、第2のスイッチング素子Q2がOFFとなるHI状態から、その後、第2のスイッチング素子Q2がOFFのまま第1のスイッチング素子Q1がONからOFFに切り替わったときを考える。
このときインダクタLに蓄えられたエネルギにより、B点からC点を経由してD点へ(例えば数10Aオーダーの)回生電流が流れる。
【0038】
B点からC点へ流れる電流は、第2の抵抗R2および第2のダイオードD2を経由する電流i3'となる。C点からD点へ流れる電流は、インダクタL(回路)またはその後流にある負荷に流れる電流i2'である。
このとき、電流i3'と電流i2'は等しい。
【0039】
第2のダイオードD2のアノード側に第2の抵抗R2を直列接続し、その抵抗の両端の電圧を電圧モニタ52で測定することにより、電流i3'が流れた否かを判定することができるので、第1のスイッチング素子Q1がOFFしたタイミングが分かるようになる。
このタイミングを用いて無駄な持ち時間なく、第1のスイッチング素子Q1のOFF後の次の制御に遷移することが可能となり、高速制御ができるようになる。この高速制御(デッドタイムの調整制御)に関しては、
図10以降において後述する。
【0040】
<第3の実施形態>
図4は、本発明の他実施形態における電力変換装置10の一部構成を示した概略回路図である。この電力変換装置10は、
図1の電力変換装置10の第1の抵抗R1および第2の抵抗R2が可変抵抗(例えば(PTC)サーミスタ)になったものであり、他の構成は同様である。
図1と同様の構成に関しては、説明を省略する。
【0041】
上述したショート故障、高温環境下、回生電流などにより、第1の可変抵抗R1'または第2の可変抵抗R2'に規定電流を超えた電流が流れた場合に、(温度上昇によって)それぞれの抵抗値が上昇する。
これにより、第1のダイオードD1および第2のダイオードD2の損傷を軽減することができる。
【0042】
<第4の実施形態>
図5は、本発明の他実施形態における電力変換装置10の一部構成を示した概略回路図である。この電力変換装置10は、
図1の電力変換装置10の第1の抵抗R1および第2の抵抗R2が可変抵抗になり、それぞれの抵抗値を制御するための回路61,62がさらに備えられたものであり、他の構成は同様である。
図1と同様の構成に関しては、説明を省略する。
【0043】
上述したショート故障、高温環境下、回生電流などにより、第1の可変抵抗R1'または第2の可変抵抗R2'に規定電流を超えた電流が流れた場合に、抵抗値制御回路61または62は、異常状態と判断してそれぞれの抵抗値を上昇(変化)させる(40%以上70%以下の上昇)ように機能する。そして、抵抗値制御回路61,62は一旦、第1の可変抵抗R1'または第2の可変抵抗R2'の抵抗値を上昇させると、ラッチして、元の抵抗値に戻らないように機能する。なお、第1および第2の可変抵抗R1'、R2'に流れる電流は、
図3のような電圧モニタ回路51、52により検出される。
これにより、第1のダイオードD1および第2のダイオードD2の損傷をさらに軽減しつつ、防止することもできる。なお、可変抵抗器として、デジタル信号で抵抗値を調整可能なデジタルポテンショメータなどが用いられる。
【0044】
<第5の実施形態>
図6は、本発明の他実施形態における電力変換装置10の一部構成を示した概略回路図である。この電力変換装置10は、
図1の電力変換装置10の第1の抵抗R1および第2の抵抗R2が可変抵抗(例えばPTCサーミスタ)になり、それぞれの抵抗値を検知するための回路71,72がさらに備えられたものであり、他の構成は同様である。
図1と同様の構成に関しては、説明を省略する。
【0045】
上述したショート故障、高温環境下、回生電流などにより、第1の可変抵抗R1'または第2の可変抵抗R2'に規定電流を超えた電流が流れた場合に、(温度上昇によって)それぞれの抵抗値が上昇する。閾値以上にどちらかの抵抗値が上昇すると、第1のスイッチング素子Q1の寄生ダイオードPD1、または、第2のスイッチング素子Q2の寄生ダイオードPD2に電流が流れるようになる。
そのとき抵抗値検知回路71,72は、第1の可変抵抗R1'または第2の可変抵抗R2'の抵抗値が閾値以上に上昇しているのを検知して、寄生ダイオードPD1およびPD2が破損しない電力まで入力電圧上流の電源電圧を下げるように機能する(
