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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-199558(P2020-199558A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】工作機械およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/12 20060101AFI20201120BHJP
【FI】
   B23Q11/12 A
   B23Q11/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-105886(P2019-105886)
(22)【出願日】2019年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 悠
【テーマコード(参考)】
3C011
【Fターム(参考)】
3C011FF00
3C011FF02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加工精度の向上と工作機械の冷却の両立を図ることが可能な工作機械およびシステムを提供する。
【解決手段】工作機械は、その構成要素を駆動する駆動部および駆動部のアンプの少なくとも一方を冷却するためのファン50等の第1冷却手段と、駆動部およびアンプの前記少なくとも一方を冷却するためのペルチェ素子60等の第2冷却手段と、第1冷却手段および第2冷却手段を制御する冷却制御手段と、を備え、第2冷却手段によって生ずる振動が第1冷却手段によって生ずる振動よりも小さく、冷却制御手段が、駆動部およびアンプの前記少なくとも一方の冷却を、第1冷却手段による冷却から第2冷却手段による冷却に切り替える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械であって、
当該工作機械の構成要素を駆動する駆動部および当該駆動部のアンプの少なくとも一方を冷却するための第1冷却手段と、
前記駆動部および前記アンプの前記少なくとも一方を冷却するための第2冷却手段と、
前記第1冷却手段および前記第2冷却手段を制御する冷却制御手段と、を備え、
前記第2冷却手段によって生ずる振動が前記第1冷却手段によって生ずる振動よりも小さく、
前記冷却制御手段が、前記駆動部および前記アンプの前記少なくとも一方の冷却を、前記第1冷却手段による冷却から前記第2冷却手段による冷却に切り替える、工作機械。
【請求項2】
加工プログラムに基づき前記駆動部を制御する加工制御手段を備え、
前記冷却制御手段が、前記加工制御手段が前記加工プログラムに基づき前記駆動部に出力する制御指令に応じて、前記第1冷却手段による前記冷却から前記第2冷却手段による前記冷却に切り替える、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
冷却方法情報を格納している記憶部を備え、
前記冷却方法情報が、加工に用いる複数種類のツールの各々について、前記第1冷却手段と前記第2冷却手段の何れを使用すべきか示すものであり、
前記冷却制御手段が、前記複数種類のツールのうち使用されているツールの情報と、前記冷却方法情報とを用いて、前記第1冷却手段による前記冷却から前記第2冷却手段による前記冷却への切り替えを行う、請求項1に記載の工作機械。
【請求項4】
加工に用いるツールが取付けられる主軸と、
前記駆動部を制御する加工制御手段と、を備え、
前記冷却制御手段が、前記加工制御手段による前記主軸の回転数の制御に応じて、前記第1冷却手段による前記冷却から前記第2冷却手段による前記冷却に切り替える、請求項1に記載の工作機械。
【請求項5】
加工プログラムに基づき前記駆動部を制御する加工制御手段を備え、
前記冷却制御手段が、前記加工制御手段から受信する加工品質に関する情報に応じて、前記第1冷却手段による前記冷却から前記第2冷却手段による前記冷却への切り替えを行う、請求項1に記載の工作機械。
【請求項6】
