【解決手段】所謂封入式の遊技機3に対応する遊技場用システム1Sにおける遊技装置1は、受け付けた遊技カードのカードIDを記憶する識別情報記憶手段と、遊技カードの受け付け後、返却までの間に、識別情報記憶手段によって記憶されたカードIDが変更されたとき、カードIDの変更有りと判定するID変更判定手段と、カードIDの変更を報知するID変更報知手段と、を備えている。
遊技を通じて獲得された遊技価値である第1獲得価値を示す情報を記憶可能であり、当該第1獲得価値を対価として遊技を行わせる遊技実行手段と、遊技の進行に応じて遊技者に付与される入賞付与価値により当該第1獲得価値を更新する遊技価値付与手段と、を有する遊技機に対応して設けられる遊技場用システムであって、
遊技を通じて獲得された遊技価値であって前記第1獲得価値とは区分される第2獲得価値、及び遊技者によって投入された貨幣価値のうちの残りである残高を対応付け可能な記録媒体と、
遊技機に対応して設けられ、前記記録媒体を受け付ける媒体受付手段と、
該媒体受付手段によって記録媒体が受け付けられた場合に、対応する遊技機を特定可能な状態で該記録媒体の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
遊技機に対応して設けられ、前記媒体受付手段により受け付けられた記録媒体を返却あるいは発行させるために遊技者が操作する返却操作受付手段と、
前記媒体受付手段によって記録媒体が受け付けられてから該記録媒体を受け付けた状態が解消されるまでの間に、前記識別情報記憶手段により記憶された識別情報が変更された場合、識別情報の変更有りと判定するID変更判定手段と、
該ID変更判定手段により識別情報の変更有りと判定された場合に、識別情報の変更が生じた旨を報知するID変更報知手段と、を備える遊技場用システム。
前記媒体受付手段は、記録媒体を未受付の状態で、遊技を行うために貨幣価値が投入された場合、或いは前記第2獲得価値が受け付けられた場合に、当該貨幣価値、或いは前記第2獲得価値を対応付けるための記録媒体を特定することで当該記録媒体を受け付ける請求項1に記載の遊技場用システム。
前記媒体受付手段は、記録媒体を受け付けた状態で、該記録媒体の返却、もしくは発行が有った場合、あるいは前記残高、及び前記第2獲得価値が残存しなくなった場合に当該受け付けた状態を解消する請求項1または2に記載の遊技場用システム。
前記識別情報記憶手段は、複数の遊技機に対応して設けられ、いずれか一の遊技機を特定可能な遊技機情報を対応付けて前記記録媒体の識別情報を記憶する請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技場用システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、パチンコ遊技機(遊技機)3に対応して設けられる遊技場用システム1Sに関する例である。以下、
図1〜
図8を参照して本例の内容を説明する。
【0010】
遊技場では、
図1のごとく、パチンコ遊技機3(以下、単に遊技機3という。)に対して、遊技装置1や情報表示装置51等が個別に設置されている。遊技価値であるポイント等の付与機能や計数機能を備える遊技装置1は、対応する遊技機3と隣り合う他の遊技機3との間の隙間のスペースに設置されている。遊技装置1は、対応する遊技機3の左側(スロットマシンの場合は右側)に配置され、呼出ランプを備える情報表示装置51は遊技機3の上方に設置される。なお、遊技場には、パチンコ遊技機以外にスロットマシンなどが設置されている。
【0011】
遊技場内の通路に面して遊技機3が配列された遊技島では、2台の遊技機3毎に1台ずつ中継装置54が設置されている。また、遊技場内に設けられた管理スペースには、遊技場内の各種機器の稼動状況を集中的に管理するための管理装置50が設置されている。遊技者が遊技により獲得した遊技価値を景品に交換するための景品カウンタには、景品交換のためのPOS端末55が設置されている。また、遊技機3が配列された遊技島の島端等には、遊技カード53(
図2)に記録された残高(プリペイド残高)の精算を受け付ける残高精算機(図示略)が設置されている。
【0012】
遊技場では、管理装置50が通信可能に接続された有線LAN等の場内ネットワーク500が構築されている。遊技機3は、対応する情報表示装置51及び遊技装置1と共に、中継装置54を介して場内ネットワーク500に接続されている。場内ネットワーク500を利用した遊技場用システム1Sでは、遊技装置1等の周辺装置を含めた遊技機3側と管理装置50との間の各種の通信が中継装置54を介して実現されている。
【0013】
管理装置50は、遊技場に設置された各種機器の動作状態を管理するほか、各遊技機3の遊技情報を収集して遊技機3単位で管理している。さらに、管理装置50は、遊技者が所持する遊技カード53に記録される残高や持玉(第2獲得価値)などの価値を記憶し、遊技カード53の識別情報であるカードIDを対応付けて管理している。
【0014】
以下、遊技機3及び遊技装置1の構成及び動作を詳しく説明する。
(遊技機)
遊技機3は、(パチンコ)玉を遊技媒体として遊技が行われる遊技機である。本例の遊技機3は、遊技を通じて獲得された遊技価値(ポイント)である第1獲得価値を示す情報(本例では遊技玉ポイントを例示)を記憶する、いわゆる封入式の遊技機である。封入式の遊技機3は、遊技媒体である玉が封入されており、遊技者側に玉が払い出されることがない。玉は、遊技領域である盤面330(
図2)への発射と、盤面330からの排出と、を繰り返し、遊技機3の内部で循環する。この遊技機3は、遊技価値をなすポイントを記憶する機能を備えている。遊技機3では、このポイントを1Pずつ消費して玉を発射でき、いずれかの入賞口に玉が入賞すればポイントを獲得できる。獲得されたポイントは、遊技機3が記憶するポイント(遊技玉ポイント)に加算される。
