特開2020-199426(P2020-199426A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-199426(P2020-199426A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】静電塗装機用スピンドル装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/04 20060101AFI20201120BHJP
   F01D 15/06 20060101ALI20201120BHJP
   F01D 25/08 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   B05B5/04 A
   F01D15/06
   F01D25/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-105986(P2019-105986)
(22)【出願日】2019年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 直也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳
【テーマコード(参考)】
4F034
【Fターム(参考)】
4F034AA04
4F034BA22
4F034BB02
4F034BB28
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で、断熱効果が得られ、塗装機の結露発生を抑制できる静電塗装機用スピンドル装置を提供する。
【解決手段】静電塗装機用スピンドル装置10のハウジング11には、タービン翼22,23を収容するタービンチャンバ部80と、ノズルからタービンチャンバ部80に噴出された気体を外部に排気するためのタービン排気経路81,82とが設けられる。タービンチャンバ部80とタービン排気経路81,82の少なくとも一方の表面は、ハウジング11の母材より熱伝導率が低い材料で覆われている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒状のハウジングと、前記ハウジングに挿通され、軸受を介して回転自在に支承される回転軸と、前記回転軸と共に一体に回転するタービン羽根車と、前記タービン羽根車のタービン翼に向けて気体を噴出するノズルと、を備える静電塗装機用スピンドル装置であって、
前記ハウジングには、前記タービン翼を収容するタービンチャンバ部と、前記ノズルから前記タービンチャンバ部に噴出された前記気体を外部に排気するためのタービン排気経路とが設けられ、
前記タービンチャンバ部と前記タービン排気経路の少なくとも一方の表面は、前記ハウジングの母材より熱伝導率が低い材料で覆われていることを特徴とする静電塗装機用スピンドル装置。
【請求項2】
前記材料は、前記熱伝導率が1W/m・K以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電塗装機用スピンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電塗装機用スピンドル装置に関し、より詳細には、静電塗装機に使用され、ノズルから噴出する気体の運動エネルギにより回転駆動される複数のタービン翼を備える静電塗装機用スピンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車ボディ塗装用の回転霧化型静電塗装機の場合、塗装機内部に収容されるスピンドル装置は、複数のタービン翼に向けてノズルから気体を吐出し、噴流の持つ運動エネルギにより回転軸を高速回転させる。回転軸の軸方向一端部には、ベルカップが取り付けられ、回転による遠心力で塗料を霧状にして塗装する。
【0003】
その際、短時間に広範囲に塗装するためには、塗料の流量を増加する必要があるが流量を増加させるためには、高トルクが必要となりタービン翼への気体の供給量が多くなる。この結果、断熱膨張した低温のエアが多量となり、より結露しやすくなっていた。スピンドル装置や静電塗装機本体に結露が発生すると、塗装用の静電気が外部に逃げやすくなり、静電気が逃げてしまうと塗装不具合になり、設備を停止するという課題がある。
【0004】
特許文献1では、高温の空気を供給したり、エアスピンドル周囲に常温の空気を循環させる構造を追加し、エアスピンドルの温度が低下しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−198494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のスピンドルは、結露の発生は抑制できるものの、構造が複雑で、ランニングコストが掛かるという問題がある。