前記第1冷却手段による前記冷却と、前記第2冷却手段による前記冷却を、前記工作機械の制御装置とは別のコンピュータで制御する、請求項1〜5の何れかに記載の工作機械。
【請求項7】
前記冷却の切り替えを最適化する学習機能を備える、請求項1〜6の何れかに記載の工作機械。
【請求項8】
システムであって、
請求項1〜7の何れかに記載の工作機械と、
前記工作機械の制御装置と通信可能な上位制御システムと、を備え、
前記上位制御システムは、前記工作機械の前記制御装置から受信する学習結果を蓄積する、システム。
【請求項9】
前記上位制御システムは、前記学習結果を用いて前記上位制御システムにおいて行われた学習の結果を、前記工作機械の前記制御装置に送信するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記上位制御システムは、前記学習結果、又は、前記学習結果を用いて前記上位制御システムにおいて行われた学習の結果を、学習機能を持たない工作機械に送信するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、主軸内に冷却液を循環させることによって主軸の冷却を行う工作機械が知られている。例えば、特許文献1を参照されたい。当該工作機械は、主軸の温度を検出する温度センサを備え、温度センサの検出値に基づき冷却液の循環状態を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−165770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工作機械でワークに高品位加工を行う場合、冷却装置の振動がワークの加工品質に影響を与える場合がある。工作機械の駆動部の冷却のために、振動が発生しない冷却装置又は冷却手段を用いることも可能である。しかし、このような冷却装置又は冷却手段は冷却能力が低い場合が多く、高品位加工以外の加工時に冷却能力が不足する。また、化学反応を起こすことにより吸熱を行う冷却液は冷却能力も高いが、このような冷却を大量に使用すると製造コストが大幅に上がる。
【0005】
上記事情に鑑み、加工精度の向上と工作機械の冷却の両立を図ることが可能な工作機械およびシステムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、工作機械であって、当該工作機械の構成要素を駆動する駆動部および当該駆動部のアンプの少なくとも一方を冷却するための第1冷却手段と、前記駆動部および前記アンプの前記少なくとも一方を冷却するための第2冷却手段と、前記第1冷却手段および前記第2冷却手段を制御する冷却制御手段と、を備え、前記第2冷却手段によって生ずる振動が前記第1冷却手段によって生ずる振動よりも小さく、前記冷却制御手段が、前記駆動部および前記アンプの前記少なくとも一方の冷却を、前記第1冷却手段による冷却から前記第2冷却手段による冷却に切り替える。
【0007】
本開示の第2の態様は、システムであって、前記工作機械と、前記工作機械の制御装置と通信可能な上位制御システムと、を備え、前記上位制御システムは、前記工作機械の前記制御装置から受信する学習結果を蓄積する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る工作機械の概略斜視図である。
図2】本実施形態の工作機械のX−Yテーブルの概略斜視図である。
図3】本実施形態の工作機械の概略側面図である。
図4】本実施形態の工作機械の制御装置のブロック図である。
図5】本実施形態の工作機械の制御装置の処理の例を示すフローチャートである。
図6】本実施形態の工作機械の制御装置の機能ブロック図である。
図7】本実施形態の冷却方法情報を示すテーブルの例である。
図8】本実施形態の冷却方法情報を示すテーブルの他の例である。
図9】本実施形態の変形例を示す工作機械の概略側面図である。
図10】本実施形態の工作機械を有する管理システムのブロック図である。
図11】本実施形態の工作機械を有するシステムのブロック図である。
図12】本実施形態の工作機械を有するシステムのブロック図である。