【0015】
遊技機3(
図2)は、始動口31への入賞に応じて大当り抽選を実行する、いわゆるセブン機である。この遊技機3は、大当り抽選に応じて図柄変動を実行するゲームを開始し、大当り図柄の停止表示により大当り当選を報知する。大当り当選が発生すれば、大入賞装置36が開放されるラウンドが複数回繰り返される有利な大当り状態に移行できる。ラウンドでは、大入賞装置36の開放により大入賞口360に玉が高頻度で入賞し、入賞する毎にポイントが付与される。大入賞口360の入賞に応じて付与されるポイントは15ポイントである。
【0016】
遊技機3の前面には、遊技椅子に着席した遊技者に対面するように盤面330が設けられている。この盤面330の下方には、払出式の遊技機(図示略)における上皿に代えて、棚状に遊技者側に張り出すカウンター部35が設けられている。さらにカウンター部35の下方、遊技者側から向かって右側には、盤面330に打ち込む玉の発射強度を調節するために遊技者が操作する操作ハンドル335が立設されている。
【0017】
カウンター部35では、玉を貯留するための窪みが設けられた払出式の遊技機の上皿とは異なり、上面が平らになっている。カウンター部35の上面の中央付近には、6個の7セグメント表示器が横一列に配置された遊技玉P表示部355が埋め込まれている。遊技玉P表示部355の左側には、計数ボタン357が配置され、同右側には、残高表示部351、貸玉ボタン352、返却ボタン353等が配置されている。
【0018】
遊技玉P表示部355は、遊技者が遊技により獲得し遊技機3が記憶している遊技価値であるポイントの数量(遊技玉ポイント)の表示部である。1ポイントは、玉1個分に対応している。遊技玉P表示部355に表示されるポイントは、払出式の遊技機における遊技者の手元にある計数前の遊技玉の数量に相当している。
【0019】
計数ボタン357は、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントを計数して持玉(第2獲得価値)に移行する計数処理を実行させる計数操作の操作ボタンである。この計数ボタン357は、遊技機3により記憶される遊技玉ポイント(遊技価値)の全部または一部を、遊技装置1にて記憶される持玉(第2獲得価値)に移行するために遊技者が行う所定の計数操作を受け付ける計数操作受付手段である。
【0020】
残高表示部351は、遊技装置1が受け付けた貨幣(貨幣価値)のうちの残りの金額である残高(プリペイド残高)を表示する表示部である。
貸玉ボタン352は、残高を対価としてポイントの付与を受けるための操作ボタンである。
【0021】
返却ボタン353は、遊技を終了等するときに遊技カード53を返却あるいは発行等させるための所定の発行操作のための操作ボタンである。この返却ボタン353は、返却操作受付手段の一例をなしている。遊技装置1に持玉や残高がある状態で遊技を終了する場合、返却操作受付手段をなす返却ボタン353の押下げ操作により、持玉や残高が記録された遊技カード53の返却あるいは発行を受けることができる。
【0022】
盤面330は、玉が流下する領域である。盤面330には、液晶表示部390を含む表示装置39を中心として、スルーゲート345、一般入賞口343、始動口31、大入賞装置36等が配置されている。盤面330の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔338が開口している。
大当り抽選結果を表示する液晶表示部390は、3桁の数字図柄を変動表示し、停止した3桁の数字図柄の組み合わせにより特図判定の当否を報知する。3桁のゾロ目が大当りを報知する大当り図柄となっている。
【0023】
遊技機3は、
図3のごとく、主回路40を中心として電気的に構成されている。主回路40に対しては、上記の構成のほか、遊技者が獲得した遊技価値であるポイントを遊技玉ポイントとして記憶する記憶部43、玉の発射装置441を制御する発射制御回路44、入賞玉を検出する入賞センサ414、大入賞装置36を開放させる大入賞口ソレノイド424、遊技演出を制御する演出制御回路45、外部機器とのインターフェースをなすI/F部48等が電気的に接続されている。さらに、主回路40には、電力を供給するための電源回路部428が接続されている。また、演出制御回路45には、アンプ/スピーカ331、装飾ランプ部336、液晶表示部390等が電気的に接続されている。
【0024】
記憶部43は、フラッシュROMなどの記憶デバイスを利用して構成されている。記憶部43は、遊技に伴い減算され、遊技で入賞すると加算される遊技玉ポイントを記憶する記憶手段である。遊技機3では、遊技価値であるポイントを1P消費して、遊技媒体である玉を発射できる。
【0025】
I/F部48は、中継装置54、遊技装置1などの外部機器とのインターフェースである。遊技機3は、I/F部48を介して中継装置54に遊技信号を出力するほか、遊技装置1との間での信号や情報の送受信が可能になっている。なお、遊技装置1と遊技機3との間で送受信される信号や情報の構成については、遊技装置1の構成を説明した後で説明する。
【0026】
主回路40は、
図3に示すごとく、CPU401、記憶素子であるROM402・RAM403、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部407、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部406等を備えている。主回路40は、図示しない抽選テーブルに規定された当選乱数に対して抽選用乱数を照合することで大当り抽選を実行する。そして大当りのとき、大当り状態を発生させる。
【0027】
主回路40は、ROM402から読み出したソフトウェアプログラムをCPU401が処理し、少なくとも以下の手段としての機能を実現する。