図7参照)。あるいは、ブレーカー(図示せず)が落ちるように機能してもよい。
【0046】
<第6の実施形態>
図8は、本発明の他実施形態における電力変換装置10の一部構成を示した概略回路図である。この電力変換装置10は、
図1の電力変換装置10の第1の抵抗R1および第2の抵抗R2が可変抵抗になり、それぞれの抵抗値を検知かつ制御するための回路81,82がさらに備えられたものであり、他の構成は同様である。
図1と同様の構成に関しては、説明を省略する。この抵抗値検知制御回路81,82は、
図5の抵抗値制御回路61,62と同様の機能を有しており、
図6の抵抗値検知回路71,72の機能も有してよい。
【0047】
上述したショート故障、高温環境下、回生電流などにより、第1の可変抵抗R1'または第2の可変抵抗R2'に規定電流を超えた電流が流れた場合に、抵抗値検知制御回路81または82は、異常状態と判断してそれぞれの抵抗値を上昇(変化)させるように機能する。抵抗値検知制御回路81,82は一旦、第1の可変抵抗R1'または第2の可変抵抗R2'の抵抗値を上昇させると、ラッチして、元の抵抗値に戻らないように機能してもよい。
【0048】
さらに、抵抗値制御検知回路81,82は、第1の可変抵抗R1'または第2の可変抵抗R2'の抵抗値が所定の限界値を超えたのを検知すると、ユーザにアラート(警告としては例えば"電力変換装置を交換してください")を、伝達(音声出力、(視覚的に)表示など)する報知部83を備える。この所定の限界値とは、例えば、第1のスイッチング素子Q1の寄生ダイオードPD1、または、第2のスイッチング素子Q2の寄生ダイオードPD2に電流が流れ始めるときの、第1の可変抵抗R1'または第2の可変抵抗R2'の抵抗値のことである。
これにより、第1のダイオードD1および第2のダイオードD2の損傷を軽減・防止しつつ、電力変換装置10の安全性を高めることができる。
【0049】
<第7の実施形態>
図9は、本発明の他実施形態における電力変換装置10の構成を示した概略回路図である。この電力変換装置10は、
図1の電力変換装置10の第1の抵抗R1および第2の抵抗R2が可変抵抗になり、それぞれの抵抗に流れる電流から、ランダム信号を生成する回路91,92がさらに備えられたものであり、他の構成は同様である。
図1と同様の構成に関しては、説明を省略する。
なお、この回路91,92は、
図5の抵抗値制御回路61,62、
図6の抵抗値検知回路71,72、および
図8の抵抗値検知制御回路81,82と同様の機能を有してよい。
【0050】
このランダム信号生成回路(ジッター生成回路)91,92からのランダム信号は、水晶発振器、VCO、PLLなどの発振回路11に入力される。
これにより、発振周波数を所定の範囲(例えば16MHzの発振回路11の周波数精度に±10PPM以上100PPM以下の周波数範囲で)で変動させてEMI(Electro Magnetic Interference)を低減させることができる。
【0051】
<第8の実施形態>
ハーフブリッジ回路には、Highサイドの素子およびLowサイドの素子が同時にONしない時間(以下、デッドタイム)が予め設けられている。2つの素子が同時にON状態であると、貫通電流が流れ、2つの素子の寿命が短くなるか、最悪の場合は破壊に至るためである。
このデッドタイムは、2つの素子の製造個体差や温度ドリフトなどのすべての条件を考慮した、最も長い時間に設定されていた。
しかしこのような長いデッドタイムは、貫通電流を防止できるが、入出力波形の歪みを生じさせ、この歪みは、エネルギ変換効率を悪化させるものであった。デッドタイムの適正化(短縮化)が望まれていた。
【0052】
図10は、本発明の一実施形態における電力変換装置10の構成を示した概略回路図である。この電力変換装置10は、還流ダイオードの故障を防止し、デッドタイムを調整して入出力波形の歪みを低減して、エネルギ変換効率を向上させることができる。
【0053】
電力変換装置10は、電源Vccと、電源Vccの下流に配置された少なくとも1つのハーフブリッジ型回路と、ハーフブリッジ型回路に印加する波形生成回路(制御入力部)101とを含む。
【0054】
生成される電圧波形は、Vccと低電位側(信号用接地)との間の電圧で発生されて、例えば、400〜800Vの正弦波交流波形である(
図11の実線の入力波形に相当)。
