前記(B)共重合体が、(B3)下記式(3)又は(4)で表されるアミノ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位をさらに有する、請求項1又は2記載の潤滑油組成物
CH2=C(A1)−COOR1−N(B1)(B2) (3)
CH2=C(A2)−COOR2−O−[C(=O)−R3NH]n−H (4)
(式中、R1は炭素数1〜30のアルキレン基であり、R2は炭素数1〜30のアルキレン基であり、R3は炭素数1〜10のアルキレン基であり、A1及びA2は各々メチル基又は水素原子であり、B1及びB2は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、nは1〜25の整数である)。
前記共重合体が(B1)成分由来の繰り返し単位、及び(B2)成分由来の繰り返し単位を、(B1):(B2)=10:90〜90:10の質量比で有する、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
前記共重合体が(B1)成分由来の繰り返し単位、(B2)成分由来の繰り返し単位、及び(B3)成分由来の繰り返し単位を、(B1):(B2):(B3)=10〜85:85〜10:5〜20の質量比で有する、請求項3記載の潤滑油組成物。
前記(C)成分が、モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)及びモリブデンジチオフォスフェイト(MoDTP)から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
前記(C)成分の量が、潤滑油組成物の全質量に対しモリブデン原子の量として100ppm〜1500ppmである、請求項1〜9のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
さらに、摩耗防止剤、金属清浄剤、無灰分散剤、極圧剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、粘度指数向上剤、消泡剤、流動点降下剤、抗乳化剤、及び防錆剤から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)潤滑油基油
潤滑油基油としては、特に限定されることはないが、鉱油、合成油、あるいはこれらの混合油を使用することができる。潤滑油基油の動粘度は特に限定的ではないが、100℃での動粘度1〜8mm
2/sを有するのが好ましい。
【0013】
鉱油系基油としては、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて精製した、パラフィン系、ナフテン系等の潤滑油基油や、溶剤脱ロウで得たワックスを異性化、脱ろうして得られる潤滑油基油が挙げられる。該鉱油系基油の動粘度は特に制限されるものでないが、低粘度を有する潤滑油組成物を得るためには、100℃での動粘度1〜8mm
2/sであるのが好ましい。
【0014】
合成系基油としては、ポリα−オレフィン、α−オレフィン共重合体、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、モノエステル、ジエステル、ポリオールエステル、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル並びにGTL基油等が使用できる。該合成系基油の動粘度は特に制限されるものでないが、低粘度を有する潤滑油組成物を得るためには、1〜8mm
2/sであるのが好ましい。
【0015】
潤滑油基油は、1種を単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。2種以上を使用する場合、2種以上の鉱油系基油、2種以上の合成系基油、及び1種以上の鉱油系基油と1種以上の合成系基油の併用が可能である。合成系基油としては例えばGTL由来基油が好適である。尚、エステル系基油を含むと摩擦が低下しない場合がある。
【0016】
また、低粘度を有する潤滑油組成物を得るためには、潤滑油基油全体として、100℃での動粘度1〜8mm
2/s、好ましくは1.5〜6mm
2/s、特には2〜5m
2/sを有することが好ましいが、これに限定されることはない。
【0017】
(B)有機高分子摩擦調整剤
本発明の潤滑油組成物は有機高分子摩擦調整剤として、下記(B1)成分に由来する単位と、(B2)成分に由来する単位とを有する共重合体を、後述する(C)成分と組合せて含有することを特徴とする。
(B1)炭素数1〜30のアルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレート
(B2)下記式(1)又は(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート
CH
2=C(A
1)−COOR
1−OH (1)
CH
2=C(A
2)−COOR
2−O−[C(=O)−R
3O]
n−H (2)
(式中、R
1は炭素数1〜30のアルキレン基であり、R
2は炭素数1〜30のアルキレン基であり、R
3は炭素数1〜8のアルキレン基であり、A
1及びA
2は各々メチル基又は水素原子であり、nは1〜25の整数である)
上記(B1)アルキル(メタ)アクリレートに由来する単位(油溶性骨格)と、上記(B2)ヒドロキシル基含有アルキル(メタ)アクリレートに由来する単位(極性基を有する骨格)とを有する共重合体を含むことにより、初期の摩擦を低減でき、且つ、油膜を維持して疲労寿命を向上することができる。
【0018】
(B1)成分は炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートであればよく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、へプチルデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらアルキル(メタ)アクリレートは1種類単独でも2種類以上の併用であってもよいが、(B1)成分として好ましくは、(B1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと(B1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとの併用であるのがよい。上記(B1−1)成分と(B1−2)成分との併用であることにより、潤滑油基油と接触する金属部材との間の摩擦を低減させることに寄与する。(B1−1)成分と(B1−2)成分との比率は特に制限されるものでないが、(B1−2)成分を必須とすることが好ましく、より好ましくは(B1−1)成分:(B1−2)成分(質量比)が20:80〜0:100であるのがよい。
【0019】
(B1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、及びヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらも1種類単独でも2種類以上の併用であってもよい。
【0020】