(1)遊技実行手段:遊技を通じて獲得された遊技価値(ポイント)である第1獲得価値を示す遊技玉ポイントを記憶可能であり、ポイントを対価として遊技を行わせる手段。遊技実行手段は、遊技玉ポイントから差し引く1ポイントを対価として、盤面330に玉を1個発射することで遊技を行わせる。
(2)遊技価値付与手段:遊技の進行に応じて遊技者に付与されるポイント(入賞付与価値)により遊技玉ポイントを加算更新する手段。
【0028】
(遊技装置)
遊技装置1は、遊技機3単位で対応して設けられている。遊技装置1は、遊技に必要なポイントを付与する付与処理や、遊技者が遊技により獲得した遊技価値であるポイントを計数する計数処理等を実行する装置である。遊技場では、遊技装置1を利用して遊技に必要なポイントの付与を受けると、対応する遊技機3での遊技が可能となる。この遊技装置1では、遊技者が獲得した遊技価値である持玉の取り扱いに際して、遊技者が所有可能な遊技カード53が利用される。
【0029】
遊技装置1(
図2)の前面パネル10には、状態表示部11、貨幣投入口12、タッチパネル13、遊技ボタン14、カード挿入口16等が設けられている。
状態表示部11は、装置エラーや一般カード532(
図4)のストック切れ等の作動状態を表示する表示部である。特に本例の構成では、状態表示部11が、遊技カード53に関するID変更報知手段の一例をなしている。
【0030】
貨幣投入口12は、ポイントの対価となる貨幣を投入する挿入口である。
タッチパネル13は、遊技者が指先等で表示画面に触れて操作するタッチ操作が可能な表示装置である。タッチパネル13は、持玉や残高(プリペイド残高)等を表示するほか、遊技者の設定操作を受け付ける各種の画面を表示する。
【0031】
遊技ボタン14は、遊技者が獲得した遊技価値である持玉(第2獲得価値)を元にして、遊技に必要なポイントの付与を受けるための操作ボタンである。
カード挿入口16は、遊技者所有の価値である持玉や残高等が対応付けられた遊技カード53の挿入あるいは発行等のための挿入口である。
【0032】
カード挿入口16には、会員カード531や一般カード532等の遊技カード53(
図4参照。)を挿入可能である。会員カード531は、会員登録した遊技者に発行される遊技カードである。一般カード532は、遊技終了時に残高あるいは持玉が残っている場合に発行される遊技カードである。
【0033】
会員カード531であるか一般カード532であるかによらず、遊技カード53には、識別情報であるカードIDのほか、当日の遊技により獲得された遊技価値である持玉や、当日入金した貨幣価値のうちの残高等のデータが記録される。なお、会員カード531は、前日以前の遊技により獲得した持玉(第2獲得価値)を貯玉等として遊技場側に預け入れて、後日の引出しを可能にする会員向けの貯玉サービスに対応している。この貯玉等については、改ざん等の不正を未然に回避するため、カードIDを対応付けて専ら管理装置50で記憶、管理され、遊技カード53には記録されない。
【0034】
遊技カード53の持玉、残高などの記録情報については、遊技カード53の不正利用の防止等を目的として管理装置50側でも管理されている。遊技装置1やPOS端末55や残高精算機など、遊技カード53を取り扱う場内装置は、遊技カード53を受け付けるとカードIDを読み出して管理装置50に照会を要求し、記録情報の正否を確認する。また、これらの場内装置は、遊技カード53の記録情報を書き換えて更新する際、新たな記録情報を管理装置50に送信する。管理装置50は、遊技カード53の識別情報であるカードID単位で、遊技カード53に記録された持玉や残高等を記憶し管理している。
【0035】
遊技装置1は、
図4のごとく、CPU21、ROM22、RAM23、フラッシュROM24等を備える制御部20を中心として電気的に構成されている。制御部20に対しては、上記の構成のほか、貨幣の受付処理を実行する貨幣処理部121、記録媒体である遊技カード53の記録情報を読み書きするカードリーダライタ(カードRW)180、遊技装置1の内部で遊技カード53を搬送するカード搬送ユニット180L、一般カード532(遊技カード53)をストックするカードストック部183、対応する遊技機3及び中継装置54との間の通信ポートをなすI/F部19、リモコン受光部190などが電気的に接続されている。
【0036】
貨幣処理部121は、遊技を行うために必要な遊技価値の対価となる貨幣を受け付ける貨幣受付手段である。貨幣処理部121は、受け付けた貨幣の種類を検出し、その貨幣価値を特定する。
遊技カード53は、遊技を通じて獲得された遊技価値であって遊技玉ポイントとは区分される持玉(第2獲得価値)、及び遊技者によって投入された貨幣価値のうちの残りである残高を対応付け可能な記録媒体の一例である。
【0037】
カードRW180は、遊技カード53の記録情報である持玉や残高等を書換えて更新する。このカードRW180は、遊技カード53を受け付ける媒体受付手段の一例をなしている。
【0038】
カードストック部183は、遊技カード53として一般カード532をストックしている。カードストック部183の一般カード532は、貨幣を投入して遊技を開始した遊技者が、その後、持玉あるいは残高が残った状態で遊技を終了する際、遊技機3の返却ボタン353の押し下げ操作に応じて発行される。なお、遊技装置1がメンテナンスモードのとき、一般カード532のストック動作が可能である。カード挿入口16を介して挿入された一般カード532は、カードRW180にてカードID(識別情報)が読み込まれた後、順次、カードストック部183にストックされる。カードストック部183にストックされた一般カード532は、それぞれ、カードIDが記憶されて管理された状態にある。
【0039】