電力変換装置10は一例として、AC‐DCコンバータ回路の一部であり、ソレノイド、電動モータ、DC−DCコンバータなどの負荷を駆動させるものである(図示せず)。
【0055】
電源Vccと信号用接地G1との間には、ハーフブリッジを構成するための第1および第2のスイッチング素子Q1(ハイサイド)およびQ2(ローサイド)が配置されている。
【0056】
第1および2のスイッチング素子Q1およびQ2は、電源Vccに対して直列接続されている。波形生成回路101は、第1および第2のスイッチング素子Q1およびQ2に制御可能に接続されている。
波形生成回路101は、第1および第2のスイッチング素子Q1およびQ2のそれぞれに対する2つのプリドライバ電源を備えており、後述するインダクタLの出力(V
out)レベルを検出する出力レベル検出部が、備えられてもよい。
【0057】
波形生成回路(制御入力部)101は、第1および第2のスイッチング素子Q1およびQ2のスイッチング動作を制御するためのPWM制御部3を含む。このPWM制御部3は、CPU、マイコン等であり、負帰還処理として例えばPID制御によるPWM出力に基づいて、第1および第2のスイッチング素子Q1およびQ2のそれぞれに制御信号を送信し(換言すると、
図10の電位V
GS1およびV
GS2を印加し)、スイッチングを任意に行うことができる。
波形生成回路(制御入力部)101は、情報を記憶しておくためのメモリ(記憶装置)4、システムコントローラなどのハードウェアをさらに含む。
【0058】
これらのスイッチング素子Q1およびQ2は、PWM制御部3からの制御信号をONからOFFにしても、電源Vccからスイッチング素子Q1およびQ2に流れる電流がOFFされるまで、遅延が生じる。例えばFETであれば数ns〜数十ns、IGBTやBJTならば数百ns〜数μsの遅延が起きる。
【0059】
この遅延は、スイッチング素子Q1およびQ2の製造バラつきや温度ドリフトなどによって変化するため、全ての条件下を考慮した最も長い時間Td_Maxがデッドタイムとして設定されていた。
【0060】
第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2との間に一端が接続された、インダクタL(V
out)がさらに配置されている。
PWM制御部3が、上述したデッドタイムTd_MaxをデッドタイムTdとして設定すると、電源Vccからスイッチング素子Q1およびQ2への貫通電流が確実に防止される一方で、回生電流によりインダクタLの出力波形(V
out)に歪みが生じる(
図11の点線の出力波形に相当)。
この種の歪みは、モータ回転の急な加減速を引き起こし、モータからのノイズ(騒音)や電磁放射など(無駄なエネルギ消費)の原因になる。
【0061】
さらに、直列接続された第1の抵抗R1および第1のダイオードD1(整流素子)が、第1のスイッチング素子Q1に対して並列に配置されている。ここで、第1のダイオードD1は、第1の抵抗R1の上流に配置され、かつ、第1のダイオードD1のアノード(プラス)側が第1の抵抗R1の一端に接続されている。
【0062】
第1の抵抗R1の他端と信号用接地G2との間に、直列接続された第2の抵抗R2および第2のダイオードD2(整流素子)が、第2のスイッチング素子Q2に対して並列に配置されている。ここで、第2のダイオードD2は、第2の抵抗R2の上流に配置され、かつ、第2のダイオードD2のアノード側が第2の抵抗R2の一端に接続されている。信号用接地G1およびG2は共通のグランドである。換言すると、第1および2のダイオードD1、D2のアノード側(整流素子のプラス側)が、各スイッチング素子のマイナス側に接続されている。
第1および第2のダイオードD1およびD2は、同様の機能を実現する整流素子(例えばFET)を代わりに用いてもよい。
【0063】
インダクタL(V
out)の一端は、第1の抵抗R1と第2のダイオードD2との間にも接続されている。
そして、第1の抵抗R1と第1のダイオードD1との間、および、第2の抵抗R2と第2のダイオードD2との間のそれぞれに、電位測定部位(例えばテストパッド)21、22が接続されている。このテストパッド21、22に電位測定用のプローブなどが接続され、第1および第2のダイオードD1およびD2にかかるそれぞれの電位V
D1およびV
D2が時間経過とともに測定される。なお、テストパッドは、電力変換装置を構成するプリント基板の表面に設けられる。