【0007】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構造で、断熱効果が得られ、塗装機の結露発生を抑制できる静電塗装機用スピンドル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 略筒状のハウジングと、前記ハウジングに挿通され、軸受を介して回転自在に支承される回転軸と、前記回転軸と共に一体に回転するタービン羽根車と、前記タービン羽根車のタービン翼に向けて気体を噴出するノズルと、を備える静電塗装機用スピンドル装置であって、
前記ハウジングには、前記タービン翼を収容するタービンチャンバ部と、前記ノズルから前記タービンチャンバ部に噴出された前記気体を外部に排気するためのタービン排気経路とが設けられ、
前記タービンチャンバ部と前記タービン排気経路の少なくとも一方の表面は、前記ハウジングの母材より熱伝導率が低い材料で覆われていることを特徴とする静電塗装機用スピンドル装置。
(2) 前記材料は、前記熱伝導率が1W/m・K以下であることを特徴とする(1)に記載の静電塗装機用スピンドル装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の静電塗装機用スピンドル装置によれば、簡単な構造で、断熱効果が得られ、塗装機の結露発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係るスピンドル装置の断面図であり、下部は、図3のIII−III線に沿った断面図であり、(b)は、(a)のタービン排気経路周辺を拡大して示す断面図である。
図2図1に示すスピンドル装置の他の断面図であり、上部は、図3のIII−III線に沿った断面図である。
図3図1に示すスピンドル装置の側面図である。
図4図2のA−A線断面図である。
図5図2のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る静電塗装機用スピンドル装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明においては、図1に示す左側を前側と称し、右側を後側と称する。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施形態の静電塗装機用スピンドル装置10は、エアタービン駆動方式のスピンドル装置であって、前ハウジング12、中間ハウジング13、及び後ハウジング14を有するハウジング11と、ハウジング11に内嵌固定されて回転軸20を回転自在に支承するラジアル軸受15及びアキシャル軸受16と、ラジアル軸受15及びアキシャル軸受16により回転自在に支承される回転軸20と、回転軸20と共に一体に回転するタービン羽根車30と、を備える。
【0013】
前ハウジング12は、一端にフランジ12aを備え、略筒状に形成されている。中間ハウジング13は、フランジ12aと略同じ外径、及びタービン羽根車30より大きな内径を有してリング状に形成される。後ハウジング14は、フランジ12aと略同じ直径を有する円板状部材であり、スピンドル装置10の後端面を構成する。前ハウジング12、中間ハウジング13、及び後ハウジング14は、前側(左側)からこの順で積層されて、ボルト17で一体に固定されている。
【0014】
ラジアル軸受15及びアキシャル軸受16は、空気などの気体が通過可能な多孔質部材から形成された静圧気体軸受である。ラジアル軸受15は、前ハウジング12の内周面と回転軸20の外周面との間に配置され、回転軸20のラジアル荷重を支持する。一対のアキシャル軸受16は、後ハウジング14の軸方向側面と回転軸20の回転基部21の後側面21aとの間、及び前ハウジング12の軸方向側面と回転軸20の回転基部21の前側面21bとの間に配置されて回転軸20の回転基部21を軸方向から挟持し、回転軸20のアキシャル荷重を支持する。
なお、ラジアル軸受15及びアキシャル軸受16を構成する静圧気体軸受は、本実施形態の多孔質絞りを具備するものに限定されず、自成絞りやオリフィス絞り等、他の絞り方式を具備していてもよい。
【0015】
回転軸20は、中空のパイプ状に形成されており、中間ハウジング13に対応する外周部には、タービン羽根車30が一体に形成されている。また、回転軸20の前端には、塗料を霧状にして噴霧するための塗装用治具であるベルカップ18が一体回転可能に取り付けられている。回転軸20の内部には、図示しない塗料搬送用チューブが配置される。
【0016】
