)を供給し、前記対象物の性質を変化する。また、溶液中にオゾン分解触媒として機能する金属イオン等が含まれる。対象物が免疫細胞である場合に、当該免疫細胞を活性因子により活性化した状態で前記オゾン(O
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示す技術は、ストレスを誘発する条件の一つとして活性酸素の一種であるオゾンが挙げられているが、オゾンが具体的にどのような条件下でどのように作用してストレスを誘発するのかは記載されていない。何かの刺激により多少免疫細胞が活性化することがあったとしても、十分な数の免疫細胞を高速に活性化及び増殖するのは困難性が高いものであり、特許文献1に示す技術では不十分であるという課題を有する。
【0007】
本発明は、オゾン(O
3)を活性酸素(O
*)に分解し、活性酸素(O
*)を利用して対象物の性質を変化させる性質変化方法等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る性質変化方法は、性質を変化させる対象となる対象物が溶液中に浸漬されており、当該溶液に対して大気圧中でオゾン分解触媒を介してオゾン(O
3)を供給し、前記対象物の性質を変化するものである。
【0009】
このように、本発明に係る性質変化方法においては、対象物が溶液中に浸漬されており、当該溶液に対して大気圧中でオゾン分解触媒を介してオゾン(O
3)を供給し、前記対象物の性質を変化するため、オゾン分解触媒を介してオゾン(O
3)を酸素(O
2)と活性酸素(O
*)とに分解して活性酸素(O
*)を対象物に供給することで、極短寿命の活性酸素を用いて対象物の性質変化を精密にコントロールしながら効果的に行うことができるという効果を奏する。ここで言う性質変化とは、例えばタンパク質の変性であったり、後述する免疫細胞の活性化や増殖が含まれるものである。
【0010】
本発明に係る性質変化方法は、前記溶液中にオゾン分解触媒として機能する金属イオンが含まれるものである。
【0011】
このように、本発明に係る性質変化方法においては、溶液中にオゾン分解触媒として機能する金属イオンが含まれるため、溶液に向けてオゾン(O
3)を放出するだけで当該溶液の表面にてオゾン(O
3)が金属イオンを触媒として分解され、溶液中の対象物に酸素ラジカル(O
*)を十分に供給することができるという効果を奏する。
【0012】
本発明に係る性質変化方法は、前記対象物が免疫細胞であり、当該免疫細胞を活性因子により活性化した状態で前記オゾン(O
3)の供給が行われるものである。
【0013】
このように、本発明に係る性質変化方法においては、対象物が免疫細胞であり、当該免疫細胞を活性因子により活性化した状態で前記オゾン(O
3)の供給が行われるため、後述する実験結果に示すように、免疫細胞の活性化及び高速化を促進して飛躍的に向上させることができるという効果を奏する。また、上述したように、免疫細胞が活性化した状態でさらに活性化を促進する場合に、薬剤ではなく極短寿命の活性酸素を用いることで、免疫細胞の活性化の程度を精密にコントロールしながら効果的に行うことができるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る性質変化方法は、前記オゾン(O
3)の供給が、プラズマ発生装置に少なくとも酸素(O
2)ガスを供給することで行われるものである。
【0015】
このように、本発明に係る性質変化方法においては、前記オゾン(O
3)の供給が、プラズマ発生装置に少なくとも酸素(O
2)ガスを供給することで行われるため、プラズマ発生装置で容易にオゾン(O
3)を生成して供給することが可能になるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係るプラズマ生成装置は、酸素ガスを貯留する酸素ガスボンベと、前記酸素ガスボンベからの酸素ガスが流入され、接地電極となる筒状電極の内壁面に接触するように略同一形状の筒状の絶縁チューブを有し、さらに当該絶縁チューブの内壁面に接触するように当該絶縁チューブの筒状内を鉛直方向に向かって螺旋状に巻回される導電性のコイルを有するプラズマ生成手段と、前記コイルに交流電圧を供給する電力供給手段とを備えるものである。