【0064】
この種のハーフブリッジ回路では、インダクタLに流れる電流がV
out→V
out2の時、第1のスイッチング素子Q1のゲート用の制御入力電圧をゼロにすると、第1のスイッチング素子Q1のV
GS1が下がり、第1のスイッチング素子Q1がオフになる。するとインダクタLの回生電流によって第1のスイッチング素子Q1の寄生容量(図示せず)に電荷が溜まり、インダクタLの出力電圧Voutが0V未満になる。
このときにテストパッド22において信号用接地G2からインダクタLへ流れる電流(つまり電位V
D2)を検出できるように、第2の抵抗R2および第2のダイオードD2が配置されており、第2のスイッチング素子Q2がオフになった実際のタイミングが検出される。
【0065】
同様に、インダクタLに流れる電流がV
out2→V
outの時、第2のスイッチング素子Q2のゲート用の制御入力電圧をゼロにすると、第2のスイッチング素子Q2のV
GS2が下がり、第2のスイッチング素子Q2がオフになる。するとインダクタLの回生電流によって第2のスイッチング素子Q2の寄生容量(図示せず)に電荷が溜まり、インダクタLの出力電圧Voutが電源Vccより大きくなる。
このときにテストパッド21においてインダクタLから電源Vccへ流れる電流(つまり電位V
D1)を検出できるように、第1の抵抗R1および第1のダイオードD1が配置されており、第1のスイッチング素子Q1がオフになった実際のタイミングが検出される。
【0066】
これらの電位V
D1およびV
D2は、第1および第2のダイオードD1およびD2に電流が流れているか否かを判定し、第1のスイッチング素子Q1および第2のスイッチング素子Q2における実際のデッドタイムTdを算出するために測定される。
【0067】
以下の第1および第2のスイッチング状態を所定の時間幅(デューティ)で周期的に切り替えるように、PWM制御部3は、第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2をON/OFF制御する。
【0068】
(第1のスイッチング状態、HI状態)
このスイッチング状態では、第1のスイッチング素子Q1がONで、かつ、第2のスイッチング素子Q2がOFFとなるHI状態である。
この状態において例えば、波形生成回路101からインダクタLに磁気エネルギが蓄えられる。ここで波形生成回路101からインダクタLへ流れる電流が所望より足りないときに、電流補償するように機能するコンデンサを配置してもよい(図示せず)。
【0069】
(第2のスイッチング状態、LOW状態)
このスイッチング状態では、第1のスイッチング素子Q1がOFFで、かつ、第2のスイッチング素子Q2がONとなるLOW状態である。
この状態において例えば、インダクタLに蓄えられた磁気エネルギが、駆動負荷やコンデンサ(図示せず)へ移動する。このコンデンサは、インダクタLから駆動負荷へ流れる電流が所望より足りないときに、この電流を補償するように駆動負荷へ電流を流すように機能する。
【0070】
上記の第1のスイッチング状態と第2のスイッチング状態とを切り替えるように、PWM制御部3は、第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2のオンの時間幅(デューティ)を周期的に変化させる。これにより、中間直流電圧Vcc(V)もしくは直流入力電圧に変換される。
(入力)交流電圧A(V)が、異なる直流電圧B(V)に変換される。
【0071】
電圧A(V)とB(V)との比は、この第1のスイッチング状態と第2のスイッチング状態との間のデューティ比(例えば所定のデューティ比として50%)で決定される。このデューティ比は、PWM制御部3からの制御信号により調整可能である。
【0072】
ここで、第1のスイッチング状態と第2のスイッチング状態との間には、電源VccからQ1,Q2を経由した信号用接地G1への貫通電流を防止するために、両スイッチング素子Q1、Q2がOFFとなるデッドタイムTdが設けられる。
PWM制御部3がスイッチング素子Q1またはQ2を(ON状態から)OFFにしたタイミングから、電位V
D1およびV
D2に電位が生じるまでの期間を実際のデッドタイムTdとし、この実際のデッドタイムTdはPWM制御部3により算出される。
【0073】