図13】本実施形態の工作機械を有するシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態に係る工作機械について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る工作機械は、図1に示されるように、ベース2およびベース2から上方に向かって延びるコラム部3を有する工作機械本体1aと、コラム部3に上下方向に移動可能に支持された主軸ユニット4と、ワークWを支持するためのX−Yテーブル22と、を備えている。工作機械は図示しない加工室内に配置されている。
【0010】
図3に示されるように、本実施形態に係る工作機械には、主軸ユニット4の主軸4aに取付けられるツールTを自動で交換するためのツールマガジン7が設けられている。ツールマガジン7に収納された複数のツールTは、択一的に主軸4aに保持される。
ツールマガジン7には複数のツール保持部9が設けられ、複数のツール保持部9はツールマガジン7の周方向に並んでいる。
主軸ユニット4は、主軸4aを複数のベアリングBを介して支持する主軸ヘッド4bを備えている。
【0011】
コラム部3には鉛直方向(Z軸方向)に延びる複数のガイドレール3aが設けられ、主軸ヘッド4bはガイドレール3aに鉛直方向に移動可能に支持されている。また、コラム部3の上端部にはサーボモータ等のZ軸モータ3bが固定され、Z軸モータ3bの出力軸からの出力が減速機3c等を介してボールネジ3dに伝達される。ボールネジ3dはガイドレール3aに沿って配置され、ボールネジ3dは主軸ヘッド4bの背面部に固定されたボールネジナット4cに螺合している。このように、主軸ヘッド4bは直動機構によって上下方向に移動可能である。
【0012】
また、主軸4aおよびツールTは、主軸4aの上端部に接続された主軸モータ5aによって、主軸4aの中心軸線周りに回転する。
工作機械は、X−Yテーブル22の水平方向の移動、主軸4aの鉛直方向の移動等によって、ワークWとツールTとを相対移動させながら、回転するツールTによってワークWを加工する。
【0013】
ベース2は、例えば、レベリングボルト、アンカーボルト等を使用して工作機械の使用場所に設置される。X−Yテーブル22はベース2上に配置され、X−Yテーブル22の上面には、ワークWが冶具J、付加軸ユニットAU等を介して固定される。X−Yテーブル22およびワークWは、ベース2に設けられたモータ13,23によって、主軸4aに対して水平方向に移動される。
【0014】
図2に示されるように、ベース2の上面部には水平方向であるY軸方向に延びる複数のガイドレール11が設けられ、Y方向可動部12がガイドレール11に軸方向に移動可能に支持されている。また、ベース2の上面部にはY軸モータ13が固定され、Y軸モータ13の出力が減速機等を介してボールネジ14に伝達される。ボールネジ14はガイドレール11に沿って配置され、ボールネジ14はY方向可動部12に固定されたボールネジナットに螺合している。このように、Y軸モータ13の出力軸の回転によってY方向可動部12がY軸方向に移動する直動機構が構成されている。
【0015】
また、図2に示されるように、Y方向可動部12の上面部には水平方向であるX軸方向に延びる複数のガイドレール21が設けられ、X−Yテーブル22がガイドレール21にX軸方向に移動可能に支持されている。また、Y方向可動部12の上面部にはX軸モータ23が固定され、X軸モータ23の出力軸からの出力が減速機等を介してボールネジ24に伝達される。ボールネジ24はガイドレール21に沿って配置され、ボールネジ24はX−Yテーブル22に固定されたボールネジナットに螺合している。このように、X軸モータ23の出力軸の回転によってX−Yテーブル22がX軸方向に移動する直動機構が構成されている。
【0016】
図1および図3に示されるように、主軸モータ5aには、その冷却のためのファン50が取付けられている。主軸モータ5aにファン50が内蔵されていてもよい。また、図3に示されるように、主軸モータ5aの外周面にはペルチェ素子60の一方の面が接触しており、ペルチェ素子60の他方の面は金属製のブロック61に接触している。ブロック61の外周面には適宜放熱フィンが設けられる。ファン50は後述の制御装置40に接続され、制御装置40によってファン50が制御される。また、ペルチェ素子60も制御装置40に接続され、制御装置40によって電圧が印加される。