図4及び図5も参照して、タービン羽根車30は、回転軸20の外周面から径方向外方に設けられた回転基部21と、回転基部21の後側面21aからそれぞれ軸方向後側に突出して形成され、円周方向等間隔に配置される複数の後側タービン翼22と、回転基部21の前側面21bからそれぞれ軸方向前側に突出して形成され、円周方向等間隔に配置される複数の前側タービン翼23と、を備える。
【0017】
複数の後側タービン翼22と、複数の前側タービン翼23とは、互いに同一形状を有し、且つ、互いに同一の位相間隔で配置されて、タービン羽根車30の回転基部21の外周に沿って環状に並べられている。
【0018】
後側タービン翼22及び前側タービン翼23は、タービン羽根車30の正回転方向C(円周方向一方)に形成された凸面24、26と、タービン羽根車30の回転方向の逆回転方向D(円周方向他方)に形成された凹面25、27と、をそれぞれ備える。
【0019】
前ハウジング12、中間ハウジング13及び後ハウジング14は、上述した後側タービン翼22及び前側タービン翼23を収容するタービンチャンバ部80を形成する。具体的に、タービンチャンバ部80は、前ハウジング12、中間ハウジング13及び後ハウジング14がボルト17で一体に固定されることで、前ハウジング12の後端面、中間ハウジング13の内周面及び後ハウジング14の前端面によって形成される。
【0020】
また、前ハウジング12、中間ハウジング13及び後ハウジング14には、静圧気体軸受であるラジアル軸受15及びアキシャル軸受16に軸受用空気を供給し、また排出するための通路、及びタービン羽根車30に作動用の圧縮空気を供給し、また排出するための通路、後側タービン翼22に気体を噴出する第1ノズル、前側タービン翼23に気体を噴出する第2ノズルなどが形成されている。
【0021】
具体的に、図3に示すように、後ハウジング14には、ラジアル軸受15及びアキシャル軸受16に軸受用空気を供給する軸受用空気供給孔41、後側タービン翼22に圧縮空気を供給する後側タービン空気供給孔42、前側タービン翼23に圧縮空気を供給する前側タービン空気供給孔43、後側タービン翼22にブレーキ用空気を供給するブレーキ用空気供給孔44が、それぞれ軸方向に貫通して形成されている。軸受用空気供給孔41には、径方向内側に分岐して一方のアキシャル軸受16に連通する径方向孔45が形成されている(図2参照)。
【0022】
また、後ハウジング14には、後側タービン翼22を駆動した後の空気を排出するための略円弧状の4つの後側用のタービン空気排出穴46が、軸方向に貫通して形成され、タービンチャンバ部80に連通する。また、後ハウジング14には、前側タービン翼23を駆動した後の空気を排出するための略円弧状の3つの前側用のタービン空気排出穴47が、後側用のタービン空気排出穴46よりも半径方向外側で、軸方向に貫通して形成されている。
【0023】
更に、後ハウジング14には、タービン羽根車30の回転速度を測定するための回転速度検出孔48が、後側タービン翼22に対応する径方向位置に貫通して設けられている。なお、3つの孔49は、前ハウジング12、中間ハウジング13、及び後ハウジング14を固定するボルト17が螺合するねじ孔である。
【0024】
図4に示すように、中間ハウジング13の後ハウジング14に対向する後面13aには、それぞれ軸受用空気供給孔41及び前側タービン空気供給孔43に連通する貫通孔51,53が形成されている。また、中間ハウジング13の後面13aには、後側タービン空気供給孔42に連通する凹部52、ブレーキ用空気供給孔44に連通する凹部54、及び、前側用のタービン空気排出穴47に対応した3つの略円弧状の前側用のタービン空気排出穴56が形成されている。
【0025】
後側タービン空気供給孔42に連通する凹部52には、円周方向に延びる第1タービン空気分配溝57が連通して形成され、該第1タービン空気分配溝57からは、後側タービン翼22の凹面25に向かって指向された3つの第1正転ノズル58が、周方向に離間して形成されている。また、ブレーキ用空気供給孔44に連通する凹部54には、後側タービン翼22の凸面24に向かって指向された1つの第1逆転ノズル59が形成されている。
なお、3つの第1正転ノズル58及び第1逆転ノズル59は、タービン羽根車30の径方向に対して略垂直な方向に沿って形成されている。
また、本実施形態では、3つの第1正転ノズル58及び第1逆転ノズル59も溝によって形成され、後ハウジング14の側面と共に、ノズル通路を構成する。
【0026】
図5に示すように、中間ハウジング13の前ハウジング12に対向する前面13bには、貫通孔53に連通し、円周方向に延びる第2タービン空気分配溝67が形成され、該第2タービン空気分配溝67からは、前側タービン翼23の凹面27に向かって指向された3つの第2正転ノズル68が周方向に離間して形成されている。3つの第2正転ノズル68も、タービン羽根車30の径方向に対して略垂直な方向に沿って形成されている。また、3つの第2正転ノズル68も溝によって構成され、前ハウジング12の側面と共に、ノズル通路を構成する。