(B1−2)成分は、炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートであり、好ましくは炭素数13〜28の、さらに好ましくは炭素数15〜28、最も好ましくは炭素数17〜26のアルキル(メタ)アクリレートであるのがよい。例えば、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキシルデシル(メタ)アクリレート、へプチルデシル(メタ)アクリレート、及びオクタデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
(B2)成分は、末端に水酸基を有し、及び、炭素数1〜30のアルキレン鎖を有する、下記(1)又は(2)で表される(メタ)アクリレートである。
CH
2=C(A
1)−COOR
1−OH (1)
CH
2=C(A
2)−COOR
2−O−[C(=O)−R
3O]
n−H (2)
(式中、R
1は炭素数1〜30のアルキレン基であり、R
2は炭素数1〜30のアルキレン基であり、R
3は炭素数1〜8のアルキレン基であり、A
1及びA
2は各々メチル基又は水素原子であり、nは1〜25の整数である)
【0022】
一般式(1)で表される(メタ)アクリレートとしては、好ましくは炭素数2〜20の、より好ましくは炭素数2〜10のアルキレン鎖を有する、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、及び3−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0023】
上記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートは、上記一般式(1)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとラクトンを開環付加反応させて得られる。原料のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは上記の通りである。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにラクトン類を加熱反応させる。ラクトンは公知のものが使用でき、特に限定されない。例えば、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、及びε−カプロラクトンが挙げられる。開環付加反応は公知の条件に従い行えばよい。例えば、反応温度は80〜150℃が好ましく、さらには100℃〜140℃が好ましい。反応時間は2〜24時間が好ましく、さらには3〜10時間が好ましい。開環付加反応は、触媒下で行われることが好ましく、テトラプロピルチタネート、オクタン酸第一スズ等を使用することができる。反応生成物量に対して触媒を0.01〜5質量%添加することが好ましい。反応終了後、触媒は吸着剤を用いて吸着・ろ過し、除去する方法、中和して触媒を不活性化する方法等によって処理することができる。
【0024】
一般式(2)の構造を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシポリアセトラクトンモノ(メタ)アクリレート(α−アセトラクトンを1〜25モル付加)、ヒドロキシポリプロピオラクトンモノ(メタ)アクリレート(β−プロピオラクトンを1〜25モル付加)、ヒドロキシポリブチロラクトンモノ(メタ)アクリレート(γ−ブチロラクトンを1〜25モル付加)、ヒドロキシポリバレロラクトンモノ(メタ)アクリレート(δ−バレロラクトンを1〜25モル付加)、ヒドロキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート(ε−カプロラクトンを1〜25モル付加)である。このうち、ヒドロキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート(ε−カプロラクトンを1〜25モル付加)が好ましく、ヒドロキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート(ε−カプロラクトンを1〜20モル付加)がより好ましい。特には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートに上記ラクトンを1〜20モル付加して得られる(メタ)アクリレートが好ましい。
【0025】
(B)前記共重合体における各構成単位の配合比率は特に制限されるものでないが、(B1)成分由来の繰り返し単位、及び(B2)成分由来の繰り返し単位が、(B1):(B2)=10:90〜90:10の質量比で有するのがよく、より好ましくは(B1):(B2)=20:80〜80:20の質量比である。
【0026】
(B)成分は、上記(B1)成分及び(B2)成分由来の繰り返し単位に併せて、さらに(B3)下記(3)又は(4)で表されるアミノ基含有(メタ)アクリレートに由来する単位をさらに有するのが好ましい。
CH
2=C(A
1)−COOR
1−N(B
1)(B
2) (3)
CH
2=C(A
2)−COOR
2−O−[C(=O)−R
3NH]
n−H (4)
(式中、R
1は炭素数1〜30のアルキレン基であり、R
2は炭素数1〜30のアルキレン基であり、R
3は炭素数1〜10のアルキレン基であり、A
1及びA
2は各々メチル基又は水素原子であり、B
1及びB
2は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、nは1〜25の整数である)
【0027】
一般式(3)で表される(メタ)アクリレートとしては、好ましくは炭素数1〜28の、より好ましくは炭素数1〜20の、さらに好ましくは炭素数1〜18のアルキレン鎖を有するアミノアルキル(メタ)アクリレートがよい。該アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート、アミノイソブチル(メタ)アクリレート、アミノペンチル(メタ)アクリレート、及びアミノヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0028】
一般式(4)で表される(メタ)アクリレートは、上述した一般式(1)で表されるヒドロキシ(メタ)アクリレートに、ラクタムを開環反応させたものである。ラクタムは公知のものが使用でき、特に限定されない。たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを原料としてこれにラクタムを加熱反応させる。開環付加反応は公知の条件に従い行えばよい。例えば、反応温度は80〜150℃が好ましく、さらには100℃〜140℃が好ましい。反応時間は2〜24時間が好ましく、さらには3〜10時間が好ましい。開環付加反応は、触媒下で行われることが好ましく、テトラプロピルチタネート、オクタン酸第一スズ等を使用することができる。反応生成物量に対して触媒を0.01〜5質量%添加することが好ましい。反応終了後、触媒は吸着剤を用いて吸着・ろ過し、除去する方法、中和して触媒を不活性化する方法等によって処理することができる。
【0029】
一般式(4)で表される(メタ)アクリレートとしては、例えば、アミノポリプロピオラクタムモノ(メタ)アクリレート(β−プロピオラクタムを1〜100モル付加)、アミノポリブチロラクタムモノ(メタ)アクリレート(γ−ブチロラクタムを1〜100モル付加)、アミノポリバレロラクタムモノ(メタ)レート(δ−バレロラクタムを1〜100モル付加)、及びアミノポリカプロラクタムモノ(メタ)アクリレート(ε−カプロラクタムを1〜100モル付加)が挙げられる。特には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートに上記ラクタムを1〜100モル付加して得られる(メタ)アクリレートが好ましい。