【0017】
このように、本発明に係るプラズマ生成装置においては、酸素ガスが流入され、接地電極となる筒状電極の内壁面に接触するように略同一形状の筒状の絶縁チューブを有し、さらに当該絶縁チューブの内壁面に接触するように当該絶縁チューブの筒状内を鉛直方向に向かって螺旋状に巻回される導電性のコイルを有するため、コイルに交流の高電圧を印加することでコイル表面と絶縁チューブとの間に酸素プラズマを発生し、効率的にオゾン(O
3)を生成することが可能になるという効果を奏する。
【0018】
本発明に係るプラズマ生成装置は、性質を変化させる対象物及び/又は当該対象物近傍の環境に関するパラメータを測定する測定センサを備え、前記電力供給手段が、前記測定センサの測定結果に基づいて前記コイルに供給する電圧値を調整する制御部を有するものである。
【0019】
このように、本発明に係るプラズマ生成装置においては、性質を変化させる対象物及び/又は当該対象物近傍の環境に関するパラメータを測定する測定センサを備え、前記電力供給手段が、前記測定センサの測定結果に基づいて前記コイルに供給する電圧値を調整する制御部を有するため、対象物の性質変化に最も適正な環境状態を常に維持しながらオゾン(O
3)を供給することが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る性質変化方法について、
図1ないし
図5を用いて説明する。本実施形態に係る性質変化方法は、例えば免疫細胞にオゾン分解触媒を介してオゾン(O
3)を供給することで、免疫細胞を刺激し活性化するものである。オゾン(O
3)はオゾン分解触媒を介することでO
3→O
2+O
*となり、この活性酸素(O
*)が免疫細胞に供給されることで免疫細胞を効率的に活性化又は不活化することができる。
【0022】
図1は、本実施形態に係る性質変化方法の処理概要の一例を示す図である。
図1(A)は、例えば、金属イオン(例えば、ナトリウム(Na)イオン,カルシウム(Ca)イオン,カリウム(K)イオン,マンガン(Mn)イオン等)が含まれる培養液10に免疫細胞11が培養されており、この培養液10に対してオゾン(O
3)供給源12からオゾン(O
3)が供給される。供給されたオゾン(O
3)は、培養液10に含まれる金属イオンがオゾン分解触媒となって酸素(O
2)と活性酸素(O
*)とに分解される。分解して生成した活性酸素(O
*)は、そのまま培養液10中の免疫細胞11を刺激することで免疫細胞を活性化することができる。
【0023】
なお、このとき培養液10の液位が深い場合は、例えばバブリングを行うことでオゾン(O
3)を液中で放出するようにしてもよい。そうすることで、培養液10中の金属イオンが触媒として十分に機能し、免疫細胞11に対して活性酸素(O
*)を十分に供給することが可能となる。また、培養液の液位が浅い場合は、外部からオゾン(O
3)を吹き付けることで免疫細胞11に対して活性酸素(O
*)を十分に供給することが可能となる
【0024】
また、
図1(B)は、例えば、タンパク質に対して紫外線を照射しながらオゾン(O
3)供給源12からオゾン(O
3)が供給されている。供給されたオゾン(O
3)は、紫外線がオゾン分解触媒となって酸素(O
2)と活性酸素(O
*)とに分解される。分解して生成した活性酸素(O
*)は、タンパク質を変性させることができる。
【0025】
なお、
図1(A)において免疫細胞を活性化する際に
図1(B)に示すような紫外線をオゾン分解触媒として用いて活性酸素(O
*)を供給するようにしてもよいし、逆に、
図1(B)においてタンパク質を変性させる際に
図1(A)に示すような金属イオンが含まれる溶液に入れた状態で当該金属イオンをオゾン分解触媒として活性酸素(O