【0027】
前ハウジング12には、図2に示すように、軸受用空気供給孔41、及び中間ハウジング13の貫通孔51に連通して軸方向に形成された軸受用空気通路71と、軸受用空気通路71と他方のアキシャル軸受16とを連通させる径方向孔72、及び軸受用空気通路71とラジアル軸受15とを連通させる径方向孔73が形成されている。軸受用空気通路71及び径方向孔72,73と異なる位相には、ラジアル軸受15と外部とを連通する軸受用排気通路74が形成されている。また、前ハウジング12には、中間ハウジング13の3つの前側用のタービン空気排出穴56とタービンチャンバ部80とを連通させる前側用のタービン空気排気穴75が設けられている(図1参照)。
【0028】
したがって、本実施形態では、後側タービン翼22を駆動した後の空気を排出するための後側用のタービン排気経路81は、後ハウジング14の後側用のタービン空気排出穴46によって構成される。また、前側タービン翼23を駆動した後の空気を排出するための前側用のタービン排気経路82は、後ハウジング14の前側用のタービン空気排出穴47、中間ハウジング13の前側用のタービン空気排出穴56、及び、前ハウジング12の前側用のタービン空気排気穴75によって形成される。
【0029】
ここで、図1(b)に示すように、タービンチャンバ部80と後側用及び前側用のタービン排気経路81、82の表面が、ハウジング11の母材より熱伝導率が低い材料からなる断熱素材部90で覆われている。これにより、タービンチャンバ部80内で断熱膨張した低温のエアが、タービンチャンバ部80や後側用及び前側用のタービン排気経路81、82を流れる際に、ハウジング11の母材等、周囲の温度を低下させるのが抑えられ、静電塗装機内での結露発生を抑制することができる。
【0030】
ハウジング11の母材(アルミニウムや鋼等の金属材料)よりも熱伝導率が低い材料としては、特に限定されないが、熱伝導率が1W/m・K以下であることが好ましく、例えば、樹脂材料が選定される。
【0031】
このうち、熱伝導率が小さい樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が有効である。
また、熱伝導率が小さい他の材料としては、ガラスやセラミックス材製中空構造を持った中空ビーズ(例えば、イースフィアーズ(登録商標)、太平洋セメント(株)社製)を混入させた液体を塗布、乾燥させて使用することも有効となる。
【0032】
断熱素材部90の施工方法としては、タービンチャンバ部80や後側用及び前側用のタービン排気経路81、82を構成する各ハウジング12,13,14の表面への塗装やライニングが挙げられる。また、各ハウジング12,13,14を浸漬塗装して不要部分を除去加工するようにしてもよく、或いは、断熱素材部90を別部品として形成してもよい。
【0033】
次に、本実施形態の静電塗装機用スピンドル装置10の作用について説明する。
不図示の空気供給源から軸受用空気供給孔41に供給された軸受用空気は、図2に示すように、貫通孔51、径方向孔45,72を介して一対のアキシャル軸受16に供給される。また同時に、軸受用空気は、軸受用空気通路71、及び径方向孔73を介してラジアル軸受15に供給される。
【0034】
多孔質部材からなるラジアル軸受15の外周面側に供給された軸受用空気は、多孔質部材を通過して回転軸20の外周面に吐出し、静圧気体軸受を構成して回転軸20のラジアル荷重を支持する。また、アキシャル軸受16に供給された軸受用空気は、タービン羽根車30の回転基部21とアキシャル軸受16との間に吐出し、静圧気体軸受を構成して回転軸20のアキシャル荷重を支持する。そして、ラジアル軸受15及びアキシャル軸受16に供給された軸受用空気は、軸受用排気通路74を介して外部に排気される。これにより、回転軸20は、ラジアル軸受15及びアキシャル軸受16に接触することなく、小さな回転抵抗で回転自在に支持される。
【0035】
一方、不図示の圧縮空気供給源から後側タービン空気供給孔42にタービン駆動用の圧縮空気が供給されると、圧縮空気は、中間ハウジング13の凹部52及び第1タービン空気分配溝57を介して3つの第1正転ノズル58に導かれ、第1正転ノズル58から後側タービン翼22に向けて噴出して、タービン羽根車30を正回転方向Cに回転させる。
【0036】
また、ブレーキ用空気供給孔44に供給された圧縮空気は、中間ハウジング13の凹部54、及び第1逆転ノズル59を介して後側タービン翼22に向けて、第1正転ノズル58の噴射方向とは逆方向に噴出して、タービン羽根車30を逆回転方向Dに回転させる駆動力を発生させる。
そして、後側タービン翼22を駆動した圧縮空気は、後側用のタービン排気経路81から外部に排気される。