換言すると、インダクタLから第1および第2のダイオードD1またはD2に回生電流が流れ始めたときを、スイッチング素子Q1,Q2のそれぞれが、波形生成回路101からの制御信号に応じて実際にOFFになったタイミングと判断している。
【0074】
第1のダイオードD1に電流が流れると、スイッチング素子Q1がオフ→オンに切り替えられる。時間経過に対する(例えば10ns毎に)スイッチング素子Q1およびQ2の立ち上がりと立下がりの伝搬時間を計測し、この伝搬時間がデッドタイムTd_LTとしてルックアップテーブルに保存される。
【0075】
本実施形態では、出荷前テストとして所定の稼働条件下で測定される電位から算出されたデッドタイムTd_LTが保存されたルックアップテーブルが、メモリ4に備えられる。所定の稼働条件とは、例えば、スイッチング素子Q1、Q2の温度が高温、常温、低温の場合や、モータ回転数が高速、中速、低速の場合などである。ルックアップテーブルには関数化されたデータが存在していてもよい。
【0076】
PWM制御部3は、そのルックアップテーブル内のデッドタイムTd_LTに基づいて、貫通電流が流れることなしにデッドタイムTdを調整(短縮化)することができる。
当然のことながら、電力変換装置10は、このルックアップテーブルを使用するための必要なセンサ類(例えばスイッチング素子用の温度センサやモータエンコーダ)を備える必要がある。
【0077】
<第9の実施形態>
図12は、本発明の他実施形態における電力変換装置10'の構成を示した概略回路図である。この電力変換装置10'では、ハードウェアレベルでデッドタイムTdがリアルタイム制御される。
【0078】
電力変換装置10'は、電力変換装置10と同様の、電源Vccと、少なくとも1つのハーフブリッジ型回路(第1および第2のスイッチング素子Q1およびQ2)と、波形生成回路101'と、インダクタLとを含む。
電力変換装置10'は、電力変換装置10の第1および第2の整流素子D1、D2、第1および第2の抵抗R1、R2ならびにテストパッド21、22の代わりに、以下に説明する制御回路102、104、105および論理素子103が備えられる。
【0079】
電力変換装置10'は、
図12に示されているように、タイミング生成器102と、論理素子103‐1、103‐2と、レベルシフタ104A、104Bと、レベルシフタ104C、104D(フィードバック回路(検出回路))と、プリドライバ105A、105Bとを備える。
【0080】
これらは、波形生成回路101'から、タイミング生成器102および論理素子103‐1、103‐2、プリドライバ105A、105B、そして第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2(のゲート)の順序で下流になるように接続されている。
レベルシフタ104Cおよび104Dに耐圧が必要な場合は、第3および第4のダイオードD3およびD4が、レベルシフタ104Cおよび104Dに、直列接続されるようにさらに備えられてもよい。
【0081】
インダクタL(V
out)の一端は、レベルシフタ104Cとレベルシフタ104Dとの間にも接続されている。
レベルシフタ104Cおよび104Dは、OR回路(論理和回路)を介して論理素子103−1および103−2にも接続されている。
【0082】
レベルシフタ104Aは、プリドライバ105Aと第1のスイッチング素子Q1との間と、論理素子103−2とに接続されている。同様にレベルシフタ104Bは、プリドライバ105Bと第2のスイッチング素子Q2との間と、論理素子103−1とに接続されている。
プリドライバ105A、105Bはそれぞれ、論理素子103−1、103−2の出力(Hレベル、制御信号)を、第1および第2のスイッチング素子Q1、Q2のゲート用の制御電圧にレベルシフトするためのものである。
【0083】
タイミング生成器102は、論理素子103‐1および103‐2にも接続されている。
各レベルシフタ104A〜Dはそれぞれ、信号用接地G3〜G5、G1にも接続されている。
【0084】
図13〜15は、タイミング生成器102および論理素子103−1、103−2の回路構成を示している。
図13は、タイミング生成器102の論理回路図である。タイミング生成器102は、複数のNOT回路、NAND回路、およびRC素子から成る差動遅延素子(インバータ遅延素子でもよい)から構成されており、波形生成回路101'からの入力信号A+を受けて、入力反転信号A−(入力信号A+の反転信号、?、以下A−とする)およびD+、D−を出力する。