【0030】
上記(B3)成分由来の構成単位を有する場合の(B)前記共重合体における各構成単位の配合比率は特に制限されるものでないが、(B1)成分由来の繰り返し単位、(B2)成分由来の繰り返し単位、及び(B3)成分由来の繰り返し単位を、(B1):(B2):(B3)=10〜85:85〜10:5〜20の質量比で有するのがよい。
【0031】
上記(B1)、(B2)及び(B3)成分の共重合は従来公知の方法に従えばよい。例えば、乳化重合、懸濁重合、溶液重合等が挙げられるが、溶液重合が好ましい。溶液重合の場合、重合が終了した系に更に溶媒を加えて製品化してもよく、溶媒の一部あるいは全部を除去して製品化してもよい。溶液重合の具体的な方法としては、例えば、溶媒にモノマー(B1)、モノマー(B2)及びモノマー(B3)を全体のモノマー分が5〜80質量%になるように反応器に仕込んだ後、80〜120℃程度に昇温し、モノマー全量に対して0.1〜10モル%の量の開始剤を一括あるいは分割して添加し、1〜20時間ほど攪拌して反応させればよい。
【0032】
溶液重合に使用する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メトキシブタノール、エトキシブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油あるいはこれらを水素化精製、溶剤脱れき、溶剤抽出、溶剤脱ろう、水添脱ろう、接触脱ろう、水素化分解、アルカリ蒸留、硫酸洗浄、白土処理等の精製した精製鉱油等の鉱物油;ポリ−α−オレフィン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリフェニルエーテル、アルキル置換ジフェニルエーテル、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、ヒンダードエステル、モノエステル、GTL(Gas to Liquids)等の合成油及びこれらの混合物が挙げられる。
【0033】
溶液重合に使用する開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス−(N,N−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、1,1’−アゾビス(シクロヘキシル−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化水素及び過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、過安息香酸等の有機過酸化物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素−Fe
2+等のレドックス開始剤、その他既存のラジカル開始剤を使用してもよい。なお、本発明の潤滑油用極圧剤は特定の分子量でなければならないが、合成時における分子量の制御は公知の方法で制御すればよく、例えば、反応温度、開始剤の量、モノマーの仕込み方法、溶剤の種類、連鎖移動剤の使用等が挙げられる。
【0034】
上記(B)共重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、重量平均分子量5,000〜1,000,000を有するのが好ましく、重量平均分子量10,000〜800,000を有するのがより好ましく、重量平均分子量10,000〜500,000を有するのがさらに好ましく、重量平均分子量10,000〜200,000を有するのが一層好ましく、重量平均分子量10,000〜100,000を有するのがより一層好ましい。尚、本発明において共重合体の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、以下の条件で測定し、ポリスチレン換算により得られる。
装置:「HLC−802A」[東ソー(株)製]
カラム :「TSK gel GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.5重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:200μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
【0035】
潤滑油組成物中における(B)成分の量は、潤滑油組成物の全質量に対し0.01〜30質量%であるのが好ましく、0.2〜25質量%であることがより好ましく、0.5〜15質量%であることがさらに好ましく、特には0.8〜5質量%であるのがよい。上記下限値よりも少ない場合には、初期の摩擦係数が高くなるおそれがある。上記上限値より多い場合には、動粘度が高くなりすぎて省燃費性を損なうおそれがある。
【0036】
(C)モリブデンを有する摩擦調整剤
(C)モリブデンを有する摩擦調整剤は従来公知の化合物であればよく、特に制限されない。例えば、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)およびモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)等の硫黄を含有する有機モリブデン化合物、モリブデン化合物と硫黄含有有機化合物又はその他の有機化合物との錯体、ならびに硫化モリブデンおよび硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化合物とアルケニルコハク酸イミドとの錯体等を挙げることができる。上記モリブデン化合物としては、例えば、二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデン等の酸化モリブデン、オルトモリブデン酸、パラモリブデン酸および(ポリ)硫化モリブデン酸等のモリブデン酸、これらモリブデン酸の金属塩およびアンモニウム塩等のモリブデン酸塩、二硫化モリブデン、三硫化モリブデン、五硫化モリブデンおよびポリ硫化モリブデン等の硫化モリブデン、硫化モリブデン酸、硫化モリブデン酸の金属塩又はアミン塩、塩化モリブデン等のハロゲン化モリブデン等が挙げられる。上記硫黄含有有機化合物としては、例えば、アルキル(チオ)キサンテート、チアジアゾール、メルカプトチアジアゾール、チオカーボネート、テトラハイドロカルビルチウラムジスルフィド、ビス(ジ(チオ)ハイドロカルビルジチオホスホネート)ジスルフィド、有機(ポリ)サルファイドおよび硫化化エステル等が挙げられる。特に、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)およびモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)等の有機モリブデン化合物が好ましい。
【0037】
モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)は下記式[I]で表される化合物であり、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)は下記[II]で表される化合物である。
【0039】
上記一般式[I]および[II]において、R
1〜R