カード搬送ユニット180Lは、記録媒体としての遊技カード53を遊技装置1の内部で搬送するユニットである。遊技カード53の搬送処理としては、カード挿入口16に挿入された遊技カード53をカードRW180に搬送する処理、カードストック部183の一般カード532をカードRW180に搬送する処理等、がある。なお、遊技装置1では、カード挿入口16を介して遊技カード53を挿抜可能である。
【0040】
フラッシュROM24は、遊技カード(記録媒体)53の識別情報であるカードIDを記憶する識別情報記憶手段としての機能を備えている。フラッシュROM24の記憶領域には、カードIDを記録するためのID管理エリア240が設けられている。識別情報記憶手段としてのフラッシュROM24は、対応する遊技機3を特定可能な状態でカードIDを記憶する。例えば遊技機3を特定可能な遊技機情報である台番を対応付けてカードIDを記憶しても良い。識別情報記憶手段としての遊技装置1は、遊技機3に対応して個別に設けられ、対応する遊技機3が特定されている。このような遊技装置1がカードIDを記憶することは、対応する遊技機3を特定可能な状態でカードIDを記憶すること、に相当している。
【0041】
また、RAM23の記憶領域には、フラッシュROM24から読み出したカードIDを一時的に記録する一時保管エリア230が設けられている。遊技装置1の動作中では、ID管理エリア240からカードIDを読み出す毎に、一時保管エリア230に一時的に記録されたカードIDが上書き更新される。さらに、RAM23の記憶領域には、遊技者の所有価値を記録する所有価値記憶エリア231が設けられている。所有価値記憶手段である所有価値記憶エリア231には、遊技者が獲得した遊技価値である持玉、遊技者が入金した貨幣価値のうちの残高が記録される。
【0042】
制御部20は、ROM22に格納された制御プログラムをCPU21が演算処理することで以下の(1)〜(7)の各手段としての機能を実現する。
(1)遊技情報取得手段:遊技の状況を表す遊技情報を取得する手段。
(2)遊技情報送信手段:遊技情報取得手段が取得した遊技情報を外部に送信する手段。
(3)付与手段:遊技者による付与操作に応じて、遊技に必要なポイントを付与する付与処理を実行する手段。付与手段は、遊技者によって所定の付与操作が行われた場合に、持玉あるいは残高を対価としてポイントを付与し、遊技機3(記憶部43)により記憶される遊技玉ポイントに加算する。
(4)計数手段:遊技により遊技者が獲得した遊技価値であるポイントを計数する計数処理を実行する手段。
(5)媒体受付手段:遊技機3に対応して設けられ、遊技カード53を受け付ける手段。媒体受付手段は、遊技カード53を受け付けた状態(カード受付状態)で、遊技カード53の返却、もしくは発行が有った場合、あるいは残高及び持玉が残存しなくなった場合にカード受付状態を解消する。
(6)ID変更判定手段:カードIDの変更有無を判定する手段。ID変更判定手段は、媒体受付手段により遊技カード53が受け付けられてからその遊技カード53を受け付けた状態(カード受付状態)が解消されるまでの間に、前記識別情報記憶手段が記憶するカードID(識別情報)が変更された場合に、カードIDの変更有りと判定する。
【0043】
遊技装置1は、遊技カード53を受け付けたとき、貨幣が投入されたとき、遊技に必要なポイントの付与処理を実行するとき、遊技者が遊技により獲得した遊技価値であるポイントの計数処理を実行するとき等、遊技機3との間で情報や信号を送受信しながら協調して動作する。このような協調動作において、遊技機3⇔遊技装置1でやり取りされる信号あるいは情報としては以下のものがある。
【0044】
(1)状態確認要求信号:状態確認応答(台データ)の要求信号。遊技装置1が200m秒毎に遊技機3に送信する。
(2)台データ:状態確認要求信号に応じて遊技機3が遊技装置1に返信する状態確認応答。なお、台データの内訳は後述する。
(3)カード挿入通知:遊技カード53を受け付けた旨の遊技装置1による通知。
(4)カード挿入応答:カード挿入通知に対する遊技機3の応答。
(5)付与要求信号:ポイントの付与を求めて遊技機3が送信する信号。貸玉ボタン352の操作に応じて遊技機3が送信する。
(6)付与ポイント情報:持玉あるいは残高を対価として付与するポイントの数量を表す情報。遊技装置1が出力する。
(7)返却要求信号:遊技カード53の返却を求めて遊技機3が送信する信号。返却ボタン353の操作に応じて遊技機3が送信する。
(8)計数要求信号:遊技機3が備える計数ボタン357が操作されたときに遊技機3が送信する信号。計数要求信号は、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントのうちの1P分の計数を要求する信号である。
(9)計数許可信号:計数要求信号に対する遊技装置1の返信信号であって、1P分のポイントについて計数玉への変換を許可する旨を表す信号。
(10)残高情報:遊技装置1が送信する残高(プリペイド残高)の情報。この残高情報により、遊技機3側で残高の度数表示が可能になる。
【0045】
遊技機3が遊技装置1に返信する状態確認応答である上記の台データには、以下のデータや情報等が含まれている。
(1)アウト(玉数):遊技進行中に消費された遊技価値である消費価値の一例である。前回データ送信時からの消費(使用、打込)価値であるアウトが1ポイント単位で示される。
(2)セーフ(玉数):遊技の進行に応じて遊技者に付与された入賞付与価値の一例である。前回データ送信時からの入賞に応じて付与された入賞付与価値であるセーフが1ポイント単位で示される。
(3)S入賞(回数):前回データ送信時からの始動入賞(S入賞)を1回単位で示す。
(4)スタート(回数):前回データ送信時からのS入賞により作動(変動)する役物(液晶表示部390)のスタート(図柄変動数、役物作動数、単位遊技数)を示す。確定した時点で計数されるが、開始した時点で計数しても良い。