*)を供給するようにしてもよい。また、金属イオンや紫外線等の異なる種別のオゾン分解触媒を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
さらに、オゾン分解触媒として上記金属イオンや紫外線以外にも、例えば非貴金属系触媒等を利用することもできる。
【0027】
さらにまた、
図1(A)に示す免疫細胞には、例えば好中球、マクロファージ、T細胞、B細胞、樹状細胞、NK細胞、形質細胞、破骨細胞等が含まれる。また、
図1(B)に示すタンパク質として、例えばホルモンやサイトカイン(生理活性タンパク質)等が含まれる。
【0028】
次に、性質変化の対象を免疫細胞とする(ここでは、T細胞とする)場合に、予め試薬などの活性因子によりT細胞を活性化しておき、そこにオゾン分解触媒を介してオゾン(O
3)を供給する。活性化されていない未活性化T細胞は、例えば以下のような方法により活性化されることが知られている。
(1)細菌やウイルスや細胞を貧食した樹状細胞やマクロファージの抗原提示
(2)人工的に抗原を貪食させた樹状細胞やマクロファージの抗原提示
(3)T細胞上のCD3/CD28TCRと結合可能なモノクローナル抗体を付加した微粒子の付与
(4)サイトカイン、IFN−γ(gamma)、IL−2、IL−4の付与
【0029】
これらの方法により未活性化T細胞はヘルパーT細胞や攻撃性T細胞へと分化する。
図2は、未活性化T細胞が活性化するイメージ図である。
図2(A)は体内(in vivo)における未活性化T細胞の活性化のイメージ図であり、上記(1)を模式的に示したものである。また、
図2(B)は体外(in vitro)における未活性化T細胞の活性化のイメージ図であり、上記(3)の方法を模式的に示したものである。
【0030】
図2(A)においては、樹状細胞が細胞やウイルスを貪食することで、T細胞上のCD3/CD28TCRと結合し、抗原が提示されてT細胞が活性化する様子を示している。
図2(B)においては、T細胞にCD3/CD28TCRと結合可能なモノクローナル抗体を結合した微粒子が付与されてT細胞が活性化する様子を示している。
【0031】
このような活性化の手法に関して、近年注目されている免疫療法では、生体から10
3個/ml程度の未活性化T細胞を取得し、これらの手法を用いてT細胞を活性化させ、細胞数が10
8個/ml程度となった後に再び体内に戻すことが行われている。しかしながら、上記の方法ではT細胞を10
3個/mlから10
8個/mlまで増加させるのに2〜3週間程度の時間を要しており、効果的な治療の障害となっている。T細胞以外にも他の免疫細胞、マクロファージ、B細胞においても同様な増殖速度の問題が生じている。
【0032】
本実施形態においては、上記のような手法により予めT細胞を活性化した状態で更にオゾン(O
3)を供給する。T細胞は上記方法により弱い活性化又は活性化しやすい状態となっており、そこにオゾン(O
3)が供給されて活性酸素(O
*)の刺激を受けることで、より多くのT細胞を活性化することが可能となる。
【0033】
次にオゾン(O
3)及び活性酸素(O
*)の生成方法について説明する。
図3は、本実施形態に係る性質変化方法に用いる活性酸素生成装置の構成を示す図である。
図3において、酸素(O
2)ガスが密封された酸素ガスボンベ31と、当該酸素ガスボンベ31に連結し乾燥を防止するための水(H
2O)が貯留された水ボトル32と、酸素ガスボンベ31及び水ボトル32の双方に連結しプラズマを生成するプラズマ生成装置33と、プラズマ生成装置33の電極にプラズマを生成するための交流電圧を印加する電源部34とを備える。
【0034】
図3において、酸素ガスボンベ31から供給される酸素ガスに水ボトル32の水蒸気(湿気)が混合されて水蒸気を含んだ酸素ガスとなってプラズマ生成装置33の投入口33aから投入される。プラズマ生成装置33内では、内部で発生している放電により水蒸気を含んだ酸素ガスが最終的にオゾン(O
3)となって流出口33bから流出される。なお、本実施形態においては、この一連の処理が大気圧中で行われるものである。
【0035】
図4は、プラズマ生成装置の内部構造を示す図であり、