【0017】
工作機械には、工作機械を制御する制御装置40が設けられている。制御装置40は、図4に示されるように、CPU等のプロセッサ41と、表示装置42と、不揮発性ストレージ、ROM、RAM等を有する記憶部43と、操作盤等の入力部44と、アンテナ、コネクタ等を有する送受信部45と、を有する。記憶部43にはシステムプログラム43aが格納され、システムプログラム43aは制御装置40の基本機能を担っている。
【0018】
また、記憶部43には、加工プログラム43b、冷却制御プログラム43c、および冷却方法情報43dが格納されている。制御装置40は、プロセッサ41によって加工プログラム43bを読み出し、各モータ3b,5a,13,23、ツールマガジン7等に制御指令を送信し、これによりツールTによるワークWの加工、ツールマガジン7を用いた主軸4aのツールTの交換等を行う。つまり、プロセッサ41、RAM、および加工プログラム43bは加工制御手段として機能する。
【0019】
なお、冷却制御プログラム43cは、加工プログラム43bの一部であってもよい。また、記憶部43には、ツールマガジン7の複数のツール保持部9の各々に取付けられたツールTの種類の情報であるツール情報43eが格納されている。
【0020】
制御装置40は、プロセッサ41によって冷却制御プログラム43cを読み出し、ファン50による冷却とペルチェ素子60による冷却を切り替える。つまり、プロセッサ41、RAM、および冷却制御プログラム43cは冷却制御手段として機能する。この際の制御装置40の処理の一例を図5に示されるフローチャートを参照しながら説明する。また、当該工作機械の機能ブロック図の一例を図6に示す。
【0021】
制御装置40は、加工プログラム43bに基づき、各モータ3b,5a,13,23、ツールマガジン7のモータ等の駆動部に制御指令を送る(ステップS1−1)。例えば、制御装置40は、ツールマガジン7に、ツールTを主軸4aに装着するための制御指令を送ると共に、主軸4aにツールマガジン7のツールAを取付けるための制御指令をZ軸モータ3bに送る。また、当該ツール交換の後、制御装置40は、主軸モータ5aに、ワークWの加工のための回転を開始させる制御指令を送る。また、制御装置40は、主軸モータ5aの回転数に関する制御指令も送る。これにより、ツールAを用いたワークWの加工が開始される。
【0022】
続いて、制御装置40は、冷却制御プログラム43cに基づき、前記制御指令と、記憶部43に格納されている冷却方法情報43dとに基づき、ファン50による冷却とペルチェ素子60を用いた冷却とを切り替える(ステップS1−2)。図6の機能ブロック図では、前記制御指令を冷却制御手段が受取り、受取った制御指令に応じてファン50およびペルチェ素子60を制御する。制御装置40は、工作機械によるワークWの加工が終了するまで、ステップS1−1〜S1−2を繰り返す(ステップS1−3)。
【0023】
冷却方法情報43dは、例えば図7に示されるように、制御指令に含まれるツールTの種類の情報、主軸4aの回転数の情報、ツールTの加工中の移動速度の情報、ツールTの送り量(削り込み量)の情報等と、冷却手段とを対応させた情報である。図7の例では、ツールTの加工中の移動速度の情報およびツールTの送り量の情報から計算される加工負荷スコアが用いられている。制御装置40は、制御指令に含まれるツールTの加工中の移動速度の情報およびツールTの送り量の情報から、加工負荷スコアを計算する。なお、冷却方法情報43dに主軸4aの回転時間の情報、ワークWの材質の情報等が含まれており、これら情報に応じた冷却手段が示されていてもよい。
【0024】
なお、制御装置40が、冷却制御プログラム43cに基づき、加工プログラム43bにおけるこれから実行される部分の所定時間分を先読みしてもよい。この場合、制御装置40は、先読みした部分の制御指令に基づく主軸4aの回転数の情報、加工負荷スコア等に基づき、ファン50による冷却とペルチェ素子60を用いた冷却とを切り替える。
【0025】
本実施形態では、図7に示される第1冷却手段はファン50であり、第2冷却手段はペルチェ素子60である。第1冷却手段による冷却がファン50とペルチェ素子60とを用いた冷却であってもよい。すなわち、状況に応じて複数の冷却手段を同時に使用しても良いものとする。