(5)作動中(状態):データ送信時に図柄変動中等の役物が作動中であればON、非作動中ならOFFが示されるので、ONとなってからOFFとなるまでの期間を役物作動中として特定できる。
(6)大当り(回数):前回データ送信時から発生した大当り数を1回単位で示す。発生した時点で計数されるが、終了した時点で計数しても良い。
(7)大当り(状態):データ送信時に大当り状態の発生中であればON、大当り状態の発生中でなければOFFが示されるので、ONとなってからOFFとなるまでの期間を大当り中として特定できる。
(8)甘中(状態):データ送信時に、特別状態中(甘中)あるいは大当り状態の発生中であればON、それ以外であればOFFが示されるので、ONとなってからOFFとなるまでの期間を甘中あるいは大当り状態の発生中として特定できる。例えば甘中(状態)がONの場合、大当り(状態)がONであれば大当り状態の発生中、OFFなら甘中と特定できる。また、甘中は、時短状態や確変状態といった特別状態が対応する。なお、大当り状態の発生中では、甘中(状態)が必ずしもONにならなくとも良い。なお、大当り(状態)と甘中(状態)のいずれもOFFであれば通常状態と特定できる。大当りあるいは甘中である状態を特賞中とする。
(9)遊技玉数:遊技機3にて記憶されている遊技価値の一例である遊技玉ポイントを1ポイント単位で示す。
(10)台ID:遊技機3から出力される遊技機固有の遊技機IDを特定可能な情報。台IDは、例えば電源投入時に出力する台データに含めると良い。
【0046】
本例では、一括した遊技情報あるいは複数の遊技情報を例えば電文によりまとめた台データを採用し、遊技機3から遊技装置1に台データを送信することで遊技装置1側での遊技情報の取得を可能としている。これに代えて、アウトなどの遊技情報を表すパルス信号を出力する遊技機であっても良い。
【0047】
次に、遊技装置1の(1)基本動作を説明し、続いて(2)ID変更判定処理について説明する。ID変更判定処理は、遊技場側のセキュリティ管理のための処理である。
(1)基本動作
来場した遊技者が空き台の遊技機3を見つけて遊技を開始する時点を起点として、遊技装置1及び遊技機3が協調して動作する基本動作の内容を、
図5のフロー図を適宜、参照しながら説明する。
【0048】
動作中の遊技装置1は、遊技カード53を受け付けているカード受付状態であるか否かを判断する(S101)。カード受付状態ではない場合(S101:NO)、遊技装置1は、貨幣の投入(入金)あるいは遊技カード53の挿入を待機する(S102)。
【0049】
遊技開始時に貨幣の投入(入金)があった場合(S102:YES)、遊技装置1は、カードストック部183にストックされた一般カード532のうちの1枚を選択し、残高あるいは持玉を返却する場合に利用を予定する遊技カード(一般カード)53として特定する。遊技装置1は、このように残高あるいは持玉を対応付けるための記録媒体(遊技カード)を選択的に特定することで遊技カード53を受け付け、カード受付状態を設定する(S103)。なお、上記のごとく、カードストック部183にストックされた一般カード532は、それぞれ、カードIDが記憶されて管理された状態にある。したがって、遊技装置1では、残高あるいは持玉を対応付けるために特定した遊技カード53のカードIDが把握された状態となっている。
【0050】
遊技装置1は、投入された入金額を残高として記憶する。具体的には、遊技装置1は、貨幣処理部121により受け付けられた貨幣価値のうち遊技価値の対価として消費されていない貨幣価値(遊技開始時であれば入金額)を、所有価値記憶エリア231に記録することで残高を記憶する(S104)。
【0051】
なお、上記の構成に代えて、遊技開始に際して貨幣の投入があった場合、カードストック部183から遊技カード(一般カード)53を繰り出し、カードRW180にてその遊技カード53のカードIDを読み出すことで遊技カード53を受け付けることも良い。
【0052】
一方、遊技開始に際して、持玉(第2獲得価値)や残高が記録された遊技カード53が挿入された場合(S102:YES)、カードRW180がその遊技カード53からカードIDを読み出す。遊技装置1は、挿入された遊技カード53を、残高や持玉を対応付けるための遊技カードとして特定することで遊技カード53を受け付ける(S103)。さらに遊技装置1は、遊技カード53の記録情報である持玉や残高を読み出して所有価値記憶エリア231に記録することで、所有価値(持玉・残高)を記憶する(S104)。
【0053】
また、遊技装置1は、残高や持玉を対応付ける遊技カード53のカードIDを、フラッシュROM24のID管理エリア240、及びRAM23の一時保管エリア230に記録する(S105)。一時保管エリア230が記憶するカードIDは、後で説明するID変更判定に利用される。
【0054】
カード受付状態下の遊技装置1は、所有価値記憶エリア231に記録された持玉・残高の表示を含む通常画面(例えば
図6(a、b))を、タッチパネル13に表示する。
図6(a)の通常画面は、貨幣投入に応じて表示される通常画面の一例である。この通常画面では、入金された貨幣価値のうち、未使用分の残高(プリペイド残高)の金額(例えば¥10、000)が表示されている。同図(b)は、残高と持玉が記録された遊技カード53の挿入に応じて表示される通常画面の一例である。この通常画面では、残高に加えて、1250Pの持玉が表示されている。また、遊技装置1は、所有価値記憶エリア231に記録された残高を表す残高情報を、遊技機3に送信する。残高情報を受信した遊技機3では、残高に相当する度数(1度数=500円=125P)が残高表示部351(
図2)に表示される。
【0055】