図4(A)が装置の筐体内部の全体断面図、
図4(B)が
図4(A)の領域Rを拡大した拡大断面図である。
図4(A)において、筐体内には、最表面に銅で形成された筒状(ここでは円筒状とする)の接地電極41と、当該接地電極41の内壁面に接触するように略同一形状の筒状(ここでは円筒状とする)のセラミックチューブ42と、当該セラミックチューブ42の内壁面に接触するようにセラミックチューブ42の筒状内を鉛直方向に向かって螺旋状に巻回される導電性のコイル電極43とを備える。コイル電極43には電源部34から交流の高電圧が印加される。セラミックチューブ42は絶縁材であるが、コイル電極43に交流の高電圧を印加することで、コイル電極43からの交流電流はセラミックチューブ42を貫いて接地電極に流れることが可能となっている。
【0036】
水蒸気を含む酸素ガスが投入されると、コイル電極43からの交流電流によりセラミックチューブ42とコイル電極43との間(
図4(B)におけるドットで示す領域)で酸素プラズマが発生し、活性酸素(O
*)が生成される。この生成された活性酸素(O
*)は大気圧の影響で直ちに活性酸素(O
*)よりも安定性が高いオゾン(O
3)となって流出口33bに運ばれる。具体的には、例えば
図5に示すように、コイル電極43の表面から数十μm〜数百μm程度離れた領域でオゾン(O
3)となる。このオゾン(O
3)は流出口33bから放出されるが、オゾン(O
3)も酸素(O
2)に比べると非常に不安定であるため、そのまま放置して時間が経つか又はオゾン分解触媒の機能により酸素(O
2)と活性酸素(O
*)とに解離する。この解離した活性酸素(O
*)により免疫細胞の活性化やタンパク質の変性が可能となる。
【実施例】
【0037】
本発明に係る性質変化方法について、上記
図3ないし
図5に示す装置を用いて以下の実験を行った。性質変化の対象をT細胞(EL−4)として、大気圧中で酸素ガスのプラズマを発生させた。酸素ガスの流量は0.6L/m、室温23.8℃、プラズマの照射時間を10秒〜40秒、放電電圧を5.2kV〜6.4kVとした。
図6は、実験対象となるT細胞の収納状態及びプラズマ照射の様子を示す図である。
図6に示すように、対象となるT細胞は、NaイオンやCaイオンが溶け込んだ100μl程度の培養液に浸漬された状態でプラズマ(流出時点ではオゾン(O
3)の状態になっている)を照射した。ウェルプレートは深さが1mmでプラズマの流出口からウェルプレートまでの距離を12mmとした。
【0038】
まず、T細胞のような哺乳類動物細胞を培養するときに37℃前後の温度管理が重要であることから、放電電圧に対するT細胞近傍の温度特性を測定した。その結果を
図7に示す。
図7に示すように、T細胞の近傍を体内に近い37℃程度に保つには、6.0kV〜6.4kVの電圧でプラズマを照射するのが良いことが明らかとなった。
【0039】
次に、未活性化T細胞に5.1kVの放電電圧でオゾン(O
3)(培養液中にて活性酸素(O
*)に分解)濃度が400ppmの大気圧酸素プラズマを40秒間照射した後、24時間培養した場合の細胞数の比較を行った。
図8にその結果を示す。
図8において、プラズマを10秒間照射した場合に細胞数が1.06倍に増加した。この結果から、活性酸素(O
*)により未活性化T細胞を活性化することが可能であることが明らかとなった。
【0040】
次に、未活性化T細胞を(3)の手法を用いて活性因子で活性化させた状態で5.1kVの放電電圧でオゾン(O
3)(培養液中にて活性酸素(O
*)に分解)を10秒〜40秒間照射した後、24時間培養した場合の細胞数の比較を行った。
図9にその結果を示す。
図9において、1番左のT細胞は培養のみを行った未活性化細胞、左から2番目のT細胞は(3)の手法(Anti CD3/CD28)のみを適用した細胞、左から3〜6番目のT細胞はそれぞれ(3)の手法に加えてオゾン(O
3)を10秒、20秒、30秒、40秒間照射した細胞の結果を示している。
【0041】