ステップS1−2において、制御指令に含まれるツールTの種類の情報がAであり、主軸4aの回転数が高く、加工負荷スコアが低い場合は、制御装置40はファン50によって主軸モータ5aの冷却を行う。
【0026】
例えば、種類AのツールTは粗削り用であり、種類BのツールTは仕上げ用である。仕上げ時に可能な限り工作機械の振動を取り除きたい場合がある。図7に示される冷却方法情報43dは、このような要求に対応したものとなっている。つまり、次の制御指令に含まれるツールTの種類の情報がBである場合、主軸4aの回転数が高く加工負荷スコアも高い時を除き、制御装置40は、ファン50による冷却からペルチェ素子60を用いた冷却に切り替える。ペルチェ素子60によって生ずる振動はファン50によって生ずる振動よりも小さい。このため、ペルチェ素子60による冷却は、仕上げ時の加工精度の向上に寄与する。
【0027】
なお、図7に示される冷却方法情報43dの代わりに、図8に示される冷却方法情報43dが用いられてもよい。図8に示される冷却方法情報43dを用いると、ステップS1−2において、制御装置40は、制御指令に含まれるツールTの種類がAである場合はファン50による冷却を行い、制御指令に含まれるツールTの種類がBである場合はペルチェ素子60による冷却を行う。
【0028】
なお、他のモータ3b,13,23にファン50およびペルチェ素子60が設けられていてもよい。この場合でも、制御装置40は、制御指令に含まれるモータ3b,13,23の回転数の情報等に基づき、ファン50による冷却からペルチェ素子60による冷却に切り替えることができる。また、ファン50およびペルチェ素子60が、工作機械の他の駆動部を冷却するものであってもよい。
【0029】
また、主軸モータ5aのアンプを冷却するためにファン50およびペルチェ素子60が設けられていてもよい。この場合でも、制御装置40は、図7図8等の冷却方法情報を用いて、ファン50による冷却からペルチェ素子60による冷却に切り替えることができる。
【0030】
本実施形態では、工作機械の構成要素である主軸4aを駆動する主軸モータ5a等の駆動部および当該駆動部のアンプの少なくとも一方を冷却するための第1冷却手段と、駆動部およびアンプの前記少なくとも一方を冷却するための第2冷却手段とを備えている。第2冷却手段によって生ずる振動は第1冷却手段によって生ずる振動よりも小さい。ここで言う振動の大きさ、例えば、振動の振幅の大きさ、加速度の値の大きさ等である。また、制御装置40は、駆動部およびアンプの前記少なくとも一方の冷却を、第1冷却手段による冷却から第2冷却手段による冷却に切り替える。
【0031】
例えば、ツールTによる加工が粗加工である場合は、ファン50等の振動の大きい第1冷却手段による冷却が行われ、ツールTによる加工が高精度加工、鏡面加工等の高品位加工である場合は、ペルチェ素子60等の振動の小さい第2冷却手段による冷却が行われる。当該構成は、加工の精度向上と主軸4a等の適切な冷却の両立を図るために有利である。
【0032】
このため、例えば、第1冷却手段による冷却がファン50およびペルチェ素子60による冷却であり、第2冷却手段による冷却がペルチェ素子60による冷却であってもよい。この場合でも、第2冷却手段の方が第1冷却手段よりも振動が小さい。第1冷却手段による冷却がファン50および後述の他の冷却手段による冷却であり、第2冷却手段による冷却が当該他の冷却手段による冷却であってもよい。他の冷却手段による冷却も、複数の冷却装置又は冷却機器を用いた冷却であり得る。
【0033】
また、本実施形態では、制御装置40は、加工プログラム43bに基づき主軸モータ5a等の駆動部を制御する。また、制御装置40が加工プログラム43bに基づき前記駆動部に出力する制御指令に応じて、第1冷却手段による冷却から第2冷却手段による冷却に切り替える。
このように、加工プログラム43bの制御指令に基づいて、第1冷却手段による冷却から第2冷却手段による冷却への切り替えが行われる。当該構成は、冷却手段を切り替えるための設定の手間の低減に繋がる。
【0034】