遊技機3の残高表示部351に度数が表示されている場合、遊技機3は、貸玉ボタン352が操作される毎に遊技装置1に向けて上記の付与要求信号を送信する。遊技装置1は、付与要求信号を受信したとき(S106:YES)、1度数125P分のポイントを付与する旨の付与ポイント情報を遊技機3に送信すると共に、対価となる500円分を差し引いて、所有価値記憶エリア231の残高を減算更新する(S107)。付与ポイント情報を受信した遊技機3は、記憶部43が記憶する遊技玉ポイント(遊技開始時であればゼロ)に、付与されたポイントを加算する。
【0056】
また、例えば
図6(b)の通常画面のように持玉が表示された状態で遊技ボタン14が操作された場合(S106:YES)、遊技装置1は、1度数125玉分のポイントを付与する旨の付与ポイント情報を遊技機3に送信すると共に、125玉を持玉から差し引いた新たな持玉を所有価値記憶エリア231に記録する(S107)。一方、付与ポイント情報を受信した遊技機3では、付与されたポイントが記憶部43の遊技玉ポイントに加算される。
【0057】
ここで、所有価値記憶エリア231の持玉については、直接、遊技に使用することができない。遊技ボタン14の押下げに応じて付与1単位である1度数125玉分の持玉を125P分のポイントに変換でき(対価付与処理)、遊技機3に移行できる。本例では、このときの変換率を1、すなわち変換手数料が必要でない構成を例示している。これに代えて、1未満の変換率を設定することで、手数料を徴収することも良い。
【0058】
遊技機3が遊技玉ポイントとしてポイントを記憶している状態であれば、操作ハンドル335の操作により玉を盤面330に打ち込むことが可能である。いわゆる封入式の遊技機3では、盤面330に打ち出された玉が循環し、入賞した場合であっても外部に玉は払出されない。遊技玉ポイントは記憶部43により記憶されて管理されており、盤面330への玉の打出し(使用)に応じて1Pずつ減算され、入賞に応じたポイントが遊技玉ポイントに加算される(入賞付与処理)。
【0059】
遊技に応じて遊技機3で記憶される遊技玉ポイントが増えた場合、遊技機3の計数ボタン357の押下げ操作に応じて(S108:YES)、遊技玉ポイントを計数玉に変換でき、所有価値記憶エリア231の持玉に移行できる(計数処理、S109)。この計数処理では、遊技機3が遊技装置1に送信する計数要求信号に対して、遊技装置1が遊技機3に計数許可信号を返信することにより1P分のポイントの計数処理が完了する。そして、1P分のポイントの計数完了に応じて遊技機3のポイントが1P減算更新される一方、計数玉が1玉加算されて、所有価値記憶エリア231の持玉が1玉加算更新される。つまり、計数手段としての制御部20(遊技装置1)は、遊技者によって所定の計数操作が行われた場合に、遊技機3(記憶部43)により記憶される遊技玉ポイント(遊技価値)を減算し、この減算分のポイントである計数玉(計数価値)を所有価値記憶エリア231の持玉に加算する計数処理を実行する。
【0060】
遊技装置1では、1回の計数ボタン357の押下げ操作(計数操作)に応じて1P分のポイントが変換対象となるが、押下した状態を継続させる長押し操作(特殊計数操作)によれば連続的、且つ加速的な計数玉への変換が可能となる。例えば、遊技機3に1000Pの遊技玉ポイントがある場合でも、計数ボタン357を1000回押下げる必要はない。計数ボタン357の長押し操作が行われたとき、
図7(a)→(b)のように、遊技玉ポイントが1000→999→998→・・・→1→0と減算され、その減算分が所有価値記憶エリア231の持玉に移行される。
【0061】
遊技装置1は、基本動作の処理ルーチンを実行する毎に、カード受付状態に係る遊技カード53の識別情報であるカードIDの変更の有無を判定するためのID変更判定処理P1を実行する。なお、ID変更判定処理P1の詳しい内容については、
図8を参照して後述する。
【0062】
遊技装置1は、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントがゼロになったことを検知したとき、遊技カード53の発行処理を許可する。遊技カード53が挿入された状態で、遊技機3の返却ボタン353(
図2)を押下する等の発行操作が行われたとき(S110:YES)、残高や持玉等を遊技カード53に記録して返却する(返却処理、S111)。なお、遊技カード53が挿入されておらず、残高や持玉が残存する状態で遊技機3の返却ボタン353(
図2)を押下する等の発行操作が行われたとき(S110:YES)、遊技装置1は、予め選択された一般カード532をカードストック部183から繰り出して残高や持玉等を記録して発行する(発行処理、S111)。遊技装置1は、カード受付状態下で遊技カード53の返却、もしくは発行が有った場合に、カード受付状態を解消する(S112)。
【0063】
なお、遊技装置1は、残高及び持玉が残存しなくなった場合にもカード受付状態を解消する。例えば貨幣投入によって開始された遊技の場合には、遊技装置1は、残高あるいは持玉を返却するために選択した遊技カード(一般カード)53の選択状態を解除することでカード受付状態を解消する。一方、例えば遊技カード53の挿入によって開始された遊技の場合には、遊技装置1は、その遊技カード53を回収してストックすることでカード受付状態を解消する。なお、遊技装置1は、カード受付状態を解消する際、フラッシュROM24のID管理エリア240、RAM23の一時保管エリア230に記録されたカードIDを消去する。
【0064】
持玉を記録した遊技カード53を発行する通常の発行処理では、遊技機3が記憶するポイントに関する発行条件が設けられている。本例では、遊技玉ポイントが所定数(例えばゼロ)以下となることで発行条件が成立し、遊技カード53の発行処理が可能となる。本例の遊技装置1は、遊技機3が出力する上記の台データ中の遊技玉数により遊技機3が記憶する遊技玉ポイントがゼロになったことを検知可能である。
【0065】