8は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜30の一価炭化水素基である。炭化水素基は直鎖状でも分岐状でもよい。該一価炭化水素基としては、炭素数1〜30の直鎖状または分岐状アルキル基;炭素数2〜30のアルケニル基;炭素数4〜30のシクロアルキル基;炭素数6〜30のアリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基等を挙げることができる。アリールアルキル基において、アルキル基の結合位置は任意である。より詳細には、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基およびオクタデシル基等、およびこれらの分岐状アルキル基を挙げることができ、特に炭素数3〜8のアルキル基が好ましい。また、X
1およびX
2は酸素原子または硫黄原子であり、Y
1およびY
2は酸素原子または硫黄原子である。
【0040】
(C)成分として、硫黄を含まない有機モリブデン化合物も使用できる。このような化合物としては、例えば、モリブデン−アミン錯体、モリブデン−コハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、およびアルコールのモリブデン塩等が挙げられる。
【0041】
さらに本発明におけるモリブデンを有する摩擦調整剤(C)として、米国特許第5,906,968号に記載されている三核モリブデン化合物を用いることもできる。
【0042】
潤滑油組成物中における(C)成分の量は、モリブデン原子の量として100ppm〜1500ppmであるのが好ましく、より好ましくは200ppm〜1400ppmであり、最も好ましくは250ppm〜1300ppmである。上記下限値よりも少ない場合には、長期摩擦特性が高くなることがある。上記上限値より多い場合には、デポジットが発生して清浄性に劣ることがある。
【0043】
(D)その他の添加剤
本発明の潤滑油組成物は、上記(A)〜(C)成分に加えて、その他の公知の添加剤を含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、前記(B)及び(C)以外の摩擦調整剤、摩耗防止剤、金属清浄剤、無灰分散剤、極圧剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、粘度指数向上剤、消泡剤、流動点降下剤、抗乳化剤、及び、防錆剤を挙げることができる。これらの添加剤は1種単独でも、2種以上の併用であってもよい。
【0044】
前記(B)又は(C)に該当しない摩擦調整剤としては、例えばエステル、アミン、アミド、及び硫化エステルなどが挙げられる。上記摩擦調整剤を使用する場合は、通常、潤滑油組成物中に0.01〜3質量%で配合される。
【0045】
摩耗防止剤としては、従来公知のものを使用することができる。中でも、リンを有する摩耗防止剤が好ましく、特には下記式で示されるジチオリン酸亜鉛(ZnDTP(ZDDPともいう))が好ましい。
【0046】
【化3】
上記式において、R
1及びR
2は、各々、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜26の一価炭化水素基である。一価炭化水素基としては、炭素数1〜26の第1級(プライマリー)または第2級(セカンダリー)アルキル基;炭素数2〜26のアルケニル基;炭素数6〜26のシクロアルキル基;炭素数6〜26のアリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基;またはエステル結合、エーテル結合、アルコール基またはカルボキシル基を含む炭化水素基である。R
1及びR
2は、好ましくは炭素数2〜12の、第1級または第2級アルキル基、炭素数8〜18のシクロアルキル基、炭素数8〜18のアルキルアリール基であり、各々、互いに同一であっても異なっていてもよい。特にはジアルキルジチオリン酸亜鉛が好ましく、第1級アルキル基は、炭素数3〜12を有することが好ましく、より好ましくは炭素数4〜10である。第2級アルキル基は、炭素数3〜12を有することが好ましく、より好ましくは炭素数3〜10である。上記ジチオリン酸亜鉛は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、ジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC)を組合せて使用してもよい。
【0047】
また、下記式(5)及び(6)で示されるホスフェート、ホスファイト系のリン化合物、並びにそれらの金属塩及びアミン塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を使用することもできる。
【0048】
【化4】
上記一般式(5)中、R
3は炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、R
4及びR
5は互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、mは0又は1である。
【0049】
【化5】
上記一般式(6)中、R
6は炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、R
7及びR
8は互いに独立に水素原子又は炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、nは0又は1である。
【0050】
上記一般式(5)で表されるリン化合物としては、例えば、上記炭素数1〜30の炭化水素基を1つ有する亜リン酸モノエステル及び(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸;上記炭素数1〜30の炭化水素基を2つ有する亜リン酸ジエステル、モノチオ亜リン酸ジエステル、及び(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸モノエステル;上記炭素数1〜30の炭化水素基を3つ有する亜リン酸トリエステル、及び(ヒドロカルビル)亜ホスホン酸ジエステル;及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0051】
上記一般式(5)又は(6)で表されるリン化合物の金属塩又はアミン塩は、一般式(5)又は(6)で表されるリン化合物に、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属塩化物等の金属塩基、アンモニア、炭素数1〜30の炭化水素基又はヒドロキシル基含有炭化水素基のみを分子中に有するアミン化合物等の窒素化合物等を作用させて、残存する酸性水素の一部又は全部を中和することにより得ることができる。上記金属塩基における金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、銅、鉄、鉛、ニッケル、銀、マンガン等の重金属(但し、モリブデンは除く)等が挙げられる。これらの中でも、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属及び亜鉛が好ましく、亜鉛が特に好ましい。
【0052】
摩耗防止剤を使用する場合は、潤滑油組成物中に、通常0.1〜5.0質量%で、好ましくは0.2〜3.0質量%で配合される。なお、潤滑油組成物中におけるリン量は、限定されないが、100〜1500ppmであることが好ましく、200〜1400ppmであることがより好ましく、300〜1300ppmであることが最も好ましい。