また、本実施形態では、記憶部43には、複数種類のツールTにそれぞれ対応する冷却方法情報43dが格納されており、冷却方法情報43dは、加工に用いる複数種類のツールTの各々について、第1冷却手段と第2冷却手段の何れを使用すべきか示すものである。そして、制御装置40は、複数種類のツールTのうち使用されているツールTの情報と、冷却方法情報43dとを用いて、第1冷却手段による冷却から第2冷却手段による冷却への切り替えを行う。
【0035】
例えば、種類AのツールTは粗加工用であり、種類BのツールTが高精度加工用、鏡面加工用等である場合、冷却方法情報43dは、種類BのツールTについて、第1冷却手段と第2冷却手段の何れを使用すべきか示すものである。冷却方法情報43dが、種類BのツールTについて、回転数等の他の条件ごとに、第1冷却手段と第2冷却手段の何れを使用すべきか示すものであってもよい。このため、現場においてユーザが細かな設定を行うことなく、加工精度の向上と主軸4a等の適切な冷却の両立を図ることが可能となる。
【0036】
また、本実施形態では、制御装置40が主軸モータ5aに制御指令を送ることによって、主軸4aの回転数が制御される。また、制御装置40は、主軸4aの回転数に応じて、第1冷却手段による冷却から第2冷却手段による冷却に切り替える。このため、ユーザが細かな設定を行うことなく、加工精度の向上と主軸4a等の適切な冷却の両立を図ることが可能となる。
【0037】
なお、加工プログラム43bに、ワークWの加工品質に関する情報が入っている場合もある。また、制御装置40が、加工プログラム43bの制御指令に基づき、高精度加工、鏡面加工等の高品位加工を行っていると判断する場合もある。この場合、判断結果が加工品質に関する情報となる。
制御装置40は、加工品質に関する情報に応じて、第1冷却手段による冷却から第2冷却手段による冷却への切り替えを行ってもよい。この場合でも、ユーザが細かな設定を行うことなく、加工精度の向上と主軸4a等の適切な冷却の両立を図ることが可能となる。
【0038】
なお、上記実施形態では、第2冷却手段がペルチェ素子60であるものを示したが、図9に示されるように第2冷却手段が液体冷却装置70であってもよい。例えば、液体冷却装置70は、主軸モータ5aの内部を通過する冷却通路71と、冷却通路71に接続された管72と、管72を介して冷却通路71に冷却液を供給する液供給装置73と、を有する。この場合、例えば種類BのツールTが主軸4aに取付けられると、冷却手段がファン50から液体冷却装置70に切り替えられる。この場合、液体冷却装置70によって生ずる振動はファン50によって生ずる振動よりも小さい。
【0039】
また、図9において、液体冷却装置70が冷凍サイクルを構成するものであってもよい。この場合、液供給装置73は冷媒を圧縮するコンプレッサーとなり、冷却通路71は冷媒の気化により周囲の熱を吸収する吸熱器として機能する。この場合、コンプレッサーと冷却通路71との間に、凝縮器、放熱器等が設けられる。また、管72には、必要に応じて、膨張弁、他の放熱器等が設けられる。この場合も、この場合、液体冷却装置70によって生ずる振動はファン50によって生ずる振動よりも小さい。
【0040】
液供給装置73が冷却通路71に供給する液体は液体窒素であってもよい。この場合、冷却通路71に供給する液体の量を低減できるので、液体冷却装置70によって生ずる振動がより小さくなる。また、液体冷却装置70が冷却通路71に供給する液体が、冷却通路71内で化学反応を起こすことにより吸熱を行う液体であってもよい。液供給装置73が2種類の液体を冷却通路71に供給し、2種類の液体が冷却通路71内で化学反応を起こしてもよい。
【0041】
また、液供給装置73の代わりに粉状のドライアイスを供給するドライアイス供給装置が管72に取付けられてもよい。この場合、粉状のドライアイスが冷却通路71に供給される。
【0042】
また、第2冷却手段がヒートシンクであってもよい。ヒートシンクとして、例えば図1図3に示されるような金属製のブロック61がペルチェ素子60を介さずに主軸モータ5aに接触していてもよい。ブロック61内に管が設けられ、管内に冷媒が封入されていてもよい。この場合、管における主軸モータ5a側で冷媒が蒸発し、管における主軸モータ5aから離れた位置で冷媒が凝縮する。ヒートシンクによって生ずる振動はファン50によって生ずる振動よりも小さい。