D+およびD−は、最長のデッドタイムTd_Max(Td1)を生成するための信号である(以下このデッドタイム生成信号は、D+、D−のみの符号とする)。
【0085】
図14は、論理素子103−1の論理回路図である。論理素子103−1は、3入力のNAND回路から、NOT回路、DフリップフロップおよびOR回路を順に含む。NAND回路は、A+、B、C+を受け、Dフリップフロップは、NAND回路の反転出力をクロックとして受け、かつ、Dも受ける。ここで、Bは後述するが、論理素子103−1(103−2)へのフィードバック信号である(以下このフィードバック信号は、Bのみの符号とする)。C+は後述するが、論理素子103−2からの出力C'−が送信された否かを確認するための信号である(以下この確認信号は、C+のみの符号とする)。そして、Dの出力値は、常に1(Hレベル)である。
【0086】
Dフリップフロップのリセット回路(Res)は、NAND回路のA+の入力部に接続されている。OR回路は、Dフリップフロップの出力QおよびD+を入力として受けて、C'+を出力する(以下この論理素子103−1の出力信号は、C'+のみの符号とする)。
Dフリップフロップは、ラッチ回路、RS型、D型などのフリップフロップが代わりに用いられてもよい。
【0087】
図15は、論理素子103−2の論理回路図である。論理素子103−2は、論理素子103−1と同様のものであり、A−、B、C−およびD−を受けて、C'−を出力する(以下この論理素子103−2の出力信号は、C'−のみの符号とする)。
ここで、C−は、論理素子103−1からの出力C'+が送信された否かを確認するための信号(第1群の負帰還信号)である(以下この確認信号は、C−のみの符号とする)。
【0088】
図16は、レベルシフタ104A〜Dの各々の論理回路図である。レベルシフタ104A〜Dは、同様のものであり、4つの端子e〜hを有する。
端子fからeまでには、抵抗および発光ダイオードが順に備えられている。この抵抗は、発光ダイオードのアノード(プラス)側に接続されている。レベルシフタ104Cおよび104Dの発光ダイオードはそれぞれ、第1および第2のダイオードD1、D2(整流素子)に相当する。
【0089】
レベルシフタ104A〜104Dの電源+Vから端子gまでには、フォトトランジスタおよび抵抗が順に備えられている。
フォトトランジスタ(図示せず)は、発光ダイオードの光を受けるように構成されたフォトカプラである。端子hは、フォトトランジスタと抵抗との間に接続されている。フォトカプラの代わりにアイソレータのコンプリメンタリ素子が用いられてもよい。
【0090】
以下に表1として電力変換装置10'の入力信号A、各論理素子の出力B〜Dに対するDフリップフロップの真理値表を示す。
【0091】
【表1】
ここで、Dは常に1(Hレベル)が入力されるものである。
【0092】
図17〜20を参照しながら、電力変換装置10'の制御方法S100を説明する。これらの図は、電力変換装置10'の構成においてシミュレーションを行って得られたグラフ図であり、横軸は時間、そして縦軸は電流または信号値である。
【0093】
図17は、
図11の出力波形が上に凸で、かつ、入力信号A+が0から1へ立ち上がるときのタイミングチャートである。
波形生成回路101'はこのとき、タイミング生成器102および論理素子103‐1に入力波形(矩形波信号)A+(Hレベル,1)を印加する(ステップS101)。
【0094】
その後タイミング生成器102は、入力信号A+を受けて、t1の遅延後にD+(Hレベル,1)を論理素子103‐1に、ならびに、A−およびt2の遅延後にD‐(Lレベル,0)を論理素子103‐2に送信する(ステップS102)。t1およびt2の遅延時間は、タイミング生成器102の抵抗RおよびコンデンサCの値により調整される。
【0095】
論理素子103‐2では、入力信号A−およびタイミング生成器102の出力の一方D−が共にLレベルとなることを受けて、出力C'−がLレベルとなる(ステップS103)。C'−は、第2のスイッチング素子Q2のゲート用の制御電圧に相当する。
換言すると、論理素子103‐2は、第2のスイッチング素子Q2にゲート用の制御信号を送信する。
【0096】