【0053】
金属清浄剤としては、公知のものが使用できる。たとえば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を有する清浄剤を使用することができる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びバリウムを使用することが好ましい。
【0054】
金属清浄剤としては、例えば、ナトリウムサリシレート、ナトリウムスルホネート、ナトリウムフェネート、ナトリウムカルボキシレート、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート、カルシウムフェネート、カルシウムカルボキシレート、マグネシウムサリシレート、マグネシウムスルホネート、マグネシウムフェネート、及びマグネシウムカルボキシレートが挙げられる。これらのうち、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート、カルシウムフェネート、カルシウムカルボキシレート、マグネシウムサリシレート、マグネシウムスルホネート、マグネシウムフェネート、及びマグネシウムカルボキシレートが好ましく、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート、マグネシウムサリシレート、及びマグネシウムスルホネートがより好ましい。これら金属清浄剤は、1種単独であっても、2種以上の併用であってもよい。2種以上を併用する場合は、同一の種類(たとえば、カルシウムサリシレート)で塩基価が異なるものを使用することもできる。また、併用する場合は、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネートから選ばれる1種と、マグネシウムサリシレート、マグネシウムスルホネートから選ばれる1種とを混合するように、カルシウム清浄剤とマグネシウム清浄剤との併用であってもよい。
【0055】
上記金属清浄剤の塩基価は、5〜450mg/KOH・gが好ましく、70〜400mg/KOH・gがより好ましく、100〜400mg/KOH・gが最も好ましい。
【0056】
潤滑油組成物中の金属清浄剤の量は、金属原子量換算として100ppm〜2500ppmであることが好ましく、200ppm〜2000ppmであることがより好ましく、250ppm〜1800ppmであることがさらに好ましい。
【0057】
無灰分散剤は公知のものであればよい。たとえば、炭素数40〜500、好ましくは60〜350の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、マンニッヒ系分散剤、或いはモノ又はビスコハク酸イミド(例えば、アルケニルコハク酸イミド)、炭素数40〜500のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミン、或いは炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、或いはこれらのホウ素化合物、カルボン酸、リン酸等による変成品等が挙げられる。これらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。特に、アルケニルコハク酸イミドを含有することが好ましい。
【0058】
上記コハク酸イミドの製法は特に制限はなく、例えば、炭素数40〜500のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物を、無水マレイン酸と100〜200℃で反応させて得たアルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸をポリアミンと反応させることにより得られる。ここで、ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンが例示できる。上記無灰分散剤として例示した含窒素化合物の誘導体としては、例えば、前述の含窒素化合物に炭素数1〜30の、脂肪酸等のモノカルボン酸や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸若しくはこれらの無水物、又はエステル化合物、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド、ヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネートを作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆる含酸素有機化合物による変性化合物;前述の含窒素化合物にホウ酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるホウ素変性化合物;前述の含窒素化合物にリン酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるリン酸変性化合物;前述の含窒素化合物に硫黄化合物を作用させた硫黄変性化合物;及び前述の含窒素化合物に含酸素有機化合物による変性、ホウ素変性、リン酸変性、硫黄変性から選ばれた2種以上の変性を組み合わせた変性化合物が挙げられる。これらの誘導体の中でもアルケニルコハク酸イミドのホウ酸変性化合物、特にビスタイプのアルケニルコハク酸イミドのホウ酸変性化合物は、上述の基油と併用することで耐熱性を更に向上させることができる。
【0059】
無灰分散剤の量は、組成物全量基準で、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。また、無灰分散剤として、ホウ素含有無灰分散剤を、ホウ素を含有しない無灰分散剤と混合して使用することもできる。また、ホウ素含有無灰分散剤を使用する場合、その含有割合は特に制限はないが、組成物中に含まれるホウ素量が、組成物全量基準で、好ましくは0.001〜0.2質量%、より好ましくは0.003〜0.1質量%、最も好ましくは0.005〜0.05質量%であるのがよい。
【0060】
無灰分散剤の数平均分子量(Mn)は、2,000以上であることが好ましく、より好ましくは2,500以上、より一層好ましくは3,000以上、最も好ましくは5,000以上であり、また、15,000以下であることが好ましい。無灰分散剤の数平均分子量が上記下限値未満では、分散性が十分でない可能性がある。一方、無灰分散剤の数平均分子量が上記上限値を超えると、粘度が高すぎ、流動性が不十分となり、デポジット増加の原因となる。
【0061】
極圧剤は公知のものであればよく、リン系極圧剤及び硫黄系極圧剤のいずれも使用することができる。リン系極圧剤としては、好ましくは、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル、チオリン酸エステル、チオ亜リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、チオ酸性リン酸エステル、チオ酸性亜リン酸エステル、及びこれらのアミン塩よりなる群の中から選択される少なくとも1種であるのがよい。リン系極圧剤は硫黄を有していてもよい。尚、チオリン酸エステル等のリン−硫黄系極圧剤はリン系極圧剤に包含され、後述する硫黄系極圧剤には包含されない。但し、本発明においてリン系極圧剤はジチオリン酸亜鉛を包含しない。特に好ましくは、本発明におけるリン系極圧剤は金属元素を有さない。