【0037】
前側タービン空気供給孔43に噴出された圧縮空気は、中間ハウジング13の貫通孔53、及び第2タービン空気分配溝67を介して3つの第2正転ノズル68に導かれ、第2正転ノズル68から前側タービン翼23に向けて噴出して、タービン羽根車30を正回転方向Cに回転させる。
そして、前側タービン翼23に噴出された圧縮空気は、前側用のタービン排気経路82から外部に排気される。
【0038】
即ち、第1正転ノズル58、第1逆転ノズル59及び第2正転ノズル6は、それぞれ独立した空気供給口から圧縮空気が別々に供給される。
【0039】
そして、例えば、通常回転時には、第1正転ノズル58から圧縮空気を後側タービン翼22に噴出させてタービン羽根車30を駆動する。そして、大きな加速度や高速回転が必要な場合、或いは、大きな駆動トルクを要する場合には、第1正転ノズル58による後側タービン翼22の駆動に加えて、第2正転ノズル68から圧縮空気を前側タービン翼23に噴出させてタービン羽根車30を更に駆動する。
【0040】
また、タービン羽根車30を減速させる場合には、第1逆転ノズル59から圧縮空気を後側タービン翼22に逆方向から噴出させることで、タービン羽根車30に減速トルクを作用させて、減速時間を短縮することが可能である。
【0041】
タービン羽根車30の回転に伴ってタービン羽根車30には、回転速度に比例した遠心力が作用する。しかし、タービン羽根車30は、回転基部21に対して、質量バランスよく、前後対称形に形成されているので、遠心力も均等に作用し、遠心力によるタービン羽根車30の軸方向変形を抑制することができ、これにより高速回転が可能となる。
【0042】
これにより、静電塗装機用スピンドル装置10は、回転軸20が高速回転し、塗料搬送用チューブから塗料が供給されることで、該塗料を遠心力により霧状にしてベルカップ18の穴部から噴霧する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の静電塗装機用スピンドル装置10によれば、ハウジング11には、タービン翼22、23を収容するタービンチャンバ部80と、ノズル58,59,68からタービンチャンバ部80に噴出されたエアを外部に排気するためのタービン排気経路81,82とが設けられ、タービンチャンバ部80とタービン排気経路81,82の表面は、前記ハウジングの母材より熱伝導率が低い材料で覆われている。これにより、簡単な構成で、タービンチャンバ部80や後側用及び前側用のタービン排気経路81、82内の断熱効果が得られる。このため、タービンチャンバ部80で断熱膨張した低温のエアが、タービンチャンバ部80や後側用及び前側用のタービン排気経路81、82を流れる際に、ハウジング11の母材等、周囲の温度を低下させるのが抑えられ、静電塗装機内での結露発生を抑制することができる。
特に、実際の塗装は、短時間で、断続的に行われるため、静電塗装機内での結露対策として十分な効果が得られる。
【0044】
尚、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、上記実施形態では、タービンチャンバ部80とタービン排気経路81、82の両方の表面が、ハウジングの母材より熱伝導率が低い材料で覆われているが、本発明は、これに限らず、タービンチャンバ部とタービン排気経路の少なくとも一方の表面が、該熱伝導率が低い材料で覆われていればよい。
また、タービンチャンバ部80に設けられる断熱素材部90は、その表面全体を覆うことが好ましいが、部分的に覆うものであっても良い。同様に、後側用及び前側用のタービン排気経路81、82に設けられる断熱素材部90も、各表面全体を覆うことが好ましいが、各表面を部分的に覆うものであって良い。
【0045】
さらに、本発明のタービン羽根車は、上記実施形態のように、後側タービン翼22と前側タービン翼23の両方を有する構成に限らず、一方のタービン翼を有する構成であっても良い。
【0046】
また、本発明のノズルは、本実施形態のものに限定されるものでなくタービン羽根車に要求される回転性能や、ハウジングに形成される空気通路やノズルのレイアウトに応じて、適宜設計することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 静電塗装機用スピンドル装置
11 ハウジング
15 ラジアル軸受
16 アキシャル軸受
20 回転軸
21 回転基部
22 後側タービン翼
23 前側タービン翼
30 タービン羽根車
58 第1正転ノズル
59 第1逆転ノズル
68 第2正転ノズル
80 タービンチャンバ部
81 後側用のタービン排気経路
82 前側用のタービン排気経路
90 断熱素材部
C 正回転方向
D 逆回転方向
図1
図2
図3
図4
図5