【0043】
ヒートシンクとしてのブロック61又はペルチェ素子60が第2冷却手段として用いられる時、第1冷却手段としてファン50の代わりに液体冷却装置70が用いられてもよい。この場合、ヒートシンク又はペルチェ素子60によって生ずる振動は、液体冷却装置70によって生ずる振動よりも小さい。
【0044】
なお、工作機械がマイコン、パーソナルコンピュータ、PLC(Programmable Logic Controller)等のコンピュータを備えており、第1冷却手段又は第2冷却手段が当該コンピュータによって制御されてもよい。
また、複数の工作機械の第1冷却手段および第2冷却手段が、1台の制御装置40又は前記コンピュータによって制御されてもよい。
【0045】
上記各実施形態において、制御装置40が学習機能を持っていてもよい。例えば、図13に示されるように、学習プログラム(学習部)43fを持っていてもよい。学習プログラム43fは記憶部43等に格納されている。
【0046】
制御装置40は、学習用情報を用いて、冷却方法情報43dの最適化を行う。例えば、学習用情報は、工作機械に設けられた振動測定装置により測定される工作機械の振動、又は、工作機械の各モータ3b,13,23等の駆動電流に基づき推定される工作機械の振動である。制御装置40は、学習用情報と、第1冷却手段および第2冷却手段の稼働状態との関係に関する学習を行う。
【0047】
学習用情報が、ワークWの加工後の品質(加工品質)であってもよい。加工品質は、ユーザによる目視の結果を制御装置40等に入力することによって得られる。所定のカメラにより得られる画像に基づき、制御装置40がワークWの加工品質を判断してもよい。学習用情報が、駆動部の温度に関する情報であってもよい。当該温度に関する情報は、駆動電流に基づき推定される各モータ3b,5a,13,23の温度であってもよい。制御装置40は、1つ又は複数の学習用情報と、第1冷却手段および第2冷却手段の稼働状態との関係に関する学習を行ってもよい。
【0048】
学習の成果として、制御装置40は、例えば図7の冷却方法情報43dの主軸の回転数および加工負荷スコアをより多くの段階に分け、各段階について冷却手段を設定する。学習の成果である冷却方法情報43dを用いることによって、駆動部の適切な冷却と加工品質の向上の両立がより高いレベルで実現される。
【0049】
図10に示されるように、複数の制御装置40が上位制御システム100に接続されていてもよい。また、図11に示されるように、加工プログラム43bを作るためのシミュレーションプログラムが格納されたコンピュータ8が、同様に上位制御システム100に接続されていてもよい。
【0050】
上位制御システム100は、例えば、複数の制御装置40および複数のコンピュータ8等と有線で接続されたコンピュータ、複数の制御装置40又は複数のコンピュータ8と同じ敷地内に配置されたコンピュータ等である。上位制御システム100はフォグコンピュータと称される時もある。上位制御システム100は、生産管理システム、出荷管理システム、工作機械用管理システム、部門管理システム等であり得る。
【0051】
複数の上位制御システム100が他の上位制御システム200等に接続されていてもよい。上位制御システム200は、例えば、複数の上位制御システム100と有線又は無線で接続されたクラウドサーバである。複数の制御装置40又は複数のコンピュータ8と上位制御システム100,200とによって例えば管理システムが形成される。
上位制御システム100および上位制御システム200は、それぞれ、プロセッサ等を有する制御部と、表示装置と、不揮発性ストレージ、ROM、RAM等を有する記憶部と、キーボード、タッチパネル、操作盤等である入力装置等を備えている。
【0052】
このようなシステムは、例えば図11に示されるように、エッジコンピュータである複数のコンピュータ8、複数の上位制御システム100、および単一又は複数の上位制御システム200を含んでいてもよい。図11のシステムにおいて、コンピュータ8および制御装置40は、エッジコンピュータであり得る。コンピュータ8および制御装置40の一部が上位制御システム100であってもよい。図11のシステムは、有線又は無線のネットワークを備えている。