【0062】
リン酸エステル及び酸性リン酸エステルは(R
4O)
aP(=O)(OH)
3−aで表される。aは0、1、2、又は3である。R
4は互いに独立に、炭素数4〜30の一価炭化水素基である。ここで、a=1又は2の場合が酸性リン酸エステルとなる。
【0063】
亜リン酸エステル及び酸性亜リン酸エステルは(R
4O)
bP(=O)(OH)
2−bHで表される。bは0、1、又は2である。R
4は互いに独立に、炭素数4〜30の一価炭化水素基である。
【0064】
リン酸エステル及び酸性リン酸エステルは、好ましくはリン酸モノアルキルエステル、リン酸ジアルキルエステル、及びリン酸トリアルキルエステルであるのがよいが、これに限定されるものではない。
【0065】
また、リン系極圧剤として、上述したリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル又は酸性亜リン酸エステルの一部の酸素原子を硫黄原子に置換した化合物、例えば、チオリン酸エステル、チオ亜リン酸エステル、酸性チオリン酸エステル、及び、酸性チオ亜リン酸エステルも包含する。
【0066】
より詳細には、リン酸モノオクチル、リン酸ジオクチル、リン酸トリオクチル、亜リン酸モノオクチル、亜リン酸ジオクチル、チオリン酸モノオクチル、チオリン酸ジオクチル、チオリン酸トリオクチル、チオ亜リン酸モノオクチル、チオ亜リン酸ジオクチル、リン酸モノドデシル、リン酸ジドデシル、リン酸トリドデシル、亜リン酸モノドデシル、亜リン酸ジドデシル、酸性リン酸ブチルエステル、酸性リン酸ヘキシルエステル、酸性リン酸オクチルエステル、酸性リン酸ドデシルエステル、酸性亜リン酸ブチルエステル、酸性亜リン酸ヘキシルエステル、酸性亜リン酸オクチルエステル、及び酸性亜リン酸ドデシルエステルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
更に、上記化合物のうち部分エステルになっているもののアルキルアミン塩及びアルケニルアミン塩も好適に使用することができる。すなわち、酸性リン酸エステルのアミン塩、酸性亜リン酸エステルのアミン塩を使用することができるが、これらに限定されるものではない。より詳細には、リン酸モノオクチルのアミン塩、リン酸ジオクチルのアミン塩、リン酸トリオクチルのアミン塩、亜リン酸ジオクチルのアミン塩、亜リン酸トリオクチルのアミン塩、チオリン酸ジオクチルのアミン塩、チオリン酸トリオクチルのアミン塩、チオリン酸トリドデシルのアミン塩、リン酸ジデシルのアミン塩、亜リン酸ジデシルのアミン塩、リン酸ジドデシルのアミン塩、リン酸トリドデシルのアミン塩、亜リン酸ジドデシルのアミン塩、亜リン酸トリドデシルのアミン塩、チオリン酸トリドデシルのアミン塩、リン酸トリヘキサドデシルのアミン塩、亜リン酸トリヘキサドデシルのアミン塩、酸性亜リン酸ブチルエステルのアミン塩、酸性リン酸ヘキシルエステルのアミン塩、酸性リン酸オクチルエステルのアミン塩、酸性リン酸ドデシルエステルのアミン塩、酸性亜リン酸ブチルエステルのアミン塩、酸性亜リン酸ヘキシルエステルのアミン塩、酸性亜リン酸オクチルエステルのアミン塩、酸性亜リン酸ドデシルエステルのアミン塩などが挙げられる。
【0068】
リン系極圧剤の含有量は、限定されることはないが、潤滑油組成物全体の質量に対するリン系極圧剤由来のリン原子の量が好ましくは50〜500質量ppmとなる量、より好ましくは80〜450質量ppmとなる量、よりさらに好ましくは100〜400質量ppmとなる量、特に好ましくは120〜400質量ppmとなる量である。
【0069】
硫黄系極圧剤は公知のものであれば特に限定されない。たとえば、硫化オレフィンに代表されるスルフィド化合物、硫化油脂に代表される硫化エステルから選ばれる少なくとも1種から選ばれることが好ましい。特には硫化オレフィンが好ましい。
【0070】
硫黄系極圧剤は、例えば下記一般式(7)で表される。
【化6】
式(7)中、R
5及びR
6は互いに独立に、炭素、水素、酸素、硫黄のうち少なくとも1つの元素を含む一価の置換基である。例えば、炭素数1〜40の直鎖構造または分岐構造を有する、飽和または不飽和の炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基は、脂肪族、芳香族、あるいは芳香脂肪族であって良く、酸素及びあるいは硫黄原子を有しても良い。また、R
5とR
6が結合していても良い。結合が1つの場合は、例えば下記一般式(8)で表される。
【0071】
【化7】
上記式(7)及び(8)において、xは1以上の整数であり、好ましくは1〜12の整数である。xが小さいと極圧性が低下し、xが大きすぎると熱酸化安定性が低下する傾向にある。
硫化オレフィンはオレフィン類を硫化して得られるものであり、オレフィン類以外の炭化水素系原料を硫化して得られるものを含めてスルフィド化合物と総称する。硫化オレフィンとしては、例えば、ポリイソブチレン類及びテルペン類などのオレフィン類を、硫黄または他の硫化剤で硫化して得られるものが挙げられる。
【0072】
硫化オレフィン以外のスルフィド化合物としては、例えば、ジイソブチルジスルフィド、ジオクチルポリスルフィド、ジ−tert−ブチルポリスルフィド、ジイソブチルポリスルフィド、ジヘキシルポリスルフィド、ジ−tert−ノニルポリスルフィド、ジデシルポリスルフィド、ジドデシルポリスルフィド、ジイソブチレンポリスルフィド、ジオクテニルポリスルフィド、及びジベンジルポリスルフィドなどが挙げられる。
【0073】
硫化油脂は、油脂と硫黄との反応生成物であり、油脂としてラード、牛脂、鯨油、パーム油、ヤシ油、ナタネ油などの動植物油脂を使用し、これを硫化反応して得られるものである。この反応生成物は、単一物質種のものではなく、種々の物質の混合物であり、化学構造そのものは必ずしも明確でない。
【0074】
硫化エステルは、上記硫化油脂の他に、各種有機酸(飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ジカルボン酸、芳香族カルボン酸など)と各種アルコールとの反応により得られるエステル化合物を硫黄その他の硫化剤で硫化して得られるものが挙げられる。硫化油脂と同様、化学構造そのものは必ずしも明確でない。
【0075】
本発明の硫黄系極圧剤の量は、限定的ではないが、潤滑油組成物中に、0.01〜5質量%含有されることが好ましく、0.1〜3質量%含有されることがより好ましく、0.2〜2質量%含有されることがさらに好ましい。
【0076】
本発明の酸化防止剤は、公知の物を使用することができる。該酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。例えば、フェノール系無灰酸化防止剤としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が、アミン系無灰酸化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、及びジアルキルジフェニルアミン等が挙げられる。酸化防止剤は、特に限定されないが、潤滑油組成物中に0.1〜5質量%で配合されることが好ましい。
【0077】