このとき、論理回路103−2の(入力を読み取ってから出力するまでの)遅延時間だけ出力C'−が遅くなる。
この論理回路103−2の遅延時間は、Dフリップフロップの最大動作周波数によって決まる。
【0097】
C'−の信号を端子fにおいて受けたレベルシフタ104Bは、この回路の伝搬遅延時間分だけ遅れてC+(第1群の負帰還信号)を、端子hから出力する(ステップS104)。ここで、C'−とC+とは論理反転の関係にあり、C+は、出力C'−が送信された否かを確認するための信号である。
レベルシフタ104Bの伝搬遅延時間は、レベルシフタ104Bの発光ダイオードに接続された抵抗や、電源+Vとフォトトランジスタとの間に設けられた抵抗(図示せず)などによって調整される。
このレベルシフタは一例であって、デジタルアイソレータであっても良い。
【0098】
ステップS104において、第2のスイッチング素子Q2のゲート電圧がOFFされていることが確認される。
C'−がLレベルになったので、第2のスイッチング素子Q2のV
GS2が下がり、第2のスイッチング素子Q2がオフする(ステップS105)。するとインダクタLの回生電流によって、インダクタLの出力電圧Voutが0V以下になる。
【0099】
インダクタLの出力電圧Voutが0V以下になったことにより、レベルシフタ104Dの端子fe間に電流が流れ、レベルシフタ104Dの伝搬遅延時間分だけ遅れて、レベルシフタ104Dの出力B−(端子h、第2群の負帰還信号、このレベルシフタ104Dの出力信号は、以下B−のみの符号とする)がHレベルになる(ステップS106)。このレベルシフタ104Dの伝搬遅延時間は、レベルシフタ104Bと同様に調整される。
B−がHレベルになったことで、OR回路を介して、論理素子103−1(103−2)へのフィードバックBもHレベルとなる(ステップS107)。
【0100】
すると、論理素子103−1は、A+、BおよびC+がHレベルになったことでC'+を立ち上げる(ステップS108)。ここで、C'+は、第1のスイッチング素子Q1のゲート用の制御電圧に相当する。
C'+がHレベルとなることで、第1のスイッチング素子Q1がオンされて、インダクタLの出力電圧VoutがHレベルになる(ステップS109)。ここで、出力電圧Voutは、最長のデッドタイムTd_Maxを考慮するように、C'+とD+との間で論理和(OR)を取って出力される。
【0101】
これにより、電源Vccから第1および2のスイッチング素子Q1、Q2への貫通電流を防止しながら、デッドタイムが、最長のTd_MaxからTdrに短縮される。
ここでのデッドタイムTdrは、第2のスイッチング素子Q2がオフしてから第1のスイッチング素子Q1がオンするまでの時間である(
図17参照)。このデッドタイムTdrは、上述した各素子R,Cの値や半導体の動作周波数などによって任意に調整可能である。
【0102】
図18は、
図11の出力波形が上に凸で、かつ、入力信号A+が1から0へ立ち下がるときのタイミングチャートである。
波形生成回路101'はこのとき、タイミング生成器102および論理素子103‐1に入力波形(信号)A+(Lレベル,0)を印加する(ステップS201)。
その後のステップは、S102〜S109と同様(動作出力が±逆)になるだけなので、説明の簡単化のために省略する。レベルシフタ104Aは、レベルシフタ104Bと同様に機能する。
【0103】
図19は、
図11の出力波形が下に凸で、かつ、入力信号A+が0から1へ立ち上がるときのタイミングチャートである。
波形生成回路101'はこのとき、タイミング生成器102および論理素子103‐1に入力波形(信号)A+(Hレベル,1)を印加する(ステップS201)。
【0104】
その後タイミング生成器102は、入力信号A+を受けて、t1の遅延後にD+(Hレベル,1)を論理素子103‐1に、ならびに、A−およびt2の遅延後にD‐(Lレベル,0)を論理素子103‐2に送信する(ステップS202)。t1およびt2の遅延時間は、タイミング生成器102の抵抗RおよびコンデンサCの値により調整される。
【0105】
論理素子103‐2では、入力信号A−およびタイミング生成器102の出力の一方D−が共にLレベルとなることを受けて、出力C'−がLレベルとなる(ステップS203)。C'−は、第2のスイッチング素子Q2のゲート用の制御電圧に相当する。