【0053】
制御装置40が、前記学習機能を有する他のエッジコンピュータ、上位制御システム100、又は上位制御システム200に前記学習用情報を送信してもよい。例えば図12に示される構成で当該送信が行われる。この場合、学習機能を有する他のエッジコンピュータ、上位制御システム100、又は上位制御システム200は、受信した学習用情報を用いて学習を行い、各エッジコンピュータにおいて、冷却方法情報43dの最適化を行う。
【0054】
また、学習機能を有する他のエッジコンピュータ、上位制御システム100、又は上位制御システム200は、受信した学習用情報を用いて、複数の制御装置40がそれぞれ制御する工作機械の共通の冷却方法情報43dを求めることが可能である。つまり、前記複数の工作機械が共通の冷却方法情報43dを有することになる。当該システムによれば、多様なデータ集合を用いて、学習の速度、信頼性等を向上することができる。
【0055】
また、前記学習機能を有するエッジコンピュータおよび上位制御システム100の複数が、前記学習機能を有する他のエッジコンピュータ、上位制御システム100、又は上位制御システム200に前記学習用情報、学習において作成された学習モデル、および学習結果の少なくとも一つを送信してもよい。例えば図13に示される構成で当該送信が行われる。学習機能を有する他のエッジコンピュータ、上位制御システム100、又は上位制御システム200は、受信した情報に基づく知識の最適化や効率化の処理を行うことで、新たに最適化又は効率化された学習モデル又は学習結果を生成する。生成された学習モデル又は学習結果は工作機械の制御装置40に配布される。学習結果が配布される場合、配布先の制御装置40は学習機能を持っていなくてもよい。
【0056】
複数の制御装置40の間で前記学習用情報、学習モデル、および学習結果を共有することが可能である。例えば図13に示される構成で当該共有が行われる。これは、機械学習の効率の向上に繋がる。また、互いにネットワークで接続された複数の制御装置40のうちの一部の制御装置40に学習機能を実装し、一部の制御装置40の学習結果を他の制御装置40による工作機械の制御に用いることも可能である。これは、機械学習に要するコストの低減に繋がる。
【0057】
上記実施形態に即した例を以下説明する。
例えば、前述のように、制御装置40は、ツールTを用いた加工に用いられる冷却方法情報43dの学習を行う。また、上位制御システム100,200は、制御装置40から学習結果と、当該学習に関する加工プログラム43bを受信し、受信した学習結果を加工プログラム43bと関連付けて蓄積する。
【0058】
上位制御システム100,200は、蓄積された学習結果を用いて学習を行い、当該学習の結果を制御装置40に送信する。
また、上位制御システム100,200は、受信した学習結果、又は、当該学習結果を用いて上位制御システム100,200において行われた学習の結果を、学習機能を持たない制御装置40に送信する。
【符号の説明】
【0059】
2 ベース
3 コラム部
3a ガイドレール
3b Z軸モータ
4 主軸ユニット
4a 主軸
5a 主軸モータ
7 ツールマガジン
11 ガイドレール
12 Y方向可動部
13 Y軸モータ
14 ボールネジ
21 ガイドレール
22 X−Yテーブル
23 X軸モータ
24 ボールネジ
40 制御装置
43 記憶部
43a システムプログラム
43b 加工プログラム
43c 冷却制御プログラム
43d 冷却方法情報
43e ツール情報
50 ファン
60 ペルチェ素子
61 ブロック
70 液体冷却装置
71 冷却通路
72 管
73 液供給装置
T ツール
B ベアリング
J 冶具
W ワーク
図1
図2
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図5
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図10
図11
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