金属不活性化剤は、公知の物を使用することができる。たとえば、ベンゾトリアゾール、1,3,4−チオジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメートなどが挙げられる。金属不活性化剤は、特に限定されないが、潤滑油組成物中に0.01〜5質量%で配合されることが好ましい。
【0078】
粘度指数向上剤は、公知の物を使用することができる。粘度指数向上剤として、例えば、ポリメタアクリレート、分散型ポリメタアクリレート、オレフィンコポリマー(ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重合体)、分散型オレフィンコポリマー、ポリアルキルスチレン、スチレン−ブタジエン水添共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体、星状イソプレン等を含むものが挙げられる。さらに、少なくともポリオレフィンマクロマーに基づく繰返し単位と炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに基づく繰返し単位とを主鎖に含む櫛形ポリマーを用いることもできる。
【0079】
粘度指数向上剤は通常、上記ポリマーと希釈油とから成る。低粘度化に図る必要がない場合には、特に限定されないが、0.001〜20質量%添加することが好ましく、0.1〜20質量%添加することがより好ましく、1〜15質量%添加することが好ましい。ただし、低粘度化を図る場合には、添加しないことが好ましく、添加する場合であっても潤滑油組成物中に0.001〜1質量%とすることが好ましく、0.001〜0.5質量とすることがより好ましい。
【0080】
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が1000〜10万mm
2/sのシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。消泡剤の含有量は、限定されることはないが、潤滑油組成物中に0.001〜1質量%で配合される。
【0081】
流動点降下剤としては、例えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタクリレート系のポリマー等が使用できる。流動点降下剤の含有量は、限定されることはないが、潤滑油組成物中に0.01〜3質量%で配合されることが好ましい。
【0082】
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。抗乳化剤の含有量は、限定されることはないが、潤滑油組成物中に0.01〜5質量%で配合されることが好ましい。
【0083】
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。防錆剤の含有量は、限定されることはないが、潤滑油組成物中に0.01〜5質量%で配合されることが好ましい。
【0084】
本発明の潤滑油組成物の用途は限定的ではないが、自動車用潤滑油、機械用潤滑油のいずれにも好適に利用することができ、とりわけ自動車用潤滑油として使用することが好ましい。特に、本発明の潤滑油組成物は、自動車用潤滑油の中でも、内燃機関用潤滑油、変速機用潤滑油(自動変速機用潤滑油、手動変速機用潤滑油)、ギヤ用潤滑油に使用することができ、中でも内燃機関用潤滑油として使用することが好ましく、低粘度を有する内燃機関用潤滑油として好適である。
【0085】
低粘度を有する内燃機関用潤滑油組成物とする場合、100℃の動粘度が4.0〜8.2mm
2/sであることが好ましく、−35℃におけるCCS粘度が6,200mPa・s以下であることが好ましく、150℃における高温せん断粘度が1.7mPa・s以上であることが好ましい。
【0086】
上記低粘度を有する内燃機関用潤滑油組成物とする場合、2つの好ましい態様を有する。
第1の好ましい態様は、100℃の動粘度6.1〜8.2mm
2/sを有し、−35℃におけるCCS粘度6,200mPa・s以下を有し、かつ、150℃での高温せん断粘度2.3mPa・s以上を有する潤滑油組成物である。当該態様は、SAE J300粘度分類にて0W−16に分類される潤滑油組成物である。
第2の好ましい態様は、100℃の動粘度4.0〜6.1mm
2/s未満を有し、−35℃におけるCCS粘度6,200mPa・s以下を有し、且つ、150℃での高温せん断粘度1.7mPa・s以上を有する潤滑油組成物である。当該態様は、SAE J300粘度分類にて0W−8に分類される潤滑油組成物である。
本発明の潤滑油組成物であれば、上記第1の好ましい態様、及び第2の好ましい態様のいずれにおいても、低粘度を有しながらも、低摩擦特性を初期段階から長期に至るまで維持することができる。
【実施例】
【0087】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
(A)潤滑油基油
GTL基油(Group III基油、100℃の動粘度=4.0mm
2/s、粘度指数122)
【0088】
(B)有機高分子摩擦調整剤
摩擦調整剤1
下記(B1−1)に由来する単位、下記(B1−2)に由来する単位、及び下記(B2)に由来する単位を(B1−1):(B1−2):(B2)=10:50:40(質量比)で有する共重合体(重量平均分子量 11.0万)
(B1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
(B1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
(B2)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート:ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)にε―カプロラクトンを5モル開環付加反応させて得られる化合物
摩擦調整剤2
下記(B1−2)に由来する単位、下記(B2)に由来する単位、及び下記(B3)に由来する単位を(B1−2):(B2):(B3)=52.5:40:7.5(質量比)で有する共重合体(重量平均分子量2.0万)
(B1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
(B2)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート:ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)にε―カプロラクトンを開環付加反応させて得られる化合物
(B3)アミノ基含有(メタ)アクリレート:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
摩擦調整剤3
下記(B1−2)に由来する単位、下記(B2)に由来する単位、及び下記(B3)に由来する単位を(B1−2):(B2):(B3)=52.5:40:7.5(質量比)で有する共重合体(重量平均分子量11.0万)
(B1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
(B2)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート:ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)にε―カプロラクトンを2モル開環付加反応させて得られる化合物
