【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、第1の手段として、車両の荷台上で荷下ろし作業をする際に、作業者の安全帯を係止する親綱を張設するために車両に隣接して地上面に設置される支柱を補助的に支持するために使用される親綱用支柱の補助支持装置において、前記支柱に斜めに立て掛けられる斜材と、前記斜材上端に配設され前記支柱と係合して前記支柱から脱落せずに前記支柱外周の長手方向に沿って移動可能な係合部材と、前記斜材の側面に基端側で上下方向に揺動可能に取着され、先端側に前記支柱側に連結させるための連結手段を備えた腕木部材と、を備えているようにした。
【0006】
このような補助支持装置であれば、親綱に張力がかかって支柱に引っ張り力が作用した際に、支柱が撓むとその力は斜材上部を押動して斜材を回転させる力となる。斜材は相対的に支柱に対して上動することとなる。また、腕木部材にも斜材ほどではないが回転力が作用する。斜材にかかる回転力は腕木部材の基端側の揺動位置が回転中心となって斜材下端を地上面に押しつける力を発生させる。そのため、斜材は支柱の撓む力をしっかりと受けとめることができる。
ここに「斜材」は、補助支持装置において親綱の張力がかかる方向で荷重を支えるための棒状部材である。材質は金属製、特に鉄合金製がよい。また、形状は軽重量であり一方で重量に比較して高強度となる形鋼や筒状がよく、例えば円筒状のパイプ形状が特によい。
「係合部材」は、前記支柱から脱落せずに前記支柱外周の長手方向に沿って移動可能な形状、例えば支柱外周に当接させられる外向きに凹となる断面形状の板部材や、例えば断面形状が断面くの字状の板部材(あるいは「>」のような不等号記号の断面形状といってもよい)であったり、例えば支柱を包囲する筒状体であったり、例えば支柱をしっかりと把持することができるクランプ装置であってもよい。但し上記の作用のように支柱が撓むと、クランプ装置であっても相対的に支柱に沿ってスライド移動してしまうこととなる。特に、支柱を把持したり包囲したりせずに、外周に当接させるだけの板状部材であることがスピーディーな補助支持装置の設置のために特によい。
「揺動」は、一定の範囲内で往復運動することであり、例えば軸を中心にある角度で往復運動することがよい。角度は必ずしも一定でなくてよい。また、軸を中心とする運動は円弧に沿うため円心揺動ということができる。
「腕木部材」は基端側が揺動可能に取着され、先端側に支柱側に連結させるための連結手段を備えた棒状部材である。支柱と斜材の間に水平に配置されることがよいが、かならずしも水平でなくともよい。材質は金属製、特に鉄合金製がよい。また、形状は軽重量であり一方で重量に比較して高強度となる形鋼や筒状がよく、円筒状のパイプ形状が特によい。「基端側が上下方向に揺動可能に取着され」とは基端側を中心に先端側が斜材の上方向と下方向に振れ動くことができることであり、例えばヒンジ部材によって腕木部材の基端側を回動可能に軸部材で連結することがよい。「連結手段」は揺動せずに支柱側に対して剛接合されることがよい。支柱側であるため連結手段は支柱に連結されても、支柱を支持する装置の支柱立て部分に連結されるようにしてもよい。
また、腕木部材は斜材から突出される連結部材に対して軸支されていることがよく、腕木部材の延出方向と前記連結部材の延出方向は同一線上にないことがよい。つまり、腕木部材の延出方向と連結部材の延出方向は180度ではない角度で交差するように配置することがよい。それによって腕木部材の延出方向(つまり長手方向)に荷重がかかった際に連結部材に対して腕木部材が揺動しやすくなって、腕木部材が斜材を押動してしまうことがなくなるからである。
「支柱」は、親綱を張設するための例えば、フックやリング等の親綱取り付け部を備えた1本あるいは複数の長尺の棒状部材を直列に連結した支柱本体と、支柱本体が立設されたベース部を備えている。支柱本体の材質は金属製、特に鉄合金製がよい。また、形状は軽重量であり一方で重量に比較して高強度となる形鋼や筒状がよく、例えば円筒状のパイプ形状が特によい。
「安全帯」は、作業員の体に取り付けて親綱に係止する例えば安全ベルトや安全ロープ等である。
「地上面」は例えば舗装された面でも舗装されていなくても、また、路面であっても路面でなくともよい。
これら用語の意義は下記でも同様である。
【0007】
第2の手段として、前記係合部材は上下方向に揺動可能に前記斜材に取着されているようにした。
このように係合部材が上下方向に揺動可能であると斜材の角度がどのように配置されても係合部材を支柱の外周になるべく接触面積が大きくなるように調整して係合させることができ、斜材の角度が変化しても係合部材の支柱への最適な係合関係が確保されることとなる。
第3の手段として、前記係合部材は前記支柱の径よりも小さな弦長で前記支柱の外周の2箇所に当接する断面くの字状の板部材であるようにした。
係合部材の形状の特定である。このような構成の係合部材であればスピーディーに補助支持装置を支柱に設置できるとともに、支柱の径が異なっていても当接する2箇所の位置がずれて常に2箇所で当接して斜材を支えることができる。
第4の手段として、前記連結手段はクランプ装置であるようにした。
クランプ装置を使用すると支柱に対して任意の位置で確実かつ簡単に固定することができるため、斜材の角度に応じて腕木部材の位置を変更して支柱に固定する際に有利である。
【0008】
第5の手段として、前記腕木部材を長手方向に長さが可変であるようにした。
これによって、腕木部材の長さを調整することで斜材の設置角度の裕度を増すことができる。つまり、補助支持装置がより使いやすく便利になる。
また、親綱張設用設備として第1〜第5の手段に記載の親綱用支柱の補助支持装置を備えた1又は複数の親綱用支柱を車両に隣接させ、前記支柱の親綱取り付け部に親綱を張設するようにした。
これによって、支柱への引っ張り力に対するつっかい棒として斜材の突っ張り力がしっかりと発揮された親綱張設用設備を提供することができる。
本願発明は以下の実施の形態に記載の構成に限定されない。各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
また、意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材とてもよいし、その部材の部分としてもよい。