遊技場では、遊技装置1から発行された遊技カード53に記録された持玉は、POS端末55にて景品との交換が可能である。また、遊技カード53に記録された残高は、遊技場内に設置された残高精算機(図示略)にて精算可能である。なお、遊技装置1が受け付ける貨幣を含め、貨幣価値としては現金を例示できるが、例えば電子マネーやクレジット決済といったように現金以外の貨幣価値を受付対象や精算対象としても良い。また、持玉や残高を遊技カード53に対応付けて発行処理を行う構成を例示したが、例えば遊技者の携帯電話等の他の記録媒体などに持玉や残高を対応付ける発行処理であっても勿論良い。
【0066】
なお、遊技装置1は、中継装置54との間でシリアル通信を実行することで、対応する遊技機3に関する各種の情報を管理装置50で特定可能としている。管理装置50で特定可能な情報としては、貨幣受付処理や、対価付与処理や、遊技カード53の受付処理・発行処理等が実行された旨の情報、残高や持玉、付与ポイント、計数玉、入金額、付与ポイントの対価となる売上額などがある。
【0067】
なお、遊技装置1は、持玉の一部を記録した遊技カード53を発行する分割発行機能を備えていても良い。分割発行機能の詳しい説明は省略するが、分割発行の際には、遊技装置1が記憶する持玉の範囲内で、分割する持玉の数量を指定可能である。この分割発行の場合には、遊技機3が記憶するポイントがゼロでなくても良く、遊技機3側にポイントが残っている状態で遊技カード53の発行が可能である。
【0068】
(2)ID変更判定処理
ID変更判定処理(
図5中の処理P1)は、管理対象のカードIDの変更有無を判定する機能である。遊技装置1は、遊技開始の際、遊技カード53の識別情報であるカードIDをフラッシュROM24のID管理エリア240に記録する(
図5中のステップS105参照。)。上述のように、遊技装置1は、貨幣投入による遊技開始の際は、残高等の返却の際に利用を予定する遊技カード(一般カード)53のカードIDを記憶する。また、遊技装置1は、遊技カード53の挿入による遊技開始の際は、挿入された遊技カード53のカードIDを記憶する。
【0069】
遊技装置1は、制御部20が
図5の処理ルーチンを繰り返し実行することで動作する。この処理ルーチンには、ID変更判定処理P1が組み込まれている。したがって、遊技装置1の動作中では、このID変更判定処理P1が繰り返し実行される。
【0070】
ID変更判定処理の流れは、
図8の通りである。遊技装置1は、管理対象のカードIDをフラッシュROM24のID管理エリア240から読み出し(S201)、RAM23の一時保管エリア230に一時的に記録された前回のカードIDと比較する(S202)。ID管理エリア240から新たに読み出したカードIDと、一時保管エリア230の前回のカードIDと、が一致する場合には(S203:YES)、ID管理エリア240から新たに読み出したカードIDによって、一時保管エリア230の記録データを上書きする(S204)。上書きの新たなカードIDは、次回のID変更判定処理の際、「前回のカードID」として取り扱われ、ID変更判定に利用される。
【0071】
一方、ID管理エリア240から新たに読み出されたカードIDと、前回の処理の際、一時保管エリア230に記録されたカードIDと、が不一致の場合(S203:NO)、遊技装置1は、カードID変更有りと判定する(S214)。カードID変更有と判定された場合、遊技装置1は、状態表示部11を所定パターンで点灯させることで、カードIDの変更が有った旨を報知する(S215)。
【0072】
なお、所定パターンとしては、何らかの異常が発生したことを報知できるよう、赤色灯が点滅するパターン等を採用すると良い。遊技場の従業員等は、状態表示部11の点灯パターンに応じて、カードIDの変更が発生した旨を把握できる。状況を把握した従業員等が適切に対応すれば、カードIDの変更に起因するトラブルの度合い等を最小限に抑えることができる。
【0073】
以上の通り、本例の遊技場用システム1Sは、遊技に伴い減算され、遊技で入賞すると加算される遊技価値を記憶する記憶手段を有する、いわゆる封入式の遊技機に対応して設けられるシステムである。この遊技場用システム1Sを構成する遊技装置1は、遊技者が所有する貨幣価値である残高及び遊技価値である持玉を対応付け可能な遊技カード(記録媒体)53を受付した場合に、その遊技カード53の識別情報であるカードIDを記憶して管理する。遊技装置1は、遊技カード53を受付してから返却するまでの間に、カードIDが変更された場合、カードIDの変更有りと判定し、その旨を報知する。遊技場用システム1Sを導入した遊技場では、遊技毎に管理されるカードIDの変更を伴って起こりえるトラブルを回避、あるいはトラブルの影響を最小限にできる。
【0074】
このように本例の遊技場用システム1Sは、遊技者所有の価値等の管理に利用されるカードIDなどの識別情報の変更を伴う何らかのトラブルが発生した場合に、その旨を確実性高く報知できる優れた特性のシステムである。
【0075】
媒体受付手段としての遊技装置1は、遊技カード(記録媒体)53を未受付の状態で、遊技を行うために貨幣価値が投入された場合、或いは持玉(第2獲得価値)が受け付けられた場合に、その貨幣価値或いは持玉を対応付けるための遊技カード53を特定することで遊技カード53を受け付ける。特に、貨幣価値の投入による入金によって開始された遊技に対して遊技カード53を特定すれば、遊技カード53を持たずに遊技を開始した遊技者についても、遊技カード53の管理が可能となり、残高の返却や持玉の引き渡しを確実性高く実施できる。
【0076】
また、媒体受付手段としての遊技装置1は、遊技カード53を受け付けた状態で、遊技カード53の返却、もしくは発行が有った場合、あるいは残高、及び持玉が残存しなくなった場合に、遊技カード53を受け付けた状態(カード受付状態)を解消する。このように遊技カード53を受け付けた状態を解消すれば、いずれかの遊技者が遊技終了した場合に、他の遊技者が遊技開始可能な状態を確実性高く切り換えできる。