(B3)アミノ基含有(メタ)アクリレート:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
摩擦調整剤4
下記(B1−1)に由来する単位、下記(B1−2)に由来する単位、及び下記(B2)に由来する単位、及び下記(B3)に由来する単位を(B1−1):(B1−2):(B2):(B3)=8:54.5:30:7.5(質量比)で有する共重合体(重量平均分子量11.0万)
(B1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
(B1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
(B2)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート:ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)にε―カプロラクトンを2モル開環付加反応させて得られる化合物
(B3)アミノ基含有(メタ)アクリレート:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
摩擦調整剤5
下記(B1−1)に由来する単位、下記(B1−2)に由来する単位、及び下記(B2)に由来する単位を(B1−1):(B1−2):(B2)=10:50:40(質量比)で有する共重合体(共重合体の重量平均分子量2.0万)
(B1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
(B1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
(B2)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート:ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)にε−カプロラクトンを5モル開環付加反応させて得られる化合物
摩擦調整剤6
下記(B1−1)に由来する単位、下記(B1−2)に由来する単位、及び下記(B2)に由来する単位を(B1−1):(B1−2):(B2)=10:50:40(質量比)で有する共重合体(重量平均分子量11.0万)
(B1−1)炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
(B1−2)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
(B2)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート:ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)にε−カプロラクトンを2モル開環付加反応させて得られる化合物
摩擦調整剤7
下記(B1−1)に由来する単位、下記(B2)に由来する単位、及び下記(B3)に由来する単位を(B1−1):(B2):(B3)=52.5:40:7.5(質量比)で有する共重合体(重量平均分子量2.0万)
(B1−1)炭素数9〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
(B2)ヒドロキシル基含有アルキル(メタ)アクリレート:ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)にε−カプロラクトンを14モル開環付加反応させて得られる化合物
(B3)アミノ基含有(メタ)アクリレート:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
上記摩擦調整剤1〜7について、各共重合体における(B1−1)由来単位、(B1−2)由来単位、(B2)由来単位、及び(B3)由来単位の質量比率を、下記表1乃至3にまとめて記載する。
【0089】
(C)モリブデンを含む摩擦調整剤
(C−1)MoDTC(モリブデンジチオカーバメイト)モリブデン含有量12質量%
(C−2)MoDTP(モリブデンジチオホスフェイト)モリブデン含有量10質量%
(D)粘度指数向上剤(ポリメタクリレート)重量平均分子量300,000
(E)その他の添加剤
(ジアルキルジチオリン酸亜鉛、カルシウムサリシレート、無灰分散剤、酸化防止剤、流動点降下剤、消泡剤からなるパッケージ)
【0090】
[実施例1〜14及び比較例1〜7]
上記各成分を表1乃至3のいずれかに記載の組成にて混合して、潤滑油組成物を得た。基油の量は組成物全体を100質量%とした残部である。各潤滑油組成物について、下記試験を行った。
・動粘度(100℃)の測定は、ASTM D445に準拠して100℃にておこなった。
・HTHS150℃の測定は、ASTM D4683に準拠して行った。
・−35℃におけるCCS粘度は、ASTM D5293に準拠して測定した。
・摩擦係数
摩擦係数は以下の方法に従い測定された。該測定の態様を示す模式図を
図1に示す。
プレート試験片(材質:AISI 52100 steel)からなるPCS Instruments社製標準試験片(
図1の符号3)と、相手となる直径0.75インチのボール試験片(材質:AISI 52100 steel)からなるPCS Instruments社製標準試験片(
図1の符号2)を用いて、各潤滑油組成物(
図1の符号4)についてボールオンディスク摩擦試験を行った。試験荷重37N(
図1の符号1)、すべり率50%、油100一定)として、2時間のボールオンディスク摩擦試験を行い、試験開始直後の摩擦係数と2時間経過時点の摩擦係数を測定し、本試験における摩擦係数とした。試験開始直後の摩擦係数を「Before」、2時間経過時点の摩擦係数を「After」として掲載し、摩擦係数が0.05以下のものを合格とした。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
上記表1または2に示す通り、実施例の潤滑油組成物は、特定構造を有する有機高分子摩擦調整剤、及びモリブデン摩擦調整剤を組合せて含有することによって、初期段階において潤滑油組成物の摩擦係数が低く、摩擦係数の上昇を抑制でき、かつ、長期に渡り、低い摩擦係数を維持することができる。即ち、従来の潤滑油組成物では成し得なかった、初期段階と長期使用の両方にて低摩擦化を達成することができる。また、本発明の潤滑油組成物は、実施例に示す通り、100℃の動粘度が4.0〜8.2mm
2/sであり、−35℃におけるCCS粘度が6,200mPa・s以下であり、及び150℃における高温せん断粘度が1.7mPa・s以上であることができ、低温特性にも優れているという効果も奏する。特には、実施例1〜10及び実施例13,14はSAE J300粘度分類にて0W−16に分類される潤滑油組成物であり、実施例11及び12はSAE J300粘度分類にて0W−8に分類される潤滑油組成物であり、いずれの態様においても初期段階と長期使用の両方にて低摩擦化を達成することができる。
これに対し、表3に示す通り、モリブデン摩擦調整剤を含まない比較例3ないし6の潤滑油組成物では、長期使用するにつれ摩擦係数が高くなる。また、有機高分子摩擦調整剤を含まない比較例1、2及び7の潤滑油組成物では、初期における摩擦係数が高くなる。即ち、特定構造を有する有機高分子摩擦調整剤及びモリブデン摩擦調整剤のいずれかを含まない潤滑油組成物では、初期段階と長期使用の両方にて低摩擦化を達成することができない。