(3)の手法を用いた場合は、未処理の場合に比べて多少活性化細胞が増殖しているが、(3)の手法に加えてさらに40秒間オゾン(O
3)を照射した場合は、飛躍的に活性化細胞が増殖している。これは、未処理の場合の約5倍となっており、免疫細胞を活性因子により活性化した状態でオゾン(O
3)の供給を行うことで、活性度が向上し、早く大量に活性化されたT細胞を増殖させるのが可能であることが明確となった。
【0042】
次にT細胞の不活化に関する実験を行った。例えばマラリア原虫感染症などに罹った場合、免疫細胞が活性化することでマラリア原虫を死滅させたとしても、正常な赤血球にまで免疫細胞が及んで炎症を起こしてしまい、最終的には死に至る可能性もある。このような場合には過剰な免疫細胞を不活化することができれば、その赤血球に影響を及ぼさずに炎症のみを抑制させることが可能になる。
【0043】
そこで、未活性化T細胞に6.0kVの放電電圧でオゾン(O
3)(培養液中にて活性酸素(O
*)に分解)を10秒〜60秒間照射した後、24時間培養した場合の細胞数の比較を行った。
図10にその結果を示す。
図10において、1番左のT細胞は培養のみを行った未活性化細胞、左から2〜4番目のT細胞はそれぞれ(3)の手法に加えてオゾン(O
3)を10秒、20秒、40秒間照射した細胞の結果を示している。
図10に示すように、放電電圧を増加させて高密度な活性酸素(O
*)が供給されることで一時的にT細胞に刺激を与え、細胞分裂周期を遅らせることが可能である。すなわち、細胞分裂周期を遅らせることで、T細胞の増殖を抑える又は不活化することが可能となる。
【0044】
図11は、未活性化T細胞を活性因子で活性化させた状態で複数の放電電圧におけるインターフェロンγの吸光度を測定した結果を示す図である。
図11において、いずれの放電電圧においてもプラズマ照射時間が長くなるに連れてインターフェロンγが増加する傾向となっており、
図8〜10に示すような細胞数の変化傾向とは異なる変化傾向となっている。これは、プラズマが活性化細胞数の増加に与える影響と、インターフェロンγの産生に与える影響とが異なっているためであり、これらの傾向を組み合わせることで、より厳密に免疫細胞の機能を制御することが可能となる。具体的には、プラズマの照射状態に応じて(1)細胞数の増加、インターフェロンγの増加、(2)細胞数の増加、インターフェロンγの減少、(3)細胞数の減少、インターフェロンγの増加、(4)細胞数の減少、インターフェロンγの減少が起こるため、状況に応じた免疫機能の制御が可能となる。
【0045】
最後に、放電電圧に応じた活性化細胞の増殖について実験を行った。
図12は、放電電圧を4.2kVとし、その他の条件は
図9の場合と全く同じ状態で実験を行った。
図12に示すように、10秒間照射した場合に最も多くの活性化細胞が増殖している。しかしながら、
図9の場合に比べるとその増殖率は低くなっている。
【0046】
以上のような各実験により、特に哺乳類動物細胞などが対象である場合は、放電で生じるプラズマは空冷や水冷により37℃前後に維持されることが望ましい。また、水蒸気を含む酸素ガスのプラズマ(流出時にはオゾン(O
3)の状態になっており、培養液中にて活性酸素(O
*)に分解)を照射することで免疫細胞を培養液中で飛躍的に活性化できることが明らかとなった。また、放電されるプラズマのパラメータは、(1)照射時間、(2)放電電圧、(3)活性粒子の種類があり、それぞれに適した値が設定されることで、
図9に示すような飛躍的な効果を得ることが可能となる。
【0047】
また、免疫細胞の活性化/不活化の制御について、5.1kVの放電電圧で活性化細胞の飛躍的な増殖が見られ、6.0kVの放電電圧で不活化の傾向が見られたことから、活性化/不活化の制御を放電電圧で行うことが可能である。一方で、6.0kVの放電電圧であってもインターフェロンγが増加していることから、その場の状況に応じで免疫細胞の機能を制御することが可能となる。
【0048】
なお、本実施例においては、酸素ガスに水ボトルの水で水分を付加したが、バブリングや加湿器などを利用するようにしてもよい。