換言すると、論理素子103‐2は、第2のスイッチング素子Q2にゲート用の制御信号を送信する。
【0106】
このとき、論理回路103−2の(入力を読み取ってから出力するまでの)遅延時間だけ出力C'−が遅くなる。
この論理回路103−2の遅延時間は、Dフリップフロップの動作最大周波数によって調整される。
【0107】
C'−の信号を端子fにおいて受けたレベルシフタ104Bは、この回路の伝搬遅延時間分だけ遅れてC+(第1群の負帰還信号)を、端子hから出力する(ステップS204)。ここで、C'−とC+とは論理反転の関係にあり、C+は、出力C'−が送信された否かを確認するための信号である。
レベルシフタ104Bの伝搬遅延時間は、レベルシフタ104Bの発光ダイオードに接続された抵抗や、電源+Vとフォトトランジスタとの間に設けられた抵抗(図示せず)などによって調整される。このレベルシフタは一例であって、デジタルアイソレータでも良い。
【0108】
ステップS204において、第2のスイッチング素子Q2のゲート電圧がOFFされていることが確認される。
C'−がLレベルになったので、第2のスイッチング素子Q2のV
GS2が下がり、第2のスイッチング素子Q2がオフする(ステップS105)。するとインダクタLの回生電流によって、インダクタLの出力電圧Voutが電源V
CCより高くなる。
【0109】
インダクタLの出力電圧Voutが電源V
CCより高くなったことにより、レベルシフタ104Cの端子fe間に電流が流れ、レベルシフタ104Cの伝搬遅延時間分だけ遅れて、レベルシフタ104Cの出力B+(端子h、第2群の負帰還信号、このレベルシフタ104Cの出力信号は、以下B+のみの符号とする)がHレベルになる(ステップS206)。このレベルシフタ104Cの伝搬遅延時間は、レベルシフタ104Bと同様に調整される。
B+がHレベルになったことで、OR回路を介して、論理素子103−1(103−2)へのフィードバックBもHレベルとなる(ステップS207)。
【0110】
すると、論理素子103−1は、A+、BおよびC+がHレベルになったことでC'+を立ち上げる(ステップS208)。ここで、C'+は、第1のスイッチング素子Q1のゲート用の制御電圧に相当する。
C'+がHレベルとなることで、第1のスイッチング素子Q1がオンされて、インダクタLの出力電圧VoutがHレベルになる(ステップS209)。ここで、出力電圧Voutは、最長のデッドタイムTd_Maxを考慮するように、C'+とD+との間で論理和(OR)を取って出力される。
【0111】
これにより、電源Vccから第1および2のスイッチング素子Q1、Q2への貫通電流を防止しながら、デッドタイムが、最長のTd_MaxからTdrに短縮される。
ここでのデッドタイムTdrは、第2のスイッチング素子Q2がオフしてから第1のスイッチング素子Q1がオンするまでの時間である(
図19参照)。このデッドタイムTdrは、上述した各素子R,Cの値や半導体の動作最大周波数などによって任意に調整可能である。
【0112】
図20は、
図11の出力波形が下に凸で、かつ、入力信号A+が1から0へ立ち下がるときのタイミングチャートである。
波形生成回路101'はこのとき、タイミング生成器102および論理素子103‐1に入力波形(信号)A+(Lレベル,0)を印加する(ステップS201)。
その後のステップは、S102〜S109と同様(動作出力が±逆)になるだけなので、説明の簡単化のために省略する。
【0113】
上述したように、本実施形態の電力変換装置10、10'は、インダクタLの回生電流が整流素子(第1および2のダイオードD1,D2)に流れるか否かに基づいて、第1および2のスイッチング素子Q1、Q2への貫通電流を防止しながら、デッドタイムを調整ことができる。
これにより、デッドタイムを短縮化することができるので、電力変換装置のエネルギ変換効率を向上させ、かつ、動作を安定化させることができる。
【0114】
本実施形態の電力変換装置は、モータ、ソレノイド、電源回路、センシングデバイス全般に幅広く適用されることができる。
上述した各実施形態の電力変換装置の制御方式は、PWM(Pulse Width Modulation)に限られず、PAM(Pulse Amplitude Modulation)、PFM(Pulse Frequency Modulation)などの他の制御方式も適用可能である。