【0077】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例は、遊技機3に個別に対応して設けられる遊技装置1が識別情報記憶手段としての機能を実現し、記録媒体の一例である遊技カード53のカードIDを記憶する構成例である。これに代えて、複数の遊技機に対応して設けられる管理装置50を、識別情報記憶手段として利用してもよい。この場合、識別情報記憶手段としての管理装置50は、いずれか一の遊技機を特定可能な遊技機情報(例えば台番など)を対応付けて遊技カードのカードIDを記憶すると良い。あるいは、インターネットを介して各遊技場の管理装置50と通信可能に接続される図示しないサーバ装置を識別情報記憶手段として利用することも良い。サーバ装置は、遊技場の識別情報と、遊技場における遊技機の台番と、を含む遊技機情報を対応付けて、遊技カードのカードIDを記憶すると良い。管理装置50あるいはサーバ装置を識別情報記憶手段として利用する場合、管理装置50あるいはサーバ装置を動作させるための処理ルーチンを実行する毎に、元のカードIDと新たなカードIDとの比較を実行すると良い。
【0078】
本例では、遊技装置1の動作プログラムの処理が一巡する間に、ID変更判定処理を1回実行する例である(
図5参照。)。これに代えて、一定の時間間隔の割り込みによりID変更判定処理を実行しても良い。
【0079】
本例では、カードIDの変更を遊技装置1が判定し、報知する例である。これに代えて、あるいは加えて、管理装置50や、インターネットを介して管理装置50と通信可能に接続されたサーバ装置が、カードIDの変更が有ったことを報知、あるいは記録しても良い。例えば、カードIDの変更有無の判定を管理装置50あるいはサーバ装置が実行する構成の場合、変更が有った旨を表す信号を遊技機側に送信することも良い。この信号を受信した遊技機側では、例えば遊技装置1が異常報知を実行できる。
【0080】
本例では、記録媒体として遊技カード53などのカードを例示している。カードに代えて、コインや携帯メモリー、或いは紙等、どのような記録媒体を採用しても良い。また、遊技価値の対応付けとしては記録媒体に直接記録しても良いし、管理装置50にて記録媒体の識別情報(例えばカードIDなど)と遊技価値とを対応付ける等しても良い。記録媒体としては、対応する遊技価値を特定可能な情報が記録されていれば良く、どのような構成を採用しても良い。管理装置50において、遊技カード53のカードIDを対応付けて遊技価値を記憶することで、遊技価値を遊技カード53に対応付けることも良い。この場合、管理装置50が、遊技カード53に対応するデータを更新する手段として機能する。
【0081】
なお、分割発行処理を行う場合、受付けている遊技カードを分割先として発行し、残った持玉等の有価情報はストックしているカードに対応付けることになる。この場合、カードIDが入れ替わることになるので、当該分割発行処理によりカードIDに変更があったかを判定する期間を区切っても良いし、期間を区切らず継続させるが、異常ではなく正常処理であると判断しても良い。さらに、分割発行処理を行う場合、受付けている遊技カードを一旦排出してからストックカードを分割先として発行し、排出した遊技カードを再度受け付ける構成も想定できる。この場合、一旦分割先となるストックカードによりカードIDに変更があったとも捉えられるが、上記同様の処理とすれば良い。
【0082】
本例では、持玉が記録された記録媒体である遊技カード53を遊技者側に発行することで、持玉を遊技者側に引き渡す構成を採用している。持玉を遊技者側に引き渡す態様として、記録媒体を排出せず、例えば遊技者の携帯電話等の端末機器に持玉を転送する態様を含めることも良い。転送方法としては、例えばFeliCa(登録商標)のような通信方式を利用できる。例えば持玉を示すバーコード情報を表示することで発行処理を行っても良い。このように発行処理としては、様々な処理の態様を採用できる。
【0083】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定しても良い。
なお、実施例中で例示した数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。また、カードIDの変更報知として、遊技装置1の状態表示部11による点灯報知を例示したが、タッチパネル13の表示によって報知しても良い。管理装置50によって報知する態様としては、表示出力のほか印字出力など、各種の報知態様を想定できる。
【0084】
対象となる遊技機としては、例示したパチンコ遊技機以外の機種のパチンコ遊技機や、スロットマシン等にも採用できる。なお、例示した封入式を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現している。パチンコ遊技機としては、入賞に応じて玉を払い出す、いわゆる払出式のパチンコ遊技機であっても良い。
【0085】
本例では、遊技者の所有価値である持玉や残高を遊技装置1が記憶する構成を例示している。これに代えて、持玉や残高を記録するための記録媒体として、遊技者に発行されることがない中継カードを採用しても良い。この中継カードについて、遊技機との間でポイントのやり取りを実行可能な通信モードと、遊技カードとの間でポイントのやり取りを実行可能な発行モードと、を選択的に設定することも良い。
【0086】
遊技装置1が行う処理の一部を中継装置54、情報表示装置51、或いは管理装置50にて行うといったように、例示した処理をいずれの装置により行うかについては、どの様に構成しても良い。更に例示した構成は変形例も含めて、どのように組合わせても良いし、適宜、採用しない構成を設けても良い。
【0087】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。